説明

海水淡水化システム及び海水淡水化方法

【課題】淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供すること。
【解決手段】海水淡水化システム1は、下水W10を膜分離処理することで下水系透過水W11と下水系濃縮水W12とを生成する下水系逆浸透膜処理手段10と、下水系濃縮水W12と取水した海水W20との混合水を膜分離処理することで海水系透過水W21と海水系濃縮水W22とを生成し、海水系透過水W21の塩分濃度を測定する海水系透過水EC計230を有する海水系逆浸透膜処理手段20と、を備え、海水系透過水W21の塩分濃度に応じて海水系透過水W21を下水系逆浸透膜処理手段10に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水淡水化システム及び海水淡水化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、海水を膜分離処理することで、淡水を生成する海水淡水化装置が知られている。この海水淡水化装置は、膜分離処理するのに海水を加圧してポンプ等で逆浸透膜ユニットに圧送するため、海水の塩分濃度が高いほど多大なエネルギーが必要となる。
【0003】
そこで、海水よりも塩分濃度が低い下水を膜分離処理し透過水と濃縮水とに分離する第1処理部と、第1処理部にて生成した濃縮水を希釈用として海水に混合して混合水とし、該混合水を膜分離処理し透過水と濃縮水とに分離する第2処理部とを備え、下水の流入量に基づき第1処理部及び第2処理部を制御する海水淡水化システムが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の海水淡水化システムによれば、下水の濃縮水を海水に混合した混合水を膜分離処理することで、下水の流入量が増えれば混合水の塩分濃度を低下させることができるので、海水を膜分離処理する場合に比べて、淡水を生成するためのエネルギーを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4499835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の海水淡水化システムは、下水の流入量に基づき第1処理部及び第2処理部を制御するので、生成される淡水の水質が下水の流入量に依存することとなる。ここで、下水は、有機物を含有する有機性廃水や製造工場等の無機性廃水等が濾過処理等された後に排水されたものであるので、その水質や水量が安定して供給されるものではない。このため、特許文献1に記載の海水淡水化システムは、生成する淡水において水質を確保するのが困難である。
【0006】
本発明は、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理手段と、前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成し、前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段を有する海水系逆浸透膜処理手段と、を備え、前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理手段に供給することを特徴とする海水淡水化システム。
【0008】
(1)の発明によれば、下水系逆浸透膜処理手段は、下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する。海水系逆浸透膜処理手段は、下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成し、海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段を有する。海水系透過水の塩分濃度に応じて海水系透過水を下水系逆浸透膜処理手段に供給する。
【0009】
これにより、海水系逆浸透膜処理手段において、海水より塩分濃度が低い下水系濃縮水と海水の混合水を膜分離処理し淡水である海水系透過水を生成するので、混合水より塩分濃度が高い海水を膜分離処理して淡水を生成する場合に比べて、淡水を生成するためのエネルギーを低減できる。
また、例えば、下水の水量が低下し下水系逆浸透膜処理手段で生成された下水系透過水と下水系濃縮水の水量が低下し、海水系透過水の塩分濃度が上昇した場合であっても、稼働率が低下した下水系逆浸透膜処理手段を利用して、当該塩分濃度が上昇した海水系透過水を膜分離処理することで、塩分濃度が所定の基準値である海水系透過水を確保できる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0010】
(2) 下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理手段を有する海水淡水化システムであって、前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成し、前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段を有する海水系逆浸透膜処理手段と、前記海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記下水系逆浸透膜処理手段及び前記海水系逆浸透膜処理手段の駆動を制御する制御手段と、を備える海水淡水化システム。
【0011】
(2)の発明によれば、下水系逆浸透膜処理手段は、下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する。海水系逆浸透膜処理手段は、下水系濃縮水と海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成し、この海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段を有する。制御手段は、海水系透過水の塩分濃度に応じて、下水系逆浸透膜処理手段及び海水系逆浸透膜処理手段を制御する。
【0012】
これにより、海水系逆浸透膜処理手段において、海水より塩分濃度が低い下水系濃縮水と海水の混合水を膜分離処理し淡水である海水系透過水を生成するので、混合水より塩分濃度が高い海水を膜分離処理して淡水を生成する場合に比べて、淡水を生成するためのエネルギーを低減できる。
また、生成した淡水である海水系透過水の塩分濃度に応じて、下水系逆浸透膜処理手段及び海水系逆浸透膜処理手段を制御するので、例えば、海水系透過水の塩分濃度が所定の基準値より高ければ、海水系逆浸透膜処理手段の駆動を抑制し海水系透過水の塩分濃度を所定の基準値に戻すことができる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0013】
(3) 前記海水系透過水を膜分離処理する第2の海水系逆浸透膜処理手段を更に備え、前記制御手段は、前記塩分濃度測定手段で測定した前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記第2の海水系逆浸透膜処理手段に供給することを特徴とする(2)に記載の海水淡水化システム。
【0014】
(3)の発明によれば、海水系透過水を膜分離処理する第2の海水系逆浸透膜処理手段を更に備えた。
