説明

浴用剤組成物

【課題】バブルバスタイプの浴用剤であって、温まり感に優れた浴用剤組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B)、
(A)構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステル、及び
(B)式(1)
1−O−(R2O)n−Xm (1)
(式中、R1は炭素数6〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、又はフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは0〜10の整数を示し、Xは炭素数5〜6の還元糖又は−SO3Mを示し、Xが還元糖の場合mは1〜10の数を示し、Xが−SO3Mの場合mは1を示し、Mはアニオン残基を示す)
で表される成分で表される成分を含有し、
成分(A)及び(B)の含有量の比((A)/(B))が1以上である浴用剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴用剤組成物、特に浴湯面に泡層を発生させるバブルバスタイプの浴用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バブルバスタイプの浴用剤組成物は、一般に、浴湯により希釈されるため、豊かな泡立ちを達成すべく多量の界面活性剤を含有している。このため、皮膚刺激性の比較的低いアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤を主体として、さらにポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等のノニオン性界面活性剤や両性界面活性剤を併用したものが多い(特許文献1〜3)。一方、皮膚刺激性のより少ない界面活性剤であるショ糖脂肪酸エステルと、ポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物とを含有するバブルバス組成物も報告されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−333237号公報
【特許文献2】特開平11−292754号公報
【特許文献3】特開2006−8728号公報
【特許文献4】特開2006−315994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来のバブルバスタイプの浴用剤は、皮膚刺激性の改善に加え、起泡力、泡の持続性、泡のキメ細かさやヌルつき等の泡質の改善に留まるものであった。
本発明の課題は、バブルバスタイプの浴用剤であって、さらに温まり感の優れた浴用剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は、泡物性の違いによる熱伝達性の差異に着目して鋭意検討を重ねた結果、特定のショ糖脂肪酸エステルを界面活性剤の主体とし、更に、特定の構造を有する界面活性剤を組み合せた浴用剤であれば、起泡性、泡の持続性、泡質、皮膚低刺激性に優れることに加え、さらに、浴湯の熱を効率的に泡全体に伝導し続けることが可能な泡構造を浴湯面上に形成することが可能となり、浴湯に長時間入っていても泡自体が温かく、温まり感に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B)、
(A)構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステル、及び
(B)式(1)
1−O−(R2O)n−Xm (1)
(式中、R1は炭素数6〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、又はフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは0〜10の整数を示し、Xは炭素数5〜6の還元糖又は−SO3Mを示し、Xが還元糖の場合mは1〜10の数を示し、Xが−SO3Mの場合mは1を示し、Mはアニオン残基を示す)
で表される成分を含有し、
成分(A)及び(B)の含有量の比((A)/(B))が1以上である浴用剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の浴用剤組成物は、浴湯に投入し、起泡させることにより、泡自体の温かさを維持できる泡構造を浴湯面上に形成するため、浴湯に長時間入っていても泡の温かさにより優れた温浴効果(温まり感)が得られる。また、長湯の途中で沸かし直しの必要が減り環境にも優しい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】泡物性の測定手段の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の浴用剤組成物に用いられる成分(A)は、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステルである。このように、一定の鎖長の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステル、すなわち、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステルを用いることにより、優れた起泡性、泡の持続性に加え、泡からの液体の排出速度(以下、排液速度ともいう)を制御し、泡膜の薄化を遅らせることが可能となる。更に、浴湯の熱が効率的に泡全体に伝導し続けられるため、優れた温まり感が得られる。
炭素数8〜14の脂肪酸としては、飽和の脂肪酸であっても不飽和の脂肪酸であっても良く、また、直鎖の脂肪酸であっても分岐鎖の脂肪酸であっても良く、例えば、カプリル酸(オクタン酸)、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸等の飽和脂肪酸、カプロオレイン酸、ラウロイン酸、ミリストレイン酸等の不飽和脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の混合脂肪酸等が挙げられる。
