説明

浄水器用カートリッジ及び浄水器

【課題】水道水等の被処理水の浄化を効率良く行うことができる浄水器用カートリッジ及びこれを用いた浄水器を提供する。
【解決手段】被処理水を濾過するための浄水器用カートリッジであって、有低筒状のカートリッジケーシングと、前記カートリッジケーシングに収納される濾過体本体とを備えており、前記カートリッジケーシングは、外部から導かれた被処理水を貯留する貯留部を備え、前記濾過体本体は、前記貯留部に導かれた被処理水が流通する複数の流路と、前記流路内に充填される濾過材とを備える浄水器用カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器用カートリッジ及びこれを用いた浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から水道水には殺菌用の塩素添加が義務づけられており、これにより水道水が雑菌により汚染される懸念は少ないが、カルキ臭により水の味は損なわれていた。また、この塩素と水道水中に含まれるフミン質などの有機物質とが反応することにより、発ガン性を有するトリハロメタンが水道水中に生成することも確認されている。更に、近年の河川、湖沼の汚染等により、これらを原水とする水道水中には、カビ臭原因物質が微量成分として含まれていることも確認されている。そこで、これらの水の味を損ねる物質や有害物質を除去するために、浄水器が広く使用されている。
【0003】
浄水器の一般的な構造は、図22の概略構成断面図に示すように、活性炭のような粒状濾材充填した粒状濾材層100を有するカートリッジ101を備えている。このカートリッジ101の底面には、元水流入口102が形成されており、当該元水流入口を介してカートリッジ101内に水道水が導入されるように構成されている。また、カートリッジ101の上部には当該カートリッジ101の内部と連通する吐水管103が接続されており、カートリッジに導かれ浄化された水道水を外部に排出できるように構成されている。
【0004】
このように構成された浄水器によれば、カートリッジ101の底部から導入される水道水に含まれる有害物質等を粒状濾材の表面に吸着させて水道水の浄化を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述のような浄水器の使用を継続していくと、浄水器に導かれる水道水は、粒状濾材層内の特定のルートに偏って流通するようになり、粒状濾材層全体が均等に水道水と接触しにくくなるという問題が発生する。このように、粒状濾材層において、水道水とよく接触する領域と、あまり水道水に接触しない領域とが発生すると、粒状濾材層が局所的に劣化してしまう。局所的な粒状濾材層の劣化が生じた場合、浄水器の有害物質除去効率が格段に悪化することになり、水道水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが困難になってしまうという問題が発生する。
【0006】
また、局所的な粒状濾材層の劣化が生じた結果、部分的にはまだ有害物質除去能力を有する粒状濾材が存在するにもかかわらず、粒状濾材層全体としての有害物質除去効率が低下しているため、粒状濾材層を有するカートリッジを交換する必要が生じ、経済的ではないという問題も有する。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、水道水等の被処理水の浄化を効率良く行うことができる浄水器用カートリッジ及びこれを用いた浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、被処理水を濾過するための浄水器用カートリッジであって、外部からの被処理水が導かれる濾過体と、前記濾過体を通過した被処理水が導かれる流路とを備えており、前記濾過体は、被処理水が流入する流入孔及び被処理水が流出する流出孔を有するユニットケーシングと、前記ユニットケーシング内に充填される濾過材とを有する濾過体ユニットを複数備えており、前記各濾過体ユニットは、前記各流出孔を介して前記流路に連通する第1の浄水器用カートリッジにより達成される。
【0009】
このような構成によれば、外部から導かれる被処理水を分散して各濾過体ユニットに供給することができるため、被処理水とよく接触する濾過材の領域と、あまり被処理水に接触しない濾過材の領域とが発生することを抑制することができ、濾過体における局所的な濾過材の劣化を防止することができる。その結果、浄水器用カートリッジの有害物質除去効率が高まり、被処理水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが可能になる。
【0010】
また、濾過体の濾過能力を向上させたい場合には、濾過体を構成する濾過体ユニットの数を増加させるだけで対応することができ、利便性を向上させることができる。
【0011】
また、前記濾過体は、前記複数の濾過体ユニットを鉛直方向に積層することにより構成されており、前記各流入孔及び前記各流出孔は、前記ユニットケーシングの側壁部に形成され、前記流路は、前記濾過体の外部に配置され、前記濾過体ユニットの積層方向に沿って伸びるように形成される管状体により構成されることが好ましい。
【0012】
このような構成を採用することにより、浄水器用カートリッジの浄化効果を高い水準で維持したまま、浄水器用カートリッジの形状を鉛直方向に伸びる形状とすることができる。浄水器用カートリッジが鉛直方向に伸びる形状であるため、浄水器の形状も鉛直方向に伸びる形状とすることができ、例えば、台所のキッチン天板に孔を形成して、当該孔に浄水器1の下部を挿入して設置する場合、浄水器がキッチン天板上で占有する面積を小さくすることができ、キッチン利用者の邪魔になることを防止することができる。
【0013】
また、本発明の上記目的は、被処理水を濾過するための濾過体を有する浄水器用カートリッジであって、前記濾過体は、複数の濾過体ユニットが、鉛直方向に積層されて構成されており、前記各濾過体ユニットは、被処理水が流入する流入孔が側壁部に形成されると共に、天井部に開口部が形成されたユニットケーシングと、一方の端部が前記開口部内に配置されるように前記ユニットケーシング内に配設される管路と、前記ユニットケーシングの内周面及び前記管路の外周面の間の空間に充填される濾過材と、を備えており、一の濾過体ユニットが有する前記管路の他方の端部は、該一の濾過体ユニットの下方に配置される他の濾過体ユニットにおける前記開口部に接続可能に形成されている第2の浄水器用カートリッジにより達成される。
【0014】
このような構成によれば、上記第1の浄水器用カートリッジと同様に、外部から導かれる被処理水を分散して、各濾過体ユニットに供給することができるため、水道水とよく接触する濾過材の領域と、あまり水道水に接触しない濾過材の領域とが発生することを抑制することができ、濾過体における局所的な濾過材の劣化を防止し、水道水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが可能になる。
【0015】
また、濾過体の濾過能力を向上させたい場合には、濾過体を構成する濾過体ユニットの数を増加させるだけで対応することができ、利便性を向上させることができる。
【0016】
また、濾過体ユニット内部に充填された濾過材を通過した被処理水が流通する管路を濾過体ユニット内部に設けるように構成しているため、濾過体ユニットを複数積層するという簡単な作業で、浄水器用カートリッジの形状を鉛直方向に伸びる形状とすることができる。浄水器用カートリッジが鉛直方向に伸びる形状であるため、浄水器の形状も鉛直方向に伸びる形状とすることができ、例えば、台所のキッチン天板に孔を形成して、当該孔に浄水器の下部を挿入して設置する場合、浄水器がキッチン天板上で占有する面積を小さくすることができ、キッチン利用者の邪魔になることを防止することができる。
【0017】
