流路開閉弁
【課題】流路開閉弁において、ボールバルブの着座するシート部材の偏摩耗を抑制し、前記ボールバルブとシート部材との間において常に安定したシール性を得る。
【解決手段】ボディ本体12の内部にボールバルブ14が回動自在に設けられ、
該ボールバルブ14には、貫通孔42が開口した一対の開口部44a、44bが形成され、一方の開口部44bの半径外方向に第1及び第2バルブシート16、18にそれぞれ当接する第1及び第2シート部46、48が形成される。そして、第2シート部48は、貫通孔42の中心を通る水平線Dを境として上側に形成される上部シート50が、前記水平線Dを境として下側に形成される下部シート52に対して前記第2バルブシート18に対する接触面積が小さくなるように形成されている。
【解決手段】ボディ本体12の内部にボールバルブ14が回動自在に設けられ、
該ボールバルブ14には、貫通孔42が開口した一対の開口部44a、44bが形成され、一方の開口部44bの半径外方向に第1及び第2バルブシート16、18にそれぞれ当接する第1及び第2シート部46、48が形成される。そして、第2シート部48は、貫通孔42の中心を通る水平線Dを境として上側に形成される上部シート50が、前記水平線Dを境として下側に形成される下部シート52に対して前記第2バルブシート18に対する接触面積が小さくなるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通する流路を開閉することにより該流体の流通状態を切り換える流路開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、流体の流通する流路に接続され、該流路の連通状態を切り換えることによって前記流体の流通状態を制御する流路開閉弁が知られている。このような流路開閉弁は、弁本体の内部にボール弁が設けられ、該ボール弁の上部に連結された連結軸が回転することにより、前記ボール弁の貫通孔が前記弁本体に形成された一対の通路を互いに連通させる。また、一対の通路の端部には、それぞれ環状の弁座部材が設けられ、ボール弁の周面に摺接しているため、該周面と通路との間を通じた流体の漏れが防止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−234104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような流路開閉弁では、流路を開閉させる際にボール弁が回転するため、該ボール弁の周面と摺接している弁座部材が、該周面との摺接部位に磨耗が生じることとなる。この弁座部材では、回転軸と略平行となる上側及び下側においてより多くの摩耗が発生するため、前記弁座部材の周方向に沿った摩耗度合いが均等にならずに偏摩耗となる。
【0005】
その結果、流路開閉弁を長期間使用し続けた場合に、偏磨耗に起因してボール弁と弁座部材との間に隙間が生じ、流体が前記隙間を通じて漏出することが懸念される。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、ボールバルブの着座するシート部材の偏摩耗を抑制し、前記ボールバルブとシート部材との間において常に安定したシール性を得ることが可能な流路開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、貫通孔を設けたボールバルブと、
前記ボールバルブを回転自在に収容する室と、流体の供給される流体流入口と、該流体の排出される流体流出口とを有するボディ本体と、
前記ボールバルブを前記室内で回転させて前記流体流入口と前記流体流出口との連通状態を切り換えるシャフト軸と、
前記シャフト軸を回転させる駆動源と、
前記流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方に回転自在に設けられ、前記ボールバルブの外周面に当接するシート部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記ボールバルブの回転動作に伴って回転することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、駆動源の駆動作用下にシャフト軸に連結されたボールバルブが回転することにより、ボディ本体における流体流入口に供給された流体の流体流出口側への流通状態を切り換える。この際、ボールバルブの外周面に当接したシート部材は、前記ボールバルブが回転することにより回転変位することとなる。
【0009】
従って、流体の流通状態を切り換えるためにボールバルブを回転させる際、その回転動作に伴ってシート部材を、流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方において回転変位させることができるため、前記シート部材において前記ボールバルブの当接部位が常に同一位置となることが回避され、該シート部材の周方向に沿って均等に当接させることができる。その結果、ボールバルブの当接によるシート部材の摩耗を該シート部材の周方向に沿って略均等とすることができるため、前記シート部材の偏摩耗が防止され、該偏摩耗を起因とした前記ボールバルブとシート部材との間を介した流体の漏出を確実に防止することができる。また、シート部材の偏摩耗が防止されるため、その交換サイクルを延ばすことも可能となる。
【0010】
また、シート部材の回転方向を、その回転中心が前記ボールバルブの回転中心に対して直交させるとよい。
【0011】
さらに、ボールバルブの外周面には、シート部材に臨み、前記シート部材に対する接触抵抗の異なる第1接触部と第2接触部を形成するとよい。
【0012】
さらにまた、第1及び第2接触部は、貫通孔の中心を通る基線を境として分割して形成するとよい。
【0013】
またさらに、第1及び第2接触部は、シート部材に対して接触する接触面積が異なるように設定するとよい。
【0014】
また、第1接触部及び第2接触部のいずれか一方に、ボールバルブの外周半径に対して大きな半径で形成された湾曲部を設けるとよい。
【0015】
さらに、第1接触部及び第2接触部のいずれか一方に、ボールバルブの外周面に対して窪んだ窪み部を設けるとよい。
【0016】
さらにまた、第1及び第2接触部は、シート部材に対して接触する接触面の表面粗さが異なるように設定するとよい。
【0017】
またさらに、流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方とシート部材との間に、該シート部材の回転変位を促進する回転促進手段を設けるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
すなわち、ボールバルブを回転させ流体の流通状態を切り換える際、その回転動作に伴って、流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方においてシート部材を回転変位させることが可能となる。その結果、シート部材においてボールバルブの当接部位が常に同一位置となることが回避され、該シート部材の周方向に沿って均等に当接させることができるため、前記シート部材の偏摩耗が防止され、該偏摩耗を起因とした前記ボールバルブとシート部材との間からの流体の漏出を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る流路開閉弁の一部断面斜視図である。
【図2】図1に示す流路開閉弁の一部断面分解斜視図である。
【図3】図1に示す流路開閉弁の縦断面図である。
【図4】ボールバルブ及びシャフト軸の外観斜視図である。
【図5】図4に示すボールバルブ及びシャフト軸の一部省略正面図である。
【図6】図3の流路開閉弁の弁開状態を示す縦断面図である。
【図7】図6のボールバルブ近傍を示す拡大断面図である。
【図8】変形例に係る流路開閉弁を構成し、複数の切欠部を有したボールバルブ及びシャフト軸の外観斜視図である。
【図9】図8に示すボールバルブ及びシャフト軸の一部省略正面図である。
【図10】図8のボールバルブを通じてガス流入口とガス流出口とが連通した弁開状態において、前記ボールバルブ及び第2バルブシート近傍を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る流路開閉弁を構成するボールバルブ及びシャフト軸の外観斜視図である。
【図12】図11に示すボールバルブ及びシャフト軸の一部省略正面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る流路開閉弁において、ボールバルブを通じてガス流入口とガス流出口とが連通した弁開状態における前記ボールバルブ及び第2バルブシート近傍を示した拡大断面図である。
