説明

浴室監視装置

【課題】
浴槽内の水位と入浴者との位置関係を監視して、入浴者の沈水を正確かつ即座に検知する。
【解決手段】
予め定めた時間だけ継続する超音波を浴槽に向けて発信するトランスミッタ部2と、その超音波の反射波を受信するレシーバ部3と、レシーバ部3により受信した反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する距離測定手段633と、距離測定手段633が測定した距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する状態判断手段634とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内で入浴する者の異常を検知して警報を発する浴室監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内で入浴する人(以下、「入浴者」と称する。)に体調の異常が生じた場合、入浴者が浴槽内で沈水する等、緊急の事態が生ずることがある。
従来、入浴者の異常を検知する方法としては、浴室内に設定した焦電型赤外線センサにより浴室内の人物の動きを監視し、動きが停止した状態が一定期間続いた場合に異常と判断する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、焦電型赤外線センサとは、自発分極を持つように分極処理を施した強誘電体の電極上に検知空間の赤外線像を結像させ、検知空間内の赤外線放出物である人体が動いた場合に強誘電体に温度変化が生ずることを利用して、検知空間内の人体の動きを検知するものである。すなわち、強誘電体は、温度が一定の状態では、その自発分極を中和するように電極上に表面電荷が存在しているが、強誘電体の温度が変化すると、その自発分極に変化が生じ、表面電荷の一部が浮遊電荷となって電極間に電流が流れるので(焦電効果)、この電流を検出することにより、検知空間内の人体の動きを検出するのである。
【0004】
また、CCD等により浴室内の動きを捉え、その動きのパターンから湯水や影の動きのパターンをマスクして入浴者の動きを抽出し、入浴者の動きが一定時間停止していた場合に異常を検知する方法(特許文献2参照)、浴槽内に浮かべた加速度センサにより浴槽内の波を検知することで入浴者の身体動作を監視し、波の状態により入浴者の異常を検知する方法(特許文献3参照)、及び、浴槽内に設けられた圧力センサに入浴者の体の一部を接触させ、心拍等を検知することで、入浴者の異常の有無を監視する方法(特許文献4参照)が知られている。
【0005】
さらに、浴室内に設けたカメラにより入浴者を撮影し、モザイク処理を施した後にモニタに表示して入浴者の異常の有無を監視する方法(特許文献5参照)、及び、入浴時における入浴者の頭部及び首の高さに、それぞれ超音波センサを設け、入浴者の姿勢を監視して、入浴者の異常を検知する方法も知られている(非特許文献1参照)。ここで、超音波センサとは、計測空間に短時間継続する超音波を送出した後、その超音波が計測空間内の物体に反射することで生ずる反射波を受信し、反射波の有無により物体の存在の有無を、超音波送出から反射波受信までの時間により超音波センサから物体までの距離を検知するものである。
【0006】
しかしながら、上述した従来の方法では、特許文献1ないし3に記載された方法にあっては、入浴者が何らかの動作を行っていなければ異常と判断されるため、入浴者は落ち着いて入浴することができず、また、身体動作の一時的な停止であっても異常と判断される結果、異常検出の誤りが発生しやすい。これに対し、異常検出の誤りを避けるため、異常と判断するまでの身体動作停止の判断期間を長くすることも考えられるが、この場合には、異常発生から異常検出までの時間が長くなり、入浴者の救出等、異常発生時の対処に遅延を生ずることとなる。
【0007】
また、特許文献4に記載された方法では、入浴者は常にセンサに接触していなければならず、入浴者の行動が制限されるという問題があり、特許文献5に記載された方法では、カメラ映像を監視するための人員を常に配置しなければならず、また、浴槽内の湿気によりカメラのレンズが曇って適切な判断が困難な場合も起こり得る。
さらに、非特許文献1に記載された方法では、超音波センサの設置位置が固定されているため、入浴時の入浴者の頭部が超音波センサの検知範囲内に入るように、入浴前の浴槽内の水位を管理しなければならず、また、入浴者の体位の変化により頭部の位置や高さが変わった場合には、入浴者の姿勢の検出が的確に行えず、異常検出に誤りを生ずる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−308579号公報
【特許文献2】特許第3875629号公報
【特許文献3】特開2007−133459号公報
【特許文献4】特開2003−70756号公報
