説明

浮き防波装置及び推進システム

パンクしやすいか、保守が高コストであるか、慣性依存型であるか、係留荷重を有するタイプの従来型防波装置に勝るものであり、水中に自然に発生する波エネルギを吸収し、引き出し、又は推進用に利用するための構成である。防波装置がその一例であり、互いにほぼ平行に配置された、中性浮力を有する第1及び第2構造体(100、102)と、その間に配置されたエネルギ吸収体(111)とを有し、使用の際に装置は、構造体間の相対移動の結果として入射波からエネルギを吸収する。好ましくは、第3構造体が第2構造体に平行に位置付けられ、第2及び第3構造体間に第2エネルギ吸収体が配置される。エネルギ吸収体は起電力を発生するか、材料又は流体を汲み上げるように構成することができる。好ましくは、複数の装置(206)をチェーン又はキャタピラの形に相互接続して、防波システムを提供することができる。他の例としては、多胴船に加えられる高い側部荷重を軽減する手段と、第1及び第2構造体にルーバー弁アセンブリを組み込んだ推進装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防波装置及び推進システムに関する。
【0002】
防波装置は、波からのエネルギの反射、散乱又は吸収によって、それの後方に穏やかな水域を生じる。
【0003】
既存の防波装置は、構造及び複雑さの点で異なっている。非常に簡単な防波装置の一例は、砂州か、岩を堆積させることができる堤防である。そのような防波装置は、小突堤の使用及び/又はコンクリートくい打ちによって補強される。
【背景技術】
【0004】
[従来技術]
別の形式の防波装置の一例が、英国特許出願第GB−A−2370594号ケプナー プラスチック スファブリケーターズ インク(Kepner Plastics Fabricators Inc)に記載されており、液体及び加圧空気を収容する細長い密封エンベロープを説明している。防波装置は浮くようになっている。内圧の大きさを変化させることにより、波を減衰するように防波装置を配置することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記防波装置の不利点は、製造するのが比較的複雑であり、したがって非常に高コストであることが判明したことであった。また、流体の内圧が比較的高いこと、及び可撓性材料の性質から、それはパンクしやすかった。これは、定期的な保守を必要とした。また、(他のすべての既知の防波装置のように)防波装置は慣性依存型である、すなわち、防波装置の質量は、それがはね返す最大波の質量と同様でなければならない。このことは、総コストをさらに増加させる。
【0006】
本発明は、可動部品を比較的少なくし、且つ慣性依存型ではなく、波エネルギを反射又は散乱させるのではなく、むしろ吸収し、最小限の係留荷重を発生し、安価且つ容易な製造、輸送及び組み立てを行うことができる簡単な防波装置を提供することにより、既存の防波装置のこれらの欠点を克服することを目的とする研究から始まった。
【0007】
本発明の好適的な態様によれば、防波装置の特別な利点は、それの製造及び保守を比較的安価にするとともに、重量を比較的軽くすることができることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると防波装置は、水没浮遊構造体間に配置され、1つ又は複数のエネルギ吸収体が、構造体の相対運動と、波の通過中に自然に発生する水塊の非回転振動プロセスの異なった部分内に構造体が位置することによって構造体間に生じる対向力とから波エネルギを除去するようになっている。
【0009】
好ましくは浮き構造体は、使用の際に互いにほぼ平行に配置される第1及び第2構造体であって、中性浮力を有する第1及び第2構造体と、その間に取り付けられたエネルギ吸収装置であって、それにより、使用の際に、入射波と衝突するときの力及び第1及び第2構造体の相対変位からエネルギを吸収するエネルギ吸収装置とを有する。
【0010】
したがって、本発明は、既存の防波装置の場合のように波エネルギを反射又は散乱するのではなく、変位可能な構造体間の相対変位によってエネルギを吸収する。
【0011】
中性浮力という表現は、沈下しないすべてのものを包含するものとする。中性浮力は、浮くか、部分的に浮くか、水没可能でありながらも浮くように十分な浮力を与えることができるものを含むことができる。例えば、中性浮力を有する物体は、軽量(自然に浮く)であってバラストで重くしたもの、又は自然状態では沈下するが、浮くように浮力を与えたものを含む。
【0012】
理想的には、第1及び第2構造体は平面的であって、入射波の方向で見たとき、互いに平行に配置されている。好都合には、それらは、構造体の各々の主平面が入射波面に対してほぼ直角をなすようにして、外海域内に位置付けられる。
【0013】
任意選択で、機械的相互接続部が、第1及び第2構造体を接続し、その相互接続部は好ましくは、エネルギ吸収体を支持するための手段を有する。
【0014】
機械的相互接続部は、例えばスライド式リンクでよい。
【0015】
相互接続部はほぼ直線的でよく、或いはアーチ形又はほぼキャリパ形状でもよい。
【0016】
エネルギ吸収体は好ましくは、構造体間に支持されて、構造体の互いに接近する方向とともに互いに分離する方向の相対変位及びそれに発生する力から生じるエネルギを吸収するようになっている。
【0017】
エネルギ吸収体は、波が伝播していく液体塊内又は液面の上方に支持されてもよいが、構造体を支持している液体塊内で構造体間に支持されることが有利である。
【0018】
吸収されるエネルギは、引き出されて、電流を発生するための発電機を駆動するため、又は水を汲み出すため、又は別の形の作業を行うために使用されてもよく、或いは装置自体によって使用するための推進システムを駆動するために使用されることもできる。当然ながら、波エネルギの吸収によって穏やかな海域が生じ、これは、装置の風下側を波から保護するために使用されることができる。このような装置は、無数の状況で取り入れられるであろう。
【0019】
防波装置は、好ましくは互いにほぼ平行に配置された3つのほぼ平坦な構造体を有する。理想的には、第1及び第2構造体の離間距離は、第2及び第3構造体の離間距離のほぼ2倍である。防波装置を配置しようとする特定場所での波の最大波長をλで表す場合、理想的には、第1及び第3構造体の離間距離は約λ/2である。第1及び第3構造体の離間距離は、波長がλの波のλ/2の公称間隔に近い最大波高の少なくとも2xだけ変化できなければならない。
【0020】
第1及び第2構造体の離間距離は、第1及び第3構造体の離間距離の公称2/3(すなわちλ/3)でなければならず、また波長が2λ/3の波のλ/3の公称間隔に近い最大波高の少なくとも2xだけ変化できなければならない。
【0021】
同様に、第2及び第3構造体の離間距離は、第1及び第2構造体の離間距離の公称半分でなければならず、また波長がλ/3の波の最大波高の少なくとも2xだけ変化できなければならない。これらの相対的な離間距離のこの特別な組み合わせが、有効なエネルギ吸収特性を与えることが分かっており、主波長λより下の無数の波長を吸収するのに非常にうまく適応している。
【0022】
第2及び第3構造体を連結するために、更なる機械的相互接続部を設けることができ、この相互接続部は更なるエネルギ吸収体を支持してもよい。
【0023】
複数のそのような防波装置を配置して、防波システムを形成することもできる。そのような防波システムは、例えば海岸堆積及び/又は浸食パターンの維持又は変更のために利用することができる。以下に防波システムと呼ぶ複数の防波装置の他の利用法については後述する。
