説明

海水中金属の捕集材の係留装置

【課題】船舶を用いた設備とすることなく所望量の海水中のウランを連続して回収する。
【解決手段】陸域1から海底2に沿ってチェーンコンベア3を設け、チェーンコンベア3に所定の間隔で多数の捕集材21を取り付け、陸域1の駆動手段12によりチェーンコンベア3を周回駆動させ、船舶を用いた設備とすることなく、チェーンコンベア3を周回させている過程で捕集材に21に海水中のウランを吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水中の金属、例えば、ウランを捕集する海水中金属の捕集材を係留する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力は主要なエネルギー源であり、原子力発電の燃料としてのウランの需要は高くなることが確実視されているのが実情である。しかし、ウラン資源は特定の国に集中しているため、安定供給に対するリスクが高く、電力の安定供給が妨げられる虞がある。
【0003】
一方、海水中には極微量であるが多くの希少金属が含まれており、海水中の希少金属としてウランが存在することが知られている。このため、原子力発電の燃料として、海水中のウランを活用することが種々研究されている。海水中からウランを回収することができれば、ウランの安定供給に対するリスクを大幅に低減することが可能になる。
【0004】
海水からウランを捕集する捕集材として、アミドキシム基を有する捕集材が知られている。アミドキシム基を有する捕集材を用いることにより、捕集材の量に対するウランの捕集量を一定量の割合で確保することができる。
【0005】
このような捕集材を用いて海水中の金属を回収する捕集装置として、組紐状の多数の浮遊部に捕集材をモール状に設け、錘が備えられた着底部により浮遊部を所定間隔でつなげることで浮遊部を海水中の広範囲に亘り漂わせることが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された捕集装置では、着底部と浮遊部が直列に繋げられているため、巻き上げ装置等を用いて地上や船上に巻き上げることで、捕集材に捕集されたウランを回収することができる。
【0006】
しかし、所望量のウランを回収するためには、浮遊部を大量に漂わせる必要があり、直列に繋げられた着底部と浮遊部のトータルの長さが長くなり、広範囲に亘り設置する必要があった。このため、巻き上げ装置や回収設備を必要とし、回収作業のために船舶による広範囲の移動を要していた。また、ウランを回収するため、巻き上げられた長尺物から浮遊部を分離し、捕集材からウランを溶離処理している。このため、浮遊物を再度海水中に投入するためには、分離された着底部と浮遊部を繋げる作業が必要になり、多大な労力と作業時間が必要であった。
【0007】
従って、船舶による航行が必須であり、作業が天候に左右されることになり、また、連続した運転を行うためには重労働の作業になることは避けられないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−119801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、船舶を用いることなく天候に左右されない状態で、所望量の海水中金属を連続して回収することができる海水中金属の捕集材の係留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、海底に配されて周回する周回軌道手段と、前記周回軌道手段を周回駆動させる駆動手段と、前記周回軌道手段に所定の間隔で備えられ海水中の金属を吸着させる捕集材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る本発明では、周回軌道手段を周回させている過程で捕集材に海水中の金属を吸着させて金属を連続して捕集する。周回軌道手段の長さや周回速度、捕集材の間隔等を捕集する金属の海中濃度や海水温度等に基づいて設定し、所望量の金属を捕集する。捕集材に担持される吸着材を適宜選定することにより、例えば、吸着材としてアミドキシム基を用いることにより、海水中のウランを捕集して回収することができる。
【0012】
周回軌道手段としては、長尺チェーン部材を周回動自在に備え、スプロケットを介して長尺チェーン部材を周回駆動させることが好ましい。また、レールを敷設し、レールに対して多数の台車を数珠繋ぎ状に配して周回軌道手段とすることも可能である。この場合、一箇所で台車に駆動力を与えることで一斉に多数の台車をレールに沿って走行させることができる。
【0013】
この結果、船舶を用いることなく天候に左右されない状態で、所望量の海水中金属を連続して回収することが可能になる。つまり、天候に拘わらず海水中金属の回収作業を行うことができ、また、天候が急変した場合であっても、危険な作業を伴う虞がないので、海水中金属の回収作業を中断することなく継続して行うことができる。
【0014】
そして、請求項2に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項1に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記周回軌道手段は陸域と海底とにわたり配され、前記駆動手段は陸域に備えられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明では、周回軌道手段を陸域と海底との間で周回させ、海水中を移動した後の周回軌道手段の捕集材から金属を回収し、金属が回収された捕集材は周回軌道手段の周回により再び海水中に移動する。
【0016】
また、請求項3に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項2に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記周回軌道手段は、海岸線に沿った方向に対して交差する方向に延びて配され、海岸線から所定距離の海底地点で折り返されて陸域に循環して周回することを特徴とする。