成分(A)は、好ましくは、構成脂肪酸の60質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステル、更に好ましくは、構成脂肪酸の70質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステルである。また、好ましくは、構成脂肪酸の100質量%以下が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステルである。また、成分(A)は、好ましくは、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数10〜14であるショ糖脂肪酸エステル、更に好ましくは、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数12〜14であるショ糖脂肪酸エステルである。
【0010】
また、成分(A)は、好ましくはHLBが10以上20以下であり、より好ましくはHLBが12以上19.5以下であり、さらに好ましくは14以上19以下である。ここで、HLBはGriffinの式により求められるものである。
【0011】
成分(A)の好ましい具体例としてはHLB10以上20以下のショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ミリスチン酸エステルであり、さらに好ましい例としてはHLB12以上19.5以下のショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ミリスチン酸エステルであり、さらに好ましくはHLB14以上19以下のショ糖ラウリン酸エステルである。また、ショ糖ラウリン酸エステルとショ糖ステアリン酸エステルの混合物であって、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数8〜14の脂肪酸になる混合物であってもよい。
【0012】
なお、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖1分子中にある8個のヒドロキシル基を脂肪酸でエステル化することにより得られるものであり、ショ糖1分子に脂肪酸1分子が反応したモノエステルから脂肪酸8分子が反応したオクタエステルまでが存在するが、実際の工業生産においては、これら各エステルの混合物として得られている。本発明では、起泡性及び温まり感の点等からショ糖脂肪酸エステル中のモノエステル含有量が50〜95質量%、好ましくは60〜90質量%であることが好ましい。
【0013】
成分(A)の含有量は、本発明浴用剤組成物中5〜60質量%が好ましく、8〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。成分(A)の含有量がこれらの範囲にあると、浴湯投入時に良好な起泡性や泡の持続性が得られるとともに優れた温まり感が得られ、その上、組成物の過度の粘度の上昇がなく、製造や容器充填に適し、さらに、浴湯投入時に十分な溶解性が得られるため非常に好ましい。なお、成分(A)は2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】
本発明の浴用剤組成物に用いられる成分(B)は
式(1)
1−O−(R2O)n−Xm (1)
(式中、R1は炭素数6〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、又はフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは0〜10の整数を示し、Xは炭素数5〜6の還元糖又は−SO3Mを示し、Xが還元糖の場合mは1〜10の数を示し、Xが−SO3Mの場合mは1を示し、Mはアニオン残基を示す)
で表される化合物である。
【0015】
1で示される炭素数6〜18のアルキル又はアルケニル基としては、直鎖アルキル又はアルケニル基、分岐鎖アルキル又はアルケニル基、環状アルキル基、環状アルキルを一部に含むアルキル又はアルケニル基のいずれも挙げることができるが、このうち炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基が好ましい。R2で示される炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。またnは0〜10の整数であるが、0〜4がより好ましい。
【0016】
Xが炭素数5〜6の還元糖の場合、mは平均重合度であって1〜10であり、好ましくはmが1〜4である。さらに、mとR1の両者が式(1)の化合物の性質に与える影響を考慮すれば、R1の炭素数が8〜11であるときはmが1〜1.4であることが、またR1の炭素数が12〜14のときはmが1.5〜4.0であることが好ましい。なお、Xで示される炭素数5〜6の還元糖の例としては、グルコース、ガラクトース、フラクトースが挙げられる。
【0017】
Xが−SO3Mの場合、mは1である。また、Mで示されるアニオン残基の例としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリアルカノールアミン;アンモニウム等が挙げられる。
【0018】
Xが還元糖の場合の好ましい具体例としては、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド等のアルキルサッカライド型界面活性剤が挙げられる。このようなアルキルサッカライド型界面活性剤の成分(B)を浴用剤組成物中に含有させることで、起泡性向上に加え、より弾力性の高い泡が得られる傾向にあり、その結果、泡の持続性が非常に高い点で良好な泡構造を形成し、長時間入浴しても泡層の厚みが低下しづらいため、浴湯の熱が冷めにくい。加えて、この比率であれば、浴湯に溶解した時に得られる泡が浴湯の熱を効率的に泡全体に伝導し続けられるため、優れた温まり感を得ることができる。
