説明

浴室洗浄装置及び浴室ユニット

【課題】本発明は、浴室の洗い場近傍の汚れを効果的に洗浄し、ヌメリやピンク汚れなどの微生物汚れをも効果的に抑制することのできる浴室洗浄装置及び浴室ユニットを提供する。
【解決手段】浴室の洗い場床面の略全体に洗浄水を吐水して洗い場床面上に付着した石鹸カスや皮脂等の有機物汚れを除去する有機物除去工程と、浴室の洗い場床面に殺菌水を吐水して洗い場床面上に殺菌水を滞留させるための制菌工程と、を実行する制御装置を備え、前記制御装置は、前記有機物除去工程を実行した後、前記有機物除去工程において吐水された洗浄水の大半が前記洗い場床面上に形成された排水口に排出されるように予め設定された所定時間の経過後に、前記制菌工程を実行するようにしたことを特徴とする浴室洗浄装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場近傍の汚れを洗浄する浴室洗浄装置及びこれを備えた浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内の汚れには、人体の洗浄に使用された石鹸やシャンプーなどのかす、人体から発生した垢(タンパク質系、炭水化物系、油脂系、塩類等)などがあるが、このような汚れを除去するためには大変な労力がかかる。
【0003】
そのため、これらの汚れを除去しつつ、浴槽や洗い場におけるヌメリの発生を抑制するための洗浄装置が提案されている(特許文献1を参照)。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、洗浄ノズルが浴室の高所に取り付けられている。そのため、浴室の下方に位置し、汚れの発生が多い洗い場近傍では、洗浄水の水勢が弱まり洗浄が不十分となるおそれがあった。特に、浴室の洗い場に設けられるカウンターの下方は死角となり、洗浄をしたり、オゾンなどの薬剤を含んだ洗剤を噴出させることができなかった。
【0004】
また、オゾンなどの薬剤を洗剤と混合しているためその効果が減ぜられるおそれがある。そして、薬剤を含んだ洗剤は、最終的には水で洗い流されるため殺菌効果の持続が短くなるおそれがあり、浴槽や洗い場の表面を構成する部材に抗菌剤を添加しておく必要があった。
【0005】
一方、浴室の下方にノズルを設け、浴室の洗い場に殺菌機能水を散布する技術が提案されている(特許文献2を参照)。しかしながら、特許文献2に開示されている技術では、洗い場に残留する垢や石鹸カス等の有機物と殺菌機能水とが化学的に結合して、殺菌機能水の効力を低下させるおそれがあった。また、カウンターの下方を含めて浴室の洗い場近傍全体を洗浄し、殺菌機能水を散布することも困難であった。
【特許文献1】特開平11−178781号公報
【特許文献2】特開平9−220273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、浴室の洗い場近傍の汚れを効果的に洗浄し、ヌメリやピンク汚れなどの微生物汚れをも効果的に抑制することのできる浴室洗浄装置及び浴室ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、浴室の洗い場床面の略全体に洗浄水を吐水して洗い場床面上に付着した石鹸カスや皮脂等の有機物汚れを除去する有機物除去工程と、浴室の洗い場床面に殺菌水を吐水して洗い場床面上に殺菌水を滞留させるための制菌工程と、を実行する制御装置を備え、前記制御装置は、前記有機物除去工程を実行した後、前記有機物除去工程において吐水された洗浄水の大半が前記洗い場床面上に形成された排水口に排出されるように予め設定された所定時間の経過後に、前記制菌工程を実行するようにしたことを特徴とする浴室洗浄装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、洗い場と、浴槽と、前記洗い場床面の直上に配設され、シャワーホースが接続された水栓本体より下方に配置されたカウンターと、上記のいずれかの浴室洗浄装置と、を備えたことを特徴とする浴室ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴室の洗い場近傍の汚れを効果的に洗浄し、ヌメリやピンク汚れなどの微生物汚れをも効果的に抑制することのできる浴室洗浄装置及び浴室ユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る浴室洗浄装置を備えた浴室ユニットを説明するための模式図である。
図2は、吐水部分の配管系統図である。
【0011】
図1に示すように、浴室ユニットの浴室3には、浴室洗浄装置の吐水部1、浴槽4、洗い場床面5、カウンター6、鏡7などが備えられている。また、この他にも図示しない給水栓、シャワーホース、給湯制御パネルなどが適宜備えられている。
カウンター6は、洗い場床面5の直上であって、浴槽4のフランジ面よりも上方に配設される図示しないシャワーホースが接続された水栓本体よりは下方に配置される。尚、一般的に、浴槽4のフランジ面よりも上方には、シャンプーなどの小物を載置するための小物置き台があるが、本明細書におけるカウンター6はこれとは異なる。また、図1に示すように、カウンター6は小物置台よりも大きく、シャンプーなどの小物のみならず、洗面器やその他の人体洗浄に必要なものをおける程度のスペースを有する。
吐水部1は、カウンター6の下方に設けられている。図2に示すように、吐水部1には、浴室3外に設けられた殺菌水生成手段12と洗浄水生成手段13とが並列に接続されている。また、殺菌水生成手段12には開閉弁8が、洗浄水生成手段13には開閉弁16がそれぞれ接続されており、開閉弁8と開閉弁16とは、逆止弁17に接続されている。そして、逆止弁17は水道管9と接続されている。
【0012】
ここで、カウンター6の下方とは、カウンター6の裏面から洗い場床面5の上面までの間で、かつ、カウンター6の突出端(前面端)からカウンター6の支持端(浴室壁面)までの間に形成される空間領域をいう。
【0013】
殺菌水生成手段12、開閉弁8、洗浄水生成手段13、開閉弁16は、浴室3外に設けられた制御部2と電気的に接続され、制御部2からの信号で後述する吐水の制御、殺菌水の生成、洗浄水の生成などができるようになっている。
また、逆止弁17は、水道管9から水が殺菌水生成手段12や洗浄水生成手段13へは流入できるが、生成された殺菌水や洗浄水が水道管9側へ混入するのを防止できるような向きに接続されている。
【0014】
尚、逆止弁17が図示しない給湯手段と接続され、温水が吐水できるようにしてもよい。そのようにすれば、有機物などの分解、剥ぎ落としが促進されるので、洗浄効果をより高めることができる。尚、本願明細書において「水」という時には、冷水のみならず温水も含むものとする。
【0015】
洗浄水生成手段13で生成される洗浄水としては、例えば、オゾンガスを水に溶解させたオゾン水、水の電気分解により得られる酸性水やアルカリ性水などを例示することができる。
このうち、オゾン水は、洗い場などに付着した垢などの有機物を効率よく分解除去できるのみならず、殺菌をすることにも効果がある。
【0016】
図3は、洗浄水生成手段13として用いることができるオゾン水生成手段31を例示するための模式断面図である。
オゾン水生成手段31に備えられている気体混入混合室32には、気泡分散機構33が設けられており、液体管路34から供給される水に対して、気泡分散機構33により気体の混入、微細化、分散、混合が同時に行われる。気泡分散機構33には気体室35が設けられており、気体室35には気体導入管路36からオゾンが供給される。液体管路34は、開閉弁16、逆止弁17を介して水道管9と接続されている。また、気体導入管路36には図示しないオゾン供給手段が接続されている。尚、本実施の形態においては、制御部2により図示しない開閉弁などを制御して、オゾン水生成手段31へのオゾンの供給が制御されることになる。
【0017】
また、酸性水は、洗い場などに付着した石鹸カスなどを効率よく剥ぎ落とすのに効果があり、アルカリ性水は、洗い場などに付着した皮脂汚れなどを効率よく剥ぎ落とすのに効果がある。