【特許文献5】特開2003−42536号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】2008年 第22回 人工知能学会 全国大会 論文集 2C1−1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、浴槽内の水位と入浴者との距離を監視して、入浴者の沈水を正確かつ即座に検知することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された発明は、入浴者の異常を検知して警報を発する浴室監視装置であって、予め定めた時間だけ継続する超音波を浴槽に向けて発信する超音波発信手段と、前記超音波発信手段が発信した超音波が物体に反射することにより生ずる反射波を受信する超音波受信手段と、前記超音波受信手段が受信した前記反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する距離測定手段と、前記距離測定手段が算出した浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する状態判断手段と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された浴室監視装置において、前記状態判断手段は、前記距離測定手段が算出した浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離が、予め定めた距離未満であるときに、入浴者が沈水状態にあると判断することを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された浴室監視装置において、前記反射波に基づき前記反射波の包絡線波形を生成する包絡線波形生成手段を有し、前記距離測定手段は、前記超音波受信手段が受信した前記反射波に基づいて生成される前記包絡線波形に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出することを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された浴室監視装置において、浴槽内における入浴者の状態を表す情報を記憶するための状態情報記憶手段を有し、前記状態判断手段は、前記距離測定手段が算出した浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離、及び、前記状態情報記憶手段が記憶している入浴者の状態を表す前記情報に基づいて、入浴者が浴槽内にいるか否かを判断し、浴槽内に入浴者がいることを条件に、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断することを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載された浴室監視装置において、前記距離測定手段は、前記超音波受信手段が受信した浴槽の水面からの反射波及び入浴者の身体上端部からの反射に基づいて、浴槽の水面から入浴者の身体上端部までの距離を算出し、浴槽の水面からの反射が識別できないときは、直近に受信した浴槽の水面からの反射波、及び、現在受信している入浴者の身体上端部からの反射波に基づいて、浴槽の水面から入浴者の身体上端部までの距離を算出することを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、入浴者の異常を検知して警報を発する浴室監視装置における浴室監視方法であって、予め定めた時間だけ継続する超音波を浴槽に向けて発信する工程と、前記発信した超音波が物体に反射することにより生ずる反射波を受信する工程と、前記受信した反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する工程と、前記算出した距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する工程と、を有することを特徴とする。
請求項7に記載された発明は、浴室監視装置のコンピュータにより実行されるプログラムであって、前記浴室監視装置のコンピュータを、浴槽に向けて予め定めた時間だけ継続するように超音波の発信を制御する手段と、前記発信した超音波が物体に反射することにより生ずる反射波の受信を制御する手段と、前記受信した反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する距離測定手段と、前記距離測定手段が算出した前記距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する状態判断手段と、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浴槽内の水位と入浴者との距離を監視して、入浴者の沈水を正確かつ即座に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による浴室監視装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本浴室監視装置の制御判定処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】本浴室監視装置のセンサ部の浴室内での設置状態を示す図である。
【図4】トランスミッタ部から発信される超音波の波形、レシーバ部で受信される反射波の波形、及びエンベロープ波形の例を示す図である。
【図5】本浴室監視装置の動作手順を示すフロー図である。
【図6】本浴室監視装置の、エンベロープ波形データ取得手段の動作手順を示すフロー図である。
【図7】本浴室監視装置の、距離測定手段の動作手順を示すフロー図である。
【図8】本浴室監視装置の、距離測定手段の動作を説明するための、エンベロープ波形加算データの一例を示す図である。
