説明

浄水装置

【課題】 光触媒収納空間に収納された光触媒に対して接触滞留時間を長く取ることができる機構を組み込んで、確実かつ効果的な光触媒分離反応が得られるようにするとともに、装置をコンパクトに形成することのできる浄水装置を提供する。
【解決手段】 軸芯を垂直方向に向けて配置された内筒2と外筒3との間に形成された光触媒収納空間4と、光触媒収納空間4に連なる流入口9並びに排出口10と、内筒の軸芯部分に配置された光源体11とからなり、少なくとも内筒2は光透過可能な材料で形成され、光触媒収納空間4が放射方向に配置された隔壁7によって複数の光触媒室4a〜4hに分割されて各光触媒室に光触媒が充填されており、更に、各光触媒室が隔壁7の上下に設けられた流通路8を介して連通されていて流入口9から流入した水が全ての光触媒室を通って排出口10から排出するように形成されている構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を利用した浄水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二酸化チタン等を主材料とする光触媒を充填したタンクに水を通過させ、光触媒に紫外線を照射することにより水に含まれる有害な有機物や細菌等を分解して脱臭、殺菌を行う光触媒浄水装置として、例えば特許文献1や特許文献2に示すものがある。
【0003】
しかし上記特許文献に示された浄水装置は、何れも中心に紫外線ランプを配置した光触媒タンクの上下方向の一端から他端に向かって水を通過させる構造となっているため、水の通過直線距離はタンクの上下長さに匹敵する。したがって、タンクをよほど長くしない限り、十分な光触媒との接触滞留時間を取ることができず、確実かつ効果的な光触媒分離反応が得られないといった欠点があった。また、装置のコンパクト化や外形状の見地からタンクを長くすることには限界があった。
【特許文献1】特開2002−102851号
【特許文献2】特開平06ー269772号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、光触媒収納空間に収納された光触媒に対して接触滞留時間を長く取ることができる機構を組み込んで、確実かつ効果的な光触媒分離反応が得られるようにするとともに、装置をコンパクトに形成することのできる浄水装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する為に本発明では次のような技術的手段を講じた。即ち、本発明に係る浄水装置にあっては、軸芯を垂直方向に向けて配置された内筒と外筒との間に形成された光触媒収納空間と、光触媒収納空間に連なる流入口並びに排出口と、内筒の軸芯部分に配置された光源体とからなり、少なくとも前記内筒は光透過可能な材料で形成され、光触媒収納空間が放射方向に配置された隔壁によって複数の光触媒室に分割されて各光触媒室に光触媒が充填されており、更に、各光触媒室が前記隔壁の上下に設けられた流通路を介して連通されていて前記流入口から流入した水が全ての光触媒室を通って前記排出口から排出するように形成されている構造とした。前記光源体としては紫外線ランプが適切である。
【0006】
上記発明において、前記外筒が光透過可能な材料で形成され、且つ外筒を取り囲むように第2の光源体が複数配置されている構造とするのがよい。これにより、外筒外部からも第2の光源体の光が光触媒に照射され、中心の光源体の光の照射と相俟って、効率的な光触媒分離反応を得ることができる。
【0007】
更に、上記の第2の光源体を設けた構成において、この第2の光源体の外側に外筒と同芯的な円筒部材を配置し、その内面に光反射鏡面を形成するのがよい。これにより、第2の光源体の光が直接に、或いは光反射鏡面に反射して光触媒に照射されて光源体の光を無駄なく有効に利用することができ、より効率的な光触媒分離反応を得ることが可能となって効果的な殺菌、消臭、浄化作用を得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、光触媒収納空間が放射方向に配置された隔壁によって複数の光触媒室に分割され、これら光触媒室が前記隔壁の上下に設けられた流通路を介して連通されていて流入口から流入した水が全ての光触媒室を通って前記排出口から排出するように形成されているので、流入口から排出口までの距離を、光触媒空間に隔壁を設けない場合に比べ、隔壁によって増えた光触媒室の数だけ数段に長く取ることができ、これにより同じ容積の光触媒空間であっても通過する水と光触媒との接触時間並びに光源体の照射時間を長くすることができて確実かつ効果的に殺菌、消臭、浄化作用を得ることができるとともに、装置のコンパクト化並びにコストの低減化を図ることができるといった優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図4は本発明の浄水装置の第1の実施例を示すものであって、図1は正面図であり、図2は概略的な縦断面図であり、図3は横断面図であり、図4は各光触媒室を展開した説明図である。
【0010】
図において、符号1は本発明にかかる浄水装置であって、軸芯を垂直方向に向けて配置された内筒2と外筒3との間に光触媒収納空間4が形成されている。この光触媒収納空間4は上板5並びに下板6によって密閉され、かつ、光触媒収納空間4が、放射方向に配置された垂直な隔壁7によって複数の、本実施例では8つの光触媒室4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hに分割されて、これら光触媒室に光触媒が充填されている。光触媒とは、紫外線等の光を照射することにより有害な有機物や細菌等を分解(光触媒分離反応)する触媒を意味するものであって、例えば二酸化チタンを主材料とし、アルミニウムとケイ素とからなる人工ゼオライトを混合したものが好ましい。