【0018】
図4は、洗浄水生成手段13として用いることができる創水手段41を例示するための模式断面図である。
創水手段41は、水を電気分解することにより、酸性水とアルカリ性水とを生成する。創水手段41から導出したアルカリ性水導出管42と酸性水導出管43は、三方切換弁44に接続されており、この三方切換弁44の他の一端が、吐水部1と接続されている。すなわち、三方切換弁44を切り替えることにより酸性水またはアルカリ性水のいずれかを吐水部1から吐出可能とされている。
【0019】
創水手段41に備えられているケーシング45は、その内部を隔膜46によりアルカリ性水生成室47と酸性水生成室48とに区画されており、各生成室47、48 には、それぞれステンレス鋼やカーボン等からなる電極(陰極)49と、ステンレス,白金,酸化チタンなどからなる電極(陽極)51とが配設されている。また、酸性水生成室48には酸性水導出管43が連通するように接続されており、アルカリ性水生成室47にはアルカリ性水導出管42が連通するように接続されている。導入管55は、開閉弁16、逆止弁17を介して水道管9と接続されている。
【0020】
電極49、51 から導出した電線52、53の導出端は、電源54と接続されており、電源54から電極49、51 間に電圧が印加できるようになっている。
【0021】
そして、この電圧印加により、水が電気分解され、アルカリ性水生成室47のPH値が高くなり、アルカリ性水が生成される。一方、酸性水生成室48内のPH値は低くなり、酸性水が生成されることになる。
【0022】
尚、これらの方法による洗浄水の生成に限定されるわけではなく、例えば、洗浄水(例えば、濃縮液)や薬剤などを予め生成し、これを適宜ポンプなどで投入するようなものであってもよい。本実施の形態においては、オゾン水生成手段31や創水手段41では制御部2により、三方切換弁44の切替、電源54のON/OFFや出力調整などの制御が行われる。また、予め生成された洗浄水(例えば、濃縮液)や薬剤などを投入する場合においては、制御部2によりポンプなどの投入手段の制御が行われる。
【0023】
殺菌水生成手段12で生成される殺菌水としては、殺菌性物質又はイオンを含有する水を例示することができる。具体的には、遊離塩素、抗菌性金属(例えば、銀、銅、亜鉛等)又はそのイオン、オゾン、オゾン含有水、結合塩素、有機塩素系消毒液、有機リン酸系消毒液、ベルオクソ炭酸イオン又はその塩、アルコール系消毒液などを挙げることができる。
【0024】
このような、殺菌水は、例えば、電気分解法を用いて生成することができる。具体的には、銀イオンを含む殺菌水を生成する場合においては、溶出管の内部に銀からなる一対の電極を対峙して設け、これに電源から所定の電流を流すようなものを例示することができる。また、遊離塩素含有水は、塩素イオンを含む水(例えば、水道水)を塩素発生用電極を用いて電気分解することにより生成することができる。尚、電気分解法による殺菌水の生成に限定されるわけではなく、例えば、殺菌水(例えば、濃縮液)や薬剤を予め生成し、これを適宜ポンプなどで投入するようなものであってもよい。電気分解法を用いる場合においては、制御部2により、電源のON/OFFや出力調整などの制御が行われ、予め生成された殺菌水などを投入する場合においては、ポンプなどの投入手段の制御が行われる。
【0025】
また、洗浄水生成手段13や殺菌水生成手段12を作用させず、水道水などの水のみを吐水させることもできる。この場合、後述するように、ノズル孔からの水滴を直接、被洗浄面全体に当てるようにし、水勢を最大限に大きくすれば、水道水などの水のみを吐水させても洗浄を行うことができる。そのため、本明細書において、「洗浄水」という時には、オゾン水、酸性水、アルカリ性水などのみならず水道水などの「水」をも含むものとする。
【0026】
ここで、特許文献2に開示されているような浴室洗浄装置は、単に洗い場などに向けて殺菌水を吐水するだけのものであった。しかし、洗い場などには石鹸かすや皮脂、垢などの有機物汚れが残っており、その状態で殺菌水を吐水しても、有機物と殺菌成分とが化学的結合をおこしその効力が減ぜられるおそれがあった。
【0027】
本発明者は検討の結果、有機物汚れを効果的に除去できれば、その後吐水する殺菌水の効果をも充分に発揮させることができ、ヌメリやピンク汚れなどの微生物汚れを効果的に抑制することができるとの知見を得た。
本発明者の得た知見によれば、洗い場のようなフラットな面上に付着した有機物汚れを除去するためには、ノズル孔からの水滴を直接、被洗浄面全体に当てるようにすることと、水勢を最大限に大きくすることの2点を満足することが重要である。これは、付着した有機物汚れは、単に水が触れれば除去できるものではなく、除去のためには水が有機物汚れにぶつかる際の打力が重要となるからである。
【0028】
ここで、特許文献1に開示されている技術では、吐水部が浴室の高所に取り付けられている。そのため、浴室の下方に位置し、汚れの発生も多い洗い場近傍では、洗浄水の水勢が弱まり洗浄が不十分となるおそれがある。しかし、洗い場近傍(図1に示すものではカウンター6の下方)に吐水部1を設けるものとすれば、天井に比べて床面までの着水距離が短いので、水勢を保ったまま、直接水滴を有機汚れにあてることができる。その結果、洗浄水をあてることにより汚れを剥がれ落とすという物理的作用を充分に享受することが可能となる。
【0029】
また、天井からの吐水では、カウンター6の下方は死角となり、洗浄水や殺菌水を吐水させることができなかったが、洗い場近傍(図1に示すものではカウンター6の下方)に吐水部1を設けるものとすれば、カウンター6の下方への吐水も可能となる。
【0030】
ここで、洗い場近傍においての床面までの着水距離を考慮すれば、カウンター6の下面より下方の浴室3の空間に吐水部1を設けるようにすればよい。例えば、吐水部1を浴槽4のエプロン部4aに設けるようにすることもできる。ただし、洗い場床面5における入浴時の人体洗浄を考慮すれば、邪魔にならないカウンター6の下方に吐水部1を設けるようにすることが好ましい。
【0031】
カウンター6の下方における吐水部1の取り付け高さは、適宜選択することができる。ここで、吐水部1からの吐水距離が短くてもよければ(浴室が狭ければ)、吐水部1の取り付け高さをある程度低くすることができる。しかし、その距離が長い場合(浴室が広い場合)は吐水部1の取り付け高さを高くした方が、吐水の確実な到達という観点からは好ましい。この場合、カウンター6の裏面に吐水部1を当接するようにして取り付けることもできる。その際、カウンター6の下方の空間を、例えば、入浴時の人体洗浄の際に足を入れるスペース、シャンプー・洗面器などを置いておくスペースなどに使用することもできる。尚、吐水部1の取り付け高さを調整できるようにしておき、設置される浴室に合わせた設定をすることもできる。
【0032】
カウンター6の下方における吐水部1の奥行き寸法方向の取り付け位置も適宜選択することができる。ここで、カウンター6の突出端(前面端)から後退した位置に吐水部1を設け、突出端から出っ張らないようにすることが好ましい。そのようにすれば、入浴時の人体洗浄の際に人体と干渉することを抑制することができ、また、煩雑感がなくなるため見た目にも優れているからである。尚、吐水部1の取り付け位置を調整できるようにしておき、設置される浴室のカウンター6に合わせた設定をすることもできる。
【0033】
また、カウンター6の上方には、通常、鏡7や図示しないシャワー・給水栓などが備えられている。このようなものに、水道水や温水が飛散しこれが乾くと白色の点状に水垢が残る。特に、光沢のある鏡7や図示しないシャワー・給水栓などに水垢がつくと目障りとなる。また、洗浄水や殺菌水が鏡7や金属製の図示しないシャワー・給水栓などに付着すると、例えば、銀を含む殺菌水では黒ずみが起こり、オゾンを含むものなどでは腐食が起こるおそれがある。本実施の形態に係る吐水部1は、カウンター6の下方に設けられているので、カウンター6により余計な水道水、温水、洗浄水、殺菌水の飛散が抑制され、水垢、黒ずみ、腐食の発生を抑制することができる。
