流量測定装置
【課題】エンジン吸気等の空気流量測定を行う流量測定装置において、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止する。
【解決手段】被測定気体の流量測定を行うセンシング部30と、被測定気体をセンシング部30へ導く導入通路21、100とを備え、導入通路21、100におけるセンシング部30の上流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第1の障害部材50が備えられ、センシング部30の下流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第2の障害部材51が備えられており、被測定気体の流れ方向において第1の障害部材50をその上流側から見たとき、第1の障害部材50によってセンシング部30が隠れており、第2の障害部材51をその下流側から見たとき、第2の障害部材51によってセンシング部30が隠れている
【解決手段】被測定気体の流量測定を行うセンシング部30と、被測定気体をセンシング部30へ導く導入通路21、100とを備え、導入通路21、100におけるセンシング部30の上流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第1の障害部材50が備えられ、センシング部30の下流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第2の障害部材51が備えられており、被測定気体の流れ方向において第1の障害部材50をその上流側から見たとき、第1の障害部材50によってセンシング部30が隠れており、第2の障害部材51をその下流側から見たとき、第2の障害部材51によってセンシング部30が隠れている
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を測定する流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流量測定装置としては、例えば、エンジンの吸気系統における流体通路に取り付けられて、流体通路内の空気流量測定を行うものがある。このような装置は、通常、空気導入用の導入通路と、導入された空気の流量測定を行うセンシング部とを備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、流量測定装置によって測定される空気は、予め上流にてエアフィルタ等により空気中のダストを除去するようにしているが、当該ダストのうち数十μm〜数百μm程度のものはエアフィルタで除去しきれない。そのため、流量測定装置のセンシング部に衝突し、センシング部の破損を招く可能性がある。特に、センシング部として、メンブレン式のフローセンサを用いた場合、薄いメンブレンが破損する可能性が大きい。
【0004】
本発明は上記問題に鑑み、流量測定装置において、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、被測定気体の流量測定を行うセンシング部(30)と、被測定気体をセンシング部へ導く導入通路(21、100)とを備える流量測定装置において、導入通路におけるセンシング部の上流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第1の障害部材(50)が備えられ、センシング部の下流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第2の障害部材(51)が備えられており、被測定気体の流れ方向において第1の障害部材をその上流側から見たとき、第1の障害部材によってセンシング部が隠れており、第2の障害部材をその下流側から見たとき、第2の障害部材によってセンシング部が隠れていることを特徴とする。
【0006】
例えば流量測定装置を自動車の吸気管等に使用する場合には、導入通路内にて逆流が生じるときがある。その場合、センシング部の下流側からもダストが飛来してくることがある。本発明はこのような逆流が発生した場合にも対応可能なものである。
【0007】
本発明によれば、まず、センシング部(30)の上流側に第1の障害部材(50)を配置し、センシング部を隠しているため、センシング部は第1の障害部材の真後ろに配置された形となり、また、第1の障害部材は被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持つため、センシング部は乱れが少なくダストを含まない流れのみにさらされ、ダストを含む流れにはさらされない。
【0008】
そして、本発明ではさらに、センシング部(30)の下流側に第2の障害部材(51)を配置し、センシング部を隠している。そのため、導入通路(21、100)内にて被測定気体が逆流してもセンシング部は第2の障害部材の真後ろに配置された形となり、また、障害部材は被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持つため、センシング部は乱れが少なくダストを含まない流れのみにさらされ、ダストを含む流れにはさらされない。
【0009】
このように、本発明によれば、導入通路内の流れが順流か逆流かに関係なく、センシング部へダストが衝突するのを防止することができるため、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することができる。
【0010】
さらに、センシング部が順流と逆流との流れを測定するものである場合、障害部材がセンシング部の上流側のみにしか無い場合には、順流時と逆流時とで気体の流れ方が大きく異なるという問題がある。このような場合には、センシング部のセンサ特性が順流時と逆流時とで大きく異なるので、検出回路が複雑になる等の問題にもつながる。
【0011】
その点、本発明では、センシング部の上流側と下流側との両方に障害部材を存在させているので、順流時と逆流時とで気体の流れ方を近いものにすることができるという利点もある。
【0012】
さらに、請求項2に記載の発明では、導入通路(21、100)における第1の障害部材(50)の上流側および第2の障害部材(51)の下流側には、被測定気体の流れ方向に略平行な少なくとも2つの面を有する整流板(90)が備えられていることを特徴とする。
【0013】
それによれば、第1、第2の障害部材の前において被測定気体の流れを整えることができ、ダストの流れもそろうので、障害部材にダストが当たりやすくなり好ましい。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、第1および第2の障害部材において、当該障害部材の外面とセンシング部の表面とを結ぶ線とセンシング部の表面とのなす角度のうち最大の角度(θ)が5°以上であることを特徴とする。
【0015】
つまり、本発明は、上記請求項1に記載の流量測定装置において上記最大の角度(θ)を規定したものである。この角度を5°以上とすることは、本発明者らの検討の結果、実験的に好ましい値として見出されたものである。
【0016】
この最大の角度(θ)が大きくなれば、障害部材によってセンシング部を隠す度合が大きくなり、それだけセンシング部にダストが衝突しにくくなり、センシング部の耐ダスト強度も大きくなる。当該角度(θ)と耐ダスト強度との関係を調べた結果、当該角度が5°以上であれば、十分な耐ダスト強度が得られることを実験的に見出した。
【0017】
よって、請求項3に記載の発明によれば、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止するという効果をより確実に高いレベルにて実現することができる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。用途を限定するものではないが、以下の各実施形態では、本発明の流量測定装置を、例えば、エンジンの吸気系統において被測定気体としての空気が流れる流体通路としての吸気管に取り付けられて、吸気管内を流れる空気の流量測定を行うものとして説明する。なお、以下の各実施形態相互において、同一部分には、図中、同一符号を付してある。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る流量測定装置S1の構成図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のA−A線に沿った概略断面を拡大した図である。また、図2は、流量測定装置S1を吸気管100に取り付けた状態を示す断面図である。
【0021】
この流量測定装置S1は、樹脂等により成形されたケース部材をその本体とするものであり、図1(a)に示すように、回路モジュール10、流路部材20およびセンシング部としてのフローセンサ30を備える。
【0022】
図2に示すように、流量測定装置S1は、吸気管100に形成された取付穴101に流路部材20が挿入されることにより、流路部材20が吸気管100内に位置した形で取り付けられる。なお、上記取付穴101は、流量測定装置S1のOリング等よりなるシール部材40によりシールされる。
【0023】
回路モジュール10内には、図示しない信号処理用の回路等が収納されており、また、回路モジュール10には、外部と電気的な接続を行うためのコネクタ11が備えられている。コネクタ11には、ワイヤハーネス等の配線部材が接続され、この接続部材を介してエンジン制御装置に電気的に接続されるようになっている。
【0024】
流路部材20には、上記吸気管100からの空気をバイパスさせる逆U字形状のバイパス流路21が形成されており、図1(a)中の矢印Yに示すように、吸気管100からの空気はバイパス流路21へ導入されてバイパス流路21内を流れ、再び、吸気管100へ流れ出すようになっている。
【0025】
また、流路部材20には、フローセンサ30がバイパス流路21内へ突き出した形で設置されている。フローセンサ30は、例えば、メンブレン上に形成された発熱抵抗体や感温抵抗体の温度−抵抗特性を利用して空気流量測定を行う薄膜式のフローセンサを採用できる。
【0026】
そして、フローセンサ30は台座22に接着等により固定されており、フローセンサ30の検出領域を露出させた形で、これらフローセンサ30および台座22は、樹脂23により包み込まれている。そして、台座22は接着等にて流路部材20に固定されている。また、フローセンサ30は回路モジュール10内の上記回路とボンディングワイヤ等を介して電気的に接続されている。
【0027】
また、図1(b)に示すように、バイパス流路21内においてフローセンサ30の周囲には、バイパス流路21よりも流路面積の小さいセンサ流路24が形成されており、フローセンサ30はこのセンサ流路24内に収納された形となっている。
【0028】
センサ流路24は、バイパス流路21を流れてくる空気を導入する入口開口部24aと、当該空気が出ていく出口開口部24bと、空気の流れを速くし且つ安定化させるための絞り部24cとを備えている。
【0029】
それによって、フローセンサ30の周囲においては、センサ流路24を流れる測定流とセンサ流路24以外のバイパス流路21を流れる非測定流との二つの流路に区画される。そして、センサ流路24を流れる測定流がフローセンサ30によって流量が測定される流れとなる。
【0030】
具体的には、測定流にさらされたフローセンサ30において、発熱抵抗体や感温抵抗体の信号を、回路モジュール10の上記回路等によって空気流量に応じた信号に変換し、変換された信号をコネクタ11から上記エンジン制御装置へ送信するようになっている。
【0031】
このようなセンシング部としてのフローセンサ30と、フローセンサ30を収納するとともに被測定気体としての空気を導入する入口開口部24aを有するセンサ流路24とを少なくとも備える流量測定装置S1において、本実施形態では、図1に示すように、センサ流路24の入口開口部24aの上流側に障害部材50が備えられている。
【0032】
障害部材50は、本例では断面円形の円筒部材もしくは円柱部材であり、流路部材20に対して一体成形または接着等により固定されている。この障害部材50は、図1(b)に示すように、径方向の幅がセンサ流路24の入口開口部24aの面積以上に大きくなっている。