【図14】第2バルブシートの外周側に軸受を設けた変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る流路開閉弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0022】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る流路開閉弁を示す。
【0023】
流路開閉弁10は、図1〜図7に示されるように、ボディ本体12と、該ボディ本体12の内部に回動自在に設けられるボールバルブ14と、前記ボールバルブ14の外周面14aに当接する第1及び第2バルブシート16、18と、前記ボディ本体12の上部に設けられ、前記ボールバルブ14に対して回転駆動力を付与する駆動力伝達機構20とを有する。
【0024】
このボディ本体12の下側には、例えば、気化した燃料を含むガスの供給されるガス流入口22と、その反対側に設けられ、前記ガスを導出して内燃機関(図示せず)へと循環させるガス流出口24が設けられている。なお、ボディ本体12において、ガス流入口22とガス流出口24とは略一直線上に設けられる。また、ボディ本体12には、ガス流入口22とガス流出口24との間に連通室(室)26が形成され、この連通室26の内部に略球状のボールバルブ14が回動自在に配設される。
【0025】
この連通室26とガス流入口22との間には、リング状の第1バルブシート16が設けられ、前記第1バルブシート16は、前記ガス流入口22より拡径した環状の第1装着溝28に装着されている。すなわち、第1バルブシート16は、その一端面が連通室26に臨んでボールバルブ14の外周面14aに当接し、他側面がガス流入口22に臨むように配設されている。
【0026】
第1バルブシート16には、中心部にガス流入口22と連通する第1連通孔30が形成され軸線方向(矢印A、B方向)に沿って貫通すると共に、該第1バルブシート16の一端面には、ボールバルブ14の当接する第1シート面32が形成される。第1シート面32は、ボールバルブ14から離間する方向(矢印A方向)に向かって断面円弧状に窪んで形成され、且つ、第1連通孔30の中心線を中心とした断面形状が、ボールバルブ14の外周面14aに対応した所定半径で形成されると共に、周方向に沿って同一の断面形状で形成される。換言すれば、第1シート面32の表面積は、第1バルブシート16の軸線を中心として周方向に沿って均一となるように形成される。
【0027】
一方、第1バルブシート16の他側面には、ボディ本体12との間にスプリング34が介装され、前記第1バルブシート16を常にボールバルブ14側(矢印B方向)に向かって付勢している。
【0028】
一方、連通室26とガス流出口24との間には、リング状の第2バルブシート18が設けられ、前記第2バルブシート18は、前記ガス流出口24と前記連通室26との間に形成された環状の第2装着溝36に装着されている。第2バルブシート18は、第2装着溝36に対して回転自在に設けられ、その一端面が連通室26に臨んでボールバルブ14の外周面14aに当接し、他側面がガス流出口24に臨むように配設されている。なお、第2バルブシート18は、連通室26を中心として第1バルブシート16と同軸上に設けられる。
【0029】
この第2バルブシート18には、中心部にガス流出口24と連通する第2連通孔38が形成され軸線方向(矢印A、B方向)に沿って貫通している。また、第2バルブシート18の一端面は、ボールバルブ14の当接する第2シート面40が形成される。第2シート面40は、一端面から他端面側に向かって断面円弧状に窪んで形成されると共に、第2連通孔38の中心線を中心とした断面形状が周方向に沿って同一形状で形成される。換言すれば、第2シート面40の表面積は、第2バルブシート18の軸線を中心として周方向に沿って均一となるように形成される。
【0030】
一方、第2バルブシート18の他端面は、略平面状に形成され、図示しない配管等がガス流出口24に対して接続されることにより、該配管等の端部によって第2装着溝36内における軸線方向(矢印A、B方向)への変位が規制される。
【0031】
ボールバルブ14は、中心軸に直交するように一方の曲面と他方の曲面が取り除かれ、該中心軸に沿って一方の面から他方の面へと貫通する貫通孔42の形成された球体である。
【0032】
このボールバルブ14の外周面14aには、貫通孔42の両端部が開口した一対の開口部44a、44bが形成され、その半径外方向となる位置に環状の第1及び第2シート部46、48が前記外周面14aに沿ってそれぞれ形成される。ボールバルブ14の貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24と一直線上に配置された弁開状態において(図6参照)、この第1シート部46が、第1バルブシート16に当接し、一方、第2シート部48が、第2バルブシート18へと当接する。
【0033】
第1及び第2シート部46、48は、貫通孔42の中心Cを通る水平線(基線)Dを境として上部側(矢印E方向)に形成される上部シート(第1接触部)50と、前記水平線Dを境として下部側(矢印F方向)に形成される下部シート(第2接触部)52とを含む。
【0034】
また、ボールバルブ14には、第2シート部48における開口部44bの外周側に該ボールバルブ14の外周面14aより大きな半径で形成され、且つ、水平線Dを境とした上部側(矢印E方向)のみに湾曲部54が形成される。すなわち、湾曲部54は、図5に示されるように、ボールバルブ14を貫通孔42の開口部44b側から見た場合に、該貫通孔42の上部側を覆うように約180°となる半円状に形成される。
【0035】
このように、ボールバルブ14における他方の面において、上部シート50に臨む位置に湾曲部54を設けることによって、第2シート部48における前記上部シート50の表面積G1が、下部シート52の表面積G2に対して小さくなる(G1<G2)。
【0036】
すなわち、第2シート部48は、第2バルブシート18に当接する際、第2シート面40に対する上部シート50の接触面積H1が、下部シート52との接触面積H2に対して小さくなる(H1<H2)。
【0037】
一方、第1シート部46には、湾曲部54が設けられていないため、上部シート50と下部シート52の表面積がそれぞれ略同一となり、前記第1シート部46が第1バルブシート16に当接した際、第1シート面32に対する上部シート50と下部シート52の接触面積が略同一となる(H1≒H2)。
【0038】
ボールバルブ14の頂部には、断面長方形状で窪んだ凹部56が形成され、前記凹部56には、後述するシャフト軸58の端部が挿入される。この凹部56は、貫通孔42の軸線と直交方向に延在している。
【0039】
駆動力伝達機構20は、ボールバルブ14の頂部に連結されるシャフト軸58と、前記シャフト軸58の上端部に連結される回転ヨーク60と、ボディ本体12の上部に連結され、前記回転ヨーク60を介して前記シャフト軸58を回転駆動させる駆動源62とを含む。
【0040】
シャフト軸58は、ボディ本体12の内部に設けられた一組の軸受64a、64bによって回転自在に支持され、その下端部が断面長方形状に形成され連通室26内においてボールバルブ14の凹部56に挿入される。また、シャフト軸58の上端部は、回転ヨーク60の略中央部に挿通されてナット66を締め付けることによって固定されている。
【0041】
駆動源62は、例えば、通電作用下に回転駆動するステッピングモータやロータリーアクチュエータからなり、その回転駆動力が回転ヨーク60を介してシャフト軸58へと伝達されることにより、前記シャフト軸58に連結されたボールバルブ14が所定方向に回動動作する。
【0042】
本発明の第1の実施の形態に係る流路開閉弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、図1及び図3に示されるように、ボールバルブ14の貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24に対して直交する位置となり、第1及び第2バルブシート16、18の第1及び第2連通孔30、38がいずれも該ボールバルブ14によって閉塞された弁閉状態を初期位置として説明する。
【0043】
上述した初期位置では、図示しないガスがガス流入口22へと供給されているが、第1バルブシート16の第1シート面32にボールバルブ14が当接しているため、該第1バルブシート16を通じて前記ガスの連通室26内への流通が遮断された弁閉状態にある。なお、第2バルブシート18の第2シート面40にも同様に、ボールバルブ14が当接しているため、ガス流出口24と連通室26内との連通も遮断されている。
【0044】