【0034】
吐水部1にはノズル孔1aが設けられている。ここで、洗い場全体に向けて吐水可能なノズル孔1aを1個だけ設けるようにすることもできるが、複数のノズル孔1aを設けて、それぞれのノズル孔1a毎に適切な吐水をさせるようにすることもできる。例えば、吐水部1から遠い洗浄対象を受け持つノズル孔1aの吐水圧力を高めて遠くでも水勢が落ちないようにしたり、すべてのノズル孔から同時に吐水をさせるのではなく、所定のノズル孔から順番に吐水をさせるようにすることもできる。この場合、所定のノズル孔から順番に吐水をさせるようにすれば、同時にすべてのノズル孔から吐水をさせる場合より、水圧を高く維持することができる。また、このような場合に、洗い場床面5の排水口から遠い洗浄対象を受け持つノズル孔1aから先に吐水をさせるようにして、汚水を排水口に誘導しやすくすることもできる。
また、複数のノズル孔を設ける場合、吐出部10から洗浄対象面までの距離により、それぞれのノズル孔の水勢、吐水量、受け持つ洗浄範囲を考慮するようにすることが好ましい。
図5は、吐水部から洗浄対象までの距離と吐水の状態との関係を説明するための模式図である。図5(a)は、吐水の状態を洗い場の側方から見た場合の模式図、図5(b)は、吐水の状態を洗い場上方から見た場合の模式図、図5(c)は、吐水の噴射角度を説明するための模式図である。
図5に示すように、近傍の洗浄対象Xでは吐水の距離が近いため水勢の減衰が小さい、また、汚れに対する吐水の衝突角度も大きくすることができる(汚れに対して略垂直方向から吐水が行われる)。そのため、吐水部の近傍の汚れは比較的除去がしやすい。
これに対して、遠方の洗浄対象Zでは吐水の距離が遠いため水勢の減衰が大きい、また、汚れに対する吐水の衝突角度も小さくなる(汚れに対して略水平方向から吐水が行われる)。そのため、吐水部の遠方の汚れほど除去が困難となる。
本発明者は検討の結果、近傍への吐水量より遠方への単位面積あたりの吐水量を増やせば、除去が困難な遠方の汚れをも除去できるとの知見を得た。また、この場合、近傍のノズル孔が受け持つ洗浄範囲の面積も広くすることができる。
そのため、吐水部からの距離、吐水量、各ノズル孔が受け持つ洗浄範囲の面積の広さなどを考慮の上、各ノズルの吐水量や水勢を配分するようにすることが好ましい。例えば、このような配分は、各ノズル孔の開口総面積により調整することができる。ノズル孔の開口総面積は、ノズル孔自体の面積、ノズル孔の数、ノズル孔自体の面積とノズル孔の数との組み合わせなどにより調整することができる。この際、各ノズルが受け持つ洗浄範囲を細分化すれば、前述の配分の条件範囲が狭まるため、調整が容易となる。
図5に例示するものは、各ノズルが受け持つ洗浄範囲を3分割した場合である。この場合、近傍の洗浄対象Xを受け持つノズル孔は単位面積あたりの吐水量を少なくし、洗浄範囲の面積を大きくしている。そのようにしても、吐水量が少なく洗浄範囲の面積が大きいことを、水勢が強いこと、吐水の衝突角度が大きいことで補うことができるので洗浄効果が低下することはない。
また、遠方の洗浄対象Zを受け持つノズル孔は単位面積あたりの吐水量を多くし、洗浄範囲の面積を小さくしている。この場合、水勢の弱さと吐水の衝突角度が小さいことを、吐水量を多くし、洗浄範囲の面積を小さくすることで補うことができるので洗浄効果が低下することはない。
また、近傍と遠方との間を受け持つノズルについては、吐水量と受け持つ洗浄範囲の面積を近傍用と遠方用のものの間としている。この部分は、水勢もある程度強く、吐水の衝突角度もある程度大きくすることができるので、遠方用より吐水量を減らし、洗浄範囲の面積をある程度広くしても洗浄効果が低下することはない。
すなわち、ノズル孔が受け持つ洗浄対象が吐水部に近いほど、その洗浄範囲の面積を大きくすることができる。
また、洗浄範囲の面積については、吐水の噴射角度を考慮することが好ましい。
具体的には、図5(c)に示すように、近傍の洗浄対象Xを受け持つノズル孔からの吐水の噴射角度θ1と、近傍と遠方との間の洗浄対象Yを受け持つノズル孔からの吐水の噴射角度θ2と、遠方の洗浄対象Zを受け持つノズル孔からの吐水の噴射角度θ3との関係を、θ1>θ2>θ3とすることが好ましい。もし、すべての噴射角度が等しいものとすれば、洗浄対象が遠方になるほど洗浄範囲の面積が大きくなるので、単位面積当たりの吐水量が少なくなり、汚れの除去を効果的に行うことができなくなるおそれがあるからである。
尚、図5に例示をした分割数や各ノズルの条件は、これに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0035】
図6〜図8は、ノズル孔の形態を説明するための模式図である。
図6(a)に示すものは、遠方の被洗浄面を洗浄するためのノズル孔、図6(b)に示すものは、近傍の被洗浄面を洗浄するためのノズル孔を例示するものである。このように、遠方用のノズル孔面積Saより近傍用のノズル孔面積Sbを大きくすれば、水勢が落ちがちの遠方用のノズル孔における水勢を高めることができる。
【0036】
図7(a)に示すものは、大面積の洗浄を受け持つノズル孔、図7(b)に示すものは、比較的小面積の洗浄を受け持つノズル孔を例示するものである。このように、大面積用のノズル孔面積Scとその管路面積Seより、小面積用のノズル孔面積Sdとその管路面積Sfとをそれぞれ小さくすれば、大面積用のノズル孔における吐水量を増やすことができる。
【0037】
図8(a)に示すものは、コーン状の吐水を行うためのノズル孔、図8(b)に示すものは、扇状の吐水を行うためのノズル孔を例示するものである。このように、吐水の形態を変えることで最適な吐水、洗浄を行うことができる。例えば、図8(b)に示す扇状の吐水を行うノズルを回転移動などさせれば、より広い面積を効率よく洗浄することができる。尚、吐水の形態はこれらに限定されるわけではなく、ノズル孔の開口形状を変えることにより適宜選択することができる。
【0038】
開閉弁8、16としては、例えば、電磁弁を例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく、流量制御をするための絞り手段や圧力制御をするための圧力制御手段を併せ持つようなものであってもよい。また、電磁弁の開閉により吐水を断続的にしたり、吐水時間を変えたり、吐水圧の高低を切り替えて吐水圧を断続的にすることにより、洗浄効果を高めることもできる。
【0039】
図9は、開閉弁8、16の開閉タイミングを説明するための模式タイミングチャートである。
【0040】
図9の上段の図は、開閉弁16(洗浄水生成手段13側の開閉弁)の開閉タイミングを表し、下段の図は、開閉弁8(殺菌水生成手段12側の開閉弁)の開閉タイミングを表している。尚、横軸は時間を表し、「山」の部分で吐水がされるものとしている。
【0041】
図9に示すように、時間Tだけ洗浄水が吐出されると、その後、時間Tの間は吐出が止められる。そして、その後、時間Tだけ殺菌水が吐出される。
この際、時間Tの長さは、時間Tの長さの2倍〜4倍程度とされる。有機汚れの除去を確実に行うためである。また、洗浄水の吐水と殺菌水の吐水との間に時間Tを設けるのは、有機物汚れと洗浄水との反応時間及び汚水の排水時間を確保するためである。
【0042】
この時間Tが短すぎると、汚水の排出前に殺菌水が吐出され、前述したように殺菌水の効果が減じられるおそれがある。そのため、時間Tは、殺菌効果の観点から重要な要素となる。
【0043】
ここで、具体的にこれらの時間を例示するものとすれば、時間Tを2分〜4分程度、時間Tを30秒から10分程度、時間Tを1分程度とすることができる。ただし、これらの時間に限定されるわけではなく、汚れ状態や洗浄の頻度などに合わせて適宜変更することができる。また、時間Tに関しては、長い時間をとれば確実な汚水の排出をすることができる。ただし、あまり長時間にすると洗浄面が乾いてしまいかえって殺菌水の拡がりなどに問題が生じ、また、洗浄作業時間も長くなってしまう。そのため、前述の洗浄水の大半が洗い場床面5上に形成された排水口に排出されるまでの時間を考慮しつつ、洗浄面が乾く前に殺菌水の吐水ができるよう時間Tを選択することが好ましい。
