浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラム
【課題】浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することが可能な記録票を浄化槽の構成に応じて出力することが可能な浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムの提供。
【解決手段】浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段51と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段52と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段54と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段55と、記録票を出力する出力手段56とを有する。
【解決手段】浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段51と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段52と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段54と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段55と、記録票を出力する出力手段56とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人住宅や地域に分散する施設等の浄化槽を巡回して点検、保守、検査や清掃など(以下、「点検等」と称す。)を行い、その場で報告書等の作成作業を行って管理するための浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道は古くから発達してきており、人社会にとって不可欠のものである。下水道については、環境の汚染を防止する意味で、今日では特に重要なものとなっている。汚水を受け入れてから処理して排水するまでの汚水処理システムとして、大都市では大規模な下水システムが発達しているが、建物や施設が分散している地域ではコストの面から大規模な下水道を敷設するのは困難であり、分散型の浄化槽システムが使われることが多くなっている。
【0003】
個人住宅や地域の施設で使われる浄化槽システムは、処理能力や処理内容によって構成が様々であり、また同じような規模であっても用いられる機器のメーカなどが異なるため、ほとんどの浄化槽は構成が異なっているといっても過言ではない。一方、浄化槽は1年に数回は点検し、状況に応じて清掃、調整などの保守を行うことが義務づけられており、その実務は地域の組織や企業に委託されている。そして複数の企業が分担して管理をしていることが多い。このような背景にあって、従来の浄化槽の管理は次のようにして行われている。
【0004】
個人住宅や地域の施設等が建設されて浄化槽が設置されると、その浄化槽の処理能力や処理内容、規模、構成に基づいて管理すべき事項がリストアップされ、管理用の浄化槽チェックリストが作成される。その場合、用いる設備、機器を一つ一つ洗い出して各々について管理すべき事項をリストアップしている。こうして作成された各々の浄化槽の浄化槽チェックリストが管理を委託された企業の管理棟に保存され、管理するときに持ち出して使われる。
【0005】
浄化槽を管理するときは、委託された企業が1日で管理する複数の浄化槽の浄化槽チェックリストを抽出し、作業者がそれを持って巡回用の車に乗り、巡回する。巡回するときは始めに浄化槽の巡回順序を決め、その順番で巡回する。浄化槽の設置場所に着くと、その浄化槽に該当するシートを選択し、表示されている項目ごとに管理のための作業を実施する。そして、シートの当該箇所に実施した旨を記入し、全項目が終わるまで同じことを繰り返す。
【0006】
依頼元から料金を受け取った場合は、料金を収納したことも浄化槽チェックシートに記載する。浄化槽の管理が終わると、リストを見て管理が終わっていない次の順番の浄化槽を見出し、その場所を探して車で移動する。そして前の浄化槽と同様の作業を繰り返して管理する。リストに記載された全ての浄化槽の管理を終えると、持ちかえって浄化槽チェックシートの整理をして、その後のために必要とする集計等の計算をする。水質検査機関による浄化槽の検査についても同様の手順により行う。
【0007】
本発明者は、上記浄化槽チェックシートを効率よく、確実に作成できるようにするとともに、浄化槽の管理を、安全で確実に、かつ効率よくできるようにすることを目的として、特許文献1に記載の浄化槽管理システムを開発している。この浄化槽管理システムによれば、作業者の携帯用入出力端末に作業項目が順番通りに表示されるため、作業者はその表示されたとおりにその項目の作業を実施することができる。
【特許文献1】特開2002−230145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この浄化槽管理システムでは、作業終了時に作業内容を記録した記録票(図13参照。)を現場で発行するが、浄化槽の設置者(使用者)は実際に浄化槽のどの部分を点検等したか分かりにくい。浄化槽の設置者は浄化槽についての知識が乏しいうえ、前述のようにほとんどの浄化槽は構成が異なっているので浄化槽の各部の区別が付かない。そのため、記録票についても浄化槽ごとに配置が異なっており、浄化槽に精通した専門家でなければ浄化槽のどの部分を点検、清掃等したか、把握することができない。
【0009】
そこで、本発明においては、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することが可能な記録票を浄化槽の構成に応じて出力することが可能な浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の浄化槽管理装置は、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、記録票を出力する出力手段とを有する。
【0011】
本発明の浄化槽管理装置によれば、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力すると、この入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報が、浄化槽の構成図上に、自動的に、浄化槽の構成に合わせて各構成部の内容を示す情報とともに重ねて配置された記録票が出力される。なお、本発明において浄化槽とは、浄化槽本体をいう他、浄化槽に至る配管、機器、装置や建物等を含めた浄化槽システムの全体をいうものとする。したがって、浄化槽を構成する各構成部とは、浄化槽本体を構成する各処理槽をいう他、浄化槽に至る配管、機器、装置や建物等の各付属部をいう。
【0012】
ここで、本発明の浄化槽管理装置は、浄化槽の概略構成を示す構成図を、浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段を有することが望ましい。これにより、本発明の浄化槽管理装置により出力される記録票は、各構成部の内容を示す情報と各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報とが、各浄化槽の構成に合わせて自動的に作成された構成図上に配置されたものとなる。なお、浄化槽の概略構成を示す構成図は、予め浄化槽の構成におおよそ合わせて作成されたものを記憶手段に記憶しておく構成とすることも可能である。
【0013】
本発明の浄化槽管理プログラムは、コンピュータを、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、記録票を出力する出力手段として機能させるためのものである。この浄化槽管理プログラムを実行したコンピュータによれば、上記本発明の浄化槽管理装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0014】
(1)浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、記録票を出力する出力手段とを有することにより、各構成部の管理事項に対応する点検等の作業の実施状況を示す情報が、浄化槽の構成図上に、自動的に、浄化槽の構成に合わせて各構成部の内容を示す情報とともに重ねて配置された記録票が出力される。この記録票によれば、配置が異なる浄化槽についても、各構成部の内容を示す情報とその各構成部の点検等の作業の実施状況を示す情報とが、各浄化槽に応じた構成図上に重ねて表示されるので、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することが可能となる。
【0015】
(2)浄化槽の概略構成を示す構成図を、浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段を有することにより、各構成部の内容を示す情報と各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報とが、各浄化槽の構成に合わせて自動的に作成された構成図上に配置された記録票が出力される。この記録票によれば、各浄化槽の内容を示す情報とこの各浄化槽の点検等の作業の実施状況を示す情報と各浄化槽の構成図との配置が、必ず一対一で対応するので、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所をより容易に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の実施の形態における浄化槽チェックシートの作成方法を説明するための図である。同図(a)は、作成するチェックシートの対象となっている浄化槽Aの構成例を示している。同図(a)に示すように、浄化槽Aは、沈殿分離槽a、接触ばっ気槽b、沈殿槽cおよび消毒槽dの各処理槽からなり、汚泥等は図中の矢印に示すような経路で流れる。同図(b)は浄化槽の点検、保守、検査、清掃等の管理作業に用いられるチェックシートを格納した浄化槽チェックシートデータベースBの構成を示している。同図(c)は本実施形態における作成方法によって作成された浄化槽Aのチェックシートを示している。浄化槽チェックシートデータベースBに格納されたチェックシートは、それぞれ、管理すべき事項が、管理する順番も勘案して記載されている。