【0019】
Xが−SO3Mの場合の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレン(2〜4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2〜4)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(2〜4)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩型界面活性剤が挙げられる。このようなアルキル硫酸塩型界面活性剤の成分(B)を浴用剤組成物中に含有させることで、起泡性向上に加え、泡径が細かく均一で、排液速度を遅延した柔らかな泡が得られる傾向にあり、ラメラ間に十分な浴湯を蓄えられる高含水の泡となる。その結果、泡径が細かく均一な泡沫がより多く発生するため、泡沫表面積を大きくすることができ、より効率的に泡層下の温かい浴湯からの熱対流を泡層間で実現可能とし、浴湯の熱を効率的に泡全体に伝導し続けられるため、優れた温まり感が得られる。その上、浴湯の熱を多く含む温かい泡で浴湯面を覆うことができるだけでなく、排液速度が遅延するために消泡が抑制され、浴湯自体の放熱を抑制できる。
【0020】
これらの成分(B)は1種でも2種以上を混合して用いてもよい。特にアルキルサッカライド型界面活性剤とアルキル硫酸塩型界面活性剤とを併用すると、前述した各々の活性剤の特性が相乗効果を示すため、高い起泡性、泡の持続性、排液速度を遅延した温かい泡の構造が得られ、特に好ましい。これらのアルキルサッカライド型界面活性剤とアルキル硫酸塩型界面活性剤との質量比(アルキルサッカライド型界面活性剤/アルキル硫酸塩型界面活性剤)は、1/15〜15/1が好ましく、1/12〜7/1がより好ましく、特に1/8〜1/1が好ましい。
【0021】
成分(B)の含有量は、本発明の浴用剤組成物中、5〜30質量%が好ましく、7〜25質量%がより好ましく、8〜20質量%がさらに好ましい。成分(B)の含有量がこれらの範囲にあると、上述の効果が得られるとともに、皮膚刺激性が低いだけでなく、組成物の過度の粘度上昇がなく製造や容器充填に適し、さらに、浴湯投入時に十分な溶解性が得られるため非常に好ましい。
【0022】
本発明の浴用剤組成物における成分(A)及び(B)の含有量の比((A)/(B))は、前述の如く、高い起泡性、泡の持続性、泡の温かさ、且つ、皮膚低刺激性の点から、1以上である。さらに、1〜10であり、特に1〜5が好ましい。
【0023】
本発明の浴用剤組成物には、さらに起泡性、泡の持続性、泡質及び排液速度を改善するため(C)両性界面活性剤を含有させることができる。当該(C)両性界面活性剤としては、例えばアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、中でも好ましいものはアルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタインである。これらの両性界面活性剤のアルキル基としては炭素数8〜16、特に10〜14が好ましい。
【0024】
これらの成分(C)は、本発明浴用剤組成物中に、良好な泡物性の点から、0.1〜7質量%、さらに0.5〜5質量%含有するのが好ましい。特に、アルキルアミドプロピルベタインとアルキルヒドロキシスルホベタインとの含有比率が9:1〜1:1、好ましくは7:3〜3:2であると排液速度を遅延させ、泡高さが良好で、温かい泡となる。また、本発明浴用剤組成物においては、成分(A)〜(C)の含有量の比[{(A)+(B)}/(C)]は、粘度制御や排液速度制御の点から5以上が好ましく、さらに5〜50が好ましく、特に10〜20が好ましい。
【0025】
本発明の浴用剤組成物には、良好な泡物性を損なわない範囲で、任意成分として、他のイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を添加することができる。また、さらに本発明の浴用剤組成物には、上記以外にも本発明の効果を害さない範囲で、通常の浴用剤に用いられる成分、例えば、油剤、水溶性高分子、粘度調製剤、pH調整剤、動植物の抽出物、生薬類やビタミン類等の各種薬効成分、雲母末や中性白土等の白濁剤、色素や顔料類、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤等を適宜含有させることもできる。
【0026】
中でも水溶性高分子の添加は、泡膜表面もしくはバルクの粘度を上昇させ、泡膜弾性の増加、排液速度を低下させ、含水量の高い安定な泡膜構造となり、結果として、浴湯の熱を効率的に泡全体に伝導し続けることが可能な泡構造を形成するために有効である。水溶性高分子のうち、グアーガム誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルグアーガム、カルボキシメチル・ヒドロキシプロピルグアーガム)等のグアーガム骨格を有する天然高分子多糖類や、セルロース誘導体(例えばメチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)等のセルロース骨格を有する多糖類は上述のような泡構造を形成する効果が高い。当該水溶性高分子は、本発明浴用剤組成物中に、0.1〜10質量%含有するのが好ましく、更に0.2〜5質量%、特に0.3〜1質量%、含有するのが好ましい。
【0027】
なお、本発明の浴用剤組成物は、何れの剤型でも製造されるが、浴湯への溶解性の点から、液体状、ゲル状とした製剤が特に好ましい。これらの液状又はゲル状の製剤の粘度は溶解性の点から、0.01〜15Pa・sが好ましく、さらに0.05〜10Pa・sが好ましく、特に0.1〜5Pa・sが好ましい。ここで粘度は、25℃において、B型粘度型(TOKI SANGYO CO.LTD)ローター番号:4を用いて測定した。