【0044】
図10は、開閉弁8、16の開閉タイミングを説明するための模式タイミングチャートである。
【0045】
図10の上段の図は、開閉弁16(洗浄水生成手段13側の開閉弁)の開閉タイミングを表し、下段の図は、開閉弁8(殺菌水生成手段12側の開閉弁)の開閉タイミングを表している。尚、横軸は時間を表し、「山」の部分で吐水がされるものとしている。
【0046】
図10に示すように、時間Tだけ洗浄水が吐出されると、その後、時間Tの間は吐出が止められる。そして、その後、時間Tだけ殺菌水が吐出される。
【0047】
図10に示すものでは、時間Tの間に洗浄水の吐水を断続(図10に示すものでは4回の吐水)して行うようにしている。このような断続的な吐水とすることで、有機汚れに衝撃を加え、洗浄効果を高めることができる。また、断続的な吐水とすることで、除去された汚れが適宜、洗い場床面5上に形成された排水口に排出されるため有機物除去工程後の残塵(洗い場床面5からは除去できたが排出されなかった汚れ)が少なくなる。尚、図に示した吐水回数に限定されるわけではなく、汚れ状態や洗浄の頻度などに合わせて適宜変更することができる。また、吐水圧力を断続的に変化させながら洗浄を行うようにすることもできる。
【0048】
また、洗浄効果、殺菌効果を高めるために、殺菌水より洗浄水を多量に吐水させたり、殺菌水より洗浄水を長時間吐水させたり、殺菌水より洗浄水の流量を多くさせたりすることができるように開閉弁8、16の制御をすることが好ましい。
【0049】
また、洗浄水の吐水を所定の時間間隔をあけて、複数回行う(吐水と止水を繰り返し行う)ようにすることが好ましい。時間間隔をあけるようにすれば、止水している間に除去された汚れが排水口に導かれるからである。すなわち、常に吐水しつづけていると洗い場床面5からの排水が滞り水が溜まってしまい、除去した汚れが排出されないおそれがある。そのため、適度に止水して、除去した汚れが含まれた水を排水口から排水させる方が好ましいからである。
【0050】
制御部2は、浴室外の例えば脱衣場に設けられた図示しない入力手段と電気的に接続されている。この入力手段に操作者が、洗浄の開始/終了、各吐水時間、吐水の断続回数、水・温水・洗浄水・殺菌水の切替、洗浄モードの切替などを入力することにより、制御部2による吐水の制御が行われる。ここで、洗浄モードには、予め定められた洗浄工程から最適なものを選択するようなものを例示することができる。予め定められた洗浄工程としては、例えば、洗浄の開始/終了、各吐水時間、吐水の断続回数、水・温水・洗浄水・殺菌水の切替などを適宜組み合わせた洗浄工程を例示することができる。そして、これらを予めプログラムして、洗浄モードとして制御部2の記憶手段に格納させておくようにすることができる。尚、入力手段はこれら全てを入力できるものである必要はなく、例えば、洗浄の開始/終了、各吐水時間の設定ができる程度のものであってもよい。
【0051】
次に、吐水部1の作用について説明をする。
例えば、入浴後に脱衣場において操作者が、図示しない入力手段に洗浄の開始、各吐水時間などを入力すると、その信号は制御部2に送られ、制御部2は殺菌水生成手段12、開閉弁8、洗浄水生成手段13、開閉弁16などの制御を行う。例えば、浴室3の洗い場床面5の略全体に洗浄水を吐水して洗い場床面5上に付着した石鹸カスや皮脂等の有機物汚れを除去する有機物除去工程として、開閉弁16である電磁弁により水道水の流路が開かれ、水道水が洗浄水生成手段13に供給されて、洗浄水生成手段13により水道水がオゾン水、酸性水、アルカリ性水などの洗浄水となってノズル孔1aから吐水される。そして、設定された時間Tが過ぎると電磁弁により水道水の流路が閉じられ洗浄が終了する。尚、前述のように、単なる水を吐水させることもできるし、温水を使用することもできる。
【0052】
次に、所定の時間Tの経過後、浴室3の洗い場床面5に殺菌水を吐水して洗い場床面5上に殺菌水を滞留させるための制菌工程として、開閉弁8である電磁弁により水道水の流路が開かれ、水道水が殺菌水生成手段12に供給されて、殺菌水生成手段12により水道水が銀イオン水などの殺菌水となってノズル孔1aから吐水される。そして、設定された時間Tが過ぎると電磁弁により水道水の流路が閉じられ殺菌が終了する。
ここで、洗い場床面5上に洗浄水が多量に残っている状態(残水)で殺菌水を吐水しても、殺菌水は残水によって直ちに希釈されるとともに、残水と一緒に短時間で排水口に排出されてしまう。そのため、所定の時間Tは、有機物除去工程が実行された後、有機物除去工程において吐水された洗浄水の大半が、洗い場床面5上に形成された排水口に排出されるのに必要な時間以上とすることが好ましい。そのようにすれば、残水が少ない状態になってから殺菌水を吐水することになるので、希釈化が抑制できるとともに、排水口に排出されるまでの時間も長くでき、殺菌効果を向上させることができるからである。
また、有機物除去工程において吐水される洗浄水の総吐水量は、制菌工程おいて吐水される前記殺菌水の総吐水量よりも多い方が好ましい。また、有機物除去工程を実行するのに要する時間は、制菌工程を実行するのに要する時間よりも長い方が好ましい。充分な有機物の除去を行わないと、殺菌効果が低下するおそれがあるからである。
また、本発明者の得た知見によれば、洗い場のようなフラットな面上に付着した汚れを除去するためには、ノズル孔からの水滴を直接、被洗浄面全体に当てるようにすることと、水勢を最大限に大きくすることの2点を満足することが重要である。これは、付着した汚れは、単に水が触れれば除去できるものではなく、除去のためには水が汚れにぶつかる際の打力が重要となるからである。そのため、有機物除去工程においては、吐水された洗浄水の水滴が直接、洗い場床面5の略全体にぶつかるように吐水されることが好ましい。
ここで、特許文献1に開示されている技術では、吐水部が浴室の高所に取り付けられている。そのため、浴室の下方に位置し、汚れの発生も多い洗い場近傍では、吐水の水勢が弱まり洗浄が不十分となるおそれがある。しかし、本発明のように、洗い場近傍(図1に示すものではカウンター6の下方)に吐水部1を設けるものとすれば、天井に比べて床面までの着水距離が短いので、水勢を保ったまま、直接水滴を汚れにあてることができる。その結果、洗浄水をあてることにより汚れを剥がれ落とすという物理的作用を充分に享受することが可能となる。
また、天井からの吐水では、カウンター6の下方は死角となり、水や殺菌水を吐水させることができなかったが、洗い場近傍(図1に示すものではカウンター6の下方)に吐水部1を設けるものとすれば、カウンター6の下方への水や殺菌水の吐水も可能となる。
ここで、洗い場近傍においての床面までの着水距離を考慮すれば、カウンター6の裏面より下方の浴室3の空間に吐水部1を設けるようにすればよい。例えば、吐水部1を浴槽4のフランジ面に設けるようにすることもできる。ただし、洗い場床面5における入浴時の人体洗浄を考慮すれば、邪魔にならないカウンター6の下方に吐水部1を設けるようにすることが好ましい。
また、有機物除去工程において、洗浄水の吐水は、排水口に向かう流れが形成されるように行われるとともに、制菌工程において殺菌洗浄水の吐水は、排水口とは逆向きに向かう流れが形成されるように行われるようにすることが好ましい。汚れの速やかな排出と、殺菌水の滞留時間を長くして殺菌効果を向上させるためである。
また、有機物除去工程において、吐水される洗浄水の単位時間あたりの吐水量は、制菌工程で吐水される殺菌水の単位時間あたりの吐水量よりも多いことが好ましい。充分な有機物汚れの除去を行わないと、殺菌効果が低下するおそれがあるからである。
また、制菌工程において、殺菌水はミスト状に吐水されることが好ましい。殺菌効果を向上させるためである。
【0053】
尚、前述の洗浄モードを選択することなどにより、例えば、複数のノズル孔の吐水圧、吐水量、吐水の順番を変えたり、断続的な吐水としたり、温水による洗浄をしたり、これらを組み合わせた洗浄をしたりすることもできる。
