説明

海域利用製鋼スラグ及びその調製方法

【課題】 製鋼スラグを海洋土木建築材料や海洋環境改善材料として利用するにあたり、長期間に亘って屋外で山積み保管された製鋼スラグであっても、白濁現象を発生しない海域利用製鋼スラグを提供するとともに、この海域利用製鋼スラグを得るための調製方法を提供する。
【解決手段】 本発明の海域利用製鋼スラグは、製鋼スラグに付着している水の量が10質量%以下であることを特徴とする。この場合、前記水の量が5質量%以下であることが好ましい。また、本発明に係る海域利用製鋼スラグの調製方法は、前記海域利用製鋼スラグの調製方法であって、製鋼スラグに付着している水を、篩い分け、水分吸収、脱水のうちの何れか1種以上の方法を用いて、所定の値となるまで除去することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、護岸、築堤、岸壁、覆砂などに利用される海域利用製鋼スラグ及びその調製方法に関し、詳しくは、海水に浸漬したときに白濁現象を発生することのない海域利用製鋼スラグ及びその調製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属の製錬工程及び精錬工程においては、高純度で上質な金属を得るために種々のスラグが発生し、製鉄所においても、高炉スラグ、転炉スラグ、取鍋スラグ、溶銑予備処理スラグなどの組成の異なる種々のスラグが発生する。これらのスラグは、路盤材、土壌改良材、地盤改良材、セメントやコンクリートの骨材、石材のみならず、海域の護岸、築堤、岸壁、覆砂などの海洋土木建築材料や海底の環境を改善するための環境改善材料として利用されている。
【0003】
これらのスラグのうちで、遊離CaO(「遊離石灰」或いは「フリーライム」ともいう)を含有する、転炉スラグ、取鍋スラグ、溶銑予備処理スラグなどは、沿岸海域で利用したときに、海水に溶出したスラグ中の遊離CaOにより、海水のpHが上昇して、海水に白濁現象が発生する場合もあることが知られている。この白濁現象は、以下のメカニズムで発生する。つまり、海水に溶出した遊離CaOにより海水中にCa(OH)2が形成され、これによって海水のpHが上昇し、pHの上昇に伴って海水に溶解していたMg2+がMg(OH)2となって析出し、この析出物で海水が白濁して白濁現象が発生する。また、海水中のCa2+もpHの上昇に伴って海水に含まれる炭酸イオン(CO32-)と反応して、CaCO3を析出し、これも白濁の原因となる。尚、製鉄所で発生するスラグのうちで、高炉スラグを除くスラグは製鋼精錬工程で発生するので、まとめて「製鋼スラグ」と呼ばれており、この製鋼スラグには、含有量はそれぞれ異なるものの、遊離CaOが含有されている。
【0004】
白濁化の原因となる、Mg(OH)2及びCaCO3自体は無害であるが、工事期間中の白濁現象は、外観上の問題から港湾工事を進める上での障害となることがある。また、白濁の発生は、遊離CaOの溶解に起因する海水のpH上昇を示唆しており、環境上、留意しなければならない。
【0005】
ところで、最近の製鋼プロセスにおいては、脱珪処理、脱硫処理、脱燐処理及び脱炭処理の各工程の効率的な分割化が進み、多種多様な製鋼スラグが発生しており、その形状、組織は多岐にわたり、製鋼スラグにおける遊離CaOの溶解挙動も複雑となっている。そこで、製鋼スラグを沿岸海域で利用するにあたり、このような種々の製鋼スラグを、白濁現象を発生しないスラグへと調製する方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、「製鋼スラグ、高炉スラグの何れか一方または双方の表面の一部あるいは全部が、セメントまたはセメント含有物で覆われている底質被覆材」が提案されている。特許文献1によれば、スラグの表面がセメントで被覆されているので、スラグからの急激なCa2+の溶出が防止され、白濁現象が防止されるとしている。
【0007】
