説明

流量計測装置

【課題】複数流路を用いて流量計測域を拡大すること。
【解決手段】流入路1から入ってくる流体は開成している開閉手段4を通過し計測手段5によりその流量を測定する。開閉手段4、計測手段5は制御手段6により制御されている。複数の流路は全部を開成すると大流量を流し、かつそれを計測することが可能であり、1つの流路のみ開成すれば小流量の場合に対応できる。このように微少流量から大流量までを流路を増減することにより高速で、精度よく測定することが可能になるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスなどの流体の流量を測定する流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の流量計測装置の一般的な例としては、ガスの使用量を計量するガスメータがある。従来ガスメータとしては、ガスメータ内の計量室にダイアフラム膜が設けられ、計量室の容量と膜の往復動作の回数によってガスの流量の計量が行われている。
【0003】
膜の往復運動を回転動に変換する往復ー回転変換機構を有するものが一般的に使用され、この往復ー回転変換機構によって得られる回転動により回転軸を回転させて積算カウンタを駆動し、ガス使用量を積算表示させるようになっている。
【0004】
通常この積算カウンタは機械的に動作するものであり、ガス流量に応じた電気信号を得ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の流量計測装置では大流量を計測しようとすると構造が大きくなり、また大きな構造では微少流量を測定しようとすると時間がかかり、精度がでないという課題を有していた。
【0006】
特に3リットル/時間のような微少な流量を計測する際に必要な分解能を高くすることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、前記複数の流路を開閉する開閉手段と、少なくとも1つの流路の流量を計測する計測手段と、前記開閉手段または計測手段に電源を供給する電源供給手段と、前記開閉手段と前記計測手段とを制御する制御手段と、を備え、前記計測手段は流路に設けられた超音波信号を送受信する第1振動子と第2振動子と、前記振動子へ周期的駆動振動を送出する送信回路と、前記振動子間の超音波の伝搬時間に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備え、前記制御手段は計測切り替え手段と1つのクロック手段を有し、計測切り替え手段は計測手段を時間的に切り替え、1つの制御手段で複数の計測手段から流量を測定しつつ複数の計測手段の動作を制御する際は前記クロック手段を基準に動作する構成としたものである。
【0008】
本発明によれば、制御手段内部の複数ある回路の簡略化と省電力化を実現することを可能にする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流量計測装置は、1つのクロック手段を有し、複数の計測手段の動作を制御する際は前記クロック手段を基準に動作する構成としたことにより、制御手段内部の複数ある回路の簡略化と省電力化を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の流量計測装置を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2の流量計測装置の計測手段を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態3の流量計測装置の制御手段を示すブロック図
【図4】同流路判定手段の処理を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態4の流量計測装置の制御手段を示すブロック図
【図6】同検定手段の処理を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態5の流路判定を示す流量特性図
【図8】同流路判定手段の処理を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態7の制御手段を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態8の制御手段を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態9の制御手段を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態10の制御手段を示すブロック図