また、上記第2の浄水器用カートリッジにおいては、前記濾過体ユニットは、前記開口部の開口縁と、前記管路の一方の端部の外周面との間に配置される第1不織布と、前記ユニットケーシングの内周面と、前記管路の他方の端部の外周面との間に配置される第2不織布とを更に備えており、前記濾過材は、前記ユニットケーシングの内周面、前記管路の外周面、前記第1不織布及び第2不織布で囲まれる空間に充填されていることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、濾過体ユニット内に充填される濾過材が、濾過体ユニットの外に流出することを防止することができ、濾過体ユニットを鉛直方向に積層する作業や、一部の濾過体ユニットを取り外す際の作業性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の上記目的は、被処理水を濾過するための浄水器用カートリッジであって、有低筒状のカートリッジケーシングと、前記カートリッジケーシングに収納される濾過体本体とを備えており、前記カートリッジケーシングは、外部から導かれた被処理水を貯留する貯留部を備え、前記濾過体本体は、前記貯留部に導かれた被処理水が流通する複数の流路と、前記流路内に充填される濾過材とを備える第3の浄水器用カートリッジにより達成される。
【0020】
上記第3の浄水器用カートリッジは、濾過体が、貯留部に導かれた被処理水が流通する複数の流路を有する濾過体本体と、流路内に充填される濾過材とを備えているため、一旦貯留部に導かれた被処理水が、濾過材が充填された複数の流路内を分散して流通することになる。この結果、濾過体を通過する被処理水は、各流路内の濾過材と均等に接触することになり、濾過体における局所的な濾過材の劣化を防止し、被処理水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが可能になる。
【0021】
また、上記浄水器用カートリッジにおいては、前記濾過体本体の複数の流路は、筒状の濾過体ケーシングの内部を複数の仕切板により区画することにより形成されていることが好ましく、また、前記濾過体本体の複数の流路は、被処理水の流通方向に垂直な断面形状が格子状となるように形成されていることが好ましい。
【0022】
また、前記流路は、被処理水の流通方向に沿って複数の領域に区画されており、前記各領域には、それぞれ異なる種類の濾過材が充填されていることが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、被処理水に含まれる種々の有害物質等を、各有害物質を効果的に除去できる各種類の濾過材によりそれぞれ除去することができ、被処理水の浄化を効率よく行うことができる。
【0024】
また、前記流路における被処理水の流入口は、不織布により被覆されていることが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、各流路内に充填される濾過材がカートリッジケーシングにおける貯留部に流出することを防止することができ、外部から貯留部に導かれる被処理水が濾過材により詰まることを防止することができる。
【0026】
また、本発明の上記目的は、上記第1から第3の浄水器用カートリッジのいずれかに記載の浄水器用カートリッジを備える浄水器により達成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、水道水等の被処理水の浄化を効率良く行うことができる浄水器用カートリッジ及びこれを用いた浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る第1の浄水器用カートリッジを有する浄水器の概略構成断面図である。
【図2】図1に示す第1の浄水器用カートリッジが有する濾過体ユニットの概略構成断面図である。
【図3】図1に示す浄水器の作動を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す第1の浄水器用カートリッジの変形例を示す概略構成断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る第2の浄水器用カートリッジを有する浄水器の概略構成断面図である。
【図6】図5に示す第2の浄水器用カートリッジが有する下部濾過体ユニットの(a)概略構成断面図、(b)その矢視A方向から見た平面図である。
【図7】図5に示す第2の浄水器用カートリッジが有する上部濾過体ユニットの(a)概略構成断面図、(b)その矢視B方向から見た平面図、(c)その矢視C方向から見た平面図である。
【図8】図5に示す浄水器の作動を説明するための説明図である。
【図9】図5に示す第2の浄水器用カートリッジの変形例を示す概略構成断面図である。
【図10】図5に示す第2の浄水器用カートリッジの他の変形例を示す概略構成断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る第3の浄水器用カートリッジを有する浄水器の概略構成断面図である。
【図12】図11のF−F断面図である。
【図13】図11のG−G断面図である。
【図14】図11のH−H断面図である。
【図15】図11に示す浄水器の作動を説明するための説明図である。
【図16】図11に示す第3の浄水器用カートリッジの変形例を示す要部概略構成断面図である。
【図17】図11に示す第3の浄水器用カートリッジの変形例を示す概略構成断面図である。
【図18】図17における濾過体本体に関する説明図である。
【図19】図11に示す第3の浄水器用カートリッジの変形例を示す概略構成断面図である。
【図20】図19のI−I断面図である。
【図21】図11に示す第3の浄水器用カートリッジの変形例を示す概略構成断面図である。
【図22】従来の浄水器を示す概略構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る第1の浄水器用カートリッジ及びこれを用いた浄水器について、添付図面を参照して説明する。図1は、第1の浄水器用カートリッジを用いた浄水器の概略構成断面図である。また、図2は、第1の浄水器用カートリッジが有する濾過体ユニット12の概略構成断面図である。なお、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0030】
本実施形態に係る浄水器1は、図1に示すように、本体ケース2と、当該本体ケース2に収容される浄水器用カートリッジ3と、本体ケース2の上部を覆う蓋体4と、浄水器用カートリッジ3により浄化された水道水等の被処理水を吐出する吐水管5とを備えている。
【0031】
本体ケース2は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により有底筒状に形成されており、浄水器用カートリッジ3を上部から挿入して収納できるように構成されている。この本体ケース2の底部には、被処理水が供給される給水管(図示せず)が接続される元水流入口6が設けられており、被処理水が本体ケース2内に導かれるように構成されている。なお、給水管の途中には、後述する蓋体4に設けられる操作部の操作により駆動する電磁弁等の弁体(図示せず)が配設されている。
【0032】
浄水器用カートリッジ3は、本体ケース2内に着脱自在に取り付けられており、その下部から上部に向かって被処理水が通過し、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられた吐水部7を介して、被処理水が吐水管5に導かれるように構成されている。この浄水器用カートリッジ3は、第1濾過体8と、第1濾過体8に接続する流路9と、第1濾過体8の上部に配置される第2濾過体10とを備えている。
【0033】
第1濾過体8は、支持体11と、この支持体11上に載置される複数の濾過体ユニット12とを備えている。複数の濾過体ユニット12は、鉛直方向に積層されて配置されている。また、第1濾過体8は、本体ケース2の内部に収容された場合に、本体ケース2の内周面13との間に被処理水が貯留される貯留部14(貯留空間)が形成される大きさに構成されている。
【0034】
支持体11は、本体ケース2の底部に配置される部材であり、有底筒状部材により形成されている。この支持体11の底部には、本体ケース2の元水流入口6内に挿入され、図示しない給水管及び元水流入口6を介して導かれる被処理水を支持体11内に導く接合部53を備えている。また、支持体11の側壁部には、複数の貫通孔15が形成されており、接合部53から導かれた被処理水が、貫通孔15を介して、貯留部14に導かれるように構成されている。
【0035】