これにより、例えば、下水の水量が低下し下水系逆浸透膜処理手段で生成された下水系透過水と下水系濃縮水の水量が低下し、海水系透過水の塩分濃度が上昇した場合であっても、第2の海水系逆浸透膜処理手段で当該塩分濃度が上昇した海水系透過水を膜分離処理することで、塩分濃度が所定の基準値である海水系透過水を供給できる。
【0015】
(4) 前記制御手段は、前記塩分濃度測定手段で測定した海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理手段に供給し、前記下水系逆浸透膜処理手段は、前記海水系逆浸透膜処理手段から供給された前記海水系透過水と下水との混合水を膜分離処理する(2)に記載の海水淡水化システム。
【0016】
(4)の発明によれば、海水系透過水の塩分濃度に応じて、当該海水系透過水を下水系逆浸透膜処理手段で膜分離処理する。
これにより、例えば、下水の水量が低下し下水系逆浸透膜処理手段で生成された下水系透過水と下水系濃縮水の水量が低下し、海水系透過水の塩分濃度が上昇した場合であっても、稼働率が低下した下水系逆浸透膜処理手段を利用して、当該塩分濃度が上昇した海水系透過水を膜分離処理することで、塩分濃度が所定の基準値である海水系透過水を供給できる。
【0017】
(5) 前記海水系逆浸透膜処理手段が備える逆浸透膜は、前記下水系逆浸透膜処理手段に流入する下水の流入量及び塩分濃度、前記海水系逆浸透膜処理手段に流入する海水の流入量及び塩分濃度、予め設定される前記海水系逆浸透膜処理手段が生成する海水系透過水の水量及び塩分濃度に基づき選択された、好適な脱塩率の逆浸透膜である(2)から(4)のいずれかに記載の海水淡水化システム。
【0018】
ここで、逆浸透膜は、脱塩率が略55%から略99%と様々な膜がある。逆浸透膜処理手段では、一般的に逆浸透膜の脱塩率が高いほど、揚程の能力がより高くより多くのエネルギーを必要とするポンプが必要になる。
(5)の発明によれば、下水系及び海水系の逆浸透膜処理手段の流入量及び塩分濃度、予め設定される海水系逆浸透膜処理手段が生成する海水系透過水の水量及び塩分濃度から、好適な脱塩率の逆浸透膜を選択することで、エネルギー効率が好適なポンプを用いることが可能となり、淡水を生成するためのエネルギーをより低減できる。
【0019】
(6) 下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理手段と、海水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理手段と、前記下水系透過水と前記海水系透過水とが混合された混合透過水を貯留する貯留槽及び当該貯留槽に貯留された混合透過水の水位を計測する水位計を有する貯留システムと、を備え、前記貯留システムは、前記水位計で計測した水位に応じて前記海水系逆浸透膜処理手段を、起動又は停止する海水淡水化システム。
【0020】
(6)の発明によれば、下水系逆浸透膜処理手段は、下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する。海水系逆浸透膜処理手段は、海水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する。貯留システムは、下水系透過水と海水系透過水とが混合された混合透過水を貯留する貯留槽及び当該貯留槽に貯留された混合透過水の水位を計測する水位計を有する。そして、貯留システムは、水位計で計測した混合透過水の水位に応じて海水系逆浸透膜処理手段を、起動又は停止する。
【0021】
これにより、海水系逆浸透膜処理手段において、海水より塩分濃度が低い下水系濃縮水と海水の混合水を膜分離処理し淡水である海水系透過水を生成するので、混合水より塩分濃度が高い海水を膜分離処理して淡水を生成する場合に比べて、淡水を生成するためのエネルギーを低減できる。
また、生成した淡水である下水系透過水と海水系透過水とが混合された混合透過水の貯留槽における水位に応じて海水系逆浸透膜処理手段を、起動又は停止するので、例えば、下水系透過水が十分に生成され、所望の水量が確保できている場合に、下水系逆浸透膜処理手段に比べ多くのエネルギーを必要とする海水系逆浸透膜処理手段を停止できる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において所望の水量を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0022】
(7) 前記貯留システムは、前記貯留槽に貯留された混合透過水の塩分濃度を測定する第1の塩分濃度測定手段を有し、前記下水系逆浸透膜処理手段は、生成した下水系透過水の塩分濃度を測定する第2の塩分濃度測定手段を有し、前記海水系逆浸透膜処理手段は、生成した海水系透過水の塩分濃度を測定する第3の塩分濃度測定手段を有し、前記海水系透過水の塩分濃度、前記下水系透過水の塩分濃度及び前記混合透過水の塩分濃度に応じて、起動又は停止する(6)に記載の海水淡水化システム。
【0023】
(7)の発明によれば、海水系逆浸透膜処理手段は、海水系透過水の塩分濃度、下水系透過水の塩分濃度及び混合透過水の塩分濃度に応じて、起動又は停止するので、例えば、下水系透過水の塩分濃度及び混合透過水の塩分濃度のいずれかが所定の基準値より高ければ、海水系逆浸透膜処理手段を停止することで、生成した淡水である混合透過水の塩分濃度を所定の基準値以内に戻すことができる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0024】
(8) 下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理工程と、前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理工程と、前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定工程と、前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理工程に戻す海水系透過水循環工程と、を備えることを特徴とする海水淡水化方法。
(8)の発明によれば、(1)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0025】
(9) 下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理工程を有する海水淡水化方法であって、前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理工程と、前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定工程と、前記海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記下水系逆浸透膜処理工程及び前記海水系逆浸透膜処理工程の継続を決定する継続決定工程と、を備えることを特徴とする海水淡水化方法。
(9)の発明によれば、(2)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0026】
(10) 前記海水系透過水を膜分離処理する第2の海水系逆浸透膜処理工程を更に備え、前記塩分濃度測定工程で測定した前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記第2の海水系逆浸透膜処理工程で処理することを特徴とする(9)に記載の海水淡水化方法。
