浮力モータ
本発明は、浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置を提供する。該装置は、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材を備え、浮揚部材は、液状媒体中に配置されると共に、浮揚部材に一体的に接続された変位可能なアクチュエータ部材を備えている。浮揚部材は、可動物品上の、可動物品から延びる適当な旋回軸の周りに一体的に取り付けられる。浮揚部材は、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力を受けることにより、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸まわりに旋回しながら変位可能であり、この結果、浮揚部材に上昇浮力が生じる。アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を付与して維持するための手段が設けられており、これにより、浮揚部材の上昇浮力から結果として生じる力ベクトルが生成される。結果として生じる力ベクトルは、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、物品に伝達されて物品を移動させることができる。また、浮揚部材のこのような上昇浮力を利用して可動物品を縦方向以外の方向に変位させる方法が提供されている。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、力伝達装置、より具体的には、浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品に縦方向以外の方向への変位力を伝達する装置に関する。具体的には、この上昇浮力を利用して、物品に回転変位を生じさせる。
【0002】
人口の増加と自然エネルギー源の減少に伴い、現存する資源を浪費しないように、より効率的な機械装置を考案することが重視されるようになってきている。しかしながら、重力や太陽エネルギーのような多くの自然エネルギー源が今のところ開発過程であることもまた認識されている。本発明は、水中に沈められた浮揚具に働く上昇力を利用して、所定の物品の、変位におけるエネルギー効率を高めようというものである。
【0003】
コルクのような浮揚体(または浮揚具)を水面下に沈めてから解き放つと、水面に向かって縦方向に上昇することが知られている。水が浮揚具に上向きの力を与えること、また、アルキメデスの法則により、浮揚部材に付与される上向きの力(上昇力)の大きさは、浮揚具により押しのけられた水の重量に等しいことが知られている。浮揚具に結果として働く上向きの力は、押しのけられた水と等量の水の質量中心を通って働くと考えられる。
【0004】
さらに、水平面上に配置した従来型の台車は静止状態を保つことが分かっている。しかしながら、もし傾斜面上に配置したなら、台車は傾斜面に沿って、縦方向及び水平方向に移動するだろう。ここでは、重力が、台車に縦方向下向きに、台車の質量中心を通って働くことにより、傾斜面から傾斜に対して垂直な方向に延びる反力が作用し、この結果、傾斜にほぼ平行な結果として生じる力のベクトルが生成されて、台車は傾斜を下ると考えられる。この基礎的な物理法則の理解により、出願人は、水中に沈められた浮揚部材の上昇浮力を利用して物品を動かしたり変位させたりする装置及び方法を開発することができた。それは、浮揚体の運動または上昇力を利用して、所要の物品を移動させようという概念である。
【0005】
従って、本発明の目的は、水中に沈められた浮揚部材の上昇浮力を利用して、装置における物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置及び方法を開発することである。
本発明によれば、浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置が提供される。該装置は、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、変位可能なアクチュエータ部材とを備える。浮揚部材は、液状媒体中に少なくとも部分的に沈められており、アクチュエータ部材は、浮揚部材に一体的に接続されている。浮揚部材は、可動物品上の、可動物品から延びる適当な旋回軸の周りに一体的に設けられる。浮揚部材は、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回しながら変位して、その結果、浮揚部材の上昇浮力が生成される。アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を加えると共に維持する手段が設けられており、これにより、浮揚部材の上昇浮力から結果として生じる力ベクトルが生成される。結果として生じる力ベクトルは、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、可動物品に伝達されて可動物品を変位させる。該装置が密閉されていて、液状媒体を入れるためのシールされた本体を備えるのが好ましく、この場合、浮揚部材は少なくとも部分的に、そして通常は完全に、液状媒体に沈められる。
【0006】
アクチュエータ部材が旋回軸から半径方向に離れた位置にあり、アクチュエータ部材に旋回変位力を付与することで、適当な機械的利益が得られるようにされることが好ましい。梃子の基本原理を用いると、旋回軸からの距離が離れるほど、浮揚部材の固有の浮力に打ち勝つのに必要な力が小さくなり、均衡位置を越えた沈下を起こすことができる。このため、アクチュエータ部材が、通常、旋回軸から半径方向に延びる細長い棒状部材の形状をしたレバー機構を備えるのが好ましい。このレバー機構は、旋回軸の周りに同軸となるように浮揚部材に取り付けてもよいし、または単純に、旋回軸から離れた浮揚部材の部分に一体的に取り付けてもよい。
【0007】
アクチュエータ部材に作用する旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に維持することが重要であるので、該装置が、変位可能な力伝達部材を備えるのが好ましい。力伝達部材は、通常、可動物品が変位する間、旋回変位力を、変位可能なアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保ち、さらに、通常、旋回軸から一定距離だけ離れた箇所で旋回変位力を付与し続けると共に、アクチュエータ部材を旋回軸に対して一定の旋回角度に保つ役割を果たす。この力伝達部材は、モータによって駆動されてもよいし、手動機構を備えていてもよい。可動物品自体が、(通常、旋回軸と同軸の)軸の周りを回転可能であるのが好ましく、この場合、可動物品が上昇浮力の方向に対して横方向に変位可能になる。この実施例では、可動物品は通常、液状媒体と浮揚部材とを包含する円筒状のドラムを備え、ドラムは、浮揚部材の旋回軸と同軸に延びる。あるいは、可動物品が、旋回軸に垂直な物品軸の周りを回転可能であってもよい。この実施例では、可動物品は、回転可能な可動物品に接続されて作動する外部駆動機構を備えてもよい。このような外部駆動機構は、ギヤ機構を駆動するための歯車を備えていてもよい。可動物品が旋回軸に垂直な軸の周りを回転可能な実施例では、変位可能な力伝達部材が、物品軸と同軸に延びることが好ましい。ここでは、該装置が、物品軸に対して放射状に配置されると共に、旋回するように接続される複数の浮揚部材を備えていてもよい。この場合には、力伝達部材は物品軸と同軸に取り付けられる円形装置を備えるのが好ましい。これにより、複数の浮揚部材それぞれに付与される旋回変位力を、浮揚部材それぞれに関連付けられた変位可能な各アクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことができる。
【0008】
さらに、本発明によれば、浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する方法が提供される。該方法は、旋回変位可能な浮揚部材を浮揚部材の旋回軸の周りで可動物品に接続するステップと、浮揚部材のアクチュエータ部材に、アクチュエータ部材に垂直な方向の旋回変位力を付与し、均衡位置を越えて浮揚部材を旋回変位させるステップと、旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保ち、浮揚部材の上昇浮力から、旋回軸を通って旋回軸に垂直となるよう可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルを生成するステップとを含む。
【0009】
この方法がさらに、アクチュエータ部材に予め定めた長さを与え、旋回変位力を、旋回軸から離れた、旋回軸から予め定めた距離の箇所で付与して、予め定めた機械的利益を得るステップを含むのが好ましい。これにより、結果として生じる上昇力より小さい力で、均衡位置を越えて浮揚部材を変位させることが可能になる。これもまた、梃子(レバー)の使用により得られる機械的利益の基本原理を利用している。つまり、旋回軸と力が付与される点との間の距離が大きいほど、浮揚部材が均衡位置を通り過ぎる際に、固有の上昇浮力に打ち勝つのに必要な力は小さくて済む。該方法がまた、可動物品を変位させる間、旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保つステップを含むのが好ましい。このステップは、通常、可動物品を変位させる間、旋回変位力が付与される箇所の距離を予め定めた距離に保つステップであってもよい。
【0010】
さらに、該方法では、可動物品を移動する間、旋回変位力を一定に保つのが好ましい。
さらに、該方法が、旋回軸に交差する水平面とアクチュエータ部材に旋回変位力が付与される点との間の角度を調整することにより、可動物品に伝達される結果として生じる力ベクトルを調整するステップを有してもよい。この方法はまた、水平面に対する上記角度を大きくすることにより、結果として生じる力ベクトルを大きくする手段を備えていてもよい。
【0011】
本発明にはさらに、前述の装置を備えた少なくとも1つの車輪を有する車両が含まれ、また、前述の装置を備えたエンジンであって、エンジンを作動するのに上記可動物品を利用するエンジンも本発明は対象としている。
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施例を2つ、ほんの一例として、付属の説明図を参照しながら説明する。
本発明は、通常の均衡位置を越えて液体中に沈められた浮揚部材に働く上昇浮力を駆動力として利用して、浮揚部材に接続された物品を縦方向以外の方向に変位させる方法及び装置の両方に関する。本発明の第1実施例は、本発明を実践した場合の、より分かりやすい応用例の1つである。これを図1に示す。図1には、密閉されたシリンダ状の容器(210)が示されており、この容器(210)は、通常、樹脂またはアルミニウム、あるいはステンレス鋼のようなその他の皮膜された金属等、錆びの発生に対して抵抗力のある材料から構成される(容器(210)には好ましくは液体媒体としての水が入っているため)。
【0013】
本実施例において、シリンダ(210)は、2つの円形の蓋、すなわち、カバープレート(212)を備える。カバープレート(212)は、シリンダの主軸(214)と同軸に設けられる。カバープレート(212)には、それぞれ適当な枠(216)が設けられており、この枠(216)により、密閉されたシリンダ状の容器が支えられる。カバー(212)は、溶接または接着等により、シリンダ状容器(210)の周りを完全にシールしてもよい。あるいは、カバープレート(212)は、適切なボルト部材を利用するなどして、シリンダ状容器(210)に取り外し可能に固定して、容器内部の構成に対する作業を可能にしてもよい。この場合のボルトは図に示していない。(図1に示すように)少なくとも1つのカバープレート(212)には、中央に円形の開口部(218)が設けられる。開口部(218)は、カバープレート(212)を貫き、シリンダ状容器(210)の内部に通じている。この開口部(218)もまた、シリンダ軸(214)と同芯になるように設けられる。実質的に円柱・円筒状のシャフト(220)が、円形開口部(218)を通って延びている。このシャフト(220)もまた、軸(214)に対して同軸となるようシリンダ内部に向かって延びている。シャフト(220)は、(図2に示すと共に以下により詳細に記載するように)シリンダ内部で、浮揚部材(222)に一体的に取り付けられる。図1には示されていないが、このシャフト(220)は、適当なシールベアリングにより支持される。シールベアリングもまた、終端プレート(212)上で軸(214)に対して同軸となるよう設けられており、この結果、その周辺では流体シールが保たれ、容器(210)内部に含まれる液体がこの開口部(218)から漏れるのを防ぐ一方、カバープレートとシャフト(220)とが相対的に回転できるようになっている。このようなシールベアリングは、従来技術から十分理解されるので、ここにはその詳細を記さない。
【0014】
また、図1に示すとおり、シャフト(220)はさらに、細長いレバー部材(224)を備える。レバー部材(224)は、シャフト(220)上に一体的に設けられ、シャフト(220)に対して垂直に延びている。さらに、図には示さないが、シャフト(220)は、少なくとも容器(210)の全長のうちの一部に沿って同軸に延びており、第2の内部ベアリング機構により支持される。第2の内部ベアリング機構もまた、容器軸(214)と同軸に設けられるため、シャフト(220)は容器の内部で自由に回転可能である一方で、軸(214)について同軸に保たれる。シャフト(220)が、容器(210)の全長に渡って延び、向かい合うカバープレート(212)の内部表面に設けられた内部ベアリングに取り付けられるのが好ましい。
【0015】
図2では、カバープレート(212)は、本発明の装置の内部構成を分かりやすく説明するために取り除かれている。ここでは、シャフト(220)上に、浮揚部材(222)が一体的に設けられる(と共に、浮揚部材(222)のシャフト(220)周りの回転が抑制されている)のが分かる。この浮揚部材(222)の断面は、図3から明らかなように、ほぼ半円状である。さらに、図3に示すとおり、浮揚部材(222)は、容器(210)の内部長に匹敵する長さを有し、容器(210)の長さの大部分に渡って延びている。この浮揚部材(222)は、事実上、浮揚体であり、木材、発泡材、樹脂、あるいはその他の材料であって水より密度の低い材料等、軽くて低密度の材料から構成されるか、あるいは、樹脂または錆びの発生に対して抵抗力がある金属からなる中空の容器から構成されるのが好ましい。この浮揚部材(222)は、シャフト(220)への溶接のような従来型の手段により、または、従来技術で十分に知られたボルトのような機械的な抑制手段の利用により、シャフト(220)周りの相対的な回転をしないように固定されている。重要な点は、浮揚部材がシャフト(220)と一体的に回転することである。本発明によって示された浮揚部材(222)は、単一の細長い部材として設計されているが、これは単に好ましい設計であって、実際には、複数の独立した浮揚要素、または、容器(210)の全長に沿って途中まで延びただけの、より小さな浮揚要素から構成されてもよい。また、ここでは半円形の断面を有しているように図示されているが、これは単に、容器(210)に引っ掛けることなく、容器(210)内部で浮揚部材(222)を回転しやすくするためである。半円形にすることにより、浮揚部材(222)の大きさを最大にできるが、その形が、本発明の作用に不可欠というわけではない。
【0016】
容器(210)は、適当な液体で満たされている。通常、この液体は水であるが、浮揚部材(222)より密度が高い液体であれば、どんな液体でも使用可能である。図2に、参照番号(226)を使用して水を示す。水(226)が、容器(210)の内部を満たしているのが好ましい。このシリンダ状容器(210)に具体化された装置の動作機能を、図4から図9を参照しながら説明する。
【0017】
まず、容器(210)がほぼ水平な面上に置かれた場合、浮揚部材(222)とシャフト(220)の容器内の部分とは、実質上、液体に浸され(液体は適切なシールにより容器(210)から漏れないようになっている)、浮揚部材は、(図2に示すような)均衡位置に位置しようとすることがわかる。均衡位置は、液体により浮揚部材に働く上昇力によって決まる。本発明の理解を簡約すると、液体により浮揚部材(222)に働く上昇力は、シャフト(220)を介して、カバー(212)に設けられた(図に示されない)ベアリングを通ってそれぞれのカバー(212)に伝達される。これにより、シャフト(220)の反力が、上昇力と等しくなる。従って、図1及び図2に示した例は、安定した構成である。なぜなら、上記反力が、浮揚部材(222)に働く上昇力に等しく、また、カバープレート(212)の枠(216)と水平面(234)との間の接点及び軸(214)に交差する垂直面に沿った方向を有しており、シリンダ(210)を平衡に保つからである。このような構成では、シリンダ(210)は、浮揚部材(222)に働く上昇力の影響を受けない。さらに、シャフト(220)、浮揚部材(222)、レバー部材(224)の質量による力の効果は、無視できるものと考えられるので、ここでは説明しない。
【0018】
しかしながら、図4に示すように、軸(214)と同軸に延びる弓形のパスに沿って、レバー(224)を変位させると、シャフト(220)は、軸(214)の周りを回転して、図示する様に浮揚部材(222)を回転変位させる。
【0019】
図5に示すように、レバー(224)に加えられる旋回変位力は、本実施例においては、円柱・円筒状のシャフト(230)と同軸となるよう設けられた回転可能なホイール(228)により提供される。シャフト(230)は、シリンダ(210)の軸(214)に平行な細長い軸を有している。ホイール(228)は、シャフト(230)の周りを自由に回転できるので、ホイール(228)とレバー(224)との係合により、旋回変位力は、図6に実質的に示すように、レバー(224)に垂直な方向に伝達される。図6に、この旋回変位力の方向を矢印(232)で示す。レバー(224)がシャフト(220)に接続され、シャフト(220)がカバープレート(212)上の(図示されない)ベアリングに取り付けられているので、レバー(224)の回転と、その結果起きる、シャフト(220)と浮揚部材(222)との固有の回転変位により、シリンダ(210)上で混乱(または横方向の力)が誘起されることはない。しかしながら、レバー(224)の変位により、浮揚部材(222)が図5及び図6に示す位置に変位されるので、浮揚部材(222)は、もはや均衡位置にはなく、上昇浮力の影響を受けることがわかる。この上昇浮力は、レバー(224)に働く力を取り除いた場合、浮揚部材(222)に働き、図1及び図2に示す位置に浮揚部材(222)を戻す。ここでも、浮揚部材(222)を均衡位置に戻す動きは、シリンダ軸(214)周りの変位により起き、シリンダ(210)が水平面(234)上に設置された場合には、シリンダ(210)自身の変位または動きに何ら影響を与えない。
【0020】