先ず、駆動源62が付勢されることによって回転ヨーク60を介してシャフト軸58に回転駆動力が伝達され、貫通孔42の開口部44a、44bがそれぞれガス流入口22及びガス流出口24に接近するようにボールバルブ14が回転する。そして、図6及び図7に示されるように、ボールバルブ14の回動作用下に貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24と一直線上となることにより、前記貫通孔42を通じてガス流入口22とガス流出口24とが連通した弁開状態となる。これにより、ガス流入口22に供給されているガスが、ボールバルブ14の貫通孔42を通じてガス流出口24側へと流通して図示しない内燃機関へと導入される。
【0045】
また、ボールバルブ14の第1シート部46には、第1バルブシート16の上部シート50及び下部シート52が当接しているため、前記ボールバルブ14と第1バルブシート16との間を通じたガスの漏出が防止される。一方、ボールバルブ14の第2シート部48には、第2バルブシート18の上部シート50及び下部シート52が当接しているため、前記ボールバルブ14と第2バルブシート18との間を通じたガスの漏出が防止される。
【0046】
この際、ボールバルブ14の第2シート部48は、その上部シート50が下部シート52に対して小さな接触面積(H1<H2)で当接した状態にある(図7参照)。
【0047】
一方、流路開閉弁10を弁閉状態にする場合には、駆動源62に入力されている制御信号を前記とは逆転させることにより、前記駆動源62からシャフト軸58へと伝達される回転駆動力の伝達方向が反転し、ボールバルブ14が前記シャフト軸58を中心として前記とは反対方向に回動する。
【0048】
この際、ボールバルブ14が回動することに伴って第2バルブシート18に対する接触面積が異なる上部シート50と下部シート52との間で摺動抵抗が異なり、接触面積が大きく摺動抵抗の大きな下部シート52に当接した第2バルブシート18の下部側と、該接触面積が小さく前記摺動抵抗の小さな上部シート50に当接した第2バルブシート18の上部側との間に生じた摺動抵抗の差によって回転力が生じる。
【0049】
詳細には、図5に示されるように、ボールバルブ14を第2シート部48側から見た場合において、貫通孔42の開口部44bが左側に向かうように回動する際、前記ボールバルブ14との間の摺動抵抗の大きな第2バルブシート18の下部側が、該ボールバルブ14の回動に伴って時計回り方向(矢印R方向)に引張される。換言すれば、第2バルブシート18には、ボールバルブ14の回動に伴って時計回り方向(矢印R方向)への回転力が付与される。
【0050】
これにより、ボールバルブ14が回動することによって第2バルブシート18が第2装着溝36の内周面に沿って所定角度だけ回転することとなる。この際、第2バルブシート18の回転方向は、その回転中心がボールバルブ14の回転中心に対して直交するように回転する。
【0051】
そして、ボールバルブ14の貫通孔42が、ガス流入口22及びガス流出口24の軸線と略直交する位置まで回動することにより、該ボールバルブ14の外周面14aによって第1及び第2バルブシート16、18の第1及び第2連通孔30、38の連通が遮断された弁閉状態となり、該ボールバルブ14の回動動作が停止する。これに伴って、第2シートバルブの回転動作も停止することとなる。これにより、ガス流入口22とガス流出口24との連通が遮断され、該ガス流入口22に供給されているガスのガス流出口24側への流通が阻止された初期位置となる。
【0052】
以上のように、第1の実施の形態では、駆動源62の駆動作用下に回転変位するボールバルブ14を備え、該ボールバルブ14には、その貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24を連通する弁開状態において、第2バルブシート18に当接する第2シート部48を有している。そして、ボールバルブ14の第2シート部48において、貫通孔42の中心Cを通る水平線Dを境として上側となる位置に、前記ボールバルブ14の外周面14aに対して大きな半径で形成された湾曲部54を設けることによって、前記水平線Dより上側となる上部シート50が、該水平線Dの下側となる下部シート52に対して第2バルブシート18との接触面積が小さくなるように設定される(H1<H2)。
【0053】
すなわち、ボールバルブ14において、貫通孔42の軸線上を通る水平線Dに対して上部側となる上部シート50と、下部側となる下部シート52との間で、第2バルブシート18との接触面積H1、H2が異なるように設定している。
【0054】
これにより、ボールバルブ14を回動させる際に、その回動動作に伴って上部シート50と下部シート52との接触面積差に起因した回転力が生じるため、第2バルブシート18を第2装着溝36の内周面に沿って回転させることができる。そのため、第2バルブシート18において、ボールバルブ14が当接する第2シート面40の当接位置が常に同一位置となることが回避され、該第2シート面40の周方向に沿って均等に当接させることが可能となる。
【0055】
その結果、ボールバルブ14の摺接による第2シート面40の摩耗を該第2シート面40の周方向に沿って略均等とすることができるため、第2バルブシート18の偏摩耗が防止され、それに伴って、該偏摩耗を起因とした前記ボールバルブ14と第2バルブシート18との間を通じたガスの漏出を確実に防止することができる。
【0056】
また、第2バルブシート18の偏摩耗が防止されるため、該第2バルブシート18の交換サイクルを延ばすことが可能となる。
【0057】
なお、ボールバルブ14における上部シート50と下部シート52の表面積を異ならせる構成は、上述したように半円状の湾曲部54を設ける場合に限定されるものではなく、例えば、図8及び図9に示されるように、ボールバルブ80の外周面80aに対して貫通孔42の開口部44bに沿って複数(例えば、3個)の切欠部82a〜82cを設けるようにしてもよい。この切欠部82a〜82cは、ボールバルブ80の外周面80aに対して所定深さで窪んだ断面三角形状に形成されると共に、第2シート部48における上部シート50の範囲内に設けられる。また、切欠部82a〜82cは、貫通孔42の周方向に沿って互いに等間隔離間するように設けられる。
【0058】
このようにボールバルブ80の外周面80aに複数の切欠部82a〜82cを設けた場合には、該切欠部82a〜82cの数量、形状等を変更することにより、第2バルブシート18に対する第2シート部48の上部シート50の接触面積を簡単に変更することが可能となる。その結果、第2バルブシート18に対するボールバルブ80の上部シート50と下部シート52との接触面積を容易に異ならせ、前記第2バルブシート18を前記ボールバルブ80の回動作用下に確実且つ容易に回転させることができる。
【0059】
すなわち、切欠部82a〜82cの数量を増加、又は、該切欠部82a〜82cの形状を大型化させた場合には、第2バルブシート18に対する上部シート50の接触面積がより小さくなり、それに伴って、下部シート52との接触面積の差を大きく設定することが可能となり、反対に、前記切欠部82a〜82cの数量を減少、又は、該切欠部82a〜82cの形状を小型化させた場合には、第2バルブシート18に対する上部シート50の接触面積がより大きくなり、下部シート52との接触面積の差を小さく設定することが可能となる。
【0060】
次に、第2の実施の形態に係る流路開閉弁100を図11及び図12に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る流路開閉弁10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0061】
この第2の実施の形態に係る流路開閉弁100では、例えば、ボールバルブ102において第2シート部104における下部シート106の表面粗さK1を、上部シート108の表面粗さK2に対して大きく設定している(K1>K2)点で、第1の実施の形態に係る流路開閉弁10と相違している。このボールバルブ102における下部シート106には、例えば、サンドブラスト等の加工が施され、その表面粗さが上部シート108と比較して大きくなるように形成される。
【0062】
上述したように、第2の実施の形態に係る流路開閉弁100では、ボールバルブ102における第2シート部104の上部シート108と下部シート106とを異なる表面粗さで形成することにより、該ボールバルブ102を回動させた際に、その表面粗さの差に応じて第2バルブシート18を回転させることが可能となる。その結果、第2バルブシート18の偏摩耗を、上部及び下部シート108、106の表面粗さを別個に設定するという簡便な構成で、確実に防止することができると共に、低コストで実現することができる。