(10)の発明によれば、(3)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0027】
(11) 前記塩分濃度測定工程で測定した海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理工程に戻す海水系透過水循環工程と、を備え、前記下水系逆浸透膜処理工程は、前記海水系透過水循環工程において戻された前記海水系透過水と下水との混合水を膜分離処理する(9)に記載の海水淡水化方法。
(11)の発明によれば、(4)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0028】
(12) 下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理工程と、海水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理工程と、前記下水系透過水と前記海水系透過水とが混合された混合透過水を貯留槽に貯留する貯留工程と、当該貯留槽に貯留された混合透過水の水位を計測する水位計測工程と、前記水位計測工程で計測した水位に応じて前記海水系逆浸透膜処理工程を、行うか否かを決定する決定工程と、を備える海水淡水化方法。
(12)の発明によれば、(6)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0029】
(13) 前記貯留槽に貯留された混合透過水の塩分濃度を測定する第1の塩分濃度測定工程と、前記下水系逆浸透膜処理工程において生成した下水系透過水の塩分濃度を測定する第2の塩分濃度測定工程と、前記海水系逆浸透膜処理工程において生成した海水系透過水の塩分濃度を測定する第3の塩分濃度測定工程と、を更に備え、前記決定工程は、前記海水系透過水の塩分濃度、前記下水系透過水の塩分濃度及び前記混合透過水の塩分濃度に応じて前記海水系逆浸透膜処理工程を、行うか否かを決定する(12)に記載の海水淡水化方法。
(13)の発明によれば、(7)の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の海水淡水化システムを示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の変形例の海水淡水化システムを示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態の海水淡水化システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
図1を参照して、本発明の第1実施形態の海水淡水化システム1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の海水淡水化システム1を示す概略構成図である。
【0033】
図1に示すように、第1実施形態の海水淡水化システム1は、下水系逆浸透膜処理手段10と、海水系逆浸透膜処理手段20と、制御手段100と、を備えており、下水W10及び海水W20を膜分離処理し、淡水である下水系透過水W11及び海水系透過水W21を生成する装置である。
本明細書における海水W20は、海、湖、沼、池等に存在する水であって、塩分濃度が略1.0質量%以上略4.0質量%以下の水である。また、本明細書における下水W10は、有機物を含有する有機性廃水や製造工場等の無機性廃水等が濾過処理等された後に排水されたものであって、塩分濃度が海水W20よりも低い水である。また、本明細書における淡水とは、塩分濃度が低い水である。
【0034】
海水淡水化システム1は、下水W10を膜分離処理することで下水系透過水W11と下水系濃縮水W12とを生成する下水系逆浸透膜処理手段10と、下水系濃縮水W12と取水した海水W20との混合水を膜分離処理することで海水系透過水W21と海水系濃縮水W22とを生成し、この海水系透過水W21の塩分濃度を測定する導電率計(以下、EC計と称する)230を有する海水系逆浸透膜処理手段20と、
海水系透過水W21の塩分濃度に応じて、下水系逆浸透膜処理手段10及び海水系逆浸透膜処理手段20の駆動を制御する制御手段100と、を備える。
【0035】
海水淡水化システム1は、海水系透過水W21の塩分濃度が、透過水を使用する供給系(図示無し)へ流出できる基準を満たしていれば海水系透過水W21を供給系へ流出し、供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には海水系透過水W21を下水系逆浸透膜処理手段10に循環させる。
以下、海水淡水化システム1の各構成について詳細に説明する。
【0036】
下水系逆浸透膜処理手段10は、系外から下水W10を供給する下水ラインL10と、下水ラインL10に設けられ、下水W10に含まれる汚泥を濾過する下水系前処理モジュール11と、下水ラインL10に接続され、下水W10を膜分離処理し、下水系透過水W11及び下水系濃縮水W12を生成する下水系逆浸透膜モジュール12と、下水ラインL10において、下水系逆浸透膜モジュール12より上流側に設けられた加圧ポンプ13と、下水系逆浸透膜モジュール12に接続された下水系透過水ラインL11と、下水系逆浸透膜モジュール12に接続された下水系濃縮水ラインL12と、を最低限備える。
なお、本明細書でいう「ライン」とは、流体の流通が可能なラインであり、流路、経路、管路等が含まれる。
【0037】
下水ラインL10は、海水淡水化システム1の系外から延びて下水系前処理モジュール11を介して下水系逆浸透膜モジュール12に接続されており、下水系前処理モジュール11により汚泥が除去された下水W10を下水系逆浸透膜モジュール12に導入する。
【0038】
下水系前処理モジュール11は、下水ラインL10において下水系逆浸透膜モジュール12の上流側に設けられ、膜分離活性汚泥法により下水W10に含まれる汚泥を濾過し除去する。本実施形態において下水系前処理モジュール11は、濾過媒体としての精密濾過膜あるいは限外濾過膜(図示せず)を備える。なお、下水系前処理モジュール11は、本実施形態において、精密濾過膜あるいは限外濾過膜を用いているが、これに限らず、下水W10に含まれる汚泥を除去する他の濾過装置を用いることもできる。
【0039】
下水系逆浸透膜モジュール12は、下水ラインL10の下流側の端部に接続されている。下水系逆浸透膜モジュール12は、下水系前処理モジュール11により汚泥が除去された下水W10を逆浸透膜(以下、「RO膜」ともいう)により膜分離処理し、下水系透過水W11及び下水系濃縮水W12を生成する。下水系逆浸透膜モジュール12は、単一又は複数のRO膜エレメント(図示せず)を備えており、これらのRO膜エレメントにより水中の溶存塩類を除去する。RO膜エレメントは、下水系逆浸透膜処理手段10に流入する下水W10の流入量及び塩分濃度に基づき好適な脱塩率の膜が選択される。
加圧ポンプ13は、下水ラインL10に設けられており、下水W10を加圧し、下水系逆浸透膜モジュール12に送出する。
【0040】
下水系透過水ラインL11及び下水系濃縮水ラインL12は、下水系逆浸透膜モジュール12の下流側に接続されている。下水系透過水ラインL11は、RO膜を透過した下水系透過水W11が流通し、下水系透過水W11を系外へ排水するラインである。下水系濃縮水ラインL12は、RO膜を透過しなかった下水系濃縮水W12が流通するラインである。下水系濃縮水ラインL12は、海水系逆浸透膜処理手段20に接続され、海水系逆浸透膜処理手段20に下水系濃縮水W12を供給する。