しかしながら、本発明においては、レバー(224)に働く旋回変位力は、この例では、(図示されない)ユーザにより一定に保たれる。ユーザは、変位レバー(224)を図5及び図6に示す位置に保つよう、ホイール(228)に適当な力を加える。ここでは、浮揚部材(222)に働く上昇力を、浮揚部材(222)に働くものとして、図6に示す矢印(236)により表している。この矢印の長さは、上昇力の大きさを示し、矢印の先端は、レバー上の、変位位置における浮揚部材(222)の予測計算された浮力中心に置かれている。シリンダ容器(210)内部で変位した液体または水の質量は、この上昇力に等しく、矢印(236)の相対的な長さ(大きさ)により示されている。この図は、固有の上昇力が、浮揚部材(222)(ひいてはレバー部材(224))に働くのを説明するために用意されたものである。ホイール(228)により付与される、矢印(232)により示される旋回変位力の大きさは、矢印(236)が示す上昇力の大きさよりかなり小さいことが分かる。これは、力(232)の作用点と軸(214)との間の距離に起因するものであり、力(232)により生成されるモーメントが、回転点からの距離を力に乗じたものであるからである。これが梃子(レバー)の及びモーメントの動作の基本原則であり、ここではこれ以上詳細に説明しない。力(232)の大きさは、レバー(224)の回転軸(214)に近い位置に力が加えられる場合は、大きくなるが、それは固有の上昇力(236)とそれにより生成されるモーメントとの釣り合いをとるためであることを述べるだけにとどめておく。さらに、上昇力ベクトル(236)を分解すると、方向(232)上で働く旋回変位力に等しくかつ逆方向の(図示されない)反力と、軸(214)に向かいレバー(224)に沿って延びる結果として生じる力(240)になることがわかる。上昇力ベクトル、反力ベクトル、結果として生じる力ベクトルにより示されるのは平行四辺形であり、これにより、反力ベクトルの大きさ及び結果として生じる力の大きさが必要に応じて計算される。さらに、結果として生じる力ベクトルが、その他の力と釣り合っておらず、また、この力は、レバー(224)を通って軸(214)に向かう方向に加えられるので、この力は、適当なベアリングを通してシリンダ(210)に加えられてシリンダ(210)に横方向の力を付与し、水平面(234)に沿ってシリンダ(210)を回転変位させる。
【0021】
しかしながら、変位した浮揚部材(222)に働く上昇浮力を利用して、シリンダ(210)の変位を維持するためには、旋回変位力(232)をレバー(224)に対して垂直に保つことが不可欠である。このために、ホイール(228)も移動させて、レバー(224)に垂直な旋回変位力を維持しなければならないことが分かる。力(232)が変位して、レバー(224)に対して垂直でなくなった場合、力(232)自身が、シリンダ(210)に働いている結果として生じる力(240)と釣り合いうる結果として生じる横分力を有することになる。図1から図6に示す実施例において、旋回変位力(232)を、レバー(224)と垂直に保つには、レバー(224)を軸(214)に交差する水平面に対して一定の角度に保つ一方で、旋回変位力(232)を付与する上でシリンダ(210)の変位を継続させる適当な機構を設けて、旋回変位力(232)のかかる位置を軸(214)から一定の距離に保つのが好ましい。このことは、ユーザをシリンダ(210)の動きに追従させることにより簡単に実現できる。あるいは、機械的またはモータ付きの手段を設けることにより自動化することができる。これらの場合、ユーザの追従や、機械的またはモータ付きの手段は、シリンダ(210)自身が変位した際に、適当な力伝達部材(本実施例の場合はホイール(228)の)シリンダ軸(214)からの距離及びシリンダ軸(214)に対する角度位置の両方を所望の位置に保つ。
【0022】
あるいは、本実施例に記載したように回転可能なホイール(228)を使用する場合、回転可能なホイール(228)のシャフト(230)の周りへの取り付け位置が、シリンダの変位に対して固定の位置に保たれてもよい。この場合、図6に見られるようなシリンダ(210)の変位によりレバー(224)が右から左へ移動する際のホイール(228)の回転する性質により、軸(214)に交差する水平面に対するレバー(224)の角度は、シリンダ(210)が図6に示される位置から遠ざかるにつれて小さくなる。この状況では、レバー(224)に加えられている力はまだレバー(224)に垂直に保たれ、シリンダの移動を継続させることができる。このことは、実際の応用で確認することができ、シリンダ状容器(210)は、実質的にこの固定されたホイール(228)から遠ざかりながら転がっていく。このことは、シリンダ(210)の移動を有限にする。なぜなら、一旦レバーがホイール(228)の位置の範囲を越えて移動すると、旋回変位力はもはやレバーには働かず、上昇力が浮揚部材(222)を回転させて、均衡位置に戻す役割を果たすからである。この時点では、もう結果として生じる力(240)はシリンダに働かず、シリンダは動きを止める。
【0023】
次の図7には、本発明のさらなる利点が説明されている。浮揚部材(222)を特定の角度で均衡位置から変位させるためにレバー(224)に加えられる必要のある旋回変位力(232)は、その旋回変位力(232)がシリンダ軸(214)により近い位置で加えられるほど、大幅に増加することが分かる。これを、図6、図7、図7aに示す。ここでは、旋回変位力の大きさは概略的に表されており、これらの図に示した変位力矢印(232)の大きさに比例している。これら3つの例のシリンダに働く力の基礎的な分解から理解されるように、梃子の力の有益な効果は、シリンダ軸により近くでより大きな回転力(232)が加えられた場合にも、結果として生じる力(240)が、レバーの変位の角度が同じである限り一定に保たれるところに表れている。しかしながら、結果として生じる力(240)は、均衡位置からのレバー(224)の回転角度に左右され、その全長のどこに旋回力(232)が加えられるかは関係ない。従って、本実施例では、シリンダ(210)を変位させる結果として生じる力の大きさを制御する特定の手段を設けている。逆に、(図6に示すように)旋回変位力(232)が、軸から遠く離れて加えられる場合には、必要な旋回変位力(232)はより小さくなる。この場合、結果として生じる力の大きさは、より小さくなり、ドラムを横方向に変位させるために加えられる力は、より大きな旋回変位力(232)を使用した場合に受ける力より小さくなる。従って、レバー(224)の旋回変位の角度または度合いを利用して、本発明の利用により得られるシリンダ状容器(210)の相対的な回転の速度を変化させることができる。代わりに、より小さな回転変位力を使ってシリンダ(210)を移動させてもよい。
【0024】
この特定の実施例の特別な利点は、シリンダ(210)が、かなりの質量を有している場合、レバー(224)の長さが十分であると、加えられる旋回変位力(232)が比較的小さくても、シリンダ(210)全体の回転変位を起こすことができる点である。これは、非常に重いものを移動させる非常に効率的な手段を提供するものである。具体的な例としては、液体材料を入れた非常に重いドラム、または円周部に重量のある材料を用いたドラムの移動である。例えば、図6に示すシリンダ(210)において、特定のポケットをシリンダ内部あるいは内部表面に設けて、材料を運べるようにすることができる。オペレータは、シリンダ(210)の軸からかなり離れた箇所で比較的小さな力を加えることによりレバー(224)を変位させ、シリンダ(210)に結果として生じる力(240)を働かせることにより、図6に示すようにシリンダ(210)を右から左に移動させることができる。この結果、非常に重いものを移動する低エネルギー手段が実現される。
【0025】
このタイプの装置の特別な利用法の1つは、このようなシリンダ(210)または複数のシリンダを、荷車または車の主動輪として組み込んで、その車に積んだものを運搬することである。従って、オペレータは単に、シリンダ(210)の後について歩きながら、レバー(224)に対し、適切な垂直方向の旋回変位力(232)を維持することで、車の動きを維持し、これにより、ユーザに、シリンダ(210)の内部で浮揚部材(222)に働く浮力により結果として生じる力(240)の利用と、十分な長さのレバー(224)の使用により得られる機械的利益の利用とにより、重いものを移動させることができる(ユーザは必ずしも一人で移動を行う必要はない)。
【0026】
さらに、図8及び図9には、図1及び図2に示した実施例に関連して、本発明の更なる利点が記載されている。レバー(224)を図8から図9に示す水平位置に変位させる場合、(図9に(250)で示す)水の質量により働く上昇力(236)は、旋回変位力(232)と同様に、レバー(224)に対して垂直に働き、上昇力(236)によりレバー(224)に働くモーメントは、旋回変位力(232)により生成されるモーメントに等しく、釣り合いがとれる。この場合には、軸(214)方向の結果として生じる力ベクトルはない。よって、一旦レバー(224)を水平方向に変位させると、何らシリンダ(210)に対して結果として生じる変位力は働かない。この結果、シリンダ(210)は、静止して安定状態になる。実際の場面では、レバー(224)が水平位置に接近すると、結果として生じる力ベクトルは、90°で0になるまで徐々に減少するという現象が見られる。実際、このことは、シリンダ容器(210)の動きを「制動させる」非常に効率的な手段を提供し、従って、シリンダ(210)の軸(214)を通って延びる水平面に対するレバー(224)の角度位置を制御することにより、速度制御及び制動を可能にするというさらなる利点を提供する。力ベクトルの基本的な分解からわかるように、レバー(224)と水平面との間の角度が大きくなるほど、より大きな結果として生じる力が軸に働き、結果として生じる力が大きいほど、シリンダ状容器(210)を変位させる速度が大きくなる。この角度が、レバーが水平になる0°に減少すると、結果として生じる力は、角度が0°になるまで減少して動きが止まる。このことは、実際の利用の際に確認することができ、レバー(244)を水平位置に戻すことにより、初期の運動量に関係なく、シリンダ(210)は十分迅速に減速する。従って、重い材料を移動するためまたは車両を運転するための基礎として使用される場合、ユーザは、単純にレバー(224)に対して垂直に力を維持することにより、シリンダ状容器(210)の変位移動、制動を慎重に制御することができる。
【0027】
上記のとおり、本実施例で開示された基本的な発明概念は、変位した浮揚部材(222)に働く上昇浮力を転換するものであり、転換した結果として生じる力が旋回する浮揚部材(222)の軸(214)に働き、その力が、容器(210)の動きに転換されるために使用されることがわかる。
【0028】
しかしながら、図10から図29に示す本願発明の第2の実施例にあるように、浮揚部材の旋回軸に加えられる結果として生じる転換力を、代わりに、旋回軸に垂直に延びる第2の物品軸周りに、物品を回転変位させるのに使用することもできる。これにより、この物品の結果として生じる回転移動を、モータや他の機械装置を操作するための駆動機構のような多くの操作のために使用したり、あるいは、適当なギヤ機構を通して、物品に取り付けられた機械装置を直線的に変位させるのに利用することができる。
【0029】
以下に、図10から図29を参照しながら、実質的にはモータを表している装置について説明する。この装置は、浮揚部材に働く上昇浮力を使用して、ほぼ直立する駆動シャフトを変位させる。このモータの構成を以下に記載する。
【0030】
図10には、ほぼ直立する駆動シャフト(1)が示されており、駆動シャフト(1)は、自身がその周りを回転可能な細長い縦軸(A)を備えている。この駆動シャフト(1)はその中心について縦方向に対称であり、その2つの反対側の端部は同一形状になっている。2つの反対側の端部の中間部には、取付ブロック(9)があり、その断面は、正三角形を形成している。図10に示すように、この正三角形の3つの頂点は平坦になっている。従って、この三角ブロック(9)の3つの主要な面は、軸(A)を中心として互いに120°に配置される。図には示さないが、ブロック(9)のこれらの側壁(2)のそれぞれの中央部には、その中心に位置し、側壁に垂直に延びる孔が設けられている。これらの垂直な孔は、それらの軸が駆動シャフト(1)の軸(A)と交差しないように配置される。図12に示すように、それぞれの孔には3つの同一のピン(10,11,12)が挿入され、それぞれのピンには、円錐状(皿状)頭部(14)と、周辺延在溝部(13)とが設けられている。図12に、ブロック(9)の孔に3つのピンが挿入されているときの空間的関係を示す。円錐状頭部(14)のそれぞれの外表面は平らで、その結果、その平らな外表面はそれぞれ互いに120°に配置され、三角ブロック(9)の平らな面(2)にほぼ平行に延びている。また、図12に示すように、三角ブロック(9)の平坦な頂点のそれぞれには、適当なネジ孔(4)が設けられており、適当なネジ部材が挿入されて、関連するピン部材の周辺溝部(13)に係合して、ピン(10,11,12)をブロック(9)に留められるようになっている。
【0031】
図11には、3つの同一のブッシュ(19,15,16)が概略的に示されており、そのそれぞれに、複数のネジ孔(18)が設けられている。これらのブッシュ(19,15,16)は、3つのピン部材(10,11,12)と相補的に係合することにより、メイン駆動シャフト(1)に装着される。それぞれのピン部材の皿状頭部(14)は、各ブッシュ(19,15,16)の対応する適切な皿状孔(17)に挿入される。これにより、3つのブッシュ(19,15,16)は互いに120°に配置されて、それぞれ自身の関連するピンの頭部の周りを自由に回転することができる。図10からわかるように、3つの同一のブッシュキャップ(20,21,22)が各ブッシュ(19,15,16)にそれぞれ接続されている。ブッシュキャップ(20,21,22)は、ブッシュ(19,15,16)上のネジ孔(18)に対応した適当な孔(23)を介して延びるネジによりブッシュ(19,15,16)上に留められる。ブッシュキャップ(20,21,22)は、ピン(10,11,12)の皿状頭部(14)を、各ブッシュ(19,15,16)の皿状の円錐孔(17)に適切に係合させる役割を果たしている。これにより、ブッシュ(19,15,16)は、それぞれのピン(10,11,12)に対して自由に回転できる。
【0032】
図13及び図14に示すように、ブッシュ(19,15,16)はそれぞれ、ほぼ同一の浮揚部材または浮揚体(25,26,30)を備える。浮揚部材(25,26,30)は、適当なネジ係合によりブッシュ(19,15,16)に接続される。各浮揚部材(25,26,30)は、ほぼ円筒状の容器であり、ほぼ円錐状の端部(28)を備えている。円錐状端部(28)にはそれぞれ、ほぼ平坦な頂部が設けられ、その頂部に設けられた適当なねじ孔(29)により、ブッシュキャップ(20,21,22)の適切なネジ孔(23)とネジ係合可能になっている。具体的には、図13からわかるように、ネジ孔(29)は、円筒状の浮揚部材(25)の軸(X)に対して偏芯するように配置されている。これにより、浮揚部材(25,26,30)は、それぞれが取り付けられた3つのピン部材(10,11,12)のそれぞれのピン軸に対して、偏芯回転できるように配置される。
【0033】
図14に示すように、3つの浮揚部材(25,26,30)は、ほぼ同一の、シールされた中空の容器であり、それぞれ、取り外し可能な端部カバー(35,36,37)を備えている。これらの端部カバー(35,36,37)は、(図示されない)適当なネジにより浮揚部材(25,26,30)に接続可能であり、それにより浮揚部材(25,26,30)の内部に対する作業を可能にし、適切なブッシュ(19,15,16)に対する接続ができるようになっている。カバー(35,36,37)は、その後、これらの浮揚部材(25,26,30)に接続されて、浮揚容器をシールする。さらに、図14からわかるように、各カバー(35,36,37)には、直径方向に反対側に位置する2つのタブ(40)が設けられる。タブ(40)は、浮揚部材(25,26,30)の軸(X)から離れるように、浮揚部材(25,26,30)の外側に向かう半径方向に延びる。この好ましい実施例においては、それぞれの一組のタブ(40)の一方に、孔(42)が設けられており、適当な錘部材を取り付けることができるようになっている。これにより、浮揚部材(25,26,30)の軸(X)に対してピン(10,11,12)が偏芯していることにより起きる不均衡が相殺される。残りのタブ(40)には、適当な細長いスロット(41)が設けられ、後述される細長いペグ(44,45,46)の形をした適当な力伝達部材を収容できるようになっている。
【0034】
図16に示すように、各ペグ(44,45,46)は、(駆動シャフト軸(A)と同軸に取り付けられる)円形リングギヤ(49)の内部表面に配置される。これにより、各ペグ(44,45,46)は、軸(A)に対して互いに120°の角度で配置されて、それぞれを図15に示す各関連する浮揚部材(25,26,30)のスロット(41)の中心に挿入できる。リングギヤ(49)自身の外表面には、一連の歯(50)が設けられ、後述する適当な駆動機構とかみ合うようになっている。図16からわかるように、リングギヤ(49)は、3つのほぼ同一のリングギヤガイド(51,52,53)により支持され、その内部で回転可能になっている。
【0035】
図15からわかるように、このリングギヤ(49)は、メイン駆動シャフト(1)と同芯かつ同軸に取り付けられている。
3つの同一のリングギヤガイド(51,52,53)には、それぞれを貫通する開口部(54)が設けられ、それを通して(後述の)ガイドスティック(73,74,75)が収容される。各リングギヤガイド(51,52,53)には、さらに2つの貫通孔(55)が設けられ、それらを通して支持ロッド(88,89,90,91,92,93)が収容される。支持ロッド(88,89,90,91,92,93)は、(後述するように)全体としての機器内部でリングギヤを予め定めた方向に支える。
【0036】
図17に示すように、第2実施例の装置は、容器基部(57)を備えた密閉された容器(図27)である。容器基部(57)には、基本シリンダ(81,82,83)(図21)を収容するための3つのネジ孔(58)と、支持ロッド(88,89,90,91,92,93)を収容するための6つの孔(59)(図23参照)が設けられている。容器基部(57)にはさらに、3つのハウジング(60)が設けられており、(図18に記載される)駆動ギヤ(65,66,67)を(図示されない)下部において付随するフランジブッシュベアリングと共にハウジング(60)に収容するようになっている。容器基部(57)にはさらに、円筒状の側壁(95)を配置するフランジ状台座(61)と、メイン駆動シャフト(1)が図のように挿入される中央開口部(62)とが設けられる。孔(58,59,60)の列は、実質上、円形の容器基部(57)の周囲に配置される。
【0037】
図17に示すように、該装置はまた、ほぼ円形の容器頂部(63)を備える。容器頂部(63)は、容器基部(57)とほぼ同一であるが、容器頂部(63)には、ハウジング(60)の代わりに孔(64)が設けられている。ハウジング(60)が容器基部(57)の深さの途中までしか延びていないのに対し、孔(64)は、完全に容器頂部(63)を貫いている。容器頂部(63)はさらに、上部シリンダ(78,79,80)(図21参照)を収容するための3つのネジ孔(58)と、支持ロッド(88,89,90,91,92,93)(図23を参照)用の6つの孔(59)と、駆動ギヤ(65,66,67)(図18参照)と共にそれらに付随する(図示されない)ブッシュベアリング及びシールを収容するための3つの孔(64)とを備える。容器頂部(63)にはまた、適当なフランジ状台座(61)と、図示されるようにメインシャフト(1)を収容するための適切な孔(62)とが設けられている。現図面には示されていないが、適当なフランジブッシュベアリングと付随するシールとが、駆動シャフト(1)と、容器基部(57)及び容器頂部(63)の両方との間に配置されていて、容器基部(57)と容器頂部(63)との間でのシャフト(1)の回転を可能にすると共に、それらの間の適当な流体シールを提供している。図からわかるように、メインシャフト(1)は、容器基部(57)及び容器頂部(63)を超えて延びている。これにより、軸(A)に対して互いに120°に配置された3つの長尺状のスロットの形のキー溝(8)を介し、メインシャフト(1)との(図示されない)適切な連結が可能である。