【0054】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。図11(a)は、浴室洗浄装置の模式斜視図、図11(b)は、吐水部の模式拡大図である。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
浴室内の汚れは、入浴時に人体洗浄が行われるカウンター6の近傍を中心として浴室の下方、特に、洗い場床面5の直上であって、カウンター6の裏面より下方に位置する浴室内の部分に発生しやすい。
【0055】
本実施の形態においては、図11に示すように、吐水部10に、洗い場床面5に向けて吐水をするためのノズル孔1aとは別に、エプロン部11に向けて吐水をするためのノズル孔1bとカウンター6の裏面に向けて吐水をするためのノズル孔1cとを別途設けている。そのため、汚れが発生しやすいカウンター6の裏面より下方に位置する浴室内の部分を確実かつ効果的に洗浄、殺菌することができる。尚、カウンター6の下方の浴室壁面とこれに対向する側の浴室壁面、エプロン部11に対向する側の浴室壁面を洗浄するためのノズル孔をも設けるようにして、カウンター6の裏面より下方に位置する浴室内の全域を洗浄、殺菌するようにしてもよい。また、ノズル孔1aとこれらのノズル孔の組み合わせを適宜選択することもできる。この場合、吐水部10には全てのノズル孔を設けることとし、設置される浴室に合わせて必要のないノズル孔に栓をするようにすることもできる。
【0056】
また、前述したように、被洗浄面の面積の広さに基づいて各ノズルの開口総面積を決めることが好ましい。すなわち、被洗浄面の面積が狭ければ、洗浄、殺菌のための吐水量も少量で足りるので、その部分の開口総面積を小さくして吐水量を減らし、被洗浄面の面積が広い方のノズル孔にその分多くの吐水量が使えるようにすることが好ましい。この場合、例えば、面積が狭いカウンター6の裏面を洗浄、殺菌するためのノズル孔1cの径を小さくし、面積の広い洗い場床面5を洗浄、殺菌するためのノズル孔1aの径を大きくしたり、ノズル孔1cの数よりノズル孔1aの数を多くしたり、ノズル孔の開口面積とノズル孔の数とを組み合わせたりして、ノズル孔の開口総面積を決めるようにすることができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、吐水方向を追加して被洗浄面を増やしても、吐水部10がカウンター6の下方に設けられているので、カウンター6により余計な水、温水、洗浄水、殺菌水の飛散が抑制され、カウンター6の上方に備えられている鏡7などにおける水垢、黒ずみ、腐食の発生などを抑制することができる。
【0058】
また、特許文献1に開示されているような技術では死角となり洗浄、殺菌ができなかった、カウンター6の裏面もノズル孔1cを設けることにより洗浄、殺菌をすることができるようになる。
【0059】
また、前述したように、浴室内の汚れはカウンター6の裏面より下方に位置する部分に発生しやすい。このような汚れに対し、特許文献1に開示されているような高所に吐水部を設ける技術では、水勢が弱まる上に、洗浄面に対向した吐水を行うことができず、確実で効率的な洗浄、殺菌を行うことができなかった。本実施の形態においては、汚れが発生しやすいカウンター6の裏面より下方に位置する部分に対向するようにノズル孔を設けているので、浴室内部の汚れの多い場所を確実かつ効率的に洗浄、殺菌することができる。
【0060】
吐水部10の作用については、図1で説明をしたものと同様のため説明は省略する。ただし、吐水方向が増えた分その切替をするようにすることができ、吐水順なども適宜選択することができる。例えば、各ノズル孔を制御する開閉弁を設けて、汚水の流れの上流側となるカウンター6の裏面、エプロン部11、浴室壁面を先に洗浄し、その後、汚水の流れの下流側となる洗い場床面5を洗浄するようにすることもできる。殺菌についても同様の手順をとることができる。
【0061】
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
図12に示すように、吐水部20は回転可能となっており、また、吐水部20には洗い場床面5を洗浄、殺菌するためのノズル孔20aが設けられている。そして、吐水部20の回転に伴い、吐水方向が変更されるので、洗浄範囲が移動して洗い場床面5の略全域が洗浄できるようになっている。
これは、広い面積に吐水を行う場合、ノズル孔の数を多くすると水勢が弱まるおそれがあり、ノズル孔の数を少なくした上で、洗い場床面5の略全域に水滴を当てるようにするために、吐水部1を回転させて、洗浄面積を拡大するようにしているのである。
【0062】
この場合、被洗浄面における吐水の形態は、図1のような洗浄面積が広くできるようなものであっても良いが、例えば、図12に示したような、洗浄面で略線状の吐水の形態となるようなものとすることもできる。この際、移動方向(回転方向)に対して略垂直方向に広がりを持った吐水の形態とすれば、ノズル孔20aが移動(回転)することにより広い洗浄面積を確保することができる。また、このような吐水の形態とすることができるノズル孔20aを用いるものとすれば、ノズル孔の数を少なくすることができるので、水勢の低下を抑制しつつ洗い場床面5の略全域に水滴をあてることができ好適である。
【0063】
このような吐水の形態となるノズル孔20aとしては、図8(b)に示すものを例示することができる。図8(b)に示したような、略楕円形状のノズル孔を用いれば、扇状の吐水が行われ洗浄面では略線状の吐水の形態を得ることができる。この場合、長径の寸法が長い方が、1つのノズル孔から広範囲に吐水をさせることができるので好ましい。一方、短径の寸法は吐水部1が回転をするため長くする必要がない。むしろ、無駄に広げてしまうと水勢が落ちるため、吐水時の流水抵抗との兼ね合いなどから決めるようにすることが好ましい。ただし、ノズルの開口形状はこれに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0064】
図13は、吐水部20を説明するための模式図である。
図13に示すように、吐水部20はカウンター6の裏面に取り付けられている。吐水部20のアーム部20bには複数のノズル孔20aが設けられ、洗浄水、殺菌水などが吐水可能となっている。また、アーム部20bはベース22に接合一体化され、ベース22の回転に伴い回転できるようになっている。また、アーム部20bの回転軸は洗い場の床面に対して略垂直(地面に対して略鉛直)となるように設置されている。それぞれのノズル孔20aは吐水方向が異なるように形成され、吐水された洗浄水、殺菌水などが届く場所・範囲が異なるようになっている。また、ノズル孔20aは楕円形状を呈し、回転の接線方向と略垂直に交差する垂線の方向に長径が存在するような向きに設けられている。そのため、各被洗浄面(本実施の形態においては、洗い場床面5)を万遍なく洗浄できるようになっている。また、このようにすれば、洗浄面積の広い洗い場床面5に対しても最適なノズル孔20aの配分をすることができ、水勢を保持した状態で汚れに対して直接水滴をあてることができ好適である。
【0065】
また、この場合、遠方に吐水を行うノズル孔の方が近傍に吐水を行うノズル孔より、受け持つ吐水領域を小さくすることが好ましい。近傍への吐水はノズル孔からの距離が近いため十分な水勢を保てるので、吐水領域を大きくして単位面積あたりの吐水流量が小さくなっても充分な洗浄効果を得ることができる。一方、遠方への吐水はノズル孔からの距離が遠いため水勢が弱くなるおそれがある。そのため、吐水領域を狭くして単位面積あたりの吐水流量が小さくならないようにし、洗浄効果の低下を抑制する必要があるからである。
【0066】
回転の際には、アーム部20bの先端がカウンター6の突出端(前面端)から出っ張らないようにすることが好ましい。そのようにすれば、入浴時の人体洗浄の際に人体と干渉することを抑制することができ、また、煩雑感がなくなるため見た目にも優れているからである。尚、吐水部10の取り付け位置を調整できるようにしておき、設置される浴室のカウンター6に合わせた設定をすることもできる。