【0024】
理想的には、板状構造体は、形状及び外観がほぼ平行六面体である。しかしながら、構造体は、入射波に対して相当に大きい表面積を与える限り、卵形体又は楕円体でもよい。平行六面体の板状構造体の定義は、波の方向に与えられる板状構造体の面積と、板状構造体の厚さの二乗との比としてここで定める。理想的には、この比が10を超える、好ましくは20を超える、理想的には30を超えるべきである。
【0025】
板状構造体は、さまざまな材料又は複合物から形成されることができる。重要なことは、形成された構造体が浮くことができる、又は中性浮力を有するように変更を加えることができ、且つ構造体が丈夫であることである。理想的には構造体は、入射波の作用とともに、時折起こるブイ及び海洋生物との衝突によって加えられる圧縮及び曲げ力に耐えることができる。
【0026】
適当な材料の一例は、強化ガラス繊維である。他の例は、軟鋼、軟質コンクリート又は木材である。他の材料を使用してもよく、どのタイプの材料又はそれらのそれぞれの寸法にするかは、構造体を配置しようとする特定環境及び支配的な気象、海及び他の状態によって決まることは、当業者には明らかであろう。
【0027】
波の作用を介して伝達されるエネルギの大部分は、波が通って進行する水の表面の比較的近くで発生するという事実のため、波長の約三分の一〜半分(λ/3〜λ/2)の深さより下方に現れるエネルギは比較的少ない。したがって、板状構造体の高さは理想的には、防波装置を配置しようとする海域の支配的な波状態の波長の半分(λ/2)未満(好ましくはλ/5)未満である。構造体の長さ及び幅は、とりわけ構造体を製造するために使用される材料の強度と、局部海域の深さとによって決まる。
【0028】
隣接した板の間で作用するエネルギ吸収体は、さまざまな形のうちの1つを取ることができる。例えば、エネルギ吸収体は、水をスロットルに通して絞り、それによってエネルギを消散させるように配置された水チョーク弁でよい。これは、エネルギを波から除去するための単純でありながら有効な方法である。最も望ましいことは、エネルギ吸収体がばねのように蓄積能力をまったく含まないことであり、そのような能力は、防波装置の共振を発生させ、結果的にエネルギが一時的に除去(蓄積)されるが、システムから永久的に除去されるのではなく、反射して水中に戻される可能性があるからであり、また、すべてのエネルギ除去装置は、板が互いに接近移動するとき及び互いに分離移動するとき、エネルギを除去できなければならない。このように、ベルヌーイの非回転理論の要件は、エネルギが引き出される間、波内の順方向及び逆方向の力が互いに打ち消し合い、公称「二次」外部反作用だけが生じることで満たされる。したがって、装置は小さい係留荷重を発生するように構成されている。
【0029】
エネルギ吸収を達成する1つの方法は、適当な防水容器内に封入された電磁機構であって、板状構造体の相対変位に対する抵抗力を示し、結果的に起電力を発生するように構成された電磁機構を用いるものである。
【0030】
ラック及びピニオン機構は、エネルギを除去することができる別の方法である。ラック及びピニオンには、入射エネルギを回転抵抗力に伝達し、それにより、波のエネルギを引き出すことができる適当な歯車を設けることができる。
【0031】
エネルギ吸収体のさらに別の例は、ダッシュポットとして作用するシリンダ機構内のピストンである。別法では、エネルギ吸収体は、可変の流動学的性質を備える流体を有するシリンダにピストンを備えることができる。
【0032】
別のタイプのエネルギ吸収体は、隣接した板が互いに接近及び分離する相対変位中にエネルギを除去するようになっている二方向油圧ポンプである。このタイプのエネルギ吸収体を使用する好適な実施形態では、2つの逆止め弁が、隣接した板に接続されている二方向ピストンを含むシリンダの各端部に配置されている。隣接した板の相対移動がピストンをいずれかの方向に移動させ、これにより、シリンダの一端部の対応の逆止め弁から高圧の流体を汲み出し、且つ他端部で流体を引き込む。このように、隣接した板の移動方向に関係なく、高圧の流体の形のエネルギが波システムから連続的に引き出され、且つ外部蓄積部又は使用システムへ送り出される。相対移動が起きさえすればよい。しかしながら、エネルギを波システム内に再投入して戻す空気ばねとして作用する可能性があるので、やはり圧縮性流体を使用しないことが重要である。
【0033】
好都合には、これらの装置の複数を緩く結合されたバリヤの形に相互接続し、それにより、防波システムを提供することができる。エネルギ吸収体の性質のため、隣接した装置間では相対変位又は外部反作用がほとんど経験されない。このことは、そのような防波システムをほどほどに係留又は固定すればよいことを意味する。
【0034】
後述するように適当に修正した場合、そのような防波システムは、航洋船の周囲に良好な波状態を与える可能性を伴いながら、例えば航洋船の曳航又はサルベージを行うための推進手段として使用されることもできる。
【0035】
本発明の第2態様によれば、水塊内で使用されるための推進装置であって、互いにほぼ平行に配置されて支柱によって接続された第1及び第2水没構造体を有し、第1及び第2構造体の両方が、逆止め弁配列を有し、この配列により、水がほぼ水平方向にそれぞれの配列を通って一方向に流れることができ、両配列は同一方向に動作可能に構成され、それにより、構造体が水塊内の波の波長の約半分だけ分離した状態で、装置が入射波面にほぼ直交する向きにあるとき、水塊の固有非回転振動は一方の弁配列に対して他方の弁配列と逆の方向に作用する。
【0036】
このため、推進モードでは、波の頂部とは対照的な波谷内に起きる水塊振動の最大差を最大限に利用するために、構造体は望ましくは、波長の約半分の固定距離を離して保持される。
【0037】
我々は、少なくとも3つのルーバー弁アセンブリを水平方向に離隔配置している防波構造体を開示する米国特許明細書第US3222870号を知っている。しかしながら、これらのアセンブリでは、弁は、第1の海側アセンブリのものが最後の海岸側アセンブリの弁と常に逆方向に開くように構成されている。この防波構造は、ルーバー弁を使用して波を「封じ込め」、それによって波の固有運動を抹殺する。反対に、本発明は、2つのルーバー弁アセンブリを有し、第1及び第2アセンブリの弁は常に同一方向に開く。本発明は、波の固有運動を利用し、それにより、推進運動を発生する。
【0038】
しかしながら、システムを同時にエネルギ吸収及び推進モードの両方で使用してもよい。しかしながら、2モード間の釣り合いを維持するために、両方の効果を制限することが必要であろう。
【0039】
水塊の振動運動による逆止め弁の自動動作により、波のエネルギを結集して駆動力を与えることができる。例えば、ベルヌーイの非回転理論から、波の方向と逆の方向の変位を波谷に得ることができることは理解されるであろう。この力を幾つかの装置から結集して、例えば座礁した船を支配的な波の方向と逆方向に救助するために、或いは、例えばエンジン故障の際に船用の推進手段として利用することができる。
【0040】
別法として、構造体内の弁の開閉又はその動作の仕方の変更を行うように動作可能な制御手段を設けることができる。
【0041】
本発明の更なる態様によれば、カタマラン船等の多胴船を保護するための手段、及び(進行中に不注意で複数の波に斜めにまたがることがある)長い船を保護するための手段が設けられている。したがって、本発明の実施形態により、ハル間の相対運動を活用し、且つそれが発生できるようにすることにより、多胴船の保護が行われる。さらに本発明は、水塊内に発生する水中振動によって危険にさらされる長い船、構造体又は他のものを関節又は二重関節によって保護し、それにより、横方向差動運動が長手に沿って発生できるようにする手段を提供することができる。
