説明

浄水器

【課題】本体容器の容積を変えずに、より多くの浄水を浄水室に貯留することのできる浄水器を得る。
【解決手段】本体容器2の内部に当該本体容器2の天壁部8を望むように内容器3を配置することで、内容器3の内側を原水室4、外側を浄水室5に区画するとともに、前記内容器3の底壁部3aに、原水室4と浄水室5とを連通する開口部3cを設け、前記開口部3cに浄水カートリッジ10を装着することで、原水室4に導水された原水を浄水カートリッジ10で濾過して濾過された浄水を浄水室5に貯留するようにした浄水器1であって、前記内容器3に、当該内容器3の容積を増減させる伸縮部20を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器に関し、詳細には、本体容器の容積を変えずに、より多くの浄水を浄水室に貯留するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浄水器として、本体容器の内部に当該本体容器の天壁部を望むように内容器を配置することで、内容器の内側を原水室、外側を浄水室に区画するとともに、原水室と浄水室の大きさが略同等に形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
内容器の底壁部には、原水室と浄水室とを連通する開口部を有した凹部が形成されており、この凹部に浄水カートリッジを装着することによって、原水室から浄水カートリッジを通過して濾過された水が浄水室に貯留されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−230341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、原水室と浄水室の大きさが略同等に形成されているため、浄水室に貯留することのできる浄水量は、本体容器の容積の約半分程度となってしまう。
【0006】
このような問題を解決するため、例えば内容器の容積を小さくすることが考えられるが、原水室を極端に小さくしてしまうと作業者が原水室に何度も原水を注ぐ必要が生じるため、時間的にも作業的にも好ましくはない。
【0007】
そのため、本体容器の容積を大きくすることで浄水量を稼ぐのが現状であり、今度は大型化された本体容器が、例えば冷蔵庫などに収納する際に邪魔になってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、本体容器の容積を変えずに、より多くの浄水を浄水室に貯留することのできる浄水器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にあっては、本体容器の内部に当該本体容器の天壁部を望むように内容器を配置することで、前記内容器の内側を原水室、外側を浄水室に区画するとともに、前記内容器の底壁部に、前記原水室と前記浄水室とを連通する開口部を設け、前記開口部に浄水カートリッジを装着することで、前記原水室に導水された原水を前記浄水カートリッジで濾過して濾過された浄水を前記浄水室に貯留するようにした浄水器であって、前記内容器に、当該内容器の容積を増減させる伸縮部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明にあっては、前記伸縮部は、前記内容器の周壁部に形成された蛇腹部であることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明にあっては、前記内容器の容積が減少するように変形するのを補助する補助機構を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明にあっては、前記補助機構が、前記浄水室に貯留される水の浮力を利用して、前記内容器の底壁部を当該内容器の天壁部に向けて押し上げるフロートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、内容器に当該内容器の容積を増減させる伸縮部を設けたため、内容器の容積を小さくすることで浄水室を大きくすることが可能となり、本体容器の容積を変えずに、より多くの浄水を浄水室に貯留することができるようになる。
【0014】
請求項2の発明によれば、伸縮部が内容器の周壁部に形成された蛇腹部であるため、内容器の容積を増減させる構成を比較的簡素なものとすることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、前記内容器の容積が減少するように変形するのを補助する補助機構を設けたため、内容器の容積が減少するのを促進して浄水室を大きくすることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、前記補助機構が、前記浄水室に貯留される水の浮力を利用して、前記内容器の底壁部を当該内容器の天壁部に向けて押し上げるフロートであるため、例えば、バネなどを用いて原水室側から底壁部を天壁部に向けて引き上げる構成と比べて、比較的簡素な構成で内容器の容積が減少するように変形させることができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる浄水器の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる浄水カートリッジの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【図4】図1に示す浄水器の給水初期を示した図である。
【図5】図1に示す浄水器の給水後期を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図5は、本発明の一実施形態にかかる浄水器を示した図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の浄水器1は、ポット型浄水器として構成されており、略有底筒状の本体容器2と、同じく略有底筒状に形成される内容器3と、浄水カートリッジ10とを備えている。そして、本体容器2の筒内に、当該本体容器2の天壁部8を望むようにして内容器3を配置することで、内容器3の内側を原水室4、外側を浄水室5に区画している。