【図13】本発明の実施の形態11の流量計測装置の制御手段を示すブロック図
【図14】同流量判定手段の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、流入口と流出口の間に設けた複数の流路と、前記複数の流路を開閉する開閉手段と、少なくとも1つの流路の流量を計測する計測手段と、前記開閉手段または計測手段に電源を供給する電源供給手段と、前記開閉手段と前記計測手段とを制御する制御手段とを備えたものである。本発明によれば、微少流量から大流量までを流路を増減することにより高速で、精度よく測定することが可能になる。
【0012】
第2の発明は、計測手段に流路に設けられた超音波信号を送受信する第1振動子と第2振動子と、前記振動子へ周期的駆動振動を送出する送信回路と、前記振動子間の超音波の伝搬時間に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えたものである。本発明によれば、広い流量範囲で瞬時に流量を精度良く測定することが可能になる。
【0013】
第3の発明は、制御手段に流路選択手段を有し、計測手段によって得られた流量に応じて前記流路選択手段は複数の開閉手段を切り替えるものである。本発明によれば、流量に応じた最適な流路を選択して精度よく流量を計測することが可能になる。
【0014】
第4の発明は、制御手段に検定手段を有し、前記検定手段は開閉手段が閉止している流路の流量を計測手段を用いて計測し、前記計測手段の検定を行うものである。本発明によれば、流量計測を行っていない流路で計測手段の検定を用いゼロ点を調節することにより次にこの流路を用いる時には測定系の安定度が良く、ずれの無い計測を可能にし、精度が不安定になることを防止することができる。
【0015】
第5の発明は、制御手段に流路切り替え判定手段を有し、計測手段のよって得られた流量に応じて複数の開閉手段を切り替える際、前記流路切り替え判定手段は、流路の増加または減少を判断する流量にヒステリシスを設けるものである。本発明によれば、流量の増減によって流路を切り替える際、切り替えを判断する流量が増加する場合と減少する場合で異なるため特定の流量近辺で流路切り替えが頻発するハンチング減少を無くし安定した計測を実現し、開閉手段の動作回数を減少することによる省電力化を可能にする。
【0016】
第6の発明は電源供給手段を電池とするものである。本発明によれば、電源を商用電源を用いずに電池としているため、防爆性を向上し、さらに外部からのノイズ伝搬の防止、電灯線を経由してくる雷サージの防止を可能にする。
【0017】
第7の発明は制御手段にタイミング発生手段を有し、複数の流路の流量を計測する際、前記タイミング発生手段を用いて計測手段の計測タイミングを該同時とするものである。本発明によれば、各流路の流量計測を該同時とすることにより該瞬時流量の合計値精度を向上するとともに、計測にかかる動作時間を短くすることで省電力化を図ることが可能になる。
【0018】
第8の発明は制御手段に1つのクロック手段を有し、複数の計測手段の動作を制御する際は前記クロック手段を基準に動作する構成としたものである。本発明によれば、制御手段内部の複数ある回路の簡略化と省電力化を実現することが可能になる。
【0019】
第9の発明は制御手段に電源監視手段を有し、計測時以外は前記電源監視手段を用いて計測手段への電源供給を停止する構成としたものである。本発明によれば、計測時以外に計測手段への電源供給を停止するため不要な電源を減少することができ省電力とシステムの長寿命化を実現することが可能になる。
【0020】
第10の発明は制御手段に計測切り替え手段を有し、前記計測切り替え手段は計測手段を時間的に切り替え、1つの制御手段で複数の計測手段から流量を測定するものである。本発明によれば、複数の計測手段を1つの制御手段で動作するため、システムの簡略化をはかり、回路ばらつきを減少することが可能になる。
【0021】
第11の発明は制御手段に流量判定手段を有し、複数の開閉手段を切り替える際、前記流量判定手段が少なくとも1つの開成している流路に流量があることを確認し、制御手段は閉止する流路の開閉手段を閉じるものである。本発明によれば、開閉手段を閉止する前に他の流路が開成しているかを判断するために開閉手段の故障などにより流路全体が閉止状態となり、計測装置全体が閉じてしまうことを回避できるため信頼性が向上し、安全に使用することが可能になる。