第1濾過体8を構成する各濾過体ユニット12は、図1及び図2に示すように、ユニットケーシング16と、ユニットケーシング16内に配置される仕切部材16aとを備えている。ユニットケーシング16は、側壁部17、底部18及び天井部19を備える中空の箱体であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。また、ユニットケーシング16の側壁部17には、貯留部14における被処理水が流入する複数の流入孔20が形成されている。また、ユニットケーシング16の側壁部17には、内部の被処理水が流出する流出孔21が形成されている。流出孔21は、流入孔20よりも上方となるように形成されている。仕切部材16aは、複数の貫通孔が形成された整流板16b及びこの整流板16bの一方面に積層される不織布16cにより構成されており、流入孔20よりも上方に配置され、ユニットケーシング16内の空間を上下方向に区画している。ユニットケーシング16の内部であって、仕切部材16aよりも上方の空間には、濾過材(図示せず)が充填されている。なお、流出孔21を介して濾過材が外部に流出することを防止するために、流出孔21を不織布により被覆してもよい。
【0036】
ユニットケーシング16内に充填される濾過材は、内部を通過する被処理水中に含まれる残留塩素をはじめ、最も一般的な異臭味であるカルキ臭、カビ臭、さらにはトリハロメタン等の有害物質を除去するものであり、活性炭やイオン交換樹脂から形成されている。なお、濾過材としては粒状或いは繊維状の形態を有するものが好適である。
【0037】
第1濾過体8に接続する流路9は、その内部を通過する被処理水を第2濾過体10に導くことができるように構成されており、第1濾過体8の外部に配置されている。具体的には、濾過体ユニット12の積層方向に沿って伸びるように形成される管状体により構成されており、各濾過体ユニット12が備える流出孔21に接続し、当該流出孔21を介して各濾過体ユニット12の内部と連通している。管状体(流路9)を形成する材料としては、ユニットケーシング16と同様に、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料を例示することができる。
【0038】
第2濾過体10は、側壁部22、底部23及び天井部24を備える中空ケーシング25と、複数の仕切部材26,27と、濾過層28と、中空糸膜層29とを備えている。中空ケーシング25の底部23には、第1濾過体8に接続する管状の流路9が接続する接続孔30が形成されており、この接続孔30を介して、流路9内を通過する被処理水が中空ケーシング25内部に導かれる。また、中空ケーシング25の天井部24には、中空糸膜層29を通過した被処理水を吐水管5に導くための吐水部7が形成されている。なお、中空ケーシング25は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。
【0039】
複数の仕切部材26,27は、中空ケーシング25内部の空間を上下方向に沿って3層構造となるように仕切る部材であり、仕切部材26は、貫通孔が複数形成される整流板31と、この整流板31の一方面に積層される不織布32とにより形成されている。また、仕切部材27は、不織布により形成されている。
【0040】
3層構造における最下部は、第1濾過体8を介して流路9から導かれた被処理水を貯留する貯留室33を構成している。この貯留室33には、管状の流路9から導かれた被処理水を衝突させるための当て板34が設けられている。
【0041】
また、2つの仕切部材26,27により挟まれる3層構造の中央部には、濾過材が充填された濾過層28が配置されており、3層構造の最上部には、中空糸膜層29が配置されている。中空糸膜層29は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン等の素材からなる多数の中空糸束をその各端部においてボッティング樹脂により一体的に固定して形成された中空糸膜体により構成されている。このような中空糸膜体を被処理水が通過することにより、被処理水中の鉄錆及び雑菌等の細かい汚れが濾過され除去される。
【0042】
蓋体4は、図1に示すように、本体ケース2の上部を塞ぐ部材であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により形成されている。この蓋体4には、浄水器用カートリッジ3の吐水部7が挿入される挿通孔35が形成されている。また、蓋体4は、浄水器の作動開始信号や作動停止信号を送信するスイッチ等の操作部、給水管の途中に接続されている電磁弁の作動を制御する制御装置および当該制御装置を駆動させるための充電器等の電源を備えている(共に図示せず)。
【0043】
吐水管5は、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられる吐水部7に接続され、浄水器用カートリッジ3において浄化された浄水を外部に排出する配管である。
【0044】
このように構成された第1の浄水器用カートリッジ3を有する浄水器1の作動について図3を用いて説明する。まず、蓋体4に設けられている図示しない操作部を操作して、図示しない電磁弁を開くことにより、図示しない給水管及び元水流入口6を介して浄水器用カートリッジ3に水道水等の被処理水を導く。
【0045】
給水管4を介して浄水器用カートリッジ3に導かれた被処理水は、鉛直方向に向く流れとして流入してくるが、第1濾過体8の底部に衝突してその流れ方向を90度転じ、支持体11の側壁部に形成された貫通孔15を介して、貯留部14に導かれる。
【0046】
貯留部14に導かれた被処理水は、第1濾過体8を構成する各濾過体ユニット12に形成された各流入孔20を介して各濾過体ユニット12内に流入する。各濾過体ユニット12内においては、水道水等の被処理水中に含まれる残留塩素をはじめ、最も一般的な悪臭味であるカルキ臭、カビ臭、さらにはトリハロメタンやトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有害物資が、濾過材に吸着され除去される。
【0047】
各濾過体ユニット12内において有害物質が除去された被処理水は、各濾過体ユニット12に形成される流出孔21を介して管状体である流路9に導かれ、第2濾過体10へと流れていく。
【0048】
第2濾過体10内に供給された被処理水は、貯留室33に設けられる当て板34に衝突した後、仕切部材26(27)を介して濾過層28及び中空糸膜層29に導かれる。濾過層28においては、被処理水に含まれる残留塩素や、トリハロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有害物資が更に吸着除去され、中空糸膜層29においては、水道水中の鉄錆や雑菌等の細かい汚れが濾過され、更に浄化される。
【0049】
このようにして浄化された被処理水は、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられた吐水部7を介して吐水管5に導かれ、吐出される。
【0050】
本実施形態における第1の浄水器用カートリッジ3は、複数の濾過体ユニット12から濾過体を構成し、各濾過体ユニット12内に被処理水を導くように構成されているため、外部から導かれる被処理水を分散して各濾過体ユニット12に供給して浄化することができる。したがって、被処理水とよく接触する濾過材の領域と、あまり被処理水に接触しない濾過材の領域とが発生することを抑制することができ、濾過体における局所的な濾過材の劣化を防止することができる。その結果、浄水器用カートリッジ3の有害物質除去効率が高まり、被処理水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが可能になる。
【0051】
また、濾過体の濾過能力を向上させたい場合には、第1濾過体8を構成する濾過体ユニット12の数を増加させるだけで対応することができ、利便性を向上させることができる。
【0052】