【図9】本浴室監視装置の、状態判断手段の動作手順を示すフロー図である。
【図10】本浴室監視装置の、状態判断手段が行う状態番号決定動作の詳細を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による浴室監視装置の一実施形態を示すブロック図である。
本浴室監視装置は、一定時間継続する高周波信号を発生するバースト信号発生部1と、バースト信号発生部1が発生した高周波信号を空気振動に変換して超音波を発信するトランスミッタ部2と、トランスミッタ部2が発信した超音波が物体に反射して生ずる反射波を受信して電気信号に変換するレシーバ部3と、トランスミッタ部2及びレシーバ部3をまとめて浴室内に設置するためのセンサ部8と、レシーバ部3により電気信号に変換された反射波の包絡線(エンベロープ)波形を生成する包絡線波形生成手段であるエンベロープ波形生成部4と、エンベロープ波形生成部4で生成したエンベロープ波形を一定の時間間隔でサンプリングしてデジタル値に変換するAD変換部5と、を有している。
【0015】
また、本浴室監視装置は、AD変換部5によりデジタル値に変換されたエンベロープ波形のデータ(以下、「エンベロープ波形データ」と称する。)に基づいて入浴者の状態を判断したり、本浴室監視装置の各部の動作を制御するための制御判定処理部6と、制御判定処理部6の判断結果に基づいて本浴室監視装置の周囲に警報を発するための警報出力部7も有している。
上記の構成において、超音波発信手段は、例えば、バースト信号発生部1及びトランスミッタ部2により構成され、超音波受信手段は、例えば、レシーバ部3、エンベロープ波形生成部4、及びAD変換部5で構成される。
【0016】
図2は、本浴室監視装置の制御判定処理部6の構成を示すブロック図である。
本制御判定処理部6は、バースト信号発生部1、AD変換部5、及び警報出力部7との、信号やデータの送受信を行う入出力インタフェース61と、タイマ62と、処理部63を有している。処理部63は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータであり、AD変換部5が出力するエンベロープ波形データを取得するためのエンベロープ波形データ取得手段631と、エンベロープ波形データ取得手段631が取得したエンベロープ波形データを記憶するためのエンベロープ波形データ記憶手段632とを有している。
【0017】
また、処理部63は、エンベロープ波形データに基づいて、センサ部8から浴槽水面までの第1の距離Lw、及び、センサ部8から入浴者の身体のうちセンサ部8に最も近い部位(以下、「身体上端部」と称する。)までの第2の距離Lhを測定して、浴槽水面と入浴者の身体上端部との間の第3の距離ΔLを算出する距離測定手段633と、距離測定手段633によるΔLの算出結果に基づいて浴槽内の水位と入浴者との位置関係を認識し、入浴者の有無や、入浴者の沈水を判断する状態判断手段634と、浴槽内における入浴者の状態を表す情報を記憶する状態情報記憶手段、例えば浴槽内における入浴者の状態を表すために定義した番号(状態番号)を記憶する状態番号記憶手段635も有している。
【0018】
図3は、本浴室監視装置のセンサ部8の、浴室内での設置状態を示す図である。トランスミッタ部2及びレシーバ部3は、センサ部8の内部に隣接して配置されており、センサ部8は、浴室内の浴槽の上部に配置されている。このトランスミッタ部2の超音波の発信方向及びレシーバ部3の受信方向は、浴槽方向に向けられている。また、トランスミッタ部2の超音波の発信範囲は、浴槽の水面を覆うように設定されている。本浴室監視装置の構成要素のうち、センサ部8以外の構成要素については、センサ部8の近くに設置されていてもよいし、浴室内の別の場所又は浴室外の場所に設置されていてもよい。
【0019】
以上の構成において、ユーザが、本浴室監視装置の電源を投入すると、まず、トランスミッタ部2が、一定時間継続する超音波を浴槽に向けて発信する。超音波は、浴槽水面と入浴者にぶつかって反射し、その反射波がレシーバ部3で受信され、その反射波のエンベロープ波形がエンベロープ波形生成部4により生成された後、AD変換部5を介してエンベロープ波形データが制御判定処理部6に入力される。この反射波のエンベロープ波形には、浴槽水面からの反射に対応するピーク波形(以下、「水面反射波形」)と、入浴者の身体上端部からの反射に対応するピーク波形(以下、「入浴者反射波形」)が含まれる。
【0020】
制御判定処理部6は、エンベロープ波形データ取得手段631により取得したエンベロープ波形データに基づき、距離測定手段633により上記の2つのピーク波形を検出し、センサ部8から浴槽水面までの距離Lw、センサ部8から入浴者の身体上端部までの距離Lhを測定すると共に、Lw及びLhから、浴槽水面と入浴者の身体上端部との間の距離ΔLを、ΔL=Lw−Lh により算出する。通常、入浴中の身体上端部は頭頂部となるので、この距離ΔLにより、入浴者が沈水しているか否かを判断できる。
【0021】
そこで、制御判定処理部6は、状態判断手段634により、このΔLが予め定めた距離より長いか否かを判断し、予め定めた距離未満である場合には入浴者が沈水したと判断して、警報出力部17により警報を発出する。一方、浴槽水面と入浴者の上端部との距離が予め定めた距離以上であれば、トランスミッタ部2から再び超音波を発信し、上記の動作を繰り返して浴槽内の状態の監視を継続する。
【0022】