【0017】
請求項3に係る本発明では、周回軌道手段は、海岸線に沿った方向に対して交差する方向、例えば、沖合に向けて海岸線から離れる方向に向かって延びて敷設されているので、海岸線に沿った潮流に対して交差する方向で周回移動させることができ、海岸線に沿った方向に流れがある海域で海水を捕集材に接触させることができる。
【0018】
また、請求項4に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項3に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記周回軌道手段は、所定の水深の海底までは周囲が覆われた通路に配されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に係る本発明では、周回軌道は、所定の水深の海底までは周囲が覆われた通路に配されているので、捕集材が海岸近傍の波の影響を受けることがない。周囲が覆われた通路としては、陸域や海底下にトンネルを形成することが適用される。また、陸域から海域までトンネルを形成し、海域では所定の水深までの海底面に管状通路を敷設することが適用される。
【0020】
また、請求項5に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項4に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記所定の水深は、船舶が航行できる水深よりも深い深さであることを特徴とする。
【0021】
請求項5に係る本発明では、船舶の航行に支障をきたすことなく周回軌道手段を海底に周回させて捕集材により海水中の金属を捕集することができる。また、船舶が航行できる水深よりも深い深さとすることで、光が届きにくい深さで捕集材を周回させることができ、藻類の着生を抑制することができる。
【0022】
また、請求項6に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記捕集材は、浮力をもった基部材に設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項6に係る本発明では、浮力をもった基部材に捕集材が設けられているので、海水中では捕集材は浮遊して海底を引きずることがない。
【0024】
また、請求項7に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項6に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記基部材は、一端が前記周回軌道手段に固定される浮力をもった長尺状の軸部材であり、前記捕集材は、前記軸部材に対して高分子化合物が撚り線状にされた捕集担体が多数取り付けられてモール状態にされ、前記捕集担体に吸着材が結合されていることを特徴とする。
【0025】
請求項7に係る本発明では、浮力が軸方向に分散された軸部材に捕集担体が多数取り付けられた捕集材を用い、捕集材が所定間隔で備えられた周回軌道手段を走行させることにより、潮の流れに影響され難い状態で捕集材を浮遊させて海底を引きずることを確実に防止し、モール状態の捕集担体に海水中の金属を吸着させて海水中の金属を捕集することができる。
【0026】
また、請求項8に係る本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、前記捕集材から海水中の金属を回収する回収手段が陸域に備えられていることを特徴とする。
【0027】
請求項8に係る本発明では、陸上の回収手段により捕集材から海水中の金属を回収することができる。この場合、回収手段は、陸域の海面より低い位置に設けられることが好ましい。回収手段を海面より低い位置に設けることで、周回軌道手段を海面より低い位置に敷設することができ、海面下に位置する通路内で(海水が満たされる通路内で)捕集材を移動させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、船舶を用いることなく天候に左右されない状態で、所望量の海水中金属を連続して回収することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例に係る海水中金属の捕集材の係留装置の概略側面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る海水中金属の捕集材の係留装置の概略平面図である。
【図3】図2中の要部拡大状態図である。
【図4】図3中の側面図である。
【図5】捕集材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には本発明の一実施例に係る海水中金属の捕集材の係留装置の全体を側面視状態で表した状況、図2には図1を平面視状態で表した状況、図3には図2中の陸上部分の詳細状況、図4には図3の側面視状況、図5には捕集材の詳細を表す説明を示してある。尚、図1の状態は、捕集材が沖に移動している状態の側面視を示してある。
【0031】
本実施例の海水中金属の捕集材の係留装置は、陸域から所定の海底に亘って配されて周回する周回軌道手段(長尺チェーン部材)としてのチェーンコンベアと、陸域の建屋に設置されチェーンコンベアを周回駆動させる駆動手段と、チェーンコンベアに所定の間隔で多数備えられ海水中の金属を吸着させる捕集材とを備えている。
【0032】
図1、図2に示すように、陸域1の建屋31から沖合いの数キロまでの海底2に亘りチェーンコンベア3が設けられ、チェーンコンベア3は陸域1の建屋31と沖合いの海底2の間を周回動するように設けられている。即ち、建屋31には海面Sよりも深い地下位置に地下部位32が備えられ、建屋31の地下部位32から所定の水深の海底2に亘りチェーンコンベア3が周回動自在に敷設されている。建屋31の地下部位32から所定の水深の海底2の位置2aまでは、周囲が覆われた通路としてトンネル5内に配され、チェーンコンベア3はトンネル5の中を移動するように設けられている。そして、所定の水深の海底2の位置2aからの海底面には、例えば、樋状のガイドが敷設され、ガイド内にチェーンコンベア3が配設されている。