【0017】
本実施形態においては、まず、浄化槽に用いられるあらゆる装置毎に管理すべき事項をリストアップし、その順序を決めてチェックシートa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1等を作る。次に、こうして作ったチェックシートa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1等を集めて浄化槽チェックシートデータベースBに格納しておく。浄化槽Aの管理を開始する際、沈殿分離槽a、接触ばっ気槽b、沈殿槽c、消毒槽dに対応する四つのチェックシート、すなわち、沈殿分離槽のチェックシートa1、接触ばっ気槽のチェックシートb1、沈殿槽のチェックシートc1、消毒槽のチェックシートd1、を浄化槽チェックシートデータベースBから抽出する。そして、抽出された四つのチェックシートを各処理槽の管理順序を勘案して並べ、浄化槽AのチェックシートA1を作成する。
【0018】
上記の例は、浄化槽Aの構成や配置等が変わらない場合を示したが、浄化槽管理者が浄化槽Aをみてから、管理の面で浄化槽の構成や各処理槽の配置等が適切でないと判断する場合があるので、そのような場合は、浄化槽Aを構成する4つの各処理槽の仕様を変えたり、配置を変えたりし、管理する上で好適なものとすることができる。
【0019】
図2は予め作成された(a)標準浄化槽チェックシートと、本実施形態における作成方法により作成された(b)浄化槽チェックシートを示している。個人住宅や地域の施設で使われる浄化槽システムは、処理能力や処理内容によって構成が様々であり、また同じような規模であっても用いられる機器のメーカなどが異なるため、ほとんどの浄化槽は構成が異なっているといっても過言ではない。そこで、本実施形態においては、広く使われる浄化槽の中から標準的な構成を有するいくつかの浄化槽を決めておき、その標準浄化槽の点検や保守などの管理事項を決めたチェックシートを始めに作成しておく。その管理事項の順番についても、効率よく実施できるよう順番を十分検討して決めておく。このようにして予め定められた多数の標準浄化槽チェックシートの一例が図2の(a)である。
【0020】
新しく浄化槽の管理をすることになり、その構成等からみて最も近いということで選ばれた標準浄化槽のチェックシートが(a)であったとする。このチェックシートには標準浄化槽の管理事項が記載され、(1)駐車、(2)挨拶、から(13)完了通知比較、まで順番も決められている。管理事項の中には下位の管理事項が決められているものもある。例えば、(2)挨拶、については、(201)異常臭気、から(207)設置者に報告、までの下位事項が順番に決められている。新しい浄化槽の浄化槽チェックシートを作るときは、この標準浄化槽チェックシートの管理事項が異なっているところを修正すればよく、この例の場合、標準浄化槽チェックシートの(205)流入管路、マンホール周辺路面の異常、(501)水質測定器の調整、が削除され、新たに(610)ブロワ、(611)換気装置、(711)ブロワ、(712)換気装置、が追加され(b)の浄化槽チェックシートが作られている。このように、予め作られた多数の標準浄化槽チェックシートから構成等が最も近い浄化槽のチェックシートを抽出して修正すれば新規に管理する浄化槽のチェックシートができあがるので、漏れが少なくなり、作成する時間も短時間で済む。
【0021】
図3は本発明の実施の形態における浄化槽管理システムの概要を説明する図、図4はその構成を示すブロック図、図5は本システムで使われるファイルの構成を示す図、図6は本システムによる浄化槽管理手順を示すフロー図である。
【0022】
図3および図4において、管理用計算機1は、入力装置11、出力装置12、表示装置13、中央処理装置14、記憶装置15から構成され、浄化槽の管理を委託された企業の管理棟10に設置される。記憶装置15には浄化槽の管理に用いる元管理ファイル16が格納されており、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。元管理ファイル16には当該企業が管理を委託されている浄化槽の浄化槽チェックシートが全て含まれている。元管理ファイル16のデータは、入力装置11からデータを入力して書き換えることができ、データの一部を表示装置13に表示したり、プリンタや外部記憶装置などの出力装置12に出力したりすることができる。中央処理装置14は、記憶装置15に格納された管理用のアプリケーションプログラムを起動すると、元管理ファイル16の処理に関係する全ての機能を管理用計算機1に付加することができる。
【0023】
モバイル計算機2は、入力装置21、出力装置22、表示装置23、中央処理装置24、記憶装置25から構成され、巡回用の車20に搭載される。記憶装置25には元管理ファイル16の一部がダウンロードされて子管理ファイル26として格納され、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。子管理ファイル26のデータは、データの一部を表示装置23に表示することができるようになっている。中央処理装置24は、記憶装置25に格納された管理用のアプリケーションプログラムを起動すると、子管理ファイル26の操作に関係する全ての機能をモバイル計算機2に付加することができる。
【0024】
携帯用入出力端末3は、入力装置31、表示装置33、中央処理装置34、記憶装置35から構成される。記憶装置35には子管理ファイル26の中から1つの浄化槽チェックシート361(図5参照。)がダウンロードされ孫管理ファイル36として格納されており、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。浄化槽チェックシート361のデータの一部は表示装置33に表示することができるようになっている。中央処理装置34は、記憶装置35に格納された管理用のアプリケーションプログラムを起動すると、浄化槽チェックシート361の表示とデータ入力に関係する全ての機能を携帯用入出力端末3に付加することができる。
【0025】
管理用計算機1とモバイル計算機2とを有線または無線で接続すると、元管理ファイル16の中から一部の浄化槽チェックシートをダウンロードしてモバイル計算機2の子管理ファイル26としたり、子管理ファイル26の更新された子管理ファイルを元管理ファイル16にアップロードしたりすることが可能となる。また、モバイル計算機2と携帯用入出力端末3とを有線または無線で接続すると、子管理ファイル26の中から1つの浄化槽管理ファイル361をモバイル計算機2から携帯用入出力端末3にダウンロードしたり、データを入力して更新された浄化槽チェックシート361を含む孫管理ファイル36を子管理ファイル26にアップロードしたりすることが可能となる。
【0026】
図5は、元管理ファイル16と子管理ファイル26、孫管理ファイル36の関係を示している。元管理ファイル16は当該企業が管理を委託されている全ての浄化槽チェックシート161が含まれており、図の例では1000個の浄化槽チェックシートが含まれている場合が示されている。子管理ファイル26は元管理ファイル16の中から1日に巡回して管理する浄化槽のチェックシート261が取り出されて格納されており、図の例では100個の浄化槽チェックシートが含まれている場合が示されている。この100個は、1000個の浄化槽チェックシート161のうち、1個目から順に100個目まで取り出したものではなく、巡回する日の管理対象となっている100ヶ所の浄化槽に対応する100個が選択され取り出されている。孫管理ファイル36は、子管理ファイル26の中から取り出された1個の浄化槽チェックシート361だけを含んでおり、管理をする浄化槽のところにたどり着いたとき、管理をするその浄化槽に対応する1個の浄化槽チェックシート361を含んでいるのである。
【0027】
次に、図2に戻って、(b)の浄化槽チェックシートについて説明する。このチェックシートは管理する浄化槽の管理事項が順を追って記載されており、大項目と下位の小項目を含んで記載されている。具体的には、巡回車で浄化槽のところに到着した後になすべきことを、番号を追って順に示されており、ある浄化槽の例として示すと次のようになっている。
【0028】
(1)巡回車を適当な駐車場所に駐車する。
(2)浄化槽の持ち主あるいは管理者に挨拶し、目視により確認できる事項のチェックをする。この項目には下位の項目があり(201)異常臭気のチェック、(202)異常騒音のチェック、(203)浄化槽周辺の異常のチェック、(204)点検口の開放状態の確認、(205)安全措置の確認、(206)設置者への報告、の順に実施することが示されている。
(3)浄化槽に対応する管理記録票を確認する。
(4)動力盤や制御盤等の電気設備を点検する。この項目には下位の項目があり、(401)故障表示のチェック、(402)各機器の異常電流のチェック、(403)各機器に設けられたスイッチの設定異常のチェック、(404)水道メータ等の点検、(405)電灯、分電盤の異常のチェック、(406)異常個所の点検、の順に実施することが示されている。
