海洋ステロイド化合物が神経元損傷治療薬の調製における応用
本発明は、海洋ステロイド化合物YC−1(24-メチレン-コレスタン-−3β,5α,6β,19−テトラール)の、神経元損傷治療薬の調製での応用に関する。南沙群島の唇軟サンゴから抽出したオキシステロール類化合物の海洋ステロイドYC-1 は、多くの神経元損傷に対して保護作用を持ち、有効な保護用量の以内で毒性反応が示されていない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経性ステロイド化合物の応用に関し、具体的に言えば、神経元損傷治療薬の調製での、海洋ステロイドYC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール)の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管疾病は、よくある病気、多発病であり、現在人類の健康を深刻に危害する三大主要疾病の一つである。疾病別に毎年、脳血管疾病による死亡者は日本で第二位を占め、アメリカで第三位を占め、中国では数年間首位を占めている。脳血管疾病は、基本的に一種の高齢性疾病と見られ、その発病率は年齢を伴って増える。55歳以上になると、年齢が10歳増えるごとに、発病率が倍に増加する。人類の生活レベルの向上および人類寿命の延長につれ、社会人口の高齢化が進み、脳血管疾病の発病率が絶えず上昇する。同時に、ライフスタイルの変化により、近年、脳血管疾病の患者は若年化の傾向がある。脳血管疾病の中で、虚血性脳血管病(脳虚血と略称する)は約60%〜80%を占め、その主要な発病基礎は脳動脈硬化症である。それは全身動脈硬化の上で、脳動脈がびまん性アテローム硬化、血管腔狭窄、小血管閉塞を発生し、実質的に脳へ供給する血液量を減少して、ひどい場合は、脳血栓の形成を招き、血管を完全に閉塞し、相応の血液供給部位に大面積の脳組織の急性梗塞性壊死を引き起こす可能性もある。即ち、“脳卒中”あるいは“中風”であり、最終的に脳機能の障害、ひいては永久喪失につながる。脳虚血損傷の発病率、後遺障害率、致死率および再発率が高くて、それによる半身不遂、失語、痴呆などの後遺障害の結果は近代社会・家庭の重い負担となる。
【0003】
現在、虚血性脳損傷に対する治療は次の二点を重んじている。(1)早急に虚血損傷脳組織の血液供応を改善し、復旧する。(2)虚血脳組織が代謝毒物のさらなる損害を受けないように保護する。閉塞の脳血管を早期に再開通することは、不可逆の損害が出る前に被害脳組織にタイムリーに血液を供給し、神経元を殺す脳化学因子の連鎖反応を遮断し、脳組織の耐性を増加し、半影部の脳組織の機能を救うためである。神経元を保護することは、虚血による各種の有害病理過程の発生を阻止して、虚血による脳損害を防止あるいは局限し、脳細胞の死亡を減少し、機能の回復を促進するためである。両方から同時に進め、協同で応用すれば、治療の適合性および科学性を向上し、虚血性脳損傷の治療効果を高めることができる。
【0004】
虚血脳組織の血液供応を改善し回復する手段としては、溶栓治療、抗凝固治療と血小板凝集抑制などがある。
【0005】
1. 溶栓治療
20世紀80年代から、溶栓治療、特に超早期の大用量の溶栓は虚血性脳損傷の優先の療法となっている。しかしながら、溶栓治療は、プラセボ・グループと比べて、明らかに致命的な頭蓋内出血の発生率およびその他の原因による死亡の危険性を増加した。つまり、溶栓治療は、リスクが大きく、一部の虚血時間の長いエリア、例えば虚血中心区と易損区に、再灌注損傷、梗塞後の出血および厳重な脳水腫が発生しやすいので、厳格に適応症と投薬時間ウィンドウとを管理する必要がある。
【0006】
2. 抗凝固治療
抗凝固治療は、トロンボゲンが凝血酵素に転じることを阻止し、フィブリノーゲンからフィブリンに変わる凝血酵素の促進作用に対抗し、血小板の集結および破壊を阻止することができる。しかしながら、形成された血栓に対しては直接治療作用がない。そのため、早期応用を強調する。しかし、一部の学者から次のような反対の観点もある。すなわち、発病後、ヘパリン、低分子ヘパリン、ヘパリン因子あるいは特殊な凝血酵素抑制剤の使用を含む、直ちに抗凝固治療を行う方法は、、長期あるいは短期にわたって改善作用が現れていない。また、抗凝固治療が、深部静脈血栓の形成と肺動脈栓塞の危険とを引き下げることができるとしても、これらの作用はその頭蓋内外出血の発生の危険性に相殺される。
【0007】
3. 血小板凝集抑制
アスピリンは血小板凝集を抑制する作用を持ち、現在、幅広く虚血性脳損傷の治療に応用されている。しかし、近年、その用量はずっと統一されていない。実験室の研究で実証されたように、アスピリンは、30〜50mg/dので治療目的を達成することができるので、臨床上、小用量の使用を虚血性脳血管病の治療および予防方法としている。なお、新型抗血小板薬のチクロピジンは、近年、虚血性脳血管病の治療によく使われ、その臨床治療効果が公認され、且つアスピリンに勝る。
【0008】
4. 血液希釈療法
血液希釈療法は、血細胞の比容を引き下げることによって、血液粘度を低下させ、局部の脳血流量を増加して、治療の作用を果たす。文献の報道によると、等容性の血液希釈の早期採用、ハーフライフの長い膠質浸透液、例えば、アルブミンあるいは酸素を運ぶ能力を持つ合成蛋白Pentastarchなどの応用により、良い治療効果が得られる。選択性の血液成分の希釈は、国内外に応用されている血液希釈療法と血液光子療法とに基づいて、虚血性脳損傷患者に対して、血液流変性の異なるタイプの変化あるいは血漿廃棄、あるいは血細胞廃棄を行う一種の新療法である。
【0009】
5. 血管拡張薬による治療
常用薬品として、シンナリジン、パパベリン、重炭酸ナトリウムおよびカルシウム拮抗剤のニモジピンなどがある。しかし、血管拡張薬の応用に対し、異議を唱える人もいる。虚血性脳血管病の急性期(発病後1〜3週間)に血管拡張薬を応用すると、再灌流障害を誘発しやすく、虚血区と半影部の脳組織の損害が重くなると主張している。
【0010】
一方、虚血脳組織と神経細胞とを保護することは、現在、脳虚血損傷治療の研究ホットスポットとなった。多くの神経保護剤が臨床開発試用中である。現在、神経保護剤で急性虚血性脳損傷を治療する主要な作用ルートには、Ca2+の内流の阻止、ラディカルのクリア、興奮性アミノ酸レセプター拮抗剤、神経栄養因子およびγ-アミノ酪酸レセプター刺激薬などの使用がある。そのうち、下記のものがよく研究される。
【0011】
1. カルシウム拮抗薬
最も早く、最も幅広く研究されているのはジヒドロピリジン系薬で、ニモジピンを代表とする。同薬は電圧敏感なカルシウム拮抗剤で、脂溶性を持ち、血脳障壁を通過しやすい。3719例の患者のランダム対照研究の中で、経口投与した120mgは顕著な効果がなかった。しかし、発病後12時間内に治療を受けた患者の不良結果の危険性が38%下がった。現在、発病後6時間内のニモジピン治療法に関する臨床III期の研究はオランダで行われている。マグネシウムの小見本の研究によると、患者は同薬に対し、良好な耐性があり、治療グループの大多数の患者の神経機能が改善され、病後6ヶ月の再入院が減少した。1グループの60例の患者に対する研究の示されたように、硫酸マグネシウムによる定期治療後、治療グループの病死率と障害を持つ率は30%で、それに対し、プラセボグループは40%である。同薬の確実な治療効果について、さらに研究されている。
【0012】
2. ラディカル・クリア剤 急性脳虚血の時、脳内にラディカルが大量に発生し、膜構造が破壊され、神経元が損害される。ラディカルにより、虚血半影部の血管が痙攣し、血管内に凝血が起こり、梗塞の範囲が拡大し、脳組織の損傷が重くなる。ゆえにラディカルをクリアする治療はとても重要である。ビタミンE、ビタミンC、過酸化物ジスムターゼ(SOD)、ホルモン、マンニトールなどは常用のラディカル・クリアで、虚血の脳細胞を保護する作用がある。
【0013】
3. グルタミン酸放出抑制剤 作用機制はシナプス前のグルタミン酸の合成および放出を抑制し、動物実験でその明確な脳保護作用が示された。しかし、その臨床応用は検証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
実際、世界各地の研究者は、ずっと虚血後の脳細胞保護という難問の解決に取り組んでいる。しかし、脳虚血による中枢神経組織および細胞損傷の病理メカニズムが複雑な時間と空間のカスケードと相互作用にかかわるから、いかなる単一セクションあるいは個別分子メカニズムのみに対し、干渉を行う治療の試みもほとんど低効果と決められた。したがって、動物モデルで多くの希望のある治療方法を得て、多くの化合物を開発し、ずっと抗脳虚血作用の研究を行っているにもかかわらず、これまで大半の臨床試験の結果は失望的であった。原因は、脳虚血による細胞損傷の過程に多段階、多中心メカニズムおよび多向性の特徴があることを軽視したためである。
【0015】
全体から見ると、人々が脳虚血損傷のメカニズムと病理変化とに対して、比較的深い理解があったが、相応の有効な治療手段が依然として乏しい。臨床上、溶栓、再通をメインとしている。しかし、このような処理は血液供給の問題しか解決できなく、虚血後の神経細胞損傷、特に再灌流障害および遅発性死亡のような重要なセクションに対し、ほとんど効果がなく、且つ応用中に出血の危険とその他の明らかな制限が存在する。中国では全体的な治療効果が理想的ではないが、毎年、中風の治療光にかかる支出だけで約百億人民元に達し、患者の一生に及ぶ可能性のある長い脳損傷の回復と神経機能の維持の過程に必要な巨額費用はまだ計上していない。したがって、虚血脳損傷過程の複数のセクションに作用し、その発生・発展の多くのメカニズムを干渉する医薬品を探すことは非凡の意義がある。脳虚血損傷の有効な緩和と治療とに対し、深い影響を及ぼし、大幅に社会、家庭と個人の精神と経済負担を軽減し、潜在力の大きい医薬市場で一席を占め、極めて顕著な社会効果および経済効果をもたらす。