【0033】
トンネル5が設けられる所定の水深は、例えば、100m程度が好ましい。即ち、後述する捕集材によりウランの捕集効率を維持するためには、捕集材を水温10℃から20℃程度の海中に配する必要がある。この水温が維持される水深は、100mから200m程度であり、所定の水深は、例えば、100m程度が好ましい。後述する捕集材を浮かせた場合に、船舶4の航行を可能にするためには、後述する捕集材との間に40m程度の距離を保つ必要がある。従って、後述する捕集材の長さを、例えば、60mにすることで、船舶4の航行に支障をきたすことなく、捕集効率が維持できる水温域の海中に後述する捕集材を配することができる。
【0034】
このため、陸域1からチェーンコンベア3を設けても、船舶4の航行に支障をきたすことがない。また、光が届きにくいため藻類がほとんど着生しない。尚、船舶4の航路がない場所にチェーンコンベア3を設ける場合、例えば、60m以上の水深までトンネル5を設けることにより、後述する浮力を有する捕集材が海面Sよりも深い位置を移動し、波の影響を抑制することができる。
【0035】
上述した実施例では、建屋31の地下部位32から、例えば、100m程度の所定の水深までトンネル5を設けた例を挙げて説明したが、陸域1の部位をトンネルとし、海域における所定の水深の海底2の位置2aの海底面まで管状通路(パイプ)を敷設し、所定の水深の海底2の位置2aからの海底面にチェーンコンベア3を露出させることも可能である。この場合、トンネル及び管状通路により、周囲が覆われた通路が構成される。
【0036】
チェーンコンベア3は、海岸線に沿った方向に対して直交(交差)して設けられ、海岸線から所定距離(例えば、2kmから3km程度)の海底2の地点でプーリ11を介して折り返されて陸域1に循環して周回移動する。このため、海岸線に沿った潮流(図中矢印で示してある)に対して直交(交差)する方向で周回移動させることができ、海岸線に沿った方向に流れがある海域で海水を後述する捕集材に接触させることができる。
【0037】
図1から図3に示すように、チェーンコンベア3が周回する陸域1の建屋31の地下部位32には、チェーンコンベア3を周回駆動させる駆動手段12が備えられている。駆動手段12は、例えば、建屋31の地下部位32の折り返し部位の2箇所にスプロケット13が備えられ、スプロケット13はチェーンコンベア3に噛み合っている。スプロケット13は図示しない原動機により駆動回転され、スプロケット13の駆動回転によりチェーンコンベア3が周回駆動される。
【0038】
尚、周回軌道手段としては、レールを敷設し、レールに対して多数の台車を数珠繋ぎ状に配することも可能である。この場合、一箇所で台車に駆動力を与えることで一斉に多数の台車をレールに沿って走行させることができる。
【0039】
図1、図4に示すように、チェーンコンベア3には、全周に亘って所定の間隔(数十cmから1m程度)で浮力を持った捕集材21が取り付けられている。前述したように、捕集材21の長さは、例えば、60m程度に設定され、例えば、100mの海底に配した場合に、海面から40mの位置に上端が配されることになる。
【0040】
図4、図5に示すように、捕集材21は、多数のフロート22aが軸状に繋げられ、軸全体として曲げ方向に対して自由度を有するフロート軸22(基部材:軸部材)を有している。フロート軸22には、高分子化合物が撚り線状にされた捕集担体23が多数取り付けられてモール状態にされ、フロート軸22の一端がチェーンコンベア3に固定されている。捕集担体23には、例えば、アミドキシム基の吸着材が結合され、捕集材21を海水中に係留することにより、海水中のウランが吸着される。
【0041】
捕集材21は、捕集担体23が取り付けられることで、例えば、直径が15cmから20cmの長尺な部材とされる。前述したトンネル5の中では、チェーンコンベア3の駆動により捕集材21が連続して束ねられた状態で移動することになる。例えば、1m程度の間隔で捕集材21がチェーンコンベア3に取り付けられていた場合でも、60本の捕集材21をトンネル5内に移動自在に存在させる必要がある。
【0042】
このため、トンネル5は、直径が、例えば、150cmから200cm程度に設定される。また、トンネル5の入口部及び出口部は開口側に向かい漸次直径が大きくされ、チェーンコンベア3の駆動により捕集材21が撓んで挿入される際、捕集材21がトンネル5から繰り出される際に、捕集担体23に無理な力が加わることがなく、捕集担体23が破損したりチェーンコンベア3の駆動に支障が生じることがない。
【0043】
図3に示すように、チェーンコンベア3が周回する陸域1の建屋31の地下部位32(海面Sよりも深い地下位置)には、捕集材21に吸着したウランを回収するウラン回収槽14が備えられている。ウラン回収槽14にはウランを離脱させるための液体が貯留され、チェーンコンベア3の周回によりウラン回収槽14の内部を捕集材21が通過することにより、捕集材21からウランが離脱される。
【0044】
上記構成の海水中金属の捕集材の係留装置によるウランの捕集の状況を説明する。
【0045】
多数の捕集材21が所定の間隔で取り付けられたチェーンコンベア3をスプロケット13の駆動により周回駆動させる。チェーンコンベア3を陸域1の建屋31の地下部位32(海面Sよりも深い地下位置)と海底2との間で周回動させ、周回動させている過程で捕集材21の捕集担体23に海水中のウランを吸着させてウランを連続して捕集する。海底2から建屋31の地下部位32に周回動したチェーンコンベア3の捕集材21は、ウラン回収槽14の内部を通過して捕集材21からウランが離脱される。ウランが離脱された捕集材21は、チェーンコンベア3の連続した周回駆動により再び海水中に移動する。
【0046】