また、特許文献2には、「大気雰囲気下、加圧雰囲気下または水蒸気雰囲気下でエージング処理が施された製鋼スラグに、自由水が存在し始める水分値未満で、且つ、該水分値よりも10質量%少ない値以上の範囲となるように添加する炭酸水量を調整した後に、炭酸ガスを含有し相対湿度が75〜100%のガスを流し、製鋼スラグの表面にCaCO3を形成させ、可溶性の石灰成分を不可溶性化する方法」が提案されている。
【0008】
また更に、特許文献3には、0.075mm以下の微粒物分の多い製鋼スラグを海水に浸漬すると、微粒物分から多くのCa2+が溶出し、白濁現象が起こるとして、「0.075mm以下の微粒分を5質量%以上含む粉状製鋼スラグと、高炉スラグ微粒末と、水とを用いて成型した造粒物」が提案されている。特許文献3によれば、微粒物分の多い製鋼スラグであっても造粒して粗大化することにより、Ca2+の溶出が抑制され、白濁が防止されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−313818号公報
【特許文献2】特開2005−47789号公報
【特許文献3】特開2005−314155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1〜3は何れも製鋼スラグからのCa2+の溶出速度を遅延させることにより、白濁現象を防止している。これらの製鋼スラグは、例えば特許文献1の場合にはスラグの表面にセメント含有物を被覆した直後など、スラグに白濁防止対策を施した後に直ちに海域で使用すれば、白濁現象は防止される。
【0011】
しかしながら、製鋼スラグに白濁防止対策を施した後、直ちに海域で使用することは稀であり、通常、白濁防止対策の施された製鋼スラグは、屋外に山積みされて保管される。本発明者らは、白濁防止対策の施された製鋼スラグであっても長期間にわたって屋外で保管されたものは、白濁現象が生じることを確認している。即ち、特許文献1〜3を適用しても、この製鋼スラグが長期間にわたって屋外で保管された場合には、白濁現象を防止できない。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、製鋼スラグを、護岸、築堤、岸壁などの海洋土木建築材料、或いは、海底及び水質を浄化するための海洋環境改善材料として利用するにあたり、長期間にわたって屋外で山積み保管された製鋼スラグであっても、白濁現象を発生しない海域利用製鋼スラグを提供することであり、また、この海域利用製鋼スラグを得るための調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、製鋼スラグを海域土木建築材料などとして利用した際の白濁現象を詳細に調査した結果、スラグに付着している高アルカリ性の水の存在を確認し、この高アルカリ性の水が、スラグからのCa2+の溶出による海水のアルカリ化から白濁現象へと進む反応に比較して、極めて瞬時に海水と反応して海水をアルカリ化することが、白濁現象の主たる原因であることを見出した。即ち、製鋼スラグに付着する水の量及びアルカリ度を管理することで、白濁現象を防止できるとの知見を得た。
【0014】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る海域利用製鋼スラグは、製鋼スラグであって、該製鋼スラグに付着している水の量が10質量%以下であることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明に係る海域利用製鋼スラグは、第1の発明において、前記水の量が5質量%以下であることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明に係る海域利用製鋼スラグは、第1または第2の発明において、前記水のpHが10以上であることを特徴とするものである。
【0017】