【0016】
したがって、薬理学者の予測によると、最終的に臨床の実用に投入し、高効率に脳虚血損傷に対抗できる希望の星は多標的作用メカニズムを持つ化合物から出る。多くの研究と開発対象の中で、神経活性ステロイドは神経系統に対し、広範な効果があるため、日に日に注目される。
【0017】
神経活性ステロイド(neuroactive steroids、NASs)は、天然存在あるいは人工合成の神経組織に活性を持つすべてのステロイドホルモンの総称である。NASsは一般的なステロイドホルモンの作用方式を持ち、即ち神経元内の特異な核レセプター、例えば、プロゲステロンと雄ホルモンレセプターとの結合を通じて、神経元と神経膠質細胞の多くのレセプターと蛋白質の遺伝子表現を調節するが、これをゲノム効果と呼ぶ。その過程は、DNAの複製、翻訳と蛋白質修飾にかかわるため、効果が遅い。NASsでクイックにGABAレセプター、Gluレセプター、アセチルコリン・レセプターと胞内Sigma1レセプターの活性を調製でき、非ゲノム方式で情緒、神経元の可塑性および興奮性、シナプス伝達と学習記憶など中枢活動に直接影響を与える。近年、研究から次々と発見したように、一部の神経活性ステロイドは、神経元の損傷、死亡および多くの中枢神経系統の疾病に対し、顕著な調節作用がある。例えば、カイニン酸は海馬CA1とCA3区の神経元の紛失を引き起こせる。アロプレグナノロン(allopregnanolone、AL)はカイニン酸のこの種の神経毒性を緩和できる。体外で培養する海馬不可逆神経毒性細胞モデル(低酸素とグルタミン酸)の中で、ALもその神経保護作用を示した。デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone、DHEA)はGlu類似物と皮質ステロイド類の神経毒性作用を引き下げることができるが、しかし、人体内の含量は年齢に伴って、次第に減少し、老衰過程の神経退行性変化と関係すると考えられる。可逆のウサギ脊髄虚血モデルの中で、DHEAも神経保護作用を持っている。体外ラット胚胎の中枢皮質神経元の酸欠モデルの中で、一定濃度のDHEAは顕著に神経元の生存率を増加できる。雌ホルモンは、既知の神経保護作用の最も強いNASで、黒質ドーパミン神経毒性に対し、良好な保護作用があり、パーキンソン病(Parkinson’s Disease、PD)の性別差異と合致する。閉経女性の卵巣が雌ホルモンの産生を停止し、脳の澱粉状蛋白前駆体の濃度が増加し、Aβ沈積を引き起こし、雌ホルモンを与え、又、明らかに脳のAβレベルを引き下げ、雌ホルモンとアルツハイマー病(Alzheimer’s Disease、AD)の内在関連を示した。雌ホルモンは虚血、中風とその他の多くの要素による神経元の死亡に対し、保護作用があり、カイニン酸の誘導する癲癇を遅らせ、癲癇状態による海馬損傷を保護する。雌ホルモンはいくつかの毒性モデルの中で、神経元に対し、明らかな保護効果があり、レセプターをアクティブにし、抗酸化、興奮毒性の拮抗、信号伝導通路の調節、遺伝子表現の調節など多方面の作用を示した。近年、研究者は、研究でエストラジオールとテストステロンが神経栄養因子に類似する作用を持ち、中枢神経系統の損傷後の再生を促進できると発見した。エストラジオールは脳虚血再灌流障害に対し、保護作用があり、動物の癲癇発作を減少し、遅らせることができ、カルシウムイオンチャンネル拮抗剤に類似する作用を持っている。エストラジオールと植物雌ホルモンは去勢後のラット中枢神経系統のコリン作動性ニューロンの退化に対し、保護作用を持ち、前脳基底部コリン作動性ニューロンと海馬コリン作動性神経繊維の紛失を減少し、動物の認知能力を高める。
【課題を解決するための手段】
【0018】
海洋ステロイドYC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール) がオキシステロール類化合物に属し、稀の側鎖構造を持っている。研究資料によると、YC-1は学習記憶の能力を増強する以外に、非ゲノム・メカニズム用量依存性にグルタミン酸誘導の小脳顆粒神経元の興奮毒性死亡を抑制できる。この保護作用はNMDAレセプターを介しない。YC-1も用量依存性に低カリウム誘導の小脳顆粒神経元の衰亡を抑制でき、 c-Jun遺伝子の表現の抑制および燐酸化c-Junレベルの引き下げを通じて、作用を発揮し、PI3K/AKT存続通路が当該調節過程に参加する可能性がある。YC-1は用量依存性に酸欠誘導の小脳顆粒神経元の衰亡を抑制できる。動物実験の中で、行為学指標それとも組織活性テストとも明確に示されたように、YC-1はラットのMCAOによる局所性の脳虚血損傷に対し、極めて顕著な予防、治療効果がある。ウサギ脊髄虚血損傷に対しても顕著な防護作用がある。研究で発見されたように、YC-1およびその同類物の軟サンゴのコレスティンは還元型グルタチオンの消耗し尽くしを抑制するなどを通じて、間接に抗酸化作用を発揮する。膜安定作用を通じて明らかに炎症因子PGE2の放出を減少し、抗炎症作用を発揮する。即ち、YC-1は、多くの作用メカニズムを通じて、異なる標的に対して、有効に虚血脳損傷に対抗できる化合物であって、臨床の抗脳虚血損傷薬になる潜在価値を持っている。また、興奮毒性、酸化ストレス、炎症反応および神経元の衰亡、壊死はPD(Parkinson’s Disease)、AD(Alzheimer’s Disease)をメインとする神経退行性疾病の発生・発展過程にとても重要な役目を演じる。したがって、これらの病原性の変化に対して顕著な干渉作用を持つYC-1は、抗神経退行性疾病薬の開発において将来が明るい。
【0019】
南沙群島の唇軟サンゴから抽出したオキシステロール類化合物の海洋ステロイドYC-1 は、多くの神経元損傷に対して保護作用を持ち、有効な保護用量下で毒性反応が示されていない。天然抽出の海洋ステロイドYC-1は、その量が限られて、大規模の生産に適しないが、化学合成の方法でこの問題を解決することができる。廉価の豚ウルソデオキシコール酸を原料とし、14ステップの有機反応の合成を通じて、目標化合物YC-1を得ることができる。IR、NMR、MS、EAなどの技術を利用し、目標化合物の構造に対してアトリビュートを行うと、対応するIR、1HNMR、13CNMR、MS、EAなどのデータを得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、YC-1の構造、効能を最適化し、臨床前試験と臨床試験とを完成し、神経元を保護する新型医薬品となるために、堅実な基礎を定めた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】YC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール)の合成路線。
【図2】YC-1の炭素核磁気共鳴スペクトル。
【図3】YC-1の水素核磁気共鳴スペクトル。
【図4】YC-1の赤外線スペクトル。
【図5】YC-1のマススペクトラム。
【図6】YC-1が永久性大脳中動脈栓塞(MCAO)ラットの半球梗塞体積を減少できる。
【図7】YC-1の永久性大脳中動脈栓塞(MCAO)ラットに対する保護作用。
【図8】YC-1のウサギ脊髄虚血モデルの神経機能得点に対する影響。
【図9】YC-1のウサギ脊髄虚血モデル行為学に対する影響
【図10】YC-1がウサギ脊髄虚血後の脊髄前角神経元の数を増加できる。
【図11】HE染色に示されたYC-1のウサギ脊髄虚血後の脊髄前角神経元に対する影響。
【図12】位相差顕微鏡の示した投薬後のH/R処理を経たCGNsの形態。
【図13】FDA活細胞染色によると、海洋ステロイドYC-1がH/RによるCGNs衰亡を抑制する。
【図14】Hoechst33258衰亡細胞核の形態学分析によると、YC-1 はH/R誘導のCGNs衰亡を抑制することができる。
【図15】位相差顕微鏡の示した投薬後のLK処理を経たCGNsの形態。
【図16】FDA活細胞染色によると、海洋ステロイドYC-1がLKによるCGNs衰亡を抑制する。
【図17】Hoechst33258衰亡細胞核の形態学分析によると、YC-1 はLK誘導のCGNs衰亡を抑制することができる。
【図18】セファロース電気泳動分析によると、YC-1 はLK誘導CGNs衰亡表現のDNA断裂、断片を減少することができる。
【図19】FDA活細胞染色によると、海洋ステロイドYC-1はGluによるCGNs衰亡を抑制する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.海洋ステロイドYC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール)の合成
廉価の豚ウルソデオキシコール酸を原料とし、14ステップの有機反応の合成を経て、目標化合物YC-1および関連する類似物を得た。スペクトル技術を利用して、各中間体および目標化合物に対してアトリビュートを行う。
【0023】
1、YC-1(24−メチレン−コレスタン−3□□5□□6□□19−テトラール)の合成路線、図1を参照する。
【0024】
2、YC-1合成工法条件の最適化
(1)3□−アセチルオキソ基−コレスタン−5□−臭素−6□−ヒドロキシル−24−ケトンの合成
当該ステップ反応3□−アセチルオキソ基−コレスタン−5−アルケン−24−ケトンと N−ブロモスクシンイミドとの反応から得て、産物に多くの異性体が存在し、生産性が低い。溶剤、反応温度など反応条件の選択を通じて、その反応過程を最適化する。重結晶、溶剤沈澱、コラムクロマトグラフィなどの純化方法を通じて、その分離方法を研究する。
(2)□−アセチルオキソ基−コレスタン−5□−臭素−6□□19−エポキシ−24−ケトンの合成