【0038】
図18には、3つの同一の駆動ギヤ(65,66,67)が示されており、それぞれが、その上端部に、(図示されない)連結部を連結するための3つの適当なキー溝(68)を備えている。これらの駆動ギヤはさらに、容器頂部(63)の3つの孔(64)それぞれに収容される円柱・円筒状の面(69)をそれぞれ備えている。この結果、(図示されない)適当なフランジシャフトシールにより、容器頂部(63)とこれらの駆動ギヤ(65,66,67)との間で回転可能なシールが実現される。各ドライブギヤ(65,66,67)はさらに、各孔(64)の内部に(図示されない)付随するブッシュベアリングと共に収容される第2のシリンダ状の面(70)を備えている。各駆動ギヤ(65,66,67)の下部には、(図示されない)付随する適当なフランジブッシュベアリングと共に容器基部(57)のハウジング(60)に収容されるフランジ状台座(71)が設けられる。従って、図22に示すように、各駆動ギヤ(65,66,67)の周囲に設けられた歯(72)列は、リングギヤ(49)の一連の歯(50)とかみ合うことができる。
【0039】
駆動ギヤ(65,66,67)はそれぞれ、容器基部(57)と容器頂部(63)との間に適当なブッシュを使って取り付けられ、駆動ギヤ(65,66,67)は、(駆動シャフト軸(A)に平行に延びる)それぞれの縦軸周りに回転可能である。従って、従来のギヤ機構と同様に、駆動ギヤ(65,66,67)の回転により、リングギヤ(49)の回転が起こる。
【0040】
図19に、細長い円柱・円筒状のロッドの形状をした3つの同一のガイドスティック(73,74,75)を示す。ガイドスティック(73,74,75)にはそれぞれ、その全長の一部に渡って延在する円筒状のサドル(177)が設けられ、各サドル(177)には、(図示されない)サークリップを取り付けるための適当な周溝(76)が設けられている。これら各ガイドスティック(73,74,75)はさらに、その各端に(図示されない)適当なカバーシールを取り付けるためのピストン(77)を備える。
【0041】
図20に示すように、ガイドスティック(73,74,75)は、周溝(76)とかみ合う適当なサークリップにより、各リングギヤガイド(51,52,53)の孔(54)内部に配置される。
【0042】
該装置にはさらに、3つの同一の上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)と、3つの同一の基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)(図21)とが設けられている。各エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)には、スパナまたはその他の工具を収容するための適当な平面部(84)が設けられ、スパナまたはその他の工具による強制的な回転ができるようになっている。また、各エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)にはさらに、その外周面に、ネジ部材を挿入するための適当なネジ孔(85)が設けられており、これらのエンドストッパ(78,79,80,81,82,83)への適切な作動液の導入または導出が可能になっている。基部エンドストッパ(81,82,83)に見られるように、各エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)には、各ガイドスティック(73,74,75)のピストン(77)を収容するための内腔(86)がそれぞれ設けられる。これより、図21に示す6つのエンドストッパ(78,79,80,81,82,83)は、(図22に示すように)図19の各ガイドスティック(73,74,75)において反対側に位置する端部を収容するように、それぞれ配置されることがわかる。上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)は、基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)とほぼ同一であるが、上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)の外部ネジ山部(87)は、図からわかるとおり、基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)の外部ネジ山部(87)より長くなっている。図22は、容器基部(57)のそれぞれの孔(58)にネジ止めされた基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)を示しており、そのそれぞれの開口部(86)には、対応するガイドスティック(73,74,75)のピストン(77)が挿入されている。この結果、各ガイドスティック(73,74,75)の反対側のまたは上部のピストン(77)と、(図に示されない)付随する適当なカバーシールとは、各上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)の内腔(86)に挿入される。ガイドスティック(73,74,75)は、溝(76)内部でかみ合うサークリップを使うことにより、それぞれのリングギヤガイド(51,52,53)の適当な孔(54)内部に維持され、リングギヤガイド(51,52,53)を各ガイドスティック(73,74,75)の全長に沿って固定する。前述したように、各円筒状エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)には、これらの円筒状エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)への作動液の導入または導出を可能にする適当な孔(85)が設けられており、これにより、ガイドスティック(73,74,75)のピストン(77)を液圧により変位させて、ガイドスティック(73,74,75)のサドル(177)の相対的移動を効果的に引き起こせる。サドル(177)が各リングギヤガイド(51,52,53)により保持されているため、サドル(177)の動きは、リングギヤガイド(51,52,53)の容器基部(57)に向かう、または、それから離れる縦方向への所望の変位をも引き起こす。これにより、リングギヤガイド(51,52,53)と、対応するリングギヤ(49)との高さ位置を、装置の高さに対して、またメイン駆動シャフト(1)の縦方向の全長に対して、液圧により調節する手段が得られる。
【0043】
図23は、6つの同一の支持ロッド(88,89,90,91,92,93)を示しており、それぞれが、長さ方向に反対側となる端部に外部ネジ山部(94)を備え、図28に見られるような適当なネジ山を付けられたロッド端部(96,97,98,99,100,101,102,103,104,106,107,108)を受けとめるようになっている。これら同一のロッドの外部ネジ山端部(94)は、容器頂部(63)及び容器基部(57)の両方にある孔(59)それぞれを通して延びている。このことは、図24に示されており、そこでは、ロッド(88,89,90,91,92,93)(及び図示されない適当なブッシュベアリング)は、各リングギアガイド(51,52,53)の孔(55)を通して配置され、それにより(ガイドスティック(73,74,75)の適当な操作を介して)リングギヤガイド(51,52,53)をロッド(88,89,90,91,92,93)の長さに沿って上下に移動することができる。
【0044】
図24によく似た図25に、メイン駆動シャフト(1)に(前述したように)装着された3つの浮揚部材(25,26,30)を簡単に示す。この図では、浮揚部材(25,26,30)は装置内部に配置され、リングギヤ(49)の内部表面に設けられたペグ(44,45,46)が、図14及び図16に示すように各浮揚部材の適当な細長スロット(41)にはめ込まれている。これにより、リングギヤ(49)が、容器基部(57)に対して、さらには、縦方向に固定された駆動シャフト(1)に対して、上昇または下降するにつれ、浮揚部材(25,26,30)が、駆動シャフト(1)の各取付ピン(10,11,12)に対して偏芯回転する。
【0045】
次に、第2実施例の装置に、円筒状の外壁(95)(図26)を装着する。外壁(95)は、実質的に容器を液体シールするように容器基部(57)及び容器頂部(63)のフランジ状台座(61)に支持される(図17参照)。図27に示すように、容器頂部(63)がこの壁(95)に載せられ、適当なネジ山のついたロッド端部(96,97,98,99,100,101,102,103,104,106,107,108)(実質的にはシールされたネジ山を有するナット)を、各ロッド(88,89,90,91,92,93)の外部ネジ山端部(94)に、ネジ係合により係合する。そして、これらロッド端部(96,97,98,99,100,101,102,103,104,106,107,108)それぞれに形成された適当な平面(105)の利用を通して、図28に示すように、装置は、ロッド端部と外部ネジ山端部間のネジ係合により効果的にシールされる。当業者には分かるだろうが、内部のロッド状部材が容器基部(57)及び容器頂部(63)を貫く箇所では、適当なシールが用いられて、この装置の液体シールを維持している。
【0046】
容器頂部(63)を取り付ける前に、装置を、水または油のような適当な液体により満たす。浮揚部材(25,26,30)は、使用される液体より密度が小さいために、その中で浮揚する。外部からの影響がない状況下では、これらの浮揚部材(25,26,30)が駆動シャフト(1)のピン(10,11,12)それぞれに偏芯するように装着されているために、装置がほぼ水平位置に保たれている場合には、これらの浮揚具の偏芯回転により、一方のタブ(40)が他方のタブ(40)より高い位置になるように、これらの浮揚部材(25,26,30)は、均衡位置を求めようとする。しかしながら、前述したピストン(77)の液圧操作により、また、このピストンに接続された各円筒状エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)内部への作動液の導入または導出により、リングギヤガイド(51,52,53)を図28の装置内部で下降させることができ、これにより、関連するリングギヤ(49)が下降する。ペグ(44,45,46)は、このリングギヤ(49)の内部表面に一体的に設けられているため、ペグ(44,45,46)もまた、装置に対して、駆動軸(1)の軸に平行な方向に下降する。これらのペグ(44,45,46)は、各浮揚部材(25,26,30)の細長スロット(41)と係合しているので、リングギヤ(49)のこの下向きの移動はさらに、各浮揚部材(25,26,30)のそれぞれのタブ(40)を下向きの方向に変位させる役割を果たす。これにより、通常の均衡位置から外れて、浮揚部材(25,26,30)が偏芯回転する。従って、(この移動により)押しのけられた液体が、上昇力を引き起こして、変位した浮揚部材(25,26,30)を均衡位置に戻そうとすることで、浮揚部材(25,26,30)に働く上昇浮力が発生する。第2実施例の装置の作用の基本原理は、図1から図10を参照して説明したものと同様である。
【0047】
以下に図29及び図30を参照しながら、浮揚部材(25,26,30)に付与される力について概略的に説明する。前述したように、浮揚部材(25)は、偏芯旋回軸(300)の周りに偏芯回転するように装着される。偏芯旋回軸(300)は、このシリンダにかかる浮力の重心をなすシリンダの中心軸(x−x)から半径方向に離れている。2つのタブ(41)が水平面(400)に水平に並ぶとき、装置内部の液体がこの容器に与える浮力または上昇力により、モーメントがシリンダ(25)上に生成される。このときの上昇力を矢印(336)により実質的に示す。この上昇力は、シリンダ(25)を均衡位置に戻そうとする。均衡位置では、シリンダの軸(x−x)は、旋回軸(300)の縦方向上方に置かれる。しかしながら、図の位置では、ペグ(44)は、タブ(40)の細長スロット(41)と係合して、シリンダをこの変位位置に保つ均衡力を付与する。ここでは、ペグ(44)によりシリンダに回転力が加えられて、上昇力(336)と釣り合いがとられ、これにより均衡が保たれる。ペグ(44)に加えられるこの回転力は、前述したようにリングギヤを適当に操作することにより発生する。上昇力(336)が、ペグ(44)によりシリンダ(25)に働く回転変位力に等しくかつ逆向きであるため、シリンダ(25)に水平分力を加える結果として生じる力はない。この結果、装置は、図9にその安定した状態を示した第1実施例の装置と同様に動作する。
【0048】
図30において、リングギヤ(49)をさらに下降させるように液圧機構を作動すると、下向きの力がペグ(44)に加えられて細長スロット(41)に伝達され、変位旋回軸(300)の周りで浮揚部材(25)が回転変位される。ここでも、スロット(41)に係合するペグ(44)と軸(300)との相対距離により、適当なモーメントが生成される。この距離により得られる機械的利益またはモーメントにより、浮揚部材(25)の浮力に打ち勝つのに必要な力は、上昇力より小さくなる。ペグ(44)は単に細長スロット(41)の平らな面に係合しているだけで、その端部に係合しているわけではないので、このペグ(44)に加えられた下向きの力は、この細長スロット(41)に垂直に伝達され、図1から図10を参照しつつ説明した旋回変位力(230)と同様の旋回変位力(330)(図30a)を生成する。ここでも、液体の押しのけにより上昇力が生成される。この上昇力を、図1から図10について説明したのと同様な方法で、図30に矢印(336)で概略的に示す。第1実施例と同様に、旋回変位力(330)と上昇力(336)との合成分解により、結果として生じる力ベクトル(340)を生じ、この力ベクトルは浮揚部材(25)の旋回軸(300)(及びピン(10)の1つ)を通して伝達される。この結果、回転力がメイン駆動シャフト(1)に伝達されて、メイン駆動シャフト(1)を軸(A)周りに回転させる。本実施例において、3つの浮揚部材(25,26,30)はそれぞれ、同時に同様の方法で動作するので、駆動シャフト(1)に働く回転駆動力は3倍になる。
【0049】
第1実施例と同様に、本発明の重要な特徴は、旋回変位力(330)が、(第1実施例のレバー部材(224)と同様の働きをする)細長スロット(41)に対して垂直に保たれなければならない点である。このため、ペグ(44,45,46)は、回転可能な駆動ギヤ(65,66,67)との係合により、装置内部でそれ自身回転可能な駆動ギヤ(49)に取り付けられる。これらの駆動ギヤは、(図示されないが、駆動ギヤ(65,66,67)を回転させる単純なモータ、もしくは、その他の手動による変位が可能な機構を含む)適当な外部駆動機構に接続される。この駆動ギヤ(65,66,67)の回転により、駆動ギヤ(65,66,67)の歯と、リングギヤ(49)の歯(50)とがかみ合わさり、このリングギヤ(49)を駆動シャフト(1)周りに同軸に回転させる。従って、回転変位力が伝達されて、駆動シャフト(1)が軸(A)の周りを回転すると、浮揚部材(25,26,30)自身も、軸(A)の周りを回転し、リングギヤ(49)を適切に駆動する。このときペグ(44,45,46)は、細長スロット(41)の中央部分に確実に接触した状態に保持され、この結果、スロット(41)の水平面に対する変位の角度は適切に保たれる。また、ペグ(44,45,46)が確実にスロット(41)の端部と係合しないようにされて、分解された駆動力を打ち消す追加の転換反力を生成させないようにされる。リングギヤ(49)の回転速度を、分解された上昇力により起きる駆動シャフト(1)の回転速度に一致させることが重要である。この結果、ペグ(44,45,46)は、細長スロット(41)のほぼ中央で維持され、スロット(41)の端部表面と接触したり係合したりしないようにされる。ペグ(44,445,46)がスロット(41)の端部表面に接触する場合には、追加の転換力が浮揚部材(25,26,27)に付与され、上昇力によりもたらされる結果として生じる力(340)を打ち消そうとする少なくとも1つの力ベクトルが生成される。
【0050】
第1実施例と同様に、装置の駆動制御は、図29に示すように、細長スロット(41)と水平面(400)との間の相対角度を調整することにより様々に変更可能である。この角度が大きいほど、結果として生じる力ベクトルの大きさが大きくなり、駆動シャフト(1)の回転速度が上がる。駆動シャフト(1)の回転速度が上がると、細長スロット(41)の中心にペグ(44)を保持し、旋回変位力を細長スロット(41)に垂直に保つために、リングギヤ(49)の回転速度の調整も必要になる。さらに、スロット(41)が浮揚部材(25)の旋回軸(300)から離れるほど、より大きな機械的利益が得られる。旋回変位力を液圧により獲得する一方で、必要とされる旋回変位力を最小化してリングギヤ(49)とリングギヤガイド(51,52,53)との間の摩擦抵抗を最小化すると有利である。これにより、旋回変位力が小さいほど、摩擦抵抗が小さくなり、装置の性能がさらによくなる。
【0051】
従って、第2実施例では、均衡位置を越えて配置された浮揚部材(25,26,27)に働く上昇力を利用して、浮揚部材(25,26,30)の旋回軸を通して結果として生じる駆動力を生成する。この結果として生じる駆動力は、本実施例では、駆動シャフト(1)をほぼ直立する軸(A)周りに回転変位させるために使用される。この結果、駆動シャフト(1)の回転、また特にその外部キー溝(8)の回転を、ギヤ機構、車輪、その他機械器具のような他の装置を駆動するための回転出力として使用することができる。同様に、駆動シャフト(1)を適当なギヤ機構に接続し、回転運動を直線運動に変換することにより、直線駆動部材を構成してもよい。
【0052】
実施例の装置は、浮揚部材(25,26,30)に働く上昇浮力を利用して、駆動シャフト(1)(もしくは第1実施例における回転ドラム)のような物品を縦方向以外の方向に変位させる手段を提供することが分かる。レバー部材(224)または第2実施例の細長スロット(41)のどちらかに旋回変位力を垂直に維持するためには、エネルギー入力が必要である。そのため、出力あるいは結果として生じる力は、浮力のみに依存せず、適当な変位レバーに変位力を垂直に維持させるために一定のエネルギー入力を必要とすることが分かる。しかしながら、生成された上昇力は、装置のエネルギー出力を大幅に増加するために使われる。
【0053】
本発明の前述の実施例は、ほんの一例であり、本願特許により請求される保護の範囲を制限するものではない。例えば、第2実施例においては、ペグ(44,45,46)の変位を調整するため、ひいては浮揚部材(25,26,30)を回転変位させるために、好ましくは液圧駆動が使用されるが、このことは、機械的な変位力、電気的な変位力等、多くの方法により達成できる。また、本実施例で特定されたようなリングギヤ(49)の利用もまた、前述したような利点を備えた浮揚部材(25,26,30)の回転変位の角度調整を可能にしている。さらに、本願に記載の2つの実施例では、図1に示す実施例のシリンダ(210)内に、もしくは、図27に示す第2実施例の装置のシリンダ状の外壁(95)の内部に液体媒体を入れて使用する。液体媒体を入れることは操縦性の簡略化と、恒久的に水源から離れた場所でも本発明を実施可能にするためである。