以上のように、本浴室監視装置は、超音波発信後に反射波を受信し、その反射波の包絡線波形を解析して、浴槽水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出し、この距離から入浴者の沈水を判断する。この距離は、浴槽に入れる湯水の水位(以下、「浴槽水位」と称する。)によらず、また、入浴者の進入による浴槽水位の変動、あるいは、入浴者の体位変更などの身体位置の変動にもよらず、算出が可能である。このため、本浴室監視装置は、常に、正確に入浴者の沈水を判断することができる。さらに、この沈水の判断は、距離の算出と同時に行うことができるため、本浴室監視装置は、入浴者が沈水したことを即座に検知して、警報を発することができる。
【0023】
次に、本実施形態の動作について詳細に説明する。
図4は、発信される超音波の波形、受信される反射波の波形、及びエンベロープ波形の例を、模式的に示したものである。図4(1)は、トランスミッタ部2が発信する超音波の波形の例である。本実施形態では、周波数40kHzで8cycleだけ継続する超音波が発信される。また、図示されていないが、この超音波は、200msの一定間隔で発信され、その都度、反射波が受信されて、制御判定処理部6により処理される。これにより、浴槽内の水位と入浴者との位置関係が継続的に監視される。なお、この間隔200msは、トランスミッタ部2から発信された超音波が浴室内を多重反射することで生ずる残響により、水面反射波や入浴者反射波の検出に誤りを生じないように、残響の消滅を待つための時間である。したがって、この時間間隔は、この目的の範囲内において変更することができる。
【0024】
図4(2)は、入浴者が図3に示す状態にある場合に、レシーバ部3で受信される反射波の例を示している。入浴者の身体上端部は浴槽水面よりもセンサ部8に近いため、レシーバ部3は、入浴者の身体上端部からの反射波(入浴者反射波)を受信した後、浴槽水面からの反射波(水面反射波)を受信することとなる。
また、図4(3)は、図4(2)の反射波に基づいてエンベロープ波形生成部4から出力されるエンベロープ波形の例である。図4(3)において、超音波の発信を開始してから水面反射波の先頭を受信するまでの時間T1から、センサ部8と浴槽水面との距離Lwが、Lw=v・T1/2 により求まる。ここに、vは、超音波が空気中を伝播する速度である。
【0025】
同様に、超音波の発信を開始してから入浴者反射波の先頭を受信するまでの時間T2から、センサ部8と入浴者の身体上端部との距離Lhが、Lh=v・T2/2 により求まる。そして、Lw及びLhから、入浴者の身体上端部と浴槽水面との距離ΔLが、ΔL=v・ΔT/2 で求まる。
なお、水面反射波の振幅は、浴槽水面上部にある空気の温度勾配に起因して変動するが、この変動は反射波の到達時間T1及びT2にはわずかしか影響せず、したがってΔLの計測結果にはほとんど影響しないため、水面反射波の振幅変動があっても、入浴者の沈水を正しく検出することができる。
【0026】
ところで、速度vは、一般に、気温によって変化し、v(m/s)=331.5+0.607×気温(℃)で与えられる。したがって、厳密には、気温の変動によって距離計算に誤差を生ずる。しかし、実用上は、浴室内の温度が0〜30℃まで大きく変化すると仮定しても、超音波の伝播速度vの誤差は5〜6%程度であり、センサ部8から浴槽10までの数m程度の距離の算出においては、有意な誤差を生じない。
【0027】
次に、本浴室監視装置の動作手順を、図5のフロー図に従って説明する。
(1)ユーザが本浴室監視装置の電源を投入すると、制御判定処理部6の処理部63は、エンベロープ波形データ記憶手段632及び状態番号記憶手段635の記憶内容を消去して全て0に初期化する(S101)。
(2)エンベロープ波形データ取得手段631は、反射波形を平均化して雑音を緩和すべく、エンベロープ波形データを5回取得し、これらを加算したデータ(以下、「エンベロープ波形加算データ」と称する。)をエンベロープ波形データ記憶手段632に記憶する(S102)。
【0028】
(3)距離測定手段633は、エンベロープ波形データ記憶手段632が記憶しているエンベロープ波形加算データに基づき、距離Lw及びLhを測定すると共に、距離ΔLを算出する(S103)。
(4)状態判断手段634は、距離測定手段633が算出した距離ΔLに基づき、入浴者が沈水していないか否かを判断し(S104)、沈水していないと判断した場合には(S104、No)、S102に戻って上記の動作を繰り返す。これにより、入浴者の沈水を判断するための動作(以下、「監視動作」と称する。)が1回分終了し、次の監視動作が開始される。一方、沈水したと判断した場合には(S104、Yes)、警報出力部7により警報を発する(S105)。
【0029】
上述したように、本浴室監視装置では、超音波を200ms間隔で発信し、その都度、反射波を受信して、そのエンベロープ波形を取得する。一方、入浴者の沈水を判断(図5のステップS104)するまでに、エンベロープ波形データを5回取得するため(図5のステップS102)、1回の監視動作に要する時間は1秒(200ms×5回)となる。すなわち、一秒間に1回の一定間隔で監視動作が繰り返されることになる。
【0030】
次に、図5のステップS102に示したエンベロープ波形データ取得手段631の動作手順の詳細を、図6のフロー図に従って説明する。