当該ステップ反応3□−アセチルオキソ基−コレスタン−5□−臭素−6□−ヒドロキシル−24−ケトンの中の6□−ヒドロキシルは遠隔酸化関環が発生する。それぞれ四酢酸鉛、二アセチル・ヨードベンゼンを使って、紫外灯照射および超音波の二つの条件下で酸化反応を行い、当該工法条件の最適化研究を行う。
(3)3□□19−二アセチルオキソ基−5□□6□−エポキシ−24−ケトンの合成
3□□19−二アセチルオキソ基−5□□6□−エポキシ−24−ケトンは3□□19−二アセチルオキソ基−5−アルケン−24−ケトンの5、6−位ダブルキーの酸化から得る。異なる酸化剤の酸化産物の順逆比率が異なり、生産性が異なる。三種の酸化剤:3-クロロ過安息香酸、オキシフル/蟻酸体系およびカリウム過マンガン酸塩/硫酸銅体系で5,6−位ダブルキーに対し、酸化を行い、工法条件を最適化する。
【0025】
3、目標化合物YC-1および各中間体のアトリビュート
IR、NMR、MS、EAなどの技術で目標化合物および各中間体の構造に対し、アトリビュートを行い,そのIR、1HNMR、13CNMR、MS、EAなどのデータを得る。うち、YC-1のスペクトルデータは次の通りである。
融点:223−225℃
元素分析:C28H48O4 測定値:C,75.20; H,10.36 理論値: C,74.95; H,10.78,
MS:[M-H2O] +=432,
IR:3416,3028,2936,2868,1642, 1464,1377,1057
1HNMR(DMSO)
5.25(1H,d,6β-OH), 4.71(1H,d,J=1.5Hz,28-CH), 4.65(1H,d,J=1.5Hz,28-CH),
4.51(1H,d,19-OH), 4.16(1H,d,3-CH), 4.01(1H,d,19-CH), 3.84(1H,m,3-CH),
3.64(1H,s,5-OH), 3.23(1H,m,6-CH), 2.25(1H,m,25-CH), 1.13(6H,d,26-CH3,27-CH3),
1.01(3H,s,19-CH3), 0.87(3H,d,21-CH3), 0.67(3H,s,18-CH3).
13CNMR(DMSO)
156.6(C),107.3(CH2),75.4(C),74.7(CH),66.7(CH),63.0(CH2),57.4(CH),56.7(CH),
45.9(CH),43.5(C),43.3(CH),42.8(C),41.3(CH2),40.9(CH),37.4(CH2),36.1(CH),
33.9(CH2),31.8(CH2),31.4(CH2),30.5(CH2),28.7(CH2),27.9(CH2),24.70(CH2),
22.64(CH3),22.57(CH3),19.4(CH3),13.1(CH3).
【0026】
4、YC-1の類似物の合成を設計する。
(1)3□−ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(2)3□□6□−二ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(3)3□□5,6−三ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(4)3□□19−二ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(5)□□5□,6□□19−四ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(6)3□−ヒドロキシルコレスタンの二量体
(7)3□□5□□6□□19−四ヒドロキシルコレスタンの二量体
(8)上記の各系列の中の17位側鎖は24−カルボニル、24−メチレン、24−ヒドロキシル、24−ヒドラゾンなどとする。IR、NMR、MS、EAなど技術で目標化合物の構造に対して、アトリビュートを行う。
【0027】
5、ステロイド構造修飾研究
YC-1の水溶性が低い。その溶解性能を改善するために、3□−ヒドロキシル−コレスタン−5−アルケン−24−ケトンをモデルとし、3−位ヒドロキシル親水性を修飾する。
(1)コレスタン−5−アルケン−24−ケトン−3−ヒドロキシル−スルホン酸エステルの合成研究
(2)ポリグリコール修飾の3−ヒドロキシル−コレスタン−5−アルケン−24−ケトンの合成研究
【0028】
B.YC-1およびその類似物のMCAOによるラット脳虚血モデルに対する作用
方法:ラット大脳中動脈栓塞モデル(MCAO)の調製
健康な雄性SDラット25匹をランダムに3グループに分ける。YC-1グループ(n=11)は大脳中動脈栓塞後の10min、6h、24h〜7d,連続で12mg.Kg-1のYC-1を腹腔に注射する。DMSOグループ(n=11)は同様な方式で同じ容量のDMSO(1ml・Kg-1) を注射する。Shamグループ(n=3)はただ、短い栓線の未栓塞MCAを挿入する。
Zea Longa(Longa EZ, Weinstein PR, Carlson S, Cummins R. Reversible middle cerebral artery occlusion without
craniectomy in rats. Stroke, 1989, 20:84-91)などの調製方法を参照し、改良を行う。ラットは手術前の一晩禁食し、自由に水を飲む。麻醉前10minに硫酸アトロピン (0.5mg/Kg)を腹腔に注射する。10%抱水クロラール3.5ml/kgを(ip)麻醉ラットの腹腔に注射する。ラットの後肢の収縮反射および角膜反射の消失を麻醉指標とし、麻醉後、仰臥させて固定する。頚部中線で皮膚、皮下組織を切開し、左頚部皮膚と二腹筋、胸鎖乳突筋と肩胛舌骨筋を分離し、三筋の形成する三角区で頚部総動脈(commom cartid artery 、CCA)の分枝、およびそこから出る頚部内動脈(internal carotid artery、ICA)と頚部外動脈(external carotid artery、ECA)を暴露する。頚部総動脈CCAを結さつし、咽昇動脈の開始部でECAを結さつする。頚部内動脈の近端で線を備え、頚部総動脈の分枝部で口を切り、長さ5cmのナイロン栓線をICAの向心端に挿入する。進栓線が約17〜18mmになると、抵抗力を感じる。その時、栓線が頚部内動脈に入り、頭蓋に入り、大脳前動脈に至り、大脳中動脈のすべての血流源を遮断し、血流の遮断から計時する。線を結さつし、余った線の頭をカットし、傷口はヨードチンキで消毒し、最後に皮膚を縫合し、手術終了後、カゴに戻して飼養する。偽手術グループは短い栓線(10mm)を挿入し、MCA開始部に及ばない以外に、その他のステップは同じとする。実験の過程で美体康ブランドの電子温度計で直腸温度を測定する。動物体温は厳格に36.5〜37.5℃にコントロールする。
【0029】
結果:肉眼で偽手術グループの脳組織の色を観察すると、形態が正常で、蒼白と腫脹がない。DMSOグループのラットの脳組織は明らかな蒼白と腫脹が見られる。YC-1グループの脳組織に明らかな蒼白と腫脹がない。TTC染色によると、YC-1グループの梗塞体積がDMSOグループより明らかに減少した(梗塞面積はそれぞれ32±11%と62±8%である)。偽手術グループは虚血がない。
【0030】
C.YC-1の腹主動脈の挟みによるウサギ脊髄虚血モデルに対する作用
方法:脊髄虚血モデルの製作
24匹の雄ニュージーランド・ウサギを3グループ(n=8)に均等に分ける。YC-1グループは脊髄虚血の30分前に耳縁静脈を経て、8mgのKg-1海洋ステロイドYC-1を注射する。DMSOグループは脊髄虚血の30分前に同様な方式で同じ容量のDMSO(1ml・Kg-1)を注射する。Shamグループはただ、腹主動脈を暴露し、遮断しない。
Johnsonなど方法を参照し、ウサギ脊髄虚血モデルを製作する。動物は術前の夜、禁食し、自由に水を飲む。3%ネムブタール30mg.Kg-1で耳縁静脈を経て動物を麻醉する。もう一方の耳縁静脈を経て、一つの静脈留置針(24G)を置き、術中の薬品注入、輸液に使う。右側耳動脈に一つの動脈留置針(24G)を置き、術中の近端動脈圧の観測および採血に使う。片側の股動脈に一つの動脈留置針(24G)を置き、術中の遠端動脈圧の観測に使う。動物は仰臥位で、腹の真ん中で口を切り、腹主動脈を暴露する。耳縁静脈を経て、150U.Kg-1ヘパリンを与えた後、左腎動脈の起点以下の0.5〜1.0cmで動脈挟みで腹主動脈を遮断し、ウサギ脊髄虚血を起こす。腹主動脈を遮断した後、遠端動脈圧が直ちに下がり、股動脈の拍動が消える。虚血の20分後、動脈挟みを外し、腹主動脈を開放し、血流を復旧し、そして腹腔を閉める。手術後、ゲンタマイシン4万Uを筋肉注射し、動物を飼養カゴに戻し、48時間を観察する。手術中に持続的に近端動脈圧、遠端動脈圧および心拍(Spacelab、アメリカ)を観測する。加熱マットと暖房灯で動物の直腸温度を38.5±0.5℃に維持する。それぞれ、虚血の10分前、虚血の10分後と再灌注の10分にウサギ耳動脈を経て、採血し血気(AVL-2, Switzerland)と血糖(One Touch II, USA)を観測する。
【0031】
結果:各グループの動物神経機能の得点結果の詳細は図1を参照する。偽手術グループのウサギの後肢神経機能は、観察期間に完全に正常であった(4点)。DMSOグループに立てるウサギが一匹もなかった。CPAグループに6匹のウサギが立てた。残りの2匹ウサギの後肢にも明らかな運動がある。YC-1グループとShamグループの神経機能の得点は各観察時間点に明らかにDMSOグループ(p<0.05)を上回る。組織病理学テストによると、DMSOグループは腰の脊髄に厳重な損傷がある。運動神経元の減少、ニッスル小体および核の消失、空泡の変性と表れる。YC-1グループは腰の脊髄の損傷が明らかに軽減した。図3を参照する。DMSOグループと比べて、CPAグループとShamグループの脊髄前角の正常神経細胞の数が明らかに増えた(p <0.01)。図4を参照する。