【0042】
次に添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
はじめに発明の基礎理論について説明する。
図11及び図12と、特に図1及び図2とを参照すると、エネルギが液体塊内をいかに進むかを説明する概略的な一連の図が示されている。これらは、本発明の基礎をなす理論を読者が理解するのを助けるためのものである。
【0044】
物理学的には、エネルギは比較的固定的な基準点を中心にした水塊の水中振動運動によって水塊を通って伝達される。固定基準点は、波の方向に徐々に移動するだけである。この移動は非回転振動として知られているが、「ぐらつき」と呼ぶことができる。ぐらつき運動は、上下及び前後の両方であり、一点を中心にしたコヒーレントな円又は楕円振動の「ぐらつき」パターンを生じる。その一点は、海底に対してほぼ静止している。垂直及び水平振動間の位相ずれが、振動パターンの「回転」方向、水面上の進行波の移動方向、及びその方向でのエネルギの伝達率を決定する。この「ぐらつき」運動の有無が、静水と、横切って進む波を有する水との唯一の違いである。
【0045】
水塊のコヒーレントな振動運動は、水面から下向きに延びて、振幅が半波長(λ/2)の深さでは水面でのその大きさの約5%まで指数的に減少する。水中の振動運動は、位相に依存している。すなわち、それが波方向に振動しているとき、それは波頂を生じ、波方向と逆方向に振動しているとき、波谷を生じる。波内のコヒーレントな流体塊が加えるモーメント、力及びそれが移動する距離は、全方向でほぼ同一であり、各サイクルの最後に、流体粒子は基準点に対してほぼ同一位置に戻る。したがって、水を横切る波断面及びその移動は、水塊自体の移動ではなく、水によるエネルギの伝達を表すだけである。
【0046】
波エネルギは、波頂で波方向に振動しているときのコヒーレントな水塊の位置エネルギ(高さ)と波谷で波方向に逆らって振動しているときの同一水塊の位置エネルギとの差によって伝達されるだけである。ここで記載する流体運動は、ベルヌーイの定常統合運動方程式に従い、且つ流体塊全体を通して非回転流れ及び不変流体密度であると仮定する。したがって、この理論は、波の形の水を通したエネルギ伝達の主メカニズムに根拠を与え、且つ本発明の基礎をなす理論である。
【0047】
図1は、波2の通過中の「個別」水塊3(分かりやすくするために網掛けして示す)の振動運動を表す。説明の目的のためだけであるが、この個別の水塊の前後の境界に不透過性で無限に薄いたわみ仕切り膜4及び5が配置されているものと想像することができ、そのため、このプロセス全体を通してその体積、質量及び参照番号は同一のままである。波の通過中、この水塊は前後に振動するが、固定的な海底基準点16に対してほぼ同一位置に留まる。仕切り膜4及び5は、互いに異なる位相であるが、それぞれ波断面の、水面のその部分を横切って進む部分と同相で、後方及び前方に屈曲する。各波サイクルが通るとき、この個別水塊は、基準点に対して後方及び前方に揺動すると共に、順に(図1cに示されているように)より高く且つより狭く、又は(図1aに示されているように)より低く且つより広くなり、「ぐらつき」状に振動する。
【0048】
このプロセス中、垂直板状の浮き構造体7が基準点16に対して後方及び前方に、(水面で測定して)ほぼ波高の全距離だけ移動するであろう。しかしながら、板自体は、波の通過に対して最小限の効果しか有しておらず、実質的にエネルギを透過させる。
【0049】
水面上で浮動するブイ1が、基準点16を中心にして波高にほぼ等しい直径の円を描く。しかしながら、ブイ1自体は回転しない。このタイプの流体運動は非回転振動と呼ばれる。
【0050】
図1から、ブロックの振動は、水平方向の各波サイクルで大きい容積の、したがって大きい水塊の、水面での全距離がほぼ波高である周期運動を表すことが分かるであろう。この水塊の運動エネルギ及びモーメントも大きく、波内に含まれるエネルギの総量の目安である。板7の水平運動が抵抗を受ける場合、振動する水塊全体がそれに反作用して、プロセス中に大きい力を発生する。これは振動プロセスであるので、各波サイクルの通過中、力の作用方向が2回逆転する。この理由から、1波長の間隔をおいて配置された垂直板は、常に同一方向の力及び変位の作用を受ける。しかしながら、半波長の間隔をおいて設けられた板は、常に逆方向の等しい力及び変位の作用を受ける。この現象は、図1a及び図1cに矢印8の方向によって示されている。
【0051】
上述したように、水塊内に発生する振動プロセスは水平方向に制限されない。同一時間内に、垂直軸で振動が発生する。この結果として、円又は楕円でもある複雑な振動運動が生じる。図2は、振動中であって、波2が通り越える水塊の異なった部分に位置する多数の板状構造体10のすべてが、任意の瞬間において振動サイクルの異なった部分をいかに影響されるかを示す。サイクルの、1枚の板が影響される部分は、通り越える波の部分に対するそれの位置によって決まる。また、板が位置する深さが増すと、振動振幅の大きさが、一定深さより下方でそれが消滅するようになるまで、減少する。したがって、波が通り越えるとき、板状構造体の各々が、水塊の異なった部分に位置する他の構造体に対して移動して、それらの離間距離は連続的に変化している。これの1つの例外は、詳細に上述したように、板が水平方向において正確に1波長の間隔をおいて位置付けられている場合である。しかしながら、これらの構造体の向きは、振動プロセス中には対して変化しないであろう。すなわち、構造体10の端部Bは、その円又は楕円軌道の全体を通して右側に向き続ける。
【0052】
図11及び図12は、図11では>λ/2の深い水中に、又は図12では<λ/2の浅い水中に吊り下げられている垂直板56にこれらの運動が以下に加わるかを示す。図11では、(この場合には浮き装置60によって吊り下げられている)板の上縁部の運動は、波高とほぼ同一の振幅の、海底基準点54を中心にしたほぼ円形であって、左側から接近してくる波52に対して時計回りである。板の下縁部の水平運動は、前述したように振幅が減少するが、(波高によって制御される)垂直振幅は上縁部と同一であり、この結果として、下縁部の垂直楕円運動が生じる。図12は、浅い水中では板運動がいかに変化するかを示している。この場合、板の上縁部の運動は楕円形であって、垂直振幅軸はほぼ波高であり、左側から接近してくる波52に対して時計回りの回転である。板の下縁部の運動は、垂直方向ではやはり同一であるが、水平方向には大きく拡大され、その結果、図示のように拡張された水平楕円になる。
【0053】
図3は、波からエネルギを引き出すことができる本発明の一実施形態の一例を示す。この装置12は、互いにほぼ平行に配置された第1及び第2の浮き垂直構造体13及び14を有する。構造体13及び14は、公称半波長の間隔をおいた位置にある。装置12は、使用の際に、構造体13及び14の平面が波の一般的方向に対してほぼ直角をなすような向きにある。構造体13及び14は、装置15によって互いに結合されている。装置15は、エネルギ吸収複動油圧ポンプでよいが、本例では、エネルギをまったく引き出すことなく、自由に内外へ移動できるようになっている。
【0054】
この構造では、本発明の一実施形態は、傾斜、ストローク及び距離測定装置が装置15に組み込まれ、それにより、波高、波長及び波周期を正確に測定することができる状態にあると考えられる。これに付け加えると、板13及び14のほぼ中間に位置し、且つ支持された精巧な機器(又は作業員)が、海底に対して最小限の側方又は垂直移動を受けるだけである。