(1)エンベロープ波形データ取得手段631は、入出力インタフェース61を介して、バースト信号発生部1に、超音波の発生開始を指示するトリガ信号を送信する(S201)。バースト信号発生部1は、トリガ信号を受信すると、一定時間継続する超音波を発生するための高周波信号をトランスミッタ部2に送り(S202)、トランスミッタ部2は、その高周波信号を超音波に変換して、その超音波を浴槽10に向けて発信する(S203)。
【0031】
(2)レシーバ部3は、入浴者や浴槽水面からの反射波を受信し、それらの反射波を電気信号に変換する(S204)。次に、エンベロープ波形生成部4が、反射波のエンベロープ波形を生成する(S205)。
(3)エンベロープ波形取得手段631は、タイマ62により、ステップS201のトリガ信号の送信から3msの待機時間が経過するまで待機し(S206、No)、3msが経過したら(S206、Yes)、AD変換部5に動作開始命令を送って、エンベロープ波形の波形データ(エンベロープ波形データ)を取得する(S207)。ここで、3msの待機時間を設けているのは、センサ部8から約50cm程度の範囲に存在する物体からの反射をマスクして、後述する距離測定手段633及び状態判断手段634での誤動作を防止するとともに、エンベロープ波形データの数を減らして、処理部63における処理時間を短縮するためである。
【0032】
(4)次に、エンベロープ波形データ取得手段631は、取得したエンベロープ波形データをエンベロープ波形データ記憶手段632が記憶しているエンベロープ波形加算データに加算する(S208)。
(5)エンベロープ波形データ取得手段631は、エンベロープ波形データを5回加算したか否かを判定し(S209)、5回加算していれば(S209、Yes)、図5のステップS103に処理を移す。一方、まだ5回加算していない場合には(S209、No)、休止状態に入る。この休止状態は、ステップS201におけるトリガ信号の送信から200ms後に、タイマ62が処理部63に割り込み信号を送信することにより、処理部63がエンベロープ波形データ取得手段631の処理を開始することで解除される。これにより、エンベロープ波形データ処理手段631は、ステップS201から処理を再開し、トランスミッタ部2により新たに超音波を発信して、再びエンベロープ波形データを取得する。
【0033】
上記において、AD変換部5は、エンベロープ波形生成部4が生成したエンベロープ波形を250μsのサンプリング間隔でサンプリングし、サンプリングしたエンベロープ波形の振幅値をデジタル値に変換してエンベロープ波形データとしている。また、本浴室監視装置では、このサンプリングを行っている期間(サンプリング期間)を12msとしている。以上より、エンベロープ波形データに基づく距離の計測範囲は、センサ部8の前方約50cm(ステップS206の待機時間3msによる)から約2m(サンプリング期間12ms×超音波速度÷2)の範囲となる。また、距離計測の分解能は約43mm(サンプリング間隔250μs×超音波速度÷2)、エンベロープ波形データのデータ数は48個(サンプリング期間12ms÷サンプリング間隔250μs)となる。
【0034】
次に、図5のステップS103に示した距離測定手段633の動作手順の詳細を、図7のフロー図に従って説明する。
(1)距離測定手段633は、エンベロープ波形データ記憶手段632からエンベロープ波形加算データを読み出す(S301)。ここで、エンベロープ波形加算データの各データ値をXi(1≦i≦max)とする。maxは、エンベロープ波形加算データの数であり、エンベロープ波形データの数と同一である。
(2)距離測定手段633は、エンベロープ波形加算データXi(1≦i≦max)から、予め定めた閾値D以上の値を持つデータを抽出し(S302)、それらのデータを、それぞれサフィックスiの値が連続するデータごとにまとめてデータ集合とする(S303)。
【0035】
このデータ集合の数は、浴槽内に入浴者がいない場合には1(水面反射のみ)、入浴者が存在する場合には2(水面反射及び入浴者反射)となる。また、各データ集合の先頭のデータ(先頭データ)、すなわち、各データ集合の中でサフィックスの値が最も小さいデータは、そのデータ集合に対応する反射波の、最初に受信される部分に対応しているため、先頭データのサフィックスpから、その反射波の到達時間を、p×s+3ms により求めることができる。ここにsは、AD変換部5におけるサンプリング間隔、3msは、図6のステップS206で設定した、超音波発信からサンプリング開始までの待機時間である。
【0036】
(3)距離測定手段633は、データ集合の数が2か否かを判定し(S304)、データ集合の数が2である場合には(S304、Yes)、2つのデータ集合の先頭のデータから、二つの反射波の到達時間を求めて、いずれか短い方の到達時間を入浴者反射の到達時間T2、長い方の到達時間を水面反射の到達時間T1とする(S305)。すなわち、2つのデータ集合の先頭データをそれぞれXm及びXnとし、m<nとすれば、T1=n×s+3ms、T2=m×s+3ms となる。いずれか短い方の到達時間を入浴者反射の到達時間T2としたのは、上述したとおり、水面反射より入浴者反射のほうが早く受信されるためである。続いて、距離測定手段633は、T1及びT2から、浴槽水面までの距離Lw及び入浴者の身体上端部までの距離Lhを、それぞれ、Lw=v・T1/2、及び、Lh=v・T2/2 により求め、浴槽水面から入浴者の身体上端部までの距離ΔLを ΔL=Lw−Lh により算出して(S306)、処理を図5のステップS104に移す。