【0032】
D.YC-1およびその類似物が酸欠誘導の体外培養の小脳顆粒神経元の死亡に対する作用
方法:1.ラット小脳顆粒神経元(cerebellar granule neurons, CGNs)の培養
Yanらの方法[34] により、生後7~8d、体重が約15~20gのクリーン級SDラットを取り、無菌条件下で小脳を分離し、 Ca2+、Mg2+ のない Kreb’s液(解剖液)に置き、脳膜と血管を除去し、眼科ハサミで1 mm3サイズの組織塊に切り、そして0.25g・L-1すい臓酵素を含む消化液の中で37℃ 15分間消化し、すぐに0.5 g.L-1すい臓酵素抑制剤と0.05g.L-1
DNase I の吹散液を入れ、消化を中止し、単個細胞懸濁液に吹き散らし、 200gで5分間遠心分離し、沈澱して吹洗液で1回洗い、再度、200gで5分間遠心分離し、上清液を棄て、沈澱は10%(v/v)胎牛血清と25mM KClを含むBME培地で1.5-1.8×106個細胞/mlの細胞密度に希釈し、ポリ−L−リジンに被覆された培地に接種し、 5% CO2および37℃の培養箱に置き培養する。接種24時間後、10 μmol.L-1Ara-Cを入れ、非神経元細胞の生長と増殖を抑制し、小脳顆粒神経元の純度を95%以上にする。培養して第7 d目に葡萄糖を5mMに加入し、細胞代謝の必要なエネルギーを補充する。第8日目に実験する。
【0033】
2.小脳顆粒神経元の酸欠/酸素再供給(H/R)損傷モデルの構築Seko(Seko Y, Tobe K, Ueki K, et al. Hypoxia and
hypoxia/reoxygenation activate Raf-1, mitogen-activated protein kinase kinase,
mitogen-activated protein kinases, and S6 kinase in cultured rat cardiac
myocytes. Circ Res.
1996 Jan;78(1):82-90)などの方法を参照して、酸欠/酸素再供給モデルを調製する。CGNsを酸素消耗剤と指示剤のある密閉箱に置き、37℃下で3h置く。そして細胞を5%
CO2および37℃の培養箱に置き、酸素再供給処理を行う。
【0034】
3.細胞形態学の観察と神経元の生存率の測定 Yan(Yan G M, Irwin R P, Lin S Z, et al. Diphenylhydantoin induces apoptotic cell
death of cultured rat cerebellar granule neurons. J Pharmacol Exp Ther, 1995, 274(2): 983-8)などの方法により実施する。主に次のようにする。小脳顆粒神経元を35 mm の培地で培養し、第8 d目に、各要素を相応の時間で処理した後、培地を外し、Ca2+、Mg2+を含む4℃ PBSで2回洗い、40 g.L-1ポリホルマリン液(4 ℃、PBSに溶解する)で10min固定し、固定液を外し、蒸留水で2回洗い、4℃下に置き、自然で空気乾燥し、そして逆転蛍光顕微鏡(Olympus)下で形態学の変化を観察し、ランダムに撮影する。
【0035】
結果:位相差顕微鏡下で観察すると、酸欠前、小脳顆粒神経元の胞体が飽満で、すきとおっている。細胞突起およびその構成する連絡網が緊密で、明晰に完全である。3h酸欠して酸素を再供給した24h後(H/R)、神経元の胞体が縮小し、構造が鮮明ではなく、突起と網が紊乱し、断裂している。10μM MK801あるいは12μM YC-1あるいは12μM YC-2を加入 した3h後、再びH/R処理を行い、大半のCGNsは胞体が完全で、飽満し、すきとおっている。突起および網が緊密で、明晰に完全である。
FDA染色分析、H/R後、神経元の歩留りが明らかに低下した(16.56±3.21%)。10μM MK801あるいは12μM YC-1、YC-2を加入した後、細胞の歩留りがそれぞれ86.73±3.21%、84.29±1.26%と83.54±4.78%に達した。
Hoechst33258染色によると、正常CGNs胞核が完全で、染色質の分布が均一である。H/R後、CGNs胞核の染色質が凝固し、縮小し、辺縁に集合し、衰亡の小体が出現する。12μM YC-1、YC-2を加入したCGNsはH/R処理を経た後、大部分のCGNsの核の形態が正常で、染色質の分布が均一である。
【0036】
E.YC-1およびその類似物が複極化誘導の体外培養の小脳顆粒神経元の死亡に対する作用
方法:ラット小脳顆粒神経元の培養、細胞形態学の観察と神経元の生存率の測定、細胞形態学の観察と神経元の生存率の測定は前述と同じとする。セファロース電気泳動は文献[34] を参照し、小脳顆粒神経元を35mm2の培地に植える。第8日目に、各種の薬品を加入した24h後、培地を外し、PBS で2回洗い、収集した細胞を低温・高速の遠心分離機(Biofuge22R、Heraeus、ドイツ)で遠心分離し(5 000rpm、4 ℃,5min)、細胞塊を600μLの10 mmol.L-1 Tris-HC1、10 mmol.L-1EDTAと2 g.L-1Triton
X-100 (pH 7.5)を含む緩衝液に15min置き、遠心分離する(12 000rpm、4℃,10min)。上清に同じ体積のフェノールを加え、1回抽出し、遠心分離する。上清は同じ体積のフェノール、クロロフォルム (1:1)混合液で1回抽出し,遠心分離する。上清を取り、300
mmol.L -1の醋酸ナトリウムと同じ体積のプロパノールを加入し、沈澱して夜を過ごす。遠心分離した後、70% のアルコールで2 ~ 3回洗い、乾燥後、TE[Tris 10 mmol.L-1; EDTA 1.0 mmol.L-1(pH 7.4)と0.6g.L-1のRNase A]を加入し、37℃で30min温育し、サンプルは20g.L-1のセファロースに置いて1h電気泳動し、エチジウムブロミド染色後、紫外灯の下で観察し、撮影する。
【0037】
結果:8日間体外培養のラットCGNsは25mM KClを含む血清のないBME培地において、位相差顕微鏡下で観察すると、その胞体および突起が完全である。5mM
KClの血清のないBMEに換えて、24h培養した後、神経元の胞体が収縮し、突起が断裂する。FDA蛍光染色法の分析によると、40.2±14.04%のCGNsだけが存続する。もし、低カリウム培地に換える3h前と同時に12μM YC-1あるいはYC-2を加入した後、引き続き24h培養すると、CGNsは大部分、胞体と突起が完全である。FDA染色によると、それぞれ94.3±14.02%と84.2±13.34%の細胞が存続する。海洋ステロイドYC-1とYC-2 は明らかに低カリウム培養のラットCGNsの生存率を高められると表した。
【0038】
F. YC-1およびその類似物がグルタミン酸誘導の体外培養の小脳顆粒神経元の死亡に対する作用
方法:ラット小脳顆粒神経元の分離とprimary culture。位相差顕微鏡術(phase contrast microscopy)で神経元の胞体および突起の形態を観察する。二酢酸蛍光素(fluorescein diacetate、FDA)染色で神経元の代謝活性(metabolic activity)と歩留り(viability) をテストする。
【0039】
結果:8日間体外培養のラットCGNsに、 150μMグルタミン酸(Glu)を与え、24h後、位相差顕微鏡で観察し、神経元の胞体が明らかに縮小し、細胞核が収縮し、突起が断裂あるいは消失することを発見した。Gluを加入する1h前に12μMのYC-1 あるいはYC-2を与え、24h後、観察し、YC-1とYC-2が明らかにGluによるCGNs衰亡を抑制することを発見した。FDA法でCGNsの歩留りを測定し、Glu 対照グループ(29.5±8.23%)と比べて、12μM YC-1 とYC-2 が明らかにCGNsの歩留りを高められる(それぞれ92.6±2.59%と91.6±10.11%である)ことを発見した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経性ステロイド化合物の応用に関し、具体的に言えば、神経元損傷治療薬の調製での、海洋ステロイドYC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール)の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管疾病は、よくある病気、多発病であり、現在人類の健康を深刻に危害する三大主要疾病の一つである。疾病別に毎年、脳血管疾病による死亡者は日本で第二位を占め、アメリカで第三位を占め、中国では数年間首位を占めている。脳血管疾病は、基本的に一種の高齢性疾病と見られ、その発病率は年齢を伴って増える。55歳以上になると、年齢が10歳増えるごとに、発病率が倍に増加する。人類の生活レベルの向上および人類寿命の延長につれ、社会人口の高齢化が進み、脳血管疾病の発病率が絶えず上昇する。同時に、ライフスタイルの変化により、近年、脳血管疾病の患者は若年化の傾向がある。脳血管疾病の中で、虚血性脳血管病(脳虚血と略称する)は約60%〜80%を占め、その主要な発病基礎は脳動脈硬化症である。それは全身動脈硬化の上で、脳動脈がびまん性アテローム硬化、血管腔狭窄、小血管閉塞を発生し、実質的に脳へ供給する血液量を減少して、ひどい場合は、脳血栓の形成を招き、血管を完全に閉塞し、相応の血液供給部位に大面積の脳組織の急性梗塞性壊死を引き起こす可能性もある。即ち、“脳卒中”あるいは“中風”であり、最終的に脳機能の障害、ひいては永久喪失につながる。脳虚血損傷の発病率、後遺障害率、致死率および再発率が高くて、それによる半身不遂、失語、痴呆などの後遺障害の結果は近代社会・家庭の重い負担となる。