【0054】
しかしながら、液体媒体が装置内部に入っておらず、装置自身が完全にまたは部分的に液体媒体に漬かっている場面においても、本発明を同様に応用できることはいうまでもない。例えば、前述の実施例の装置は両方とも、プール、河川、海のような容器に入っていない水源の中に設置されたとしても等しく動作する。図1に示す実施例において、終端プレート(212)を単純に省略して、装置を、完全にまたは部分的に、河川等の適当な液体中に沈めてもよい。この状態においても、液体は、液体媒体がシリンダ状ドラム内部に完全に閉じ込められた図1に示す実施例について説明したのと同様な方法で浮揚部材に均衡位置を求めさせる。同様に、第2実施例について、シリンダ状外壁(95)を単純に省略して、装置を、完全にまたは部分的に、水または油のような適当な液体に沈めてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】安定位置にある、本発明による装置の第1実施例の斜視図である。
【図2】内部構成が見えるように終端カバーが取り除かれた図1の装置を示す図である。
【図3】図2の装置の浮揚部材の斜視図である。
【図4】作動位置にある、図2の装置を示す図である。
【図5】図2の装置を示し、力伝達部材の使用を説明する図である。
【図6】図5に示す装置の側面図であり、装置に働く力を概略的に説明する図である。
【図7】図6に示す装置に異なる位置で作動力が加えられたときの、装置に作用する力の関係を概略的に説明する側面図である。
【図7a】図6に示す装置に異なる位置で作動力が加えられたときの、装置に作用する力の関係を概略的に説明するさらなる側面図である。
【図8】第2の安定位置にある、図2の装置を示す図である。
【図9】装置が図8に示す安定位置にあるときの、力の相互作用を概略的に説明する側面図である。
【図10】本発明の第2実施例による装置に使用される回転可能な駆動シャフトを示す図である。
【図11】図10の駆動シャフト上に取り付けるためのピン支持部材間の空間的関係を概略的に示す図である。
【図12】ブッシュが取り除かれた状態の図11中のピンを概略的に示す図である。
【図13】図11のブッシュ及びピンのうちの一方に取り付けられた浮揚部材の背面図である。
【図14】図10の回転可能な駆動シャフトに装着された3つの浮揚部材を示す図である。
【図15】図14の浮揚部材と連通するように取り付けられた第2実施例に基づく装置のリングギヤ機構を示す図である。
【図16】支持ガイド内に保持される図15のリングギヤの取り付けを概略的に説明する図である。
【図17】本発明の第2実施例に基づく装置における、図10の回転駆動シャフトと、容器基部プレートと、上部プレートとの関係を概略的に説明する図である。
【図18】メイン駆動シャフトの周りに配置される第2実施例の3つの駆動ギヤを概略的に説明する図である。
【図19】メイン駆動シャフトの周りに配置される第2実施例の3つのガイドスティックを概略的に示す図である。
【図20】図19のガイドスティックと、容器基部プレート上のメインシャフトの周りに配置される図16のリングギヤガイドとの位置決めを概略的に説明する図である。
【図21】メイン駆動シャフトの周囲に配置された上部及び底部円筒状エンドストッパの配置を概略的に説明する図である。
【図22】明確化のために浮揚部材を省略した状態で、図17の基部プレートに対する図16のリングギヤの取り付けを説明する図である。
【図23】メインシャフトの回りの6つの支持ロッドの位置決めを概略的に説明する図である。
【図24】明確化のために浮揚部材は取り除かれた状態で、図23の支持ロッドを含めた場合の図22の装置を示す図である。
【図25】容器頂部と側壁は省略された状態で、本発明の第2実施例に基づく装置の内部構成を示す図である。
【図26】円形の側壁が取り付けられた図25の装置を示す図である。
【図27】容器頂部が取り付けられた図26の装置を示す図である。
【図28】本発明の第2実施例に基づくシールされた装置の外観斜視図である。
【図29】図14に示す浮揚部材のうちの1つの正面図であり、浮揚部材が第1均衡位置にあるときに働く力を概略的に示す図である。
【図30】図29の浮揚部材の正面図であり、浮揚部材が均衡位置から外れたときに働く力を概略的に示す図である。
【図30a】図30に示す浮揚部材におけるタブの拡大図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、力伝達装置、より具体的には、浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品に縦方向以外の方向への変位力を伝達する装置に関する。具体的には、この上昇浮力を利用して、物品に回転変位を生じさせる。
【0002】
人口の増加と自然エネルギー源の減少に伴い、現存する資源を浪費しないように、より効率的な機械装置を考案することが重視されるようになってきている。しかしながら、重力や太陽エネルギーのような多くの自然エネルギー源が今のところ開発過程であることもまた認識されている。本発明は、水中に沈められた浮揚具に働く上昇力を利用して、所定の物品の、変位におけるエネルギー効率を高めようというものである。
【0003】
コルクのような浮揚体(または浮揚具)を水面下に沈めてから解き放つと、水面に向かって縦方向に上昇することが知られている。水が浮揚具に上向きの力を与えること、また、アルキメデスの法則により、浮揚部材に付与される上向きの力(上昇力)の大きさは、浮揚具により押しのけられた水の重量に等しいことが知られている。浮揚具に結果として働く上向きの力は、押しのけられた水と等量の水の質量中心を通って働くと考えられる。
【0004】
さらに、水平面上に配置した従来型の台車は静止状態を保つことが分かっている。しかしながら、もし傾斜面上に配置したなら、台車は傾斜面に沿って、縦方向及び水平方向に移動するだろう。ここでは、重力が、台車に縦方向下向きに、台車の質量中心を通って働くことにより、傾斜面から傾斜に対して垂直な方向に延びる反力が作用し、この結果、傾斜にほぼ平行な結果として生じる力のベクトルが生成されて、台車は傾斜を下ると考えられる。この基礎的な物理法則の理解により、出願人は、水中に沈められた浮揚部材の上昇浮力を利用して物品を動かしたり変位させたりする装置及び方法を開発することができた。それは、浮揚体の運動または上昇力を利用して、所要の物品を移動させようという概念である。
【0005】
従って、本発明の目的は、水中に沈められた浮揚部材の上昇浮力を利用して、装置における物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置及び方法を開発することである。
本発明によれば、浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置が提供される。該装置は、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、変位可能なアクチュエータ部材とを備える。浮揚部材は、液状媒体中に少なくとも部分的に沈められており、アクチュエータ部材は、浮揚部材に一体的に接続されている。浮揚部材は、可動物品上の、可動物品から延びる適当な旋回軸の周りに一体的に設けられる。浮揚部材は、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回しながら変位して、その結果、浮揚部材の上昇浮力が生成される。アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を加えると共に維持する手段が設けられており、これにより、浮揚部材の上昇浮力から結果として生じる力ベクトルが生成される。結果として生じる力ベクトルは、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、可動物品に伝達されて可動物品を変位させる。該装置が密閉されていて、液状媒体を入れるためのシールされた本体を備えるのが好ましく、この場合、浮揚部材は少なくとも部分的に、そして通常は完全に、液状媒体に沈められる。
【0006】
アクチュエータ部材が旋回軸から半径方向に離れた位置にあり、アクチュエータ部材に旋回変位力を付与することで、適当な機械的利益が得られるようにされることが好ましい。梃子の基本原理を用いると、旋回軸からの距離が離れるほど、浮揚部材の固有の浮力に打ち勝つのに必要な力が小さくなり、均衡位置を越えた沈下を起こすことができる。このため、アクチュエータ部材が、通常、旋回軸から半径方向に延びる細長い棒状部材の形状をしたレバー機構を備えるのが好ましい。このレバー機構は、旋回軸の周りに同軸となるように浮揚部材に取り付けてもよいし、または単純に、旋回軸から離れた浮揚部材の部分に一体的に取り付けてもよい。
【0007】
アクチュエータ部材に作用する旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に維持することが重要であるので、該装置が、変位可能な力伝達部材を備えるのが好ましい。力伝達部材は、通常、可動物品が変位する間、旋回変位力を、変位可能なアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保ち、さらに、通常、旋回軸から一定距離だけ離れた箇所で旋回変位力を付与し続けると共に、アクチュエータ部材を旋回軸に対して一定の旋回角度に保つ役割を果たす。この力伝達部材は、モータによって駆動されてもよいし、手動機構を備えていてもよい。可動物品自体が、(通常、旋回軸と同軸の)軸の周りを回転可能であるのが好ましく、この場合、可動物品が上昇浮力の方向に対して横方向に変位可能になる。この実施例では、可動物品は通常、液状媒体と浮揚部材とを包含する円筒状のドラムを備え、ドラムは、浮揚部材の旋回軸と同軸に延びる。あるいは、可動物品が、旋回軸に垂直な物品軸の周りを回転可能であってもよい。この実施例では、可動物品は、回転可能な可動物品に接続されて作動する外部駆動機構を備えてもよい。このような外部駆動機構は、ギヤ機構を駆動するための歯車を備えていてもよい。可動物品が旋回軸に垂直な軸の周りを回転可能な実施例では、変位可能な力伝達部材が、物品軸と同軸に延びることが好ましい。ここでは、該装置が、物品軸に対して放射状に配置されると共に、旋回するように接続される複数の浮揚部材を備えていてもよい。この場合には、力伝達部材は物品軸と同軸に取り付けられる円形装置を備えるのが好ましい。これにより、複数の浮揚部材それぞれに付与される旋回変位力を、浮揚部材それぞれに関連付けられた変位可能な各アクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことができる。
【0008】
さらに、本発明によれば、浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する方法が提供される。該方法は、旋回変位可能な浮揚部材を浮揚部材の旋回軸の周りで可動物品に接続するステップと、浮揚部材のアクチュエータ部材に、アクチュエータ部材に垂直な方向の旋回変位力を付与し、均衡位置を越えて浮揚部材を旋回変位させるステップと、旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保ち、浮揚部材の上昇浮力から、旋回軸を通って旋回軸に垂直となるよう可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルを生成するステップとを含む。
【0009】
この方法がさらに、アクチュエータ部材に予め定めた長さを与え、旋回変位力を、旋回軸から離れた、旋回軸から予め定めた距離の箇所で付与して、予め定めた機械的利益を得るステップを含むのが好ましい。これにより、結果として生じる上昇力より小さい力で、均衡位置を越えて浮揚部材を変位させることが可能になる。これもまた、梃子(レバー)の使用により得られる機械的利益の基本原理を利用している。つまり、旋回軸と力が付与される点との間の距離が大きいほど、浮揚部材が均衡位置を通り過ぎる際に、固有の上昇浮力に打ち勝つのに必要な力は小さくて済む。該方法がまた、可動物品を変位させる間、旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保つステップを含むのが好ましい。このステップは、通常、可動物品を変位させる間、旋回変位力が付与される箇所の距離を予め定めた距離に保つステップであってもよい。
【0010】
さらに、該方法では、可動物品を移動する間、旋回変位力を一定に保つのが好ましい。
さらに、該方法が、旋回軸に交差する水平面とアクチュエータ部材に旋回変位力が付与される点との間の角度を調整することにより、可動物品に伝達される結果として生じる力ベクトルを調整するステップを有してもよい。この方法はまた、水平面に対する上記角度を大きくすることにより、結果として生じる力ベクトルを大きくする手段を備えていてもよい。
【0011】
本発明にはさらに、前述の装置を備えた少なくとも1つの車輪を有する車両が含まれ、また、前述の装置を備えたエンジンであって、エンジンを作動するのに上記可動物品を利用するエンジンも本発明は対象としている。
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施例を2つ、ほんの一例として、付属の説明図を参照しながら説明する。
本発明は、通常の均衡位置を越えて液体中に沈められた浮揚部材に働く上昇浮力を駆動力として利用して、浮揚部材に接続された物品を縦方向以外の方向に変位させる方法及び装置の両方に関する。本発明の第1実施例は、本発明を実践した場合の、より分かりやすい応用例の1つである。これを図1に示す。図1には、密閉されたシリンダ状の容器(210)が示されており、この容器(210)は、通常、樹脂またはアルミニウム、あるいはステンレス鋼のようなその他の皮膜された金属等、錆びの発生に対して抵抗力のある材料から構成される(容器(210)には好ましくは液体媒体としての水が入っているため)。
【0013】
本実施例において、シリンダ(210)は、2つの円形の蓋、すなわち、カバープレート(212)を備える。カバープレート(212)は、シリンダの主軸(214)と同軸に設けられる。カバープレート(212)には、それぞれ適当な枠(216)が設けられており、この枠(216)により、密閉されたシリンダ状の容器が支えられる。カバー(212)は、溶接または接着等により、シリンダ状容器(210)の周りを完全にシールしてもよい。あるいは、カバープレート(212)は、適切なボルト部材を利用するなどして、シリンダ状容器(210)に取り外し可能に固定して、容器内部の構成に対する作業を可能にしてもよい。この場合のボルトは図に示していない。(図1に示すように)少なくとも1つのカバープレート(212)には、中央に円形の開口部(218)が設けられる。開口部(218)は、カバープレート(212)を貫き、シリンダ状容器(210)の内部に通じている。この開口部(218)もまた、シリンダ軸(214)と同芯になるように設けられる。実質的に円柱・円筒状のシャフト(220)が、円形開口部(218)を通って延びている。このシャフト(220)もまた、軸(214)に対して同軸となるようシリンダ内部に向かって延びている。シャフト(220)は、(図2に示すと共に以下により詳細に記載するように)シリンダ内部で、浮揚部材(222)に一体的に取り付けられる。図1には示されていないが、このシャフト(220)は、適当なシールベアリングにより支持される。シールベアリングもまた、終端プレート(212)上で軸(214)に対して同軸となるよう設けられており、この結果、その周辺では流体シールが保たれ、容器(210)内部に含まれる液体がこの開口部(218)から漏れるのを防ぐ一方、カバープレートとシャフト(220)とが相対的に回転できるようになっている。このようなシールベアリングは、従来技術から十分理解されるので、ここにはその詳細を記さない。
【0014】
また、図1に示すとおり、シャフト(220)はさらに、細長いレバー部材(224)を備える。レバー部材(224)は、シャフト(220)上に一体的に設けられ、シャフト(220)に対して垂直に延びている。さらに、図には示さないが、シャフト(220)は、少なくとも容器(210)の全長のうちの一部に沿って同軸に延びており、第2の内部ベアリング機構により支持される。第2の内部ベアリング機構もまた、容器軸(214)と同軸に設けられるため、シャフト(220)は容器の内部で自由に回転可能である一方で、軸(214)について同軸に保たれる。シャフト(220)が、容器(210)の全長に渡って延び、向かい合うカバープレート(212)の内部表面に設けられた内部ベアリングに取り付けられるのが好ましい。
【0015】
図2では、カバープレート(212)は、本発明の装置の内部構成を分かりやすく説明するために取り除かれている。ここでは、シャフト(220)上に、浮揚部材(222)が一体的に設けられる(と共に、浮揚部材(222)のシャフト(220)周りの回転が抑制されている)のが分かる。この浮揚部材(222)の断面は、図3から明らかなように、ほぼ半円状である。さらに、図3に示すとおり、浮揚部材(222)は、容器(210)の内部長に匹敵する長さを有し、容器(210)の長さの大部分に渡って延びている。この浮揚部材(222)は、事実上、浮揚体であり、木材、発泡材、樹脂、あるいはその他の材料であって水より密度の低い材料等、軽くて低密度の材料から構成されるか、あるいは、樹脂または錆びの発生に対して抵抗力がある金属からなる中空の容器から構成されるのが好ましい。この浮揚部材(222)は、シャフト(220)への溶接のような従来型の手段により、または、従来技術で十分に知られたボルトのような機械的な抑制手段の利用により、シャフト(220)周りの相対的な回転をしないように固定されている。重要な点は、浮揚部材がシャフト(220)と一体的に回転することである。本発明によって示された浮揚部材(222)は、単一の細長い部材として設計されているが、これは単に好ましい設計であって、実際には、複数の独立した浮揚要素、または、容器(210)の全長に沿って途中まで延びただけの、より小さな浮揚要素から構成されてもよい。また、ここでは半円形の断面を有しているように図示されているが、これは単に、容器(210)に引っ掛けることなく、容器(210)内部で浮揚部材(222)を回転しやすくするためである。半円形にすることにより、浮揚部材(222)の大きさを最大にできるが、その形が、本発明の作用に不可欠というわけではない。
【0016】
容器(210)は、適当な液体で満たされている。通常、この液体は水であるが、浮揚部材(222)より密度が高い液体であれば、どんな液体でも使用可能である。図2に、参照番号(226)を使用して水を示す。水(226)が、容器(210)の内部を満たしているのが好ましい。このシリンダ状容器(210)に具体化された装置の動作機能を、図4から図9を参照しながら説明する。
【0017】
まず、容器(210)がほぼ水平な面上に置かれた場合、浮揚部材(222)とシャフト(220)の容器内の部分とは、実質上、液体に浸され(液体は適切なシールにより容器(210)から漏れないようになっている)、浮揚部材は、(図2に示すような)均衡位置に位置しようとすることがわかる。均衡位置は、液体により浮揚部材に働く上昇力によって決まる。本発明の理解を簡約すると、液体により浮揚部材(222)に働く上昇力は、シャフト(220)を介して、カバー(212)に設けられた(図に示されない)ベアリングを通ってそれぞれのカバー(212)に伝達される。これにより、シャフト(220)の反力が、上昇力と等しくなる。従って、図1及び図2に示した例は、安定した構成である。なぜなら、上記反力が、浮揚部材(222)に働く上昇力に等しく、また、カバープレート(212)の枠(216)と水平面(234)との間の接点及び軸(214)に交差する垂直面に沿った方向を有しており、シリンダ(210)を平衡に保つからである。このような構成では、シリンダ(210)は、浮揚部材(222)に働く上昇力の影響を受けない。さらに、シャフト(220)、浮揚部材(222)、レバー部材(224)の質量による力の効果は、無視できるものと考えられるので、ここでは説明しない。