また、濾過体は、複数の濾過体ユニット12を鉛直方向に積層することにより構成されると共に、各流入孔20及び各流出孔21は、ユニットケーシング16の側壁部17に形成され、流路9は、濾過体の外部に配置され、濾過体ユニット12の積層方向に沿って伸びるように形成される管状体により構成されている。このような構成を採用することにより、浄水器用カートリッジ3の浄化効果を高い水準で維持したまま、浄水器用カートリッジ3の形状を鉛直方向に伸びる形状とすることができる。浄水器用カートリッジ3が鉛直方向に伸びる形状であるため、浄水器1の形状も鉛直方向に伸びる形状とすることができ、例えば、台所のキッチン天板に孔を形成して、当該孔に浄水器1の下部を挿入して設置する場合、浄水器1がキッチン天板上で占有する面積を小さくすることができ、キッチン利用者の邪魔になることを防止することができる。
【0053】
以上、本発明に係る第1の浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器1の実施形態について説明したが、浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、図4に示すように、濾過体ユニット12の内部に不織布16dを配置することにより、濾過体ユニット12の内部を更に上下方向に区画するようにし、区画された上方領域16eに粒径が大きい(粒が粗い)濾過材を充填し、区画された下方領域16fに上方領域16eに充填される濾過材よりも粒径が小さい濾過材を充填するように構成してもよい。濾過体ユニット12の内部に配置される不織布16dの位置は、図4に示すように、流出孔21の下方であって、当該流出孔21と近接する位置が好ましい。
【0054】
次に、本発明に係る第2の浄水器用カートリッジ及びこれを用いた浄水器について、添付図面を参照して説明する。図5は、第2の浄水器用カートリッジを用いた浄水器の概略構成断面図である。各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0055】
本実施形態に係る浄水器1は、図5に示すように、本体ケース2と、当該本体ケース2に収容される浄水器用カートリッジ3と、本体ケース2の上部を覆う蓋体4と、浄水器用カートリッジ3により浄化された水道水等の被処理水を吐出する吐水管5とを備えている。
【0056】
本体ケース2は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により有底筒状に形成されており、浄水器用カートリッジ3を上部から挿入して収納できるように構成されている。この本体ケース2の底部には、被処理水が供給される給水管(図示せず)が接続される元水流入口6が設けられており、被処理水が本体ケース2内に導かれるように構成されている。なお、給水管の途中には、蓋体4に設けられる操作部の操作により駆動する電磁弁等の弁体(図示せず)が配設されている。
【0057】
浄水器用カートリッジ3は、本体ケース2内に着脱自在に取り付けられており、その下部から上部に向かって被処理水が通過し、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられた吐水部7を介して、被処理水が吐水管5に導かれるように構成されている。この浄水器用カートリッジ3は、第1濾過体8と、第1濾過体8の上部に配置される第2濾過体10とを備えている。
【0058】
第1濾過体8は、下部濾過体ユニット11と、この下部濾過体ユニット11上に載置される複数の上部濾過体ユニット12とを備えている。複数の上部濾過体ユニット12は、鉛直方向に積層されて配置されている。また、第1濾過体8は、本体ケース2の内部に収容された場合に、本体ケース2の内周面13との間に被処理水が貯留される貯留部14が形成される大きさに構成されている。
【0059】
下部濾過体ユニット11は、概略構成断面図である図6(a)及び図6(a)における矢視A方向から見た平面図である図6(b)に示すように、下部濾過体ユニットケーシング111、下部濾過体ユニットケーシングの内部に配置されるシート状の不織布112、整流部材113及び仕切部材114を備えている。
【0060】
下部濾過体ユニットケーシング111は、側壁部111a、底部111b及び天井部111cを有する箱体であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により形成されている。この下部濾過体ユニットケーシング111の底部111bには、本体ケース2の元水流入口6内に挿入され、図示しない給水管及び元水流入口6を介して導かれる被処理水を下部濾過体ユニットケーシング111内に導く接合部53が形成されている。また、下部濾過体ユニットケーシング111における天井部111cの中央には、開口部111dが形成されており、当該開口部111dを閉塞する不織布115が設置されている。この開口部111dの周囲には、後述の上部濾過体ユニット12における管路122に接続する係合突起116が形成されている。この係合突起116は、天井部111cにおける開口部111dの周囲を取り囲むように形成されている。また、天井部111c近傍の側壁部111aの外周面には、下部濾過体ユニット11上に載置される後述の上部濾過体ユニット12が備える係合部が嵌合する嵌合部111eが形成されている、また、天井部111cは、側壁部111aとの接続位置から開口部111dに向けて上り勾配となる傾斜面となるように構成されている。
【0061】
下部濾過体ユニットケーシング111の内部に配置されるシート状の不織布112、整流部材113及び仕切部材114は、下部濾過体ユニットケーシング111の内部空間を上下方向に区画するように、それぞれ配置されている。シート状の不織布112は、側壁部111aと天井部111cとの境界近傍に設置されている。なお、この不織布112は、後述する下部濾過体ユニットケーシング内に充填される濾過材が、下部濾過体ユニットケーシング内で移動することを防止するために設置されるものである。整流部材113は、不織布112と平行となるように、下部濾過体ユニットケーシング111内部に設置されている。ここで、整流部材113は、貫通孔が複数形成される整流板と、この整流板の一方面を被覆する不織布とにより形成されている。また、仕切部材114は、板状体により形成されており、整流部材113を挟んで不織布112の反対側に、不織布112及び整流部材113と平行となるように濾過体ユニットケーシング111内部に設置されている。
【0062】
下部濾過体ユニットケーシング111の底部111bと仕切部材114との間における下部濾過体ユニットケーシング111の側壁部111aには、複数の流出孔117が形成されている。また、仕切部材114と整流部材113とで挟まれる領域内における下部濾過体ユニットケーシング111の側壁部111aには複数の流入孔118が形成されている。また、下部濾過体ユニットケーシング111の天井部111cに形成される開口部111dに設置される不織布115と、下部濾過体ユニットケーシング111内部に設置される不織布112とで挟まれる領域には、濾過材が充填されている。同様に、下部濾過体ユニットケーシング111内部に設置される不織布112と、整流部材113とで挟まれる領域にも、濾過材が充填されている。ここで、濾過材は、被処理水中に含まれる残留塩素をはじめ、最も一般的な異臭味であるカルキ臭、カビ臭、さらにはトリハロメタン等の有害物質を除去するものであり、活性炭やイオン交換樹脂から形成されている。なお、濾過材としては粒状或いは繊維状の形態を有するものが好適である。
【0063】
このように構成された下部濾過体ユニット11は、下部濾過体ユニットケーシング111の接続部53を本体ケース2の底部の元水流入口6内に挿入して配置される。
【0064】
上部濾過体ユニット12は、概略構成断面図である図7(a)、図7(a)における矢視B方向から見た平面図である図7(b)、図7(a)における矢視C方向から見た底面図である図7(c)に示すように、ユニットケーシング121と、管路122とを備えている。ユニットケーシング121は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により形成されており、筒状の側壁部123と、当該筒状の側壁部123の一方の開口部を閉塞する天井部124とを備えている。筒状の側壁部123の他方の開口部の端縁には、他のユニットケーシング121(或いは、下部濾過体ユニットケーシング111)の外周面と接続するための係合部125が設けられている。また、当該係合部125よりも天井部124側の側壁部123には、複数の流入孔126が形成されている。これら流入孔126は、側壁部123の周囲に沿って所定間隔をあけて形成されている。また、天井部124の中央には開口部127が形成されている。この開口部127の周囲には、他の上部濾過体ユニット12における管路122に接続する係合突起128が形成されている。この係合突起128は、天井部124における開口部127の周囲を取り囲むように形成されている。また、天井部124は、側壁部123との接続位置から開口部127に向けて上り勾配となる傾斜面となるように構成されている。