【0033】
また、図1(b)の一点鎖線に示すように、バイパス流路21内における空気の流れ方向において、センサ流路24の入口開口部24aの中心と障害部材50の中心とが一致しており、障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが隠れるように配置されている。
【0034】
この障害部材50の作用について、図3を参照して説明する。図3は、上記図1(b)に対応した断面にて、空気の流れやダストの様子を模式的に示したものである。
【0035】
図3において、障害部材50の径方向の幅W1は、センサ流路24の入口開口部24aの幅W2よりも大きい。そして、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが完全に隠れ、当該開口部24aが全く見えないようになっている。
【0036】
そして、バイパス流路21を流れてくる空気中のダスト60は、障害部材50に当たって反射したり、空気の流れ方向において障害部材50の外側にはね飛ばされる。そのため、障害部材50の下流側において、障害部材50の真後ろの領域では、ダスト60を含まない流れとなり、それ以外の領域すなわち障害部材50から外れた領域では、ダスト60を含む流れとなる。
【0037】
ここで、本例では、バイパス流路21を、被測定気体としての空気が流れる流体通路として、センサ流路24の入口開口部24aおよび障害部材50は、バイパス流路21の中心部に位置している。それにより、バイパス流路(流体通路)21内において、ダスト60を含まない流れをバイパス流路21の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れをバイパス流路21の周辺部寄りに形成したものになる。
【0038】
そして、本実施形態では、センサ流路24の入口開口部24aは障害部材50の真後ろに配置された形となる。そのため、センサ流路24にはダスト60を含まない流れのみが導入され、ダスト60を含む流れはセンサ流路24以外のバイパス流路21を流れることになる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、センサ流路24内のセンシング部としてのフローセンサ30にダスト60が衝突するのを防止することができるため、空気中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止することができる。
【0040】
なお、上記流量測定装置S1では、バイパス流路21を設け、このバイパス流路21内にセンサ流路24を設けていたが、流量測定装置S1における流路部材20の形状を変えて、センサ流路24が直接、上記したエンジン系統の吸気管100内に配置されるようにしても良い。
【0041】
つまり、上記図1(b)または図3において、バイパス流路21として示す部材が吸気管100として構成されるようにしても良い。この場合、障害部材50は、例えば、センサ流路24の外壁に支持されて延設されたものにすれば良い。
【0042】
この場合、吸気管100が、被測定気体としての空気が流れる流体通路として構成されており、センサ流路24の入口開口部24aおよび障害部材50は、吸気管100の中心部に位置している。それにより、吸気管(流体通路)100内において、ダスト60を含まない流れを吸気管100の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを吸気管100の周辺部寄りに形成したものになる。
【0043】
なお、本実施形態において、センサ流路24の入口開口部24aおよび障害部材50を、流体通路としてのバイパス流路21や吸気管100の周辺部に設け、ダスト60を含まない流れを流体通路21、100の周辺部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを流体通路21、100の中心部寄りに形成しても良い。
【0044】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る流量測定装置S2の要部の概略断面構成を示す図である。本第2実施形態は、上記第1実施形態におけるバイパス流路21に逃し穴21aを設けたことが変形された部分であり、第1実施形態との相違点について主として説明することとする。
【0045】
バイパス流路21は、上述したように、流体通路としての吸気管100(上記図2参照)から被測定気体としての空気をバイパスさせてセンサ流路24の入口開口部24aへ導くためのものであり、バイパス流路21内に障害部材50が設置されている。
【0046】
本実施形態では、障害部材50の周囲に位置するバイパス流路21の内壁に逃し穴21aを形成し、空気が障害部材50に当たったときに飛ばされる空気中のダスト60が、この逃し穴21aを介して排出されるようになっている。
【0047】
それにより、障害部材50に当たってはね飛ばされたダスト60が、バイパス流路21の内壁に当たって跳ね返り、障害部材50の下流側にて再びダスト60を含まない流れに進入するのを防止することができる。
【0048】
また、図4に示すように、バイパス流路21の外壁には、逃し穴21aを覆うように蓋21bが形成されており、バイパス流路21内へ外部からダスト60が侵入するのを防止している。
【0049】
(第3実施形態)
ところで、上記第1実施形態では、上記図1(b)や上記図3に示したように、バイパス流路21内における空気の流れ方向において、センサ流路24の入口開口部24aの中心と障害部材50の中心とが一致していた。
【0050】
その場合、上記図3に示すように、障害部材50の後ろでは空気の流れが剥離して、非定常流となるため、センサ流路24の入口開口部24aを障害部材50から十分に離し、再び流れ方向が均一な定常流となるところに、当該入口開口部24aを位置させる必要がある。
【0051】
本発明の第3実施形態は、上記入口開口部24aと障害部材50との距離をより近づけるために、上記第1実施形態に対して、障害部材50に対するセンサ流路24の入口開口部24aの位置関係を変えたものである。図5は、本第3実施形態に係る流量測定装置S3の要部の概略断面構成を示す図であり、図5に基づき、第1実施形態との相違点について主として説明することとする。
【0052】
図5に示すように、本実施形態では、バイパス流路21内の空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、センサ流路24の入口開口部24aの中心を、障害部材50の中心からずれた位置にしている。なお、センサ流路24および障害部材が直接、吸気管100内に配置された場合も、同様な位置関係を実現できる。
【0053】
図5に示すように、障害部材50の真後ろの領域全体において空気の流れが定常流になる前、つまり障害部材50の流体通路21、100の流路断面全域において定常流になる前であっても、障害部材50の真後ろの領域のうち障害部材50の中心からずれた領域において部分的に定常流となる。
【0054】
そして、上流側から障害部材50を見たとき、センサ流路24の開口部24aの中心を、障害部材50の中心からずれた位置とすることにより、非定常流の影響を避け、上記した部分的な定常流をセンサ流路24に導入させることができる。
【0055】
そのため、本実施形態によれば、上記第1実施形態に比べて、障害部材50とセンサ流路24との距離を近くすることができ、バイパス流路21や吸気管100といった流体通路自体の設計自由度を大きくすることができる。
【0056】
なお、障害部材50の径方向の幅W1がセンサ流路24の入口開口部24aの幅W2よりも大きいこと、および、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが完全に隠れ、当該開口部24aが全く見えないようになっていることは、上記第1実施形態と同様である。
【0057】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る流量測定装置S4を、流体通路としての吸気管100に取り付けた状態にて示す構成図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中の下方から見たときの流量測定装置S4を概略的に示す一部断面図である。
【0058】
本実施形態の流量測定装置S4は、基本的には、上記図1に示すものと同様である。すなわち、回路モジュール10、流路部材20およびセンシング部としてのフローセンサ30を備え、流路部材20には、吸気管100をバイパスするバイパス流路21が備えられており、フローセンサ30はバイパス流路21内に設置されている。
【0059】
ここで、本実施形態では、バイパス流路21内に上記したセンサ流路24が設けられていても、設けられていなくても良い。つまり、フローセンサ30は、センサ流路24内に収納されていても良いが、バイパス流路21内に直接設けられていても良い。いずれにせよ、フローセンサ30はバイパス流路21内を流れてくる空気流量を測定する。
【0060】
そして、本実施形態の流量測定装置S4においては、吸気管100におけるバイパス流路21の開口部21cの上流側に、障害部材55が備えられている。障害部材55は、図6に示す例では、断面円形の円筒部材もしくは円柱部材であり、図6(b)に示すように、障害部材55は、流路部材20の外壁から延びる支持梁55aによって支持されている。これら障害部材55や支持梁55aは、流路部材20に対して一体成形や接着等により固定支持されている。
【0061】
本例の障害部材55は、図6(a)に示すように、その径方向の幅がバイパス流路21の開口部21cの面積以上に大きくなっている。そして、図6(a)中の一点鎖線に示すように、吸気管100内における空気の流れ方向において、バイパス流路21の開口部21cの中心と障害部材55の中心とが一致しており、障害部材55をその上流側から見たとき、障害部材55によってバイパス流路21の開口部21cが隠れるように配置されている。
【0062】
本実施形態における障害部材55の作用について、図7を参照して説明する。図7は、上記図6(a)に対応した断面にて、空気の流れやダストの様子を模式的に示したものである。
【0063】
図7において、障害部材55の径方向の幅W3は、バイパス流路21の開口部21cの幅W4よりも大きい。そして、空気の流れ方向において障害部材55をその上流側から見たとき、障害部材55によってバイパス流路21の開口部21cが完全に隠れ、当該開口部21cが全く見えないようになっている。
【0064】
そして、吸気管100を流れてくる空気中のダスト60は、障害部材55に当たって反射したり、空気の流れ方向において障害部材55の外側にはね飛ばされる。そのため、障害部材55の下流側において、障害部材55の真後ろの領域では、ダスト60を含まない流れとなり、それ以外の領域すなわち障害部材55から外れた領域では、ダスト60を含む流れとなる。
【0065】
ここで、本例では、吸気管100が、被測定気体としての空気が流れる流体通路として構成されており、バイパス流路21の開口部21cおよび障害部材55は、吸気管100の中心部に位置している。それにより、吸気管(流体通路)100内において、ダスト60を含まない流れを吸気管100の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを吸気管100の周辺部寄りに形成したものになる。
【0066】
そして、本実施形態では、バイパス流路21の開口部21cは障害部材55の真後ろに配置された形となる。そのため、バイパス流路21にはダスト60を含まない流れのみが導入され、ダスト60を含む流れはバイパス流路21以外の吸気管100を流れることになる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、バイパス流路21内にダスト60が進入するのを防止し、バイパス流路21内のセンシング部としてのフローセンサ30にダスト60が衝突するのを防止することができる。そのため、空気中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止することができる。
【0068】