(5)浄化槽に注入する薬液等の調整をして浄化槽を管理する準備をする。この項目には下位の項目があり、(501)点検用器具の準備、を実施することが示されている。
(6)複数ある処理槽のそれぞれについて、単位装置の点検と水質測定をする。この項目には下位の項目があり、(601)油脂分離槽、(602)原水ポンプ槽、(603)放流管渠、(604)放流ポンプ槽、(605)消毒槽、(606)沈殿槽、(607)接触ばっ気槽、(608)嫌気ろ床槽第2室、(609)嫌気ろ床槽第1室、(610)ブロワ、(611)換気装置、の順に点検を実施することが示されている。
(7)複数ある処理槽のそれぞれについて、単位装置の保守をする。この項目には下位の項目があり、(701)流入管渠、(702)油脂分離槽、(703)原水ポンプ槽、(704)放流管渠、(705)放流ポンプ槽、(706)消毒槽、(707)沈殿槽、(708)接触ばっ気槽、(709)嫌気ろ床槽第2室、(710)嫌気ろ床槽第1室、(711)ブロワ、(712)換気装置、の順に点検を実施することが示されている。
(8)保守作業をした結果の状況についてチェックをする。
(9)各処理槽の点検口を密閉する。
(10)動力盤や制御盤等の電気設備の状況を確認する。
(11)後片付けをして整理整頓し、掃除をする。
(12)前回の管理結果と比較し、記録の整理をする。
(13)完了通知をする。
【0029】
次に、図6のフロー図に従って、本実施形態における浄化槽管理システムによる浄化槽の管理方法について説明する。
【0030】
(S1)浄化槽の管理を始める時、まず、管理棟10にある管理用計算機1とモバイル計算機2を有線または無線で接続し、管理用計算機1の記憶装置15に格納された元管理ファイル16の中から、その日に巡回する浄化槽あるいは数日間に巡回する全ての浄化槽のチェックシート261をダウンロードし、子管理ファイル26として記憶装置25に格納する。そしてモバイル計算機2を巡回用の車20に搭載する。
(S2)モバイル計算機2を起動すると、子管理ファイル26に含まれる情報に基いて、浄化槽4の所在地又は地図情報を含む位置情報が表示装置23に表示され、表示された指示に従い、作業者が浄化槽4へ向かう。
【0031】
(S3)点検する浄化槽4のところに到着すると、モバイル計算機2と携帯用入出力端末3を有線または無線で接続し、その浄化槽のチェックシート361だけをモバイル計算機2からダウンロードして携帯用入出力端末3の記憶装置35に格納する。
(S4)作業者が携帯用入出力端末3を持って車から降り、浄化槽のところに移動する。
(S5)携帯用入出力端末3を起動させると、浄化槽チェックシート361のうち、最初の作業項目が表示され、2回目以降であれば、順番どおりの作業項目が表示される。
【0032】
ここで、携帯用入出力端末3の表示装置33には、各作業項目の実施サイクルに応じて、その回の作業が必要なものについてのみ表示され、不要なものについては表示されない。これは、前述の制御プログラムの動作によるものである。各作業項目の実施サイクルは、例えば、絶縁抵抗の点検・保守のような年1回や、堆積汚泥の生成状況の点検・保守のような月1回等の期間の条件が定められている。
【0033】
本実施形態における浄化槽管理システムでは、後述のように作業の実施状況の全データがモバイル計算機2を経て管理用計算機1にアップロードされ、管理されていることから、次に管理用計算機1からモバイル計算機2を経て携帯用入出力端末3にダウンロードされるデータには前回の作業日、すなわち各作業項目の最終作業日が含まれている。そこで、携帯用入出力端末3はこの最終作業日から今回の作業日までの経過日数に基づいて、各作業項目のうち、その回の作業対象となっている項目のみを表示装置33に表示する。図7(a)は表示装置33に表示される画面の遷移例を示している。
【0034】
(S6)作業者は携帯用入出力端末3の表示装置33に表示されたとおりに、その項目の作業を実施する。作業者は、上述のように実施サイクルが異なる作業項目については、自動的にその作業項目の表示または非表示が切り替えられて携帯用入出力端末3の表示装置33に表示されるため、実施サイクルによってはその回の作業が必要なものまたは不要なものについて自分で判断する必要がない。
【0035】
(S7)表示された作業を実施した場合は、実施したということを携帯用入出力端末3の入力装置31から入力し、浄化槽チェックシート361の関係箇所に記入する。
(S8)携帯用入出力端末3が、浄化槽チェックシート361の全項目が終わったかどうかを判断する。
(S9)全項目が終了していなければ、(S5)に移行してその後の手順を繰り返す。
【0036】
(S10)全項目が終了していれば、作業者が携帯用入出力端末3を巡回用の車20に持ち帰り、データが入力されて更新された浄化槽チェックシート361をモバイル計算機2にアップロードする。これで1ヶ所の浄化槽の点検を終える。なお、全項目の作業を終了してときに、浄化槽管理の依頼元から料金の支払いがあれば、その情報も携帯用入出力端末3に入力して浄化槽チェックシートに付加される。
【0037】
(S11)次に、次の点検地が残っているかどうかをモバイル計算機2が判断する。
(S12)残っていれば、モバイル計算機2が所在地または地図情報を含む位置情報を表示する次の点検地に巡回用の車20で移動し、(S3)に移行してその後の手順を繰り返す。
(S13)次の点検地が残っていなければ、その日に管理する全ての浄化槽についてなすべき作業が終了しているので、管理棟10に戻ってモバイル計算機2の子管理ファイル26を管理用計算機1にアップロードする。
(S14)これでその日に管理された作業の実施状況の全データが記憶装置15の元管理ファイル16にアップロードされ、その後の処理・手続き等に必要な計算等が適宜行われる。
【0038】
なお、(S1)と(S12)のところで次の点検地へ移動する時の点検地の巡回順序は、効率よく巡回できるように予め決められており、その情報は子管理ファイル26に含まれている。その順路は地理的位置関係や、交通事情、道路事情などが勘案され、最も効率のよい順路が決められている。
【0039】
以上述べたように、本実施形態における浄化槽管理システムでは、およそ、1日分の浄化槽のデータあるいは各作業者が巡回を担当する数日間分の浄化槽のデータをモバイル計算機2にダウンロードするとモバイル計算機2の指示に従って巡回し、モバイル計算機2から浄化槽4のデータを携帯用入出力端末3にダウンロードして、その指示に従って管理をする、というようになっている。したがって、作業者による管理が漏れなく確実に行なわれるのである。
【0040】
図7は本発明の別の実施形態を示すブロック図、図8はその手順を示すフロー図であり、携帯用入出力端末3が図3、図4のモバイル計算機2と携帯用入出力端末3の機能を兼ね備えた場合を示している。この図の携帯用入出力端末3の記憶装置35には、図4に示すモバイル計算機2の子管理ファイル26が格納されており、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。図8のフローチャートに示すこのシステムの動作手順は、図6のフローチャートにあるモバイル計算機2の機能を携帯用入出力端末3に付加した場合と同じになっているので、詳細な説明は省略して動作手順の大筋について説明する。
【0041】
管理用計算機1の元管理ファイル16の中から、その日に巡回して管理する浄化槽のチェックシートをダウンロードし、携帯用入出力端末3の記憶装置35に格納して子管理ファイル26とすると、携帯用入出力端末3を巡回用の車20に搭載し、点検地の所在地または地図情報を表示して点検地へ移動する。到着すると、作業者が浄化槽のところへ携帯用入出力端末3を持ち出し、順を追ってその浄化槽のチェックシートにある作業項目を表示し、作業を実施する。そして実施した結果を携帯用入出力端末3に入力して、浄化槽チェックシートを更新し、子管理ファイル26を更新する。このように携帯用入出力端末3だけを持ち出して浄化槽の管理をしており、前者のものに比べて操作が簡単になっている。
【0042】
次に、上記構成の浄化槽管理システムにより出力する記録票について説明する。
本実施形態における浄化槽管理システムでは、上記のように浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する点検等の作業を実施し、それぞれの作業の実施状況を示す情報等を入力した後、携帯用入出力端末3から点検等の作業についての記録票を出力することができる。なお、モバイル計算機2および管理用計算機1からも同様の記録票を出力することができるが、以下では携帯用入出力端末3を例にとって説明する。
【0043】
図9はこの記録票出力機能を備えた携帯用入出力端末3の構成を示すブロック図である。この場合において携帯用入出力端末3は、浄化槽管理プログラムを実行するコンピュータであり、後述する入力手段51と、記憶手段52と、構成図作成手段53と、記録票作成手段54と、実施状況配置手段55と、出力手段56として機能する。また、この携帯用入出力端末3には、出力手段56により出力された情報を所定の用紙上に印刷する印刷装置5が接続される。
【0044】
入力手段51は、前述のように浄化槽を構成する沈澱分離槽、接触ばっ気槽、沈殿槽や消毒槽等の各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて、各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力するものである。この入力手段51は、前述の入力装置31に対応する。作業者は、前述の(S7)で説明したように浄化槽チェックシートの関係箇所に各作業を実施したということを入力装置31により入力していく。そして、各構成部の管理事項に対応する作業がすべて完了すると、その構成部について作業済みとして記憶手段52に記憶される。記憶手段52は、前述の記憶装置35に対応する。