【0022】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
図1は流量計測装置のブロック図である。
【0024】
図1において1は流入路、2は流出路、3は流路、4は流路を開閉する開閉手段、5は流路の流量を計測する計測手段、6は前記開閉手段4、計測手段5を制御する制御手段、7は電源供給手段である。
【0025】
次に動作、作用について説明する。図1において、流路3は7本からなる構成とし、各流路にそれぞれ開閉手段4と計測手段5がとりつけられている。流入路1から入ってくる流体は開成している開閉手段4を通過し計測手段5によりその流量を測定する。開閉手段4、計測手段5は制御手段6により制御されている。
【0026】
そして個々の流路に対し開閉手段4は開成、閉止を行うことができる。そして開成した開閉手段4の存在する流路の計測手段5が流量を測定する。流入路1から流出路2までの総流量は個々の計測手段5の流量を制御手段6で合算して求める。
【0027】
複数の流路は全部を開成すると大流量を流すことが可能となり、かつそれを計測することが可能である。1つの流路のみ開成すれば小流量の場合に対応できる。
【0028】
このように開閉手段4を用いることにより流量等に応じた流路選択を容易にし流量域の広い範囲で計測を可能にできる。
【0029】
なお、流路3は均等な断面積の流路を複数本組み合わせることで汎用性を高めメンテナンスを容易にしてもよいし、また断面積を異なるようにし流量等によってその流路の最適な選択を行う構成としてもよい。本発明では流路を7本としているが別に取りたてて数字
に意味があるわけでもない。2本以上であれば何本でも良い。
【0030】
(実施例2)
以下、本発明の流量計測装置の実施例2について図面を参照しながら説明する。
【0031】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。
【0032】
図2に計測手段のブロック図を示す。図2において流路3の途中に超音波を発信する第1振動子11Aと受信する第2振動子11Bが流れ方向に配置されている。12は第1振動子11Aへの送信回路、13は第2振動子11Bで受信した信号の増幅回路で、この増幅された信号は基準信号と比較回路で比較され、基準信号以上の信号が検出されたとき設定された回数だけ繰り返し手段で遅延手段によって信号を遅延させた後超音波信号を繰り返し送信する。超音波の送信が設定された回数が繰り返されて終了したときの時間をタイマカウンタのような計時手段18で求める。次に切り替え手段19で第1振動子11Aと第2振動子11Bの発信受信を切り替えて、第2振動子11Bから第1振動子11Aすなわち下流から上流に向かって超音波を送信し、この送信を前述のように繰り返しの時間を計時する。そしてその時間差から流路の大きさや流れの状態を考慮して流量演算手段20で流量値を求める。
【0033】
このように計測手段5に超音波を用いることにより複数の流路3を組み合わせると広い流量範囲で瞬時に流量を精度良く測定することが可能になる。
【0034】
(実施例3)
以下、本発明の流量計測装置の実施例3について図面を参照しながら説明する。
【0035】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。
【0036】
図3に制御のブロック図を示す。図4に流路選択手段が行う処理を示すフローチャートである。
【0037】
図3において制御手段6は流量を計測する計測手段5からの信号を入力すると、流路選択手段21によって流量の応じた流路を判定し、その結果各流路に応じて設置されている開閉手段4の開閉を行う。ここでは説明のため流路を4本とし、各開閉手段は第1の開閉手段4Aから第4の開閉手段4Dまである。
【0038】
流路選択手段21の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。計測手段5からの流量信号を入力するとその流量をステップS100であらかじめ定めていた流量Aより少ないかを判断する。流量が少ない場合はステップS103で流路を3Aに設定する。またステップS101において流量がAより多くBより少ないかを判断し、合致する場合はステップS104で流路を3Aと3Bの2本に設定する。同様にステップS102において流量がBより多くCより少ないかを判断し、合致する場合はステップS105で流路を3A、3Bと3Cの3本に設定する。流量がCより多い場合はステップS106で流路を3A、3B、3Cと3Dの4本に設定する。
【0039】