【0037】
(4)一方、データ集合の数が2でない場合には(S304、No)、データ集合の数は1であって、水面反射のみが受信された状態であるので、距離測定手段633は、データ集合の先頭データのサフィックス(n)から、水面反射の到達時間T1を、T1=n×s+3ms により求め(S307)、T1を用いて、浴槽水面までの距離Lwを、Lw=v・T1/2 により求めるとともに、ΔL=0として(S308)、処理を図5のステップS104に移す。これにより、状態判断手段634は、ΔL=0であれば水面反射のみであると判断でき、ΔL≠0であれば水面反射と入浴者反射の双方があると判断できる。
【0038】
ここで、上記の距離測定手段633の動作についての理解を容易にするため、図8を用いて、これらの動作を説明する。図8は、横軸を時間、縦軸をデータ値として、エンベロープ波形加算データを、時間順に並べたものであり、各データ間の時間間隔は、サンプリング間隔sに等しい。また、時間軸の原点は、トランスミッタ部2から超音波の発信を開始した時刻であり、最左端のデータX0は、超音波の発信後、図6のステップS206で設定した待機時間3msを経過した後、最初にサンプリングされるデータである。
【0039】
図8の黒丸は、閾値D未満の値を持つデータ、白丸は閾値D以上の値を持つデータを示している。距離測定手段633は、上記のステップS302により白丸を抽出し、ステップS303により、それらの白丸のデータを、サフィックスが連続するデータごとにまとめてデータ集合とする。これにより、A及びBの二つのデータ集合ができ、反射波の数をデータ集合の数として特定することができる。なお、データ集合A及びBは、それぞれ、入浴者反射及び水面反射に対応する。また、時間T1及びT2は、それぞれ、水面反射に対応するデータ集合Bの先頭データXnのサフィックスn及び入浴者反射に対応するデータ集合Aの先頭データXmのサフィックスm、並びに待機時間の3msから、T1=n×s+3ms、及び、T2=m×s+3msで与えられる。
【0040】
ところで、浴槽内で入浴者が正常な状態で入浴し、入浴者の身体上端部、通常は頭頂部が浴槽水面より上にある場合には、距離測定手段633が検出する反射波の数は2であり、ΔLは、浴槽水面に出ている入浴者の首から頭頂部までの距離に応じた値となる。しかし、入浴者に異常が生じ、入浴者の頭部が浴槽水面に水没していくと、ΔLは徐々に小さくなり、頭部が完全に沈水すればΔL=0、すなわち、反射波の数が1となる。この状態は、浴槽内に入浴者がいない状態(反射波の数n=1、ΔL=0)と同じであり、ΔL=0であることのみから、入浴者が沈水しているか否かを判断することはできない。
このため、状態判断手段634は、現在の浴槽内の状態を判断するに際し、それまでの浴槽内の状態(入浴者がいたか、いなかったか)も考慮する必要がある。すなわち、状態判断手段634は、一回前の監視動作における浴槽内の状態に基づいて、現在の監視動作における浴槽内の状態を判断する必要がある。
【0041】
次に、状態判断手段634の動作について説明する。
状態判断手段634は、上述のように、一回前の監視動作における浴槽内の状態に基づいて、現在の監視動作における浴槽内の状態を判断すべく、浴槽内の状態を表す状態番号を用いる。この状態番号は、例えば、状態番号0を「入浴者がいない状態」、状態番号1を「入浴者が浴槽内に進入して入浴状態となるまでの経過状態、又は、入浴者が浴槽内で立ち上がる動作を開始したのち浴槽から出て行くまでの経過状態」(以下、「経過状態」と称する。)、状態番号2を「入浴者が正常に入浴している状態」、及び状態番号3を「入浴者が浴槽内で沈水した状態」、のように定義する。
【0042】
以下、図5のステップS104に示した状態判断手段634の動作手順の詳細を、図9のフロー図に従って説明する。ここで、本浴室監視装置のユーザは、浴槽内に入浴者がいないことを確認してから、本浴室監視装置の電源を投入するものとする。この電源投入により、図5のステップS101により、状態番号記憶手段635の記憶内容は0に初期化されるため、電源投入直後の、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号は0(入浴者がいない状態)となる。
【0043】
(1)状態判断手段634は、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号を読み出し(S401)、読み出した状態番号、及び、距離測定手段633が算出した距離ΔLに基づいて、浴槽内の状態を判断して、その状態に対応する状態番号を決定する(S402)。
(2)状態判断手段634は、決定した状態番号が0〜2の範囲であるか否かを判断し(S403)、状態番号が0〜2である場合には(S403、Yes)、その状態番号を状態番号記憶手段635に記憶し(S404)、エンベロープ波形データ記憶手段632の記憶内容を0にリセットした後(S405)、休止状態に入る。
【0044】
この休止状態は、ステップS201のトリガ信号の送信から200ms後にタイマ62が処理部63に割り込み信号を送信することにより、処理部63がエンベロープ波形データ取得手段631の処理を開始することで解除される。これにより、エンベロープ波形データ処理手段631は、図6のステップS201から処理を開始し、新たな監視動作に入る。
