説明

浄化機能付き貯水槽

【課題】
本発明は、浄化機能を有する貝殻を簡易に補充することができる浄化機能付き貯水槽を提供することを目的としている。
【解決手段】
浄化機能付き貯水槽Aは、外部より供給される水を貯留する凹状の貯留部1bを有する貯水槽1と、この貯水槽1内に貯留された前記水を外部へ排水する排水手段と、貯水槽1内に立設し、貝殻を収納する通水性を有する貝殻収納部2と、貝殻収納部2の頂部は、貝殻Sを入れるために開口した貝殻供給開口部21を有し、この貝殻供給開口部21を除いて凹状の貯留部1bの開口部を覆う覆い部材4と、貝殻供給開口部21を開閉する開閉蓋3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化機能付き貯水槽に係り、特に、浄化機能を有する貝殻を簡易に補充することができる浄化機能付き貯水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質の貝殻に浄化作用があることに着目したものとして、例えば、透水性ブロックがある(例えば、特許文献1参照)。
この透水性ブロックは、多孔質の貝殻の外周部を透水性コンクリートで覆ったもので、水が透水性ブロックの透水性コンクリート、多孔質の貝殻を通過することに伴って、該多孔質内の微生物により、水が浄化されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−79286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した透水性ブロックを貯水槽に応用した場合、長期の使用により透水性ブロック内の貝殻が水に含まれる酸により、逐次溶け出し浄化機能が低下するという問題点が生じた。
本発明は、上述した問題点に簡易に対応することができる浄化機能付き貯水槽を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の浄化機能付き貯水槽は、外部より供給される水を貯留する凹状の貯留部を有する貯水槽と、この貯水槽内に貯留された前記水を外部へ排水する排水手段と、前記貯水槽内に立設し、貝殻を収納する通水性を有する貝殻収納部と、この貝殻収納部の頂部は、前記貝殻を入れるために開口した貝殻供給開口部を有し、前記貝殻供給開口部を除いて前記凹状の貯留部の開口部を覆う覆い部材と、前記貝殻供給開口部を開閉する開閉蓋とを備えているものである。
【0005】
また、請求項2記載の浄化機能付き貯水槽は、請求項1記載の浄化機能付き貯水槽に
貝殻収納部は貯水槽を仕切り、仕切られた前記貯水槽の一方側の室に外部より供給される水を案内する水供給通路が、前記貝殻収納部に仕切られた前記貯水槽の他方側の室に前記貯水槽内に貯留された前記水を外部へ案内する排水通路が、それぞれ連通するものである。
【0006】
また、請求項3記載の浄化機能付き貯水槽は、請求項1記載の浄化機能付き貯水槽において、貯留部内の水面が一定以上を超えないように貯水槽に設けられたオーバーフロー管と、前記貯留部内の水面より高い位置まで貝殻が貝殻収納部内に収納されているものである。
【0007】
また、請求項4記載の浄化機能付き貯水槽は、請求項1記載の浄化機能付き貯水槽において、貯水槽は地下に位置し、開閉蓋が地表に露出しているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の浄化機能付き貯水槽によれば、貯留部内に貯留された水は、貝殻収納部に収納された貝殻により浄化されると共に、貯水槽内の水を日光等から遮蔽する覆い部材の開閉とは関係なく、長期の使用により消失する貝殻を開閉蓋を開けて簡易に補充することができる。
【0009】
また、請求項2記載の浄化機能付き貯水槽によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、貯留部内に貯留された水が排水通路より排水される際、貝殻収納部に収納された貝殻を通過するため、水を効率良く浄化することができ、しかも、貝殻収納部は、貯水槽を仕切って構造部材の一部を形成するため、浄化機能付き貯水槽の強度を向上させることができる。