【0018】
しかしながら、図4に示すように、軸(214)と同軸に延びる弓形のパスに沿って、レバー(224)を変位させると、シャフト(220)は、軸(214)の周りを回転して、図示する様に浮揚部材(222)を回転変位させる。
【0019】
図5に示すように、レバー(224)に加えられる旋回変位力は、本実施例においては、円柱・円筒状のシャフト(230)と同軸となるよう設けられた回転可能なホイール(228)により提供される。シャフト(230)は、シリンダ(210)の軸(214)に平行な細長い軸を有している。ホイール(228)は、シャフト(230)の周りを自由に回転できるので、ホイール(228)とレバー(224)との係合により、旋回変位力は、図6に実質的に示すように、レバー(224)に垂直な方向に伝達される。図6に、この旋回変位力の方向を矢印(232)で示す。レバー(224)がシャフト(220)に接続され、シャフト(220)がカバープレート(212)上の(図示されない)ベアリングに取り付けられているので、レバー(224)の回転と、その結果起きる、シャフト(220)と浮揚部材(222)との固有の回転変位により、シリンダ(210)上で混乱(または横方向の力)が誘起されることはない。しかしながら、レバー(224)の変位により、浮揚部材(222)が図5及び図6に示す位置に変位されるので、浮揚部材(222)は、もはや均衡位置にはなく、上昇浮力の影響を受けることがわかる。この上昇浮力は、レバー(224)に働く力を取り除いた場合、浮揚部材(222)に働き、図1及び図2に示す位置に浮揚部材(222)を戻す。ここでも、浮揚部材(222)を均衡位置に戻す動きは、シリンダ軸(214)周りの変位により起き、シリンダ(210)が水平面(234)上に設置された場合には、シリンダ(210)自身の変位または動きに何ら影響を与えない。
【0020】
しかしながら、本発明においては、レバー(224)に働く旋回変位力は、この例では、(図示されない)ユーザにより一定に保たれる。ユーザは、変位レバー(224)を図5及び図6に示す位置に保つよう、ホイール(228)に適当な力を加える。ここでは、浮揚部材(222)に働く上昇力を、浮揚部材(222)に働くものとして、図6に示す矢印(236)により表している。この矢印の長さは、上昇力の大きさを示し、矢印の先端は、レバー上の、変位位置における浮揚部材(222)の予測計算された浮力中心に置かれている。シリンダ容器(210)内部で変位した液体または水の質量は、この上昇力に等しく、矢印(236)の相対的な長さ(大きさ)により示されている。この図は、固有の上昇力が、浮揚部材(222)(ひいてはレバー部材(224))に働くのを説明するために用意されたものである。ホイール(228)により付与される、矢印(232)により示される旋回変位力の大きさは、矢印(236)が示す上昇力の大きさよりかなり小さいことが分かる。これは、力(232)の作用点と軸(214)との間の距離に起因するものであり、力(232)により生成されるモーメントが、回転点からの距離を力に乗じたものであるからである。これが梃子(レバー)の及びモーメントの動作の基本原則であり、ここではこれ以上詳細に説明しない。力(232)の大きさは、レバー(224)の回転軸(214)に近い位置に力が加えられる場合は、大きくなるが、それは固有の上昇力(236)とそれにより生成されるモーメントとの釣り合いをとるためであることを述べるだけにとどめておく。さらに、上昇力ベクトル(236)を分解すると、方向(232)上で働く旋回変位力に等しくかつ逆方向の(図示されない)反力と、軸(214)に向かいレバー(224)に沿って延びる結果として生じる力(240)になることがわかる。上昇力ベクトル、反力ベクトル、結果として生じる力ベクトルにより示されるのは平行四辺形であり、これにより、反力ベクトルの大きさ及び結果として生じる力の大きさが必要に応じて計算される。さらに、結果として生じる力ベクトルが、その他の力と釣り合っておらず、また、この力は、レバー(224)を通って軸(214)に向かう方向に加えられるので、この力は、適当なベアリングを通してシリンダ(210)に加えられてシリンダ(210)に横方向の力を付与し、水平面(234)に沿ってシリンダ(210)を回転変位させる。
【0021】
しかしながら、変位した浮揚部材(222)に働く上昇浮力を利用して、シリンダ(210)の変位を維持するためには、旋回変位力(232)をレバー(224)に対して垂直に保つことが不可欠である。このために、ホイール(228)も移動させて、レバー(224)に垂直な旋回変位力を維持しなければならないことが分かる。力(232)が変位して、レバー(224)に対して垂直でなくなった場合、力(232)自身が、シリンダ(210)に働いている結果として生じる力(240)と釣り合いうる結果として生じる横分力を有することになる。図1から図6に示す実施例において、旋回変位力(232)を、レバー(224)と垂直に保つには、レバー(224)を軸(214)に交差する水平面に対して一定の角度に保つ一方で、旋回変位力(232)を付与する上でシリンダ(210)の変位を継続させる適当な機構を設けて、旋回変位力(232)のかかる位置を軸(214)から一定の距離に保つのが好ましい。このことは、ユーザをシリンダ(210)の動きに追従させることにより簡単に実現できる。あるいは、機械的またはモータ付きの手段を設けることにより自動化することができる。これらの場合、ユーザの追従や、機械的またはモータ付きの手段は、シリンダ(210)自身が変位した際に、適当な力伝達部材(本実施例の場合はホイール(228)の)シリンダ軸(214)からの距離及びシリンダ軸(214)に対する角度位置の両方を所望の位置に保つ。
【0022】
あるいは、本実施例に記載したように回転可能なホイール(228)を使用する場合、回転可能なホイール(228)のシャフト(230)の周りへの取り付け位置が、シリンダの変位に対して固定の位置に保たれてもよい。この場合、図6に見られるようなシリンダ(210)の変位によりレバー(224)が右から左へ移動する際のホイール(228)の回転する性質により、軸(214)に交差する水平面に対するレバー(224)の角度は、シリンダ(210)が図6に示される位置から遠ざかるにつれて小さくなる。この状況では、レバー(224)に加えられている力はまだレバー(224)に垂直に保たれ、シリンダの移動を継続させることができる。このことは、実際の応用で確認することができ、シリンダ状容器(210)は、実質的にこの固定されたホイール(228)から遠ざかりながら転がっていく。このことは、シリンダ(210)の移動を有限にする。なぜなら、一旦レバーがホイール(228)の位置の範囲を越えて移動すると、旋回変位力はもはやレバーには働かず、上昇力が浮揚部材(222)を回転させて、均衡位置に戻す役割を果たすからである。この時点では、もう結果として生じる力(240)はシリンダに働かず、シリンダは動きを止める。
【0023】
次の図7には、本発明のさらなる利点が説明されている。浮揚部材(222)を特定の角度で均衡位置から変位させるためにレバー(224)に加えられる必要のある旋回変位力(232)は、その旋回変位力(232)がシリンダ軸(214)により近い位置で加えられるほど、大幅に増加することが分かる。これを、図6、図7、図7aに示す。ここでは、旋回変位力の大きさは概略的に表されており、これらの図に示した変位力矢印(232)の大きさに比例している。これら3つの例のシリンダに働く力の基礎的な分解から理解されるように、梃子の力の有益な効果は、シリンダ軸により近くでより大きな回転力(232)が加えられた場合にも、結果として生じる力(240)が、レバーの変位の角度が同じである限り一定に保たれるところに表れている。しかしながら、結果として生じる力(240)は、均衡位置からのレバー(224)の回転角度に左右され、その全長のどこに旋回力(232)が加えられるかは関係ない。従って、本実施例では、シリンダ(210)を変位させる結果として生じる力の大きさを制御する特定の手段を設けている。逆に、(図6に示すように)旋回変位力(232)が、軸から遠く離れて加えられる場合には、必要な旋回変位力(232)はより小さくなる。この場合、結果として生じる力の大きさは、より小さくなり、ドラムを横方向に変位させるために加えられる力は、より大きな旋回変位力(232)を使用した場合に受ける力より小さくなる。従って、レバー(224)の旋回変位の角度または度合いを利用して、本発明の利用により得られるシリンダ状容器(210)の相対的な回転の速度を変化させることができる。代わりに、より小さな回転変位力を使ってシリンダ(210)を移動させてもよい。
【0024】
この特定の実施例の特別な利点は、シリンダ(210)が、かなりの質量を有している場合、レバー(224)の長さが十分であると、加えられる旋回変位力(232)が比較的小さくても、シリンダ(210)全体の回転変位を起こすことができる点である。これは、非常に重いものを移動させる非常に効率的な手段を提供するものである。具体的な例としては、液体材料を入れた非常に重いドラム、または円周部に重量のある材料を用いたドラムの移動である。例えば、図6に示すシリンダ(210)において、特定のポケットをシリンダ内部あるいは内部表面に設けて、材料を運べるようにすることができる。オペレータは、シリンダ(210)の軸からかなり離れた箇所で比較的小さな力を加えることによりレバー(224)を変位させ、シリンダ(210)に結果として生じる力(240)を働かせることにより、図6に示すようにシリンダ(210)を右から左に移動させることができる。この結果、非常に重いものを移動する低エネルギー手段が実現される。
【0025】
このタイプの装置の特別な利用法の1つは、このようなシリンダ(210)または複数のシリンダを、荷車または車の主動輪として組み込んで、その車に積んだものを運搬することである。従って、オペレータは単に、シリンダ(210)の後について歩きながら、レバー(224)に対し、適切な垂直方向の旋回変位力(232)を維持することで、車の動きを維持し、これにより、ユーザに、シリンダ(210)の内部で浮揚部材(222)に働く浮力により結果として生じる力(240)の利用と、十分な長さのレバー(224)の使用により得られる機械的利益の利用とにより、重いものを移動させることができる(ユーザは必ずしも一人で移動を行う必要はない)。
【0026】
さらに、図8及び図9には、図1及び図2に示した実施例に関連して、本発明の更なる利点が記載されている。レバー(224)を図8から図9に示す水平位置に変位させる場合、(図9に(250)で示す)水の質量により働く上昇力(236)は、旋回変位力(232)と同様に、レバー(224)に対して垂直に働き、上昇力(236)によりレバー(224)に働くモーメントは、旋回変位力(232)により生成されるモーメントに等しく、釣り合いがとれる。この場合には、軸(214)方向の結果として生じる力ベクトルはない。よって、一旦レバー(224)を水平方向に変位させると、何らシリンダ(210)に対して結果として生じる変位力は働かない。この結果、シリンダ(210)は、静止して安定状態になる。実際の場面では、レバー(224)が水平位置に接近すると、結果として生じる力ベクトルは、90°で0になるまで徐々に減少するという現象が見られる。実際、このことは、シリンダ容器(210)の動きを「制動させる」非常に効率的な手段を提供し、従って、シリンダ(210)の軸(214)を通って延びる水平面に対するレバー(224)の角度位置を制御することにより、速度制御及び制動を可能にするというさらなる利点を提供する。力ベクトルの基本的な分解からわかるように、レバー(224)と水平面との間の角度が大きくなるほど、より大きな結果として生じる力が軸に働き、結果として生じる力が大きいほど、シリンダ状容器(210)を変位させる速度が大きくなる。この角度が、レバーが水平になる0°に減少すると、結果として生じる力は、角度が0°になるまで減少して動きが止まる。このことは、実際の利用の際に確認することができ、レバー(244)を水平位置に戻すことにより、初期の運動量に関係なく、シリンダ(210)は十分迅速に減速する。従って、重い材料を移動するためまたは車両を運転するための基礎として使用される場合、ユーザは、単純にレバー(224)に対して垂直に力を維持することにより、シリンダ状容器(210)の変位移動、制動を慎重に制御することができる。
【0027】
上記のとおり、本実施例で開示された基本的な発明概念は、変位した浮揚部材(222)に働く上昇浮力を転換するものであり、転換した結果として生じる力が旋回する浮揚部材(222)の軸(214)に働き、その力が、容器(210)の動きに転換されるために使用されることがわかる。
【0028】
しかしながら、図10から図29に示す本願発明の第2の実施例にあるように、浮揚部材の旋回軸に加えられる結果として生じる転換力を、代わりに、旋回軸に垂直に延びる第2の物品軸周りに、物品を回転変位させるのに使用することもできる。これにより、この物品の結果として生じる回転移動を、モータや他の機械装置を操作するための駆動機構のような多くの操作のために使用したり、あるいは、適当なギヤ機構を通して、物品に取り付けられた機械装置を直線的に変位させるのに利用することができる。
【0029】
以下に、図10から図29を参照しながら、実質的にはモータを表している装置について説明する。この装置は、浮揚部材に働く上昇浮力を使用して、ほぼ直立する駆動シャフトを変位させる。このモータの構成を以下に記載する。
【0030】
図10には、ほぼ直立する駆動シャフト(1)が示されており、駆動シャフト(1)は、自身がその周りを回転可能な細長い縦軸(A)を備えている。この駆動シャフト(1)はその中心について縦方向に対称であり、その2つの反対側の端部は同一形状になっている。2つの反対側の端部の中間部には、取付ブロック(9)があり、その断面は、正三角形を形成している。図10に示すように、この正三角形の3つの頂点は平坦になっている。従って、この三角ブロック(9)の3つの主要な面は、軸(A)を中心として互いに120°に配置される。図には示さないが、ブロック(9)のこれらの側壁(2)のそれぞれの中央部には、その中心に位置し、側壁に垂直に延びる孔が設けられている。これらの垂直な孔は、それらの軸が駆動シャフト(1)の軸(A)と交差しないように配置される。図12に示すように、それぞれの孔には3つの同一のピン(10,11,12)が挿入され、それぞれのピンには、円錐状(皿状)頭部(14)と、周辺延在溝部(13)とが設けられている。図12に、ブロック(9)の孔に3つのピンが挿入されているときの空間的関係を示す。円錐状頭部(14)のそれぞれの外表面は平らで、その結果、その平らな外表面はそれぞれ互いに120°に配置され、三角ブロック(9)の平らな面(2)にほぼ平行に延びている。また、図12に示すように、三角ブロック(9)の平坦な頂点のそれぞれには、適当なネジ孔(4)が設けられており、適当なネジ部材が挿入されて、関連するピン部材の周辺溝部(13)に係合して、ピン(10,11,12)をブロック(9)に留められるようになっている。
【0031】
図11には、3つの同一のブッシュ(19,15,16)が概略的に示されており、そのそれぞれに、複数のネジ孔(18)が設けられている。これらのブッシュ(19,15,16)は、3つのピン部材(10,11,12)と相補的に係合することにより、メイン駆動シャフト(1)に装着される。それぞれのピン部材の皿状頭部(14)は、各ブッシュ(19,15,16)の対応する適切な皿状孔(17)に挿入される。これにより、3つのブッシュ(19,15,16)は互いに120°に配置されて、それぞれ自身の関連するピンの頭部の周りを自由に回転することができる。図10からわかるように、3つの同一のブッシュキャップ(20,21,22)が各ブッシュ(19,15,16)にそれぞれ接続されている。ブッシュキャップ(20,21,22)は、ブッシュ(19,15,16)上のネジ孔(18)に対応した適当な孔(23)を介して延びるネジによりブッシュ(19,15,16)上に留められる。ブッシュキャップ(20,21,22)は、ピン(10,11,12)の皿状頭部(14)を、各ブッシュ(19,15,16)の皿状の円錐孔(17)に適切に係合させる役割を果たしている。これにより、ブッシュ(19,15,16)は、それぞれのピン(10,11,12)に対して自由に回転できる。
【0032】
図13及び図14に示すように、ブッシュ(19,15,16)はそれぞれ、ほぼ同一の浮揚部材または浮揚体(25,26,30)を備える。浮揚部材(25,26,30)は、適当なネジ係合によりブッシュ(19,15,16)に接続される。各浮揚部材(25,26,30)は、ほぼ円筒状の容器であり、ほぼ円錐状の端部(28)を備えている。円錐状端部(28)にはそれぞれ、ほぼ平坦な頂部が設けられ、その頂部に設けられた適当なねじ孔(29)により、ブッシュキャップ(20,21,22)の適切なネジ孔(23)とネジ係合可能になっている。具体的には、図13からわかるように、ネジ孔(29)は、円筒状の浮揚部材(25)の軸(X)に対して偏芯するように配置されている。これにより、浮揚部材(25,26,30)は、それぞれが取り付けられた3つのピン部材(10,11,12)のそれぞれのピン軸に対して、偏芯回転できるように配置される。
【0033】
図14に示すように、3つの浮揚部材(25,26,30)は、ほぼ同一の、シールされた中空の容器であり、それぞれ、取り外し可能な端部カバー(35,36,37)を備えている。これらの端部カバー(35,36,37)は、(図示されない)適当なネジにより浮揚部材(25,26,30)に接続可能であり、それにより浮揚部材(25,26,30)の内部に対する作業を可能にし、適切なブッシュ(19,15,16)に対する接続ができるようになっている。カバー(35,36,37)は、その後、これらの浮揚部材(25,26,30)に接続されて、浮揚容器をシールする。さらに、図14からわかるように、各カバー(35,36,37)には、直径方向に反対側に位置する2つのタブ(40)が設けられる。タブ(40)は、浮揚部材(25,26,30)の軸(X)から離れるように、浮揚部材(25,26,30)の外側に向かう半径方向に延びる。この好ましい実施例においては、それぞれの一組のタブ(40)の一方に、孔(42)が設けられており、適当な錘部材を取り付けることができるようになっている。これにより、浮揚部材(25,26,30)の軸(X)に対してピン(10,11,12)が偏芯していることにより起きる不均衡が相殺される。残りのタブ(40)には、適当な細長いスロット(41)が設けられ、後述される細長いペグ(44,45,46)の形をした適当な力伝達部材を収容できるようになっている。
【0034】
図16に示すように、各ペグ(44,45,46)は、(駆動シャフト軸(A)と同軸に取り付けられる)円形リングギヤ(49)の内部表面に配置される。これにより、各ペグ(44,45,46)は、軸(A)に対して互いに120°の角度で配置されて、それぞれを図15に示す各関連する浮揚部材(25,26,30)のスロット(41)の中心に挿入できる。リングギヤ(49)自身の外表面には、一連の歯(50)が設けられ、後述する適当な駆動機構とかみ合うようになっている。図16からわかるように、リングギヤ(49)は、3つのほぼ同一のリングギヤガイド(51,52,53)により支持され、その内部で回転可能になっている。
