説明

浴室テレビ装置

【課題】モニタ部とチューナ部とが別個の場所に設置される浴室用テレビ装置では、両者をハーネスを介して相互に接続する必要がある。そして画像信号をチューナ部からモニタ部に対してコンポーネント信号によって送信する場合には、コンポーネント信号の誤接続によってはモニタ部に表示される画像の形状は正常で色彩のみが異常である状態が生じる場合がある。モニタ部を固定する前に誤配線を発見しやすくする浴室用テレビ装置を提供する。
【解決手段】コンポーネント信号によってチューナ部からモニタ部に対して映像を送信するものにあっては、浴室に設置した際のハーネスの接続状態をチェックするテスト時に、モニタ部に、青と赤の内の少なくとも一方の色彩によるテスト用表示をさせる信号をチューナ部からモニタ部に出力するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設置されるモニタ部と、浴室外に設置されるチューナ部とからなり、両者をハーネスで接続する浴室テレビ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居間などに設置されるテレビ装置では、液晶等のモニタ部と、受信した放送電波から画像信号を抽出してモニタ部に供給するチューナ部とは同じケーシング内に収納されている。これに対して、浴室に設置される浴室テレビ装置では、モニタ部のサイズがある程度大きくなると、ケーシングを小さくし、あるいは発熱の影響を避けるため、チューナ部をモニタ部に対して別個に設け、浴室外の、たとえば浴室の天井裏に設置する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような、チューナ部とモニタ部とを別個に設けるタイプの浴室テレビ装置では、工場から設置場所までの移送の利便性を考慮して、相互に接続されていない状態で出荷される。従って、設置工事の際に、チューナ部とモニタ部とをハーネスを用いて相互に接続する必要がある。このハーネスは、チューナ部からモニタ部へ電力を供給する電源ラインや、相互に制御信号を送受信する通信ラインのほかに、チューナ部からモニタ部に画像信号を送信するための画像信号ラインが含まれている。
【0004】
チューナ部からモニタ部へ画像信号を送信する方式として複数の方式が知られているが、一般的にコンポーネント信号によって画像信号を送信する方式が広く使用されている。このコンポーネント信号は3本のラインから構成されており、各ラインには、水平・垂直同期信号と輝度信号とを相互に重畳した複合同期信号Yと、青色成分の画像信号と輝度信号との差分である青の差分信号(CbまたはPb)と、赤色成分の画像信号と輝度信号との差分である赤の差分信号(CrまたはPr)とが各々送信される。
【0005】
ハーネスに含まれるこれら3本のラインには同一形状のコネクタが各々設けられており、チューナ部やモニタ部に設けられたコネクタに各々接続される。なお、3本のラインには同一の形状のコネクタが設けられているため、誤接続を防止するため、各コネクタには各々異なった色彩が付されており、同じ色彩の付されたコネクタ同士を接続することにより誤接続が生じないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−166556号公報(請求項1、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成では、ハーネスは浴室の壁面に沿って浴室の外側に配線されるため、一旦配線が完了してモニタ部が浴室の壁面に固定された後は容易に点検することができない。モニタ部は壁面にネジで固定された後、壁面とモニタ部との間をコーキング剤でシールするので、仮にコネクタの誤接続が生じているとモニタ部を外す大がかりな工事を行わなければならない。
【0008】
一方、特に青の差分信号のラインと赤の差分信号のラインとが相互に入れ替わって接続された場合には、表示される画像は単に色彩が正常でないだけで画像自体は表示される。したがって、施工時に画像が表示されているだけで正常に配線ができていると誤解して、そのままの誤配線されたままで工事を終了させてしまうおそれが生じる。
【0009】
なお、配線時に誤接続を防止するため照明を設けることも提案されているが(特開2001−217911号)、別途照明を設けなければならず、コストが高くなるという不具合を伴うため直ちに採用することはできない。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、別途照明を設けることなく誤配線を発見しやすくすることのできる浴室テレビ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明による浴室テレビ装置は、浴室外に設置されたチューナ部と浴室内に設置されたモニタ部とを、これらチューナ部とモニタ部との少なくとも一方に対して着脱自在のハーネスを介して接続する浴室テレビ装置であって、輝度信号と同期信号とが相互に重畳された複合同期信号と、赤信号と輝度信号との差分である赤の差分信号と、赤信号と輝度信号との差分である青の差分信号との3つの信号からなるコンポーネント信号によってチューナ部からモニタ部に対して映像を送信するものにおいて、浴室に設置した際のハーネスの接続状態をチェックするテスト時に、モニタ部に、青と赤の内の少なくとも一方の色彩によるテスト用表示をさせる信号をチューナ部からモニタ部に出力するようにしたことを特徴とする。