【0010】
また、請求項3記載の浄化機能付き貯水槽によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、貝殻により水が浄化される際、貝殻が逐次減少しても貝殻が貯留部内の水面より高い位置まで収納されているため、貯留部内の水面より高い位置の貝殻を重力により貯留部内の水面下に自動的に供給することができる。
【0011】
また、請求項4記載の浄化機能付き貯水槽によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、貯水槽が地下に位置していても、開閉蓋が地表に露出しているため、地面を掘り起こすことなく開閉蓋を開けて貝殻を簡易に補充することができる。
【実施例】
【0012】
本発明の一実施例の浄化機能付き貯水槽を図面を参照して説明する。
図1乃至図4において、Aは浄化機能付き貯水槽で、浄化機能付き貯水槽Aは、外部より供給される水(例えば、雨水)を貯留する凹状の貯留部1bを有する。外部よりの水は、水供給通路1aにより貯留部1bに案内される。貯留部1b内に貯留された水は、排水手段により外部へ案内(排水)されるようになっている。排水手段は、例えば、排水通路(例えば、排出管)1dの開口端を貯留部1b内に貯留された水中に位置させ、排水用ポンプPにより強制的に外部へ排水するようになっている。
【0013】
貯水槽1は、例えば、不透水牲のコンクリートで形成された凹状の貯留部1bと、後述する貝殻供給開口部21(図3及び図4参照)を除いて凹状の貯留部1bの開口部を覆う覆い部材4(覆い部材4は、例えば、不透水牲のコンクリートで形成される。)とで概略的に構成される。なお、1eは、貯留部1b内の水面が一定以上を超えないように貯水槽1に設けられたオーバーフロー管である。また、1f、1gは、通水性の壁(例えば透水牲のコンクリートで形成されている。)である。
【0014】
貯水槽1内には、貝殻Sを収納する通水性を有する貝殻収納部2が立設している。
貝殻Sは、例えば、ホタテであり、ホタテを図4に示すように、貝殻収納部2にそのまま(また、砕いたホタテ)投入しても良いし、 また、図5に示すように、図示しない結着剤で貝殻S同士を結合したものを投入しても良いし、また、図6に示すように、金網、ネット等内に貝殻Sを入れたものを投入しても良い。
【0015】
貝殻収納部2は、通水性を有するために、貝殻収納部2自体を通水性とするように、例えば、貝殻収納部2をポーラスコンクリートで形成しても良いし、また、貝殻収納部2の一部に通水性を有するように、例えば、貝殻収納部2を不透水牲のコンクリートで形成し、貝殻収納部2内に後述する貯水槽1の一方側の室X内の水を受け入れる開口した入口部(図示せず)と、貝殻Sを通過してきた水を貝殻収納部2の外(後述する貯水槽1の他方側の室Y)に排水する開口した出口部(図示せず)とを設けるようにしても良い。
そして、貝殻収納部2は、図2に示すように、貯水槽1を仕切り、仕切られた貯水槽1の一方側の室Xに外部より供給される水を案内する水供給通路1aが、貝殻収納部2に仕切られた貯水槽1の他方側の室Yに貯水槽1内に貯留された水を外部へ案内する排水通路1dが、それぞれ連通(水が流通できる)するようになっている。
その結果、貯留部1b内に貯留された水が排水通路1dより排水される際、該水は貝殻収納部2に収納された貝殻Sを通過するため、効率良く浄化され、しかも、貝殻収納部Sは、貯水槽1を仕切って構造部材の一部を形成するため、浄化機能付き貯水槽Aの強度をも向上させることができる。
なお、室X、室Yには、例えば、特許第2901959号の積層構造物S’を敷き詰め、積層構造物S’の間隙に水を貯留するようにしている。
【0016】
また、貝殻収納部2の頂部は、貝殻Sを入れるために開口した貝殻供給開口部21を有している。3は、貝殻供給開口部21を開閉する開閉蓋で、4は、貝殻供給開口部21を除いて凹状の貯留部1bの開口部を覆う覆い部材である。
