説明

浮遊玩具

【課題】高度なテクニックを必要とせず、しかもリモートコントローラなどの機器を用いることなく年少者でも容易に制御することができ、浮遊玩具の浮揚を楽しむことができる浮遊玩具を提供すること。
【解決手段】玩具本体1の上面には水平回転翼2を配置するとともに、底面には該玩具本体1と着地面との距離を監視するセンサ15を配置し、上記センサ15の監視する玩具本体1と着地面との距離が所定の距離より少なくなったとき、上記水平回転翼2の回転数を所定時間上昇させる制御部16を設け、回転数が上がったときには玩具本体1が上昇するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊玩具、詳しくはリモートコントローラを使用せずに浮遊玩具を遠隔操作することができる浮遊玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浮遊玩具としてはヘリコプターのような水平回転翼を備え、上下方向に浮揚する浮遊玩具が提案され実用化されている。この浮遊玩具はユーザーの手から離れて空中を移動するためにリモートコントローラで遠隔操縦する必要があった。しかし、走行玩具などと異なりその操縦には高度なテクニックが要求されるため、遠隔操作を練習する練習装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−290327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、空中を移動する浮遊玩具は上述の練習装置を用いても簡単にテクニックを向上させることは難しく、年少者には浮遊玩具で遊ぶことは難しい点であった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、高度なテクニックを必要とせず、しかもリモートコントローラなどの機器を用いることなく年少者でも容易に制御することができ、浮遊玩具の浮揚を楽しむことができる浮遊玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る浮遊玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)玩具本体の上面には水平回転翼が配置されていること
(ロ)上記玩具本体の底面には該玩具本体と着地面との距離を監視するセンサが配置されていること
(ハ)上記玩具本体には上記センサの監視する着地面との距離が所定の距離より少なくなったとき、上記水平回転翼の回転数を所定時間上昇させる制御部を設けたこと
なお、前記玩具本体を人形を模して形成し、ヘリコプター玩具などの機械的な玩具体が空中を浮遊するのと異なり、親近感のある人形が空中を浮遊するようにし、男児だけではなく女児も楽しむことができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、玩具本体の下方に手の平を差し出すことにより、手の平から放射される赤外線を検出して浮遊玩具は浮揚するので、玩具本体に直接手を触れることなくしかもリモートコントローラのような操縦装置を必要とすることなく遠隔操作することができるので、年少者にも楽しむことができる浮遊玩具を提供することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、ヘリコプターなどの機械的な浮遊体が空中を移動するのと異なり、親近感のある人形が空中を移動するので、女児も楽しむことができる浮遊玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
玩具本体の上面には水平回転翼を配置するとともに、玩具本体の底面には赤外線を検出するセンサを配置し、玩具本体の下方に手のひらを差し出すことにより、上記センサが手のひらから放射される赤外線を検出し、上記水平回転翼の回転数が所定時間上昇し、玩具本体は上昇するようにした。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明に係る浮遊玩具の一例を示し、この浮遊玩具Aは人形を模して形成された玩具本体1の頭部に、水平回転翼2が設けられているもので、この水平回転翼2が回転することにより浮遊玩具Aは空中を浮遊するようになっている。
【0010】
水平回転翼2は第1の回転翼3と第2の回転翼4とで構成され、図2、図3に示すように、第1の回転翼3は中軸5の上端に固定され、第2の回転翼4は中空の外軸6の上端に固定され、中軸5の下端と外軸6の下端とには夫々笠歯車7、8が互いに対向するように固定されている。この2つの笠歯車7、8には駆動笠歯車9が噛み合い、駆動笠歯車9が回転すると、2つの笠歯車7、8は異なる方向に回転するようになっている。第1の回転翼3は浮遊用の回転翼で、第2の回転翼4は第1の回転翼3とは逆方向に回転することにより玩具本体1の回転(自転)を抑止するようになっている。
【0011】
そして、上記2つの回転翼3、4は1つのモータ10で回転するようになっており、モータ10の回転軸に固定された歯車12にはクラウン歯車13が噛み合い、クラウン歯車13の回転軸には上述の駆動笠歯車9が固定され、モータ10が回転すると、歯車12、クラウン歯車13を介して駆動笠歯車9が回転し、この駆動笠歯車9に噛み合った笠歯車7、8が夫々異なる方向に回転するようになっている。