【0067】
また、浴室内のカウンター6の裏面より上方に配設されたもの(例えば、鏡7や図示しないシャワー・給水栓など)が直接、吐水されないような位置に吐水部20を設けるようにすることが好ましい。そのようにすれば、被洗浄面以外へ吐水が直接かかるのが抑制され、前述の水垢、黒ずみ、腐食の発生などを抑制することができるからである。
【0068】
ノズル孔20aの個数、ピッチ、開口面積、吐水方向は設置される浴室の条件に合わせて適宜変更することができる。また、説明の便宜上、略180°離間させたアーム部20bを例示したが、これに限定されるわけではなく、離間角度やアーム部20bの数は適宜変更することができる。また、屈曲部を有するアーム部20bを例示しているが、屈曲部のない略直線上のものであってもよく、屈曲部の角度も適宜変更することができる。
【0069】
さらに、図14を参照して吐水部20の構成を概説する。
図14は、吐水部20の模式断面図である。
図14に示すように、吐水部20のヘッド14は、そのフランジ部14bをカウンター6の裏面に保護材15を介して取り付けられている。へッド14はフランジ部14bの下方外周にネジ部14dを備え、さらにその下方に小径の軸部14eを備えている。ヘッド14内には給水通路18が縦設され、通路18の下端には180°離間して横方向に開口する連通路18a、18bを備え、連通路18a、18bは軸部14eの外周に180°離間して開口している。そして給水通路18の上部には、外部の給水源と連通させるための通路18cが備えられている。
【0070】
また、ヘッド14の軸部14eには、べース22が回動自在に装着されている。アーム部20bは先端が閉じた管状をなし、ベース22の周りに略180°離間させてベース22と接合一体化されている。アーム部20bは、中間部付近に屈曲部を有し、先端が下傾し内部に流路20cを備えている。流路20cは、べース22を軸部14eに装着した際に、連通路18a、18bと連通するようになっている。
【0071】
べース22の上端にはフランジ部22dが設けられ、これをネジ部14dに螺合させた袋ナット23に引っかけるようにして、べース22を軸部14e周りに回転可能に支持させるようにしている。
【0072】
次に、吐水部20の作用を説明する。
外部の給水源から通路18cに供給された洗浄水、殺菌水などは、給水通路18、連通路18a、18bを通り流路20cに供給され、ノズル孔20aから吐水される。このとき、回転軸に対して対象に設けられたそれぞれのアーム部20bから吐水される洗浄水、殺菌水などの向きが逆のため、吐水の反力による回転力が発生し、べース22(アーム部20b)が軸部14eの周りを回転する。
また、説明の便宜上、略180°離間させたアーム部20bを例示したが、これに限定されるわけではなく、離間角度やアーム部20bの数は適宜変更することができる。例えば、アーム部20bは、1本であっても、3本以上であってもよく、回転軸に対して対称に配置されていなくてもよい。
また、吐水の方向も回転軸に対して対称とされていなくてもよく、吐水による反力で回転軸周りの回転力が得られるようになっていればよい。ただし、吐水の方向が回転円の接線に垂直な方向に近づくほど吐水による反力が小さくなるので、一定の角度をつけることが重要となる。例えば、吐水の方向が回転の接線方向に近づくほど、吐水による反力のうち回転に用いられる分が多くなり、垂線方向に近づくほど回転に用いられる分が少なくなる。
また、洗浄能力は、回転速度に大きく依存しており、アーム部20bの長さ及び吐水方向によって、回転速度を制御することが可能である。例えば、吐水方向が回転の接線方向に近づくほど回転速度は速くなり、垂線方向に近づくほど回転速度は遅くなる
【0073】
この際の回転方向は、設置される浴室や吐水される洗浄水、殺菌水の種類などに合わせて適宜変更することができる。例えば、べース22(アーム部20b)の回転により形成される洗浄水などの流れが、汚水を排水口側に導くのに有利な方向に回転させることもできるし、洗浄水や殺菌水の種類などによってある程度滞留させた方が良いものでは、排水口への排出が阻害される方向に回転させるようにすることができる。また、洗い場床面5の床面が傾斜している場合においては、傾斜に沿って排水口方向に回転させて除去した汚れを排出しやすくしたり、排水口方向と逆方向に回転させて床面に洗浄水、殺菌水を対流させて汚れを浮き立たせやすくしたり、殺菌効果を高めたりすることもできる。尚、図13、図14に例示をした吐水部20は、ノズル孔20aの位置が固定のため回転方向も一定であるが、ノズル孔20aの位置を移動可能とすれば回転方向を変えることができる。
【0074】
また、この場合の回転速度としては、回転数を1分間に50回転以下とすることが好ましい。回転速度が速すぎると、洗浄水が有機汚れに作用する時間が不十分となり、洗浄力(剥ぎ落とし)が減殺されるおそれがあるからである。すなわち、吐水部20の回転速度はある程度遅い方が好ましい。水勢を保持するために流量を確保したまま回転速度を遅くするのには、回転部分の摩擦力を大きくする方法、ノズル孔20aからの吐水方向を調整する方法(回転の接線方向に吐水をすると回転速度は速くなり、垂線方向に近づくほど回転速度は遅くなる)などがある。
また、吐水部の回転速度は、水圧の変化によっても変化する。そのため、吐水部をほぼ一定の最適な回転速度領域に保つために、その配管部に定圧手段を設けるようにすることが好ましい。定圧手段としては、例えば、定圧弁や定流量弁などを例示することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る発明は吐水力を利用した回転に限定されるわけではなく、例えば、電気モータにより回転をさせるようにしてもよい。その場合は、回転方向を適宜選択することができるのみならず、水圧変動に影響されない安定した回転動作(回転スピード、回転角度など)をさせることができる。
【0076】
図15は、本発明の第4の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
吐水部30は、図12に例示をした吐水部20と同様に回転可能となっており、洗い場床面5を洗浄、殺菌するためのノズル孔30aに加えて、カウンター6の裏面を洗浄、殺菌するためのノズル孔30bが設けられている。そのため、洗い場床面5を洗浄するとともに、特許文献1に開示されているような技術では死角となり洗浄、殺菌ができなかった、カウンター6の裏面をも洗浄、殺菌することができる。
【0077】
図16は、吐水部30を説明するための模式図である。
尚、図13で説明をした吐水部20とは、カウンター6の裏面を洗浄、殺菌するためのノズル孔30bが設けられている点のみが異なるだけのため、その構成と作用の説明は省略する
ここで、一般的にはカウンター6の裏面より洗い場床面5のほうが面積が広い。そのため、被洗浄面の面積の大きさに基づいてノズル孔30aとノズル孔30bとの開口総面積を決めるようにすることが好ましい。すなわち、面積が狭いカウンター6の裏面は、洗浄のための吐水量も少量で足りるので、ノズル孔30bの開口総面積を小さくして吐水量を減らし、面積が広い洗い場床面5のノズル孔30aにその分多くの吐水量が使えるようにすることが好ましい。
【0078】
図17は、ノズル孔の開口面積を変える場合を例示するための模式図である。
図17の左側に示す大きな略楕円形の開口を洗い場床面5の洗浄用(例えば、図16のノズル孔30a)とし、右側に示す小さな略楕円形の開口をカウンター6の裏面用(例えば、図16のノズル孔30b)とすれば、被洗浄面の面積の違いに応じた吐水量の決定をすることができる。尚、ノズル孔の開口面積のみならず、ノズル孔30bの数よりノズル孔30aの数を多くしたり、ノズル孔の開口面積とノズル孔の数とを組み合わせて開口総面積を決定することもできる。
【0079】
図18は、本発明の第5の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