(3)一方、ステップS402で決定した状態番号が3(入浴者が浴槽内で沈水した状態)であった場合には(S403、No)、図5のステップS105に移って、警報出力部7により警報を発する。
【0045】
次に、図9のステップS402において状態判断手段634が行う状態番号決定動作の詳細を、図10に示す状態遷移図により説明する。
(状態S0)
状態番号が0、すなわち入浴者がいない状態である。
上述したように、ユーザが本浴室監視装置の電源を投入すると、図5のステップS101により、状態番号記憶手段635の記憶内容は0に初期化される。すなわち、この状態S0が、初期状態となる。
【0046】
この状態S0において、距離ΔLが予め定めた距離L1より長くなると、状態判断手段634は、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号を1(経過状態)に書き換え、状態判断手段634が認識している浴槽の状態(以下、「認識状態」と称する。)は、状態S0から状態S1に遷移する。ここに、距離L1は、入浴者が浴槽内で立位、中腰、又は前屈姿勢となっている状態と、浴槽水面から頭部を出して正常に入浴している状態とが判別できるように、入浴者の首から頭頂部までの距離より若干長い距離とする。
【0047】
(状態S1)
状態番号が1、すなわち経過状態(入浴者が浴槽内に進入して入浴状態となるまでの経過状態、又は、入浴者が浴槽内で立ち上がる動作を開始したのち浴槽から出て行くまでの経過状態)である。
この状態S1において、ΔLが予め定めた距離L2より短くなると、状態判断手段634は、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号を2(入浴者が正常に入浴している状態)に書き換え、認識状態は、状態S1から状態S2に遷移する。
【0048】
ここに、距離L2は、入浴者が浴槽水面から頭部を出して正常に入浴していることが判別できるように、距離L1より短く、かつ、入浴者の首から頭頂部までの距離より若干長い距離とする。L2をL1より短い距離としたのは、入浴者の動作により状態S1と状態S2との間の状態遷移が頻繁に発生するのを避けるためである。
また、状態S1において、ΔLが0(水面反射のみ)になると、状態判断手段634は、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号を0(入浴者がいない状態)に書き換え、認識状態は、状態S1から状態S0に遷移する。
【0049】
(状態S2)
状態番号が2、すなわち入浴者が正常に入浴している状態である。
この状態S2において、ΔLが、予め定めた距離L3より短くなると、状態判断手段634は、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号を3(入浴者が浴槽内で沈水した状態)に書き換え、認識状態は、状態S2から状態S3に遷移する。
【0050】
ここに、距離L3は、入浴者の頭部が浴槽水面に水没しはじめ、呼吸のできない危険な状態であることが判別できるように、距離L2より小さく、0より大きい値とする。ここで距離L2を0より大きい値としたのは、入浴者の頭部が完全に水没する前に、入浴者の沈水を迅速に検知できるようにするためである。
また、この状態S2において、ΔLが距離L1より長くなると、状態判断手段634は、状態番号記憶手段635に記憶されている状態番号を1(経過状態)に書き換え、認識状態は、状態S2から状態S1に遷移する。
【0051】
(状態S3)
状態番号が3、すなわち入浴者が浴槽内で沈水した状態である。状態判断手段634は、図5のステップS105により、警報出力部7により警報を発する。
この状態S3の場合は、いずれの状態にも遷移せず、警報出力部7により警報を発し続ける。ただし、ユーザが、本浴室監視装置の電源を一旦切断して再投入すると、状態S0に復帰する。なお、制御判定処理部6にリセットスイッチを設け、ユーザがリセットスイッチを押下することにより、警報の停止と状態番号記憶手段635の初期化を行って、状態S0に復帰する構成としてもよい。
【0052】
次に、本浴室監視装置の変形例について説明する。
本浴室監視装置の変形例として、例えば、入浴者の身体上端部と浴槽水面とが近接し、水面反射が識別できないときには、直近に受信した水面反射に基づいて、すなわち、直近の監視動作で測定した距離Lwを用いて、浴槽水面と入浴者の身体上端部との間の距離ΔLを、ΔL=Lw−Lh により求めるものとすることができる。
本変形例によれば、現在受信している水面反射波が入浴者反射波と重なり合って識別できない場合でも、直近に受信した水面反射波を用いて距離ΔLを算出し、入浴者の沈水を判断することができる。
【0053】