【0063】
また、ボールバルブ102を形成する際、下部シート106のみに加工を行わずに素材面とし、上部シート108を含むその他の部位に加工を行うことによっても表面粗さを異なるように設定可能である。この場合には、下部シート106に対する加工が不要となるため、加工コストを低減することが可能となる。
【0064】
なお、上述したように下部シート106の表面粗さK1が、上部シート108の表面粗さK2に対して大きく設定される場合に限定されず、反対に、前記上部シート108の表面粗さK2が、前記下部シート106の表面粗さK1に対して大きく設定されるようにしてもよい(K1<K2)。
【0065】
次に、第3の実施の形態に係る流路開閉弁150を図13及び図14に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る流路開閉弁10、100と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
この第3の実施の形態に係る流路開閉弁150では、図13に示されるように、第2バルブシート18の外周面と第2装着溝36との間に潤滑剤152(例えば、グリス)が塗布されており、前記第2装着溝36との間の摩擦抵抗が低減され回転自在に設けられている。そして、ボールバルブ14がシャフト軸58の回転作用下に回動することにより、該ボールバルブ14の回転に伴って第2バルブシート18をより一層円滑に回転させることができる。
【0067】
また、第2バルブシート18と第2装着溝36との間に潤滑剤152を塗布する代わりに、図14に示されるように、該第2装着溝36に対して軸受154を装着し、前記軸受154を介して前記第2バルブシート18の外周面を保持するようにしてもよい。この場合も、ボールバルブ14がシャフト軸58の回転作用下に回動することにより、該ボールバルブ14の回転に伴って第2バルブシート18をさらに一層円滑に回転させることができる。
【0068】
すなわち、第2装着溝36に設けられた潤滑剤152又は軸受154は、第2バルブシート18をより一層円滑に回転変位させるための回転促進手段として機能し、このような潤滑剤152又は軸受154を用いることによって第2バルブシート18に生じる偏摩耗を確実に防止することができる。
【0069】
なお、上述した説明では、第2バルブシート18の設けられる第2装着溝36に対して潤滑剤152若しくは軸受154を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2装着溝36の代わりに第1装着溝28に対して前記潤滑剤152若しくは軸受154を設け、第1バルブシート16を回転させるようにしてもよいし、前記第1及び第2装着溝28、36の双方に前記潤滑剤152若しくは軸受154を設けて前記第1及び第2バルブシート16、18を共に円滑に回転させるようにしてもよい。
【0070】
また、上述した第1〜第3の実施の形態に係る流路開閉弁10、100、150においては、第2バルブシート18に当接する第2シート部48における上部シート50と下部シート52との間に接触面積の差を設ける構成としているがこれに限定されるものではなく、例えば、前記第2シート部48の代わりに、第1シート部46における上部シート50と下部シート52との間に接触面積の差を設け、第1バルブシート16を回転させる構成としてもよいし、前記第1及び第2シート部46、48のいずれの上部シート50及び下部シート52との間に接触面積の差を設け、第1及び第2バルブシート16、18を共に回転させる構成としてもよい。
【0071】
さらに、ボールバルブ14、80、102における上部シート50と下部シート52との間に表面積の差、若しくは、表面粗さの差を設ける代わりに、例えば、前記ボールバルブ14、80、102が当接する第1及び第2バルブシート16、18において、第1及び第2シート面32、40の上部側と下部側とで表面積の差をそれぞれ設けるようにしてもよい。この場合にも、ボールバルブ14、80、102と第1及び第2バルブシート16、18との間で、周方向に沿って接触面積の差が生じるため、前記ボールバルブ14、80、102の回動作用下に前記第1及び第2バルブシート16、18を回転させることが可能となる。
【0072】
また、上述した第1〜第3の実施の形態に係る流路開閉弁10、100、150において、さらなるシール性の向上を図るために、例えば、第1バルブシート16及び第2バルブシート18の少なくともいずれか一方の外周面に、Oリング等の弾性部材を設けるようにしてもよい。これにより、第1バルブシート16及び第2バルブシート18の少なくともいずれか一方がボディ本体12の内部で回転する際、前記第1バルブシート16及び第2バルブシート18と前記ボディ本体12との間を通じた圧力流体の漏出が弾性部材によってより一層確実に阻止される。
【0073】
さらに、流路開閉弁10、100、150では、ボールバルブ14、80、102の回転に伴って第1バルブシート16及び又は第2バルブシート18を回転させる際、該ボールバルブ14、80、102の回転量(回転角度)と、第1バルブシート16及び又は第2バルブシート18の回転量(回転角度)とが必ずしも一致しなくてもよい。例えば、ボールバルブ14、80、102の回転に対して若干だけ遅れて第1バルブシート16及び又は第2バルブシート18が回転させてもよい。
【0074】
なお、本発明に係る流路開閉弁は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0075】
10、100、150…流路開閉弁 12…ボディ本体
14、80、102…ボールバルブ 16…第1バルブシート
18…第2バルブシート 20…駆動力伝達機構
26…連通室 42…貫通孔
44a、44b…開口部 46…第1シート部
48、104…第2シート部 50、108…上部シート
52、106…下部シート 54…湾曲部
58…シャフト軸 62…駆動源
64a、64b、154…軸受 82a〜82c…切欠部
152…潤滑剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通する流路を開閉することにより該流体の流通状態を切り換える流路開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、流体の流通する流路に接続され、該流路の連通状態を切り換えることによって前記流体の流通状態を制御する流路開閉弁が知られている。このような流路開閉弁は、弁本体の内部にボール弁が設けられ、該ボール弁の上部に連結された連結軸が回転することにより、前記ボール弁の貫通孔が前記弁本体に形成された一対の通路を互いに連通させる。また、一対の通路の端部には、それぞれ環状の弁座部材が設けられ、ボール弁の周面に摺接しているため、該周面と通路との間を通じた流体の漏れが防止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−234104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような流路開閉弁では、流路を開閉させる際にボール弁が回転するため、該ボール弁の周面と摺接している弁座部材が、該周面との摺接部位に磨耗が生じることとなる。この弁座部材では、回転軸と略平行となる上側及び下側においてより多くの摩耗が発生するため、前記弁座部材の周方向に沿った摩耗度合いが均等にならずに偏摩耗となる。
【0005】
その結果、流路開閉弁を長期間使用し続けた場合に、偏磨耗に起因してボール弁と弁座部材との間に隙間が生じ、流体が前記隙間を通じて漏出することが懸念される。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、ボールバルブの着座するシート部材の偏摩耗を抑制し、前記ボールバルブとシート部材との間において常に安定したシール性を得ることが可能な流路開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、貫通孔を設けたボールバルブと、
前記ボールバルブを回転自在に収容する室と、流体の供給される流体流入口と、該流体の排出される流体流出口とを有するボディ本体と、
前記ボールバルブを前記室内で回転させて前記流体流入口と前記流体流出口との連通状態を切り換えるシャフト軸と、
前記シャフト軸を回転させる駆動源と、