貯水槽1内の水は、開閉蓋3、覆い部材4により、日光等から遮蔽され、藻の発生、ゴミの侵入等を防ぐことができ、また、貯留部1内に貯留された水は、貝殻収納部2に収納された貝殻Sに接触することにより、多孔質の貝殻Sに住み着いた微生物により浄化される。
【0017】
なお、貯留された水が雨水の場合、酸性化した雨水は貝殻Sのカルシウム等により中和され、排水通路1dより排水される。
特に、長期の使用により貝殻Sは溶け出し逐次消失するが、覆い部材4の開閉とは関係なく、開閉蓋3を開けて貝殻供給開口部21より貝殻Sを簡易に補充することができる。 また、図1に示すように、貯水槽1が地下に位置する場合、開閉蓋3が地表に露出するようにしている。これは、地面を掘り起こすことなく、開閉蓋3を開けて貝殻Sを簡易に補充するためである。
更に、貝殻収納部2内に貝殻Sを入れる際、図3に示すように、貝殻収納部2の内壁に目印Lを付すと、便利である。目印Lとしては、例えば、貯留部1b内の水面と同一高さの位置(例えば、目印Lを水面と同一高さの位置とすれば、目印Lを見ることにより、貝殻Sの補充の有無を目視できる。)であったり、貯留部1b内の水面よりやや高い位置(例えば、目印Lを貝殻Sを収納する最上位の位置とすれば、目印Lを見ることにより、貝殻Sが減少した量を目視できる。)であったり、貯留部1b内の水面よりやや低い位置(例えば、目印Lを貝殻Sを補充する必要がある位置とすれば、目印Lを見ることにより、貝殻Sの補充の有無を目視できる。)とすることができる。
また、外部より貝殻収納部2内の貝殻Sの量を確認できるように開閉蓋3を透明な材質で形成したり、更に、図4に示すように、センサー、例えば、投光センサー25と受光センサー26を用いて自動的に貝殻Sの量を検知するようにしても良い。
【0018】
また、長期の使用により貝殻Sが溶け出すことに伴い、貝殻収納部2内に収納される貝殻Sを図3に示すように、貯留部1b内の水面より高い位置まで収納するようにしても良い。かかる場合、貯留部1b内の水面より高い位置の貝殻Sを重力により貯留部1内の水面下に自動的に供給することができる。
【0019】
また、上述した実施例においては、貯水槽1を横断する部分の全体に亘って貝殻収納部2を設けたが(図1及び図2参照)、本願発明の浄化機能付き貯水槽Aにあっては、これに限らず、図7に示すように、部分的に設けても良く、また、図8に示すように、水供給通路1aに近い側に設けても良く、更に、図9に示すように、排水通路1dに近い側に設けても良い。
【0020】
また、上述した実施例においては、浄化機能付き貯水槽Aを地下に設けたが、本願発明の浄化機能付き貯水槽Aにあっては、これに限らず、図10に示すように、地上に設けることができる。
【0021】
また、上述した実施例においては、貯水槽1は、不透水牲のコンクリートで形成された凹状の貯留部1bと、貝殻供給開口部21を除いて凹状の貯留部1bの開口部を覆う覆い部材4(覆い部材4は、例えば、不透水牲のコンクリートで形成される。)とで概略的に構成したが、本願発明にあっては、これに限定されることなく、例えば、凹状の貯留部1b及び覆い部材4を、ゴムシートで形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施例の浄化機能付き貯水槽の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の浄化機能付き貯水槽から覆い部材を取り除いて示す概略的平面図である。
【図3】図3は、図1の浄化機能付き貯水槽の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図4】図4は、図3の貝殻収納部の概略的説明図である。
【図5】図5は、図4の貝殻収納部に収納する貝殻と異なる他の実施例の貝殻を示す概略的説明図である。
【図6】図6は、図5の貝殻と異なる他の実施例の貝殻を示す概略的説明図である。
【図7】図7は、図2の貝殻収納部と異なる他の実施例の貝殻収納部を有する浄化機能付き貯水槽から覆い部材を取り除いて示す概略的平面図である。
【図8】図8は、図7の実施例と異なる他の実施例の貝殻収納部を有する浄化機能付き貯水槽から覆い部材を取り除いて示す概略的平面図である。