以上説明したように、本浴室監視装置は、超音波発信後に反射波を受信し、その反射波の包絡線波形を解析して、浴槽水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出し、この距離から入浴者の沈水を判断する。この距離は、浴槽に入れる湯水の水位(以下、「浴槽水位」と称する。)によらず、また、入浴者の進入による浴槽水位の変動、あるいは、入浴者の体位変更などの身体位置の変動にもよらず、算出が可能である。このため、本浴室監視装置は、常に、正確に入浴者の沈水を判断することができる。さらに、この沈水の判断は、距離の算出と同時に行うことができるため、本浴室監視装置は、入浴者が沈水したことを即座に検知して、警報を発することができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・バースト信号発生部、2・・・トランスミッタ部、3・・・レシーバ部、4・・・エンベロープ波形生成部、5・・・AD変換部、6・・・制御判定処理部、7・・・警報出力部、8・・・センサ部、61・・・入出力インタフェース、62・・・タイマ、63・・・処理部、631・・・エンベロープ波形データ取得手段、632・・・エンベロープ波形データ記憶手段、633・・・距離測定手段、634・・・状態判断手段、635・・・状態番号記憶手段、10・・・浴槽、11・・・入浴者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴者の異常を検知して警報を発する浴室監視装置であって、
予め定めた時間だけ継続する超音波を浴槽に向けて発信する超音波発信手段と、
前記超音波発信手段が発信した超音波が物体に反射することにより生ずる反射波を受信する超音波受信手段と、
前記超音波受信手段が受信した前記反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する距離測定手段と、
前記距離測定手段が算出した浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する状態判断手段と、
を有することを特徴とする浴室監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載された浴室監視装置において、
前記状態判断手段は、前記距離測定手段が算出した浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離が、予め定めた距離未満であるときに、入浴者が沈水状態にあると判断することを特徴とする浴室監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された浴室監視装置において、
前記反射波に基づき前記反射波の包絡線波形を生成する包絡線波形生成手段を有し、
前記距離測定手段は、前記超音波受信手段が受信した前記反射波に基づいて生成される前記包絡線波形に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出することを特徴とする浴室監視装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された浴室監視装置において、
浴槽内における入浴者の状態を表す情報を記憶するための状態情報記憶手段を有し、
前記状態判断手段は、前記距離測定手段が算出した浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離、及び、前記状態情報記憶手段が記憶している入浴者の状態を表す前記情報に基づいて、入浴者が浴槽内にいるか否かを判断し、浴槽内に入浴者がいることを条件に、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断することを特徴とする浴室監視装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された浴室監視装置において、
前記距離測定手段は、前記超音波受信手段が受信した浴槽の水面からの反射波及び入浴者の身体上端部からの反射に基づいて、浴槽の水面から入浴者の身体上端部までの距離を算出し、浴槽の水面からの反射が識別できないときは、直近に受信した浴槽の水面からの反射波、及び、現在受信している入浴者の身体上端部からの反射波に基づいて、浴槽の水面から入浴者の身体上端部までの距離を算出することを特徴とする浴室監視装置。
【請求項6】
入浴者の異常を検知して警報を発する浴室監視装置における浴室監視方法であって、
予め定めた時間だけ継続する超音波を浴槽に向けて発信する工程と、
前記発信した超音波が物体に反射することにより生ずる反射波を受信する工程と、
前記受信した反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する工程と、
前記算出した距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する工程と、
を有することを特徴とする浴室監視方法。
【請求項7】
浴室監視装置のコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記浴室監視装置のコンピュータを、
浴槽に向けて予め定めた時間だけ継続するように超音波の発信を制御する手段と、
前記発信した超音波が物体に反射することにより生ずる反射波の受信を制御する手段と、
前記受信した反射波に基づいて、浴槽の水面と入浴者の身体上端部との間の距離を算出する距離測定手段と、
前記距離測定手段が算出した前記距離に基づいて、浴槽内の入浴者の沈水状態を判断する状態判断手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−245111(P2011−245111A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122995(P2010−122995)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】