ここで、本実施形態においては、バイパス流路21の開口部21cの中心と障害部材55の中心とが一致している。そのため、上記第1実施形態と同様に、障害部材55の後ろに形成される非定常流の影響を避けるために、バイパス流路21の開口部21cを障害部材55から十分に離し、再び流れ方向が均一な定常流となるところに、当該開口部21cを位置させるようにすればよい。
【0069】
なお、本実施形態において、バイパス流路21の開口部21cおよび障害部材55を、流体通路としての吸気管100の周辺部に設け、ダスト60を含まない流れを吸気管100の周辺部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを吸気管100の中心部寄りに形成しても良い。
【0070】
また、本実施形態において流量測定装置S4のバイパス流路21内に、上記図1(b)に示したようなフローセンサ30を収納するセンサ流路24を形成した場合、本実施形態のバイパス流路21内におけるセンサ流路24の上流に、上記第1実施形態と同様の障害部材50を設けても良い。
【0071】
それによれば、バイパス流路21内の障害部材50を第1の障害部材とし、吸気管100内の障害部材55を第2の障害部材として、第1および本第4実施形態を組み合わせた効果が得られ、より高いレベルにてセンシング部の破損防止を実現できる。
【0072】
(第5実施形態)
ところで、上記第4実施形態では、上記図6(a)や図7に示したように、吸気管100内における空気の流れ方向において、バイパス流路21の開口部21cの中心と障害部材55の中心とが一致していた。
【0073】
その場合、上記第3実施形態にて述べたのと同様の理由から、バイパス流路21の開口部21cを障害部材55から十分に離し、再び流れ方向が均一な定常流となるところに、当該開口部21cを位置させる必要がある。
【0074】
本発明の第5実施形態は、バイパス流路21の開口部21cと障害部材55との距離をより近づけるために、上記第4実施形態に対して、障害部材55に対するバイパス流路21の開口部21cの位置関係を変えたものである。図8は、本第5実施形態に係る流量測定装置S5の要部の概略断面構成を示す図であり、図8に基づき、第4実施形態との相違点について主として説明することとする。
【0075】
図8に示すように、本実施形態では、流体通路としての吸気管100内の空気の流れ方向において障害部材55をその上流側から見たとき、バイパス流路21の開口部21cの中心を、障害部材55の中心からずれた位置にしている。
【0076】
図8に示すように、障害部材55の真後ろの領域全体において空気の流れが定常流になる前、つまり障害部材55の吸気管100の流路断面全域において定常流になる前であっても、障害部材55の真後ろの領域のうち障害部材55の中心からずれた領域において部分的に定常流となる。
【0077】
そして、上流側から障害部材55を見たとき、バイパス流路21の開口部21cの中心を、障害部材55の中心からずれた位置とすることにより、非定常流の影響を避け、上記した部分的な定常流をバイパス流路21に導入させることができる。
【0078】
そのため、本実施形態によれば、上記第4実施形態に比べて、障害部材55とバイパス流路21との距離を近くすることができ、設計自由度を大きくすることができる。
【0079】
なお、障害部材55の径方向の幅W3がバイパス流路21の開口部21cの幅W4よりも大きいこと、および、空気の流れ方向において障害部材55をその上流側から見たとき、障害部材55によってバイパス流路21の開口部21cが完全に隠れ、当該開口部21cが全く見えないようになっていることは、上記第4実施形態と同様である。
【0080】
(第6実施形態)
図9は、本発明の第6実施形態に係る流量測定装置S6の要部を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態にて上記図3に示した構成において、フローセンサ30の周囲にセンサ流路24が無いものであり、他は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
この場合も、フローセンサ30が配置される流路は、バイパス流路21でも吸気管100でも良い。これらバイパス流路21または吸気管100は、被測定気体としての空気をフローセンサ30へ導く導入通路として構成される。
【0082】
ここで、導入通路がバイパス流路21の場合は、障害部材50の支持構造は上記第1実施形態と同様に行うことができる。一方、導入通路が吸気管100の場合は、流量測定装置S6の本体の適所から障害部材50を延設することで、障害部材50を支持し吸気管100内に設置することが可能である。
【0083】
そして、本実施形態は、センシング部としてのフローセンサ30と、被測定気体をフローセンサ30へ導く導入通路21、100とを備える流量測定装置S6において、障害部材50は、その径方向の幅W1がフローセンサ30の厚さよりも大きくなっており、流体通路21、100中の空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってフローセンサ30が隠れている。
【0084】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様、障害部材50の下流側において、障害部材50の真後ろの領域では、ダスト60を含まない流れとなり、それ以外の領域すなわち障害部材50から外れた領域では、ダスト60を含む流れとなる。
【0085】
本例では、フローセンサ30および障害部材50は、導入通路21、100の中心部に位置しているため、ダスト60を含まない流れを導入通路21、100の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを導入通路21、100の周辺部寄りに形成したものになる。
【0086】
そして、本実施形態では、フローセンサ30の上流側に、障害部材50を、フローセンサ30が隠れるように配置しているから、フローセンサ30は障害部材50の真後ろに配置された形となる。そのため、フローセンサ30はダスト60を含まない流れのみにさらされ、ダスト60を含む流れにはさらされない。
【0087】
よって、本実施形態によれば、センシング部としてのフローセンサ30へダスト60が衝突するのを防止することができるため、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することができる。
【0088】
なお、本第6実施形態においても、被測定気体である空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、フローセンサ30の中心が、障害部材50の中心からずれた位置にあるようにしても良い。それによって、上記第3、第5実施形態と同様の理由から、障害部材50とセンシング部であるフローセンサ30との距離を近くすることができる。
【0089】
(第7実施形態)
図10は、本発明の第7実施形態に係る流量測定装置S7の要部を示す概略断面図である。本実施形態は、上記図9に示す第6実施形態にて、フローセンサ30が配置される導入通路をバイパス流路21とした場合に、上記第2実施形態(図4参照)と同様に、バイパス流路21に逃し穴21aを設けたものである。この逃し穴21a以外は、上記第6実施形態と同様である。
【0090】
図10に示すように、障害部材50の周囲に位置する導入通路としてのバイパス流路21の内壁には、空気(被測定気体)が障害部材50に当たったときに飛ばされる空気中のダスト60が排出される逃し穴21aが形成されている。
【0091】
それにより、上記第2実施形態にて述べたのと同様に、障害部材50に当たってはね飛ばされたダスト60が、バイパス流路21の内壁に当たって跳ね返り、障害部材50の下流側にて再びダスト60を含まない流れに進入するのを防止することができる。
【0092】
(第8実施形態)
図11は、本発明の第8実施形態に係る流量測定装置S8の要部を示す概略断面図である。上記各実施形態では、障害部材50、55は、被測定気体の流れに沿った断面の形状が円形であるものにしていたが、当該断面形状は特に限定されるものではない。
【0093】
ここで、図11に示す本実施形態の流量測定装置S8では、上記第1実施形態に示した流量測定装置(図3参照)において、障害部材50を、空気(被測定気体)の流れに沿った断面の形状が流線形であるものにしたことが相違点である。
【0094】
この流線形断面を有する障害部材50によれば、障害部材50に衝突した空気の流れが、障害部材50の直後において非定常流になりにくくなるか、あるいは非定常流にならずすぐに定常流となる。そのため、障害部材50とセンサ流路24との距離を、円形断面の障害部材の場合よりも近くすることができ、バイパス流路21自体の設計自由度を大きくできる。
【0095】
なお、障害部材50の径方向の幅W1がセンサ流路24の入口開口部24aの幅W2よりも大きいこと、および、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが完全に隠れ、当該開口部24aが全く見えないようになっていることは、上記第1実施形態と同様である。
【0096】
(第9実施形態)
図12は、本発明の第9実施形態に係る流量測定装置S9の要部を示す概略断面図である。図12に示す本実施形態の流量測定装置S9では、上記第4実施形態に示した流量測定装置(図7参照)において、障害部材50を、空気(被測定気体)の流れに沿った断面の形状が流線形であるものにしたことが相違点である。
【0097】
それによれば、上記第8実施形態と同様の理由から、障害部材50とバイパス流路21との距離を近くすることができ、設計自由度を大きくできる。
【0098】
(第10実施形態)
図13は、本発明の第10実施形態に係る流量測定装置S10の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S10は、上記第1実施形態に示した流量測定装置(図3参照)において、バイパス流路21内に障害部材50を設けず、代わりに空気中のダストをイオン化して捕獲する手段70、80を設けたところが第1実施形態と相違するものである。
【0099】
本実施形態は、フローセンサ30と、被測定気体である空気をフローセンサ30へ導く導入通路21、100とを備え、導入通路21、100におけるフローセンサ30の上流側に、空気中のダスト60をイオン化するイオン化部70と、イオン化されたダスト60aを捕獲する捕獲部80とが備えられていることを特徴とする。
【0100】
イオン化部70は、バイパス流路21内に対向して設けられた電極71、72と、両電極71、72間に電界を発生させるための電源73とを備え、両電極71、72間に発生する電界によってこの電界に入ってくるダスト60をイオン化し、イオン化されたダスト60aとする。
【0101】
捕獲部80は、バイパス流路21の外壁に対向して設けられた磁石81、82と、各磁石81、82に対応したバイパス流路21の内壁に設けられた集塵紙83とを備える。両磁石81、82によって発生する磁場Hによって、イオン化されたダスト60aはらせん状に動き、最終的には集塵紙83に吸い付いて捕獲される。
【0102】
このように、本実施形態によれば、イオン化されたダスト60aがセンシング部であるフローセンサ30の上流にて捕獲されて除去されるため、下流のフローセンサ30にはダスト60を含まない空気の流れが来る。よって、本実施形態によっても、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することができる。
【0103】
(第11実施形態)
図14は、本発明の第11実施形態に係る流量測定装置S11の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S11は、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0104】
そして、本実施形態では、導入通路21、100における障害部材50の上流側に、空気(被測定気体)の流れ方向に略平行な少なくとも2つの面を有する整流板90が備えられている。
【0105】
