説明

浮遊物撹拌式展示装置

【課題】展示物の前面に独立した展示装置を密着設置して内部の浮遊物を持続的に撹拌、循環させ展示物と一体的な情景の演出効果を得ようとするものは従来見当たらない。展示物と浮遊物を分離した容器にそれぞれ収納しながら、浮遊物のみを独立して持続的に撹拌浮遊させあたかも展示物に降りかかったり、その周囲や表面に舞い散ったりするように見える演出効果が求められる。
【解決手段】厚みを極力薄くした矩形の前面と背面を透明にした直方体容器内に封入した浮遊物を撹拌装置で撹拌、循環させ背後に密接して設ける展示物もしくはその収納容器と一体的に見える展効果を実現する。浮遊物は水等の液体もしくは空気等気体中で浮遊させ、これ等の撹拌はそれぞれ液体中に浸漬して設ける水中モーター等駆動装置により駆動されるプロペラ等撹拌翼の回転もしくは、気体中で通常のモーター等駆動装置でファン等撹拌翼の回転で得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人形、絵画等立体的な物や平面的な物などを飾って展示する際、その前面に設けて前記展示物に雪、花等が持続的に降ったり舞ったりするように見える展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は玩具や置物として用いられるスノードームに似ているが全く用途、方法及び効果が異なる。参考にスノードームはスノーグローブとも呼ばれ、主に球形状やドーム形状のガラスやアクリル樹脂等透明体で形成されその内部中央に人形やフィギュア等展示物を置きその周囲を水や油等の透明液体(以下液体)ならびにこれに浮遊可能な粉体や箔(以下浮遊物)を封入したものでこれを使用者が手で上下逆さまにしたり振ったりすることにより内部の浮遊物が撹拌されもとの位置に戻す時内部を浮遊物が循環し、沈降する際の展示効果を暫時愉しむことができる。しかるに本発明は展示物が直接水等の液体および浮遊物と接触しないでそのままの状態で展示できるようにそれぞれが分離されながらあたかも一体的に前項で述べたような展示効果を持続的にあげることができる全く新規の技術である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来本発明と同様のものは見当たらない。展示物と浮遊物を分離した容器にそれぞれ収納しながら、浮遊物のみを独立して持続的に撹拌浮遊させあたかも展示物に降りかかったり、その周囲や表面に舞い散ったりするように見える演出効果が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は展示物の前面に独立した展示装置を密着設置して内部の浮遊物を持続的に撹拌、循環させ前項で述べたような演出効果を得ようとする。浮遊物を通常のスノードームのように水等の液体中で用いる場合には材料や挙動特性がスノードームに近似したものが得やすく撹拌は液体中に浸漬して設けられる水中モーター等駆動装置およびこれに接続され駆動されるプロペラ等撹拌翼の回転で得る。上記は全て同一容器に封入されるが液漏れの無い様対策を要し、重量も大きくなりやすい。一方浮遊物を空気等気体中で用いることも可能でこの場合浮遊物は通常のモーター等駆動装置でファン等撹拌翼が回転され撹拌、循環され液使用に比して軽く構造も簡易になりやすい。
【発明の効果】
【0005】
人形、フィギュア等立体物やレリーフ、パッチワーク等ある程度の凹凸を持つ物あるいは図画、文書等平面的な物などの展示物を飾る際、その前面に本発明にかかわる展示装置を密着して設け浮遊物を撹拌、循環させるとあたかもこの展示物に持続的に降ったり舞ったりするように見え展示物の内容と浮遊物の種類や特性が適合すると大きな展示演出効果が期待できる。例えば展示物がそれぞれサンタクロース人形、桜並木あるいは紅葉の山等の写真等の場合浮遊物を白い粉体にして降りしきる雪に、ピンク色にして櫻吹雪にあるいは朱色にして散って舞うモミジに見立てる等多様に演出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の展示装置は主に厚みが小なる矩形平面を有する直方体の容器より成り、その前面および対抗する位置の背面はガラスやアクリル等の材料で透明体とし、この背面外部に図画や文書等平面的な展示物は直接取り付けたり人形やフィギュア等の立体的なものは展示物容器に収納してこれを密着して取り付けたりして用いる。該展示装置の容器内には水等透明な液体や空気等気体およびそれぞれに適応して浮遊し得る浮遊物ならびにこれ等を撹拌させるための撹拌翼とその駆動装置を封入する。該駆動翼は液体に対してはプロペラを、気体に対してはファンを用い、いずれも駆動装置としてモーターを用いるが特に液体中ではモーターは例えば水中モーター等液封式とする。
【実施例】
【0007】
以下、本発明を図1の応用実施例について説明する。図1は本発明による浮遊物撹拌式展示装置(以下展示装置)の概略斜視図を示す。図1における本発明の実施例で展示装置は主に厚みすなわち奥行きが比較的小なる矩形平面形状の直方体容器(1)から成り、その前面(2)およびこれに対抗する背面(3)は透明なガラスやアクリル等樹脂で構成され前面(2)の外面もしくは内面には飾り縁(7)を必要に応じて設ける。また容器(1)内には水等液体(図示せず)および撹拌時これに浮遊できる樹脂の微粒や小箔片あるいはアルミ小箔片等浮遊物(6)ならびにプロペラ等撹拌翼(5)と水中モーター等駆動装置(4)を機械的に結合してなる一対の撹拌装置を封入する。撹拌装置は撹拌して生じる液体および浮遊物(6)の流れ方向が図1の矢印で示すように適切な循環をする位置でできるだけ容器(1)の側面に沿って設けられる。該容器(1)の上(天面)から雪や桜に見立てた浮遊物(6)が降ったり舞い落ちたり見えるようにする場合は同図実施例のように容器(1)の壁面上方に上る方向に設けると良好な循環流が得られることが多い。その循環速度は該駆動装置(4)に予め設けるギアや入力電圧による速度調調整装置(図示せず)で調節や撹拌翼(5)の形状あるいは浮遊物の材料、形状等の特性等の選定で調節する。