【0055】
図1で説明したように、各波サイクルの通過中、垂直板状の浮き構造体が基準点に対して後方及び前方に、ほぼ1波高の全距離だけ振動することが分かるであろう。
【0056】
図3aは、波谷が通過し、波頂が接近するとき、構造体13が基準点16の後方に位置する一方、波頂が通過し、波谷が接近するとき、構造体14が基準点17の前方に位置する様子を示す。したがって、2つの構造体13及び14は、図3aに示された瞬間では、それらの公称間隔より約1波高だけ多く離れている。同様に、進行波断面が通過するとき、構造体13及び14は、互いに2波高だけより近づく位置へ移動する。これは、図3cに示されている。基準点16及び17は、相互間及び海底の両方に対して固定されているので、構造体13及び14は互いに対して約2波高の距離だけ移動する。これは各波サイクルで起きる。しかしながら、アセンブリは、海底に対してほぼ静止していることに留意されたい。
【0057】
装置15によってまったくエネルギが引き出されていないとき、運動は基準点16及び17に関して対称的である。この状態で、板状構造体13及び14は、振動する水塊の影響を受けて単独に後方及び前方に移動自在であり、図1を参照しながら上述したように、波はほぼ影響を受けないで進む。
【0058】
図4a〜図4dは、エネルギがポンプ15によって引き出されているときに波運動がいかに変化するかを示す。本例では、進行波2が左側から接近していると見なす。ポンプ15によってエネルギを引き出すことは、力fに逆らって板13及び14間に相対移動を発生させなければならないことを意味する。それはまた、板14によって(その右側の)水内に伝達される外力及び(基準線17に対する)それの移動が常にゼロでなければならないことを意味し、そうでなければ、波エネルギが伝達されて消えてしまうであろう。
【0059】
図4aは、力−fの印加を介したポンプ15によるエネルギの引き出しが、板13の前後での谷の深さ18の減少をいかに引き起こすかを示す。(本記載では、左方向のすなわち、波の移動方向に逆らう力及び移動を負と見なし、右方向の、すなわち波と同じ方向の力及び移動を正と見なすが、正確な逆表記も同様にうまくいくであろう。)このプロセス中、板13は左側へ、すなわち振動水塊と一緒に距離−dだけ移動し、力と距離の積は、正のエネルギ量+Wが波から引き出されたことを意味する。
【0060】
図4aでは、波谷での振動方向が波自体の方向と逆方向であるので、この移動は左方向である。板13は移動中であるので、それは進行中の「同相」波を板13及び14間の空間内に伝達し、これは入射波と同じ波長を有する。しかしながら、その波谷及び波頂の振幅は、ポンプ15によって引き出されたものから残るエネルギ量に正比例の関係で減少する。波エネルギの減少は、波内の振動運動も減少することを意味する。これは、例えば破線で示された位置19から実線で示された、たわみがより少ない位置20への「想像上の」仕切り膜のたわみの減少として示される。
【0061】
上述したように、板13は、ポンプ15に力を加えるとともに、それに対して移動し、エネルギを引き出すことができなければならない。しかしながら、この力に対して等しいが逆の反作用が板14上に出現し、このため、等しいが右方向と逆の力によって抵抗が加えられなければ、それが左方向に移動して、その右側に波谷を発生するであろう。
【0062】
波の内部の振動運動の上記説明から、波の内部での力の移動方向が半サイクル毎に逆転することが明らかである。したがって、板13及び14が公称半波長の間隔をおいて位置付けられている場合、板14は、ポンプ15によって発生した力に対抗する右向きの力の作用を受けるであろう。
【0063】
より綿密に検討すれば、ポンプ15の前後での作用及び反作用が常に等しくなければならないので、板13の前後でのレベル(エネルギ変化)は、いつも板14の前後のレベル(エネルギ変化)に常に等しいが、逆でなければならないことは明らかである。したがって、板13の前後での「レベル」変化は、板14の前後での「レベル」変化によって逆に再現される一方、レベル変化の程度は、ポンプ15によって引き出されたエネルギ量によって決まる。引き出されたエネルギ量が違えば、これらのレベル変化から異なった効果が生じる。例えば、使用可能エネルギのわずかな割合だけが引き出される場合、レベル変化18aは谷深さ24と比べて小さいであろう。これが板14で逆に再現されるので、レベル変化21aも(中間)波頂高さ26と比べて小さいであろう。したがって、(ポンプ15によって板14上に発生する)逆向きの反力は、波頂26によって発生する力全体に抵抗するのに十分な大きさではない。抵抗を受けない余剰分26aが板14を右方向に移動し、波エネルギの一部が通過して板14の右側に伝達され、したがって、そのエネルギはシステムを通って伝達されて、失われる。
【0064】
しかしながら、ポンプ15に加えられる背圧が増加すると、板13の前後のレベル(エネルギ変化)18がそれに対応して増加する。その効果として、衝突する谷深さ24は変化しないので、伝達された波谷深さ27が減少する。しかしながら、谷深さ27は波頂高さ21も決定し、それは、これらがともに同一の減少振幅の振動プロセスと関係があるからである。このため、ポンプ15からの背圧の増加に伴ってレベル差18が増加するので、残留谷深さ27及び残留波頂高さ21の両方がそれに対応して減少する。一定レベルのエネルギ引き出し(背圧)で、板14の前後の「レベル」差21aが静水レベル22と一致するであろう。これらの状態において、板14にはその右側に波を発生するために残る残留力がまったくなく、したがって水平運動が発生しない。したがって、ポンプ15が波に同伴するすべての振動エネルギを引き出しているので、理論的には波が消失している。
【0065】
説明を補助するために、「レベル」(エネルギ変化)という語句を使用して、板の前後に発生する異なった状態を定義する。これは、波内のエネルギがその高さではなく、その高さの二乗に正比例するからである。したがって、直接的に測定された板前後の高さの差を二乗法則によって数学的に計算し、それにより、それらをエネルギ変化と比較しなければならない。第2に、「実際の」波の形はほぼストーキアン(Stokian)であって、正弦波ではない。すなわち、図4bから分かるように、波頂28全体での曲線の勾配は、波谷29を通る場合より大きい。
【0066】
図4bは、平均「静」水線に沿って測定したとき、いかに波谷31が波頂30より長いかを示し、また、進行波が通過するとき、板13が前後移動するときのそれの固有運動が、静水レベルが波表面断面形と交わる点にいかに追従するかを説明する。
【0067】
図4a〜図4dは、進行波サイクル全体での波2と板13及び14との運動を示す。この一連の「スナップショット」から、波の力の釣り合い及び打ち消し合いがプロセス全体でいかに続くかが分かるであろう。例えば、図4bでは、波頂2が左側から接近するとき、板13及び14の両方が波の「結節」点と一致し、したがって、両者の前後のレベル差(すなわち力)が消失する。図4a及び図4bの状態の間で、谷深さ27が波頂21の減少と同一速度で漸減し、このため、平衡状態及び力の釣り合いが維持される。図4b及び図4c間では、波頂が板13に接近して、板14に当たる波谷を発生し、これにより、板13に作用する波頂力に対抗するための反力が得られる。図4dは、状況が図4bの状況に戻っているが、鏡像関係にあることを示す。進行波が続くと、図4aの形態が戻り、プロセスは周期的に連続して繰り返す。
【0068】