【0041】
海水系逆浸透膜処理手段20は、系外から海水W20を供給する海水ラインL20と、海水ラインL20に設けられ、海水W20に含まれる浮遊細菌(以下、「細菌、SS」ともいう)等を濾過する砂濾過やVF等の海水系前処理モジュール21と、海水ラインL20に接続され、海水W20を膜分離処理し、海水系透過水W21及び海水系濃縮水W22を生成する海水系逆浸透膜モジュール22と、海水ラインL20において、海水系逆浸透膜モジュール22より上流側に設けられた加圧ポンプ23と、海水系逆浸透膜モジュール22に接続された海水系透過水ラインL21と、海水系逆浸透膜モジュール22に接続された海水系濃縮水ラインL22と、海水系透過水ラインL21から分岐する海水系塩分濃度測定ラインL23と、海水系塩分濃度測定ラインL23を介して、海水系透過水ラインL21に送出された海水系透過水W21の塩分濃度を測定するEC計230と、海水系透過水ラインL21から分岐する海水系透過水排水ラインL24と、海水系透過水ラインL21から分岐する海水系透過水循環ラインL25と、を備える。
【0042】
海水ラインL20は、海水淡水化システム1の系外から延びて海水系前処理モジュール21を介して海水系逆浸透膜モジュール22に接続されている。また、海水ラインL20は、海水系前処理モジュール21と海水系逆浸透膜モジュール22との間の下水系濃縮水ライン接続点J12で下水系濃縮水ラインL12が接続されている。加圧ポンプ23は、海水ラインL20に設けられており、海水系前処理モジュール21により細菌、SS等が除去された海水W20と下水系逆浸透膜処理手段10から供給された下水系濃縮水W12との混合水を加圧し、海水系逆浸透膜モジュール22に送出する。
【0043】
海水系前処理モジュール21は、海水ラインL20において海水系逆浸透膜モジュール22の上流側に設けられ、膜分離処理により海水W20に含まれる細菌、SSやウィルスSSを濾過し除去する。本実施形態において海水系前処理モジュール21は、海水W20を砂濾過した後、限外濾過膜(図示せず)により膜分離処理する。なお、海水系前処理モジュール21は、本実施形態において、限外濾過膜を用いているが、これに限らず、海水W20に含まれる細菌、SSやウィルスSSを除去する精密濾過膜等の他の濾過膜を用いることもできる。
【0044】
海水系逆浸透膜モジュール22は、海水ラインL20の下流側に接続されている。海水系逆浸透膜モジュール22は、海水系前処理モジュール21により細菌、SS等が除去された海水W20と下水系逆浸透膜処理手段10から供給された下水系濃縮水W12との混合水を逆浸透膜により膜分離処理し、海水系透過水W21及び海水系濃縮水W22を生成する。海水系逆浸透膜モジュール22は、単一又は複数のRO膜エレメント(図示せず)を備えており、これらのRO膜エレメントにより水中の溶存塩類を除去する。RO膜エレメントは、海水系逆浸透膜処理手段20に流入する海水W20の流入量及び塩分濃度、予め設定されている海水系逆浸透膜処理手段20が生成する海水系透過水W21の水量及び塩分濃度に基づき好適な脱塩率の膜が選択される。
【0045】
海水系透過水ラインL21及び海水系濃縮水ラインL22は、海水系逆浸透膜モジュール22の下流側に接続されている。
海水系透過水ラインL21は、RO膜を透過した海水系透過水W21が流通するラインである。海水系透過水ラインL21には、海水系塩分濃度測定ラインL23、海水系透過水排水ラインL24が上流側から順に接続されている。また、海水系透過水ラインL21には、下流側端部に海水系透過水循環バルブ250が設けられている。海水系透過水ラインL21は、海水系透過水循環バルブ250を介して、海水系透過水循環ラインL25に接続され、下水系逆浸透膜処理手段10に海水系透過水W21を循環させる。
【0046】
海水系濃縮水ラインL22は、RO膜を透過しなかった海水系濃縮水W22が流通し、海水系濃縮水W22を系外へ排水するラインである。
海水系塩分濃度測定ラインL23は、海水系透過水ラインL21から塩分濃度測定ライン分岐点J23において分岐し、海水系透過水W21が流通し、塩分濃度測定手段としての海水系透過水EC計230に接続されている。
海水系透過水EC計230は、塩分濃度測定工程として、海水系塩分濃度測定ラインL23を流通する海水系透過水W21の導電率を測定し、塩分濃度に換算する。海水系透過水EC計230は、制御手段100に接続され、測定した海水系透過水W21の導電率又は換算した塩分濃度を制御手段100に送信する。
【0047】
海水系透過水排水ラインL24は、海水系透過水ラインL21から海水系透過水排水ライン分岐点J24において分岐し、海水系透過水排水バルブ240を介して、海水系透過水W21を供給系(図示無し)へ流出するラインである。
海水系透過水排水バルブ240は、電磁弁又は電動弁からなり、制御手段100の制御により、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていれば、海水系透過水W21を供給系へ流出するように構成され、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていない場合に、海水系透過水W21を供給系へ流出するのを止めるように構成されている。
【0048】
海水系透過水循環ラインL25は、海水系透過水循環バルブ250から延びて、下水ラインL10の海水系透過水循環ライン接続点J26に接続されている。海水系透過水循環ラインL25は、海水系透過水W21を下水系逆浸透膜処理手段10に循環させるラインである。
海水系透過水循環バルブ250は、電磁弁又は電動弁からなり、制御手段100の制御により、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系(図示無し)へ流出できる基準を満たしていれば海水系透過水W21を下水系逆浸透膜処理手段10に循環させないように構成され、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には海水系透過水W21を下水系逆浸透膜処理手段10に循環させるように構成されている。
【0049】
制御手段100は、海水淡水化システム1を構成する各要素のうち、制御が行われる要素に電気的に接続される。詳細には、制御手段100は、海水系透過水EC計230で測定された海水系透過水W21の塩分濃度に応じて、加圧ポンプ13、加圧ポンプ23、海水系透過水排水バルブ240、海水系透過水循環バルブ250を制御する。
【0050】
次に、海水淡水化システム1の動作について説明する。
まず、制御手段100は、加圧ポンプ13及び加圧ポンプ23を駆動させる制御を行う。
これにより、下水系逆浸透膜処理手段10が駆動し、系外から供給され下水系前処理モジュール11により汚泥が除去された下水W10は、下水系逆浸透膜モジュール12に導入される。下水系逆浸透膜モジュール12に導入された下水W10は膜分離処理され、下水系透過水W11及び下水系濃縮水W12が生成される。下水系透過水W11は系外に排水され、下水系濃縮水W12は海水系逆浸透膜処理手段20に供給される。