【0003】
現在、虚血性脳損傷に対する治療は次の二点を重んじている。(1)早急に虚血損傷脳組織の血液供応を改善し、復旧する。(2)虚血脳組織が代謝毒物のさらなる損害を受けないように保護する。閉塞の脳血管を早期に再開通することは、不可逆の損害が出る前に被害脳組織にタイムリーに血液を供給し、神経元を殺す脳化学因子の連鎖反応を遮断し、脳組織の耐性を増加し、半影部の脳組織の機能を救うためである。神経元を保護することは、虚血による各種の有害病理過程の発生を阻止して、虚血による脳損害を防止あるいは局限し、脳細胞の死亡を減少し、機能の回復を促進するためである。両方から同時に進め、協同で応用すれば、治療の適合性および科学性を向上し、虚血性脳損傷の治療効果を高めることができる。
【0004】
虚血脳組織の血液供応を改善し回復する手段としては、溶栓治療、抗凝固治療と血小板凝集抑制などがある。
【0005】
1. 溶栓治療
20世紀80年代から、溶栓治療、特に超早期の大用量の溶栓は虚血性脳損傷の優先の療法となっている。しかしながら、溶栓治療は、プラセボ・グループと比べて、明らかに致命的な頭蓋内出血の発生率およびその他の原因による死亡の危険性を増加した。つまり、溶栓治療は、リスクが大きく、一部の虚血時間の長いエリア、例えば虚血中心区と易損区に、再灌注損傷、梗塞後の出血および厳重な脳水腫が発生しやすいので、厳格に適応症と投薬時間ウィンドウとを管理する必要がある。
【0006】
2. 抗凝固治療
抗凝固治療は、トロンボゲンが凝血酵素に転じることを阻止し、フィブリノーゲンからフィブリンに変わる凝血酵素の促進作用に対抗し、血小板の集結および破壊を阻止することができる。しかしながら、形成された血栓に対しては直接治療作用がない。そのため、早期応用を強調する。しかし、一部の学者から次のような反対の観点もある。すなわち、発病後、ヘパリン、低分子ヘパリン、ヘパリン因子あるいは特殊な凝血酵素抑制剤の使用を含む、直ちに抗凝固治療を行う方法は、、長期あるいは短期にわたって改善作用が現れていない。また、抗凝固治療が、深部静脈血栓の形成と肺動脈栓塞の危険とを引き下げることができるとしても、これらの作用はその頭蓋内外出血の発生の危険性に相殺される。
【0007】
3. 血小板凝集抑制
アスピリンは血小板凝集を抑制する作用を持ち、現在、幅広く虚血性脳損傷の治療に応用されている。しかし、近年、その用量はずっと統一されていない。実験室の研究で実証されたように、アスピリンは、30〜50mg/dので治療目的を達成することができるので、臨床上、小用量の使用を虚血性脳血管病の治療および予防方法としている。なお、新型抗血小板薬のチクロピジンは、近年、虚血性脳血管病の治療によく使われ、その臨床治療効果が公認され、且つアスピリンに勝る。
【0008】
4. 血液希釈療法
血液希釈療法は、血細胞の比容を引き下げることによって、血液粘度を低下させ、局部の脳血流量を増加して、治療の作用を果たす。文献の報道によると、等容性の血液希釈の早期採用、ハーフライフの長い膠質浸透液、例えば、アルブミンあるいは酸素を運ぶ能力を持つ合成蛋白Pentastarchなどの応用により、良い治療効果が得られる。選択性の血液成分の希釈は、国内外に応用されている血液希釈療法と血液光子療法とに基づいて、虚血性脳損傷患者に対して、血液流変性の異なるタイプの変化あるいは血漿廃棄、あるいは血細胞廃棄を行う一種の新療法である。
【0009】
5. 血管拡張薬による治療
常用薬品として、シンナリジン、パパベリン、重炭酸ナトリウムおよびカルシウム拮抗剤のニモジピンなどがある。しかし、血管拡張薬の応用に対し、異議を唱える人もいる。虚血性脳血管病の急性期(発病後1〜3週間)に血管拡張薬を応用すると、再灌流障害を誘発しやすく、虚血区と半影部の脳組織の損害が重くなると主張している。
【0010】
一方、虚血脳組織と神経細胞とを保護することは、現在、脳虚血損傷治療の研究ホットスポットとなった。多くの神経保護剤が臨床開発試用中である。現在、神経保護剤で急性虚血性脳損傷を治療する主要な作用ルートには、Ca2+の内流の阻止、ラディカルのクリア、興奮性アミノ酸レセプター拮抗剤、神経栄養因子およびγ-アミノ酪酸レセプター刺激薬などの使用がある。そのうち、下記のものがよく研究される。
【0011】
1. カルシウム拮抗薬
最も早く、最も幅広く研究されているのはジヒドロピリジン系薬で、ニモジピンを代表とする。同薬は電圧敏感なカルシウム拮抗剤で、脂溶性を持ち、血脳障壁を通過しやすい。3719例の患者のランダム対照研究の中で、経口投与した120mgは顕著な効果がなかった。しかし、発病後12時間内に治療を受けた患者の不良結果の危険性が38%下がった。現在、発病後6時間内のニモジピン治療法に関する臨床III期の研究はオランダで行われている。マグネシウムの小見本の研究によると、患者は同薬に対し、良好な耐性があり、治療グループの大多数の患者の神経機能が改善され、病後6ヶ月の再入院が減少した。1グループの60例の患者に対する研究の示されたように、硫酸マグネシウムによる定期治療後、治療グループの病死率と障害を持つ率は30%で、それに対し、プラセボグループは40%である。同薬の確実な治療効果について、さらに研究されている。
【0012】
2. ラディカル・クリア剤 急性脳虚血の時、脳内にラディカルが大量に発生し、膜構造が破壊され、神経元が損害される。ラディカルにより、虚血半影部の血管が痙攣し、血管内に凝血が起こり、梗塞の範囲が拡大し、脳組織の損傷が重くなる。ゆえにラディカルをクリアする治療はとても重要である。ビタミンE、ビタミンC、過酸化物ジスムターゼ(SOD)、ホルモン、マンニトールなどは常用のラディカル・クリアで、虚血の脳細胞を保護する作用がある。
【0013】
3. グルタミン酸放出抑制剤 作用機制はシナプス前のグルタミン酸の合成および放出を抑制し、動物実験でその明確な脳保護作用が示された。しかし、その臨床応用は検証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
実際、世界各地の研究者は、ずっと虚血後の脳細胞保護という難問の解決に取り組んでいる。しかし、脳虚血による中枢神経組織および細胞損傷の病理メカニズムが複雑な時間と空間のカスケードと相互作用にかかわるから、いかなる単一セクションあるいは個別分子メカニズムのみに対し、干渉を行う治療の試みもほとんど低効果と決められた。したがって、動物モデルで多くの希望のある治療方法を得て、多くの化合物を開発し、ずっと抗脳虚血作用の研究を行っているにもかかわらず、これまで大半の臨床試験の結果は失望的であった。原因は、脳虚血による細胞損傷の過程に多段階、多中心メカニズムおよび多向性の特徴があることを軽視したためである。
【0015】
全体から見ると、人々が脳虚血損傷のメカニズムと病理変化とに対して、比較的深い理解があったが、相応の有効な治療手段が依然として乏しい。臨床上、溶栓、再通をメインとしている。しかし、このような処理は血液供給の問題しか解決できなく、虚血後の神経細胞損傷、特に再灌流障害および遅発性死亡のような重要なセクションに対し、ほとんど効果がなく、且つ応用中に出血の危険とその他の明らかな制限が存在する。中国では全体的な治療効果が理想的ではないが、毎年、中風の治療光にかかる支出だけで約百億人民元に達し、患者の一生に及ぶ可能性のある長い脳損傷の回復と神経機能の維持の過程に必要な巨額費用はまだ計上していない。したがって、虚血脳損傷過程の複数のセクションに作用し、その発生・発展の多くのメカニズムを干渉する医薬品を探すことは非凡の意義がある。脳虚血損傷の有効な緩和と治療とに対し、深い影響を及ぼし、大幅に社会、家庭と個人の精神と経済負担を軽減し、潜在力の大きい医薬市場で一席を占め、極めて顕著な社会効果および経済効果をもたらす。
【0016】
したがって、薬理学者の予測によると、最終的に臨床の実用に投入し、高効率に脳虚血損傷に対抗できる希望の星は多標的作用メカニズムを持つ化合物から出る。多くの研究と開発対象の中で、神経活性ステロイドは神経系統に対し、広範な効果があるため、日に日に注目される。
【0017】
神経活性ステロイド(neuroactive steroids、NASs)は、天然存在あるいは人工合成の神経組織に活性を持つすべてのステロイドホルモンの総称である。NASsは一般的なステロイドホルモンの作用方式を持ち、即ち神経元内の特異な核レセプター、例えば、プロゲステロンと雄ホルモンレセプターとの結合を通じて、神経元と神経膠質細胞の多くのレセプターと蛋白質の遺伝子表現を調節するが、これをゲノム効果と呼ぶ。その過程は、DNAの複製、翻訳と蛋白質修飾にかかわるため、効果が遅い。NASsでクイックにGABAレセプター、Gluレセプター、アセチルコリン・レセプターと胞内Sigma1レセプターの活性を調製でき、非ゲノム方式で情緒、神経元の可塑性および興奮性、シナプス伝達と学習記憶など中枢活動に直接影響を与える。近年、研究から次々と発見したように、一部の神経活性ステロイドは、神経元の損傷、死亡および多くの中枢神経系統の疾病に対し、顕著な調節作用がある。例えば、カイニン酸は海馬CA1とCA3区の神経元の紛失を引き起こせる。アロプレグナノロン(allopregnanolone、AL)はカイニン酸のこの種の神経毒性を緩和できる。体外で培養する海馬不可逆神経毒性細胞モデル(低酸素とグルタミン酸)の中で、ALもその神経保護作用を示した。デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone、DHEA)はGlu類似物と皮質ステロイド類の神経毒性作用を引き下げることができるが、しかし、人体内の含量は年齢に伴って、次第に減少し、老衰過程の神経退行性変化と関係すると考えられる。