【0020】
内容器3の底壁部3aには、原水室4と浄水室5とを連通する開口部3eを有した略円筒状の凹部3bが形成されており、この凹部3bに、略円筒状の浄水カートリッジ10が、上方から奥まで差し込まれて嵌着される。また、この状態では、浄水カートリッジ10の下部10bが、開口部3eから露出して浄水室5に臨むようになっている。原水室4に導水された原水は、原水室4から浄水カートリッジ10を通過することによって、濾過された水が浄水室5に貯留される。
【0021】
原水室4の上方には、給水口8aの形成された天壁部8が配置される。給水口8aは、天壁部8にヒンジ9aを介して回動可能に取り付けられた上開き式の蓋9によって、開閉可能に塞がれている。原水は、蓋9を上方に開いた状態で給水口8aを介して原水室4内に供給される。
【0022】
また、内容器3の側壁部3cと本体容器2との間には、浄水室5から上方に向けて伸びる通路7が形成されており、本体容器2または天壁部8には、通路7の上端部となる位置に、注水口7aを形成してある。本実施形態では、本体容器2を注水口7aが下方となるように傾倒させることで(図1では本体容器2を時計回り方向に傾倒させることで)、浄水室5内に貯留された浄水を、通路7を経て注水口7aから排出させる。なお、本実施形態では、注水口7aは、本体容器2あるいは天壁部9に回動可能に支持された上開き式の蓋19によって、開閉可能に塞がれている。この場合、本体容器2を傾けたときに、蓋19を自重や水の動圧等によって回動させ、注水口7aを開放するように構成することができる。
【0023】
浄水カートリッジ10は、図2および図3に示すように、上方が開放された有底筒状の下ケース14と、この下ケース14の上方開口部10aを閉止する蓋体15とを備えており、浄化材12を内包している。浄化材12は、活性炭やイオン交換樹脂などにより粒状に形成され、水中に存在する臭気や味を変化させる成分、有害な成分および使用目的によって阻害要因となる硬度成分などの除去が行われる。
【0024】
下ケース14の底壁部41の中央部には、所定の空間容積をもって凹設される中段室42が設けられるとともに、その中段室42の下方に縮径された下段室43が設けられ、その下段室43の底面に浄水吐出口44が形成されている。
【0025】
また、底壁部41には中段室42を中心として放射状のリブ45が突設され、そのリブ45の上側に多孔質の集水板16が底上げされた状態で載置される。集水板16は、下ケース14の内周に密接して嵌合されるとともに、浄化材12の粒径よりも小径となる孔が多数形成され、その集水板16によって浄化材12を堰き止めている。
【0026】
従って、集水板16よりも上方の下ケース14内は浄化材12が装填される浄化室46となり、また、集水板16と底壁部41との間にリブ45が介在されることにより、それら集水板16と底壁部41との間に空間が形成されて、浄化材12を通過した浄水が集水板16のほぼ全面から落下されるようになっている。さらに、中段室42は、浄化材12を通過した浄水に、栄養成分や美容成分、さらには味などを添加する添加剤21を収容するスペースであるが、その添加剤21は必ずしも設ける必要は無い。
【0027】
蓋体15は、ほぼ平坦に形成された天壁部51の周縁部に下方に垂設する環状壁52が設けられ、その環状壁52が下ケース14の上方開口部10aの外周に密接嵌合される。このとき、環状壁52と上方開口部10aの外周との間には、蓋体15の密閉状態で互いに係合する凹・凸部53、47が形成されており、その凹・凸部53、47によって蓋体15が下ケース14から容易に分離されるのが防止されるとともに、それら凹・凸部53、47の圧接によりより確実な水密状態が保持される。
【0028】
蓋体15の天壁部51の周縁部には、図2にも示すように、複数の水導入口54が周方向にほぼ等間隔をもって形成されるとともに、その蓋体15の中央部には、上方に断面台形状に凸設される空気溜り部55が設けられ、その空気溜り部55の頂面に空気抜き口56が形成される。また、水導入口54はメッシュ54aで覆われ、異物が浄化室46内に進入するのを阻止するとともに、浄化材12がその水導入口54から漏れるのを阻止できるようになっている。
【0029】
また、蓋体15の天壁部51には、空気溜り部55の外側から放射状に突設するリブ57を介して環状つまみ58が空気溜り部55とほぼ同心状に設けられている。この環状つまみ58は、浄水カートリッジ10を設置する際に把持する部分となる。また、環状つまみ58には、図2に示すように、各リブ57間に位置して上下方向のスリット58aが形成されており、そのスリット58aからリブ75間に残留した原水が排出されるようになっている。
【0030】
そして、内容器3の凹部3bに浄水カートリッジ10を装着するのであるが、このとき、図2に示すように、下ケース14の側壁部48の外周には螺旋状突起49が一体に突設されており、その螺旋状突起49を、凹部3bの内側に設けた螺旋状凹部77に係合させて環状つまみ58を回転することにより、浄水カートリッジ10は凹部3b内に締め付け固定される。この際、下ケース14の底壁部41は、凹部3bの底壁部3dに圧接されて水密状態が保持されるが、特に、下ケース14の底壁部41が凹部3bの底壁部3dに対向される面に、同心円状の環状シール部60を設けておくことが好ましい。この場合、環状シール部60は底壁部41から一体に突設することなく、その環状シール部60を別部品として設けてもよく、その場合、環状シール部60はゴムなどの弾性材料で形成されることが好ましい。勿論、環状つまみ58を逆に回転することにより、浄水カートリッジ10を凹部3bから取り出すことができ、浄水カートリッジ10の交換を容易に行うことができる。
【0031】
ここで、本実施形態では、この浄水カートリッジ10が装着される内容器3に、当該内容器3の容積を増減させる伸縮部を設けている。
【0032】