【0012】
浴室に浴室テレビ装置を設置する際には、ハーネスの誤接続を回避するためにコーキングをする前などにモニタ部とチューナ部とに通電してテスト表示をさせることが望ましい。ただし、テスト表示が一見正常に表示されたかのように見えても色彩が異常となる誤接続が起こるおそれが生じる。そこで、青と赤の内の少なくとも一方の色彩によるテスト用表示をさせる信号をチューナ部からモニタ部に出力することにより、本来の色彩でテスト表示がされているか否かにより誤接続の有無を判別できるようにした。
【0013】
なお、上記テスト表示として、コンポーネント信号に関する誤配線の判別方法および誤配線の修復方法の少なくとも一方を表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明は、モニタ部での表示が色彩についての異常が生じるような誤接続が発生していた場合に、そのような色彩異常の発生を確実に発見することができるので、誤接続が生じたままでモニタ部と浴室の壁面との間をコーキングで塞ぐ前に誤接続を正常な状態に戻すことができる。そのため、コーキング施工がされた後に誤接続を修正するという大がかりな工事を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】ハーネスの接続状態を示す図
【図3】テスト表示の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、1は本発明による浴室テレビ装置が設置される浴室である。浴室テレビ装置は、浴室1の壁面11に取り付けられるモニタ部2と、浴室1の天井裏に設置されるチューナ部3とから構成されており、これらモニタ部2とチューナ部3とは複数本のリード線が束ねられたハーネス4によって相互に接続されている。
【0017】
チューナ部3には図示しないが、電源コードが設けられており、モニタ部2へはハーネス4の一部の電源ラインを介して電力が供給される。また、モニタ部2およびチューナ部3には各々通信回路が設けられており、モニタ部2側にされた電源のオンオフ操作や音量調節操作、チャンネル変更操作はモニタ部2からハーネス4の一部の通信ラインを介して送信される。ハーネス4にはこれら電源ラインや通信ラインの他のライン群42と、チューナ部3からモニタ部2に対して映像信号であるコンポーネント信号を送信するための映像用ライン群41とが設けられている。なお、30はテレビ放送電波を受信するためのアンテナである。
【0018】
本発明では、コンポーネント信号として輝度信号と2種類の差分(色差)信号とからなる方式を用いている。さらに、そのような方式のコンポーネント信号として、高画質であるHDTV用のカラーマトリクスを用いたものを以下に示す。
輝度: Y = 0.2126*R + 0.7152*G + 0.0722*B
色差: Pb= 0.5389*(B-Y) = -0.1146*R - 0.3854*G + 0.5000*B
【0019】
Pr= 0.6350*(R-Y) = 0.5000*R - 0.4542*G - 0.0458*B
【0020】
図2に示すように、ハーネス4の映像用ライン群41のうち、輝度信号と同期信号とが相互に重畳された複合同期信号を輝度ライン41Yに流し、青成分と輝度信号との差分である青の差分信号を青差分ライン41Pbに流し、赤成分と輝度信号との差分である赤の差分信号を赤差分ライン41Prに流すようにした。ただし、映像用ライン群41の両端はそれぞれモニタ部2とチューナ部3とに接続される。そして各ラインの両端に設けられているコネクタは相互に同一形状のものが用いられる。したがって、両端部で合計6箇所の接続を行う際に、本来接続しなければならない相手同士ではない組み合わせで接続される可能性がある。
【0021】
例えば、同期信号について正常に接続されなければ、チューナ部3からモニタ部2にテスト画像信号を送信しても、テスト画像は正常に表示されない。したがって、テスト画像として文字画像を送信しても文字として判別することができない。したがって、映像用ライン群41の3本のラインのいずれかに誤配線が発生していることを認識することができる。
【0022】
これに対して、青の差分信号と赤の差分信号とが相互に入れ替わってモニタ部2に入力されると、画像の形状自体は正常に表示されるので、テスト画像が文字画像である場合には、文字を判別することができる。そのため、設置作業者が、映像用ライン群41について正常に接続されているものと誤解して、モニタ部2を壁面11に固定し、さらにコーキングを施工するおそれが生じる。
