説明

浴室ユニットの梱包構造

【課題】パレットを使用することなく、フォークリフトで持ち上げることが可能となる浴室ユニットの梱包構造を提供する。
【解決手段】下面に設置脚7を垂下した床パン1上に、浴槽2、壁パネル3、ジョイナー4、浴室関連部材6、天井パネル5を積み重ねて全体を一体に梱包する。梱包状態で、前記床パン1下面に垂下した前記設置脚7間がフォーク挿入用隙間12となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室ユニットの構成部品すべてを一体に梱包するものが、特許文献1、特許文献2により知られている。
【0003】
特許文献1、特許文献2に示される従来例は、いずれもパレット上に壁パネル、天井パネル、床パン、浴槽、その他の部品を重ねて載置し、これらをパレットと共に一体に結束することで、パレットと一体に結束された浴槽ユニット梱包体を形成するようにしている。
【0004】
前記パレットと一体に結束された浴槽ユニット梱包体は、出荷時などにおいて、フォークリフトを用いてパレットを持ち上げてトラックに載せることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−295387号公報
【特許文献2】特開平11−147588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1、2に示された従来例はフォークリフトで持ち上げてトラックに載せるためには、別途パレットが必要である。しかも、使用したパレットは現場から回収しなければならない。したがって、従来は、パレットの購入費用、回収費用等が発生する。
【0007】
本発明は、前記の従来例の問題点に鑑みて発明したもので、その目的とするところは、パレットを使用することなく、フォークリフトで持ち上げることが可能となる浴室ユニットの梱包構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浴室ユニットの梱包構造は、下面に設置脚を垂下した床パン上に、浴槽、壁パネル、ジョイナー、浴室関連部材、天井パネルを積み重ねて全体を一体に梱包し、梱包状態で、前記床パン下面に垂下した前記設置脚間がフォーク挿入用隙間と成っていることを特徴とする。
【0009】
また、前記床パン上に設置した前記浴槽内に前記浴槽関連部材の一部を収納し、前記浴槽の四周フランジのうち三辺のフランジの先端に水返し突片を突出し、前記三辺のフランジに突設した前記水返し突片のうち対向する一対の水返し突片に一対のホルダーの下面部の係止溝を嵌め込み係止し、前記対向する一対のホルダー上に前記複数の長尺のジョイナーを架設して支持し、この複数の長尺のジョイナーの上に前記複数の壁パネルを載置し、壁パネルの上に一対の支持台を間隔をあけて載置し、この一対の支持台の上に前記短尺のジョイナーを架設して支持し、前記壁パネルと前記短尺のジョイナーとの間の隙間に前記浴室関連部材の他の一部を収納し、前記天井パネルの三辺に下方に向けて突出する下向き突出部を設け、前記一対の天井パネルを前記下向き突出部の先端部同士を合わせた状態で前記前記短尺のジョイナーの上に載置し、前記合わせた一対の天井パネルの中央部間に形成した隙間に前記浴室関連部材の更に他の一部を収納することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、梱包状態で床パン下面に垂下した前記設置脚間がフォーク挿入用隙間となっているので、別途パレットを必要とすることなく、梱包状態で設置脚間に形成されるフォーク挿入用隙間にフォークリフトのフォークを挿入して持ち上げることができる。したがって、従来のように別途パレットを必要とせず、パレットの費用、回収費用が必要でなく、コストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の分解斜視図である。
【図2】同上の梱包状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
浴室ユニットの構成部品は、図1に示すように床パン1、浴槽2、壁パネル3、壁パネル3を連結するためのジョイナー4、天井パネル5、前記以外の様々な浴室関連部材6よりなる。これらの浴室ユニットの構成部品は、工場から出荷する際に、図2のように一まとめにして梱包して出荷される。
【0014】
床パン1は洗い場の床となるもので、平面視四角形状(長方形状)をしていて、下面部の四隅に下方に向けて設置脚7を垂下している。この設置脚7は高さ調整機能を有するアジャスターボルトにより構成しており、床パン1をスラブなどの上に設置する際、床パン1の水平調整を行うことができるようになっている。
【0015】