可逆のウサギ脊髄虚血モデルの中で、DHEAも神経保護作用を持っている。体外ラット胚胎の中枢皮質神経元の酸欠モデルの中で、一定濃度のDHEAは顕著に神経元の生存率を増加できる。雌ホルモンは、既知の神経保護作用の最も強いNASで、黒質ドーパミン神経毒性に対し、良好な保護作用があり、パーキンソン病(Parkinson’s Disease、PD)の性別差異と合致する。閉経女性の卵巣が雌ホルモンの産生を停止し、脳の澱粉状蛋白前駆体の濃度が増加し、Aβ沈積を引き起こし、雌ホルモンを与え、又、明らかに脳のAβレベルを引き下げ、雌ホルモンとアルツハイマー病(Alzheimer’s Disease、AD)の内在関連を示した。雌ホルモンは虚血、中風とその他の多くの要素による神経元の死亡に対し、保護作用があり、カイニン酸の誘導する癲癇を遅らせ、癲癇状態による海馬損傷を保護する。雌ホルモンはいくつかの毒性モデルの中で、神経元に対し、明らかな保護効果があり、レセプターをアクティブにし、抗酸化、興奮毒性の拮抗、信号伝導通路の調節、遺伝子表現の調節など多方面の作用を示した。近年、研究者は、研究でエストラジオールとテストステロンが神経栄養因子に類似する作用を持ち、中枢神経系統の損傷後の再生を促進できると発見した。エストラジオールは脳虚血再灌流障害に対し、保護作用があり、動物の癲癇発作を減少し、遅らせることができ、カルシウムイオンチャンネル拮抗剤に類似する作用を持っている。エストラジオールと植物雌ホルモンは去勢後のラット中枢神経系統のコリン作動性ニューロンの退化に対し、保護作用を持ち、前脳基底部コリン作動性ニューロンと海馬コリン作動性神経繊維の紛失を減少し、動物の認知能力を高める。
【課題を解決するための手段】
【0018】
海洋ステロイドYC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール) がオキシステロール類化合物に属し、稀の側鎖構造を持っている。研究資料によると、YC-1は学習記憶の能力を増強する以外に、非ゲノム・メカニズム用量依存性にグルタミン酸誘導の小脳顆粒神経元の興奮毒性死亡を抑制できる。この保護作用はNMDAレセプターを介しない。YC-1も用量依存性に低カリウム誘導の小脳顆粒神経元の衰亡を抑制でき、 c-Jun遺伝子の表現の抑制および燐酸化c-Junレベルの引き下げを通じて、作用を発揮し、PI3K/AKT存続通路が当該調節過程に参加する可能性がある。YC-1は用量依存性に酸欠誘導の小脳顆粒神経元の衰亡を抑制できる。動物実験の中で、行為学指標それとも組織活性テストとも明確に示されたように、YC-1はラットのMCAOによる局所性の脳虚血損傷に対し、極めて顕著な予防、治療効果がある。ウサギ脊髄虚血損傷に対しても顕著な防護作用がある。研究で発見されたように、YC-1およびその同類物の軟サンゴのコレスティンは還元型グルタチオンの消耗し尽くしを抑制するなどを通じて、間接に抗酸化作用を発揮する。膜安定作用を通じて明らかに炎症因子PGE2の放出を減少し、抗炎症作用を発揮する。即ち、YC-1は、多くの作用メカニズムを通じて、異なる標的に対して、有効に虚血脳損傷に対抗できる化合物であって、臨床の抗脳虚血損傷薬になる潜在価値を持っている。また、興奮毒性、酸化ストレス、炎症反応および神経元の衰亡、壊死はPD(Parkinson’s Disease)、AD(Alzheimer’s Disease)をメインとする神経退行性疾病の発生・発展過程にとても重要な役目を演じる。したがって、これらの病原性の変化に対して顕著な干渉作用を持つYC-1は、抗神経退行性疾病薬の開発において将来が明るい。
【0019】
南沙群島の唇軟サンゴから抽出したオキシステロール類化合物の海洋ステロイドYC-1 は、多くの神経元損傷に対して保護作用を持ち、有効な保護用量下で毒性反応が示されていない。天然抽出の海洋ステロイドYC-1は、その量が限られて、大規模の生産に適しないが、化学合成の方法でこの問題を解決することができる。廉価の豚ウルソデオキシコール酸を原料とし、14ステップの有機反応の合成を通じて、目標化合物YC-1を得ることができる。IR、NMR、MS、EAなどの技術を利用し、目標化合物の構造に対してアトリビュートを行うと、対応するIR、1HNMR、13CNMR、MS、EAなどのデータを得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、YC-1の構造、効能を最適化し、臨床前試験と臨床試験とを完成し、神経元を保護する新型医薬品となるために、堅実な基礎を定めた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】YC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール)の合成路線。
【図2】YC-1の炭素核磁気共鳴スペクトル。
【図3】YC-1の水素核磁気共鳴スペクトル。
【図4】YC-1の赤外線スペクトル。
【図5】YC-1のマススペクトラム。
【図6】YC-1が永久性大脳中動脈栓塞(MCAO)ラットの半球梗塞体積を減少できる。
【図7】YC-1の永久性大脳中動脈栓塞(MCAO)ラットに対する保護作用。
【図8】YC-1のウサギ脊髄虚血モデルの神経機能得点に対する影響。
【図9】YC-1のウサギ脊髄虚血モデル行為学に対する影響
【図10】YC-1がウサギ脊髄虚血後の脊髄前角神経元の数を増加できる。
【図11】HE染色に示されたYC-1のウサギ脊髄虚血後の脊髄前角神経元に対する影響。
【図12】位相差顕微鏡の示した投薬後のH/R処理を経たCGNsの形態。
【図13】FDA活細胞染色によると、海洋ステロイドYC-1がH/RによるCGNs衰亡を抑制する。
【図14】Hoechst33258衰亡細胞核の形態学分析によると、YC-1 はH/R誘導のCGNs衰亡を抑制することができる。
【図15】位相差顕微鏡の示した投薬後のLK処理を経たCGNsの形態。
【図16】FDA活細胞染色によると、海洋ステロイドYC-1がLKによるCGNs衰亡を抑制する。
【図17】Hoechst33258衰亡細胞核の形態学分析によると、YC-1 はLK誘導のCGNs衰亡を抑制することができる。
【図18】セファロース電気泳動分析によると、YC-1 はLK誘導CGNs衰亡表現のDNA断裂、断片を減少することができる。
【図19】FDA活細胞染色によると、海洋ステロイドYC-1はGluによるCGNs衰亡を抑制する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.海洋ステロイドYC-1(24−メチレン−コレスタン−3β,5α,6β,19−テトラール)の合成
廉価の豚ウルソデオキシコール酸を原料とし、14ステップの有機反応の合成を経て、目標化合物YC-1および関連する類似物を得た。スペクトル技術を利用して、各中間体および目標化合物に対してアトリビュートを行う。
【0023】
1、YC-1(24−メチレン−コレスタン−3□□5□□6□□19−テトラール)の合成路線、図1を参照する。
【0024】
2、YC-1合成工法条件の最適化
(1)3□−アセチルオキソ基−コレスタン−5□−臭素−6□−ヒドロキシル−24−ケトンの合成
当該ステップ反応3□−アセチルオキソ基−コレスタン−5−アルケン−24−ケトンと N−ブロモスクシンイミドとの反応から得て、産物に多くの異性体が存在し、生産性が低い。溶剤、反応温度など反応条件の選択を通じて、その反応過程を最適化する。重結晶、溶剤沈澱、コラムクロマトグラフィなどの純化方法を通じて、その分離方法を研究する。
(2)□−アセチルオキソ基−コレスタン−5□−臭素−6□□19−エポキシ−24−ケトンの合成
当該ステップ反応3□−アセチルオキソ基−コレスタン−5□−臭素−6□−ヒドロキシル−24−ケトンの中の6□−ヒドロキシルは遠隔酸化関環が発生する。それぞれ四酢酸鉛、二アセチル・ヨードベンゼンを使って、紫外灯照射および超音波の二つの条件下で酸化反応を行い、当該工法条件の最適化研究を行う。
(3)3□□19−二アセチルオキソ基−5□□6□−エポキシ−24−ケトンの合成
3□□19−二アセチルオキソ基−5□□6□−エポキシ−24−ケトンは3□□19−二アセチルオキソ基−5−アルケン−24−ケトンの5、6−位ダブルキーの酸化から得る。異なる酸化剤の酸化産物の順逆比率が異なり、生産性が異なる。三種の酸化剤:3-クロロ過安息香酸、オキシフル/蟻酸体系およびカリウム過マンガン酸塩/硫酸銅体系で5,6−位ダブルキーに対し、酸化を行い、工法条件を最適化する。
【0025】
3、目標化合物YC-1および各中間体のアトリビュート
IR、NMR、MS、EAなどの技術で目標化合物および各中間体の構造に対し、アトリビュートを行い,そのIR、1HNMR、13CNMR、MS、EAなどのデータを得る。うち、YC-1のスペクトルデータは次の通りである。
融点:223−225℃
元素分析:C28H48O4 測定値:C,75.20; H,10.36 理論値: C,74.95; H,10.78,
MS:[M-H2O] +=432,
IR:3416,3028,2936,2868,1642, 1464,1377,1057
1HNMR(DMSO)
5.25(1H,d,6β-OH), 4.71(1H,d,J=1.5Hz,28-CH), 4.65(1H,d,J=1.5Hz,28-CH),
4.51(1H,d,19-OH), 4.16(1H,d,3-CH), 4.01(1H,d,19-CH), 3.84(1H,m,3-CH),
3.64(1H,s,5-OH), 3.23(1H,m,6-CH), 2.25(1H,m,25-CH), 1.13(6H,d,26-CH3,27-CH3),
1.01(3H,s,19-CH3), 0.87(3H,d,21-CH3), 0.67(3H,s,18-CH3).