また、海水系逆浸透膜処理手段20が駆動し、系外から供給され海水系前処理モジュール21により細菌、SS等が除去された海水W20は、下水系逆浸透膜処理手段10から供給された下水系濃縮水W12と混合され、海水系逆浸透膜モジュール22に導入される。海水系逆浸透膜モジュール22に導入された海水W20と下水系濃縮水W12との混合水は膜分離処理され、海水系透過水W21及び海水系濃縮水W22が生成される。海水系透過水W21は海水系透過水ラインL21に流出され、海水系濃縮水W22は系外に排水される。
【0051】
そして、海水系透過水EC計230は、海水系透過水ラインL21に流出された海水系透過水W21の塩分濃度を測定し制御手段100に送信する。
制御手段100は、継続決定工程として以下の処理を行う。
制御手段100は、海水系透過水EC計230から送信された海水系透過水W21の塩分濃度が供給系(図示無し)へ流出できる基準を満たしている場合には、海水系透過水排水バルブ240を開栓し、海水系透過水循環バルブ250を閉栓する制御を行う。
これにより、海水系透過水W21は、供給系へ流出される。
【0052】
また、制御手段100は、海水系透過水EC計230から送信された海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には、海水系透過水循環工程として、海水系透過水循環バルブ250を開栓し、海水系透過水排水バルブ240を閉栓するとともに、加圧ポンプ23の出力を下げることにより流量を下げる制御を行う。
これにより、海水系透過水W21は、海水系透過水循環ラインL25を介して、下水系逆浸透膜処理手段10に循環され、再度、下水系逆浸透膜処理手段10及び海水系逆浸透膜処理手段20により膜分離処理される。また、海水系逆浸透膜処理手段20における海水W20の取水する量が減少する。
【0053】
第1実施形態の海水淡水化システム1によれば、以下の効果を奏する。
海水系逆浸透膜処理手段20において、海水より塩分濃度が低い下水系濃縮水W12と海水W20の混合水を膜分離処理し淡水である海水系透過水W21を生成するので、混合水より塩分濃度が高い海水W20を膜分離処理して淡水を生成する場合に比べて、淡水を生成するためのエネルギーを低減できる。
また、例えば、下水W10の水量が低下し下水系逆浸透膜処理手段10で生成された下水系透過水W11と下水系濃縮水W12の水量が低下し、海水系透過水W21の塩分濃度が上昇した場合であっても、稼働率が低下した下水系逆浸透膜処理手段10を利用して、当該塩分濃度が上昇した海水系透過水W21を膜分離処理することで、塩分濃度が所定の濃度の海水系透過水を供給できる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0054】
また、生成した淡水である海水系透過水W21の塩分濃度に応じて、下水系逆浸透膜処理手段10及び海水系逆浸透膜処理手段20を制御するので、例えば、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には、海水系逆浸透膜処理手段20の駆動を抑制し海水系透過水の塩分濃度を所定の濃度に戻すことができる。
【0055】
また、下水系逆浸透膜処理手段10及び海水系逆浸透膜処理手段20の流入量及び塩分濃度、予め設定される海水系逆浸透膜処理手段20が生成する海水系透過水W21の水量及び塩分濃度から、好適な脱塩率の逆浸透膜を選択することで、エネルギー効率が好適なポンプを用いることが可能となり、淡水を生成するためのエネルギーをより低減できる。
【0056】
次に、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態の変形例については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第1実施形態の変形例において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。
【0057】
<第1実施形態の変形例>
図2を参照して、第1実施形態の変形例である海水淡水化システム1’について説明する。図2は、本発明の第1実施形態の変形例の海水淡水化システム1’を示す概略構成図である。
第1実施形態の変形例である海水淡水化システム1’は、第1実施形態の海水淡水化システム1とは、海水系逆浸透膜処理手段の海水ライン、海水系透過水ライン及び制御手段の構成が異なる。また、第1実施形態の変形例である海水淡水化システム1’は、第1実施形態の海水淡水化システム1が備えない第2海水系逆浸透膜処理手段30を備える。
海水淡水化システム1’は、海水系透過水W21の塩分濃度が、供給系(図示無し)へ流出できる基準を満たしている場合には海水系透過水W21を供給系へ流出し、供給系へ流出できる基準を満たしていない場合は海水系透過水W21を更に第2海水系逆浸透膜処理手段30において膜分離処理する。
【0058】
海水系逆浸透膜処理手段20’の海水ラインL20’は、海水淡水化システム1’の系外から延びて海水系前処理モジュール21を介して海水系逆浸透膜モジュール22に接続されている。また、海水ラインL20’には、海水系前処理モジュール21と海水系逆浸透膜モジュール22との間の下水系濃縮水ライン接続点J12で下水系濃縮水ラインL12が接続され、下水系濃縮水ライン接続点J12と海水系逆浸透膜モジュール22との間の海水系再濃縮水ライン接続点J32で海水系再濃縮水ラインL32が接続されている。
【0059】
海水系逆浸透膜処理手段20’の海水系透過水ラインL21’は、海水系逆浸透膜モジュール22の下流側に接続されている。
海水系透過水ラインL21’は、RO膜を透過した海水系透過水W21が流通するラインである。海水系透過水ラインL21’には、海水系塩分濃度測定ラインL23、海水系透過水排水ラインL24が上流側から順に接続されている。また、海水系透過水ラインL21’には、下流側端部に海水系バルブ210が設けられている。海水系透過水ラインL21’は、海水系バルブ210を介して、第2海水系逆浸透膜処理手段30に接続され、第2海水系逆浸透膜処理手段30に海水系透過水W21を供給する。
【0060】
海水系バルブ210は、電磁弁又は電動弁からなり、制御手段100の制御により、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には、海水系透過水W21を第2海水系逆浸透膜処理手段30に供給するように構成され、海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしている場合には、海水系透過水W21を供給系へ流出するように構成されている。
【0061】
第2海水系逆浸透膜処理手段30は、海水系逆浸透膜処理手段20’から海水系透過水W21を供給する海水系透過水供給ラインL30と、海水系透過水供給ラインL30に接続され、海水系透過水W21を更に膜分離処理し、海水系再透過水W31及び海水系再濃縮水W32を生成する第2海水系逆浸透膜モジュール32と、海水系透過水供給ラインL30において、第2海水系逆浸透膜モジュール32より上流側に設けられた加圧ポンプ33と、第2海水系逆浸透膜モジュール32に接続された海水系再透過水ラインL31と、第2海水系逆浸透膜モジュール32に接続された海水系再濃縮水ラインL32と、を備える。
【0062】
海水系透過水供給ラインL30は、海水系逆浸透膜処理手段20’の海水系バルブ210から延び第2海水系逆浸透膜モジュール32に接続されており、海水系透過水W21を第2海水系逆浸透膜モジュール32に導入する。
【0063】