【0008】
前述の容器(1)内に充填されている液体を空気等気体に替え浮遊物(6)も気体中で浮遊しやすい嵩比重の小さい羽毛、綿や布、紙あるいは繊維系の樹脂等の材料替えて封入しても同じ目的に用いることができ、同様の効果が得られる。この際駆動装置(4)のモーターは通常の大気中での使用に供されるものでよく、撹拌翼(5)は送風用ファンに替え浮遊物(6)の撹拌速度や浮遊挙動を浮遊物(6)の特性とよくマッチさせる。なお、浮遊物(6)は液体中で用いる時と同様、色、形状等の調整をする。
【0009】
前面(2)に設けられる飾り縁(7)は必要に応じて撹拌翼(5)および駆動装置(4)等撹拌装置類を隠蔽し展示装置の美観を整え、かつ展示物の演出効果を向上させ得る。
【0010】
既述の展示装置は主たる構成体である容器(1)をそのまま、もしくは簡単な筐体(図示せず)に収納して展示物(11)の前面に設置して用いる。展示物(11)は既述のようにその形状の特性に応じて該展示装置の背面(3)にじかに密接させてもあるいは展示物収納容器(10)内に収納してこの容器を図1のように密接させてもよくこの密接度を確保するため必要に応じて容器(1)の背面(3)と展示物収納容器(10)の前面(図示せず)を互いに貼着あるいはネジや固定具(いずれも図示せず)を用いて互いにとめる。ここに容器(1)の厚みは極力薄くするほうが両者の一体感が増加する。なお、展示物(11)が店頭の展示商品でも展示装置をその直前に設置して用いることは可能で当然ながら容器(1)の躯体の大きさはそれに応じたものとなりウインドウディスプレイとして、また陳列棚やショーケースストッカー等容器の前面に設けたり扉やマドと複合したりして供せられる。また、背面(3)は必要に応じて非透明状態にして浮遊物(6)の動きだけを展示しても独特の展示効果が得られる。容器(1)内に直接展示物(11)を収納してスノードームのように浮遊物との混在による一体的な効果を得ることも可能である。
【0011】
本発明の他の応用実施例として容器(1)の側面に光源(12)を設け容器(1)内部の浮遊物(6)や展示物(11)を照明するとより展示の演出効果が向上することが期待できる場合がある。照明用の光の色や照度を変化させて気候や時間の変化を表現したり、ブラックライトの紫外光を用いて予めこれにより蛍光色を発するようにした浮遊物(6)や展示物(11)を暗闇で浮かび上がらせたりするのも場合により独自の展示効果が得られる。
【0012】
さらに他の応用実施例として容器(1)の形状を平面的には矩形だけでなく円形、楕円形あるいは平行四辺形や多角形に変えても厚みがほぼ一定の場合液体および浮遊物(6)の循環作動は原理的には可能である。立体的には直方体だけでなく球体、楕円体、ドーム形体や多面体でも同様に循環が円滑に得られる場合は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0013】
一般的にこのような動く部分がある展示物は注視されやすく店頭に置けば本展示装置自体のみならず周囲の商品の販促にも大きな効果が期待できるが、展示物と浮遊物の組み合わせおよび全体のデザインを含めた調和を季節や催事あるいは地域の景勝にあわせることにより全く新規の多種多用な応用商品が可能となり玩具、インテリア、飾り物、おしゃれやギフト等の雑貨商品業やみやげものや観光業等の民生産業全般の振興にひろく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る浮遊物撹拌式展示装置の概略斜視図を示す。
【符号の説明】
【0015】
(1)容器 (2)前面(3)背面 (4)駆動装置(5)撹拌翼 (6)浮遊物
(7)飾り縁 (10)展示物容器 (11)展示物 (12)光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水や油等の透明液体あるいは空気等気体と前記流体中を浮遊可能な浮遊物を内包する前面が透明で矩形の直方体容器を有し該容器内の側面に沿って少なくとも一対の撹拌翼とその駆動装置よりなる撹拌装置を設けこれを駆動することにより該浮遊物を撹拌し該容器内を循環させる展示装置。
【請求項2】
請求項1で述べた展示装置の前面および対抗する背面をともに透明とし、該背面に展示物を直接もしくは展示物を収納した容器を密接し、前面から展示物と浮遊物が重畳して一体的に見えるように構成する展示装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2で述べた展示装置の前面に飾り縁を設け該撹拌装置を隠蔽するとともに飾り効果をもたらすようにしてなる展示装置。
【請求項4】
請求項1および請求項2で述べた展示装置内に光源を設け該容器内の浮遊物および展示物を照明可能にしてなる展示装置。
【請求項5】
請求項1で述べた展示装置の該容器の平面形状を円形、楕円形あるいは平行四辺形や多角形でほぼ一定厚みの形状もしくは立体形状を球体、楕円体、ドーム形体や多面体あるいは前記各形状の混合による複合形状としてなる展示装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−118482(P2012−118482A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279820(P2010−279820)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(507014151)株式会社テラテック (14)
【Fターム(参考)】