図18に示すように、吐水部40は図中矢印に示した方向に揺動可能となっており、また、吐水部40には洗い場床面5を洗浄するためのノズル孔40aが設けられている。そして、吐水部40の揺動に伴い、吐水方向が変更されるので、洗浄範囲が移動して洗い場床面5の略全域が洗浄できるようになっている。
【0080】
この場合、洗浄面における吐水の形状は、前述のような洗浄面積が広くできるようなものであっても良いが、例えば、図12に示したような、線状の吐水形態とすることもできる。この際、吐水の移動方向に対して略垂直方向に広がりを持った吐水の形状とすれば、ノズル孔40aの数を少なくしてもノズル孔40aを移動(揺動)させることにより広い洗浄面積を確保することができる。このような吐水の形状となるノズル孔40aとしては、図8(b)に示すものを例示することができる。このような、略楕円形状のノズル孔を用いれば、扇状の吐水が行われ洗浄面では略線状の吐水の形態を得ることができる。ただし、ノズルの開口形状はこれに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0081】
また、各ノズルの開口面積や吐水方向などを同一としてもよいが、洗浄対象により変えることもできる。例えば、汚れがたまりやすい場所(洗い場床面5の壁際など)への吐水量が多くなるように、その部分への吐水を行うノズルの開口面積を大きくすることができる。
【0082】
また、吐水は揺動の往復で行うこともできるが、往路または復路のどちらかで吐水を行うなど吐水のタイミングを変えることもできる。その際、吐水のタイミングは制御部2からの指令により開閉弁8、16で変更することができる。例えば、浴室の排水口の位置により汚水が排水口に誘導しやすくなる方向、または、洗浄水、殺菌水が洗浄面に滞留しやすくなる方向を考慮して吐水のタイミングを変えることもできるし、特定の洗浄場所を重点的に洗浄するために吐水のタイミングを変えることもできる。
【0083】
図19は、吐水部40の他の取り付け形態を説明するための模式図である。
図19に示すように、吐水部40はカウンター6の下方の浴室壁面に取り付けられている。吐水部40のアーム部40bには複数のノズル孔40aが設けられ、洗浄水、殺菌水などが吐水可能となっている。また、吐水部40には、揺動端において水圧による水路の機械的な切替を行う装置が内蔵されている。そのようなものとしては、例えば、特開2006−75678号公報に開示されているような技術を例示することができる。このように揺動動作に、水圧を利用した水路の自動切替装置を用いるものとすれば、吐水源と揺動動作の動力源の統一化が図られ機構の簡略化が図れると伴に、コスト低下や信頼性向上にも寄与することができる。
【0084】
ただし、本発明の揺動源は揺動端における水路の機械的な切替装置に限定されるわけではなく、例えば、電気モータやソレノイドなどにより揺動をさせるようにすることもできる。その場合は、揺動方向を適宜選択できるのみならず、水圧変動に影響されない安定した揺動動作(揺動スピード、揺動角度など)をさせることができる。
【0085】
図20は、吐水部の他の実施の形態を説明するための模式図である。
吐出部50には、旋回室50bと揺動体50cとが設けられ、揺動体50cを旋回室50b内に発生させた旋回流によって、首振り公転を起こさせるようにしている。この公転に伴い、揺動体50cに取り付けられたノズル孔を有する把持体50aが変形し、吐水自体の形態や吐水量、および吐水の方向等を、前記公転と共に周期的に変化させながら、吐水が行われるようになっている。このようなものとしては、例えば、特開2003−304980号公報に開示されているような技術を例示することができる。
【0086】
図21は、吐水部の他の実施の形態を説明するための模式図である。
尚、図13で説明をしたものとは、アーム部の数とノズル孔の位置のみが異なるだけのため、これらの説明以外は省略する。
吐水部60には、互いに120°離間させてアーム部60aが3本設けられている。アーム部60aは、その先端が回転の進行方向に向かうように屈曲しており、その先端面Aには図示しない吐出口が設けられている。吐出口については、前述したものを採用することができ、また、図20で説明をしたものを取り付けるようにすることも出来る。
【0087】
尚、ノズル孔の数も適宜選択することができ、図示しない首振り手段(角度調整手段)を設けるようにして角度を調整するようにすることもできる。
【0088】
図18に例示をした吐水部40は、カウンター6の裏面に取り付ける場合を例示したものであり、図19に例示をした吐水部40は、カウンター6の下方の浴室壁面に取り付ける場合を例示したものである。また、図20、図21に例示をした吐水部50、60もこれらと同様にカウンター6の下方の取り付けられる。これらの場合、吐水部40、50、60がカウンター6の突出端(前面端)から出っ張らないようにすることが好ましい。そのようにすれば、入浴時の人体洗浄の際に人体と干渉することを抑制することができ、また、煩雑感がなくなるため見た目にも優れているからである。尚、吐水部40、50、60の取り付け位置を調整できるようにしておき、設置される浴室のカウンター6に合わせた設定をすることもできる。また、カウンター6の裏面、カウンター6の下方の浴室壁面から離間した位置に吐水部40、50、60を設けるようにすることもできる。
【0089】
また、吐水がカウンター6の上面より上に飛び散らないような位置に吐水部40、50、60を設けるようにすることが好ましい。そのようにすれば、被洗浄面以外への吐水の飛び散りが抑制され、前述の水垢、黒ずみ、腐食の発生を抑制することができる。
【0090】
図18や図19に例示をした吐水部40は、洗浄対象が洗い場床面5であったが揺動の角度を大きくすれば、カウンター6の裏面をも洗浄することができる。また、揺動動作ではなく回転動作としてカウンター6の裏面をも洗浄することができる。図20に例示をした吐水部50も、公転の角度を大きくすれば、カウンター6の裏面をも洗浄することができる。また、図21に例示をした吐水部60も、吐水の角度を大きくすれば、カウンター6の裏面をも洗浄することができる。
【0091】
図22は、他の実施の形態に係る吐水部分の配管系統図である。
図22に示すように、吐水部1には、浴室3外に設けられた殺菌水生成手段12と洗浄水生成手段13とが直列に接続されている。また、殺菌水生成手段12と洗浄水生成手段13との間には開閉弁8a設けられており、洗浄水生成手段13は逆止弁17に接続されている。そして、逆止弁17は水道管9と接続されている。
【0092】
このような配管構成とすれば、図2に説明をしたものに比べて開閉弁が1つ不要になるなど構成が簡単となる。この場合、洗浄水生成手段13により生成される洗浄水が、殺菌水生成手段12により生成される殺菌水に混じらないようにする手段を洗浄水生成手段13に設けることが好ましい。例えば、洗浄水生成手段13が予め生成された洗浄水(例えば、濃縮液)や薬剤などを投入するものである場合においては、必要量のみをポンプなどで投入するようにすることが好ましい。
【0093】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0094】
前述の具体例に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0095】
例えば、各洗浄装置の構成要素、浴室やこれに備えられる浴槽4、洗い場床面5、カウンター6、鏡7、制御部2、開閉弁8、16、殺菌水生成手段12、洗浄水生成手段13などの形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0096】
また、前述した各具体例が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る浴室洗浄装置を備えた浴室ユニットを説明するための模式図である。
【図2】吐水部分の配管系統図である。
【図3】洗浄水生成手段として用いることができるオゾン水生成手段を例示するための模式断面図である。