このように流量に流量に応じた最適な流路または流路の数を選択することにより精度よく流量を計測することが可能になる。
【0040】
(実施例4)
以下、本発明の流量計測装置の実施例4について図面を参照しながら説明する。
【0041】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。
【0042】
図5に制御のブロック図を示す。図6は検定手段が行う処理を示すフローチャートである。
【0043】
図5において制御手段6は開閉手段4A、4Bの状態を判断して計測手段5A、5Bの検定を行う検定手段22を有している。ここでは流路を2つとして説明する。各流路に開閉手段4A、4Bが設置されている。流路3が1つだけ動作しているとき開閉手段4Aが開成している。この場合開閉手段4Bは閉止している。検定手段22はこの信号を入力すると開閉手段4Bに対応する計測手段5Bの検定を行う。例えば通常に流量を測定するが開閉手段4Bが閉止しているため流れは無いはずであり、流量として値がでてくると計測手段5Bおよび制御手段6のオフセットや誤差分があることになる。したがって、検定手段22はこれらの値を記憶しておき、実際に開閉手段4Bが開成し計測手段5Bが計測を行いはじめると前述した検定手段22で記憶した分を考慮して流量演算を行う。同様に開閉手段4Bが開成している時は開閉手段4Aが閉止し、計測手段5Aの検定を行っている。
【0044】
検定手段22の動作を図6のフローチャートを用いて説明すると開閉手段4Aが閉止しているかをステップS107で判定し、閉止している場合はステップ108で計測手段5Aの検定を行う。
【0045】
このように計測を行っていない計測手段5は休止しているのでなく次の動作に備えて検定を行うことにより、次にこの閉止していた流路3を用いる時には測定系の安定度が良く、ずれの無い計測を可能にし、精度が不安定になることを防止することができる。
【0046】
(実施例5)
以下、本発明の流量計測装置の実施例5について図面を参照しながら説明する。
【0047】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。また制御手段のブロック図は図3を用いる。図7が流路選択手段21における判断を示す特性図、図8は流路選択手段21が行う処理を示すフローチャートである。
【0048】
図3において制御手段6は流量を計測する計測手段5からの信号を入力すると、流路判定手段21によって流量の応じた流路を判定し、その結果各流路に応じて設置されている開閉手段4の開閉を行う。ここでは説明のため流路を3本とし、各開閉手段は第1の開閉手段4Aから第3の開閉手段4Cまである。
【0049】
流路選択手段21の動作を図7の流量特性図および図8のフローチャートを用いて説明する。流路1本あたり最大に流す流量をQ1とすると図7において横軸合計流量がX1(Q1と同じ)以上になると制御手段6の流路選択手段21は流路を4A、4Bの2本にする。さらに横軸合計流量がX2以上になると制御手段6の流路選択手段21は流路を4A、4B、4Cの3本にする。ステップS110で計測手段を用いて流量が増加しているかを判断し増加している場合はステップS111で流量を調べる。流量がQ1未満であればステップS115で流路を1本と判定し開閉手段4Aのみ開成動作するようにする。ステップS111で流量がQ1より多い場合ステップS112でさらに流量を判定しQ1の2倍未満であればステップS116で流路を2本と判定し開閉手段4A、4Bを開成する。
それ以上の流量がある場合はステップS117で流路を3本と判定し開閉手段4A、4B、4Cを開成する。
【0050】
反対にステップS110で流量が減少しているかと判断した場合はステップS113で流量を調べる。流量がY1未満であればステップS118で流路を1本と判定し開閉手段4Aのみ開成動作するようにする。ステップS113で流量がY1より多い場合ステップS114でさらに流量を判定しY2未満であればステップS119で流路を2本と判定し開閉手段4A、4Bを開成する。それ以上の流量がある場合はステップS120で流路を3本と判定し開閉手段4A、4B、4Cを開成する。
【0051】
このように増加時X1で切り替えるのが減少時はY1で切り替えるように流量を増加する場合と減少する場合で、その判定する流量を変化することにより、特定の流量近辺で流路切り替えが頻発するハンチング減少を無くし安定した計測を実現し、開閉手段の動作回数を減少することによる省電力化を可能にする。
【0052】
(実施例6)