第2海水系逆浸透膜モジュール32は、海水系透過水供給ラインL30の下流側に接続されている。第2海水系逆浸透膜モジュール32は、塩分濃度が所定の基準値を超えている海水系透過水W21を逆浸透膜により膜分離処理し、海水系再透過水W31及び海水系再濃縮水W32を生成する。第2海水系逆浸透膜モジュール32は、単一又は複数のRO膜エレメント(図示せず)を備えており、これらのRO膜エレメントにより水中の溶存塩類を除去する。RO膜エレメントは、第2海水系逆浸透膜処理手段30に流入する海水系透過水W21の流入量及び塩分濃度、予め設定されている第2海水系逆浸透膜処理手段30が生成する海水系再透過水W31の水量及び塩分濃度に基づき好適な脱塩率の膜が選択される。
加圧ポンプ33は、海水系透過水供給ラインL30に設けられており、海水系透過水W21を加圧し、第2海水系逆浸透膜モジュール32に送出する。
【0064】
海水系再透過水ラインL31及び海水系再濃縮水ラインL32は、第2海水系逆浸透膜モジュール32の下流側に接続されている。海水系再透過水ラインL31は、RO膜を透過した海水系再透過水W31が流通し、海水系再透過水W31を供給系(図示無し)へ流出するラインである。海水系再濃縮水ラインL32は、RO膜を透過しなかった海水系再濃縮水W32が流通するラインである。海水系再濃縮水ラインL32は、海水系逆浸透膜処理手段20’に接続され、海水系逆浸透膜処理手段20’に海水系再濃縮水W32を供給する。
【0065】
制御手段100’は、海水淡水化システム1’を構成する各要素のうち、制御が行われる要素に電気的に接続される。詳細には、制御手段100’は、海水系透過水EC計230で測定された海水系透過水W21の塩分濃度に応じて、加圧ポンプ13、加圧ポンプ23、加圧ポンプ33、海水系バルブ210、海水系透過水排水バルブ240を制御する。
【0066】
次に、海水淡水化システム1’の動作について説明する。
海水淡水化システム1’における下水系透過水W11及び海水系透過水W21が生成されるまでの動作は、第1実施形態の海水淡水化システム1と同様であるので説明を省略する。
【0067】
海水系透過水EC計230は、海水系透過水ラインL21’に流出された海水系透過水W21の塩分濃度を測定し制御手段100’に送信する。
制御手段100’は、継続決定工程として以下の処理を行う。
制御手段100’は、海水系透過水EC計230から送信された海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしている場合には、海水系透過水排水バルブ240を開栓し、海水系バルブ210を閉栓する制御を行う。
これにより、海水系透過水W21は、供給系へ流出される。
【0068】
また、制御手段100’は、海水系透過水EC計230から送信された海水系透過水W21の塩分濃度が供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には、第2の海水系逆浸透膜処理工程として、海水系バルブ210を開栓するとともに、加圧ポンプ33を駆動させ第2海水系逆浸透膜処理手段30を駆動する制御を行う。
これにより、海水系透過水W21は、第2海水系逆浸透膜処理手段30に供給される。供給された海水系透過水W21は第2海水系逆浸透膜モジュール32に導入され膜分離処理され、海水系再透過水W31及び海水系再濃縮水W32が生成される。海水系再透過水W31は、供給系へ流出される。海水系再濃縮水W32は、海水系濃縮水W22と比べて塩分濃度が低いので、系外へ排水されず、海水系逆浸透膜処理手段20’に戻される。
【0069】
第1実施形態の変形例である海水淡水化システム1’によれば、以下の効果を奏する。
例えば、下水W10の水量が低下し下水系逆浸透膜処理手段10で生成された下水系透過水W11と下水系濃縮水W12の水量が低下し、海水系透過水W21の塩分濃度が上昇した場合であっても、第2海水系逆浸透膜処理手段30で当該塩分濃度が上昇した海水系透過水W21を膜分離処理することで、塩分濃度が基準を満たす海水系透過水を供給できる。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。
【0071】
<第2実施形態>
図3を参照して、第2実施形態の海水淡水化システム1Aについて説明する。図3は、本発明の第2実施形態の海水淡水化システム1Aを示す概略構成図である。
第2実施形態の海水淡水化システム1Aは、第1実施形態の海水淡水化システム1とは、下水系逆浸透膜処理手段の下水系透過水ライン、海水系逆浸透膜処理手段の海水系透過水ライン及び制御手段の構成が異なる。また、第2実施形態の海水淡水化システム1Aは、第1実施形態の海水淡水化システム1が備えない貯留システム40を備える。
【0072】
下水系逆浸透膜処理手段10Aの下水系透過水ラインL11Aは、下水系逆浸透膜モジュール12の下流側に接続されている。下水系透過水ラインL11Aは、RO膜を透過した下水系透過水W11が流通するラインである。下水系透過水ラインL11Aには、下水系塩分濃度測定ラインL13及び貯留システム40が上流側から順に接続され、貯留システム40に下水系透過水W11を供給する。
下水系塩分濃度測定ラインL13は、下水系透過水ラインL11Aから塩分濃度測定ライン分岐点J13において分岐し、下水系透過水W11が流通し、第2の塩分濃度測定手段としての下水系透過水EC計130に接続されている。
下水系透過水EC計130は、第2の塩分濃度測定工程として、下水系塩分濃度測定ラインL13を流通する下水系透過水W11の導電率を測定し、塩分濃度に換算する。下水系透過水EC計130は、制御手段100Aに接続され、測定した下水系透過水W11の導電率又は換算した塩分濃度を制御手段100Aに送信する。
【0073】
海水系逆浸透膜処理手段20Aの海水系透過水ラインL21Aは、海水系逆浸透膜モジュール22の下流側に接続されている。海水系透過水ラインL21Aは、RO膜を透過した海水系透過水W21が流通するラインである。海水系透過水ラインL21Aには、海水系塩分濃度測定ラインL23、貯留システム40が上流側から順に接続され、貯留システム40に海水系透過水W21を供給する。
海水系塩分濃度測定ラインL23は、海水系透過水ラインL21Aから塩分濃度測定ライン分岐点J13において分岐し、海水系透過水W21が流通し、第3の塩分濃度測定手段としての海水系透過水EC計230に接続されている。
海水系透過水EC計230は、第3の塩分濃度測定工程として、海水系塩分濃度測定ラインL23を流通する海水系透過水W21の導電率を測定し、塩分濃度に換算する。海水系透過水EC計230は、制御手段100Aに接続され、測定した海水系透過水W21の導電率又は換算した塩分濃度を制御手段100Aに送信する。
【0074】
貯留システム40は、下水系逆浸透膜処理手段10Aの下水系透過水ラインL11A及び海水系逆浸透膜処理手段20Aの海水系透過水ラインL21Aに接続された貯留槽41と、貯留槽41に接続された貯留槽排水ラインL41と、貯留槽41の水位を計測する水位計42と、貯留槽41に接続された貯留槽塩分濃度測定ラインL43と、貯留槽塩分濃度測定ラインL43に接続された第1の塩分濃度測定手段としての貯留槽EC計430と、を備える。
【0075】
貯留槽41は、下水系逆浸透膜処理手段10Aから供給された下水系透過水W11と海水系逆浸透膜処理手段20Aから供給された海水系透過水W21とが混合された混合透過水W40を貯留する。
貯留槽排水ラインL41は、貯留槽41の底部に接続され、混合透過水W40を供給系(図示無し)へ流出するラインである。