【図9】図9は、図8の実施例と異なる他の実施例の貝殻収納部を有する浄化機能付き貯水槽から覆い部材を取り除いて示す概略的平面図である。
【図10】図10は、浄化機能付き貯水槽を地上に設置した状態の概略的断面図である。
【図11】図11は、図1の浄化機能付き貯水槽と異なる他の実施例の貯水槽の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0023】
A ・・・・・浄化機能付き貯水槽
1 ・・・・・貯水槽
1a・・・・・供給口
1b・・・・・貯留部
1c・・・・・排出口
2 ・・・・・貝殻収納部
3 ・・・・・開閉蓋
21・・・・・貝殻供給開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部より供給される水を貯留する凹状の貯留部を有する貯水槽と、
この貯水槽内に貯留された前記水を外部へ排水する排水手段と、
前記貯水槽内に立設し、貝殻を収納する通水性を有する貝殻収納部と、
この貝殻収納部の頂部は、前記貝殻を入れるために開口した貝殻供給開口部を有し、
前記貝殻供給開口部を除いて前記凹状の貯留部の開口部を覆う覆い部材と、
前記貝殻供給開口部を開閉する開閉蓋と
を備えていることを特徴とする浄化機能付き貯水槽。
【請求項2】
貝殻収納部は貯水槽を仕切り、仕切られた前記貯水槽の一方側の室に外部より供給される水を案内する水供給通路が、前記貝殻収納部に仕切られた前記貯水槽の他方側の室に前記貯水槽内に貯留された前記水を外部へ案内する排水通路が、それぞれ連通する
ことを特徴とする請求項1記載の浄化機能付き貯水槽。
【請求項3】
貯留部内の水面が一定以上を超えないように貯水槽に設けられたオーバーフロー管と、
前記貯留部内の水面より高い位置まで貝殻が貝殻収納部内に収納されている
ことを特徴とする請求項1記載の浄化機能付き貯水槽。
【請求項4】
貯水槽は地下に位置し、開閉蓋が地表に露出している
ことを特徴とする請求項1記載の浄化機能付き貯水槽。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部より供給される水を貯留する凹状の貯留部を有する貯水槽と、
この貯水槽内に貯留された前記水を外部へ排水する排水手段と、
前記貯水槽内に立設し、貝殻を収納する通水性を有する貝殻収納部と、
この貝殻収納部の頂部は、前記貝殻を入れるために開口した貝殻供給開口部を有し、
前記貝殻供給開口部を除いて前記凹状の貯留部の開口部を覆う覆い部材と、
前記貝殻供給開口部を開閉する開閉蓋と
を備え、前記貝殻収納部は前記貯水槽を仕切り、仕切られた前記貯水槽の一方側の室に外部より供給される水を案内する水供給通路が、前記貝殻収納部に仕切られた前記貯水槽の他方側の室に前記貯水槽内に貯留された前記水を外部へ案内する排水通路が、それぞれ連通し、前記貝殻収納部は、ポーラスコンクリートで形成していることを特徴とする浄化機能付き貯水槽。
【請求項2】
貯留部内の水面が一定以上を超えないように貯水槽に設けられたオーバーフロー管と、
前記貯留部内の水面より高い位置まで貝殻が貝殻収納部内に収納されている
ことを特徴とする請求項1記載の浄化機能付き貯水槽。
【請求項3】
貯水槽は地下に位置し、開閉蓋が地表に露出している
ことを特徴とする請求項1記載の浄化機能付き貯水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−46015(P2006−46015A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231935(P2004−231935)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【特許番号】特許第3711396号(P3711396)
【特許公報発行日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(598138187)株式会社環境アセスメントセンター (1)
【Fターム(参考)】