【図4】洗浄水生成手段として用いることができる創水手段を例示するための模式断面図である。
【図5】吐水部から洗浄対象までの距離と吐水の状態との関係を説明するための模式図である。
【図6】ノズル孔の形態を説明するための模式図である。
【図7】ノズル孔の形態を説明するための模式図である。
【図8】ノズル孔の形態を説明するための模式図である。
【図9】開閉弁の開閉タイミングを説明するための模式タイミングチャートである。
【図10】開閉弁8、16の開閉タイミングを説明するための模式タイミングチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
【図13】吐水部を説明するための模式図である。
【図14】吐水部の模式断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
【図16】吐水部を説明するための模式図である。
【図17】ノズル孔の開口面積を変える場合を例示するための模式図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る浴室洗浄装置を説明するための模式図である。
【図19】吐水部の他の取り付け形態を説明するための模式図である。
【図20】吐水部の他の実施の形態を説明するための模式図である。
【図21】吐水部の他の実施の形態を説明するための模式図である。
【図22】他の実施の形態に係る吐水部分の配管系統図である。
【符号の説明】
【0098】
1 吐水部、1a ノズル孔、1b ノズル孔、1c ノズル孔、2 制御部、5 洗い場床面、6 カウンター、8 開閉弁、10 吐水部、12 殺菌水生成手段、13 洗浄水生成手段、16 開閉弁、20 吐水部、20a ノズル孔、30 吐水部、30a ノズル孔、30b ノズル孔、40 吐水部、40a ノズル孔、50 吐水部、60 吐水部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の洗い場床面の略全体に洗浄水を吐水して洗い場床面上に付着した石鹸カスや皮脂等の有機物汚れを除去する有機物除去工程と、
浴室の洗い場床面に殺菌水を吐水して洗い場床面上に殺菌水を滞留させるための制菌工程と、を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記有機物除去工程を実行した後、前記有機物除去工程において吐水された洗浄水の大半が前記洗い場床面上に形成された排水口に排出されるように予め設定された所定時間の経過後に、前記制菌工程を実行するようにしたことを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項2】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の総吐水量は、前記制菌工程おいて吐水される前記殺菌水の総吐水量よりも多いこと、を特徴とする請求項1記載の浴室洗浄装置。
【請求項3】
前記有機物除去工程を実行するのに要する時間は、前記制菌工程を実行するのに要する時間よりも長いことを特徴とする請求項1または2記載の浴室洗浄装置。
【請求項4】
前記有機物除去工程において、吐水された前記洗浄水の水滴が直接、前記洗い場床面の略全体にぶつかるように吐水されること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項5】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の吐水部は、鏡が取り付けられている洗い場壁面から突出し、且つ前記洗い場床面の直上であり、シャワーホースが接続される水栓本体の下方に配設されたカウンターの裏面に取り付けられていること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項6】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の吐水部は、洗浄対象までの距離に応じた複数の放射状に吐水可能なノズル孔を有し、前記洗い場床面に対する前記ノズル孔が受け持つ洗浄対象が前記吐水部に近いほど、その洗浄範囲の面積が大きくなること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項7】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の吐水部は、洗浄対象までの距離に応じた複数の放射状に吐水可能なノズル孔を有し、前記洗い場床面に対する前記ノズル孔が受け持つ洗浄対象が前記吐水部に近いほど、吐水の噴射角度が大きくなること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項8】
前記有機物除去工程において前記洗浄水の吐水は、断続的に行われること、を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項9】
前記有機物除去工程において前記洗浄水の吐水は、前記排水口に向かう流れが形成されるように行われるとともに、前記制菌工程において前記殺菌洗浄水の吐水は、前記排水口とは逆向きに向かう流れが形成されるように行われること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項10】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の単位時間あたりの吐水量は、前記制菌工程で吐水される前記殺菌水の単位時間あたりの吐水量よりも多いこと、を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項11】
前記制菌工程において前記殺菌水はミスト状に吐水されること、を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項12】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の前記吐水部は、前記洗い場床面に向けて吐水方向の異なる複数のノズル孔を有し、前記ノズル孔の位置が鉛直線を軸に回転移動可能となっていること、を特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項13】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の前記吐水部は、開孔形状が略楕円のノズル孔を備え、前記ノズル孔の位置は回転移動可能とされており、前記略楕円のノズル孔は、前記回転の接線方向と略垂直に交差する垂線の方向に長径が存在するような向きに設けられること、を特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項14】
前記有機物除去工程において吐水される前記洗浄水の前記吐水部は、吐水の反力により回転可能とされており、前記吐水部の配管には定圧手段が設けられていること、を特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載の浴室洗浄装置。
【請求項15】
洗い場と、
浴槽と、
前記洗い場床面の直上に配設され、シャワーホースが接続された水栓本体より下方に配置されたカウンターと、
請求項1乃至14のいいずれか1つに記載の浴室洗浄装置と、
を備えたことを特徴とする浴室ユニット。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−168231(P2008−168231A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4959(P2007−4959)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【特許番号】特許第4035662号(P4035662)
【特許公報発行日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】