上記分析から、ここで装置の2つの基本的な性質を定義することができる。第1に、1波長の間隔をおいて配置された板は、海底に対して円又は楕円パターンで、しかし一致して振動し、それらの間に測定可能な差動運動がない。第2に、半波長の間隔をおいて配置された板は、同一パターンであるが、直径方向において互いに逆に振動し、海面での波の各サイクルで、2波高にほぼ相当する差動運動を生じる。
【0069】
板を1波長の間隔をおいて位置付け、且つ互いに固定するとき、波エネルギは実質的に影響を受けないで装置を通過する一方、板をほぼ半波長、又は、nがゼロを含む正の整数である場合に(n+1/2)λの波長の間隔をおいて位置付けるとき、板間に発生する相対変位からエネルギを引き出すようにしたエネルギ吸収体の抵抗力(背圧)を調節することにより、理論的には波内の使用可能な総量に等しい量まで、エネルギを引き出すことができる。
【0070】
次に、図5を参照しながら、本発明の更なる実施形態を説明するが、この場合、垂直向きの浮き板32、33及び34が、波の一般的な方向に直角に位置付けられ、且つ2つの複動油圧ポンプ30及び31によって互いに結合されている。板33は、それぞれ外側の板32及び34から公称2/3及び2/3の位置にある。この実施形態では、広範囲の波長から波エネルギを引き出すことができることが分かった。
【0071】
図5bは、板32及び33が、これらの板の離間距離の2倍程度の波長の波の作用を受けたとき、図4の板13及び14と同様に移動する様子を示す。図4を参照しながら上述したように、理論的には波の内部に含まれるほとんどすべてのエネルギを吸収することができる。その時、板34は実質的に冗長である。ここで装置がより短い波長、例えば図5cに示されているように、板32及び33の離間距離に等しい波長の波の作用を受ける場合、板32及び33は一致して前後移動して、波が妨害されないで「通過」することができる。しかしながら、板32及び33の半分の離間距離をおいて配置される板33及び34はこの時、ポンプ31を介して波エネルギのすべてを吸収するのに適正なλ/2の間隔にある。
【0072】
実際に、任意の2枚の板の板間隔がλ(n+1/2)であり、且つnがゼロを含む正の整数である場合、装置によって任意波長λから最大効率で波エネルギを引き出すことができる。このため、例えば任意の2枚の板の間のλ(0+1/2)=0.5λ、λ(1+1/2)=1.5λ、λ(2+1/2)=2.5λ等の間隔により、最大エネルギ吸収が実現される。これらの特定波長間では、エネルギ引き出しの機能が異なった対の板の間で分割され、その一例が図5aに示されている。この場合、板32及び34にまさに半波長が存在する。しかし、板33は板34から1/3波長の位置にあるので、波エネルギのごく一部がポンプ31によって引き出され、残りはポンプ30によって引き出される。各板は、それと残りの2枚の板との間に発生する水平方向の差動運動を「見て」、この運動からエネルギを(変位量)×(抵抗力)に等しい量まで引き出すだけであるので、これがうまくいく。このように、半波長が板対のいずれの間隔にも正確には等しくない場合でも、波長はやはり高いエネルギ引き出し効率を達成する。例えば、板32及び34の離間距離に等しい波長は、この対からまったくエネルギを引き出すことができないが、公称1/2波長の位置から最大で1/6波長だけずれている中間板33からだけ引き出すことができる。
【0073】
これは、この波長でのエネルギ引き出し効率の低下を、わずかに生じる。板33及び34の離間距離より短い波長からもエネルギを引き出すことができ、図5dは、式λ(n+1/2)を使用して、はるかに短い波長で最大エネルギ吸収をいかに達成できるようにするかを示している。
【0074】
上記に関して、実際の海は、複雑な表面形状及びパターンを生じる波長の組み合わせを常に有し、これが、一般的に直面する最も普通の形である。先に説明したように、形状(この場合、水面上での瞬間的な場所における粒子の速度及び高さとしてより正確に説明することができる)はその場所で水面下に起きる単一運動を定義するものであり、この単一運動は、その場所を通過する異なる長さの波の長さの合計及び差によって生じる。本発明の実施形態は、この合成差動運動を用いて、同伴する異なった波長すべてから、それらがあたかも互いから個別に隔離されているかのようにして、エネルギを効率的に引き出す。次に、本発明の更なる実施形態を、特に図6〜図10及び図13を参照しながら説明する。
【0075】
i)波からのエネルギの引き出し、ii)波から導出されたエネルギを使用した船の推進、及びiii)多胴船間に発生する破壊力の軽減及び補償に関して本発明の態様を説明する。
【0076】
図6a〜図6dは、水塊内に発生する水平振動力及び運動をいかに利用して、波の内部又は波と同じ方向への推進手段を実現するかを示す。この原理を用いた本発明の実施形態が、図9及び図10に示されている。
【0077】
図6a〜図6dは、2組の垂直向き浮き「ルーバー」弁又はルーバー弁配列51及び52を有する推進装置の概略図を示す。これらの弁は、水が同一方向のみに(この場合は右方向に)流れることができるようにし、反対(左側)方向には水の流れを透過しない中実壁を提供する。2つのルーバー弁配列は、配列の両端部に接合された固定長さのコネクタ53のピンにより、半波長の間隔をおいて互いに結合され、且つ本例では左側から接近していると考えられる進行波2の一般的な方向に直角に配置されている。
【0078】
図6bは、単に分かりやすくするために網掛けして示された2つの「個別」水塊54及び55が、波が通り越える間に非回転振動式に移動しているようすを示す。谷の中の水塊55は、ほぼ矢印56の方向に、すなわち波頂の方向と逆の方向に振動している。これはルーバー弁を締め切り、配列52を左方向に押す。同時に、弁配列52の前方に半波長の固定距離をおいた位置にあるルーバー弁配列51は、ほぼ矢印57の方向に波頂とともに振動している水塊54の作用を受ける。これにより、ルーバー弁が開き、水塊が配列を通過できるようにする。したがって、図6a、図6b及び図6cから分かるように、このプロセス中、振動する水塊55のモーメントによって発生する力により、装置全体がほぼ1波高58の距離だけ左方向に変位する。
【0079】
図6dでは、プロセスが続くと、谷の中で左方向に振動する水塊54の作用を受けてルーバー弁51が閉じ、また、水塊55が波頂とともに右方向に振動するとき、ルーバー弁52が開いて水塊55が通過できるようにし、装置は左方向に変位され続ける。図6b及び図6dで起きている正の水平変位の間では、水塊の非回転振動が主に垂直方向である。例えば、図6cでは、水塊54は主に下向きに振動し、水塊55は主に上向きに振動するが、モーメントのため、装置は左方向に移動し続け、両組のルーバー弁51及び52が開いて、両水塊の「特定方向に向けられた」相対運動が弁を通過できるようにする。同様の状況が図6aにも起きるが、鏡像関係にある。次いで、状況は図6bに戻り、連続サイクルで繰り返される。
【0080】
推進方法の上記説明は、最も独特の性質を与えることから、それが波の方向と逆の方向にいかに動作することができるかを示すように構成されている。しかしながら、この推進方法は、単に逆止めルーバー弁の動作方向を変化させることで、波と同じ方向に同様に動作することができる。例えば、弁は、波頂で閉じて右方向に駆動される一方、他方組の弁は開いて、波谷を通過する。このように、推進力は、波の方向と同じでも、逆でも等しく有効である。この推進力は、「一次波効果」として知られるものによって生じる。しかしながら、二次波効果は、波の移動方向に水塊ドリフト全体の一部分(例えば15%)を発生し、これは、実際には海底に対する装置の移動速度が、波方向と逆方向では平均速度の約−15%、波方向と同一方向では平均速度の約+15%であることを意味する。装置を左方向又は右方向に推進できるように、いずれか一方向又は両方向に動作するように、ルーバー弁組を制御してもよいことは理解されるであろう。また、配列に舵を取り付け、それにより、波方向と同じ又は逆方向で波面に斜めの「タッキング」を可能にすること、及び図4に概略的に示されたタイプのエネルギ吸収装置を配列間にも取り付け、それをプロペラ又は他のタイプの推進手段とともに全体的又は部分的に使用し、それにより、波面に対して直角の、又はそれに対して任意の組み合わせ角度で推進力を与えることもできることも理解されるであろう。2つの配列を使用することは、任意数の関連配列の使用を意味することができることは、認められる。