【0023】
そこで、本実施の形態では、図3に例示するように、テスト画像自体が青色および赤色で表示されるようにした。即ち、図3のテレビ画面23に表示されるテスト用の文字24の内、「青」の文字を青色で表示し、「赤」の文字を赤色で表示するようにした。そして、各々青色および赤色で表示されていることの確認を促す注意文章を表示させることにより、たとえ文字の形状が正常に表示されていても色彩まで正常であるかを確実に確認させるようにした。そして、「青」や「赤」の字が各々青色および赤色に表示されていなければ、モニタ部2を壁面に固定する前にコネクタの接続を確認できるようにした。
【0024】
具体的には、輝度ライン41Yのコネクタを緑色に着色し、青差分ライン41Pbのコネクタを青色に着色し、赤差分ライン41Prのコネクタを赤色に着色している。そして、テレビ画面23の表示されたテスト用の文字24は判別できるが、色が正常に表示されていない場合には、青差分ライン41Pbと赤差分ライン41Prとが反対に接続されているため、青コネクタと赤コネクタを差し替えるように具体的な対処方法を表示させることとした。
【0025】
また、テスト用の文字24の下方に着色エリア25を設定し、この着色エリア25を白色もしくは灰色で着色するようにした。これは輝度ライン41Yが誤接続された場合に用いるためのもので、輝度ライン41Yが誤接続されていると表示は乱れるものの、着色エリア25の色彩は視認することができる。そこで、着色エリア25の色彩が白色もしくは灰色ではなく赤色が強調された色彩として表示されている場合、輝度ライン41Yと赤差分ライン41Prとが反対に接続されたことがわかる。また、着色エリア25の色彩が青色が強調された色彩として表示されている場合には、輝度ライン41Yと青差分ライン41Pbとが反対に接続されたことがわかる。ところで、テレビ画面23の全範囲を白色もしくは灰色に表示しないのは、部分的に着色エリア25を限定することによって、作業者の注意を促すためである。
【0026】
ところで、コネクタの誤接続はハーネス4の両端で生じる可能性がある。すなわち、モニタ部2の近傍位置とチューナ部3の近傍位置との2箇所で誤接続が生じる可能性がある。モニタ部2の近傍位置で誤接続が生じた場合、モニタ部2を固定する前に上述のテスト用の表示を行えば、モニタ部2の近傍位置での誤接続を修正することができる。ところが、新築の住宅等では浴室テレビ装置を設置する時点では給電がされておらず、モニタ部2を固定する前にテスト用の表示ができない場合がある。したがって、テスト表示を行うのはモニタ部2を固定したあとになるが、モニタ部2の近傍位置で誤接続が生じていた場合、モニタ部2を外して誤接続を修正することは工数の観点から望ましくない。
【0027】
そこで、そのような場合には、チューナ部3の近傍位置の正常に接続されているコネクタを、モニタ部2の近傍位置での誤接続に合わせて、あえて誤接続させることにより、モニタ部2での表示を正常なものとする。すなわち、例えばモニタ部2の近傍位置で赤差分ラインPrと青差分ラインPbとが入れ替わっている場合には、チューナ部3の近傍位置での正常な接続状態から赤色のコネクタと青色のコネクタとを差し替える。
【0028】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0029】
1 浴室
2 モニタ部
3 チューナ部
4 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室外に設置されたチューナ部と浴室内に設置されたモニタ部とを、これらチューナ部とモニタ部との少なくとも一方に対して着脱自在のハーネスを介して接続する浴室テレビ装置であって、輝度信号と同期信号とが相互に重畳された複合同期信号と、赤成分と輝度信号との差分である赤の差分信号と、青成分と輝度信号との差分である青の差分信号との3つの信号からなるコンポーネント信号によってチューナ部からモニタ部に対して映像を送信するものにおいて、浴室に設置した際のハーネスの接続状態をチェックするテスト時に、モニタ部に、青と赤の内の少なくとも一方の色彩によるテスト用表示をさせる信号をチューナ部からモニタ部に出力するようにしたことを特徴とする浴室テレビ装置。
【請求項2】
上記テスト表示として、コンポーネント信号に関する誤配線の判別方法および誤配線の修復方法の少なくとも一方を表示することを特徴とする請求項1記載の浴室テレビ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−23976(P2011−23976A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167149(P2009−167149)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】