それによれば、図14に示すように、空気流れに沿わず斜めに飛んでくるダスト60があっても、整流板90を通過することで障害部材50の前において空気ひいてはダストの流れをそろえることができる。もし、整流板90が無い場合、斜めに飛ぶダスト60が障害部材50を回り込んでフローセンサ30に衝突する可能性がある。
【0106】
その点、本実施形態では整流板90の作用によって、障害部材50にダスト60が当たりやすくなり、結果、センシング部であるフローセンサ30へのダスト衝突をより確実に防止することができ、好ましい。
【0107】
(第12実施形態)
図15は、本発明の第12実施形態に係る流量測定装置S12の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S12も、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0108】
そして、本実施形態では、導入通路21、100は、障害部材50の上流側からセンシング部であるフローセンサ30までに対応する部位が絞り形状となっている。すなわち、導入通路21、100には、障害部材50の上流側からフローセンサ30までに対応する部位に絞り部95が形成されている。
【0109】
導入通路21、100を絞ると流速が増加する等の利点がある。特にバイパス流路21を用いた場合、バイパス流路21内の流速が吸気管100内の流速よりも遅くなることがある。このことは感度の低下につながるので、センサ30付近に絞りを形成することで流速を上げる。
【0110】
しかし、この絞りを設ける場合、仮に、障害部材50の下流側にて絞りを設けると、障害部材50に当たったダスト60がその下流の絞り部にて再び方向が変わりフローセンサ30に衝突しやすくなる恐れがある。その点、本実施形態では、障害部材50の上流にて絞り部95を形成した形となるので、そのような問題は回避される。
【0111】
(第13実施形態)
図16は、本発明の第13実施形態に係る流量測定装置S13の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S13は、上記第11実施形態と第12実施形態とを組み合わせたものである。
【0112】
すなわち、図16に示すように、導入通路21、100における障害部材50の上流側には整流板90が備えられており、導入通路21、100は、整流板90の上流側からフローセンサ30までに対応する部位が絞り形状となっていることを特徴とする。
【0113】
もし、整流板の下流に絞りがあると整流板にて整えられたダストの流れが、絞り部にて方向が変わりやすくなるが、本実施形態では、整流板90および障害部材50の上流にて絞り部95を形成した形となるので、整流板90の整流作用および障害部材50によるダスト除去の効果が適切に発揮され、好ましい。
【0114】
(第14実施形態)
図17は、本発明の第14実施形態に係る流量測定装置S14の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S14も、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0115】
図17に示すように、本流量測定装置S14においては、導入通路21、100におけるフローセンサ30の上流側には第1の障害部材50が備えられ、フローセンサ30の下流側には第2の障害部材51が備えられており、空気の流れ方向において障害部材をその上流側から見たとき、第1の障害部材によってフローセンサ30が隠れており、第2の障害部材51をその下流側から見たとき、第2の障害部材51によってフローセンサ30が隠れている。
【0116】
本実施形態よれば、まず、フローセンサ30の上流側に第1の障害部材50を配置し、フローセンサ30を隠しているため、順流時においてフローセンサ30は第1の障害部材50の真後ろに配置された形となり、ダスト60を含む流れにはさらされない。
【0117】
また、例えばバイパス流路21や吸気管100に流量測定装置を設置して使用する場合、導入通路21、100内にて逆流が生じるときがある。その場合、図17に示すように、フローセンサ30の下流側からもダスト60が飛来してくることがある。
【0118】
ここで本実施形態では、フローセンサ30の下流側に第2の障害部材51を配置し、フローセンサ30が隠されているため、導入通路21、100内にて空気が逆流してもフローセンサ30は第2の障害部材51の真後ろに配置された形となり、ダスト60を含む流れにはさらされない。
【0119】
このように、本実施形態の流量測定装置S14によれば、導入通路21、100内の流れが順流か逆流かに関係なく、フローセンサ30へダスト60が衝突するのを防止することができるため、空気中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止することができる。
【0120】
さらに、フローセンサ30が順流と逆流との流れを測定するものである場合、障害部材がフローセンサ30の上流側のみにしか無い場合には、順流時と逆流時とで気体の流れ方が大きく異なるという問題がある。このような場合には、フローセンサ30のセンサ特性が順流時と逆流時とで大きく異なるので、検出回路が複雑になる等の問題にもつながる。
【0121】
その点、本実施形態では、フローセンサ30の上流側と下流側との両方に障害部材50、51を存在させているので、順流時と逆流時とで気体の流れ方を近いものにすることができるという利点もある。
【0122】
さらに、図示しないが、本実施形態においても、導入通路21、100における第1障害部材50の上流側および第2の障害部材51の下流側に、上記図14や図16に示したような整流板90を配置したものとしても良い。それによれば、本実施形態の流量測定装置S14において、上記した整流板90による効果を得ることができる。
【0123】
なお、本実施形態の流量測定装置S14において、図18の変形例に示すように、導入通路21、100に絞り部95を設け、フローセンサ30付近の流速を増加させてセンサ感度を向上させても良い。
【0124】
(第15実施形態)
図19は、本発明の第15実施形態に係る流量測定装置S15の要部を示す概略断面図である。本実施形態の流量測定装置S15は、上記図18に示した第14実施形態の流量測定装置において、障害部材50、51の構成を変形したものである。
【0125】
本実施形態の流量測定装置S15における障害部材50、51は、フローセンサ30を包み込む樹脂をフローセンサ30の上流側および下流側へ延長し、その延長した部分を障害部材50、51として構成したものである。この場合も、上記した障害部材と同様の効果を発揮することができる。
【0126】
(第16実施形態)
図20は、本発明の第16実施形態に係る流量測定装置S16の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S16も、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0127】
そして、本実施形態でも、導入通路21、100におけるフローセンサ30の上流側には、障害部材50が備えられており、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってフローセンサ30が隠れている。
【0128】
ここにおいて、本実施形態では、図20に示すように、障害部材50の外面とフローセンサ30の表面とを結ぶ線L1とフローセンサ30の表面とのなす角度のうち最大の角度θが5°以上であることを特徴とする。
【0129】
この角度θを5°以上とすることは、本発明者らの検討の結果、実験的に好ましい値として見出されたものである。図21に示すように、当該角度θと耐ダスト強度との関係を調べた結果、当該角度θが5°以上であれば、急激に耐ダスト強度が向上し十分な耐ダスト強度が得られることを実験的に見出した。
【0130】
よって、本実施形態によれば、被測定気体中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止するという効果をより確実に高いレベルにて実現することができる。
【0131】
なお、この角度θを5°以上とすることは、上記第14実施形態の流量測定装置のように、フローセンサ30の上流および下流にそれぞれ障害部材50、51を設けたものにおいても、同様に適用すれば、同様の効果があることは明らかである。
【0132】
(他の実施形態)
なお、センシング部としては、薄膜式のフローセンサ30に限定されるものではない。また、本発明の用途も、吸気流量測定に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流量測定装置の構成図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のA−A線に沿った概略断面拡大図である。
【図2】図1に示す流量測定装置を吸気管に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】上記第1実施形態における障害部材の作用説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図6】(a)は、本発明の第4実施形態に係る流量測定装置を吸気管に取り付けた状態にて示す概略断面図であり、(b)は(a)の下方から見た一部断面図である。
【図7】上記第4実施形態における障害部材の作用説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第10実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図14】本発明の第11実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第12実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第13実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図17】本発明の第14実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図18】上記第14実施形態の変形例としての流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図19】本発明の第15実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図20】本発明の第16実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図21】上記第16実施形態にいて角度θと耐ダスト強度との関係を調べた結果を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
21…バイパス流路、21a…逃し穴、21c…バイパス流路の開口部、
24…センサ流路、24a…センサ流路の入口開口部、
30…フローセンサ、50、51、55…障害部材、70…イオン化部、
80…捕獲部、90…整流板、100…吸気管、
θ…障害部材の外面とフローセンサの表面とを結ぶ線とフローセンサの表面と
のなす角度のうち最大の角度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を測定する流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流量測定装置としては、例えば、エンジンの吸気系統における流体通路に取り付けられて、流体通路内の空気流量測定を行うものがある。このような装置は、通常、空気導入用の導入通路と、導入された空気の流量測定を行うセンシング部とを備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、流量測定装置によって測定される空気は、予め上流にてエアフィルタ等により空気中のダストを除去するようにしているが、当該ダストのうち数十μm〜数百μm程度のものはエアフィルタで除去しきれない。そのため、流量測定装置のセンシング部に衝突し、センシング部の破損を招く可能性がある。特に、センシング部として、メンブレン式のフローセンサを用いた場合、薄いメンブレンが破損する可能性が大きい。