第4の発明に係る海域利用製鋼スラグの調製方法は、第1ないし第3の発明の何れか1つに記載の海域利用製鋼スラグの調製方法であって、製鋼スラグに付着している水を、篩い分け、水分吸収、脱水のうちの何れか1種以上の方法を用いて、所定の値となるまで除去することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製鋼スラグ中の高アルカリ性の付着水の量を10質量%以下に調製するので、製鋼スラグの組成の如何に拘わらず、この製鋼スラグが海水に投入されても、製鋼スラグとともに投入されるアルカリ分が少なく、海水のアルカリ化が抑制され、海水のpHは白濁現象が発生するまでには上昇せず、その結果、製鋼スラグによる白濁現象が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明者らは、特許文献1〜3などに開示される白濁防止対策を施した製鋼スラグであっても、長期間にわたって屋外で山積み保管された場合には白濁現象が発生する原因を調査し、その結果、以下の知見を得た。
【0021】
前述のように、白濁防止対策を施した製鋼スラグを、白濁防止対策実施後に直ちに海域で使用することは稀であり、通常、白濁防止対策の施された製鋼スラグは屋外に山積みされて保管される。この屋外での保管中にはかなりの降雨がある。一時的な降雨であれば山積みされたスラグ山の内部まで雨水が浸透することはなく、スラグ山の表面を流れるだけと考えられるが、梅雨時のように長期間の降雨の場合には、スラグ山の内部に雨水が浸透する。スラグ山の内部に浸透した雨水は、スラグ粒同士の間隙に入り込み、毛細管現象の効果もあってスラグ山から流出しにくくなる。
【0022】
山積み保管される製鋼スラグは、白濁防止対策が施されているとはいえ、スラグ粒同士の間隙に入り込んだ雨水の滞在期間が長くなると、長期間にわたって水と接触することにより、この水に製鋼スラグからCa2+が徐々に溶出し、スラグ粒の間隙に入り込んだ雨水などの水は、pH10以上の高アルカリ性になる。このような状態のスラグ山から採取した製鋼スラグを海域で使用すれば、スラグ粒同士の間隙に入り込んだ高アルカリ性の水も海水に投入され、この高アルカリ性の水によって海水のpHが上昇し、白濁現象が発生する。
【0023】
即ち、特許文献1〜3を適用しても、長期間にわたって屋外で山積み保管された場合に白濁現象が発生する原因は、スラグ粒同士の間隙に入り込んだ雨水などが長期間にわたって製鋼スラグと接触することで高アルカリ性になり、この高アルカリ性の水と海水とが接触することが、主たる原因であることが分かった。また、この高アルカリ性の水が、スラグからのCa2+の溶出による海水のアルカリ化から白濁現象へと進む反応に比較して、極めて瞬時に海水と反応して海水をアルカリ化することも分かった。これらの事象から、製鋼スラグに付着している水の量及びアルカリ度を管理することで、白濁現象を防止できるとの知見を得た。
【0024】
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、本発明においては、製鋼スラグに付着している水を10質量%以下、好ましくは5質量%以下に調製し、付着水を調製した製鋼スラグを海域での土木建築材料或いは環境改善材料として利用する。
【0025】
本発明において、製鋼スラグを海洋土木建築材料または海洋環境改善材料として使用するにあたり、製鋼スラグのサイズの上下限及びサイズ構成は、特に限定する必要はない。製鋼スラグの処理工程で得られるサイズのものをそのまま使用することができる。勿論、海洋土木建築材料或いは海洋環境改善材料の仕様からサイズが規定される場合には、それに従うものとする。
【0026】
また、本発明において海洋土木建築材料及び海洋環境改善材料として使用する製鋼スラグは、溶融状態の製鋼スラグをスラグ処理ヤードに流して空冷し、冷却固化した塊状のスラグを破砕機によって破砕して得たスラグでも、溶融状態の製鋼スラグに大量の水を噴射・混合攪拌して急冷する或いは溶融状態の製鋼スラグを大量の水の中に流し込んで急冷する方法(これらの冷却方法を「水砕法」という)によって得た、粒径がおよそ6mm以下の粒状のスラグ(「水砕スラグ」と呼ぶ)でも、溶融状態の製鋼スラグを空気などの気体とともに空気中に吹き飛ばして急冷する方法(この冷却方法を「風砕法」という)によって得た、粒径がおよそ6mm以下の球状のスラグ(「風砕スラグ」と呼ぶ)でも、どの方法により粒度を調整したスラグであっても構わない。また、その組成も所謂「製鋼スラグ」であるならば、組成に多少の違いがあっても構わない。また更に、特許文献1〜3に示されるような白濁防止対策を予め製鋼スラグに施す必要もない。ここでいう、製鋼スラグとは、溶銑予備処理工程で発生する脱珪スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、転炉における溶銑の脱炭精錬時に発生する脱炭スラグ、並びに、溶鋼を保持する取鍋から発生する取鍋スラグである。