前記流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方に回転自在に設けられ、前記ボールバルブの外周面に当接するシート部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記ボールバルブの回転動作に伴って回転することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、駆動源の駆動作用下にシャフト軸に連結されたボールバルブが回転することにより、ボディ本体における流体流入口に供給された流体の流体流出口側への流通状態を切り換える。この際、ボールバルブの外周面に当接したシート部材は、前記ボールバルブが回転することにより回転変位することとなる。
【0009】
従って、流体の流通状態を切り換えるためにボールバルブを回転させる際、その回転動作に伴ってシート部材を、流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方において回転変位させることができるため、前記シート部材において前記ボールバルブの当接部位が常に同一位置となることが回避され、該シート部材の周方向に沿って均等に当接させることができる。その結果、ボールバルブの当接によるシート部材の摩耗を該シート部材の周方向に沿って略均等とすることができるため、前記シート部材の偏摩耗が防止され、該偏摩耗を起因とした前記ボールバルブとシート部材との間を介した流体の漏出を確実に防止することができる。また、シート部材の偏摩耗が防止されるため、その交換サイクルを延ばすことも可能となる。
【0010】
また、シート部材の回転方向を、その回転中心が前記ボールバルブの回転中心に対して直交させるとよい。
【0011】
さらに、ボールバルブの外周面には、シート部材に臨み、前記シート部材に対する接触抵抗の異なる第1接触部と第2接触部を形成するとよい。
【0012】
さらにまた、第1及び第2接触部は、貫通孔の中心を通る基線を境として分割して形成するとよい。
【0013】
またさらに、第1及び第2接触部は、シート部材に対して接触する接触面積が異なるように設定するとよい。
【0014】
また、第1接触部及び第2接触部のいずれか一方に、ボールバルブの外周半径に対して大きな半径で形成された湾曲部を設けるとよい。
【0015】
さらに、第1接触部及び第2接触部のいずれか一方に、ボールバルブの外周面に対して窪んだ窪み部を設けるとよい。
【0016】
さらにまた、第1及び第2接触部は、シート部材に対して接触する接触面の表面粗さが異なるように設定するとよい。
【0017】
またさらに、流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方とシート部材との間に、該シート部材の回転変位を促進する回転促進手段を設けるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
すなわち、ボールバルブを回転させ流体の流通状態を切り換える際、その回転動作に伴って、流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方においてシート部材を回転変位させることが可能となる。その結果、シート部材においてボールバルブの当接部位が常に同一位置となることが回避され、該シート部材の周方向に沿って均等に当接させることができるため、前記シート部材の偏摩耗が防止され、該偏摩耗を起因とした前記ボールバルブとシート部材との間からの流体の漏出を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る流路開閉弁の一部断面斜視図である。
【図2】図1に示す流路開閉弁の一部断面分解斜視図である。
【図3】図1に示す流路開閉弁の縦断面図である。
【図4】ボールバルブ及びシャフト軸の外観斜視図である。
【図5】図4に示すボールバルブ及びシャフト軸の一部省略正面図である。
【図6】図3の流路開閉弁の弁開状態を示す縦断面図である。
【図7】図6のボールバルブ近傍を示す拡大断面図である。
【図8】変形例に係る流路開閉弁を構成し、複数の切欠部を有したボールバルブ及びシャフト軸の外観斜視図である。
【図9】図8に示すボールバルブ及びシャフト軸の一部省略正面図である。
【図10】図8のボールバルブを通じてガス流入口とガス流出口とが連通した弁開状態において、前記ボールバルブ及び第2バルブシート近傍を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る流路開閉弁を構成するボールバルブ及びシャフト軸の外観斜視図である。
【図12】図11に示すボールバルブ及びシャフト軸の一部省略正面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る流路開閉弁において、ボールバルブを通じてガス流入口とガス流出口とが連通した弁開状態における前記ボールバルブ及び第2バルブシート近傍を示した拡大断面図である。
【図14】第2バルブシートの外周側に軸受を設けた変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る流路開閉弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0022】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る流路開閉弁を示す。
【0023】
流路開閉弁10は、図1〜図7に示されるように、ボディ本体12と、該ボディ本体12の内部に回動自在に設けられるボールバルブ14と、前記ボールバルブ14の外周面14aに当接する第1及び第2バルブシート16、18と、前記ボディ本体12の上部に設けられ、前記ボールバルブ14に対して回転駆動力を付与する駆動力伝達機構20とを有する。
【0024】
このボディ本体12の下側には、例えば、気化した燃料を含むガスの供給されるガス流入口22と、その反対側に設けられ、前記ガスを導出して内燃機関(図示せず)へと循環させるガス流出口24が設けられている。なお、ボディ本体12において、ガス流入口22とガス流出口24とは略一直線上に設けられる。また、ボディ本体12には、ガス流入口22とガス流出口24との間に連通室(室)26が形成され、この連通室26の内部に略球状のボールバルブ14が回動自在に配設される。
【0025】
この連通室26とガス流入口22との間には、リング状の第1バルブシート16が設けられ、前記第1バルブシート16は、前記ガス流入口22より拡径した環状の第1装着溝28に装着されている。すなわち、第1バルブシート16は、その一端面が連通室26に臨んでボールバルブ14の外周面14aに当接し、他側面がガス流入口22に臨むように配設されている。
【0026】
第1バルブシート16には、中心部にガス流入口22と連通する第1連通孔30が形成され軸線方向(矢印A、B方向)に沿って貫通すると共に、該第1バルブシート16の一端面には、ボールバルブ14の当接する第1シート面32が形成される。第1シート面32は、ボールバルブ14から離間する方向(矢印A方向)に向かって断面円弧状に窪んで形成され、且つ、第1連通孔30の中心線を中心とした断面形状が、ボールバルブ14の外周面14aに対応した所定半径で形成されると共に、周方向に沿って同一の断面形状で形成される。換言すれば、第1シート面32の表面積は、第1バルブシート16の軸線を中心として周方向に沿って均一となるように形成される。
【0027】
一方、第1バルブシート16の他側面には、ボディ本体12との間にスプリング34が介装され、前記第1バルブシート16を常にボールバルブ14側(矢印B方向)に向かって付勢している。
【0028】
一方、連通室26とガス流出口24との間には、リング状の第2バルブシート18が設けられ、前記第2バルブシート18は、前記ガス流出口24と前記連通室26との間に形成された環状の第2装着溝36に装着されている。第2バルブシート18は、第2装着溝36に対して回転自在に設けられ、その一端面が連通室26に臨んでボールバルブ14の外周面14aに当接し、他側面がガス流出口24に臨むように配設されている。なお、第2バルブシート18は、連通室26を中心として第1バルブシート16と同軸上に設けられる。
【0029】
この第2バルブシート18には、中心部にガス流出口24と連通する第2連通孔38が形成され軸線方向(矢印A、B方向)に沿って貫通している。また、第2バルブシート18の一端面は、ボールバルブ14の当接する第2シート面40が形成される。第2シート面40は、一端面から他端面側に向かって断面円弧状に窪んで形成されると共に、第2連通孔38の中心線を中心とした断面形状が周方向に沿って同一形状で形成される。換言すれば、第2シート面40の表面積は、第2バルブシート18の軸線を中心として周方向に沿って均一となるように形成される。
【0030】
一方、第2バルブシート18の他端面は、略平面状に形成され、図示しない配管等がガス流出口24に対して接続されることにより、該配管等の端部によって第2装着溝36内における軸線方向(矢印A、B方向)への変位が規制される。