以下、本発明の流量計測装置の実施例6について図面を参照しながら説明する。
【0053】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。
【0054】
図1において電力供給手段7に電池を用いる。ここで電池としては長寿命で取り扱いの容易なリチウム電池や入手が容易であるマンガン電池、または屋外で便利な太陽電池や、流体としてガスを用いる場合はそのガスを直接利用可能な燃料電池や、単純な鉛蓄電池などを用いることができる。なおその他の電池を用いても何ら問題は無い。
【0055】
このように流体を計測する装置の電源として電池を用いることにより、変圧手段等の機器を用いる必要がなくシステムとして小型に製造することが可能になり、さらに、電源を商用電源を用いずに電池としているため、防爆性の向上と、外部からのノイズ伝搬の防止、電灯線を経由してくる雷サージの防止を可能にする。
【0056】
(実施例7)
以下、本発明の流量計測装置の実施例7について図面を参照しながら説明する。
【0057】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。図9が制御手段のブロック図である。図9において制御手段6はタイミング発生手段23を有している。
【0058】
次に動作を説明する。複数の流路3の流量を計測するため各流路に計測手段5A、5B、5Cがある。ここでは流路を3本で説明する。制御手段6内にも各計測手段に対応して制御する計測制御手段24A、24B、24Cがある。ここで流入路1から流出路2までの瞬時流量を測定するためには各流路に流れる流量を一斉に同じタイミングで測定する必要がある。このためタイミング発生手段23が各計測制御手段24A、24B、24Cに一斉に計測を行うようにタイミングを合せる信号を送出する。各計測制御手段24A、24B、24Cはこの信号を基に計測を行うよう計測手段5を制御する。これにより計測手段5はほぼ同時に流路3内の流量を計測することが可能である。
【0059】
このように各流路の流量計測を該同時とすると該瞬時流量の合計値精度が向上するとともに、計測にかかる動作時間を短くすることで省電力化を図ることが可能になる。
【0060】
(実施例8)
以下、本発明の流量計測装置の実施例8について図面を参照しながら説明する。
【0061】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。図10が制御手段のブロック図である。図10において制御手段6はクロック手段25を有している。
【0062】
次に動作を説明する。複数の流路3の流量を計測するため各流路に計測手段5A、5B、5Cがある。ここでは流路を3本で説明する。制御手段6内にも各計測手段に対応して制御する計測制御手段24A、24B、24Cがある。またこれら複数の計測制御手段を統括する主制御手段26がある。
【0063】
これら主制御手段26と計測制御手段24にはクロック信号を基準として動作するロジック回路が含まれている。これらの回路は個々にクロック信号を有して動作しても何ら問題はないが各クロック間の干渉等が発生する可能性がある。これを回避する手段として制御手段6内に唯一のクロック手段25を有し、このクロック信号によって制御手段内部のロジック回路が動作するように構成する。これによりクロックパルスが同じ時系列で発生するために各計測制御手段内部での干渉や誤動作等の恐れがなくなる。
【0064】
さらに制御手段内部の複数ある回路の簡略化と省電力化を実現することが可能になる。
【0065】
(実施例9)
以下、本発明の流量計測装置の実施例9について図面を参照しながら説明する。
【0066】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。図11が制御手段のブロック図である。図11において制御手段6は電源供給手段7から開閉手段4に流れる電流を監視する電源監視手段26と電源開閉手段27を有している。
【0067】
次に動作を説明する。複数の流路3を有効無効にするため動作する開閉手段4は電磁弁等の電磁機器を使用することが多い。この時動作を保持するため保持電流を必要とするものもある。しかし、電源供給手段7としては電池等の電流容量の小さいものを用いることがあるため不要な電流は極力減らさなければならない。このため電源監視手段26を用い閉止し終わった開閉手段4や開成位置まで動作した開閉手段への電流を細めに監視し電源を入り切する。
【0068】