【0012】
上記モータ10の回転は2段階に設定され、低回転では回転翼2の回転による浮揚力と浮遊玩具の重量とが略等しく、ホバーリング状態が維持されてゆっくりと下降し、高回転では回転翼2の回転による浮揚力が大きくなり、浮遊玩具Aは上昇するようになっている。
【0013】
そして、玩具本体1の底面には玩具本体Aと着地面との距離を監視するセンサ15が設けてある。このセンサ15は赤外線発光LED15aと赤外線受光モジュール15bとからなる、赤外線距離センサを用いればよい。
【0014】
本実施例では監視する距離を1メートル程度に設定し、玩具本体Aの底面と着地面との距離が1メートル程度になったら、制御部16はモータ10の回転を上昇させる回転上昇信号V1を出力し、モータ10に高い電圧T1を印加して水平回転翼2の回転を上げて玩具本体1を上昇させ、回転上昇信号V1を一定時間出力した後は、定回転信号V2を出力し、モータ10に低い電圧T2を印加してモータ10の回転を下げ、水平回転翼2の回転を下げて玩具本体1の高度を維持するようにしている(図4参照)。
【0015】
なお、上記モータ10の電源は二次電池17で構成され、図5に示すように、玩具本体1を充電器Bにセットすれば、玩具本体1の底面に露出した接点18a、18bが充電器のBの充電接点19a、19bに接触し、二次電池17が充電されるようになっている。
【0016】
上記構成の浮遊玩具によれば、先ず、玩具本体1を充電器Bにセットし二次電池17を充電する。このとき、スイッチ20がOFFになり充電中にモータ10が回転することはない。充電が完了すると充電器の充電ランプ21が消灯するので、玩具本体1を充電器Bから外すとスイッチ20がONになり、モータ10が回転して、水平回転翼2が回転する。この時点では、玩具本体1と着地面との距離が小さいので制御部16はモータ10を速く回転させるので、水平回転翼2が速く回転し、手を離すと玩具本体1は上昇する。しばらくするとモータ10は定回転になり回転は下がるので、玩具本体1は空中を漂うように浮遊しながら徐々に下降してくる。
【0017】
図1に示すように、手の平を玩具本体1の下方に差し出すと、手の平と玩具本体1との距離が小さくなり、センサ15が距離が小さくなったことを検出するので制御部16は再びモータ10の回転を上げて、玩具本体1を再び上昇させる。もちろん、手を差し出さなくても玩具本体1が床面に接近すると同様にモータ10の回転が上がり、玩具本体1は上昇することになる。
【0018】
上述のように、浮遊する玩具本体1の下方に手を差し出すだけで、玩具本体1を上昇させることができ、リモートコントローラを用いることなく浮遊玩具Aの浮遊状態を制御することができ、特別に訓練したテクニックを必要としないので年少者にも浮遊玩具の浮遊を制御して楽しむことができる。
【0019】
そして、玩具本体1がヘリコプターや飛行機などと異なり人形玩具で構成したので、女児玩具としても女児に受け入れられ、癒し系玩具としても幅の広い対象に受け入れられる浮遊玩具を実現することができる。
【0020】
なお、上述の浮遊玩具では、水平回転翼2を上下に2つ配置し、上側の水平回転翼(第1の回転翼3)を浮遊用の回転翼にし、下側の水平回転翼(第2の回転翼4)を第1の回転翼3とは逆方向に回転させることにより玩具本体1の自転を抑止するようにしていたが、図6に示すように、第2の回転翼4に代えて玩具本体1の手部1aにヘリコプターのテイルロータに相当する第3の回転翼25を設けてもよい。この第3の回転翼25は、図示しないモータで回転するようになっており、この第3の回転翼25を常時回転させることにより、玩具本体1の自転を抑止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る浮遊玩具の使用状態説明図
【図2】水平回転翼の構成を説明する側面図
【図3】上記水平回転翼の構成を説明する分解斜視図
【図4】上記浮遊玩具の電気的構成を説明するブロック図
【図5】上記浮遊玩具と充電器との関係を説明する正面図
【図6】上記浮遊玩具の他の例を説明する正面図
【符号の説明】
【0022】
1 玩具本体
2 水平回転翼
10 モータ
15 センサ
16 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする浮遊玩具。
(イ)玩具本体の上面には水平回転翼が配置されていること
(ロ)上記玩具本体の底面には該玩具本体と着地面との距離を監視するセンサが配置されていること
(ハ)上記玩具本体には上記センサの監視する着地面との距離が所定の距離より少なくなったとき、上記水平回転翼の回転数を所定時間上昇させる制御部を設けたこと
【請求項2】
前記玩具本体は人形を模して形成された、請求項1記載の浮遊玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−247056(P2006−247056A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66031(P2005−66031)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】