【0031】
ボールバルブ14は、中心軸に直交するように一方の曲面と他方の曲面が取り除かれ、該中心軸に沿って一方の面から他方の面へと貫通する貫通孔42の形成された球体である。
【0032】
このボールバルブ14の外周面14aには、貫通孔42の両端部が開口した一対の開口部44a、44bが形成され、その半径外方向となる位置に環状の第1及び第2シート部46、48が前記外周面14aに沿ってそれぞれ形成される。ボールバルブ14の貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24と一直線上に配置された弁開状態において(図6参照)、この第1シート部46が、第1バルブシート16に当接し、一方、第2シート部48が、第2バルブシート18へと当接する。
【0033】
第1及び第2シート部46、48は、貫通孔42の中心Cを通る水平線(基線)Dを境として上部側(矢印E方向)に形成される上部シート(第1接触部)50と、前記水平線Dを境として下部側(矢印F方向)に形成される下部シート(第2接触部)52とを含む。
【0034】
また、ボールバルブ14には、第2シート部48における開口部44bの外周側に該ボールバルブ14の外周面14aより大きな半径で形成され、且つ、水平線Dを境とした上部側(矢印E方向)のみに湾曲部54が形成される。すなわち、湾曲部54は、図5に示されるように、ボールバルブ14を貫通孔42の開口部44b側から見た場合に、該貫通孔42の上部側を覆うように約180°となる半円状に形成される。
【0035】
このように、ボールバルブ14における他方の面において、上部シート50に臨む位置に湾曲部54を設けることによって、第2シート部48における前記上部シート50の表面積G1が、下部シート52の表面積G2に対して小さくなる(G1<G2)。
【0036】
すなわち、第2シート部48は、第2バルブシート18に当接する際、第2シート面40に対する上部シート50の接触面積H1が、下部シート52との接触面積H2に対して小さくなる(H1<H2)。
【0037】
一方、第1シート部46には、湾曲部54が設けられていないため、上部シート50と下部シート52の表面積がそれぞれ略同一となり、前記第1シート部46が第1バルブシート16に当接した際、第1シート面32に対する上部シート50と下部シート52の接触面積が略同一となる(H1≒H2)。
【0038】
ボールバルブ14の頂部には、断面長方形状で窪んだ凹部56が形成され、前記凹部56には、後述するシャフト軸58の端部が挿入される。この凹部56は、貫通孔42の軸線と直交方向に延在している。
【0039】
駆動力伝達機構20は、ボールバルブ14の頂部に連結されるシャフト軸58と、前記シャフト軸58の上端部に連結される回転ヨーク60と、ボディ本体12の上部に連結され、前記回転ヨーク60を介して前記シャフト軸58を回転駆動させる駆動源62とを含む。
【0040】
シャフト軸58は、ボディ本体12の内部に設けられた一組の軸受64a、64bによって回転自在に支持され、その下端部が断面長方形状に形成され連通室26内においてボールバルブ14の凹部56に挿入される。また、シャフト軸58の上端部は、回転ヨーク60の略中央部に挿通されてナット66を締め付けることによって固定されている。
【0041】
駆動源62は、例えば、通電作用下に回転駆動するステッピングモータやロータリーアクチュエータからなり、その回転駆動力が回転ヨーク60を介してシャフト軸58へと伝達されることにより、前記シャフト軸58に連結されたボールバルブ14が所定方向に回動動作する。
【0042】
本発明の第1の実施の形態に係る流路開閉弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、図1及び図3に示されるように、ボールバルブ14の貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24に対して直交する位置となり、第1及び第2バルブシート16、18の第1及び第2連通孔30、38がいずれも該ボールバルブ14によって閉塞された弁閉状態を初期位置として説明する。
【0043】
上述した初期位置では、図示しないガスがガス流入口22へと供給されているが、第1バルブシート16の第1シート面32にボールバルブ14が当接しているため、該第1バルブシート16を通じて前記ガスの連通室26内への流通が遮断された弁閉状態にある。なお、第2バルブシート18の第2シート面40にも同様に、ボールバルブ14が当接しているため、ガス流出口24と連通室26内との連通も遮断されている。
【0044】
先ず、駆動源62が付勢されることによって回転ヨーク60を介してシャフト軸58に回転駆動力が伝達され、貫通孔42の開口部44a、44bがそれぞれガス流入口22及びガス流出口24に接近するようにボールバルブ14が回転する。そして、図6及び図7に示されるように、ボールバルブ14の回動作用下に貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24と一直線上となることにより、前記貫通孔42を通じてガス流入口22とガス流出口24とが連通した弁開状態となる。これにより、ガス流入口22に供給されているガスが、ボールバルブ14の貫通孔42を通じてガス流出口24側へと流通して図示しない内燃機関へと導入される。
【0045】
また、ボールバルブ14の第1シート部46には、第1バルブシート16の上部シート50及び下部シート52が当接しているため、前記ボールバルブ14と第1バルブシート16との間を通じたガスの漏出が防止される。一方、ボールバルブ14の第2シート部48には、第2バルブシート18の上部シート50及び下部シート52が当接しているため、前記ボールバルブ14と第2バルブシート18との間を通じたガスの漏出が防止される。
【0046】
この際、ボールバルブ14の第2シート部48は、その上部シート50が下部シート52に対して小さな接触面積(H1<H2)で当接した状態にある(図7参照)。
【0047】
一方、流路開閉弁10を弁閉状態にする場合には、駆動源62に入力されている制御信号を前記とは逆転させることにより、前記駆動源62からシャフト軸58へと伝達される回転駆動力の伝達方向が反転し、ボールバルブ14が前記シャフト軸58を中心として前記とは反対方向に回動する。
【0048】
この際、ボールバルブ14が回動することに伴って第2バルブシート18に対する接触面積が異なる上部シート50と下部シート52との間で摺動抵抗が異なり、接触面積が大きく摺動抵抗の大きな下部シート52に当接した第2バルブシート18の下部側と、該接触面積が小さく前記摺動抵抗の小さな上部シート50に当接した第2バルブシート18の上部側との間に生じた摺動抵抗の差によって回転力が生じる。
【0049】
詳細には、図5に示されるように、ボールバルブ14を第2シート部48側から見た場合において、貫通孔42の開口部44bが左側に向かうように回動する際、前記ボールバルブ14との間の摺動抵抗の大きな第2バルブシート18の下部側が、該ボールバルブ14の回動に伴って時計回り方向(矢印R方向)に引張される。換言すれば、第2バルブシート18には、ボールバルブ14の回動に伴って時計回り方向(矢印R方向)への回転力が付与される。
【0050】
これにより、ボールバルブ14が回動することによって第2バルブシート18が第2装着溝36の内周面に沿って所定角度だけ回転することとなる。この際、第2バルブシート18の回転方向は、その回転中心がボールバルブ14の回転中心に対して直交するように回転する。
【0051】
そして、ボールバルブ14の貫通孔42が、ガス流入口22及びガス流出口24の軸線と略直交する位置まで回動することにより、該ボールバルブ14の外周面14aによって第1及び第2バルブシート16、18の第1及び第2連通孔30、38の連通が遮断された弁閉状態となり、該ボールバルブ14の回動動作が停止する。これに伴って、第2シートバルブの回転動作も停止することとなる。これにより、ガス流入口22とガス流出口24との連通が遮断され、該ガス流入口22に供給されているガスのガス流出口24側への流通が阻止された初期位置となる。
【0052】
以上のように、第1の実施の形態では、駆動源62の駆動作用下に回転変位するボールバルブ14を備え、該ボールバルブ14には、その貫通孔42がガス流入口22及びガス流出口24を連通する弁開状態において、第2バルブシート18に当接する第2シート部48を有している。そして、ボールバルブ14の第2シート部48において、貫通孔42の中心Cを通る水平線Dを境として上側となる位置に、前記ボールバルブ14の外周面14aに対して大きな半径で形成された湾曲部54を設けることによって、前記水平線Dより上側となる上部シート50が、該水平線Dの下側となる下部シート52に対して第2バルブシート18との接触面積が小さくなるように設定される(H1<H2)。