【0004】
本発明は上記問題に鑑み、流量測定装置において、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、被測定気体の流量測定を行うセンシング部(30)と、被測定気体をセンシング部へ導く導入通路(21、100)とを備える流量測定装置において、導入通路におけるセンシング部の上流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第1の障害部材(50)が備えられ、センシング部の下流側には、被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第2の障害部材(51)が備えられており、被測定気体の流れ方向において第1の障害部材をその上流側から見たとき、第1の障害部材によってセンシング部が隠れており、第2の障害部材をその下流側から見たとき、第2の障害部材によってセンシング部が隠れていることを特徴とする。
【0006】
例えば流量測定装置を自動車の吸気管等に使用する場合には、導入通路内にて逆流が生じるときがある。その場合、センシング部の下流側からもダストが飛来してくることがある。本発明はこのような逆流が発生した場合にも対応可能なものである。
【0007】
本発明によれば、まず、センシング部(30)の上流側に第1の障害部材(50)を配置し、センシング部を隠しているため、センシング部は第1の障害部材の真後ろに配置された形となり、また、第1の障害部材は被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持つため、センシング部は乱れが少なくダストを含まない流れのみにさらされ、ダストを含む流れにはさらされない。
【0008】
そして、本発明ではさらに、センシング部(30)の下流側に第2の障害部材(51)を配置し、センシング部を隠している。そのため、導入通路(21、100)内にて被測定気体が逆流してもセンシング部は第2の障害部材の真後ろに配置された形となり、また、障害部材は被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持つため、センシング部は乱れが少なくダストを含まない流れのみにさらされ、ダストを含む流れにはさらされない。
【0009】
このように、本発明によれば、導入通路内の流れが順流か逆流かに関係なく、センシング部へダストが衝突するのを防止することができるため、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することができる。
【0010】
さらに、センシング部が順流と逆流との流れを測定するものである場合、障害部材がセンシング部の上流側のみにしか無い場合には、順流時と逆流時とで気体の流れ方が大きく異なるという問題がある。このような場合には、センシング部のセンサ特性が順流時と逆流時とで大きく異なるので、検出回路が複雑になる等の問題にもつながる。
【0011】
その点、本発明では、センシング部の上流側と下流側との両方に障害部材を存在させているので、順流時と逆流時とで気体の流れ方を近いものにすることができるという利点もある。
【0012】
さらに、請求項2に記載の発明では、導入通路(21、100)における第1の障害部材(50)の上流側および第2の障害部材(51)の下流側には、被測定気体の流れ方向に略平行な少なくとも2つの面を有する整流板(90)が備えられていることを特徴とする。
【0013】
それによれば、第1、第2の障害部材の前において被測定気体の流れを整えることができ、ダストの流れもそろうので、障害部材にダストが当たりやすくなり好ましい。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、第1および第2の障害部材において、当該障害部材の外面とセンシング部の表面とを結ぶ線とセンシング部の表面とのなす角度のうち最大の角度(θ)が5°以上であることを特徴とする。
【0015】
つまり、本発明は、上記請求項1に記載の流量測定装置において上記最大の角度(θ)を規定したものである。この角度を5°以上とすることは、本発明者らの検討の結果、実験的に好ましい値として見出されたものである。
【0016】
この最大の角度(θ)が大きくなれば、障害部材によってセンシング部を隠す度合が大きくなり、それだけセンシング部にダストが衝突しにくくなり、センシング部の耐ダスト強度も大きくなる。当該角度(θ)と耐ダスト強度との関係を調べた結果、当該角度が5°以上であれば、十分な耐ダスト強度が得られることを実験的に見出した。
【0017】
よって、請求項3に記載の発明によれば、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止するという効果をより確実に高いレベルにて実現することができる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。用途を限定するものではないが、以下の各実施形態では、本発明の流量測定装置を、例えば、エンジンの吸気系統において被測定気体としての空気が流れる流体通路としての吸気管に取り付けられて、吸気管内を流れる空気の流量測定を行うものとして説明する。なお、以下の各実施形態相互において、同一部分には、図中、同一符号を付してある。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る流量測定装置S1の構成図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のA−A線に沿った概略断面を拡大した図である。また、図2は、流量測定装置S1を吸気管100に取り付けた状態を示す断面図である。
【0021】
この流量測定装置S1は、樹脂等により成形されたケース部材をその本体とするものであり、図1(a)に示すように、回路モジュール10、流路部材20およびセンシング部としてのフローセンサ30を備える。
【0022】
図2に示すように、流量測定装置S1は、吸気管100に形成された取付穴101に流路部材20が挿入されることにより、流路部材20が吸気管100内に位置した形で取り付けられる。なお、上記取付穴101は、流量測定装置S1のOリング等よりなるシール部材40によりシールされる。
【0023】
回路モジュール10内には、図示しない信号処理用の回路等が収納されており、また、回路モジュール10には、外部と電気的な接続を行うためのコネクタ11が備えられている。コネクタ11には、ワイヤハーネス等の配線部材が接続され、この接続部材を介してエンジン制御装置に電気的に接続されるようになっている。
【0024】
流路部材20には、上記吸気管100からの空気をバイパスさせる逆U字形状のバイパス流路21が形成されており、図1(a)中の矢印Yに示すように、吸気管100からの空気はバイパス流路21へ導入されてバイパス流路21内を流れ、再び、吸気管100へ流れ出すようになっている。
【0025】
また、流路部材20には、フローセンサ30がバイパス流路21内へ突き出した形で設置されている。フローセンサ30は、例えば、メンブレン上に形成された発熱抵抗体や感温抵抗体の温度−抵抗特性を利用して空気流量測定を行う薄膜式のフローセンサを採用できる。
【0026】
そして、フローセンサ30は台座22に接着等により固定されており、フローセンサ30の検出領域を露出させた形で、これらフローセンサ30および台座22は、樹脂23により包み込まれている。そして、台座22は接着等にて流路部材20に固定されている。また、フローセンサ30は回路モジュール10内の上記回路とボンディングワイヤ等を介して電気的に接続されている。
【0027】
また、図1(b)に示すように、バイパス流路21内においてフローセンサ30の周囲には、バイパス流路21よりも流路面積の小さいセンサ流路24が形成されており、フローセンサ30はこのセンサ流路24内に収納された形となっている。
【0028】
センサ流路24は、バイパス流路21を流れてくる空気を導入する入口開口部24aと、当該空気が出ていく出口開口部24bと、空気の流れを速くし且つ安定化させるための絞り部24cとを備えている。
【0029】
それによって、フローセンサ30の周囲においては、センサ流路24を流れる測定流とセンサ流路24以外のバイパス流路21を流れる非測定流との二つの流路に区画される。そして、センサ流路24を流れる測定流がフローセンサ30によって流量が測定される流れとなる。
【0030】
具体的には、測定流にさらされたフローセンサ30において、発熱抵抗体や感温抵抗体の信号を、回路モジュール10の上記回路等によって空気流量に応じた信号に変換し、変換された信号をコネクタ11から上記エンジン制御装置へ送信するようになっている。
【0031】
このようなセンシング部としてのフローセンサ30と、フローセンサ30を収納するとともに被測定気体としての空気を導入する入口開口部24aを有するセンサ流路24とを少なくとも備える流量測定装置S1において、本実施形態では、図1に示すように、センサ流路24の入口開口部24aの上流側に障害部材50が備えられている。
【0032】
障害部材50は、本例では断面円形の円筒部材もしくは円柱部材であり、流路部材20に対して一体成形または接着等により固定されている。この障害部材50は、図1(b)に示すように、径方向の幅がセンサ流路24の入口開口部24aの面積以上に大きくなっている。
【0033】
また、図1(b)の一点鎖線に示すように、バイパス流路21内における空気の流れ方向において、センサ流路24の入口開口部24aの中心と障害部材50の中心とが一致しており、障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが隠れるように配置されている。
【0034】
この障害部材50の作用について、図3を参照して説明する。図3は、上記図1(b)に対応した断面にて、空気の流れやダストの様子を模式的に示したものである。
【0035】
図3において、障害部材50の径方向の幅W1は、センサ流路24の入口開口部24aの幅W2よりも大きい。そして、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが完全に隠れ、当該開口部24aが全く見えないようになっている。
【0036】
そして、バイパス流路21を流れてくる空気中のダスト60は、障害部材50に当たって反射したり、空気の流れ方向において障害部材50の外側にはね飛ばされる。そのため、障害部材50の下流側において、障害部材50の真後ろの領域では、ダスト60を含まない流れとなり、それ以外の領域すなわち障害部材50から外れた領域では、ダスト60を含む流れとなる。
【0037】
ここで、本例では、バイパス流路21を、被測定気体としての空気が流れる流体通路として、センサ流路24の入口開口部24aおよび障害部材50は、バイパス流路21の中心部に位置している。それにより、バイパス流路(流体通路)21内において、ダスト60を含まない流れをバイパス流路21の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れをバイパス流路21の周辺部寄りに形成したものになる。
【0038】
そして、本実施形態では、センサ流路24の入口開口部24aは障害部材50の真後ろに配置された形となる。そのため、センサ流路24にはダスト60を含まない流れのみが導入され、ダスト60を含む流れはセンサ流路24以外のバイパス流路21を流れることになる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、センサ流路24内のセンシング部としてのフローセンサ30にダスト60が衝突するのを防止することができるため、空気中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止することができる。
【0040】
なお、上記流量測定装置S1では、バイパス流路21を設け、このバイパス流路21内にセンサ流路24を設けていたが、流量測定装置S1における流路部材20の形状を変えて、センサ流路24が直接、上記したエンジン系統の吸気管100内に配置されるようにしても良い。