【0045】
構成図作成手段53は、浄化槽の概略構成を示す構成図を、浄化槽の構成に合わせて作成するものである。図10は構成図作成手段53により作成される浄化槽の概略構成を示す構成図の例を示している。図10に示す浄化槽の構成図60には、浄化槽本体を構成する各処理槽としての分離槽61、流量調整槽62、2つの曝気槽63,64および消毒槽65と、これに付随する構成部としてのブロアー66と、汚水入口67と、処理水出口68とが示されている。構成図作成手段53は、入力手段51により作業の実施状況が入力された浄化槽チェックシートに対応する浄化槽に合わせて、図10の配置構成を変更した構成図60を作成する。
【0046】
記録票作成手段54は、構成図作成手段53により作成された構成図60上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成するものである。図11は記録票作成手段54により作成される記録票の例を示している。図11に示す記録票には、記録票作成手段54によって、各構成部の内容を示す情報として各構成部の名称69a,69b,69c,69d,69eが掲載されている。また、この記録票には、記録票作成手段54によって、設置者に関する情報を示す欄70、浄化槽の各試験結果を示す欄71、作業者に関する情報を示す欄72や印刷日、実績日、前回点検日の各日付を示す欄73が設けられている。
【0047】
なお、構成図60は、構成図作成手段53により作成されたもの以外にも予め浄化槽の構成におおよそ合わせて作成されたもの使用することが可能である。このとき、予め作成された構成図60を記憶手段52に記憶させておき、記録票作成手段54は、この記憶手段52に記憶された構成図60上に、各構成部の内容を示す情報を浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する。
【0048】
実施状況配置手段55は、記録票作成手段54によって作成された記録票の浄化槽の構成図60上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置するものである。図12は実施状況配置手段55により記録票上に実施状況を示す情報が配置された例を示している。図12に示す記録票には、記録票作成手段54によって作成された記録票上に、実施状況配置手段55によって実施状況を示す情報として作業済みを示す「済」マーク74が掲載されている。なお、実施状況配置手段55は、各構成部について作業の実施状況が作業済みの場合にのみ、「済」マーク74を掲載する。また、実施状況配置手段55は、欄70〜73にそれぞれの情報を掲載する。
【0049】
出力手段56は、実施状況配置手段55によって完成された記録票を印刷装置5あるいは図9には示していないが表示装置33へ出力するものである。印刷装置5または表示装置33からは、図12に示すような記録票が所定の用紙上または画面上へと出力される。
【0050】
このような携帯用入出力端末3では、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力装置3により入力すると、この入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す「済」マーク74が、浄化槽の構成図60上に、自動的に、浄化槽の構成に合わせて各構成部の名称69a,69b,69c,69d,69eとともに重ねて配置された図12に示す記録票が出力される。
【0051】
図12に示す記録票によれば、配置が異なる浄化槽についても、各構成部の名称69a,69b,69c,69dとその各構成部の点検等の作業の実施状況を示す「済」マーク74とが、各浄化槽に応じた構成図60上に重ねて表示されるので、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することができる。また、本実施形態においては、構成図作成手段53により、構成図60を浄化槽の構成に合わせて作成しているので、各構成部の名称69a,69b,69c,69d,69eとその各構成部の点検等の作業の実施状況を示す「済」マーク74と各浄化槽の構成図60との配置が、必ず一対一で対応し、より分かりやすくなっている。
【0052】
また、図示しないが、この記録票には、浄化槽本体だけでなく、この浄化槽本体を含む浄化槽システム全体の構成図を配置する構成とすることも可能である。すなわち、浄化槽本体の他、浄化槽に至る配管、機器、装置や建物等を配置し、この浄化槽システムを構成する各構成部についてそれぞれの点検等の作業の実施状況を示す「済」マークを重ねて配置する構成とすることも可能である。また、作業の実施状況を示す情報については、単なる「済」マークだけでなく、正常「○」、要観察「△」、異常「×」等を配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムは、個人住宅や地域に分散する施設等の浄化槽を巡回して点検等を行い、その場で報告書等の作成作業を行って管理するための装置およびプログラムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における浄化槽チェックシートの作成方法を説明する図である。
【図2】浄化槽チェックシートの第2の作成方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態における浄化槽管理システムの概要を説明する図である。
【図4】図3の浄化槽管理システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図3の浄化槽管理システムにおいて使われるファイルの構成を示す図である。
【図6】図3の浄化槽管理システムによる浄化槽管理手順を示すフロー図である。
【図7】本発明の別の実施形態における浄化槽管理システムの構成を示すブロック図である。
【図8】図7の浄化槽管理システムによる浄化槽管理手順を示すフロー図である。
【図9】記録票出力機能を備えた携帯用入出力端末の構成を示すブロック図である。
【図10】構成図作成手段により作成される浄化槽の概略構成を示す構成図の例を示す図である。
【図11】記録票作成手段により作成される記録票の例を示す図である。
【図12】実施状況配置手段により記録票上に実施状況を示す情報が配置された例を示す図である。
【図13】従来の記録票の例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
A 浄化槽
A1 浄化槽のチェックシート
a 沈殿分離槽
a1 沈殿分離槽のチェックシート
b 接触ばっ気槽
b1 接触ばっ気槽のチェックシート
c 沈殿槽
c1 沈殿槽のチェックシート
d 消毒槽
d1 消毒槽のチェックシート
1 管理用計算機
16 元管理ファイル
10 管理棟
2 モバイル計算機
26 子管理ファイル
20 巡回用の車
3 携帯用入出力端末
36 孫管理ファイル
4 浄化槽
5 印刷装置
11,21,31 入力装置
12,22 出力装置
13,23,33 表示装置
14,24,34 中央処理装置
15,25,35 記憶装置
51 入力手段
52 記憶手段
53 構成図作成手段
54 記録票作成手段
55 実施状況配置手段
56 出力手段
161,261,361 浄化槽チェックシート
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人住宅や地域に分散する施設等の浄化槽を巡回して点検、保守、検査や清掃など(以下、「点検等」と称す。)を行い、その場で報告書等の作成作業を行って管理するための浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道は古くから発達してきており、人社会にとって不可欠のものである。下水道については、環境の汚染を防止する意味で、今日では特に重要なものとなっている。汚水を受け入れてから処理して排水するまでの汚水処理システムとして、大都市では大規模な下水システムが発達しているが、建物や施設が分散している地域ではコストの面から大規模な下水道を敷設するのは困難であり、分散型の浄化槽システムが使われることが多くなっている。
【0003】
個人住宅や地域の施設で使われる浄化槽システムは、処理能力や処理内容によって構成が様々であり、また同じような規模であっても用いられる機器のメーカなどが異なるため、ほとんどの浄化槽は構成が異なっているといっても過言ではない。一方、浄化槽は1年に数回は点検し、状況に応じて清掃、調整などの保守を行うことが義務づけられており、その実務は地域の組織や企業に委託されている。そして複数の企業が分担して管理をしていることが多い。このような背景にあって、従来の浄化槽の管理は次のようにして行われている。
【0004】
個人住宅や地域の施設等が建設されて浄化槽が設置されると、その浄化槽の処理能力や処理内容、規模、構成に基づいて管理すべき事項がリストアップされ、管理用の浄化槽チェックリストが作成される。その場合、用いる設備、機器を一つ一つ洗い出して各々について管理すべき事項をリストアップしている。こうして作成された各々の浄化槽の浄化槽チェックリストが管理を委託された企業の管理棟に保存され、管理するときに持ち出して使われる。
【0005】
浄化槽を管理するときは、委託された企業が1日で管理する複数の浄化槽の浄化槽チェックリストを抽出し、作業者がそれを持って巡回用の車に乗り、巡回する。巡回するときは始めに浄化槽の巡回順序を決め、その順番で巡回する。浄化槽の設置場所に着くと、その浄化槽に該当するシートを選択し、表示されている項目ごとに管理のための作業を実施する。そして、シートの当該箇所に実施した旨を記入し、全項目が終わるまで同じことを繰り返す。