【0027】
上記のようにして所定のサイズに調製した製鋼スラグを屋外で山積み保管する。この保管中、製鋼スラグは雨水などに曝され、雨水などはスラグ山の内部に浸透する。一旦、スラグ山の内部に浸透した雨水などは、スラグ粒同士の間隙に入り込み、スラグ山から流出しにくくなり、雨水などに曝される度にスラグ山の内部に浸透する水は増加し、これにより、屋外に山積みされた製鋼スラグの付着水は20質量%程度まで上昇する。
【0028】
製鋼スラグには遊離CaOが含有されており、スラグ粒同士の間隙に入り込んだ水と製鋼スラグとが接触することで、製鋼スラグ中の遊離CaOがこの水に溶け出し、付着する水のCa2+濃度が上昇し、それに伴ってpHが上昇する。製鋼スラグとこの水とが長期間にわたって接触し続けることで、付着水のCa2+濃度は最終的には飽和濃度に達する。つまり、付着水には多量のCa(OH)2(水酸化カルシウム)が形成され、付着水のpHは10以上に上昇する。尚、Ca2+濃度が飽和濃度のときには、付着水のpHは12.5程度に達し、強アルカリ性を呈する。
【0029】
本発明においては、この山積みされた製鋼スラグから所定量の製鋼スラグを切り出し、付着水量を所定値に調整した上で、海洋土木建築材料及び海洋環境改善材料として使用する。この場合に、付着水量を10質量%以下、好ましくは5質量%以下とするには、製鋼スラグ中の水をどの程度除去する必要があるかを把握するために、付着水除去工程に先立って、製鋼スラグ中の付着水の量を測定することが好ましい。勿論、付着水量を測定せずに、付着水除去工程を実施してもよい。
【0030】
付着水量測定用のサンプルは、スラグ山の複数箇所から採取しても、所定量の製鋼スラグを切り出した後の例えば保持容器に収容された製鋼スラグから採取しても、どちらでも構わない。付着水量測定方法は、一般的に行われている、100℃以上の所定時間の乾燥処理前後の質量変化から付着水量を求める方法で行うことができる。尚、付着水量は、「付着水量(質量%)=付着水質量(g)×100/(製鋼スラグ乾燥質量(g)+付着水質量(g))」により求められる。
【0031】
製鋼スラグから付着水を除去する方法としては、篩い分け、水分吸収、脱水などを用いることができる。また、これらの方法を組み合せて用いることもできる。
【0032】
ここで、篩い分けとは、付着水を有する製鋼スラグを、例えば目開き寸法が1mm程度の篩いを通し、製鋼スラグから水を除去するという方法である。目開き寸法が大小異なる複数段の篩いによって篩い分けることも可能である。この場合、サイズの小さい製鋼スラグは篩いを通過して水分側に分離されるが、サイズの小さい製鋼スラグほど付着水量が多いので、製鋼スラグから水を除去するという観点から有効である。
【0033】
水分吸収とは、例えば吸水性の繊維からなる搬送ベルト或いは吸水性繊維が取り付けられた搬送ベルトを用いて製鋼スラグを搬送し、製鋼スラグ中の付着水を吸水性繊維に吸収させ、製鋼スラグから水を除去するという方法である。
【0034】
脱水とは、例えば回転式の多孔質ドラムに製鋼スラグを導入し、この多孔質ドラムを回転させて遠心力により付着水を多孔質ドラムの外部に排出させる、或いは、多孔質ドラムに製鋼スラグを導入し、この多孔質ドラムに高圧の圧縮空気を送って、圧縮空気による空気の流れを利用して付着水を多孔質ドラムの外部に排出させ、製鋼スラグから水を除去するという方法である。
【0035】