【0041】
つまり、上記図1(b)または図3において、バイパス流路21として示す部材が吸気管100として構成されるようにしても良い。この場合、障害部材50は、例えば、センサ流路24の外壁に支持されて延設されたものにすれば良い。
【0042】
この場合、吸気管100が、被測定気体としての空気が流れる流体通路として構成されており、センサ流路24の入口開口部24aおよび障害部材50は、吸気管100の中心部に位置している。それにより、吸気管(流体通路)100内において、ダスト60を含まない流れを吸気管100の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを吸気管100の周辺部寄りに形成したものになる。
【0043】
なお、本実施形態において、センサ流路24の入口開口部24aおよび障害部材50を、流体通路としてのバイパス流路21や吸気管100の周辺部に設け、ダスト60を含まない流れを流体通路21、100の周辺部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを流体通路21、100の中心部寄りに形成しても良い。
【0044】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る流量測定装置S2の要部の概略断面構成を示す図である。本第2実施形態は、上記第1実施形態におけるバイパス流路21に逃し穴21aを設けたことが変形された部分であり、第1実施形態との相違点について主として説明することとする。
【0045】
バイパス流路21は、上述したように、流体通路としての吸気管100(上記図2参照)から被測定気体としての空気をバイパスさせてセンサ流路24の入口開口部24aへ導くためのものであり、バイパス流路21内に障害部材50が設置されている。
【0046】
本実施形態では、障害部材50の周囲に位置するバイパス流路21の内壁に逃し穴21aを形成し、空気が障害部材50に当たったときに飛ばされる空気中のダスト60が、この逃し穴21aを介して排出されるようになっている。
【0047】
それにより、障害部材50に当たってはね飛ばされたダスト60が、バイパス流路21の内壁に当たって跳ね返り、障害部材50の下流側にて再びダスト60を含まない流れに進入するのを防止することができる。
【0048】
また、図4に示すように、バイパス流路21の外壁には、逃し穴21aを覆うように蓋21bが形成されており、バイパス流路21内へ外部からダスト60が侵入するのを防止している。
【0049】
(第3実施形態)
ところで、上記第1実施形態では、上記図1(b)や上記図3に示したように、バイパス流路21内における空気の流れ方向において、センサ流路24の入口開口部24aの中心と障害部材50の中心とが一致していた。
【0050】
その場合、上記図3に示すように、障害部材50の後ろでは空気の流れが剥離して、非定常流となるため、センサ流路24の入口開口部24aを障害部材50から十分に離し、再び流れ方向が均一な定常流となるところに、当該入口開口部24aを位置させる必要がある。
【0051】
本発明の第3実施形態は、上記入口開口部24aと障害部材50との距離をより近づけるために、上記第1実施形態に対して、障害部材50に対するセンサ流路24の入口開口部24aの位置関係を変えたものである。図5は、本第3実施形態に係る流量測定装置S3の要部の概略断面構成を示す図であり、図5に基づき、第1実施形態との相違点について主として説明することとする。
【0052】
図5に示すように、本実施形態では、バイパス流路21内の空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、センサ流路24の入口開口部24aの中心を、障害部材50の中心からずれた位置にしている。なお、センサ流路24および障害部材が直接、吸気管100内に配置された場合も、同様な位置関係を実現できる。
【0053】
図5に示すように、障害部材50の真後ろの領域全体において空気の流れが定常流になる前、つまり障害部材50の流体通路21、100の流路断面全域において定常流になる前であっても、障害部材50の真後ろの領域のうち障害部材50の中心からずれた領域において部分的に定常流となる。
【0054】
そして、上流側から障害部材50を見たとき、センサ流路24の開口部24aの中心を、障害部材50の中心からずれた位置とすることにより、非定常流の影響を避け、上記した部分的な定常流をセンサ流路24に導入させることができる。
【0055】
そのため、本実施形態によれば、上記第1実施形態に比べて、障害部材50とセンサ流路24との距離を近くすることができ、バイパス流路21や吸気管100といった流体通路自体の設計自由度を大きくすることができる。
【0056】
なお、障害部材50の径方向の幅W1がセンサ流路24の入口開口部24aの幅W2よりも大きいこと、および、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが完全に隠れ、当該開口部24aが全く見えないようになっていることは、上記第1実施形態と同様である。
【0057】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る流量測定装置S4を、流体通路としての吸気管100に取り付けた状態にて示す構成図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中の下方から見たときの流量測定装置S4を概略的に示す一部断面図である。
【0058】
本実施形態の流量測定装置S4は、基本的には、上記図1に示すものと同様である。すなわち、回路モジュール10、流路部材20およびセンシング部としてのフローセンサ30を備え、流路部材20には、吸気管100をバイパスするバイパス流路21が備えられており、フローセンサ30はバイパス流路21内に設置されている。
【0059】
ここで、本実施形態では、バイパス流路21内に上記したセンサ流路24が設けられていても、設けられていなくても良い。つまり、フローセンサ30は、センサ流路24内に収納されていても良いが、バイパス流路21内に直接設けられていても良い。いずれにせよ、フローセンサ30はバイパス流路21内を流れてくる空気流量を測定する。
【0060】
そして、本実施形態の流量測定装置S4においては、吸気管100におけるバイパス流路21の開口部21cの上流側に、障害部材55が備えられている。障害部材55は、図6に示す例では、断面円形の円筒部材もしくは円柱部材であり、図6(b)に示すように、障害部材55は、流路部材20の外壁から延びる支持梁55aによって支持されている。これら障害部材55や支持梁55aは、流路部材20に対して一体成形や接着等により固定支持されている。
【0061】
本例の障害部材55は、図6(a)に示すように、その径方向の幅がバイパス流路21の開口部21cの面積以上に大きくなっている。そして、図6(a)中の一点鎖線に示すように、吸気管100内における空気の流れ方向において、バイパス流路21の開口部21cの中心と障害部材55の中心とが一致しており、障害部材55をその上流側から見たとき、障害部材55によってバイパス流路21の開口部21cが隠れるように配置されている。
【0062】
本実施形態における障害部材55の作用について、図7を参照して説明する。図7は、上記図6(a)に対応した断面にて、空気の流れやダストの様子を模式的に示したものである。
【0063】
図7において、障害部材55の径方向の幅W3は、バイパス流路21の開口部21cの幅W4よりも大きい。そして、空気の流れ方向において障害部材55をその上流側から見たとき、障害部材55によってバイパス流路21の開口部21cが完全に隠れ、当該開口部21cが全く見えないようになっている。
【0064】
そして、吸気管100を流れてくる空気中のダスト60は、障害部材55に当たって反射したり、空気の流れ方向において障害部材55の外側にはね飛ばされる。そのため、障害部材55の下流側において、障害部材55の真後ろの領域では、ダスト60を含まない流れとなり、それ以外の領域すなわち障害部材55から外れた領域では、ダスト60を含む流れとなる。
【0065】
ここで、本例では、吸気管100が、被測定気体としての空気が流れる流体通路として構成されており、バイパス流路21の開口部21cおよび障害部材55は、吸気管100の中心部に位置している。それにより、吸気管(流体通路)100内において、ダスト60を含まない流れを吸気管100の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを吸気管100の周辺部寄りに形成したものになる。
【0066】
そして、本実施形態では、バイパス流路21の開口部21cは障害部材55の真後ろに配置された形となる。そのため、バイパス流路21にはダスト60を含まない流れのみが導入され、ダスト60を含む流れはバイパス流路21以外の吸気管100を流れることになる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、バイパス流路21内にダスト60が進入するのを防止し、バイパス流路21内のセンシング部としてのフローセンサ30にダスト60が衝突するのを防止することができる。そのため、空気中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止することができる。
【0068】
ここで、本実施形態においては、バイパス流路21の開口部21cの中心と障害部材55の中心とが一致している。そのため、上記第1実施形態と同様に、障害部材55の後ろに形成される非定常流の影響を避けるために、バイパス流路21の開口部21cを障害部材55から十分に離し、再び流れ方向が均一な定常流となるところに、当該開口部21cを位置させるようにすればよい。
【0069】
なお、本実施形態において、バイパス流路21の開口部21cおよび障害部材55を、流体通路としての吸気管100の周辺部に設け、ダスト60を含まない流れを吸気管100の周辺部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを吸気管100の中心部寄りに形成しても良い。
【0070】
また、本実施形態において流量測定装置S4のバイパス流路21内に、上記図1(b)に示したようなフローセンサ30を収納するセンサ流路24を形成した場合、本実施形態のバイパス流路21内におけるセンサ流路24の上流に、上記第1実施形態と同様の障害部材50を設けても良い。
【0071】
それによれば、バイパス流路21内の障害部材50を第1の障害部材とし、吸気管100内の障害部材55を第2の障害部材として、第1および本第4実施形態を組み合わせた効果が得られ、より高いレベルにてセンシング部の破損防止を実現できる。
【0072】
(第5実施形態)
ところで、上記第4実施形態では、上記図6(a)や図7に示したように、吸気管100内における空気の流れ方向において、バイパス流路21の開口部21cの中心と障害部材55の中心とが一致していた。
【0073】
その場合、上記第3実施形態にて述べたのと同様の理由から、バイパス流路21の開口部21cを障害部材55から十分に離し、再び流れ方向が均一な定常流となるところに、当該開口部21cを位置させる必要がある。
【0074】
本発明の第5実施形態は、バイパス流路21の開口部21cと障害部材55との距離をより近づけるために、上記第4実施形態に対して、障害部材55に対するバイパス流路21の開口部21cの位置関係を変えたものである。図8は、本第5実施形態に係る流量測定装置S5の要部の概略断面構成を示す図であり、図8に基づき、第4実施形態との相違点について主として説明することとする。
【0075】
図8に示すように、本実施形態では、流体通路としての吸気管100内の空気の流れ方向において障害部材55をその上流側から見たとき、バイパス流路21の開口部21cの中心を、障害部材55の中心からずれた位置にしている。
【0076】
図8に示すように、障害部材55の真後ろの領域全体において空気の流れが定常流になる前、つまり障害部材55の吸気管100の流路断面全域において定常流になる前であっても、障害部材55の真後ろの領域のうち障害部材55の中心からずれた領域において部分的に定常流となる。