【0035】
図15からわかるように、このリングギヤ(49)は、メイン駆動シャフト(1)と同芯かつ同軸に取り付けられている。
3つの同一のリングギヤガイド(51,52,53)には、それぞれを貫通する開口部(54)が設けられ、それを通して(後述の)ガイドスティック(73,74,75)が収容される。各リングギヤガイド(51,52,53)には、さらに2つの貫通孔(55)が設けられ、それらを通して支持ロッド(88,89,90,91,92,93)が収容される。支持ロッド(88,89,90,91,92,93)は、(後述するように)全体としての機器内部でリングギヤを予め定めた方向に支える。
【0036】
図17に示すように、第2実施例の装置は、容器基部(57)を備えた密閉された容器(図27)である。容器基部(57)には、基本シリンダ(81,82,83)(図21)を収容するための3つのネジ孔(58)と、支持ロッド(88,89,90,91,92,93)を収容するための6つの孔(59)(図23参照)が設けられている。容器基部(57)にはさらに、3つのハウジング(60)が設けられており、(図18に記載される)駆動ギヤ(65,66,67)を(図示されない)下部において付随するフランジブッシュベアリングと共にハウジング(60)に収容するようになっている。容器基部(57)にはさらに、円筒状の側壁(95)を配置するフランジ状台座(61)と、メイン駆動シャフト(1)が図のように挿入される中央開口部(62)とが設けられる。孔(58,59,60)の列は、実質上、円形の容器基部(57)の周囲に配置される。
【0037】
図17に示すように、該装置はまた、ほぼ円形の容器頂部(63)を備える。容器頂部(63)は、容器基部(57)とほぼ同一であるが、容器頂部(63)には、ハウジング(60)の代わりに孔(64)が設けられている。ハウジング(60)が容器基部(57)の深さの途中までしか延びていないのに対し、孔(64)は、完全に容器頂部(63)を貫いている。容器頂部(63)はさらに、上部シリンダ(78,79,80)(図21参照)を収容するための3つのネジ孔(58)と、支持ロッド(88,89,90,91,92,93)(図23を参照)用の6つの孔(59)と、駆動ギヤ(65,66,67)(図18参照)と共にそれらに付随する(図示されない)ブッシュベアリング及びシールを収容するための3つの孔(64)とを備える。容器頂部(63)にはまた、適当なフランジ状台座(61)と、図示されるようにメインシャフト(1)を収容するための適切な孔(62)とが設けられている。現図面には示されていないが、適当なフランジブッシュベアリングと付随するシールとが、駆動シャフト(1)と、容器基部(57)及び容器頂部(63)の両方との間に配置されていて、容器基部(57)と容器頂部(63)との間でのシャフト(1)の回転を可能にすると共に、それらの間の適当な流体シールを提供している。図からわかるように、メインシャフト(1)は、容器基部(57)及び容器頂部(63)を超えて延びている。これにより、軸(A)に対して互いに120°に配置された3つの長尺状のスロットの形のキー溝(8)を介し、メインシャフト(1)との(図示されない)適切な連結が可能である。
【0038】
図18には、3つの同一の駆動ギヤ(65,66,67)が示されており、それぞれが、その上端部に、(図示されない)連結部を連結するための3つの適当なキー溝(68)を備えている。これらの駆動ギヤはさらに、容器頂部(63)の3つの孔(64)それぞれに収容される円柱・円筒状の面(69)をそれぞれ備えている。この結果、(図示されない)適当なフランジシャフトシールにより、容器頂部(63)とこれらの駆動ギヤ(65,66,67)との間で回転可能なシールが実現される。各ドライブギヤ(65,66,67)はさらに、各孔(64)の内部に(図示されない)付随するブッシュベアリングと共に収容される第2のシリンダ状の面(70)を備えている。各駆動ギヤ(65,66,67)の下部には、(図示されない)付随する適当なフランジブッシュベアリングと共に容器基部(57)のハウジング(60)に収容されるフランジ状台座(71)が設けられる。従って、図22に示すように、各駆動ギヤ(65,66,67)の周囲に設けられた歯(72)列は、リングギヤ(49)の一連の歯(50)とかみ合うことができる。
【0039】
駆動ギヤ(65,66,67)はそれぞれ、容器基部(57)と容器頂部(63)との間に適当なブッシュを使って取り付けられ、駆動ギヤ(65,66,67)は、(駆動シャフト軸(A)に平行に延びる)それぞれの縦軸周りに回転可能である。従って、従来のギヤ機構と同様に、駆動ギヤ(65,66,67)の回転により、リングギヤ(49)の回転が起こる。
【0040】
図19に、細長い円柱・円筒状のロッドの形状をした3つの同一のガイドスティック(73,74,75)を示す。ガイドスティック(73,74,75)にはそれぞれ、その全長の一部に渡って延在する円筒状のサドル(177)が設けられ、各サドル(177)には、(図示されない)サークリップを取り付けるための適当な周溝(76)が設けられている。これら各ガイドスティック(73,74,75)はさらに、その各端に(図示されない)適当なカバーシールを取り付けるためのピストン(77)を備える。
【0041】
図20に示すように、ガイドスティック(73,74,75)は、周溝(76)とかみ合う適当なサークリップにより、各リングギヤガイド(51,52,53)の孔(54)内部に配置される。
【0042】
該装置にはさらに、3つの同一の上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)と、3つの同一の基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)(図21)とが設けられている。各エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)には、スパナまたはその他の工具を収容するための適当な平面部(84)が設けられ、スパナまたはその他の工具による強制的な回転ができるようになっている。また、各エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)にはさらに、その外周面に、ネジ部材を挿入するための適当なネジ孔(85)が設けられており、これらのエンドストッパ(78,79,80,81,82,83)への適切な作動液の導入または導出が可能になっている。基部エンドストッパ(81,82,83)に見られるように、各エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)には、各ガイドスティック(73,74,75)のピストン(77)を収容するための内腔(86)がそれぞれ設けられる。これより、図21に示す6つのエンドストッパ(78,79,80,81,82,83)は、(図22に示すように)図19の各ガイドスティック(73,74,75)において反対側に位置する端部を収容するように、それぞれ配置されることがわかる。上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)は、基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)とほぼ同一であるが、上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)の外部ネジ山部(87)は、図からわかるとおり、基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)の外部ネジ山部(87)より長くなっている。図22は、容器基部(57)のそれぞれの孔(58)にネジ止めされた基部円筒状エンドストッパ(81,82,83)を示しており、そのそれぞれの開口部(86)には、対応するガイドスティック(73,74,75)のピストン(77)が挿入されている。この結果、各ガイドスティック(73,74,75)の反対側のまたは上部のピストン(77)と、(図に示されない)付随する適当なカバーシールとは、各上部円筒状エンドストッパ(78,79,80)の内腔(86)に挿入される。ガイドスティック(73,74,75)は、溝(76)内部でかみ合うサークリップを使うことにより、それぞれのリングギヤガイド(51,52,53)の適当な孔(54)内部に維持され、リングギヤガイド(51,52,53)を各ガイドスティック(73,74,75)の全長に沿って固定する。前述したように、各円筒状エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)には、これらの円筒状エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)への作動液の導入または導出を可能にする適当な孔(85)が設けられており、これにより、ガイドスティック(73,74,75)のピストン(77)を液圧により変位させて、ガイドスティック(73,74,75)のサドル(177)の相対的移動を効果的に引き起こせる。サドル(177)が各リングギヤガイド(51,52,53)により保持されているため、サドル(177)の動きは、リングギヤガイド(51,52,53)の容器基部(57)に向かう、または、それから離れる縦方向への所望の変位をも引き起こす。これにより、リングギヤガイド(51,52,53)と、対応するリングギヤ(49)との高さ位置を、装置の高さに対して、またメイン駆動シャフト(1)の縦方向の全長に対して、液圧により調節する手段が得られる。
【0043】
図23は、6つの同一の支持ロッド(88,89,90,91,92,93)を示しており、それぞれが、長さ方向に反対側となる端部に外部ネジ山部(94)を備え、図28に見られるような適当なネジ山を付けられたロッド端部(96,97,98,99,100,101,102,103,104,106,107,108)を受けとめるようになっている。これら同一のロッドの外部ネジ山端部(94)は、容器頂部(63)及び容器基部(57)の両方にある孔(59)それぞれを通して延びている。このことは、図24に示されており、そこでは、ロッド(88,89,90,91,92,93)(及び図示されない適当なブッシュベアリング)は、各リングギアガイド(51,52,53)の孔(55)を通して配置され、それにより(ガイドスティック(73,74,75)の適当な操作を介して)リングギヤガイド(51,52,53)をロッド(88,89,90,91,92,93)の長さに沿って上下に移動することができる。
【0044】
図24によく似た図25に、メイン駆動シャフト(1)に(前述したように)装着された3つの浮揚部材(25,26,30)を簡単に示す。この図では、浮揚部材(25,26,30)は装置内部に配置され、リングギヤ(49)の内部表面に設けられたペグ(44,45,46)が、図14及び図16に示すように各浮揚部材の適当な細長スロット(41)にはめ込まれている。これにより、リングギヤ(49)が、容器基部(57)に対して、さらには、縦方向に固定された駆動シャフト(1)に対して、上昇または下降するにつれ、浮揚部材(25,26,30)が、駆動シャフト(1)の各取付ピン(10,11,12)に対して偏芯回転する。
【0045】
次に、第2実施例の装置に、円筒状の外壁(95)(図26)を装着する。外壁(95)は、実質的に容器を液体シールするように容器基部(57)及び容器頂部(63)のフランジ状台座(61)に支持される(図17参照)。図27に示すように、容器頂部(63)がこの壁(95)に載せられ、適当なネジ山のついたロッド端部(96,97,98,99,100,101,102,103,104,106,107,108)(実質的にはシールされたネジ山を有するナット)を、各ロッド(88,89,90,91,92,93)の外部ネジ山端部(94)に、ネジ係合により係合する。そして、これらロッド端部(96,97,98,99,100,101,102,103,104,106,107,108)それぞれに形成された適当な平面(105)の利用を通して、図28に示すように、装置は、ロッド端部と外部ネジ山端部間のネジ係合により効果的にシールされる。当業者には分かるだろうが、内部のロッド状部材が容器基部(57)及び容器頂部(63)を貫く箇所では、適当なシールが用いられて、この装置の液体シールを維持している。
【0046】
容器頂部(63)を取り付ける前に、装置を、水または油のような適当な液体により満たす。浮揚部材(25,26,30)は、使用される液体より密度が小さいために、その中で浮揚する。外部からの影響がない状況下では、これらの浮揚部材(25,26,30)が駆動シャフト(1)のピン(10,11,12)それぞれに偏芯するように装着されているために、装置がほぼ水平位置に保たれている場合には、これらの浮揚具の偏芯回転により、一方のタブ(40)が他方のタブ(40)より高い位置になるように、これらの浮揚部材(25,26,30)は、均衡位置を求めようとする。しかしながら、前述したピストン(77)の液圧操作により、また、このピストンに接続された各円筒状エンドストッパ(78,79,80,81,82,83)内部への作動液の導入または導出により、リングギヤガイド(51,52,53)を図28の装置内部で下降させることができ、これにより、関連するリングギヤ(49)が下降する。ペグ(44,45,46)は、このリングギヤ(49)の内部表面に一体的に設けられているため、ペグ(44,45,46)もまた、装置に対して、駆動軸(1)の軸に平行な方向に下降する。これらのペグ(44,45,46)は、各浮揚部材(25,26,30)の細長スロット(41)と係合しているので、リングギヤ(49)のこの下向きの移動はさらに、各浮揚部材(25,26,30)のそれぞれのタブ(40)を下向きの方向に変位させる役割を果たす。これにより、通常の均衡位置から外れて、浮揚部材(25,26,30)が偏芯回転する。従って、(この移動により)押しのけられた液体が、上昇力を引き起こして、変位した浮揚部材(25,26,30)を均衡位置に戻そうとすることで、浮揚部材(25,26,30)に働く上昇浮力が発生する。第2実施例の装置の作用の基本原理は、図1から図10を参照して説明したものと同様である。
【0047】
以下に図29及び図30を参照しながら、浮揚部材(25,26,30)に付与される力について概略的に説明する。前述したように、浮揚部材(25)は、偏芯旋回軸(300)の周りに偏芯回転するように装着される。偏芯旋回軸(300)は、このシリンダにかかる浮力の重心をなすシリンダの中心軸(x−x)から半径方向に離れている。2つのタブ(41)が水平面(400)に水平に並ぶとき、装置内部の液体がこの容器に与える浮力または上昇力により、モーメントがシリンダ(25)上に生成される。このときの上昇力を矢印(336)により実質的に示す。この上昇力は、シリンダ(25)を均衡位置に戻そうとする。均衡位置では、シリンダの軸(x−x)は、旋回軸(300)の縦方向上方に置かれる。しかしながら、図の位置では、ペグ(44)は、タブ(40)の細長スロット(41)と係合して、シリンダをこの変位位置に保つ均衡力を付与する。ここでは、ペグ(44)によりシリンダに回転力が加えられて、上昇力(336)と釣り合いがとられ、これにより均衡が保たれる。ペグ(44)に加えられるこの回転力は、前述したようにリングギヤを適当に操作することにより発生する。上昇力(336)が、ペグ(44)によりシリンダ(25)に働く回転変位力に等しくかつ逆向きであるため、シリンダ(25)に水平分力を加える結果として生じる力はない。この結果、装置は、図9にその安定した状態を示した第1実施例の装置と同様に動作する。
【0048】
図30において、リングギヤ(49)をさらに下降させるように液圧機構を作動すると、下向きの力がペグ(44)に加えられて細長スロット(41)に伝達され、変位旋回軸(300)の周りで浮揚部材(25)が回転変位される。ここでも、スロット(41)に係合するペグ(44)と軸(300)との相対距離により、適当なモーメントが生成される。この距離により得られる機械的利益またはモーメントにより、浮揚部材(25)の浮力に打ち勝つのに必要な力は、上昇力より小さくなる。ペグ(44)は単に細長スロット(41)の平らな面に係合しているだけで、その端部に係合しているわけではないので、このペグ(44)に加えられた下向きの力は、この細長スロット(41)に垂直に伝達され、図1から図10を参照しつつ説明した旋回変位力(230)と同様の旋回変位力(330)(図30a)を生成する。ここでも、液体の押しのけにより上昇力が生成される。この上昇力を、図1から図10について説明したのと同様な方法で、図30に矢印(336)で概略的に示す。第1実施例と同様に、旋回変位力(330)と上昇力(336)との合成分解により、結果として生じる力ベクトル(340)を生じ、この力ベクトルは浮揚部材(25)の旋回軸(300)(及びピン(10)の1つ)を通して伝達される。この結果、回転力がメイン駆動シャフト(1)に伝達されて、メイン駆動シャフト(1)を軸(A)周りに回転させる。本実施例において、3つの浮揚部材(25,26,30)はそれぞれ、同時に同様の方法で動作するので、駆動シャフト(1)に働く回転駆動力は3倍になる。
【0049】
第1実施例と同様に、本発明の重要な特徴は、旋回変位力(330)が、(第1実施例のレバー部材(224)と同様の働きをする)細長スロット(41)に対して垂直に保たれなければならない点である。このため、ペグ(44,45,46)は、回転可能な駆動ギヤ(65,66,67)との係合により、装置内部でそれ自身回転可能な駆動ギヤ(49)に取り付けられる。これらの駆動ギヤは、(図示されないが、駆動ギヤ(65,66,67)を回転させる単純なモータ、もしくは、その他の手動による変位が可能な機構を含む)適当な外部駆動機構に接続される。この駆動ギヤ(65,66,67)の回転により、駆動ギヤ(65,66,67)の歯と、リングギヤ(49)の歯(50)とがかみ合わさり、このリングギヤ(49)を駆動シャフト(1)周りに同軸に回転させる。従って、回転変位力が伝達されて、駆動シャフト(1)が軸(A)の周りを回転すると、浮揚部材(25,26,30)自身も、軸(A)の周りを回転し、リングギヤ(49)を適切に駆動する。このときペグ(44,45,46)は、細長スロット(41)の中央部分に確実に接触した状態に保持され、この結果、スロット(41)の水平面に対する変位の角度は適切に保たれる。また、ペグ(44,45,46)が確実にスロット(41)の端部と係合しないようにされて、分解された駆動力を打ち消す追加の転換反力を生成させないようにされる。リングギヤ(49)の回転速度を、分解された上昇力により起きる駆動シャフト(1)の回転速度に一致させることが重要である。この結果、ペグ(44,45,46)は、細長スロット(41)のほぼ中央で維持され、スロット(41)の端部表面と接触したり係合したりしないようにされる。ペグ(44,445,46)がスロット(41)の端部表面に接触する場合には、追加の転換力が浮揚部材(25,26,27)に付与され、上昇力によりもたらされる結果として生じる力(340)を打ち消そうとする少なくとも1つの力ベクトルが生成される。
【0050】