【0081】
図7は、2つの矩形板100及び102と、ピボット108及び110によって各板に回動式に取り付けられたエネルギ吸収体104とを有する防波装置の一実施形態を示す。エネルギ吸収体は水没しており、遊嵌開口113及びチョーク通路114を有するキャビティ112内に位置する遊嵌ピストン又は流れ拘束装置111を有する。作用を説明すると、波の通過中の板間の差動運動により、流れ拘束装置111の移動が生じ、水がキャビティ115及び116の内外へ、また流れ拘束装置を通過して押し進められて、板の分離及び接近移動の両方で抵抗力を発生させ、それにより波からエネルギを引き出す。
【0082】
図8は本発明の他の実施形態を示し、ここでは、複数の(この場合は8個の)(図4及び図5により詳細に説明されているような)浮き装置205及び206が、チェーンの形につなぎ合わされ、それにより、海岸線207を保護するための防波システムを提供している。外海200には波が存在するが、防波システムによってエネルギが吸収されている結果として、防波システムの風下の水面210は穏やかである。この実施形態では、2〜3個の板配列をグループ化し、それにより、海岸線207での海岸浸食又は堆積パターンを管理するように波状況を計画的に調節することができるであろう。
【0083】
図9は、本発明のその他の実施の形態の概略説明図であり、(図6により詳細に説明されているような)複数の推進装置232が協力して、座礁船250を岩場から、又は砂州上の動的乗り上げ状態から曳航している。船を曳航するために波233からエネルギを引き出すプロセスで、波が減少し、それにより、救助作業の進行中に船を保護するためのより穏やかな海上状態234が生じる。
【0084】
図10は、船の救助又は曳航を行うための推進システムの概略説明図である。船220は、(図6により詳細に説明されているような)装置222、224及び226を配備又は使用し、それにより、エンジン故障の際に、又は燃料を節約するために、船を矢印229の方向に推進することができる。推進力を与えるためにエネルギが波227から引き出されることにより、船が位置する場所により穏やかな海域228を生じるであろう。この装置は、緊急時に使用できるように、例えば船のデッキ上に平らにして保管されることができる。
【0085】
エネルギの引き出し又は推進方法だけにかかわるのではなく、水塊内の非回転振動の根源的な原理を利用する本発明の更なる用途が考えられる。1つのそのような例は、カタマラン船及び他のタイプの多胴船で本発明を使用し、それにより、一定の海洋状態での異常且つ予想できない操縦特性の防止又は回避を行い、且つハルに加えられる付加的な高い側部荷重を防止することである。これは特に、主に速度及び性能のために使用される細く深い、且つ幅方向に間隔をおいた「波を突き抜ける」ハルを有するカタマラン船に当てはまる。
【0086】
本発明のこの実施形態では、カタマラン形船の2つのハルが互いに平行に少なくとも2波高の距離を内外に移動できるようにし、それにより、ハルが水塊内に発生する固有振動プロセスに追従して、これらの荷重が主構造体に伝達されるのを防止する手段が設けられている。プロセスについては以下に簡単に説明する。
【0087】
図13a〜図13cは、上記原理をいかに用いることができるかを示す。
【0088】
図13aは、「個別の」水塊62及び63内に浮かび、且つスライド式相互接続部64で互いに結合されているハルを有する、波を突き抜けるカタマラン船を示す。図13aは、波が存在せず、したがって水塊内に非回転振動がない状態を示す。図13bは、(波長がハルの間の距離の約2倍である)進行波68の谷が通過する時の支配的な状態を示す。水中の水塊の付随的な非回転振動が、2つのハルを約1波高の距離だけさらに分離移動させる。図13cは、進行波の頂部がハルを横切って進む状態を示す。この場合、水中の水塊の非回転振動が2つのハルを約1波高の距離だけさらに接近移動させる。したがって、図13b及び図13cに示されている状態の間で、進行波68が進むとき、水塊振動は、各波サイクルで波高の約2倍の合計距離だけハルを引き離し、且つそれらを押し合わせる。作用を説明すると、スライド式相互接続部64によって吸収されるハル間の距離の許容変化が、波の通過中の水の質量モーメント振動(mass moment oscillation of the water)によって生じる変位を補償し、且つ完全に吸収する。これにより、ハルの側部及び船の連結ブリッジに作用する横力による破損が防止される。
【0089】
さらに、振動水パターンに従うためにハルの間に「蛇行」効果を発生できるようにする手段を設け、それにより、最大貫通効率を得るために局部振動パターンに対してハルを常に直角に確実に移動させることができる。固定ブリッジを有し、且つ波長がハル間の距離の約2倍であるサイドシー(side sea)にさらされる上記双胴船は、2つのハルの各々に対して同時に逆方向に作用する波のこの質量モーメントによって生じる、これらのハル間の大きい、おそらく破壊的な力を受ける。
【0090】
更なる実施形態では、相互接続部64の代わりに、双胴船が水中を移動するとき、ハルが互いに接近移動及び分離移動するときの両方で、エネルギを引き出すように動作する装置を用いることができる。このように得られたエネルギは、多くの方法で使用されることができ、そのうちの3つを以下に示す。
1.補助熱、光、無線機等に電力を供給すること、
2.プロペラ又は他の同様な機械装置により船をハルの方向に駆動することによって船自体を動作させること、又は
3.引き出されたエネルギを使用して船を動作させ、ハルが平行のままではなく、前部が後部に対してさまざまに接近移動及び分離移動してオールこぎ効果を生じ、それにより、更なるプロペラ又は他の同様な機械装置を必要としないで推進力を与えることができる「蛇行」効果を計画的に生じるようにすること。
【0091】
ハル間の平均距離を変更して半波長規則(half wavelength rule)に一致させるための手段、例えばパンタグラフ又は他の同様な機構を用い、それにより、さまざまな海の状態及び波長においてシステムから最大のエネルギ引き出しを行うこともできる。
【0092】
波エネルギの吸収、補償又は推進手段を記載してきた。いずれの高さに配置された板又は板状構造体も効果を生じる。構造体は、液体を通過させても、させなくてもよい。液体を一方向に通過させることができる、又は通過させやすくするために、弁を構造体に組み込んでもよい。構造体は、波の通過によって生じる振動パターンの影響下にある液体塊の異なった部分又は液体塊の下方に水没させられる。理想的には、2つ以上の上記構造体間、又は液体塊の慣性質量に逆らって相互作用する2つ以上の構造体間の相互作用の制御を介して、波エネルギの吸収、補償又は推進が達成される。これは、構造体を一方向のみに通過する液体の流れを制御状態で活用することによって改善されるであろう。
【0093】