【0077】
そして、上流側から障害部材55を見たとき、バイパス流路21の開口部21cの中心を、障害部材55の中心からずれた位置とすることにより、非定常流の影響を避け、上記した部分的な定常流をバイパス流路21に導入させることができる。
【0078】
そのため、本実施形態によれば、上記第4実施形態に比べて、障害部材55とバイパス流路21との距離を近くすることができ、設計自由度を大きくすることができる。
【0079】
なお、障害部材55の径方向の幅W3がバイパス流路21の開口部21cの幅W4よりも大きいこと、および、空気の流れ方向において障害部材55をその上流側から見たとき、障害部材55によってバイパス流路21の開口部21cが完全に隠れ、当該開口部21cが全く見えないようになっていることは、上記第4実施形態と同様である。
【0080】
(第6実施形態)
図9は、本発明の第6実施形態に係る流量測定装置S6の要部を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態にて上記図3に示した構成において、フローセンサ30の周囲にセンサ流路24が無いものであり、他は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
この場合も、フローセンサ30が配置される流路は、バイパス流路21でも吸気管100でも良い。これらバイパス流路21または吸気管100は、被測定気体としての空気をフローセンサ30へ導く導入通路として構成される。
【0082】
ここで、導入通路がバイパス流路21の場合は、障害部材50の支持構造は上記第1実施形態と同様に行うことができる。一方、導入通路が吸気管100の場合は、流量測定装置S6の本体の適所から障害部材50を延設することで、障害部材50を支持し吸気管100内に設置することが可能である。
【0083】
そして、本実施形態は、センシング部としてのフローセンサ30と、被測定気体をフローセンサ30へ導く導入通路21、100とを備える流量測定装置S6において、障害部材50は、その径方向の幅W1がフローセンサ30の厚さよりも大きくなっており、流体通路21、100中の空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってフローセンサ30が隠れている。
【0084】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様、障害部材50の下流側において、障害部材50の真後ろの領域では、ダスト60を含まない流れとなり、それ以外の領域すなわち障害部材50から外れた領域では、ダスト60を含む流れとなる。
【0085】
本例では、フローセンサ30および障害部材50は、導入通路21、100の中心部に位置しているため、ダスト60を含まない流れを導入通路21、100の中心部寄りに形成し、ダスト60を含む流れを導入通路21、100の周辺部寄りに形成したものになる。
【0086】
そして、本実施形態では、フローセンサ30の上流側に、障害部材50を、フローセンサ30が隠れるように配置しているから、フローセンサ30は障害部材50の真後ろに配置された形となる。そのため、フローセンサ30はダスト60を含まない流れのみにさらされ、ダスト60を含む流れにはさらされない。
【0087】
よって、本実施形態によれば、センシング部としてのフローセンサ30へダスト60が衝突するのを防止することができるため、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することができる。
【0088】
なお、本第6実施形態においても、被測定気体である空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、フローセンサ30の中心が、障害部材50の中心からずれた位置にあるようにしても良い。それによって、上記第3、第5実施形態と同様の理由から、障害部材50とセンシング部であるフローセンサ30との距離を近くすることができる。
【0089】
(第7実施形態)
図10は、本発明の第7実施形態に係る流量測定装置S7の要部を示す概略断面図である。本実施形態は、上記図9に示す第6実施形態にて、フローセンサ30が配置される導入通路をバイパス流路21とした場合に、上記第2実施形態(図4参照)と同様に、バイパス流路21に逃し穴21aを設けたものである。この逃し穴21a以外は、上記第6実施形態と同様である。
【0090】
図10に示すように、障害部材50の周囲に位置する導入通路としてのバイパス流路21の内壁には、空気(被測定気体)が障害部材50に当たったときに飛ばされる空気中のダスト60が排出される逃し穴21aが形成されている。
【0091】
それにより、上記第2実施形態にて述べたのと同様に、障害部材50に当たってはね飛ばされたダスト60が、バイパス流路21の内壁に当たって跳ね返り、障害部材50の下流側にて再びダスト60を含まない流れに進入するのを防止することができる。
【0092】
(第8実施形態)
図11は、本発明の第8実施形態に係る流量測定装置S8の要部を示す概略断面図である。上記各実施形態では、障害部材50、55は、被測定気体の流れに沿った断面の形状が円形であるものにしていたが、当該断面形状は特に限定されるものではない。
【0093】
ここで、図11に示す本実施形態の流量測定装置S8では、上記第1実施形態に示した流量測定装置(図3参照)において、障害部材50を、空気(被測定気体)の流れに沿った断面の形状が流線形であるものにしたことが相違点である。
【0094】
この流線形断面を有する障害部材50によれば、障害部材50に衝突した空気の流れが、障害部材50の直後において非定常流になりにくくなるか、あるいは非定常流にならずすぐに定常流となる。そのため、障害部材50とセンサ流路24との距離を、円形断面の障害部材の場合よりも近くすることができ、バイパス流路21自体の設計自由度を大きくできる。
【0095】
なお、障害部材50の径方向の幅W1がセンサ流路24の入口開口部24aの幅W2よりも大きいこと、および、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってセンサ流路24の開口部24aが完全に隠れ、当該開口部24aが全く見えないようになっていることは、上記第1実施形態と同様である。
【0096】
(第9実施形態)
図12は、本発明の第9実施形態に係る流量測定装置S9の要部を示す概略断面図である。図12に示す本実施形態の流量測定装置S9では、上記第4実施形態に示した流量測定装置(図7参照)において、障害部材50を、空気(被測定気体)の流れに沿った断面の形状が流線形であるものにしたことが相違点である。
【0097】
それによれば、上記第8実施形態と同様の理由から、障害部材50とバイパス流路21との距離を近くすることができ、設計自由度を大きくできる。
【0098】
(第10実施形態)
図13は、本発明の第10実施形態に係る流量測定装置S10の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S10は、上記第1実施形態に示した流量測定装置(図3参照)において、バイパス流路21内に障害部材50を設けず、代わりに空気中のダストをイオン化して捕獲する手段70、80を設けたところが第1実施形態と相違するものである。
【0099】
本実施形態は、フローセンサ30と、被測定気体である空気をフローセンサ30へ導く導入通路21、100とを備え、導入通路21、100におけるフローセンサ30の上流側に、空気中のダスト60をイオン化するイオン化部70と、イオン化されたダスト60aを捕獲する捕獲部80とが備えられていることを特徴とする。
【0100】
イオン化部70は、バイパス流路21内に対向して設けられた電極71、72と、両電極71、72間に電界を発生させるための電源73とを備え、両電極71、72間に発生する電界によってこの電界に入ってくるダスト60をイオン化し、イオン化されたダスト60aとする。
【0101】
捕獲部80は、バイパス流路21の外壁に対向して設けられた磁石81、82と、各磁石81、82に対応したバイパス流路21の内壁に設けられた集塵紙83とを備える。両磁石81、82によって発生する磁場Hによって、イオン化されたダスト60aはらせん状に動き、最終的には集塵紙83に吸い付いて捕獲される。
【0102】
このように、本実施形態によれば、イオン化されたダスト60aがセンシング部であるフローセンサ30の上流にて捕獲されて除去されるため、下流のフローセンサ30にはダスト60を含まない空気の流れが来る。よって、本実施形態によっても、被測定気体中のダスト衝突によるセンシング部の破損を防止することができる。
【0103】
(第11実施形態)
図14は、本発明の第11実施形態に係る流量測定装置S11の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S11は、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0104】
そして、本実施形態では、導入通路21、100における障害部材50の上流側に、空気(被測定気体)の流れ方向に略平行な少なくとも2つの面を有する整流板90が備えられている。
【0105】
それによれば、図14に示すように、空気流れに沿わず斜めに飛んでくるダスト60があっても、整流板90を通過することで障害部材50の前において空気ひいてはダストの流れをそろえることができる。もし、整流板90が無い場合、斜めに飛ぶダスト60が障害部材50を回り込んでフローセンサ30に衝突する可能性がある。
【0106】
その点、本実施形態では整流板90の作用によって、障害部材50にダスト60が当たりやすくなり、結果、センシング部であるフローセンサ30へのダスト衝突をより確実に防止することができ、好ましい。
【0107】
(第12実施形態)
図15は、本発明の第12実施形態に係る流量測定装置S12の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S12も、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0108】
そして、本実施形態では、導入通路21、100は、障害部材50の上流側からセンシング部であるフローセンサ30までに対応する部位が絞り形状となっている。すなわち、導入通路21、100には、障害部材50の上流側からフローセンサ30までに対応する部位に絞り部95が形成されている。
【0109】
導入通路21、100を絞ると流速が増加する等の利点がある。特にバイパス流路21を用いた場合、バイパス流路21内の流速が吸気管100内の流速よりも遅くなることがある。このことは感度の低下につながるので、センサ30付近に絞りを形成することで流速を上げる。
【0110】
しかし、この絞りを設ける場合、仮に、障害部材50の下流側にて絞りを設けると、障害部材50に当たったダスト60がその下流の絞り部にて再び方向が変わりフローセンサ30に衝突しやすくなる恐れがある。その点、本実施形態では、障害部材50の上流にて絞り部95を形成した形となるので、そのような問題は回避される。
【0111】
(第13実施形態)
図16は、本発明の第13実施形態に係る流量測定装置S13の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S13は、上記第11実施形態と第12実施形態とを組み合わせたものである。
【0112】
すなわち、図16に示すように、導入通路21、100における障害部材50の上流側には整流板90が備えられており、導入通路21、100は、整流板90の上流側からフローセンサ30までに対応する部位が絞り形状となっていることを特徴とする。
【0113】
もし、整流板の下流に絞りがあると整流板にて整えられたダストの流れが、絞り部にて方向が変わりやすくなるが、本実施形態では、整流板90および障害部材50の上流にて絞り部95を形成した形となるので、整流板90の整流作用および障害部材50によるダスト除去の効果が適切に発揮され、好ましい。
【0114】
(第14実施形態)