尚、天日による自然乾燥も付着水を減少させる方法としては有効であるが、自然乾燥の場合には、以下の理由から白濁防止には効果が少なく、好ましくない。即ち、自然乾燥の場合には、付着水中の水酸化カルシウムは、水(H2O)の蒸発に伴って濃度が上昇し、飽和状態まで上昇すると、その後は製鋼スラグの表面に析出する。付着水が少なくなった分だけ、付着水に溶解している水酸化カルシウムは少なくなるが、この製鋼スラグを海水に投入すると、製鋼スラグの表面に析出していた水酸化カルシウムが直ちに海水に溶け出し、海水のpHを上昇させ、白濁現象を発生させる恐れがある。
【0036】
つまり、本発明においては、製鋼スラグから付着水を除去する際に、付着水に含有(溶解)される水酸化カルシウムも同時に除去することが必要である。上記の篩い分け、水分吸収及び脱水は、何れも付着水に溶解している水酸化カルシウムも同時に除去される。付着水と同時に、付着水に含有される水酸化カルシウムも除去される方法である限り、上記の方法に限らず、本発明における製鋼スラグからの付着水を除去する方法として採用することができる。尚、付着水除去工程は、スラグ山から所定量のスラグを切り出す際に同時に実施してもよく、また、切り出した後の所定量の製鋼スラグに対して実施してもよい。
【0037】
本発明においては、付着水の除去処理を施した後、製鋼スラグ中の付着水が所定値以下であることを確認するために、付着水除去処理を施した後の製鋼スラグから付着水測定用のサンプルを採取し、付着水量を測定し、付着水量を確認する。付着水が10質量%を超える場合には、再度、付着水除去処理を施し、付着水量を10質量%以下、望ましくは5質量%以下に調製する。
【0038】
本発明者らは、付着水量を3〜30質量%の範囲で複数水準に変更したビーカー試験において、付着水量が5質量%以下であれば確実に白濁現象が防止され、一方、付着水量が18質量%以上になれば白濁現象が生じることを確認している。また、付着水量が10質量%の場合には、白濁現象は発生しないか、白濁現象が起こっても白濁化が少ないことを確認している。そこで、本発明では、白濁現象の境界値として付着水量が10質量%以下を規定した。更に、付着水のpHが10以上であると、この製鋼スラグを海域で使用すれば、海水のpHが上昇し、白濁現象を発生させることになるため、付着水のpHが10以上の製鋼スラグへ適用することが好ましい。
【0039】
このようにして、付着水量を10質量%以下、好ましくは5質量%以下に調製した製鋼スラグを、海域での土木建築材料或いは環境改善材料として利用する。
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、製鋼スラグ中の高アルカリ性の付着水の量を10質量%以下に調製するので、製鋼スラグの組成の如何に拘わらず、この製鋼スラグが海水に投入されても、製鋼スラグとともに投入されるアルカリ分が少なく、海水のアルカリ化が抑制され、海水のpHは白濁現象が発生するまでには上昇せず、その結果、製鋼スラグによる白濁現象が防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼スラグであって、該製鋼スラグに付着している水の量が10質量%以下であることを特徴とする海域利用製鋼スラグ。
【請求項2】
前記水の量が5質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の海域利用製鋼スラグ。
【請求項3】
前記水のpHが10以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の海域利用製鋼スラグ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の海域利用製鋼スラグの調製方法であって、製鋼スラグに付着している水を、篩い分け、水分吸収、脱水のうちの何れか1種以上の方法を用いて、所定の値となるまで除去することを特徴とする、海域利用製鋼スラグの調整方法。

【公開番号】特開2011−20904(P2011−20904A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168684(P2009−168684)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】