具体的には、本実施形態では、内容器3全体を樹脂材で成形するとともに、当該内容器3の周壁部3cに、当該周壁部3cを蛇腹状に折り曲げることによって形成した蛇腹部(伸縮部)20を設けている。
【0033】
したがって、図1に示すように、浄水カートリッジ10を内容器3の凹部3bに装着した状態では、その浄水カートリッジ10の重さ分だけ、蛇腹部20が下方に伸びて内容器3の容積が大きくなり、図4に示すように、作業者が原水室4に原水を導水すると、内容器3に貯留される水の自重によって、蛇腹部20が下方に伸びて内容器3の容積がさらに大きくなる。
【0034】
そして、しばらく時間が経つと、浄水カートリッジ10を原水が通過して原水室4に存在する水の量が減少し、当該水の重さが軽くなることによって、蛇腹部20が縮んで内容器3の容積が小さくなる。この際、本実施形態では、図5に示すように、内容器3の底壁部3aに、当該内容器3の容積が減少するように変形するのを補助するフロート30(補助機構)を設けており、このフロート30が浄水室5に貯留される水の浮力で、内容器3の底壁部3aを天壁部8に向けて押し上げることにより、促進されて内容器3の容積が減少するようになっている。
【0035】
したがって、本実施形態の浄水器1によれば、内容器3の周壁部3cに形成された蛇腹部20ならびに内容器3の底壁部3aに設けたフロート20により、内容器3の容積を減少させて浄水室5を大きくすることができるため、本体容器2の容積を変えずに、より多くの浄水を浄水室5に貯留することが可能となる。
【0036】
このように、本実施形態では、内容器3の周壁部3cに蛇腹部20を設けることによって、図1に示す内容器3の凹部3bに浄水カートリッジ10が装着されない状態から、図4に示す原水室4に原水を導水して満水にした状態の間で、内容器3の容積を増減可能としている。
【0037】
以上、説明してきたように、本実施形態では、本体容器2の内部に当該本体容器2の天壁部8を望むように内容器3を配置することで、内容器3の内側を原水室4、外側を浄水室5に区画するとともに、内容器3の底壁部3aに、原水室4と浄水室5とを連通する開口部3eを設け、当該開口部3eに浄水カートリッジ10を装着することで、原水室4に導水された原水を浄水カートリッジ10で濾過して濾過された浄水を浄水室5に貯留するようにした浄水器1において、内容器3に当該内容器3の容積を増減させる蛇腹部(伸縮部)20を設けたため、内容器3の容積を小さくすることで浄水室5を大きくすることが可能となり、本体容器2の容積を変えずに、より多くの浄水を浄水室5に貯留することができるようになる。
【0038】
特に、本実施形態では、内容器の容積を増減させる蛇腹部(伸縮部)20を設け、原水導水時には原水室4を、浄水生成時には浄水室5を大きくする構成であるため、一度の作業でより多くの原水を原水室4に導水することができるという利点もある。
【0039】
また、本実施形態では、伸縮部が内容器3の周壁部3cに形成された蛇腹部20であるため、内容器3の容積を増減させる構成を比較的簡素なものとすることができる。
【0040】
さらにまた、本実施形態では、内容器3の容積が減少するように変形するのを補助するフロート(補助機構)30を設けたため、内容器3の容積が減少するのを促進して浄水室5を大きくすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、補助機構が浄水室5に貯留される水の浮力を利用して、内容器3の底壁部3aを当該内容器3の天壁部8に向けて押し上げるフロート30であるため、例えば、バネなどを用いて原水室4側から底壁部3aを天壁部8に向けて引き上げる構成と比べて、比較的簡素な構成で内容器3の容積が減少するように変形させることができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。例えば、本実施形態では、内容器3の容積を増減させる伸縮部として、蛇腹部20を内容器3の周壁部3cに形成するようにしたが、内容器3の底壁部3aあるいは内容器3全体を伸縮させることで、原水室4の容積を増減させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 浄水器
2 本体容器
3 内容器
4 原水室
5 浄水室
8 天壁部
10 浄水カートリッジ
20 蛇腹部(伸縮部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体容器の内部に当該本体容器の天壁部を望むように内容器を配置することで、前記内容器の内側を原水室、外側を浄水室に区画するとともに、前記内容器の底壁部に、前記原水室と前記浄水室とを連通する開口部を設け、前記開口部に浄水カートリッジを装着することで、前記原水室に導水された原水を前記浄水カートリッジで濾過して濾過された浄水を前記浄水室に貯留するようにした浄水器であって、
前記内容器に、当該内容器の容積を増減させる伸縮部を設けたことを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記伸縮部は、前記内容器の周壁部に形成された蛇腹部であることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記内容器の容積が減少するように変形するのを補助する補助機構を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記補助機構が、前記浄水室に貯留される水の浮力を利用して、前記内容器の底壁部を当該内容器の天壁部に向けて押し上げるフロートであることを特徴とする請求項3に記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−36755(P2011−36755A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184142(P2009−184142)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】