【0006】
依頼元から料金を受け取った場合は、料金を収納したことも浄化槽チェックシートに記載する。浄化槽の管理が終わると、リストを見て管理が終わっていない次の順番の浄化槽を見出し、その場所を探して車で移動する。そして前の浄化槽と同様の作業を繰り返して管理する。リストに記載された全ての浄化槽の管理を終えると、持ちかえって浄化槽チェックシートの整理をして、その後のために必要とする集計等の計算をする。水質検査機関による浄化槽の検査についても同様の手順により行う。
【0007】
本発明者は、上記浄化槽チェックシートを効率よく、確実に作成できるようにするとともに、浄化槽の管理を、安全で確実に、かつ効率よくできるようにすることを目的として、特許文献1に記載の浄化槽管理システムを開発している。この浄化槽管理システムによれば、作業者の携帯用入出力端末に作業項目が順番通りに表示されるため、作業者はその表示されたとおりにその項目の作業を実施することができる。
【特許文献1】特開2002−230145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この浄化槽管理システムでは、作業終了時に作業内容を記録した記録票(図13参照。)を現場で発行するが、浄化槽の設置者(使用者)は実際に浄化槽のどの部分を点検等したか分かりにくい。浄化槽の設置者は浄化槽についての知識が乏しいうえ、前述のようにほとんどの浄化槽は構成が異なっているので浄化槽の各部の区別が付かない。そのため、記録票についても浄化槽ごとに配置が異なっており、浄化槽に精通した専門家でなければ浄化槽のどの部分を点検、清掃等したか、把握することができない。
【0009】
そこで、本発明においては、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することが可能な記録票を浄化槽の構成に応じて出力することが可能な浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の浄化槽管理装置は、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、記録票を出力する出力手段とを有する。
【0011】
本発明の浄化槽管理装置によれば、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力すると、この入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報が、浄化槽の構成図上に、自動的に、浄化槽の構成に合わせて各構成部の内容を示す情報とともに重ねて配置された記録票が出力される。なお、本発明において浄化槽とは、浄化槽本体をいう他、浄化槽に至る配管、機器、装置や建物等を含めた浄化槽システムの全体をいうものとする。したがって、浄化槽を構成する各構成部とは、浄化槽本体を構成する各処理槽をいう他、浄化槽に至る配管、機器、装置や建物等の各付属部をいう。
【0012】
ここで、本発明の浄化槽管理装置は、浄化槽の概略構成を示す構成図を、浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段を有することが望ましい。これにより、本発明の浄化槽管理装置により出力される記録票は、各構成部の内容を示す情報と各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報とが、各浄化槽の構成に合わせて自動的に作成された構成図上に配置されたものとなる。なお、浄化槽の概略構成を示す構成図は、予め浄化槽の構成におおよそ合わせて作成されたものを記憶手段に記憶しておく構成とすることも可能である。
【0013】
本発明の浄化槽管理プログラムは、コンピュータを、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、記録票を出力する出力手段として機能させるためのものである。この浄化槽管理プログラムを実行したコンピュータによれば、上記本発明の浄化槽管理装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0014】
(1)浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、浄化槽の概略構成を示す構成図上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、記録票の浄化槽の構成図上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、記録票を出力する出力手段とを有することにより、各構成部の管理事項に対応する点検等の作業の実施状況を示す情報が、浄化槽の構成図上に、自動的に、浄化槽の構成に合わせて各構成部の内容を示す情報とともに重ねて配置された記録票が出力される。この記録票によれば、配置が異なる浄化槽についても、各構成部の内容を示す情報とその各構成部の点検等の作業の実施状況を示す情報とが、各浄化槽に応じた構成図上に重ねて表示されるので、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することが可能となる。
【0015】
(2)浄化槽の概略構成を示す構成図を、浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段を有することにより、各構成部の内容を示す情報と各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報とが、各浄化槽の構成に合わせて自動的に作成された構成図上に配置された記録票が出力される。この記録票によれば、各浄化槽の内容を示す情報とこの各浄化槽の点検等の作業の実施状況を示す情報と各浄化槽の構成図との配置が、必ず一対一で対応するので、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所をより容易に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の実施の形態における浄化槽チェックシートの作成方法を説明するための図である。同図(a)は、作成するチェックシートの対象となっている浄化槽Aの構成例を示している。同図(a)に示すように、浄化槽Aは、沈殿分離槽a、接触ばっ気槽b、沈殿槽cおよび消毒槽dの各処理槽からなり、汚泥等は図中の矢印に示すような経路で流れる。同図(b)は浄化槽の点検、保守、検査、清掃等の管理作業に用いられるチェックシートを格納した浄化槽チェックシートデータベースBの構成を示している。同図(c)は本実施形態における作成方法によって作成された浄化槽Aのチェックシートを示している。浄化槽チェックシートデータベースBに格納されたチェックシートは、それぞれ、管理すべき事項が、管理する順番も勘案して記載されている。
【0017】
本実施形態においては、まず、浄化槽に用いられるあらゆる装置毎に管理すべき事項をリストアップし、その順序を決めてチェックシートa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1等を作る。次に、こうして作ったチェックシートa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1等を集めて浄化槽チェックシートデータベースBに格納しておく。浄化槽Aの管理を開始する際、沈殿分離槽a、接触ばっ気槽b、沈殿槽c、消毒槽dに対応する四つのチェックシート、すなわち、沈殿分離槽のチェックシートa1、接触ばっ気槽のチェックシートb1、沈殿槽のチェックシートc1、消毒槽のチェックシートd1、を浄化槽チェックシートデータベースBから抽出する。そして、抽出された四つのチェックシートを各処理槽の管理順序を勘案して並べ、浄化槽AのチェックシートA1を作成する。
【0018】
上記の例は、浄化槽Aの構成や配置等が変わらない場合を示したが、浄化槽管理者が浄化槽Aをみてから、管理の面で浄化槽の構成や各処理槽の配置等が適切でないと判断する場合があるので、そのような場合は、浄化槽Aを構成する4つの各処理槽の仕様を変えたり、配置を変えたりし、管理する上で好適なものとすることができる。
【0019】
図2は予め作成された(a)標準浄化槽チェックシートと、本実施形態における作成方法により作成された(b)浄化槽チェックシートを示している。個人住宅や地域の施設で使われる浄化槽システムは、処理能力や処理内容によって構成が様々であり、また同じような規模であっても用いられる機器のメーカなどが異なるため、ほとんどの浄化槽は構成が異なっているといっても過言ではない。そこで、本実施形態においては、広く使われる浄化槽の中から標準的な構成を有するいくつかの浄化槽を決めておき、その標準浄化槽の点検や保守などの管理事項を決めたチェックシートを始めに作成しておく。その管理事項の順番についても、効率よく実施できるよう順番を十分検討して決めておく。このようにして予め定められた多数の標準浄化槽チェックシートの一例が図2の(a)である。
【0020】