床パン1は床排水口8を有しており、この床排水口8は、床パン1の上面より下方に凹んだ凹所8aと凹所8aの底に形成した排水孔部8bとで構成している。
【0016】
浴槽2は上端開口の周囲にフランジ9を設けており、四周のフランジ9のうち三辺のフランジ9(二長辺のフランジ9のうちの一長辺のフランジ9と、二短辺のフランジ9)の先端に上方に向けて水返し突片10を突出している。
【0017】
浴槽2には浴槽排水部11を設けており、この浴槽排水部11は浴槽2の下面から下方に突出している。
【0018】
壁パネル3としては、床パン1の浴槽2と隣接する端縁を除く三辺に沿って建て込むための複数の背の高い壁パネル3aと、浴槽2の三辺のフランジ9の水返し突片10に沿って立設する複数の背の低い壁パネル3bとがある。
【0019】
ジョイナー4は隣接する壁パネル3同士を連結するための棒状の部材であり、このジョイナー4としては、長尺のジョイナー4aと、短尺のジョイナー4bとがある。
【0020】
長尺のジョイナー4aは、前記背の高い壁パネル3a同士を連結するための部材である。
【0021】
また、短尺のジョイナー4bは、背の低い壁パネル3b同士の連結、及び、背の低い壁パネル3bと背の高い壁パネル3aとを連結するための部材である。
【0022】
天井パネル5は2枚あり、各天井パネル5はそれぞれ4辺のうち三辺に全長にわたり下方に向けて突出する下向き突出部13を設けている。
【0023】
2枚の天井パネル5の下面及び下向き突出部13の内面は浴室内に露出する面であり、この面は化粧仕上げをした意匠面となっている。
【0024】
天井パネル5の外面(浴室ユニット組立時に上面となる面)には、梱包時にジョイナー4を嵌め込むための嵌め込み溝21を設けている。
【0025】
そして、梱包時には一対の天井パネル5を下向き突出部13の先端部同士を合わせ、対向する内面間に隙間14を形成するようになっている。
【0026】
なお、前記一対の天井パネル5は、浴室ユニット組立時に、下向き突出部13を設けていない辺同士をつき合わせ連結することで、浴室ユニットの天井を構成するようになっている。
【0027】
浴室関連部材6としては、図1に示すように換気扇、水栓器具、照明器具、握りバー、タオル掛け等の浴室関連小物部材6a、エプロン、カウンター、窓枠、配水管等の浴室関連長物部材6b、浴槽蓋、裏配管等の浴室関連平物部材6cがある。これらの、浴室関連小物部材6a、浴室関連長物部材6b、浴室関連平物部材6cは、それぞれ個別の部材毎に包装袋に入れたり、包装用紙で梱包したり、ダンボール箱に入れたりして梱包してある。
【0028】
前記の浴室ユニットの構成部品は一つの浴槽ユニット毎にまとめて梱包する。梱包に当たっては以下のようにして行う。
【0029】
まず、下面に設置脚7を垂下した床パン1上に浴槽2の下面部を載せる。この場合、浴槽2の浴槽排水部11を床パン1は床排水口8に嵌め込むことで、浴槽2の床パン1に対するずれ防止を行うと共に、梱包に当たって浴槽排水部11を床排水口8に逃す。
【0030】
次に、浴槽2の上に一対のホルダー15を設置する。
【0031】
ホルダー15はダンボールや発泡合成樹脂により形成してあり、浴槽2の二短辺のフランジ9の長さと略同じ長さとなっており、下面部に長手方向に沿って係止溝16を形成し、上面部に長手方向に複数の溝状の保持部17を所定間隔を隔てて形成している。
【0032】
浴槽2の二つの短辺のフランジ9の先端から上方に突出した水返し突片10にそれぞれホルダー15の下面部の係止溝16を嵌め込んで係止することで、対向する短辺側の一対の水返し突片10にそれぞれホルダー15を取付ける。
【0033】
このホルダー15を取付けた後、又は、ホルダー15を取付ける前に、浴槽2内に浴室関連部材6の一部である浴室関連小物部材6aを収納する。
【0034】
次に、対向する一対のホルダー15に複数の長尺のジョイナー4aを架け渡して並設する。この場合、各長尺のジョイナー4aの両端部をそれぞれホルダー15の保持部17に嵌め込んで保持する。
【0035】
長尺のジョイナー4aはダンボールや発泡合成樹脂により形成したホルダー15を介して浴槽2の上に積み重ねるので、長尺のジョイナー4aが直接浴槽2の上面に接することがなく、浴槽2の上面を傷つけることがない。
【0036】
この複数の並設した長尺のジョイナー4a上に複数の壁パネル3を載置する。この場合、複数の背の高い壁パネル3aが下に、複数の背の低い壁パネル3bが上になるように積み重ねる。ここで、長尺のジョイナー4aは梱包に当たって複数の壁パネル3を載置するための根太の役目を兼用することになる。
【0037】
壁パネル3は内面が化粧面となっており、化粧面を傷付けないように、保護シートやダンボールで被覆してある。
【0038】