13CNMR(DMSO)
156.6(C),107.3(CH2),75.4(C),74.7(CH),66.7(CH),63.0(CH2),57.4(CH),56.7(CH),
45.9(CH),43.5(C),43.3(CH),42.8(C),41.3(CH2),40.9(CH),37.4(CH2),36.1(CH),
33.9(CH2),31.8(CH2),31.4(CH2),30.5(CH2),28.7(CH2),27.9(CH2),24.70(CH2),
22.64(CH3),22.57(CH3),19.4(CH3),13.1(CH3).
【0026】
4、YC-1の類似物の合成を設計する。
(1)3□−ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(2)3□□6□−二ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(3)3□□5,6−三ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(4)3□□19−二ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(5)□□5□,6□□19−四ヒドロキシルコレスタン系列類似物
(6)3□−ヒドロキシルコレスタンの二量体
(7)3□□5□□6□□19−四ヒドロキシルコレスタンの二量体
(8)上記の各系列の中の17位側鎖は24−カルボニル、24−メチレン、24−ヒドロキシル、24−ヒドラゾンなどとする。IR、NMR、MS、EAなど技術で目標化合物の構造に対して、アトリビュートを行う。
【0027】
5、ステロイド構造修飾研究
YC-1の水溶性が低い。その溶解性能を改善するために、3□−ヒドロキシル−コレスタン−5−アルケン−24−ケトンをモデルとし、3−位ヒドロキシル親水性を修飾する。
(1)コレスタン−5−アルケン−24−ケトン−3−ヒドロキシル−スルホン酸エステルの合成研究
(2)ポリグリコール修飾の3−ヒドロキシル−コレスタン−5−アルケン−24−ケトンの合成研究
【0028】
B.YC-1およびその類似物のMCAOによるラット脳虚血モデルに対する作用
方法:ラット大脳中動脈栓塞モデル(MCAO)の調製
健康な雄性SDラット25匹をランダムに3グループに分ける。YC-1グループ(n=11)は大脳中動脈栓塞後の10min、6h、24h〜7d,連続で12mg.Kg-1のYC-1を腹腔に注射する。DMSOグループ(n=11)は同様な方式で同じ容量のDMSO(1ml・Kg-1) を注射する。Shamグループ(n=3)はただ、短い栓線の未栓塞MCAを挿入する。
Zea Longa(Longa EZ, Weinstein PR, Carlson S, Cummins R. Reversible middle cerebral artery occlusion without
craniectomy in rats. Stroke, 1989, 20:84-91)などの調製方法を参照し、改良を行う。ラットは手術前の一晩禁食し、自由に水を飲む。麻醉前10minに硫酸アトロピン (0.5mg/Kg)を腹腔に注射する。10%抱水クロラール3.5ml/kgを(ip)麻醉ラットの腹腔に注射する。ラットの後肢の収縮反射および角膜反射の消失を麻醉指標とし、麻醉後、仰臥させて固定する。頚部中線で皮膚、皮下組織を切開し、左頚部皮膚と二腹筋、胸鎖乳突筋と肩胛舌骨筋を分離し、三筋の形成する三角区で頚部総動脈(commom cartid artery 、CCA)の分枝、およびそこから出る頚部内動脈(internal carotid artery、ICA)と頚部外動脈(external carotid artery、ECA)を暴露する。頚部総動脈CCAを結さつし、咽昇動脈の開始部でECAを結さつする。頚部内動脈の近端で線を備え、頚部総動脈の分枝部で口を切り、長さ5cmのナイロン栓線をICAの向心端に挿入する。進栓線が約17〜18mmになると、抵抗力を感じる。その時、栓線が頚部内動脈に入り、頭蓋に入り、大脳前動脈に至り、大脳中動脈のすべての血流源を遮断し、血流の遮断から計時する。線を結さつし、余った線の頭をカットし、傷口はヨードチンキで消毒し、最後に皮膚を縫合し、手術終了後、カゴに戻して飼養する。偽手術グループは短い栓線(10mm)を挿入し、MCA開始部に及ばない以外に、その他のステップは同じとする。実験の過程で美体康ブランドの電子温度計で直腸温度を測定する。動物体温は厳格に36.5〜37.5℃にコントロールする。
【0029】
結果:肉眼で偽手術グループの脳組織の色を観察すると、形態が正常で、蒼白と腫脹がない。DMSOグループのラットの脳組織は明らかな蒼白と腫脹が見られる。YC-1グループの脳組織に明らかな蒼白と腫脹がない。TTC染色によると、YC-1グループの梗塞体積がDMSOグループより明らかに減少した(梗塞面積はそれぞれ32±11%と62±8%である)。偽手術グループは虚血がない。
【0030】
C.YC-1の腹主動脈の挟みによるウサギ脊髄虚血モデルに対する作用
方法:脊髄虚血モデルの製作
24匹の雄ニュージーランド・ウサギを3グループ(n=8)に均等に分ける。YC-1グループは脊髄虚血の30分前に耳縁静脈を経て、8mgのKg-1海洋ステロイドYC-1を注射する。DMSOグループは脊髄虚血の30分前に同様な方式で同じ容量のDMSO(1ml・Kg-1)を注射する。Shamグループはただ、腹主動脈を暴露し、遮断しない。
Johnsonなど方法を参照し、ウサギ脊髄虚血モデルを製作する。動物は術前の夜、禁食し、自由に水を飲む。3%ネムブタール30mg.Kg-1で耳縁静脈を経て動物を麻醉する。もう一方の耳縁静脈を経て、一つの静脈留置針(24G)を置き、術中の薬品注入、輸液に使う。右側耳動脈に一つの動脈留置針(24G)を置き、術中の近端動脈圧の観測および採血に使う。片側の股動脈に一つの動脈留置針(24G)を置き、術中の遠端動脈圧の観測に使う。動物は仰臥位で、腹の真ん中で口を切り、腹主動脈を暴露する。耳縁静脈を経て、150U.Kg-1ヘパリンを与えた後、左腎動脈の起点以下の0.5〜1.0cmで動脈挟みで腹主動脈を遮断し、ウサギ脊髄虚血を起こす。腹主動脈を遮断した後、遠端動脈圧が直ちに下がり、股動脈の拍動が消える。虚血の20分後、動脈挟みを外し、腹主動脈を開放し、血流を復旧し、そして腹腔を閉める。手術後、ゲンタマイシン4万Uを筋肉注射し、動物を飼養カゴに戻し、48時間を観察する。手術中に持続的に近端動脈圧、遠端動脈圧および心拍(Spacelab、アメリカ)を観測する。加熱マットと暖房灯で動物の直腸温度を38.5±0.5℃に維持する。それぞれ、虚血の10分前、虚血の10分後と再灌注の10分にウサギ耳動脈を経て、採血し血気(AVL-2, Switzerland)と血糖(One Touch II, USA)を観測する。
【0031】
結果:各グループの動物神経機能の得点結果の詳細は図1を参照する。偽手術グループのウサギの後肢神経機能は、観察期間に完全に正常であった(4点)。DMSOグループに立てるウサギが一匹もなかった。CPAグループに6匹のウサギが立てた。残りの2匹ウサギの後肢にも明らかな運動がある。YC-1グループとShamグループの神経機能の得点は各観察時間点に明らかにDMSOグループ(p<0.05)を上回る。組織病理学テストによると、DMSOグループは腰の脊髄に厳重な損傷がある。運動神経元の減少、ニッスル小体および核の消失、空泡の変性と表れる。YC-1グループは腰の脊髄の損傷が明らかに軽減した。図3を参照する。DMSOグループと比べて、CPAグループとShamグループの脊髄前角の正常神経細胞の数が明らかに増えた(p <0.01)。図4を参照する。
【0032】
D.YC-1およびその類似物が酸欠誘導の体外培養の小脳顆粒神経元の死亡に対する作用
方法:1.ラット小脳顆粒神経元(cerebellar granule neurons, CGNs)の培養
Yanらの方法[34] により、生後7~8d、体重が約15~20gのクリーン級SDラットを取り、無菌条件下で小脳を分離し、 Ca2+、Mg2+ のない Kreb’s液(解剖液)に置き、脳膜と血管を除去し、眼科ハサミで1 mm3サイズの組織塊に切り、そして0.25g・L-1すい臓酵素を含む消化液の中で37℃ 15分間消化し、すぐに0.5 g.L-1すい臓酵素抑制剤と0.05g.L-1
DNase I の吹散液を入れ、消化を中止し、単個細胞懸濁液に吹き散らし、 200gで5分間遠心分離し、沈澱して吹洗液で1回洗い、再度、200gで5分間遠心分離し、上清液を棄て、沈澱は10%(v/v)胎牛血清と25mM KClを含むBME培地で1.5-1.8×106個細胞/mlの細胞密度に希釈し、ポリ−L−リジンに被覆された培地に接種し、 5% CO2および37℃の培養箱に置き培養する。接種24時間後、10 μmol.L-1Ara-Cを入れ、非神経元細胞の生長と増殖を抑制し、小脳顆粒神経元の純度を95%以上にする。培養して第7 d目に葡萄糖を5mMに加入し、細胞代謝の必要なエネルギーを補充する。第8日目に実験する。
【0033】
2.小脳顆粒神経元の酸欠/酸素再供給(H/R)損傷モデルの構築Seko(Seko Y, Tobe K, Ueki K, et al. Hypoxia and
hypoxia/reoxygenation activate Raf-1, mitogen-activated protein kinase kinase,
mitogen-activated protein kinases, and S6 kinase in cultured rat cardiac
myocytes. Circ Res.