【0065】
管路122は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により形成されている。この管路122は、一方の端部が、ユニットケーシング121の天井部124に形成される開口部127内に配置されるように構成されている。また、管路122は、図示しない支持部材により一方の端部と開口部127とを接続することにより固定されている。天井部124に形成される開口部127の開口縁と、管路122の一方の端部の外周面との間には、隙間が形成されており、当該隙間を被覆する第1不織布129が設けられている。また、管路122の他方の端部は拡径しており、他の上部濾過体ユニット12が有する開口部127(或いは、下部濾過体ユニット11が有する開口部111d)の周囲に形成された係合突起128(116)に接続可能に形成されている。このような構成により、一の上部濾過体ユニット12が有する管路122内を通過する被処理水を、該一の上部濾過体ユニット12に隣接して配置される他の上部濾過体ユニット12における管路122内に導くと共に、一の上部濾過体ユニット12における開口部127の開口縁と管路122の外周面との間に形成される隙間を通過する被処理水を、該一の上部濾過体ユニット12に隣接して配置される他の上部濾過体ユニット12における管路122内に導くことが可能となる。
【0066】
また、ユニットケーシング121の内周面と、管路122の他方の端部の外周面との間には、シート状の第2不織布130が設けられている。この第2不織布130は、ユニットケーシング121に形成される複数の流入孔126よりも天井部124側に配置されている。また、ユニットケーシング121の内周面と、管路122の長手方向中央部の外周面との間には、シート状の第3不織布131が設けられえている。ユニットケーシング121の内周面と、管路122の外周面と、第2不織布130と、第3不織布131とによって囲まれる空間132aには、粒状或いは繊維状等の濾過材が充填されている。同様に、ユニットケーシング121の内周面と、管路122の外周面と、第1不織布129と、第3不織布131とによって囲まれる空間132bにも、粒状或いは繊維状等の濾過材が充填されている。濾過材は、被処理水中に含まれる残留塩素をはじめ、最も一般的な異臭味であるカルキ臭、カビ臭、さらにはトリハロメタン等の有害物質を除去するものであり、活性炭やイオン交換樹脂から形成されている。なお、空間132a及び空間132bにそれぞれ異なる種類の濾過材を充填するように構成してもよい。
【0067】
このように構成された上部濾過体ユニット12は、係合部125を下部濾過体ユニット11の外周面や、他の上部濾過体ユニット12の外周面に嵌合させることにより設置される。
【0068】
第2濾過体10は、側壁部22、底部23及び天井部24を備える中空ケーシング25と、複数の仕切部材26,27と、濾過層28と、中空糸膜層29とを備えている。中空ケーシング25の底部には、第1濾過体8における最上部に配置される上部濾過体ユニット12に形成される係合突起128に接続する接続孔30が形成されており、この接続孔30を介して、被処理水が中空ケーシング25内部に導かれる。また、中空ケーシング25の天井部24には、中空糸膜層29を通過した被処理水を吐水管5に導くための吐水部7が形成されている。なお、中空ケーシング25は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。
【0069】
複数の仕切部材26,27は、中空ケーシング25内部の空間を上下方向に沿って3層構造となるように仕切る部材であり、仕切部材26は、貫通孔が複数形成される整流板31と、この整流板31の一方面に積層される不織布32とにより形成されている。また、仕切部材27は、不織布により形成されている。
【0070】
3層構造における最下部は、第1濾過体8を介して流路から導かれた被処理水を貯留する貯留室33を構成している。
【0071】
また、仕切部材26,27により挟まれる3層構造の中央部には、濾過材が充填された濾過層28が配置されており、3層構造の最上部には、中空糸膜層29が配置されている。中空糸膜層29は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン等の素材からなる多数の中空糸束をその各端部においてボッティング樹脂により一体的に固定して形成された中空糸膜体により構成されている。このような中空糸膜体を被処理水が通過することにより、被処理水中の鉄錆及び雑菌等の細かい汚れが濾過され除去される。
【0072】
蓋体4は、図5に示すように、本体ケース2の上部を塞ぐ部材であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により形成されている。この蓋体4には、浄水器用カートリッジ3の吐水部7が挿入される挿通孔35が形成されている。また、蓋体4は、浄水器1の作動開始信号や作動停止信号を送信するスイッチ等の操作部、図示しない給水管の途中に接続されている電磁弁の作動を制御する制御装置および当該制御装置を駆動させるための充電器等の電源を備えている(共に図示せず)。
【0073】
吐水管5は、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられる吐水部7に接続され、浄水器用カートリッジ3において浄化された浄水を外部に排出する配管である。
【0074】
このように構成された第2の浄水器用カートリッジ3を有する浄水器1の作動について図8を用いて説明する。まず、蓋体4に設けられている図示しない操作部を操作して、図示しない電磁弁を開くことにより、図示しない給水管を介して浄水器用カートリッジ3に水道水等の被処理水を導く。
【0075】
図示しない給水管を介して浄水器用カートリッジ3に導かれた被処理水は、鉛直方向に向く流れとして流入してくるが、下部濾過体ユニット11における仕切部材114に衝突してその流れ方向を90度転じ、仕切部材114の下方に形成される流出孔117を介して、貯留部14に導かれる。
【0076】
貯留部14に導かれた被処理水の一部は、流出孔117の上部に形成される流入孔118を介して、下部濾過体ユニット11における仕切部材114と整流部材113との間に形成される領域に導かれ、その後、整流部材113を通過して上方の濾過材が充填されている領域に導かれる。被処理水に含まれる残留塩素や、トリハロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有害物資は、濾過材により吸着除去される。そして、浄化処理された被処理水は、下部濾過体ユニット11の上部に形成される開口部111dを介して、上部濾過体ユニット12が有する管路122内へと導かれる。
【0077】
また、貯留部14に導かれた被処理水のその他の部分は、各上部濾過体ユニット12に形成された各流入孔126を介して上部濾過体ユニット12内に導かれる。流入孔126を介して上部濾過体ユニット12内に導かれた被処理水は、ユニットケーシング121の内周面と管路122の外周面との間に充填された濾過材層を通過し、天井部に形成された開口部127の開口縁と、管路122の外周面との間に形成される隙間を介して、上方に配置される他の上部濾過体ユニット12が有する管路122内へと導かれ、下部濾過体ユニット11内を通過した被処理水と合流する。合流した被処理水は、そのまま他の上部濾過体ユニット12が有する管路122内を流れる。
【0078】