次に、複数の長尺のジョイナー4aの上に複数の壁パネル3を積み重ね載置した後、この壁パネル3の上に一対の支持台18を載置する。
【0039】
支持台18は、図1に示すように、帯状をした下板部18aの長手方向の両端部から支持突部18bを突設し、支持突部18b間を上連結桟18cで連結し、上連結桟18cに長手方向に沿って複数の支持軸18dを所定間隔で上方に向けて突出して構成している。
【0040】
この一対の支持台18には複数の短尺のジョイナー4を架け渡して支持する。支持に当たっては、短尺のジョイナー4bの長手方向の両端部に孔22を設け、この短尺のジョイナー4bの両端部の孔22を上記支持台18の支持軸18dに嵌め込むことで支持する。
【0041】
このように壁パネル3の上に載置した支持台18に複数の短尺のジョイナー4bを架け渡すと、壁パネル3と短尺のジョイナー4bとの間の隙間が形成されるので、この隙間に浴室関連部材6の一部である浴室関連長物部材6bを収納する。
【0042】
複数の並設した短尺のジョイナー4b上には、天井パネル5を載置する。載置に当たっては、前述のように、一対の天井パネル5を下向き突出部13の先端部同士を合わせた状態で、短尺のジョイナー4bに載置する。この場合、下に位置する天井パネル5の外面に形成した各嵌め込み溝21をそれぞれ複数の短尺のジョイナー4bに嵌め込み、天井パネル5がずれないように保持する。そして、短尺のジョイナー4bは梱包に当たって天井パネル5を載置するための根太の役目を兼用することになる。
【0043】
一対の天井パネル5の対向する内面間に形成された隙間14には浴室関連部材6の一部である浴室関連平物部材6cを収納する。
【0044】
上記のようにして下面に設置脚7を垂下した床パン1の上に、浴槽2、壁パネル3、ジョイナー4、浴室関連部材6、天井パネル5を積み重ね且つ収納した状態で、図2のように全体をベルト19や紐で結束し、更に、必要に応じてシュリンクラップ20でラップする。このように一部屋分の浴室ユニットの全構成部材を一まとめにして梱包した梱包状態において、図2に示すように、床パン1下面に垂下した設置脚7間がフォーク挿入用隙間12として開口している。
【0045】
したがって、出荷の際に、床パン1下面に垂下した設置脚7間の隙間であるフォーク挿入用隙間12にフォークリフトのフォークを差し込んで、持ち上げて移動でき、トラックの荷台に簡単に載せることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 床パン
2 浴槽
3 壁パネル
4 ジョイナー
4a 長尺のジョイナー
4b 短尺のジョイナー
5 天井パネル
6 浴室関連部材
7 設置脚
9 フランジ
10 水返し突片
12 フォーク挿入用隙間
15 ホルダー
13 下向き突出部
18 支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に設置脚を垂下した床パン上に、浴槽、壁パネル、ジョイナー、浴室関連部材、天井パネルを積み重ねて全体を一体に梱包し、梱包状態で、前記床パン下面に垂下した前記設置脚間がフォーク挿入用隙間となっていることを特徴とする浴室ユニットの梱包構造。
【請求項2】
前記床パン上に設置した前記浴槽内に前記浴槽関連部材の一部を収納し、前記浴槽の四周フランジのうち三辺のフランジの先端に水返し突片を突出し、前記三辺のフランジに突設した前記水返し突片のうち対向する一対の水返し突片に一対のホルダーの下面部の係止溝を嵌め込み係止し、前記対向する一対のホルダー上に前記複数の長尺のジョイナーを架設して支持し、この複数の長尺のジョイナーの上に前記複数の壁パネルを載置し、この壁パネルの上に一対の支持台を間隔をあけて載置し、この一対の支持台の上に前記短尺のジョイナーを架設して支持し、前記壁パネルと前記短尺のジョイナーとの間の隙間に前記浴室関連部材の他の一部を収納し、前記天井パネルの三辺に下方に向けて突出する下向き突出部を設け、前記一対の天井パネルを前記下向き突出部の先端部同士を合わせた状態で前記前記短尺のジョイナーの上に載置し、前記合わせた一対の天井パネルの中央部間に形成した隙間に前記浴室関連部材の更に他の一部を収納して成ることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニットの梱包構造。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−25479(P2012−25479A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168657(P2010−168657)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】