【0053】
すなわち、ボールバルブ14において、貫通孔42の軸線上を通る水平線Dに対して上部側となる上部シート50と、下部側となる下部シート52との間で、第2バルブシート18との接触面積H1、H2が異なるように設定している。
【0054】
これにより、ボールバルブ14を回動させる際に、その回動動作に伴って上部シート50と下部シート52との接触面積差に起因した回転力が生じるため、第2バルブシート18を第2装着溝36の内周面に沿って回転させることができる。そのため、第2バルブシート18において、ボールバルブ14が当接する第2シート面40の当接位置が常に同一位置となることが回避され、該第2シート面40の周方向に沿って均等に当接させることが可能となる。
【0055】
その結果、ボールバルブ14の摺接による第2シート面40の摩耗を該第2シート面40の周方向に沿って略均等とすることができるため、第2バルブシート18の偏摩耗が防止され、それに伴って、該偏摩耗を起因とした前記ボールバルブ14と第2バルブシート18との間を通じたガスの漏出を確実に防止することができる。
【0056】
また、第2バルブシート18の偏摩耗が防止されるため、該第2バルブシート18の交換サイクルを延ばすことが可能となる。
【0057】
なお、ボールバルブ14における上部シート50と下部シート52の表面積を異ならせる構成は、上述したように半円状の湾曲部54を設ける場合に限定されるものではなく、例えば、図8及び図9に示されるように、ボールバルブ80の外周面80aに対して貫通孔42の開口部44bに沿って複数(例えば、3個)の切欠部82a〜82cを設けるようにしてもよい。この切欠部82a〜82cは、ボールバルブ80の外周面80aに対して所定深さで窪んだ断面三角形状に形成されると共に、第2シート部48における上部シート50の範囲内に設けられる。また、切欠部82a〜82cは、貫通孔42の周方向に沿って互いに等間隔離間するように設けられる。
【0058】
このようにボールバルブ80の外周面80aに複数の切欠部82a〜82cを設けた場合には、該切欠部82a〜82cの数量、形状等を変更することにより、第2バルブシート18に対する第2シート部48の上部シート50の接触面積を簡単に変更することが可能となる。その結果、第2バルブシート18に対するボールバルブ80の上部シート50と下部シート52との接触面積を容易に異ならせ、前記第2バルブシート18を前記ボールバルブ80の回動作用下に確実且つ容易に回転させることができる。
【0059】
すなわち、切欠部82a〜82cの数量を増加、又は、該切欠部82a〜82cの形状を大型化させた場合には、第2バルブシート18に対する上部シート50の接触面積がより小さくなり、それに伴って、下部シート52との接触面積の差を大きく設定することが可能となり、反対に、前記切欠部82a〜82cの数量を減少、又は、該切欠部82a〜82cの形状を小型化させた場合には、第2バルブシート18に対する上部シート50の接触面積がより大きくなり、下部シート52との接触面積の差を小さく設定することが可能となる。
【0060】
次に、第2の実施の形態に係る流路開閉弁100を図11及び図12に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る流路開閉弁10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0061】
この第2の実施の形態に係る流路開閉弁100では、例えば、ボールバルブ102において第2シート部104における下部シート106の表面粗さK1を、上部シート108の表面粗さK2に対して大きく設定している(K1>K2)点で、第1の実施の形態に係る流路開閉弁10と相違している。このボールバルブ102における下部シート106には、例えば、サンドブラスト等の加工が施され、その表面粗さが上部シート108と比較して大きくなるように形成される。
【0062】
上述したように、第2の実施の形態に係る流路開閉弁100では、ボールバルブ102における第2シート部104の上部シート108と下部シート106とを異なる表面粗さで形成することにより、該ボールバルブ102を回動させた際に、その表面粗さの差に応じて第2バルブシート18を回転させることが可能となる。その結果、第2バルブシート18の偏摩耗を、上部及び下部シート108、106の表面粗さを別個に設定するという簡便な構成で、確実に防止することができると共に、低コストで実現することができる。
【0063】
また、ボールバルブ102を形成する際、下部シート106のみに加工を行わずに素材面とし、上部シート108を含むその他の部位に加工を行うことによっても表面粗さを異なるように設定可能である。この場合には、下部シート106に対する加工が不要となるため、加工コストを低減することが可能となる。
【0064】
なお、上述したように下部シート106の表面粗さK1が、上部シート108の表面粗さK2に対して大きく設定される場合に限定されず、反対に、前記上部シート108の表面粗さK2が、前記下部シート106の表面粗さK1に対して大きく設定されるようにしてもよい(K1<K2)。
【0065】
次に、第3の実施の形態に係る流路開閉弁150を図13及び図14に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る流路開閉弁10、100と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
この第3の実施の形態に係る流路開閉弁150では、図13に示されるように、第2バルブシート18の外周面と第2装着溝36との間に潤滑剤152(例えば、グリス)が塗布されており、前記第2装着溝36との間の摩擦抵抗が低減され回転自在に設けられている。そして、ボールバルブ14がシャフト軸58の回転作用下に回動することにより、該ボールバルブ14の回転に伴って第2バルブシート18をより一層円滑に回転させることができる。
【0067】
また、第2バルブシート18と第2装着溝36との間に潤滑剤152を塗布する代わりに、図14に示されるように、該第2装着溝36に対して軸受154を装着し、前記軸受154を介して前記第2バルブシート18の外周面を保持するようにしてもよい。この場合も、ボールバルブ14がシャフト軸58の回転作用下に回動することにより、該ボールバルブ14の回転に伴って第2バルブシート18をさらに一層円滑に回転させることができる。
【0068】
すなわち、第2装着溝36に設けられた潤滑剤152又は軸受154は、第2バルブシート18をより一層円滑に回転変位させるための回転促進手段として機能し、このような潤滑剤152又は軸受154を用いることによって第2バルブシート18に生じる偏摩耗を確実に防止することができる。
【0069】
なお、上述した説明では、第2バルブシート18の設けられる第2装着溝36に対して潤滑剤152若しくは軸受154を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2装着溝36の代わりに第1装着溝28に対して前記潤滑剤152若しくは軸受154を設け、第1バルブシート16を回転させるようにしてもよいし、前記第1及び第2装着溝28、36の双方に前記潤滑剤152若しくは軸受154を設けて前記第1及び第2バルブシート16、18を共に円滑に回転させるようにしてもよい。
【0070】
また、上述した第1〜第3の実施の形態に係る流路開閉弁10、100、150においては、第2バルブシート18に当接する第2シート部48における上部シート50と下部シート52との間に接触面積の差を設ける構成としているがこれに限定されるものではなく、例えば、前記第2シート部48の代わりに、第1シート部46における上部シート50と下部シート52との間に接触面積の差を設け、第1バルブシート16を回転させる構成としてもよいし、前記第1及び第2シート部46、48のいずれの上部シート50及び下部シート52との間に接触面積の差を設け、第1及び第2バルブシート16、18を共に回転させる構成としてもよい。
【0071】
さらに、ボールバルブ14、80、102における上部シート50と下部シート52との間に表面積の差、若しくは、表面粗さの差を設ける代わりに、例えば、前記ボールバルブ14、80、102が当接する第1及び第2バルブシート16、18において、第1及び第2シート面32、40の上部側と下部側とで表面積の差をそれぞれ設けるようにしてもよい。この場合にも、ボールバルブ14、80、102と第1及び第2バルブシート16、18との間で、周方向に沿って接触面積の差が生じるため、前記ボールバルブ14、80、102の回動作用下に前記第1及び第2バルブシート16、18を回転させることが可能となる。