また、本発明の浴用剤組成物は、各成分を攪拌混合することによって製造することができる。特に、各成分の粘度が高く混合が困難な場合、加温して流動性を高めた状態で攪拌混合すると良い。また、成分の一部が粉末の場合、残りの液状成分に完全溶解させると良い。
【0028】
本発明の浴用剤組成物は、浴湯に投入し攪拌することで泡立てて入浴するバブルバスとして使用するのが好ましい。具体的には、給湯時の落し湯やシャワーの勢いで空気を巻き込ませたり、手又は湯かき混ぜ棒で攪拌したり、ジェットバス等を利用してノズルから空気を浴湯中に噴出させたり、その他各種原理の泡発生器を使用しても良い。
【実施例】
【0029】
実施例1〜11及び比較例1〜7
表1〜表3に記載の成分を20〜80℃にて攪拌混合し、液状浴用剤組成物を製造した。得られた浴用剤組成物について、以下の方法で起泡性、泡持続性、排液速度、泡の温かさ、配合直後の外観及び粘度を評価した。その結果を表1〜表3に併せて示す。
【0030】
(a)起泡性、泡持続性及び排液速度の測定
浴用剤組成物を、50g/100Lになるように、40℃のお湯に投入した。その後、10L/分で空気を送り込む泡発生装置を用いて泡立て、得られた泡水溶液の泡部分を2Lメスシリンダーに約2L採取した。初期及び10分後の泡高さ、水高さを測定し(図1参照)、下記式から泡物性を算出し、以下の基準で判定した。ここで図1に示すように泡高さとは2Lメスシリンダー中の泡沫部分の高さを意味し、水高さとは2Lメスシリンダー中の泡水溶液全量の高さから泡沫部分の高さを差し引いた高さであり、すなわち、泡沫の無い活性剤水溶液部分の高さを意味する。なお、初期とは泡水溶液の泡部分を2Lメスシリンダーに約2L採取し、平面にメスシリンダーを置いた時点を意味する。
(1)起泡性(%)={1−(初期水高さ/初期泡高さ)}×100
(2)泡持続性(%)=10分後泡高さ/初期泡高さ×100
(3)排液速度(%)=10分後水高さ/10分後泡高さ×100
ここで起泡性97%以上、且つ、泡持続性95%以上、且つ、排液速度30%未満のときに温まり感が向上する。
【0031】
(b)泡の温かさ(官能評価)
上記の浴用剤組成物50gをシャワー水(40℃100L)にて空気を巻き込ませることで泡立てた浴湯に専門パネラー(N=3)が入浴し、入浴10分後に泡層の下部から上部までを万膳なく両手で掬い取り、泡の温かさを1〜5の5段階評価で評価を行い、平均値を算出した。
[評価基準]
5.とても温かい
4.温かい
3.どちらとも言えない
2.あまり温かくない
1.温かくない
【0032】
(c)配合直後外観(目視評価)
浴用剤組成物の外観・性状を目視評価し、以下の基準で判定した。
[評価基準]
5:透明均一溶液
4:やや白濁均一溶液
3:白濁均一溶液
2:白濁やや不均一溶液
1:白濁不均一溶液
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
表1〜表3中、ラウリン酸スクロース(HLB15)の構成脂肪酸は炭素数12の脂肪酸が約70%であり、ミリスチン酸スクロース(HLB16)の構成脂肪酸は炭素数14の脂肪酸が約99%であり、ラウリン酸スクロース(HLB16)の構成脂肪酸は炭素数12の脂肪酸が約99%であり、ステアリン酸スクロース(HLB16)の構成脂肪酸は炭素数18の脂肪酸が約70%であった。なお、構成脂肪酸含量は、ショ糖脂肪酸エステルを加水分解してショ糖と脂肪酸に分解し、脂肪酸部分を分離してガスクロマトグラフィーで分析した。
【0037】
表1〜表3から明らかなとおり、実施例の浴用剤組成物は、起泡性、泡の持続性、排液速度が非常に良好で、泡の温かさが持続することが確認された。また、配合直後の外観も好ましかった。一方、比較例の浴用剤組成物では、起泡性、泡持続性及び排液速度の3条件が同時に達成されないため、泡の温かさは得られなかった。
また、浴用剤組成物の粘度が0.01〜15Pa・sのものは、浴湯への溶解性が良好であり、粘度が0.1〜5Pa・sのものはさらに溶解性が良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)、
(A)構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数8〜14であるショ糖脂肪酸エステル、及び
(B)式(1)
1−O−(R2O)n−Xm (1)
(式中、R1は炭素数6〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、又はフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは0〜10の整数を示し、Xは炭素数5〜6の還元糖又は−SO3Mを示し、Xが還元糖の場合mは1〜10の数を示し、Xが−SO3Mの場合mは1を示し、Mはアニオン残基を示す)
で表される成分を含有し、
成分(A)及び(B)の含有量の比((A)/(B))が1以上である浴用剤組成物。
【請求項2】
さらに(C)両性界面活性剤を含有する請求項1記載の浴用剤組成物。
【請求項3】
成分(A)〜(C)の含有量の比[{(A)+(B)}/(C)]が5以上である請求項1又は2記載の浴用剤組成物。
【請求項4】
浴用剤組成物の粘度が0.01〜15Pa・sである請求項1〜3の何れか1項に記載の浴用剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−132136(P2011−132136A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290687(P2009−290687)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】