このため、船舶を用いることなく天候に左右されない状態で、所望量の海水中金属を24時間連続して安全に回収することが可能になる。つまり、天候に拘わらず海水中金属の回収作業を行うことができ、また、天候が急変した場合であっても、船上の危険な作業が皆無であるため、海水中金属の回収作業を中断することなく継続して行うことができる。
【0047】
そして、チェーンコンベア3は、海岸線に沿った方向に対して直交(交差)する方向に、即ち、沖合に向けて海岸線から離れる方向に向かってに延びて周回動するので、海岸線に沿った潮流に対して直交(交差)する方向で周回移動させることができ、海岸線に沿った方向に流れがある海域で海水を捕集材21に接触させることができる。このため、効率よくウランを捕集材21に吸着させることができる。
【0048】
また、捕集材21は、浮力を持ったフロート軸22の一端がチェーンコンベア3に取り付けられているので、浮力が軸方向に分散され、潮流が生じてもフロート軸22の一端側が海底側に流されて倒れることが抑制される。このため、潮の流れに影響され難い状態で捕集材を浮遊させて海底を引きずることを確実に防止することができる。また、フロート軸22に捕集担体23がモール状にされているので、海水の接触面積を多くして捕集材21を浮遊させることができる。
【0049】
また、陸域1及び沿岸部ではチェーンコンベア3はトンネル5の内部を移動するので、捕集材21が海岸近傍の波の影響を受けることがない。また、沿岸を航行する船舶4が干渉することをなくすことができるので、船舶の航行に支障をきたすことがない。更に、チェーンコンベア3は海面Sよりも深い位置のトンネル5の内部を移動するので、海面下に位置する通路内で(海水が満たされる通路内で)捕集材を移動させることができる。
【0050】
従って、上述した本発明の海水中金属の捕集材の係留装置は、船舶を用いることなく天候に左右されない状態で、所望量の海水中のウランを連続して回収することが可能になる。
【0051】
上述した実施例では、海水中金属としてウランを捕集する例を挙げて説明したが、捕集材に担持される吸着材を適宜選定することにより、海水中のセシウム、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イットリウム等の種々のレアメタルを捕集して回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、海水中の金属、例えば、ウランを捕集する海水中金属の捕集材の係留装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 陸域
2 海底
3 チェーンコンベア
4 船舶
5 トンネル
11 プーリ
12 駆動手段
13 スプロケット
14 ウラン回収槽
21 捕集材
22 フロート軸
23 捕集担体
31 建屋
32 地下部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に配されて周回する周回軌道手段と、
前記周回軌道手段を周回駆動させる駆動手段と、
前記周回軌道手段に所定の間隔で備えられ海水中の金属を吸着させる捕集材とを備えた
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項2】
請求項1に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記周回軌道手段は陸域と海底とにわたり配され、
前記駆動手段は陸域に備えられている
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項3】
請求項2に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記周回軌道手段は、
海岸線に沿った方向に対して交差する方向に延びて配され、海岸線から所定距離の海底地点で折り返されて陸域に循環して周回する
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項4】
請求項3に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記周回軌道手段は、所定の水深の海底までは周囲が覆われた通路に配されている
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項5】
請求項4に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記所定の水深は、船舶が航行できる水深よりも深い深さである
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記捕集材は、浮力をもった基部材に設けられている
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項7】
請求項6に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記基部材は、一端が前記周回軌道手段に固定される浮力をもった長尺状の軸部材であり、
前記捕集材は、前記軸部材に対して高分子化合物が撚り線状にされた捕集担体が多数取り付けられてモール状態にされ、
前記捕集担体に吸着材が結合されている
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集材の係留装置において、
前記捕集材から海水中の金属を回収する回収手段が陸域に備えられている
ことを特徴とする海水中金属の捕集材の係留装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−76707(P2012−76707A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226083(P2010−226083)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】