例えば開閉手段4Aが開成し終わっている場合は電源監視手段26が開閉手段4Aに関わる電源開閉手段27Aを遮断状態にして電流を流さない。同様に開閉手段4Bは閉止状態を維持している場合は電源開閉手段27Bを遮断状態で維持する。また開閉手段4Cが開閉から閉止状態に動作している場合はそれに対応する電源開閉手段27Cを連続通電状態にし電源供給手段7から電流が流れるようにする。
【0069】
この電源開閉手段としてはリレー等の機械的に開閉できるものや、電子的なスイッチング回路素子でもよい。ただし、もれ電流のほとんど無い回路構成にする必要がある。
【0070】
以上のように電源監視手段26を用いることにより、計測時以外に計測手段への電源供給を停止するため不要な電源を減少することができ省電力とシステムの長寿命化を実現することが可能になる。
【0071】
(実施例10)
以下、本発明の流量計測装置の実施例10について図面を参照しながら説明する。
【0072】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。図12が制御手段のブロック図である。図12において制御手段6は計測切り換え手段28を有している。
【0073】
次に動作を説明する。複数の流路3の流量を計測するため各流路に計測手段5A、5B、5C、5Dがある。ここでは流路を4本で説明する。
【0074】
通常は制御手段6内にも各計測手段に対応して制御する計測制御手段を構成するが、その場合計測制御手段間のばらつき等が発生する可能性がある。
【0075】
このため計測制御を行う個所を主計測制御手段29とし、この主計測制御手段29と各計測手段5A、5B、5C、5Dの間に計測切り換え手段28を配置する。これにより各流路の流量を計測する場合、計測切り換え手段28が主計測制御手段29と計測手段5の間を接続し、個々に計測を行うようにする。流量によっては開成動作し有効な流路が1つの場合もあり、この場合は他の流路の計測は行う必要が無く、計測制御手段が計測手段の個数必要でもない。計測切り換え手段28を設置することにより複数の計測手段を1つの制御手段で動作するため、システムの簡略化をはかり、回路ばらつきを減少することが可能になる。
【0076】
(実施例11)
以下、本発明の流量計測装置の実施例11について図面を参照しながら説明する。
【0077】
本実施例の構成を示すブロック図は実施例1と同じ図1を用いる。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。図13が制御手段のブロック図である。図13において制御手段6は流量判定手段30を有している。図14は前記流量判定手段30の処理を説明するフローチャートである。
【0078】
次に動作を説明する。複数の流路3を選定して流体を流す場合の動作で、各流路に計測手段5A、5B、5C、5Dがある流路を4本で説明する。
【0079】
各流路に個々に設けられている開閉手段4Aから4Cは制御手段6により開閉を操作制御されている。ここで流路を切り替えたり流路を増減する場合、開閉手段に開閉の信号を送出しているだけでは、本当に動作しているかの信頼性が確定できなかったり、また開成や閉止の動作が行われている最中に他の開閉手段の動作を行う可能性がある。
【0080】
この場合、例えば開閉手段4B、4C、4Dが閉止していて4Aのみ開成している場合、流路を変更するために開閉手段4Bを開成したいときのフローチャートを併せて考えてみる。今開閉手段4Aのみ開成しているのだから、計測手段5Aのみ流量を計測でき他の計測手段5B、5C、5Dは上流にある開閉手段4B、4C、4Dが閉止しているため流量は無い。ステップ121で切り替え動作が必要となった場合、ステップS122で開閉手段4Bが開成しているかを調べる。これは計測手段5Bに流量信号があるとこの流路が開成していると判断する。で開閉手段4Bが開成しているとステップS123で開閉手段4Aを閉止し、最終的に流路を切り替えたことになる。ステップS122で開閉手段4Bが開成していない場合はステップS124で開閉手段4Bを開成してから開閉手段4Aを閉止する。
【0081】
このように流路を閉止する場合他の流路に流れが必ず存在することを確認してから動作を行うため流量計測装置としては全閉になることを回避できるため信頼性が向上し、安全
に使用することが可能になる。
【0082】
なお、ここでは計測手段により他の流路が開成したことを確認しているが単に開閉手段の状態を制御手段6で判断し、常に少なくとも1つの他の開閉手段が開成していることを確認してから閉止動作を行うようにしても良い。
【0083】
以上の説明から明かなように本発明の実施例における流量計測装置によれば次の効果が得られる。