このようにして、図示しない給水管から供給された被処理水は、第1濾過体8内部を通過した後、最終的に第2濾過体10に導かれる。第2濾過体10内に供給された被処理水は、貯留室33に導かれた後、仕切部材26(27)を介して濾過層28及び中空糸膜層29に導かれる。濾過層28においては、被処理水に含まれる残留塩素や、トリハロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有害物資が更に吸着除去され、中空糸膜層29においては、水道水中の鉄錆や雑菌等の細かい汚れが濾過され、更に浄化される。
【0079】
浄水器用カートリッジ3により浄化された被処理水は、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられた吐水部7を介して吐水管5に導かれ、吐出される。
【0080】
本実施形態における第2の浄水器用カートリッジ3は、複数の濾過体ユニット(下部濾過体ユニット11及び複数の上部濾過体ユニット12)から濾過体を構成し、各濾過体ユニット内に被処理水を導くように構成されているため、外部から導かれる被処理水を分散して各濾過体ユニットに供給して浄化することができる。したがって、被処理水とよく接触する濾過材の領域と、あまり被処理水に接触しない濾過材の領域とが発生することを抑制することができ、濾過体における局所的な濾過材の劣化を防止することができる。その結果、浄水器用カートリッジ3の有害物質除去効率が高まり、被処理水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが可能になる。
【0081】
また、濾過体の濾過能力を向上させたい場合には、第1濾過体8を構成する上部濾過体ユニット12の数を増加させるだけで対応することができ、利便性を向上させることができる。
【0082】
また、上部濾過体ユニット12内部に充填された濾過材を通過した被処理水が流通する管路122を上部濾過体ユニット12内部に設けるように構成しているため、上部濾過体ユニット12を複数積層するという簡単な作業で、浄水器用カートリッジ3の形状を鉛直方向に伸びる形状とすることができる。浄水器用カートリッジ3が鉛直方向に伸びる形状であるため、浄水器1の形状も鉛直方向に伸びる形状とすることができ、例えば、台所のキッチン天板に孔を形成して、当該孔に浄水器1の下部を挿入して設置する場合、浄水器1がキッチン天板上で占有する面積を小さくすることができ、キッチン利用者の邪魔になることを防止することができる。
【0083】
また、上記第2の浄水器用カートリッジ3においては、上部濾過体ユニット12は、開口部127の開口縁と、管路122の一方の端部の外周面との間に配置される第1不織布129と、ユニットケーシング121の内周面と、管路の他方の端部の外周面との間に配置される第2不織布130とを更に備えており、濾過材は、ユニットケーシング121の内周面、管路122の外周面、第1不織布129及び第2不織布130で囲まれる空間に充填されている。このような構成によれば、上部濾過体ユニット12内に充填される濾過材が、上部濾過体ユニット12の外に流出することを防止することができ、上部濾過体ユニット12を鉛直方向に積層する作業や、一部の上部濾過体ユニット12を取り外す際の作業性を向上させることができる。
【0084】
また、上部濾過体ユニット12における天井部124は、側壁部123との接続位置から開口部127に向けて上り勾配となる傾斜面となるように構成されている。このような構成により、上部濾過体ユニット12に形成される流入孔126を介して上部濾過体ユニット12内に流入する被処理水を、他の上部濾過体ユニット12における傾斜する天井部124に沿ってスムーズに流通させることできる。
【0085】
以上、本発明に係る第2の浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器の実施形態について説明したが、浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、浄水器用カートリッジ3が備える第2濾過体10の構造として、図9に示すような構成を採用することもできる。図9に示す第2濾過体10は、中空糸膜層29の下方に形成される空間内に配置される管路70を備えている。この管路70は、その一方の端部71が、中空ケーシング25の底部に形成される接続孔30に接続するように配置されている。中空ケーシング25の底部23は、接続孔30の周囲に沿って形成される複数の貫通孔72を備えている。この貫通孔72は不織布(図示せず)により被覆されている。また、管路70の外周面と、中空ケーシング25の内周面との間に形成される空間には、シート状の不織布74及び不織布75が配置されており、当該不織布74及び不織布75により空間を上下方向に区画している。不織布75は、不織布74よりも上方であって、管路70の他方の端部76近傍に配置されている。また、中空ケーシング25の底部23と不織布74とで挟まれる領域77、及び、不織布74と不織布75とで挟まれる領域78には、粒状或いは繊維状等の濾過材が充填されている。中空ケーシング25の底部23と不織布74とで挟まれる領域77に充填される濾過材と、不織布74と不織布75とで挟まれる領域78に充填される濾過材との種類が異なるように構成してもよい。
【0086】
このような構成を採用する場合、貯留部14に導かれた被処理水の一部は、第1濾過体8内を通過することなく、中空ケーシング25の底部23に形成された貫通孔72を介して、第2濾過体10の内部に導かれることになるため、濾過処理を行うことができる被処理水の量を増加させることができる。なお、中空ケーシング25の底部23と不織布74とで挟まれる領域77、及び、不織布74と不織布75とで挟まれる領域78において浄化処理された被処理水と、第1濾過体8内を通過することにより浄化処理された被処理水とが同等の水質(同程度の浄化処理がされた状態の水質)となるように、中空ケーシング25の底部23に形成される貫通孔72の孔径や個数等を設定することが好ましい。
【0087】
また、中空ケーシング25に形成される貫通孔72の形成位置は、中空ケーシング25の底部23に限定されるものではなく、貯留部14における被処理水を第2濾過体10内に導くことができれば、何処に形成してもよい。例えば、図10に示すように、中空ケーシング25の底部23に開口部79を形成し、当該開口部79及び第1濾過体8の上部濾過体ユニット12の外周面に接続する筒状部材80を備えるように中空ケーシング25を構成し、当該筒状部材80に複数の貫通孔81を設けるように構成してもよい。
【0088】
次に、本発明に係る第3の浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器1について、添付図面を参照して説明する。図11は、第3の浄水器用カートリッジ3を用いた浄水器1の概略構成断面図である。なお、図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0089】
本実施形態に係る浄水器1は、図11に示すように、本体ケース2と、当該本体ケース2に収容される浄水器用カートリッジ3と、本体ケース2の上部を覆う蓋体4と、浄水器用カートリッジ3により浄化された水道水等の被処理水を吐出する吐水管5とを備えている。
【0090】
本体ケース2は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により有底筒状に形成されており、浄水器用カートリッジ3を上部から挿入して収納できるように構成されている。この本体ケース2の底部には、被処理水が供給される給水管(図示せず)が接続される元水流入口6が設けられており、被処理水が本体ケース2内に導かれるように構成されている。なお、給水管の途中には、後述する蓋体4に設けられる操作部の操作により駆動する電磁弁等の弁体(図示せず)が配設されている。
【0091】
浄水器用カートリッジ3は、本体ケース2内に着脱自在に取り付けられており、その下部から上部に向かって被処理水が通過し、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられた吐水部7を介して、被処理水が吐水管5に導かれるように構成されている。この浄水器用カートリッジ3は、第1濾過体8と、第1濾過体8の上部に配置される第2濾過体10とを備えている。
【0092】