防波装置のオン・オフの切り換えは、その板間の距離を手動で設定し直すことによって達成されることができる。例えば、板を半波長の間隔から1波長の間隔に移動させることにより、装置がオフに切り換えられる。相互接続手段からの抵抗力を除去することによっても、オフ切り換えを達成することができる。
【0094】
例示的な実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱しない限り、上記実施形態に変更を加えることができることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】(a)〜(d)は、水塊を通過する波の形のエネルギが、水中の水塊にどのように影響し、且つそれを移動させるかを概略的に示す図である。
【図2】水塊を通過する波の形のエネルギが、水中の水塊にどのように影響し、且つそれを移動させるかを概略的に示す図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の第1態様に従った防波装置の壁が、その間の距離の2倍の波長の波の通過中に、いかに相対移動するかを概略的に示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、エネルギ吸収システムが壁の間に配置されているとき、図3(a)〜(d)に示されたような装置によって波エネルギがいかに伝達され、且つ吸収されることができるかを概略的に示す図である。
【図5】(a)〜(d)は、第3壁及び関連のエネルギ吸収装置を図4(a)〜(d)に示されたシステムに追加することにより、同時に複雑な海の状態を構成する無数の異なった波長によって波エネルギをいかに吸収することができるかを概略的に示す図である。
【図6】(a)〜(d)は、波の内部又は波の移動方向に推進力を発生するために、本発明の一実施形態が波エネルギをいかに使用することができるかを概略的に示す図である。
【図7】波エネルギを吸収するために簡単な水チョーク弁を使用している防波装置の一実施形態の概略図である。
【図8】海岸領域の保護及び/又は海岸浸食及び堆積の管理を行うための防波システムとして配置された複数の防波装置の作用を示す図である。
【図9】船の救助及び保護を行うための防波システムの概略図である。
【図10】船を曳航している複数の推進装置を概略的に示す、本発明の代替態様の概略平面図である。
【図11】(a)〜(d)は、水塊の非回転振動と、この運動が波長に対する水深の影響をいかに受けるかを概略的に示す図である。
【図12】(a)〜(d)は、水塊の非回転振動と、この運動が波長に対する水深の影響をいかに受けるかを概略的に示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、多胴船の損傷を防止するために、ベルヌーイの非回転運動理論に従って波形の異なった部分で起きる相対運動を、本発明の更なる態様による装置がいかに吸収することができるかを概略的に示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性浮力を有する複数の構造体と、該複数の構造体間に配置された1つ又は複数のエネルギ吸収体とを有し、波の通過中に自然に発生する水塊の非回転振動プロセスの異なった部分内に前記構造体が位置することによって該構造体間に対抗力が生じ、該エネルギー吸収体は前記構造体の相対運動と前記構造体間に生じる該対向力とから波エネルギを除去することを特徴とする防波装置。
【請求項2】
前記構造体は、使用の際に互いにほぼ平行に配置される第1及び第2構造体と、第1及び第2構造体間に接続され、それにより、使用の際に前記対向力及び運動からエネルギを吸収するエネルギ吸収体とを備えることを特徴とする請求項1に記載の防波装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2構造体間の機械的相互接続部であって、前記エネルギ吸収体を支持する相互接続部を備えることを特徴とする請求項2に記載の防波装置。
【請求項4】
第3構造体であって、使用の際にその他の2つの構造体にほぼ平行に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の防波装置。
【請求項5】
前記第1及び前記第2構造体の離間距離は、前記第2及び前記第3構造体の離間距離のほぼ2倍であることを特徴とする請求項4に記載の防波装置。
【請求項6】
前記防波装置を配置しようとする特定場所での波の最大波長をλとするとき、前記第1及び前記第3構造体の離間距離は、λ/2であることを特徴とする請求項5に記載の防波装置。
【請求項7】
前記構造体は、ほぼ平行六面体の構造体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項8】
前記構造体は、板状であり、該板状とは、波の方向に与えられる前記構造体の面積と、前記構造体の厚さの二乗との比として定義され、該比は10を超えることを特徴とする請求項7に記載の防波装置。
【請求項9】
前記比は、20を超えることを特徴とする請求項8に記載の防波装置。
【請求項10】
前記比は、30を超えることを特徴とする請求項9に記載の防波装置。
【請求項11】
前記板状構造体の高さは、前記防波装置を配置しようとする特定場所での波の波長の半分(λ/2)より小さいことを特徴とする請求項8に記載の防波装置。
【請求項12】
前記高さは、その特定場所での波の波長の(λ/5)より小さいことを特徴とする請求項11に記載の防波装置。
【請求項13】
前記構造体は、ほぼ垂直向きであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項14】
前記板状構造体は水平方向に延び、液面から下方に垂下していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項15】
前記又は各エネルギ吸収体は、水をスロットルに通して絞るように配置された水チョーク弁を有し、それにより、前記構造体の相対変位時にエネルギを消散させることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項16】
前記又は各エネルギ吸収体は、適当な防水容器内に封入された電磁機構であって、前記構造体の相対変位時に起電力を発生するように構成された電磁機構を備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項17】
前記又は各エネルギ吸収体は、直線運動を回転運動に変換させるのに適した歯車を備えたラック及びピニオン機構を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項18】
前記又は各エネルギ吸収体は、ダッシュポットとして作用するように構成されたピストン及びシリンダ機構を備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項19】
前記又は各エネルギ吸収体は、二方向ピストン及びシリンダを有し、前記構造体が互いに接近移動、及び互いに分離移動するとき、流体がエネルギ吸収体を通って進み、それにより、波エネルギを吸収するように構成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項20】