【0072】
また、上述した第1〜第3の実施の形態に係る流路開閉弁10、100、150において、さらなるシール性の向上を図るために、例えば、第1バルブシート16及び第2バルブシート18の少なくともいずれか一方の外周面に、Oリング等の弾性部材を設けるようにしてもよい。これにより、第1バルブシート16及び第2バルブシート18の少なくともいずれか一方がボディ本体12の内部で回転する際、前記第1バルブシート16及び第2バルブシート18と前記ボディ本体12との間を通じた圧力流体の漏出が弾性部材によってより一層確実に阻止される。
【0073】
さらに、流路開閉弁10、100、150では、ボールバルブ14、80、102の回転に伴って第1バルブシート16及び又は第2バルブシート18を回転させる際、該ボールバルブ14、80、102の回転量(回転角度)と、第1バルブシート16及び又は第2バルブシート18の回転量(回転角度)とが必ずしも一致しなくてもよい。例えば、ボールバルブ14、80、102の回転に対して若干だけ遅れて第1バルブシート16及び又は第2バルブシート18が回転させてもよい。
【0074】
なお、本発明に係る流路開閉弁は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0075】
10、100、150…流路開閉弁 12…ボディ本体
14、80、102…ボールバルブ 16…第1バルブシート
18…第2バルブシート 20…駆動力伝達機構
26…連通室 42…貫通孔
44a、44b…開口部 46…第1シート部
48、104…第2シート部 50、108…上部シート
52、106…下部シート 54…湾曲部
58…シャフト軸 62…駆動源
64a、64b、154…軸受 82a〜82c…切欠部
152…潤滑剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を設けたボールバルブと、
前記ボールバルブを回転自在に収容する室と、流体の供給される流体流入口と、該流体の排出される流体流出口とを有するボディ本体と、
前記ボールバルブを前記室内で回転させて前記流体流入口と前記流体流出口との連通状態を切り換えるシャフト軸と、
前記シャフト軸を回転させる駆動源と、
前記流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方に回転自在に設けられ、前記ボールバルブの外周面に当接するシート部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記ボールバルブの回転動作に伴って回転することを特徴とする流路開閉弁。
【請求項2】
請求項1記載の流路開閉弁において、
前記シート部材の回転方向は、その回転中心が前記ボールバルブの回転中心に対して直交することを特徴とする流路開閉弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流路開閉弁において、
前記ボールバルブの外周面には、前記シート部材に臨み、前記シート部材に対する接触抵抗の異なる第1接触部と第2接触部が形成されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項4】
請求項3記載の流路開閉弁において、
前記第1及び第2接触部は、前記貫通孔の中心を通る基線を境として分割して形成されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項5】
請求項3又は4記載の流路開閉弁において、
前記第1及び第2接触部は、前記シート部材に対して接触する接触面積が異なるように設定されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項6】
請求項5記載の流路開閉弁において、
前記第1接触部及び前記第2接触部のいずれか一方には、前記ボールバルブの外周半径に対して大きな半径で形成された湾曲部が設けられることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項7】
請求項5記載の流路開閉弁において、
前記第1接触部及び前記第2接触部のいずれか一方には、前記ボールバルブの外周面に対して窪んだ窪み部が設けられることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項8】
請求項3又は4記載の流路開閉弁において、
前記第1及び第2接触部は、前記シート部材に対して接触する接触面の表面粗さが異なるように設定されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の流路開閉弁において、
前記流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方と前記シート部材との間には、該シート部材の回転変位を促進する回転促進手段が設けられることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項1】
貫通孔を設けたボールバルブと、
前記ボールバルブを回転自在に収容する室と、流体の供給される流体流入口と、該流体の排出される流体流出口とを有するボディ本体と、
前記ボールバルブを前記室内で回転させて前記流体流入口と前記流体流出口との連通状態を切り換えるシャフト軸と、
前記シャフト軸を回転させる駆動源と、
前記流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方に回転自在に設けられ、前記ボールバルブの外周面に当接するシート部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記ボールバルブの回転動作に伴って回転することを特徴とする流路開閉弁。
【請求項2】
請求項1記載の流路開閉弁において、
前記シート部材の回転方向は、その回転中心が前記ボールバルブの回転中心に対して直交することを特徴とする流路開閉弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流路開閉弁において、
前記ボールバルブの外周面には、前記シート部材に臨み、前記シート部材に対する接触抵抗の異なる第1接触部と第2接触部が形成されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項4】
請求項3記載の流路開閉弁において、
前記第1及び第2接触部は、前記貫通孔の中心を通る基線を境として分割して形成されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項5】
請求項3又は4記載の流路開閉弁において、
前記第1及び第2接触部は、前記シート部材に対して接触する接触面積が異なるように設定されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項6】
請求項5記載の流路開閉弁において、
前記第1接触部及び前記第2接触部のいずれか一方には、前記ボールバルブの外周半径に対して大きな半径で形成された湾曲部が設けられることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項7】
請求項5記載の流路開閉弁において、
前記第1接触部及び前記第2接触部のいずれか一方には、前記ボールバルブの外周面に対して窪んだ窪み部が設けられることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項8】
請求項3又は4記載の流路開閉弁において、
前記第1及び第2接触部は、前記シート部材に対して接触する接触面の表面粗さが異なるように設定されることを特徴とする流路開閉弁。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の流路開閉弁において、
前記流体流入口及び流体流出口の少なくともいずれか一方と前記シート部材との間には、該シート部材の回転変位を促進する回転促進手段が設けられることを特徴とする流路開閉弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−202707(P2011−202707A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69157(P2010−69157)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】
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