【0084】
(1)流路を複数にすることにより微少流量から大流量までの流量計測が可能になる。
【0085】
(2)計測手段に超音波を用いることにより複数の流路を組み合わせると広い流量範囲で瞬時に流量を精度良く測定することが可能になる。
【0086】
(3)流量に流量に応じた最適な流路または流路の数を選択することにより精度よく流量を計測することが可能になる。
【0087】
(4)計測を行っていない計測手段は休止しているのでなく次の動作に備えて検定を行うことにより、次にこの閉止していた流路を用いる時には測定系の安定度が良く、ずれの無い計測を可能にし、精度が不安定になることを防止することができる。
【0088】
(5)流量増加時と減少時で流路を切り替える際、その判定する流量を変化することにより、特定の流量近辺で流路切り替えが頻発するハンチング減少を無くし安定した計測を実現し、開閉手段の動作回数を減少することによる省電力化を可能になる。
【0089】
(6)に流体を計測する装置の電源として電池を用いることにより、変圧手段等の機器を用いる必要がなくシステムとして小型に製造することが可能になり、さらに、電源を商用電源を用いずに電池としているため、防爆性の向上と、外部からのノイズ伝搬の防止、電灯線を経由してくる雷サージの防止が可能になる。
【0090】
(7)各流路の流量計測を該同時とすると該瞬時流量の合計値精度が向上するとともに、計測にかかる動作時間を短くすることで省電力化を図ることが可能になる。
【0091】
(8)制御手段内部の1つのクロック手段でロジック回路が動作するように構成するためクロックパルスが同じ時系列で発生し、各計測制御手段内部での干渉や誤動作等の恐れがなくなるとともに、制御手段内部の複数ある回路の簡略化と省電力化を実現することが可能になる。
【0092】
(9)電源監視手段を用いることにより、計測時以外に計測手段への電源供給を停止するため不要な電源を減少することができ省電力とシステムの長寿命化を実現することが可能になる。
【0093】
(10)計測切り替え手段28を設置することにより複数の計測手段を1つの制御手段で動作するため、システムの簡略化をはかり、回路ばらつきを減少することが可能になる。
【0094】
(11)流路を閉止する場合他の流路に流れが必ず存在することを確認してから動作を行うため流量計測装置としては全閉になることを回避できるため信頼性が向上し、安全に使用することが可能になる。
【符号の説明】
【0095】
1 流入路
2 流出路
3 流路
4 開閉手段
5 計測手段
6 制御手段
7 電力供給手段
11 振動子
12 送信手段
13 受信手段
18 計時手段
19 切り替え手段
20 流量演算手段
21 流路選択手段
22 検定手段
23 タイミング発生手段
25 クロック手段
26 電源監視手段
28 計測切り換え手段
30 流量判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と流出口の間に設けた複数の流路と、
前記複数の流路を開閉する開閉手段と、
少なくとも1つの流路の流量を計測する計測手段と、
前記開閉手段または計測手段に電源を供給する電源供給手段と、
前記開閉手段と前記計測手段とを制御する制御手段と、を備え、
前記計測手段は流路に設けられた超音波信号を送受信する第1振動子と第2振動子と、前記振動子へ周期的駆動振動を送出する送信回路と、前記振動子間の超音波の伝搬時間に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備え、前記制御手段は計測切り替え手段と1つのクロック手段を有し、計測切り替え手段は計測手段を時間的に切り替え、1つの制御手段で複数の計測手段から流量を測定しつつ複数の計測手段の動作を制御する際は前記クロック手段を基準に動作する構成とした流量計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−185889(P2010−185889A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126777(P2010−126777)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2006−256670(P2006−256670)の分割
【原出願日】平成10年4月1日(1998.4.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】