第1濾過体8は、有低筒状のカートリッジケーシング51と、カートリッジケーシング51に収納される濾過体本体52とを備えている。カートリッジケーシング51は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。このカートリッジケーシング51の底部には、本体ケース2の元水流入口6内に挿入され、図示しない給水管及び元水流入口6を介して導かれる被処理水をカートリッジケーシング51内に導く接合部53を備えている。また、カートリッジケーシング51の底部近傍には、カートリッジケーシング51内を上下方向に区画する板状の支持体54が設けられている。
【0093】
また、板状の支持体54により区画されたカートリッジケーシング51内の上部空間内であって、支持体54上には、図11及びこのF−F断面図である図12に示すように、直方体状の濾過体本体52が配置されており、この濾過体本体52を挟んだ両側には、空間部がそれぞれ形成されている。なお、図12においては、本体ケース2を省略して記載している。一方の空間部は、外部から導かれた被処理水を貯留する貯留部14としての機能を有しており、当該空間部(貯留部14)の底面部を形成する支持体54部分には、貫通孔55が形成されている。図示しない給水管及び元水流入口6を介して導かれる被処理水が当該貫通孔55を通過して、一方の空間部(貯留部14)に導かれる。また、他方の空間部は、貯留部14から濾過体本体52に導かれ、当該濾過体本体52から流出した被処理水が貯留される流出部56としての機能を有する。
【0094】
濾過体本体52は、貯留部14に導かれた被処理水が流通する複数の流路57と、各流路57内に充填される濾過材とを備えている。濾過体本体52は、図11、図12及び図11のG−G断面図である図13に示すように、筒状の濾過体ケーシング58と、この濾過体ケーシング58の内部を複数領域に区画する仕切板59とを備えている。濾過体ケーシング58及び仕切板59は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料若しくは、ABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂素材により形成されている。なお、図13においては、本体ケース2を省略して記載している。これら濾過体ケーシング58及び濾過体ケーシング58の内部を複数領域に区画する仕切板59により、濾過体本体52における各流路57が形成されている。また、濾過体本体52における被処理水の流通方向に垂直な断面形状は、図13に示すように、格子状に形成されている。また、濾過体本体52における各流路57の流入口及び流出口は、不織布60,61により被覆されており、内部に充填される濾過材が、外部に流出しないように構成されている。なお、不織布60,61により各流路57の流入口及び流出口を被覆する際には、例えば超音波溶着等により不織布60,61を流入口及び流出口に接着することが好ましい。
【0095】
濾過体本体52における各流路57内に充填される濾過材は、流路内部を通過する被処理水中に含まれる残留塩素をはじめ、最も一般的な異臭味であるカルキ臭、カビ臭、さらにはトリハロメタン等の有害物質を除去するものであり、活性炭やイオン交換樹脂から形成されている。なお、濾過材としては粒状或いは繊維状の形態を有するものが好適である。
【0096】
第2濾過体10は、側壁部22、底部23及び天井部24を備える中空ケーシング25と、仕切部材26と、中空糸膜層29とを備えている。中空ケーシング25の底部23には、図11及びこのH−H断面図である図14に示すように、第1濾過体8における流出部56の直上位置に貫通孔62が形成されており、この貫通孔62を介して、流出部56に導かれた被処理水が中空ケーシング25内部に導かれる。なお、図14においては、本体ケース2を省略して記載している。また、中空ケーシング25の天井部24には、中空糸膜層29を通過した被処理水を吐水管5に導くための吐水部7が形成されている。なお、中空ケーシング25は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。
【0097】
仕切部材26は、中空ケーシング25内部の空間を上下方向に沿って2層構造となるように仕切る部材であり、不織布により形成されている。
【0098】
仕切部材26よりも上方に形成される空間には、中空糸膜体により形成される中空糸膜層29が配置されている。中空糸膜層29は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン等の素材からなる多数の中空糸束をその各端部においてボッティング樹脂により一体的に固定して形成された中空糸膜体により構成されている。このような中空糸膜体を被処理水が通過することにより、被処理水中の鉄錆及び雑菌等の細かい汚れが濾過され除去される。
【0099】
また、仕切部材26よりも下方に形成される空間は、中空ケーシング25の底部に形成される貫通孔62を介して導かれる被処理水が貯留される貯留室33として機能する。また、この貯留室33には、中空ケーシング25底部の貫通孔62を介して導かれた被処理水を衝突させるための当て板34が設けられている。なお、この貯留室33内に濾過材を充填するように構成してもよい。このような構成(濾過材を充填する構成)を採用する場合、濾過材が中空ケーシング25底部に形成された貫通孔62から流出しないようにするために、不織布により貫通孔62を被覆するように構成することが好ましい。
【0100】
蓋体4は、図11に示すように、本体ケース2の上部を塞ぐ部材であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくは合成樹脂等により形成されている。この蓋体4には、浄水器用カートリッジ3の吐水部7が挿入される挿通孔35が形成されている。また、蓋体4は、浄水器1の作動開始信号や作動停止信号を送信するスイッチ等の操作部、図示しない給水管の途中に接続されている電磁弁の作動を制御する制御装置および当該制御装置を駆動させるための充電器等の電源を備えている(共に図示せず)。
【0101】
吐水管5は、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられる吐水部7に接続され、浄水器用カートリッジ3において浄化された浄水を外部に排出する配管である。
【0102】
このように構成された第3の浄水器用カートリッジ3を有する浄水器の作動について図15を用いて説明する。まず、蓋体4に設けられている図示しない操作部を操作して、図示しない電磁弁を開くことにより、給水管を介して浄水器用カートリッジ3に水道水等の被処理水を導く。
【0103】
図示しない給水管を介して浄水器用カートリッジ3に導かれた被処理水は、鉛直方向に向く流れとして流入してくるが、第1濾過体8における板状の支持体54に衝突してその流れ方向を90度転じ、支持体54に形成された貫通孔55を介して貯留部14に導かれる。
【0104】
貯留部14に導かれた被処理水は、濾過体本体52における複数の流路57を通過して流出部56に貯留される。濾過体本体52が備える複数の流路57内においては、被処理水中に含まれる残留塩素をはじめ、最も一般的な悪臭味であるカルキ臭、カビ臭、さらにはトリハロメタンやトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有害物資が、濾過材に吸着され除去される。
【0105】
流出部56に貯留された被処理水は、第2濾過体10における中空ケーシング25の底部に形成された貫通孔62を介して中空ケーシング25内部へと導かれる。
【0106】
第2濾過体10に供給された被処理水は、貯留室33に設けられる当て板34に衝突した後、仕切部材26を介して中空糸膜層29に導かれる。中空糸膜層29においては、水道水中の鉄錆や雑菌等の細かい汚れが濾過され、更に浄化される。
【0107】
このようにして浄化された水道水は、浄水器用カートリッジ3の上部に設けられた吐水部7を介して吐水管5に導かれ、吐出される。
【0108】
本実施形態における第3の浄水器用カートリッジ3は、濾過体本体52が、貯留部14に導かれた被処理水が流通する複数の流路57と、流路57内に充填される濾過材とを備えているため、一旦貯留部14に導かれた被処理水が、濾過材が充填された複数の流路57に分散して流通することになる。この結果、濾過体本体52を通過する被処理水は、各流路57内の濾過材と略均等に接触することになり、濾過体本体52における局所的な濾過材の劣化を防止し、被処理水に含まれる有害物質等を効率的に除去することが可能になる。