【0011】
前記各光触媒室4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hは、図4の展開説明図に示すように、隔壁7の上下に交互に設けられた流通路8を介して順次連通されており、光触媒室4aに流入口9が、光触媒室4hに排出口10が設けられていて、流入口9から流入した水が下から上に、或いは上から下に流れて全ての光触媒室4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hを通って前記排出口10から排出するように形成されている。
【0012】
前記内筒2並びに外筒3はガラスや透明なプラスチック材等の光透過可能な材料で形成され、内筒2の軸芯部分に第1の光源体11が配置されている。更に、前記外筒3を取り囲むように周方向に一定の間隔をあけて第2の光源体12が複数、本実施例では8個配置されている。本実施例では、前記光源体11、12としては紫外線ランプが使用されている。
【0013】
更に、前記第2の光源体12の外側に外筒10と同芯的な円筒部材13が配置され、その内面が光反射面14に形成されている。尚、図中15は浄水装置1の外ケースを示すものである。
【0014】
上記の構成において、外部からポンプ16によって送水された水は、流入口9から光触媒室4aに流入し、各隔壁7に設けられた流通路8を介して光触媒室4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hを順次通過して排出口10から外部に取り出される。水は各光触媒室を通過する間に、中央の第1の光源体11並びに外側の第2の光源体12からの光の照射を受けて光触媒の作用により殺菌、消臭、浄化が行われ、浄水された水となる。この際、本実施例では、内筒2の内側並びに外筒3の外側の両方から光が照射されて光触媒分離反応が効果的に行われるとともに、第2の光源体12の外側に光反射鏡面14が形成されているので第2の光源体12の光を光触媒に向かって無駄なく有効に利用することができ、より効率的な光触媒分離反応を得ることができる。
【0015】
尚、本発明では上記第1実施例で示した構成において、光反射鏡面14を省略して形成することも可能である。
【0016】
また、本発明では、図5に示すように、上記第1実施例で示した構成において、外側に配置した第2の光源体12並びに光反射鏡面14を含む円筒部材13を省略して形成することも可能である。この場合は中央の第1の光源体11の光が十分に光触媒室の触媒に作用する光源体を採用するようにするのがよい。
【0017】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではない。例えば図示は省略するが、外ケース15並びに上板5を取り外せば光触媒収納空間4が上方に開口するようにしてここから光触媒を交換できるようにすることも可能である。その他本発明では、その構成要件を備え、かつ本発明の目的を達成し、下記の効果を奏する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明では、各種工業用並びに一般家庭用として各種殺菌洗浄水として、或いは飲料水として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る浄水装置の第1の実施例を示す正面図。
【図2】上記浄水装置の概略的な縦断面。
【図3】上記浄水装置の横断面図。
【図4】上記浄水装置おける各光触媒室を展開した説明図。
【図5】本発明の別の実施例を示す図3同様の断面図。
【符号の説明】
【0020】
1 浄水装置
2 内筒
3 外筒
4 光触媒収納空間
4a〜4h 光触媒室
7 隔壁
8 流通路
9 流入口
10 排出口
11 第1の光源体
12 第2の光源体
13 円筒部材
14 光反射鏡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯を垂直方向に向けて配置された内筒と外筒との間に形成された光触媒収納空間と、光触媒収納空間に連なる流入口並びに排出口と、内筒の軸芯部分に配置された光源体とからなり、少なくとも前記内筒は光透過可能な材料で形成され、光触媒収納空間が放射方向に配置された隔壁によって複数の光触媒室に分割されて各光触媒室に光触媒が充填されており、更に、各光触媒室が前記隔壁の上下に設けられた流通路を介して連通されていて前記流入口から流入した水が全ての光触媒室を通って前記排出口から排出するように形成されている浄水装置。
【請求項2】
前記外筒が光透過可能な材料で形成され、且つ外筒を取り囲むように第2の光源体が複数配置されている請求項1に記載の浄水装置。
【請求項3】
前記第2の光源体の外側に外筒と同芯的な円筒部材が配置され、その内面が光反射面に形成されている請求項2に記載の浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−330832(P2007−330832A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161852(P2006−161852)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(391021282)
【Fターム(参考)】