水位計42は、貯留槽41に貯留された混合透過水W40の水位を計測する。水位計42は、制御手段100Aに接続され、計測した混合透過水W40の水位を制御手段100Aに送信する。水位計42は、貯留槽41の底部に配置され水圧を検出する圧力センサを備え、水圧の変化から水位を測定する圧力式水位計であるが、これに限らず、光学式水位計や超音波式水位計を用いることができる。
【0076】
貯留槽塩分濃度測定ラインL43は、貯留槽41の底部の近傍まで延び、混合透過水W40が流通し、貯留槽EC計430に接続されている。
貯留槽EC計430は、第1の塩分濃度測定工程として、貯留槽塩分濃度測定ラインL43を流通する混合透過水W40の導電率を測定し、塩分濃度に換算する。貯留槽EC計430は、制御手段100Aに接続され、測定した混合透過水W40の導電率又は換算した塩分濃度を制御手段100Aに送信する。
【0077】
制御手段100Aは、海水淡水化システム1Aを構成する各要素のうち、制御が行われる要素に電気的に接続される。詳細には、制御手段100Aは、水位計42で計測された混合透過水W40の水位、下水系透過水EC計130で測定された下水系透過水W11の塩分濃度、海水系透過水EC計230で測定された海水系透過水W21の塩分濃度又は貯留槽EC計430で測定された混合透過水W40の塩分濃度に応じて、加圧ポンプ13又は加圧ポンプ23を制御する。
【0078】
次に、海水淡水化システム1Aの動作について説明する。
海水淡水化システム1Aにおける下水系透過水W11及び海水系透過水W21が生成されるまでの動作は、第1実施形態の海水淡水化システム1と同様であるので説明を省略する。
下水系逆浸透膜処理手段10Aで生成された下水系透過水W11及び海水系逆浸透膜処理手段20Aで生成された海水系透過水W21は、混合され混合透過水W40となって貯留システム40の貯留槽41に貯留される。貯留槽41に貯留された混合透過水W40は貯留槽排水ラインL41より供給系へ流出されるが、下水系透過水W11及び海水系透過水W21の生成量(混合透過水W40の生成量)が混合透過水W40の排水量より大きい場合、貯留槽41に混合透過水W40が貯留される。
そして、水位計42は、貯留槽41に貯留された混合透過水W40の水位を測定し制御手段100Aに送信する。
【0079】
制御手段100Aは、決定工程として、以下の処理を行う。
制御手段100Aは、水位計42から送信された混合透過水W40の水位が所定の海水系逆浸透膜処理手段停止水位に達した場合には、加圧ポンプ23を停止し海水系逆浸透膜処理手段20Aの駆動を停止する。
これにより、海水淡水化システム1Aは、下水系逆浸透膜処理手段10Aのみが駆動している状態となり、貯留槽41には下水系透過水W11のみが供給されることとなる。
【0080】
そして、例えば、下水系透過水W11の生成量(混合透過水W40の生成量)が混合透過水W40の排水量より小さくなった場合、貯留槽41における混合透過水W40の水位は降下する。
制御手段100Aは、水位計42から送信された混合透過水W40の水位が所定の海水系逆浸透膜処理手段開始水位に達した場合には、加圧ポンプ23を駆動し海水系逆浸透膜処理手段20Aを起動する。なお、所定の海水系逆浸透膜処理手段開始水位は、所定の海水系逆浸透膜処理手段停止水位より低い位置に設定されている。
これにより、海水淡水化システム1Aは、再び下水系逆浸透膜処理手段10A及び海水系逆浸透膜処理手段20Aが駆動している状態となり、貯留槽41には下水系透過水W11及び海水系透過水W21が供給されることとなる。
【0081】
一方、例えば、下水系透過水W11の生成量(混合透過水W40の生成量)が混合透過水W40の排水量より大きい場合、貯留槽41における混合透過水W40の水位は更に上昇する。
制御手段100Aは、水位計42から送信された混合透過水W40の水位が所定の全逆浸透膜処理手段停止水位に達した場合には、加圧ポンプ13及び加圧ポンプ23を停止し下水系逆浸透膜処理手段10A及び海水系逆浸透膜処理手段20Aの駆動を停止する。なお、全逆浸透膜処理手段停止水位は、所定の海水系逆浸透膜処理手段停止水位より高い位置に設定されている。
これにより、海水淡水化システム1Aは、下水系逆浸透膜処理手段10A及び海水系逆浸透膜処理手段20Aの双方が停止した全停止状態となり、貯留槽41がオーバーフローするのを防止できる。そして、この全停止状態において、制御手段100Aは、水位計42から送信された混合透過水W40の水位が降下し所定の海水系逆浸透膜処理手段停止水位に達した場合には、加圧ポンプ13の駆動を再開し下水系逆浸透膜処理手段10Aを起動する。
【0082】
また、制御手段100Aは、下水系透過水EC計130で測定された下水系透過水W11の塩分濃度、海水系透過水EC計230で測定された海水系透過水W21の塩分濃度又は貯留槽EC計430で測定された混合透過水W40の塩分濃度のいずれかが供給系へ流出できる基準を満たしていない場合には、加圧ポンプ23を停止させ海水系逆浸透膜処理手段20Aを停止する制御を行う。
これにより、海水淡水化システム1Aは、下水系逆浸透膜処理手段10Aのみが駆動している状態となり、貯留槽41には下水系透過水W11のみが供給されることとなる。
【0083】
第2実施形態の海水淡水化システム1Aによれば、以下の効果を奏する。
海水系逆浸透膜処理手段20Aにおいて、海水W20より塩分濃度が低い下水系濃縮水W12と海水W20の混合水を膜分離処理し淡水である海水系透過水W21を生成するので、混合水より塩分濃度が高い海水W20を膜分離処理して淡水を生成する場合に比べて、淡水を生成するためのエネルギーを低減できる。
また、生成した淡水である下水系透過水W11と海水系透過水W21とが混合された混合透過水W40の貯留槽41における水位に応じて海水系逆浸透膜処理手段20Aを、起動又は停止するので、例えば、下水系透過水W11が十分に生成され、所望の水量が確保できている場合に、下水系逆浸透膜処理手段10に比べ多くのエネルギーを必要とする海水系逆浸透膜処理手段20Aを停止できる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において所望の水量を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0084】
また、海水系逆浸透膜処理手段20Aは、海水系透過水W21の塩分濃度、下水系透過水W11の塩分濃度及び混合透過水W40の塩分濃度に応じて、起動又は停止するので、例えば、下水系透過水W11の塩分濃度及び混合透過水W40の塩分濃度のいずれかが所定の基準値より高ければ、海水系逆浸透膜処理手段20Aを停止することで、生成した淡水である混合透過水W40の塩分濃度を基準に戻すことができる。
したがって、淡水を生成するためのエネルギーを低減できるとともに、生成する淡水において水質を確保できる海水淡水化システムを提供できる。
【0085】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 海水淡水化システム
10 下水系逆浸透膜処理手段
20 海水系逆浸透膜処理手段
100 制御手段
230 海水系透過水EC計
W10 下水
W11 下水系透過水
W12 下水系濃縮水
W20 海水
W21 海水系透過水
W22 海水系濃縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理手段と、