新しく浄化槽の管理をすることになり、その構成等からみて最も近いということで選ばれた標準浄化槽のチェックシートが(a)であったとする。このチェックシートには標準浄化槽の管理事項が記載され、(1)駐車、(2)挨拶、から(13)完了通知比較、まで順番も決められている。管理事項の中には下位の管理事項が決められているものもある。例えば、(2)挨拶、については、(201)異常臭気、から(207)設置者に報告、までの下位事項が順番に決められている。新しい浄化槽の浄化槽チェックシートを作るときは、この標準浄化槽チェックシートの管理事項が異なっているところを修正すればよく、この例の場合、標準浄化槽チェックシートの(205)流入管路、マンホール周辺路面の異常、(501)水質測定器の調整、が削除され、新たに(610)ブロワ、(611)換気装置、(711)ブロワ、(712)換気装置、が追加され(b)の浄化槽チェックシートが作られている。このように、予め作られた多数の標準浄化槽チェックシートから構成等が最も近い浄化槽のチェックシートを抽出して修正すれば新規に管理する浄化槽のチェックシートができあがるので、漏れが少なくなり、作成する時間も短時間で済む。
【0021】
図3は本発明の実施の形態における浄化槽管理システムの概要を説明する図、図4はその構成を示すブロック図、図5は本システムで使われるファイルの構成を示す図、図6は本システムによる浄化槽管理手順を示すフロー図である。
【0022】
図3および図4において、管理用計算機1は、入力装置11、出力装置12、表示装置13、中央処理装置14、記憶装置15から構成され、浄化槽の管理を委託された企業の管理棟10に設置される。記憶装置15には浄化槽の管理に用いる元管理ファイル16が格納されており、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。元管理ファイル16には当該企業が管理を委託されている浄化槽の浄化槽チェックシートが全て含まれている。元管理ファイル16のデータは、入力装置11からデータを入力して書き換えることができ、データの一部を表示装置13に表示したり、プリンタや外部記憶装置などの出力装置12に出力したりすることができる。中央処理装置14は、記憶装置15に格納された管理用のアプリケーションプログラムを起動すると、元管理ファイル16の処理に関係する全ての機能を管理用計算機1に付加することができる。
【0023】
モバイル計算機2は、入力装置21、出力装置22、表示装置23、中央処理装置24、記憶装置25から構成され、巡回用の車20に搭載される。記憶装置25には元管理ファイル16の一部がダウンロードされて子管理ファイル26として格納され、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。子管理ファイル26のデータは、データの一部を表示装置23に表示することができるようになっている。中央処理装置24は、記憶装置25に格納された管理用のアプリケーションプログラムを起動すると、子管理ファイル26の操作に関係する全ての機能をモバイル計算機2に付加することができる。
【0024】
携帯用入出力端末3は、入力装置31、表示装置33、中央処理装置34、記憶装置35から構成される。記憶装置35には子管理ファイル26の中から1つの浄化槽チェックシート361(図5参照。)がダウンロードされ孫管理ファイル36として格納されており、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。浄化槽チェックシート361のデータの一部は表示装置33に表示することができるようになっている。中央処理装置34は、記憶装置35に格納された管理用のアプリケーションプログラムを起動すると、浄化槽チェックシート361の表示とデータ入力に関係する全ての機能を携帯用入出力端末3に付加することができる。
【0025】
管理用計算機1とモバイル計算機2とを有線または無線で接続すると、元管理ファイル16の中から一部の浄化槽チェックシートをダウンロードしてモバイル計算機2の子管理ファイル26としたり、子管理ファイル26の更新された子管理ファイルを元管理ファイル16にアップロードしたりすることが可能となる。また、モバイル計算機2と携帯用入出力端末3とを有線または無線で接続すると、子管理ファイル26の中から1つの浄化槽管理ファイル361をモバイル計算機2から携帯用入出力端末3にダウンロードしたり、データを入力して更新された浄化槽チェックシート361を含む孫管理ファイル36を子管理ファイル26にアップロードしたりすることが可能となる。
【0026】
図5は、元管理ファイル16と子管理ファイル26、孫管理ファイル36の関係を示している。元管理ファイル16は当該企業が管理を委託されている全ての浄化槽チェックシート161が含まれており、図の例では1000個の浄化槽チェックシートが含まれている場合が示されている。子管理ファイル26は元管理ファイル16の中から1日に巡回して管理する浄化槽のチェックシート261が取り出されて格納されており、図の例では100個の浄化槽チェックシートが含まれている場合が示されている。この100個は、1000個の浄化槽チェックシート161のうち、1個目から順に100個目まで取り出したものではなく、巡回する日の管理対象となっている100ヶ所の浄化槽に対応する100個が選択され取り出されている。孫管理ファイル36は、子管理ファイル26の中から取り出された1個の浄化槽チェックシート361だけを含んでおり、管理をする浄化槽のところにたどり着いたとき、管理をするその浄化槽に対応する1個の浄化槽チェックシート361を含んでいるのである。
【0027】
次に、図2に戻って、(b)の浄化槽チェックシートについて説明する。このチェックシートは管理する浄化槽の管理事項が順を追って記載されており、大項目と下位の小項目を含んで記載されている。具体的には、巡回車で浄化槽のところに到着した後になすべきことを、番号を追って順に示されており、ある浄化槽の例として示すと次のようになっている。
【0028】
(1)巡回車を適当な駐車場所に駐車する。
(2)浄化槽の持ち主あるいは管理者に挨拶し、目視により確認できる事項のチェックをする。この項目には下位の項目があり(201)異常臭気のチェック、(202)異常騒音のチェック、(203)浄化槽周辺の異常のチェック、(204)点検口の開放状態の確認、(205)安全措置の確認、(206)設置者への報告、の順に実施することが示されている。
(3)浄化槽に対応する管理記録票を確認する。
(4)動力盤や制御盤等の電気設備を点検する。この項目には下位の項目があり、(401)故障表示のチェック、(402)各機器の異常電流のチェック、(403)各機器に設けられたスイッチの設定異常のチェック、(404)水道メータ等の点検、(405)電灯、分電盤の異常のチェック、(406)異常個所の点検、の順に実施することが示されている。
(5)浄化槽に注入する薬液等の調整をして浄化槽を管理する準備をする。この項目には下位の項目があり、(501)点検用器具の準備、を実施することが示されている。
(6)複数ある処理槽のそれぞれについて、単位装置の点検と水質測定をする。この項目には下位の項目があり、(601)油脂分離槽、(602)原水ポンプ槽、(603)放流管渠、(604)放流ポンプ槽、(605)消毒槽、(606)沈殿槽、(607)接触ばっ気槽、(608)嫌気ろ床槽第2室、(609)嫌気ろ床槽第1室、(610)ブロワ、(611)換気装置、の順に点検を実施することが示されている。
(7)複数ある処理槽のそれぞれについて、単位装置の保守をする。この項目には下位の項目があり、(701)流入管渠、(702)油脂分離槽、(703)原水ポンプ槽、(704)放流管渠、(705)放流ポンプ槽、(706)消毒槽、(707)沈殿槽、(708)接触ばっ気槽、(709)嫌気ろ床槽第2室、(710)嫌気ろ床槽第1室、(711)ブロワ、(712)換気装置、の順に点検を実施することが示されている。
(8)保守作業をした結果の状況についてチェックをする。
(9)各処理槽の点検口を密閉する。
(10)動力盤や制御盤等の電気設備の状況を確認する。
(11)後片付けをして整理整頓し、掃除をする。
(12)前回の管理結果と比較し、記録の整理をする。
(13)完了通知をする。
【0029】
次に、図6のフロー図に従って、本実施形態における浄化槽管理システムによる浄化槽の管理方法について説明する。
【0030】
(S1)浄化槽の管理を始める時、まず、管理棟10にある管理用計算機1とモバイル計算機2を有線または無線で接続し、管理用計算機1の記憶装置15に格納された元管理ファイル16の中から、その日に巡回する浄化槽あるいは数日間に巡回する全ての浄化槽のチェックシート261をダウンロードし、子管理ファイル26として記憶装置25に格納する。そしてモバイル計算機2を巡回用の車20に搭載する。
(S2)モバイル計算機2を起動すると、子管理ファイル26に含まれる情報に基いて、浄化槽4の所在地又は地図情報を含む位置情報が表示装置23に表示され、表示された指示に従い、作業者が浄化槽4へ向かう。
【0031】
(S3)点検する浄化槽4のところに到着すると、モバイル計算機2と携帯用入出力端末3を有線または無線で接続し、その浄化槽のチェックシート361だけをモバイル計算機2からダウンロードして携帯用入出力端末3の記憶装置35に格納する。
(S4)作業者が携帯用入出力端末3を持って車から降り、浄化槽のところに移動する。
(S5)携帯用入出力端末3を起動させると、浄化槽チェックシート361のうち、最初の作業項目が表示され、2回目以降であれば、順番どおりの作業項目が表示される。
【0032】
ここで、携帯用入出力端末3の表示装置33には、各作業項目の実施サイクルに応じて、その回の作業が必要なものについてのみ表示され、不要なものについては表示されない。これは、前述の制御プログラムの動作によるものである。各作業項目の実施サイクルは、例えば、絶縁抵抗の点検・保守のような年1回や、堆積汚泥の生成状況の点検・保守のような月1回等の期間の条件が定められている。
【0033】