【0109】
また、上記第3の浄水器用カートリッジ3においては、濾過体本体52の複数の流路57が、筒状の濾過体ケーシング58の内部を複数の仕切板59により区画することにより形成されており、被処理水の流通方向に垂直な断面形状が格子状となるように形成されている。このような構成により、被処理水が導かれる濾過体本体52の内部を細分化して多くの流路57を形成することができるため、濾過体本体52内を通過する被処理水が、濾過体本体52内を偏って流通することを効果的に防止することができ、濾過体本体52内部における濾過材と略均等に接触することができる。この結果、濾過体本体52における局所的な濾過材の劣化を防止して、被処理水に含まれる有害物質等を効率的に除去することがより一層可能になる。
【0110】
また、濾過体本体52が有する流路57における被処理水の流入口や、被処理水の流出口は、不織布60,61により被覆されているため、各流路57の内部に充填されている濾過材が、外部に流出することを防止して、濾過体本体52の濾過性能を維持することができる。また、支持体54に形成される貫通孔55を介して濾過材が支持体54の下方に落下することにより発生するおそれのある被処理水の詰まりを効果的に防止することができる。
【0111】
以上、本発明に係る第3の浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器1の実施形態について説明したが、浄水器用カートリッジ3及びこれを用いた浄水器の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、濾過体本体52は、被処理水の流通方向に垂直な断面形状が、図13に示すように格子状となるように構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、被処理水の流通方向に垂直な断面形状が、図16の断面図に示すように、鉛直方向に矩形を積層したような形状となるように構成してもよい。
【0112】
また、図13に示すように、濾過体本体52における各流路57は、被処理水の流通方向に垂直な断面形状が矩形状となるように形成しているが、このような形状に特に限定されず、断面形状が六角形や八角形等となるように構成してもよい。断面形状が六角形や八角形等となるように構成する場合、濾過体本体52の強度を向上させることができる。
【0113】
また、濾過体本体52が有する各流路57の内部に充填される濾過材の種類を被処理水の流通方向に沿って異なるように濾過体本体52を構成してもよい。具体的には、図17に示すように、濾過体本体52が有する各流路57を被処理水の流通方向に沿って複数の領域に区画し、各領域にそれぞれ異なる種類の濾過材を充填するように構成してもよい。このような濾過体本体52は、図18に示すように、第1の濾過材(例えば、塩素やトリハロメタン、カルキ臭等を除去する粒状の活性炭)が充填された第1の濾過体本体部63と、第2の濾過材(例えば、鉛やアルミニウムを除去する粒状のイオン交換樹脂)が充填された第2の濾過体本体部64とを、例えば超音波溶着等の手法により接合することにより形成することができる。なお、第1及び第2の濾過体本体部63,64の各開口部は、不織布65により被覆することが好ましい。不織布65により各開口部を被覆する際には、例えば超音波溶着等により不織布65を各開口部に接着することが好ましい。このような構成によれば、被処理水に含まれる種々の有害物質等を、各有害物質を効果的に除去できる各種類の濾過材によりそれぞれ除去することができ、被処理水の浄化を効率よく行うことができる。
【0114】
また、上記実施形態においては、第2濾過体10が、中空ケーシング25と、中空ケーシング25内に配置される仕切部材26及び中空糸膜層29とを備えているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図19やこのI−I断面図である図20に示すように、中空糸膜層29の下方に、濾過体本体52と同一構成の濾過体本体66を配置するように構成してもよい。なお、中空ケーシング25内に配置される濾過体本体66は、下方に配置される貯留室33における被処理水を、上方に配置される中空糸膜層29に導くように配置されている。また、濾過体本体66内に充填される濾過材の種類が、濾過体本体52内に充填される濾過材の種類と異なるように構成してもよい。
【0115】
また、上記実施形態においては、第1濾過体8は、図11に示すように、水平方向に並ぶ貯留部14、濾過体本体52及び流出部56を備えており、濾過体本体52は、図15に示すように、貯留部14における被処理水を水平方向に流通させて流出部56に導くように構成されているが、例えば、図21に示すように、第1濾過体8が、鉛直方向に並ぶ貯留部14及び濾過体本体52を備え、濾過体本体52が、第1濾過体8の底部に形成された貯留部14における被処理水を鉛直上方向に流通させるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、濾過体本体52における流路57の流入口を不織布67により被覆することが好ましい。また、第2濾過体10が備える中空ケーシング25の底部23を不織布により構成し、第1濾過体8を通過した被処理水が第2濾過体10内部に導かれるようにする。なお、図21における第2濾過体10は、中空糸膜層29のかわりに図20に示す濾過体本体66を備える構成となっている。
【符号の説明】
【0116】
1 浄水器
3 浄水器用カートリッジ
8 第1濾過体
9 流路
10 第2濾過体
12 濾過体ユニット
16 ユニットケーシング
20 流入孔
21 流出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を濾過するための浄水器用カートリッジであって、
有低筒状のカートリッジケーシングと、前記カートリッジケーシングに収納される濾過体本体とを備えており、
前記カートリッジケーシングは、外部から導かれた被処理水を貯留する貯留部を備え、
前記濾過体本体は、前記貯留部に導かれた被処理水が流通する複数の流路と、前記流路内に充填される濾過材とを備える浄水器用カートリッジ。
【請求項2】
前記濾過体本体の複数の流路は、筒状の濾過体ケーシングの内部を複数の仕切板により区画することにより形成されている請求項1に記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項3】
前記濾過体本体の複数の流路は、被処理水の流通方向に垂直な断面形状が格子状となるように形成されている請求項1又は2に記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項4】
前記流路は、被処理水の流通方向に沿って複数の領域に区画されており、前記各領域には、それぞれ異なる種類の濾過材が充填されている請求項1から3のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項5】
前記流路における被処理水の流入口は、不織布により被覆されている請求項1から4のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の浄水器用カートリッジを備える浄水器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−11370(P2012−11370A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248812(P2010−248812)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2010−152023(P2010−152023)の分割
【原出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【特許番号】特許第4697692号(P4697692)
【特許公報発行日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(506267662)
【Fターム(参考)】