前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成し、前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段を有する海水系逆浸透膜処理手段と、を備え、
前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理手段に供給することを特徴とする海水淡水化システム。
【請求項2】
下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理手段を有する海水淡水化システムであって、
前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成し、前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段を有する海水系逆浸透膜処理手段と、
前記海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記下水系逆浸透膜処理手段及び前記海水系逆浸透膜処理手段の駆動を制御する制御手段と、
を備える海水淡水化システム。
【請求項3】
前記海水系透過水を膜分離処理する第2の海水系逆浸透膜処理手段を更に備え、
前記制御手段は、前記塩分濃度測定手段で測定した前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記第2の海水系逆浸透膜処理手段に供給することを特徴とする請求項2に記載の海水淡水化システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記塩分濃度測定手段で測定した海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理手段に供給し、
前記下水系逆浸透膜処理手段は、前記海水系逆浸透膜処理手段から供給された前記海水系透過水と下水との混合水を膜分離処理する請求項2に記載の海水淡水化システム。
【請求項5】
前記海水系逆浸透膜処理手段が備える逆浸透膜は、前記下水系逆浸透膜処理手段に流入する下水の流入量及び塩分濃度、前記海水系逆浸透膜処理手段に流入する海水の流入量及び塩分濃度、予め設定される前記海水系逆浸透膜処理手段が生成する海水系透過水の水量及び塩分濃度に基づき選択された、好適な脱塩率の逆浸透膜である請求項2から4のいずれかに記載の海水淡水化システム。
【請求項6】
下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理手段と、
海水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理手段と、
前記下水系透過水と前記海水系透過水とが混合された混合透過水を貯留する貯留槽及び当該貯留槽に貯留された混合透過水の水位を計測する水位計を有する貯留システムと、を備え、
前記貯留システムは、前記水位計で計測した水位に応じて前記海水系逆浸透膜処理手段を、起動又は停止する海水淡水化システム。
【請求項7】
前記貯留システムは、前記貯留槽に貯留された混合透過水の塩分濃度を測定する第1の塩分濃度測定手段を有し、
前記下水系逆浸透膜処理手段は、生成した下水系透過水の塩分濃度を測定する第2の塩分濃度測定手段を有し、
前記海水系逆浸透膜処理手段は、生成した海水系透過水の塩分濃度を測定する第3の塩分濃度測定手段を有し、前記海水系透過水の塩分濃度、前記下水系透過水の塩分濃度及び前記混合透過水の塩分濃度に応じて、起動又は停止する請求項6に記載の海水淡水化システム。
【請求項8】
下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理工程と、
前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理工程と、
前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定工程と、
前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理工程に戻す海水系透過水循環工程と、を備えることを特徴とする海水淡水化方法。
【請求項9】
下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理工程を有する海水淡水化方法であって、
前記下水系濃縮水と取水した海水との混合水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理工程と、
前記海水系透過水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定工程と、
前記海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記下水系逆浸透膜処理工程及び前記海水系逆浸透膜処理工程の継続を決定する継続決定工程と、を備えることを特徴とする海水淡水化方法。
【請求項10】
前記海水系透過水を膜分離処理する第2の海水系逆浸透膜処理工程を更に備え、
前記塩分濃度測定工程で測定した前記海水系透過水の塩分濃度に応じて前記海水系透過水を前記第2の海水系逆浸透膜処理工程で処理することを特徴とする請求項9に記載の海水淡水化方法。
【請求項11】
前記塩分濃度測定工程で測定した海水系透過水の塩分濃度に応じて、前記海水系透過水を前記下水系逆浸透膜処理工程に戻す海水系透過水循環工程と、を備え、
前記下水系逆浸透膜処理工程は、前記海水系透過水循環工程において戻された前記海水系透過水と下水との混合水を膜分離処理する請求項9に記載の海水淡水化方法。
【請求項12】
下水を膜分離処理することで下水系透過水と下水系濃縮水とを生成する下水系逆浸透膜処理工程と、
海水を膜分離処理することで海水系透過水と海水系濃縮水とを生成する海水系逆浸透膜処理工程と、
前記下水系透過水と前記海水系透過水とが混合された混合透過水を貯留槽に貯留する貯留工程と、
当該貯留槽に貯留された混合透過水の水位を計測する水位計測工程と、
前記水位計測工程で計測した水位に応じて前記海水系逆浸透膜処理工程を、行うか否かを決定する決定工程と、を備える海水淡水化方法。
【請求項13】
前記貯留槽に貯留された混合透過水の塩分濃度を測定する第1の塩分濃度測定工程と、
前記下水系逆浸透膜処理工程において生成した下水系透過水の塩分濃度を測定する第2の塩分濃度測定工程と、
前記海水系逆浸透膜処理工程において生成した海水系透過水の塩分濃度を測定する第3の塩分濃度測定工程と、を更に備え、
前記決定工程は、前記海水系透過水の塩分濃度、前記下水系透過水の塩分濃度及び前記混合透過水の塩分濃度に応じて前記海水系逆浸透膜処理工程を、行うか否かを決定する請求項12に記載の海水淡水化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−170880(P2012−170880A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35018(P2011−35018)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、省水型・環境調和型水循環プロジェクト 水資源管理技術研究開発 水資源管理技術の国内外への展開に向けた実証研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】