本実施形態における浄化槽管理システムでは、後述のように作業の実施状況の全データがモバイル計算機2を経て管理用計算機1にアップロードされ、管理されていることから、次に管理用計算機1からモバイル計算機2を経て携帯用入出力端末3にダウンロードされるデータには前回の作業日、すなわち各作業項目の最終作業日が含まれている。そこで、携帯用入出力端末3はこの最終作業日から今回の作業日までの経過日数に基づいて、各作業項目のうち、その回の作業対象となっている項目のみを表示装置33に表示する。図7(a)は表示装置33に表示される画面の遷移例を示している。
【0034】
(S6)作業者は携帯用入出力端末3の表示装置33に表示されたとおりに、その項目の作業を実施する。作業者は、上述のように実施サイクルが異なる作業項目については、自動的にその作業項目の表示または非表示が切り替えられて携帯用入出力端末3の表示装置33に表示されるため、実施サイクルによってはその回の作業が必要なものまたは不要なものについて自分で判断する必要がない。
【0035】
(S7)表示された作業を実施した場合は、実施したということを携帯用入出力端末3の入力装置31から入力し、浄化槽チェックシート361の関係箇所に記入する。
(S8)携帯用入出力端末3が、浄化槽チェックシート361の全項目が終わったかどうかを判断する。
(S9)全項目が終了していなければ、(S5)に移行してその後の手順を繰り返す。
【0036】
(S10)全項目が終了していれば、作業者が携帯用入出力端末3を巡回用の車20に持ち帰り、データが入力されて更新された浄化槽チェックシート361をモバイル計算機2にアップロードする。これで1ヶ所の浄化槽の点検を終える。なお、全項目の作業を終了してときに、浄化槽管理の依頼元から料金の支払いがあれば、その情報も携帯用入出力端末3に入力して浄化槽チェックシートに付加される。
【0037】
(S11)次に、次の点検地が残っているかどうかをモバイル計算機2が判断する。
(S12)残っていれば、モバイル計算機2が所在地または地図情報を含む位置情報を表示する次の点検地に巡回用の車20で移動し、(S3)に移行してその後の手順を繰り返す。
(S13)次の点検地が残っていなければ、その日に管理する全ての浄化槽についてなすべき作業が終了しているので、管理棟10に戻ってモバイル計算機2の子管理ファイル26を管理用計算機1にアップロードする。
(S14)これでその日に管理された作業の実施状況の全データが記憶装置15の元管理ファイル16にアップロードされ、その後の処理・手続き等に必要な計算等が適宜行われる。
【0038】
なお、(S1)と(S12)のところで次の点検地へ移動する時の点検地の巡回順序は、効率よく巡回できるように予め決められており、その情報は子管理ファイル26に含まれている。その順路は地理的位置関係や、交通事情、道路事情などが勘案され、最も効率のよい順路が決められている。
【0039】
以上述べたように、本実施形態における浄化槽管理システムでは、およそ、1日分の浄化槽のデータあるいは各作業者が巡回を担当する数日間分の浄化槽のデータをモバイル計算機2にダウンロードするとモバイル計算機2の指示に従って巡回し、モバイル計算機2から浄化槽4のデータを携帯用入出力端末3にダウンロードして、その指示に従って管理をする、というようになっている。したがって、作業者による管理が漏れなく確実に行なわれるのである。
【0040】
図7は本発明の別の実施形態を示すブロック図、図8はその手順を示すフロー図であり、携帯用入出力端末3が図3、図4のモバイル計算機2と携帯用入出力端末3の機能を兼ね備えた場合を示している。この図の携帯用入出力端末3の記憶装置35には、図4に示すモバイル計算機2の子管理ファイル26が格納されており、これを管理するアプリケーションプログラムも格納されている。図8のフローチャートに示すこのシステムの動作手順は、図6のフローチャートにあるモバイル計算機2の機能を携帯用入出力端末3に付加した場合と同じになっているので、詳細な説明は省略して動作手順の大筋について説明する。
【0041】
管理用計算機1の元管理ファイル16の中から、その日に巡回して管理する浄化槽のチェックシートをダウンロードし、携帯用入出力端末3の記憶装置35に格納して子管理ファイル26とすると、携帯用入出力端末3を巡回用の車20に搭載し、点検地の所在地または地図情報を表示して点検地へ移動する。到着すると、作業者が浄化槽のところへ携帯用入出力端末3を持ち出し、順を追ってその浄化槽のチェックシートにある作業項目を表示し、作業を実施する。そして実施した結果を携帯用入出力端末3に入力して、浄化槽チェックシートを更新し、子管理ファイル26を更新する。このように携帯用入出力端末3だけを持ち出して浄化槽の管理をしており、前者のものに比べて操作が簡単になっている。
【0042】
次に、上記構成の浄化槽管理システムにより出力する記録票について説明する。
本実施形態における浄化槽管理システムでは、上記のように浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する点検等の作業を実施し、それぞれの作業の実施状況を示す情報等を入力した後、携帯用入出力端末3から点検等の作業についての記録票を出力することができる。なお、モバイル計算機2および管理用計算機1からも同様の記録票を出力することができるが、以下では携帯用入出力端末3を例にとって説明する。
【0043】
図9はこの記録票出力機能を備えた携帯用入出力端末3の構成を示すブロック図である。この場合において携帯用入出力端末3は、浄化槽管理プログラムを実行するコンピュータであり、後述する入力手段51と、記憶手段52と、構成図作成手段53と、記録票作成手段54と、実施状況配置手段55と、出力手段56として機能する。また、この携帯用入出力端末3には、出力手段56により出力された情報を所定の用紙上に印刷する印刷装置5が接続される。
【0044】
入力手段51は、前述のように浄化槽を構成する沈澱分離槽、接触ばっ気槽、沈殿槽や消毒槽等の各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて、各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力するものである。この入力手段51は、前述の入力装置31に対応する。作業者は、前述の(S7)で説明したように浄化槽チェックシートの関係箇所に各作業を実施したということを入力装置31により入力していく。そして、各構成部の管理事項に対応する作業がすべて完了すると、その構成部について作業済みとして記憶手段52に記憶される。記憶手段52は、前述の記憶装置35に対応する。
【0045】
構成図作成手段53は、浄化槽の概略構成を示す構成図を、浄化槽の構成に合わせて作成するものである。図10は構成図作成手段53により作成される浄化槽の概略構成を示す構成図の例を示している。図10に示す浄化槽の構成図60には、浄化槽本体を構成する各処理槽としての分離槽61、流量調整槽62、2つの曝気槽63,64および消毒槽65と、これに付随する構成部としてのブロアー66と、汚水入口67と、処理水出口68とが示されている。構成図作成手段53は、入力手段51により作業の実施状況が入力された浄化槽チェックシートに対応する浄化槽に合わせて、図10の配置構成を変更した構成図60を作成する。
【0046】
記録票作成手段54は、構成図作成手段53により作成された構成図60上に、各構成部の内容を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成するものである。図11は記録票作成手段54により作成される記録票の例を示している。図11に示す記録票には、記録票作成手段54によって、各構成部の内容を示す情報として各構成部の名称69a,69b,69c,69d,69eが掲載されている。また、この記録票には、記録票作成手段54によって、設置者に関する情報を示す欄70、浄化槽の各試験結果を示す欄71、作業者に関する情報を示す欄72や印刷日、実績日、前回点検日の各日付を示す欄73が設けられている。
【0047】
なお、構成図60は、構成図作成手段53により作成されたもの以外にも予め浄化槽の構成におおよそ合わせて作成されたもの使用することが可能である。このとき、予め作成された構成図60を記憶手段52に記憶させておき、記録票作成手段54は、この記憶手段52に記憶された構成図60上に、各構成部の内容を示す情報を浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する。
【0048】
実施状況配置手段55は、記録票作成手段54によって作成された記録票の浄化槽の構成図60上に、浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、浄化槽の構成に合わせて重ねて配置するものである。図12は実施状況配置手段55により記録票上に実施状況を示す情報が配置された例を示している。図12に示す記録票には、記録票作成手段54によって作成された記録票上に、実施状況配置手段55によって実施状況を示す情報として作業済みを示す「済」マーク74が掲載されている。なお、実施状況配置手段55は、各構成部について作業の実施状況が作業済みの場合にのみ、「済」マーク74を掲載する。また、実施状況配置手段55は、欄70〜73にそれぞれの情報を掲載する。
【0049】
出力手段56は、実施状況配置手段55によって完成された記録票を印刷装置5あるいは図9には示していないが表示装置33へ出力するものである。印刷装置5または表示装置33からは、図12に示すような記録票が所定の用紙上または画面上へと出力される。
【0050】
このような携帯用入出力端末3では、浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力装置3により入力すると、この入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す「済」マーク74が、浄化槽の構成図60上に、自動的に、浄化槽の構成に合わせて各構成部の名称69a,69b,69c,69d,69eとともに重ねて配置された図12に示す記録票が出力される。