第1実施例と同様に、装置の駆動制御は、図29に示すように、細長スロット(41)と水平面(400)との間の相対角度を調整することにより様々に変更可能である。この角度が大きいほど、結果として生じる力ベクトルの大きさが大きくなり、駆動シャフト(1)の回転速度が上がる。駆動シャフト(1)の回転速度が上がると、細長スロット(41)の中心にペグ(44)を保持し、旋回変位力を細長スロット(41)に垂直に保つために、リングギヤ(49)の回転速度の調整も必要になる。さらに、スロット(41)が浮揚部材(25)の旋回軸(300)から離れるほど、より大きな機械的利益が得られる。旋回変位力を液圧により獲得する一方で、必要とされる旋回変位力を最小化してリングギヤ(49)とリングギヤガイド(51,52,53)との間の摩擦抵抗を最小化すると有利である。これにより、旋回変位力が小さいほど、摩擦抵抗が小さくなり、装置の性能がさらによくなる。
【0051】
従って、第2実施例では、均衡位置を越えて配置された浮揚部材(25,26,27)に働く上昇力を利用して、浮揚部材(25,26,30)の旋回軸を通して結果として生じる駆動力を生成する。この結果として生じる駆動力は、本実施例では、駆動シャフト(1)をほぼ直立する軸(A)周りに回転変位させるために使用される。この結果、駆動シャフト(1)の回転、また特にその外部キー溝(8)の回転を、ギヤ機構、車輪、その他機械器具のような他の装置を駆動するための回転出力として使用することができる。同様に、駆動シャフト(1)を適当なギヤ機構に接続し、回転運動を直線運動に変換することにより、直線駆動部材を構成してもよい。
【0052】
実施例の装置は、浮揚部材(25,26,30)に働く上昇浮力を利用して、駆動シャフト(1)(もしくは第1実施例における回転ドラム)のような物品を縦方向以外の方向に変位させる手段を提供することが分かる。レバー部材(224)または第2実施例の細長スロット(41)のどちらかに旋回変位力を垂直に維持するためには、エネルギー入力が必要である。そのため、出力あるいは結果として生じる力は、浮力のみに依存せず、適当な変位レバーに変位力を垂直に維持させるために一定のエネルギー入力を必要とすることが分かる。しかしながら、生成された上昇力は、装置のエネルギー出力を大幅に増加するために使われる。
【0053】
本発明の前述の実施例は、ほんの一例であり、本願特許により請求される保護の範囲を制限するものではない。例えば、第2実施例においては、ペグ(44,45,46)の変位を調整するため、ひいては浮揚部材(25,26,30)を回転変位させるために、好ましくは液圧駆動が使用されるが、このことは、機械的な変位力、電気的な変位力等、多くの方法により達成できる。また、本実施例で特定されたようなリングギヤ(49)の利用もまた、前述したような利点を備えた浮揚部材(25,26,30)の回転変位の角度調整を可能にしている。さらに、本願に記載の2つの実施例では、図1に示す実施例のシリンダ(210)内に、もしくは、図27に示す第2実施例の装置のシリンダ状の外壁(95)の内部に液体媒体を入れて使用する。液体媒体を入れることは操縦性の簡略化と、恒久的に水源から離れた場所でも本発明を実施可能にするためである。
【0054】
しかしながら、液体媒体が装置内部に入っておらず、装置自身が完全にまたは部分的に液体媒体に漬かっている場面においても、本発明を同様に応用できることはいうまでもない。例えば、前述の実施例の装置は両方とも、プール、河川、海のような容器に入っていない水源の中に設置されたとしても等しく動作する。図1に示す実施例において、終端プレート(212)を単純に省略して、装置を、完全にまたは部分的に、河川等の適当な液体中に沈めてもよい。この状態においても、液体は、液体媒体がシリンダ状ドラム内部に完全に閉じ込められた図1に示す実施例について説明したのと同様な方法で浮揚部材に均衡位置を求めさせる。同様に、第2実施例について、シリンダ状外壁(95)を単純に省略して、装置を、完全にまたは部分的に、水または油のような適当な液体に沈めてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】安定位置にある、本発明による装置の第1実施例の斜視図である。
【図2】内部構成が見えるように終端カバーが取り除かれた図1の装置を示す図である。
【図3】図2の装置の浮揚部材の斜視図である。
【図4】作動位置にある、図2の装置を示す図である。
【図5】図2の装置を示し、力伝達部材の使用を説明する図である。
【図6】図5に示す装置の側面図であり、装置に働く力を概略的に説明する図である。
【図7】図6に示す装置に異なる位置で作動力が加えられたときの、装置に作用する力の関係を概略的に説明する側面図である。
【図7a】図6に示す装置に異なる位置で作動力が加えられたときの、装置に作用する力の関係を概略的に説明するさらなる側面図である。
【図8】第2の安定位置にある、図2の装置を示す図である。
【図9】装置が図8に示す安定位置にあるときの、力の相互作用を概略的に説明する側面図である。
【図10】本発明の第2実施例による装置に使用される回転可能な駆動シャフトを示す図である。
【図11】図10の駆動シャフト上に取り付けるためのピン支持部材間の空間的関係を概略的に示す図である。
【図12】ブッシュが取り除かれた状態の図11中のピンを概略的に示す図である。
【図13】図11のブッシュ及びピンのうちの一方に取り付けられた浮揚部材の背面図である。
【図14】図10の回転可能な駆動シャフトに装着された3つの浮揚部材を示す図である。
【図15】図14の浮揚部材と連通するように取り付けられた第2実施例に基づく装置のリングギヤ機構を示す図である。
【図16】支持ガイド内に保持される図15のリングギヤの取り付けを概略的に説明する図である。
【図17】本発明の第2実施例に基づく装置における、図10の回転駆動シャフトと、容器基部プレートと、上部プレートとの関係を概略的に説明する図である。
【図18】メイン駆動シャフトの周りに配置される第2実施例の3つの駆動ギヤを概略的に説明する図である。
【図19】メイン駆動シャフトの周りに配置される第2実施例の3つのガイドスティックを概略的に示す図である。
【図20】図19のガイドスティックと、容器基部プレート上のメインシャフトの周りに配置される図16のリングギヤガイドとの位置決めを概略的に説明する図である。
【図21】メイン駆動シャフトの周囲に配置された上部及び底部円筒状エンドストッパの配置を概略的に説明する図である。
【図22】明確化のために浮揚部材を省略した状態で、図17の基部プレートに対する図16のリングギヤの取り付けを説明する図である。
【図23】メインシャフトの回りの6つの支持ロッドの位置決めを概略的に説明する図である。
【図24】明確化のために浮揚部材は取り除かれた状態で、図23の支持ロッドを含めた場合の図22の装置を示す図である。
【図25】容器頂部と側壁は省略された状態で、本発明の第2実施例に基づく装置の内部構成を示す図である。
【図26】円形の側壁が取り付けられた図25の装置を示す図である。
【図27】容器頂部が取り付けられた図26の装置を示す図である。
【図28】本発明の第2実施例に基づくシールされた装置の外観斜視図である。
【図29】図14に示す浮揚部材のうちの1つの正面図であり、浮揚部材が第1均衡位置にあるときに働く力を概略的に示す図である。
【図30】図29の浮揚部材の正面図であり、浮揚部材が均衡位置から外れたときに働く力を概略的に示す図である。
【図30a】図30に示す浮揚部材におけるタブの拡大図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に一体的に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに一体的に設けられ、浮揚部材が、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回しながら変位し、その結果、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を加えると共に維持する手段が設けられることにより、浮揚部材の上昇浮力から、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延びると共に、可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルが生成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
液状媒体を入れるためのシールされた本体を備え、前記浮揚部材が少なくとも部分的に液状媒体中に沈められることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ部材が旋回軸から半径方向に離れた位置にあり、アクチュエータ部材に旋回変位力を付与することで、機械的利益を得ることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部材が、レバー機構を備えることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記レバー機構が、前記旋回軸の周りに前記浮揚部材に対して同軸となるよう取り付けられることを特徴とする、請求項1に従属する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記旋回変位力の変化を起こさせる変位可能な力伝達部材を備え、力伝達部材は、可動物品が変位する間、旋回変位力を、変位可能なアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記力伝達部材が、モータによって駆動されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記可動物品が、回転可能であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記可動物品が、前記旋回軸と同軸の軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記可動物品が、前記上昇浮力の方向に対して横方向に変位可能であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記可動物品が、前記液状媒体と前記浮揚部材とを包含する円筒状のドラムを備え、ドラムが、前記旋回軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記可動物品が、前記旋回軸に垂直な物品軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
回転可能な前記可動物品に接続されて前記可動物品により作動する外部駆動機構を備えることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記変位可能な力伝達部材が、前記物品軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項6に従属する請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記物品軸に対して放射状に配置されて物品軸に旋回するように接続される複数の浮揚部材を備えることを特徴とする、請求項12ないし14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記力伝達部材が、前記物品軸と同軸に取り付けられる円形装置を備え、前記複数の浮揚部材それぞれに付与される旋回変位力を、浮揚部材それぞれに関連付けられた変位可能な各アクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことを特徴とする、請求項6に従属する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する方法であって、該方法が、
旋回変位可能な浮揚部材を浮揚部材の旋回軸の周りで前記可動物品に接続するステップと、
前記浮揚部材のアクチュエータ部材に、アクチュエータ部材に垂直な方向の旋回変位力を付与し、均衡位置を越えて液体媒体中に前記浮揚部材を旋回変位させるステップと、
前記旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保ち、前記浮揚部材の前記上昇浮力から、前記旋回軸を通って前記旋回軸に垂直となるよう前記可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルを生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記アクチュエータ部材に予め定めた長さを与え、前記旋回変位力を、前記旋回軸から離れた、前記旋回軸から予め定めた距離の箇所で付与して、予め定めた機械的利益を得るステップをさらに含み、これにより、結果として生じる上昇力より小さい力で、均衡位置を越えて浮揚部材を変位させることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記可動物品を変位させる間、前記旋回変位力を前記アクチュエータ部材に対して垂直に保つステップを含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記可動物品を変位させる間、前記旋回変位力が付与される箇所の距離を予め定めた距離に保つステップを含むことを特徴とする、請求項17に従属する請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記可動物品を変位させる間、前記旋回変位力を一定に保つステップを含むことを特徴とする、請求項17ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記旋回軸に交差する水平面と前記アクチュエータ部材に前記旋回変位力が付与される点との間の角度を調整することにより、前記可動物品に伝達される結果として生じる力ベクトルを調整するステップを含むことを特徴とする、請求項17ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記角度を大きくすることにより、前記結果として生じる力ベクトルを大きくするステップを含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに設けられて、アクチュエータ部材に付与される変位力の適用により、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回変位して、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に前記変位力を加える手段が設けられ、前記変位力と前記上昇浮力とから浮揚部材に作用する結果として生じる力が生成され、結果として生じる力が、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、可動物品に伝達されて可動物品を変位させることを特徴とする装置。
【請求項25】
前記装置がさらに、アクチュエータ部材を変位させるための変位可能な力伝達部材を備え、該力伝達部材が、第1の方向において旋回軸から間隔をあけられた箇所にあり、前記変位力が、第1の方向及び旋回軸の両方に垂直な方向に付与されることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
請求項1ないし11のいずれかに記載の装置を備えた少なくとも1つの車輪を有する車両。
【請求項27】
請求項12ないし16のいずれかに記載の装置を備えたエンジン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に一体的に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに一体的に設けられ、浮揚部材が、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回しながら変位し、その結果、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を加えると共に維持する手段が設けられることにより、浮揚部材の上昇浮力から、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延びると共に、可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルが生成され、該装置がさらに、前記旋回変位力の変化を起こさせる変位可能な力伝達部材を備え、力伝達部材は、可動物品が変位する間、旋回変位力を、変位可能なアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保ち、力伝達部材が駆動されることを特徴とする装置。
【請求項2】
液状媒体を入れるためのシールされた本体を備え、前記浮揚部材が少なくとも部分的に液状媒体中に沈められることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ部材が旋回軸から半径方向に離れた位置にあり、アクチュエータ部材に旋回変位力を付与することで、機械的利益を得ることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部材が、レバー機構を備えることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記レバー機構が、前記旋回軸の周りに前記浮揚部材に対して同軸となるよう取り付けられることを特徴とする、請求項1に従属する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記力伝達部材が、モータによって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可動物品が、回転可能であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記可動物品が、前記旋回軸と同軸の軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記可動物品が、前記上昇浮力の方向に対して横方向に変位可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記可動物品が、前記液状媒体と前記浮揚部材とを包含する円筒状のドラムを備え、ドラムが、前記旋回軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記可動物品が、前記旋回軸に垂直な物品軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
回転可能な前記可動物品に接続されて前記可動物品により作動する外部駆動機構を備えることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記変位可能な力伝達部材が、前記物品軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項6に従属する請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記物品軸に対して放射状に配置されて物品軸に旋回するように接続される複数の浮揚部材を備えることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記力伝達部材が、前記物品軸と同軸に取り付けられる円形装置を備え、前記複数の浮揚部材それぞれに付与される旋回変位力を、浮揚部材それぞれに関連付けられた変位可能な各アクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する方法であって、該方法が、