1996 Jan;78(1):82-90)などの方法を参照して、酸欠/酸素再供給モデルを調製する。CGNsを酸素消耗剤と指示剤のある密閉箱に置き、37℃下で3h置く。そして細胞を5%
CO2および37℃の培養箱に置き、酸素再供給処理を行う。
【0034】
3.細胞形態学の観察と神経元の生存率の測定 Yan(Yan G M, Irwin R P, Lin S Z, et al. Diphenylhydantoin induces apoptotic cell
death of cultured rat cerebellar granule neurons. J Pharmacol Exp Ther, 1995, 274(2): 983-8)などの方法により実施する。主に次のようにする。小脳顆粒神経元を35 mm の培地で培養し、第8 d目に、各要素を相応の時間で処理した後、培地を外し、Ca2+、Mg2+を含む4℃ PBSで2回洗い、40 g.L-1ポリホルマリン液(4 ℃、PBSに溶解する)で10min固定し、固定液を外し、蒸留水で2回洗い、4℃下に置き、自然で空気乾燥し、そして逆転蛍光顕微鏡(Olympus)下で形態学の変化を観察し、ランダムに撮影する。
【0035】
結果:位相差顕微鏡下で観察すると、酸欠前、小脳顆粒神経元の胞体が飽満で、すきとおっている。細胞突起およびその構成する連絡網が緊密で、明晰に完全である。3h酸欠して酸素を再供給した24h後(H/R)、神経元の胞体が縮小し、構造が鮮明ではなく、突起と網が紊乱し、断裂している。10μM MK801あるいは12μM YC-1あるいは12μM YC-2を加入 した3h後、再びH/R処理を行い、大半のCGNsは胞体が完全で、飽満し、すきとおっている。突起および網が緊密で、明晰に完全である。
FDA染色分析、H/R後、神経元の歩留りが明らかに低下した(16.56±3.21%)。10μM MK801あるいは12μM YC-1、YC-2を加入した後、細胞の歩留りがそれぞれ86.73±3.21%、84.29±1.26%と83.54±4.78%に達した。
Hoechst33258染色によると、正常CGNs胞核が完全で、染色質の分布が均一である。H/R後、CGNs胞核の染色質が凝固し、縮小し、辺縁に集合し、衰亡の小体が出現する。12μM YC-1、YC-2を加入したCGNsはH/R処理を経た後、大部分のCGNsの核の形態が正常で、染色質の分布が均一である。
【0036】
E.YC-1およびその類似物が複極化誘導の体外培養の小脳顆粒神経元の死亡に対する作用
方法:ラット小脳顆粒神経元の培養、細胞形態学の観察と神経元の生存率の測定、細胞形態学の観察と神経元の生存率の測定は前述と同じとする。セファロース電気泳動は文献[34] を参照し、小脳顆粒神経元を35mm2の培地に植える。第8日目に、各種の薬品を加入した24h後、培地を外し、PBS で2回洗い、収集した細胞を低温・高速の遠心分離機(Biofuge22R、Heraeus、ドイツ)で遠心分離し(5 000rpm、4 ℃,5min)、細胞塊を600μLの10 mmol.L-1 Tris-HC1、10 mmol.L-1EDTAと2 g.L-1Triton
X-100 (pH 7.5)を含む緩衝液に15min置き、遠心分離する(12 000rpm、4℃,10min)。上清に同じ体積のフェノールを加え、1回抽出し、遠心分離する。上清は同じ体積のフェノール、クロロフォルム (1:1)混合液で1回抽出し,遠心分離する。上清を取り、300
mmol.L -1の醋酸ナトリウムと同じ体積のプロパノールを加入し、沈澱して夜を過ごす。遠心分離した後、70% のアルコールで2 ~ 3回洗い、乾燥後、TE[Tris 10 mmol.L-1; EDTA 1.0 mmol.L-1(pH 7.4)と0.6g.L-1のRNase A]を加入し、37℃で30min温育し、サンプルは20g.L-1のセファロースに置いて1h電気泳動し、エチジウムブロミド染色後、紫外灯の下で観察し、撮影する。
【0037】
結果:8日間体外培養のラットCGNsは25mM KClを含む血清のないBME培地において、位相差顕微鏡下で観察すると、その胞体および突起が完全である。5mM
KClの血清のないBMEに換えて、24h培養した後、神経元の胞体が収縮し、突起が断裂する。FDA蛍光染色法の分析によると、40.2±14.04%のCGNsだけが存続する。もし、低カリウム培地に換える3h前と同時に12μM YC-1あるいはYC-2を加入した後、引き続き24h培養すると、CGNsは大部分、胞体と突起が完全である。FDA染色によると、それぞれ94.3±14.02%と84.2±13.34%の細胞が存続する。海洋ステロイドYC-1とYC-2 は明らかに低カリウム培養のラットCGNsの生存率を高められると表した。
【0038】
F. YC-1およびその類似物がグルタミン酸誘導の体外培養の小脳顆粒神経元の死亡に対する作用
方法:ラット小脳顆粒神経元の分離とprimary culture。位相差顕微鏡術(phase contrast microscopy)で神経元の胞体および突起の形態を観察する。二酢酸蛍光素(fluorescein diacetate、FDA)染色で神経元の代謝活性(metabolic activity)と歩留り(viability) をテストする。
【0039】
結果:8日間体外培養のラットCGNsに、 150μMグルタミン酸(Glu)を与え、24h後、位相差顕微鏡で観察し、神経元の胞体が明らかに縮小し、細胞核が収縮し、突起が断裂あるいは消失することを発見した。Gluを加入する1h前に12μMのYC-1 あるいはYC-2を与え、24h後、観察し、YC-1とYC-2が明らかにGluによるCGNs衰亡を抑制することを発見した。FDA法でCGNsの歩留りを測定し、Glu 対照グループ(29.5±8.23%)と比べて、12μM YC-1 とYC-2 が明らかにCGNsの歩留りを高められる(それぞれ92.6±2.59%と91.6±10.11%である)ことを発見した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経元損傷治療薬の調製における、海洋ステロイド化合物の応用。
【請求項2】
前記海洋ステロイド化合物が、24-メチレン-コレスタン-−3β,5α,6β,19−テトラールであることを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項1】
神経元損傷治療薬の調製における、海洋ステロイド化合物の応用。
【請求項2】
前記海洋ステロイド化合物が、24-メチレン-コレスタン-−3β,5α,6β,19−テトラールであることを特徴とする請求項1に記載の応用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図3】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2009−545535(P2009−545535A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522070(P2009−522070)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/CN2006/002235
【国際公開番号】WO2008/017216
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(507197878)中山大学 (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/CN2006/002235
【国際公開番号】WO2008/017216
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(507197878)中山大学 (2)
【Fターム(参考)】
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