【0051】
図12に示す記録票によれば、配置が異なる浄化槽についても、各構成部の名称69a,69b,69c,69dとその各構成部の点検等の作業の実施状況を示す「済」マーク74とが、各浄化槽に応じた構成図60上に重ねて表示されるので、浄化槽についての知識が乏しい者であっても浄化槽の点検等の箇所を容易に把握することができる。また、本実施形態においては、構成図作成手段53により、構成図60を浄化槽の構成に合わせて作成しているので、各構成部の名称69a,69b,69c,69d,69eとその各構成部の点検等の作業の実施状況を示す「済」マーク74と各浄化槽の構成図60との配置が、必ず一対一で対応し、より分かりやすくなっている。
【0052】
また、図示しないが、この記録票には、浄化槽本体だけでなく、この浄化槽本体を含む浄化槽システム全体の構成図を配置する構成とすることも可能である。すなわち、浄化槽本体の他、浄化槽に至る配管、機器、装置や建物等を配置し、この浄化槽システムを構成する各構成部についてそれぞれの点検等の作業の実施状況を示す「済」マークを重ねて配置する構成とすることも可能である。また、作業の実施状況を示す情報については、単なる「済」マークだけでなく、正常「○」、要観察「△」、異常「×」等を配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の浄化槽管理装置および浄化槽管理プログラムは、個人住宅や地域に分散する施設等の浄化槽を巡回して点検等を行い、その場で報告書等の作成作業を行って管理するための装置およびプログラムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における浄化槽チェックシートの作成方法を説明する図である。
【図2】浄化槽チェックシートの第2の作成方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態における浄化槽管理システムの概要を説明する図である。
【図4】図3の浄化槽管理システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図3の浄化槽管理システムにおいて使われるファイルの構成を示す図である。
【図6】図3の浄化槽管理システムによる浄化槽管理手順を示すフロー図である。
【図7】本発明の別の実施形態における浄化槽管理システムの構成を示すブロック図である。
【図8】図7の浄化槽管理システムによる浄化槽管理手順を示すフロー図である。
【図9】記録票出力機能を備えた携帯用入出力端末の構成を示すブロック図である。
【図10】構成図作成手段により作成される浄化槽の概略構成を示す構成図の例を示す図である。
【図11】記録票作成手段により作成される記録票の例を示す図である。
【図12】実施状況配置手段により記録票上に実施状況を示す情報が配置された例を示す図である。
【図13】従来の記録票の例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
A 浄化槽
A1 浄化槽のチェックシート
a 沈殿分離槽
a1 沈殿分離槽のチェックシート
b 接触ばっ気槽
b1 接触ばっ気槽のチェックシート
c 沈殿槽
c1 沈殿槽のチェックシート
d 消毒槽
d1 消毒槽のチェックシート
1 管理用計算機
16 元管理ファイル
10 管理棟
2 モバイル計算機
26 子管理ファイル
20 巡回用の車
3 携帯用入出力端末
36 孫管理ファイル
4 浄化槽
5 印刷装置
11,21,31 入力装置
12,22 出力装置
13,23,33 表示装置
14,24,34 中央処理装置
15,25,35 記憶装置
51 入力手段
52 記憶手段
53 構成図作成手段
54 記録票作成手段
55 実施状況配置手段
56 出力手段
161,261,361 浄化槽チェックシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて前記各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、
前記入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記浄化槽の概略構成を示す構成図上に、前記各構成部の内容を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、
前記記録票の浄化槽の構成図上に、前記浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、
前記記録票を出力する出力手段と
を有する浄化槽管理装置。
【請求項2】
前記浄化槽の概略構成を示す構成図を、前記浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段を有する請求項1記載の浄化槽管理装置。
【請求項3】
前記各構成部の内容を示す情報は、前記各構成部の名称である請求項1または2に記載の浄化槽管理装置。
【請求項4】
前記実施状況配置手段は、前記作業の実施状況が作業済みの場合に、作業済みを示すマークを配置するものである請求項1から3のいずれかに記載の浄化槽管理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて前記各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、
前記入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記浄化槽の概略構成を示す構成図上に、前記各構成部の内容を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、
前記記録票の浄化槽の構成図上に、前記浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、
前記記録票を出力する出力手段と
して機能させるための浄化槽管理プログラム。
【請求項6】
さらに前記コンピュータを、前記浄化槽の概略構成を示す構成図を、前記浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段として機能させるための請求項5記載の浄化槽管理プログラム。
【請求項1】
浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて前記各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、
前記入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記浄化槽の概略構成を示す構成図上に、前記各構成部の内容を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、
前記記録票の浄化槽の構成図上に、前記浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、
前記記録票を出力する出力手段と
を有する浄化槽管理装置。
【請求項2】
前記浄化槽の概略構成を示す構成図を、前記浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段を有する請求項1記載の浄化槽管理装置。
【請求項3】
前記各構成部の内容を示す情報は、前記各構成部の名称である請求項1または2に記載の浄化槽管理装置。
【請求項4】
前記実施状況配置手段は、前記作業の実施状況が作業済みの場合に、作業済みを示すマークを配置するものである請求項1から3のいずれかに記載の浄化槽管理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
浄化槽を構成する各構成部に合わせて作成された浄化槽チェックシートに基づいて前記各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を入力する入力手段と、
前記入力された各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記浄化槽の概略構成を示す構成図上に、前記各構成部の内容を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置した記録票を作成する記録票作成手段と、
前記記録票の浄化槽の構成図上に、前記浄化槽を構成する各構成部の管理事項に対応する作業の実施状況を示す情報を、前記浄化槽の構成に合わせて重ねて配置する実施状況配置手段と、
前記記録票を出力する出力手段と
して機能させるための浄化槽管理プログラム。
【請求項6】
さらに前記コンピュータを、前記浄化槽の概略構成を示す構成図を、前記浄化槽の構成に合わせて作成する構成図作成手段として機能させるための請求項5記載の浄化槽管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−110483(P2006−110483A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301532(P2004−301532)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(501046800)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(501046800)
【Fターム(参考)】
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