旋回変位可能な浮揚部材を浮揚部材の旋回軸の周りで前記可動物品に接続するステップと、
前記浮揚部材のアクチュエータ部材に、アクチュエータ部材に垂直な方向の旋回変位力を付与し、均衡位置を越えて液体媒体中に前記浮揚部材を旋回変位させるステップと、
前記旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保ち、前記浮揚部材の前記上昇浮力から、前記旋回軸を通って前記旋回軸に垂直となるよう前記可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルを生成するステップと、
力伝達部材を使用して、前記旋回変位力を変化させ、可動物品を変位させる間、旋回変位力をアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つステップと、前記力伝達部材を駆動するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記アクチュエータ部材に予め定めた長さを与え、前記旋回変位力を、前記旋回軸から離れた、前記旋回軸から予め定めた距離の箇所で付与して、予め定めた機械的利益を得るステップをさらに含み、これにより、結果として生じる上昇力より小さい力で、均衡位置を越えて浮揚部材を変位させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記旋回軸に交差する水平面と前記アクチュエータ部材に前記旋回変位力が付与される点との間の角度を調整することにより、前記可動物品に伝達される結果として生じる力ベクトルを調整するステップを含むことを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記角度を大きくすることにより、前記結果として生じる力ベクトルを大きくするステップを含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1ないし10のいずれかに記載の装置を備えた少なくとも1つの車輪を有する車両。
【請求項21】
請求項11ないし15のいずれかに記載の装置を備えたエンジン。
【請求項22】
可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに設けられて、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回変位して、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に前記旋回変位力を加える手段が設けられ、前記変位力と前記上昇浮力とから浮揚部材に作用する結果として生じる力が生成され、結果として生じる力が、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、可動物品に伝達されて可動物品を変位させることを特徴とする装置。
【請求項1】
浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に一体的に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに一体的に設けられ、浮揚部材が、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回しながら変位し、その結果、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を加えると共に維持する手段が設けられることにより、浮揚部材の上昇浮力から、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延びると共に、可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルが生成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
液状媒体を入れるためのシールされた本体を備え、前記浮揚部材が少なくとも部分的に液状媒体中に沈められることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ部材が旋回軸から半径方向に離れた位置にあり、アクチュエータ部材に旋回変位力を付与することで、機械的利益を得ることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部材が、レバー機構を備えることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記レバー機構が、前記旋回軸の周りに前記浮揚部材に対して同軸となるよう取り付けられることを特徴とする、請求項1に従属する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記旋回変位力の変化を起こさせる変位可能な力伝達部材を備え、力伝達部材は、可動物品が変位する間、旋回変位力を、変位可能なアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記力伝達部材が、モータによって駆動されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記可動物品が、回転可能であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記可動物品が、前記旋回軸と同軸の軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記可動物品が、前記上昇浮力の方向に対して横方向に変位可能であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記可動物品が、前記液状媒体と前記浮揚部材とを包含する円筒状のドラムを備え、ドラムが、前記旋回軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記可動物品が、前記旋回軸に垂直な物品軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
回転可能な前記可動物品に接続されて前記可動物品により作動する外部駆動機構を備えることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記変位可能な力伝達部材が、前記物品軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項6に従属する請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記物品軸に対して放射状に配置されて物品軸に旋回するように接続される複数の浮揚部材を備えることを特徴とする、請求項12ないし14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記力伝達部材が、前記物品軸と同軸に取り付けられる円形装置を備え、前記複数の浮揚部材それぞれに付与される旋回変位力を、浮揚部材それぞれに関連付けられた変位可能な各アクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことを特徴とする、請求項6に従属する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する方法であって、該方法が、
旋回変位可能な浮揚部材を浮揚部材の旋回軸の周りで前記可動物品に接続するステップと、
前記浮揚部材のアクチュエータ部材に、アクチュエータ部材に垂直な方向の旋回変位力を付与し、均衡位置を越えて液体媒体中に前記浮揚部材を旋回変位させるステップと、
前記旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保ち、前記浮揚部材の前記上昇浮力から、前記旋回軸を通って前記旋回軸に垂直となるよう前記可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルを生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記アクチュエータ部材に予め定めた長さを与え、前記旋回変位力を、前記旋回軸から離れた、前記旋回軸から予め定めた距離の箇所で付与して、予め定めた機械的利益を得るステップをさらに含み、これにより、結果として生じる上昇力より小さい力で、均衡位置を越えて浮揚部材を変位させることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記可動物品を変位させる間、前記旋回変位力を前記アクチュエータ部材に対して垂直に保つステップを含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記可動物品を変位させる間、前記旋回変位力が付与される箇所の距離を予め定めた距離に保つステップを含むことを特徴とする、請求項17に従属する請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記可動物品を変位させる間、前記旋回変位力を一定に保つステップを含むことを特徴とする、請求項17ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記旋回軸に交差する水平面と前記アクチュエータ部材に前記旋回変位力が付与される点との間の角度を調整することにより、前記可動物品に伝達される結果として生じる力ベクトルを調整するステップを含むことを特徴とする、請求項17ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記角度を大きくすることにより、前記結果として生じる力ベクトルを大きくするステップを含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに設けられて、アクチュエータ部材に付与される変位力の適用により、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回変位して、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に前記変位力を加える手段が設けられ、前記変位力と前記上昇浮力とから浮揚部材に作用する結果として生じる力が生成され、結果として生じる力が、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、可動物品に伝達されて可動物品を変位させることを特徴とする装置。
【請求項25】
前記装置がさらに、アクチュエータ部材を変位させるための変位可能な力伝達部材を備え、該力伝達部材が、第1の方向において旋回軸から間隔をあけられた箇所にあり、前記変位力が、第1の方向及び旋回軸の両方に垂直な方向に付与されることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
請求項1ないし11のいずれかに記載の装置を備えた少なくとも1つの車輪を有する車両。
【請求項27】
請求項12ないし16のいずれかに記載の装置を備えたエンジン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮揚部材の上昇浮力を利用して、可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に一体的に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに一体的に設けられ、浮揚部材が、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、液状媒体中に、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回しながら変位し、その結果、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に垂直な方向に旋回変位力を加えると共に維持する手段が設けられることにより、浮揚部材の上昇浮力から、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延びると共に、可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルが生成され、該装置がさらに、前記旋回変位力の変化を起こさせる変位可能な力伝達部材を備え、力伝達部材は、可動物品が変位する間、旋回変位力を、変位可能なアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保ち、力伝達部材が駆動されることを特徴とする装置。
【請求項2】
液状媒体を入れるためのシールされた本体を備え、前記浮揚部材が少なくとも部分的に液状媒体中に沈められることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ部材が旋回軸から半径方向に離れた位置にあり、アクチュエータ部材に旋回変位力を付与することで、機械的利益を得ることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部材が、レバー機構を備えることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記レバー機構が、前記旋回軸の周りに前記浮揚部材に対して同軸となるよう取り付けられることを特徴とする、請求項1に従属する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記力伝達部材が、モータによって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可動物品が、回転可能であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記可動物品が、前記旋回軸と同軸の軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記可動物品が、前記上昇浮力の方向に対して横方向に変位可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記可動物品が、前記液状媒体と前記浮揚部材とを包含する円筒状のドラムを備え、ドラムが、前記旋回軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記可動物品が、前記旋回軸に垂直な物品軸の周りを回転可能であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
回転可能な前記可動物品に接続されて前記可動物品により作動する外部駆動機構を備えることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記変位可能な力伝達部材が、前記物品軸と同軸に延びることを特徴とする、請求項6に従属する請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記物品軸に対して放射状に配置されて物品軸に旋回するように接続される複数の浮揚部材を備えることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記力伝達部材が、前記物品軸と同軸に取り付けられる円形装置を備え、前記複数の浮揚部材それぞれに付与される旋回変位力を、浮揚部材それぞれに関連付けられた変位可能な各アクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
浮揚部材の上昇浮力を利用して可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する方法であって、該方法が、
旋回変位可能な浮揚部材を浮揚部材の旋回軸の周りで前記可動物品に接続するステップと、
前記浮揚部材のアクチュエータ部材に、アクチュエータ部材に垂直な方向の旋回変位力を付与し、均衡位置を越えて液体媒体中に前記浮揚部材を旋回変位させるステップと、
前記旋回変位力をアクチュエータ部材に対して垂直に保ち、前記浮揚部材の前記上昇浮力から、前記旋回軸を通って前記旋回軸に垂直となるよう前記可動物品に伝達されて可動物品を変位させる結果として生じる力ベクトルを生成するステップと、
力伝達部材を使用して、前記旋回変位力を変化させ、可動物品を変位させる間、旋回変位力をアクチュエータ部材に対して一定かつ垂直に保つステップと、前記力伝達部材を駆動するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記アクチュエータ部材に予め定めた長さを与え、前記旋回変位力を、前記旋回軸から離れた、前記旋回軸から予め定めた距離の箇所で付与して、予め定めた機械的利益を得るステップをさらに含み、これにより、結果として生じる上昇力より小さい力で、均衡位置を越えて浮揚部材を変位させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記旋回軸に交差する水平面と前記アクチュエータ部材に前記旋回変位力が付与される点との間の角度を調整することにより、前記可動物品に伝達される結果として生じる力ベクトルを調整するステップを含むことを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記角度を大きくすることにより、前記結果として生じる力ベクトルを大きくするステップを含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1ないし10のいずれかに記載の装置を備えた少なくとも1つの車輪を有する車両。
【請求項21】
請求項11ないし15のいずれかに記載の装置を備えたエンジン。
【請求項22】
可動物品の縦方向以外の方向への変位を促進する装置であって、該装置が、液状媒体に少なくとも部分的に沈められた、少なくとも1つの旋回可能に装着された浮揚部材と、浮揚部材に接続された、変位可能なアクチュエータ部材とを備え、浮揚部材が、可動物品上の、可動物品から延びる旋回軸の周りに設けられて、アクチュエータ部材に付与される旋回変位力の適用により、均衡位置を越えて、旋回軸の周りを旋回変位して、浮揚部材の上昇浮力を生成し、アクチュエータ部材に前記旋回変位力を加える手段が設けられ、前記変位力と前記上昇浮力とから浮揚部材に作用する結果として生じる力が生成され、結果として生じる力が、旋回軸を通って旋回軸に垂直に延び、可動物品に伝達されて可動物品を変位させることを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公表番号】特表2006−516314(P2006−516314A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501318(P2005−501318)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004512
【国際公開番号】WO2004/036037
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505150073)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004512
【国際公開番号】WO2004/036037
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505150073)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]