使用の際に、前記構造体の長手軸が、入射波面にほぼ平行に延びるようにして、外海域等の水塊内に位置付けられることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一に記載の防波装置。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の複数の防波装置を備える防波システムであって、海岸堆積及び/又は浸食パターンの維持又は変更を行うことができる防波システム。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の防波装置又は請求項21に記載のシステムを使用して海岸浸食を制御する方法。
【請求項23】
水塊内で使用される推進装置であって、互いにほぼ平行に配置されて支柱によって接続された第1及び第2水没構造体を有し、該第1及び第2構造体は、逆止弁配列を有し、該配列により、水がそれぞれの配列を通って一方向に流れることができ、両配列は同一方向に動作可能に構成され、それにより、前記構造体が前記水塊内の波の波長の約半分だけ分離した状態で、該装置が入射波面にほぼ直交する向きにあるとき、水塊の固有非回転振動は、一方の弁配列に対して他方の弁配列と逆の方向に作用することを特徴とする推進装置。
【請求項24】
前記水没構造体は、ほぼ平行六面体の板状の形であることを特徴とする請求項23に記載の推進装置。
【請求項25】
前記構造体は、ほぼ垂直向きであることを特徴とする請求項23又は24に記載の推進装置。
【請求項26】
前記水塊の非回転振動運動の方向が一方の配列を閉じて、それと共にアセンブリ全体を搬送する方向にそれを移動させる一方、他方の配列に作用する前記水塊の逆の非回転はそれを開いて前記水塊が通過できるようにし、逆転は波システムが通過するときに起きて、前記第1配列が開き、前記第2配列が閉じるが、装置全体の移動方向は前と同じままであるように、前記弁配列が構成されていることを特徴とする請求項23〜25のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項27】
両組の逆止弁配列は、接近中の波頂と同じ方向で開くように設定されることができ、それにより、前記水塊の、波の方向と逆にアセンブリ全体を移動させる部分内に発生する逆非回転振動運動により、波谷内の前記逆止め弁配列を閉じることで逆方向の推進を達成することを特徴とする請求項23〜26のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項28】
両組の逆止め弁は、接近中の波頂と同じ方向で閉じるように設定されるように構成され、前記波頂と同一方向の推進が達成され、また、前記逆止め弁は波谷内で開き、それにより、逆振動水塊を通過させることができることを特徴とする請求項23〜26のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項29】
動作中に、前記逆止め弁の動作方向を変化させ、それにより、前記アセンブリの推進方向を変化させることができる制御手段を備えることを特徴とする請求項23〜26のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項30】
舵を備え、それにより、前記装置が波の内部又は波と同じ方向に斜めにタッキングすることができるようにしたことを特徴とする請求項23〜29のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項31】
前記支柱は、調節可能な長さを有し、前記制御手段は、一方の構造体と他方の構造体とで別々に動作可能であるように構成され、それにより、波力によって前記構造体の対向運動を達成し、それにより、構造体の公称間隔を動作中に変化する波長に一致させるように前記支柱を調節できるようにしたことを特徴とする請求項29に記載の推進装置。
【請求項32】
前記支柱に対応付けられて、エネルギを引き出すように動作可能であるエネルギ吸収装置を備えることを特徴とする請求項23〜31のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項33】
前記エネルギ吸収装置は、追加的なプロペラタイプの推進手段に動力を与えるように構成されていることを特徴とする請求項32に記載の推進装置。
【請求項34】
前記板状構造体は、両方とも水平向きで水面から下方に垂下していることを特徴とする請求項23及び24に記載の推進装置。
【請求項35】
前記第1及び第2構造体に平行であるが、それらから間隔をおいた第3構造体を備えることを特徴とする請求項23〜34のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項36】
前記第3構造体は、その他の2つの構造体に対して調節可能であることを特徴とする請求項35に記載の推進装置。
【請求項37】
前記逆止め弁は、ルーバータイプの弁であることを特徴とする請求項23〜36のいずれか一に記載の推進装置。
【請求項38】
発生した前記推進力は、支配的な波と同じ方向、逆方向又はそれに対して斜めに静的又は動的力を与えるために使用されることを特徴とする請求項23〜37のいずれか一に記載の推進装置を使用する方法。
【請求項39】
前記力は、曳航用に使用されることを特徴とする請求項23〜37のいずれか一に記載の推進装置の使用方法。
【請求項40】
前記力及び運動を生じる際に吸収されたエネルギは、前記装置の後方に穏やかな水域を形成するために使用されることを特徴とする請求項39に記載の推進装置の使用方法。
【請求項41】
スライド式又はカリパスタイプのリンクによって接続された少なくとも2つのハルを有する多胴船であって、前記ハルは、互いに接続され、且つほぼ平行のままの状態で、互いに分離又は接近移動可能であることを特徴とする多胴船。
【請求項42】
前記ハル間の使用可能な相対移動は、船が波を通って進む間、一方のハルと他方のハルとが非回転振動水塊の異なる部分に位置することによって生じる差動運動を吸収するのに十分に大きく、それにより、非回転水塊によって大きい側方力が前記ハルに加えられるのを防止することを特徴とする請求項41に記載の多胴船。
【請求項43】
前記ハル間に発生することができる前記差動力及び運動によって動作可能なエネルギ吸収装置は、プロペラ又は他の機械的手段を使用して前記ハルのほぼ前後方向に前記船を推進させるのに使用されることができるエネルギを引き出すように構成されていることを特徴とする請求項41又は42に記載の多胴船。
【請求項44】
前記浮き構造体又はハル間の前記接続手段は、波長、波高又は周期の測定、及び/又は機器又は作業員用の安定したプラットフォームの提供に使用されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか一に記載の装置。
【請求項45】
複数の波に斜めにまたがる長い船用の保護手段であって、構造体の長さに沿って該構造体の水平差動関節又は二重関節を有し、それにより、波システムの異なった部分内の水塊内に発生する異なった非回転パターンに適合するようにしたことを特徴とする保護手段。

【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−516107(P2008−516107A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510428(P2005−510428)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004526
【国際公開番号】WO2005/045136
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506134249)シー−ウェーブ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】