図17は、本発明の第14実施形態に係る流量測定装置S14の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S14も、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0115】
図17に示すように、本流量測定装置S14においては、導入通路21、100におけるフローセンサ30の上流側には第1の障害部材50が備えられ、フローセンサ30の下流側には第2の障害部材51が備えられており、空気の流れ方向において障害部材をその上流側から見たとき、第1の障害部材によってフローセンサ30が隠れており、第2の障害部材51をその下流側から見たとき、第2の障害部材51によってフローセンサ30が隠れている。
【0116】
本実施形態よれば、まず、フローセンサ30の上流側に第1の障害部材50を配置し、フローセンサ30を隠しているため、順流時においてフローセンサ30は第1の障害部材50の真後ろに配置された形となり、ダスト60を含む流れにはさらされない。
【0117】
また、例えばバイパス流路21や吸気管100に流量測定装置を設置して使用する場合、導入通路21、100内にて逆流が生じるときがある。その場合、図17に示すように、フローセンサ30の下流側からもダスト60が飛来してくることがある。
【0118】
ここで本実施形態では、フローセンサ30の下流側に第2の障害部材51を配置し、フローセンサ30が隠されているため、導入通路21、100内にて空気が逆流してもフローセンサ30は第2の障害部材51の真後ろに配置された形となり、ダスト60を含む流れにはさらされない。
【0119】
このように、本実施形態の流量測定装置S14によれば、導入通路21、100内の流れが順流か逆流かに関係なく、フローセンサ30へダスト60が衝突するのを防止することができるため、空気中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止することができる。
【0120】
さらに、フローセンサ30が順流と逆流との流れを測定するものである場合、障害部材がフローセンサ30の上流側のみにしか無い場合には、順流時と逆流時とで気体の流れ方が大きく異なるという問題がある。このような場合には、フローセンサ30のセンサ特性が順流時と逆流時とで大きく異なるので、検出回路が複雑になる等の問題にもつながる。
【0121】
その点、本実施形態では、フローセンサ30の上流側と下流側との両方に障害部材50、51を存在させているので、順流時と逆流時とで気体の流れ方を近いものにすることができるという利点もある。
【0122】
さらに、図示しないが、本実施形態においても、導入通路21、100における第1障害部材50の上流側および第2の障害部材51の下流側に、上記図14や図16に示したような整流板90を配置したものとしても良い。それによれば、本実施形態の流量測定装置S14において、上記した整流板90による効果を得ることができる。
【0123】
なお、本実施形態の流量測定装置S14において、図18の変形例に示すように、導入通路21、100に絞り部95を設け、フローセンサ30付近の流速を増加させてセンサ感度を向上させても良い。
【0124】
(第15実施形態)
図19は、本発明の第15実施形態に係る流量測定装置S15の要部を示す概略断面図である。本実施形態の流量測定装置S15は、上記図18に示した第14実施形態の流量測定装置において、障害部材50、51の構成を変形したものである。
【0125】
本実施形態の流量測定装置S15における障害部材50、51は、フローセンサ30を包み込む樹脂をフローセンサ30の上流側および下流側へ延長し、その延長した部分を障害部材50、51として構成したものである。この場合も、上記した障害部材と同様の効果を発揮することができる。
【0126】
(第16実施形態)
図20は、本発明の第16実施形態に係る流量測定装置S16の要部を示す概略断面図である。この流量測定装置S16も、フローセンサ30をバイパス流路21または吸気管100からなる導入通路21、100内に配置している。
【0127】
そして、本実施形態でも、導入通路21、100におけるフローセンサ30の上流側には、障害部材50が備えられており、空気の流れ方向において障害部材50をその上流側から見たとき、障害部材50によってフローセンサ30が隠れている。
【0128】
ここにおいて、本実施形態では、図20に示すように、障害部材50の外面とフローセンサ30の表面とを結ぶ線L1とフローセンサ30の表面とのなす角度のうち最大の角度θが5°以上であることを特徴とする。
【0129】
この角度θを5°以上とすることは、本発明者らの検討の結果、実験的に好ましい値として見出されたものである。図21に示すように、当該角度θと耐ダスト強度との関係を調べた結果、当該角度θが5°以上であれば、急激に耐ダスト強度が向上し十分な耐ダスト強度が得られることを実験的に見出した。
【0130】
よって、本実施形態によれば、被測定気体中のダスト衝突によるフローセンサ30の破損を防止するという効果をより確実に高いレベルにて実現することができる。
【0131】
なお、この角度θを5°以上とすることは、上記第14実施形態の流量測定装置のように、フローセンサ30の上流および下流にそれぞれ障害部材50、51を設けたものにおいても、同様に適用すれば、同様の効果があることは明らかである。
【0132】
(他の実施形態)
なお、センシング部としては、薄膜式のフローセンサ30に限定されるものではない。また、本発明の用途も、吸気流量測定に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流量測定装置の構成図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のA−A線に沿った概略断面拡大図である。
【図2】図1に示す流量測定装置を吸気管に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】上記第1実施形態における障害部材の作用説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図6】(a)は、本発明の第4実施形態に係る流量測定装置を吸気管に取り付けた状態にて示す概略断面図であり、(b)は(a)の下方から見た一部断面図である。
【図7】上記第4実施形態における障害部材の作用説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第10実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図14】本発明の第11実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第12実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第13実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図17】本発明の第14実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図18】上記第14実施形態の変形例としての流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図19】本発明の第15実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図20】本発明の第16実施形態に係る流量測定装置の要部を示す概略断面図である。
【図21】上記第16実施形態にいて角度θと耐ダスト強度との関係を調べた結果を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
21…バイパス流路、21a…逃し穴、21c…バイパス流路の開口部、
24…センサ流路、24a…センサ流路の入口開口部、
30…フローセンサ、50、51、55…障害部材、70…イオン化部、
80…捕獲部、90…整流板、100…吸気管、
θ…障害部材の外面とフローセンサの表面とを結ぶ線とフローセンサの表面と
のなす角度のうち最大の角度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定気体の流量測定を行うセンシング部(30)と、前記被測定気体を前記センシング部へ導く導入通路(21、100)とを備える流量測定装置において、
前記導入通路における前記センシング部の上流側には、前記被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第1の障害部材(50)が備えられ、前記センシング部の下流側には、前記被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第2の障害部材(51)が備えられており、
前記被測定気体の流れ方向において前記第1の障害部材をその上流側から見たとき、前記第1の障害部材によって前記センシング部が隠れており、前記第2の障害部材をその下流側から見たとき、前記第2の障害部材によって前記センシング部が隠れていることを特徴とする流量測定装置。
【請求項2】
前記導入通路(21、100)における前記第1障害部材(50)の上流側および前記第2の障害部材(51)の下流側には、前記被測定気体の流れ方向に略平行な少なくとも2つの面を有する整流板(90)が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
前記第1および第2の障害部材において、当該障害部材の外面と前記センシング部の表面とを結ぶ線と前記センシング部の表面とのなす角度のうち最大の角度(θ)が5°以上であることを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項1】
被測定気体の流量測定を行うセンシング部(30)と、前記被測定気体を前記センシング部へ導く導入通路(21、100)とを備える流量測定装置において、
前記導入通路における前記センシング部の上流側には、前記被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第1の障害部材(50)が備えられ、前記センシング部の下流側には、前記被測定気体の流れ方向に滑らかな断面形状を持った第2の障害部材(51)が備えられており、
前記被測定気体の流れ方向において前記第1の障害部材をその上流側から見たとき、前記第1の障害部材によって前記センシング部が隠れており、前記第2の障害部材をその下流側から見たとき、前記第2の障害部材によって前記センシング部が隠れていることを特徴とする流量測定装置。
【請求項2】
前記導入通路(21、100)における前記第1障害部材(50)の上流側および前記第2の障害部材(51)の下流側には、前記被測定気体の流れ方向に略平行な少なくとも2つの面を有する整流板(90)が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
前記第1および第2の障害部材において、当該障害部材の外面と前記センシング部の表面とを結ぶ線と前記センシング部の表面とのなす角度のうち最大の角度(θ)が5°以上であることを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−127662(P2007−127662A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334532(P2006−334532)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【分割の表示】特願2002−275680(P2002−275680)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【分割の表示】特願2002−275680(P2002−275680)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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