説明

浸水インジケータ及び浸水インジケート方法

【課題】 浸水インジケータ及び浸水インジケート方法に関し、化学的に安定で、かつ、簡単な組成の材料構成により所定の箇所に着実に定着する。
【解決手段】 互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料の少なくとも一方の材料と、粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有させて浸水インジケータを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浸水インジケータ及び浸水インジケート方法に関するものであり、特に、水中浸漬時の水分侵入経路を、化学的な変色反応を用いて水分の接触履歴を明示することを可能にするための材料及び組成に特徴のある浸水インジケータ及び浸水インジケート方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気・電子機器は水分の侵入に弱く、プリント配線板上の回路パターンや電子部品端子部上等に水分が付着すると電気的ショート障害等の障害に至る事例も少なくないため、使用環境が限られていた。
【0003】
しかしながら、近年携帯機器の普及により、レジャー、行楽等に、携帯電話を代表とする電気・電子機器を保持する場合が増加しており、それにともなって、海水浴やマリンレジャーにおける防水対策が要請されており、電子機器メーカ各社は、このような要請に応えるために防水機器の開発を実施している。
【0004】
そこで、従来においては、電気機器等の内部に水分インジケータを取付け、この水分インジケータの色変化により電気機器の水没判定や水漏れ履歴を検査することが提案されている。
【0005】
この様な水分インジケータとして塩化コバルト、硫酸銅に代表される水分との付着/接触による色変化を利用したものが知られており、塩化コバルトはCoイオンの周囲に配位している水分子の数が多いものは赤色、少くないものは青色を示す。
例えば、CoCl2 ・6H2 Oは淡赤色、CoCl2 ・4H2 Oは桃色、CoCl2 ・2H2 Oは淡赤紫色、2CoCl2 ・3H2 Oは暗青紫色、CoCl2 ・H2 Oは青紫色、CoCl2 は淡青色を示すことが知られている。
【0006】
しかし、このコバルト色は大気中の温度や湿度に敏感に反応してしまうため、変色後環境条件が低湿度や乾燥状態に戻ると、水没や水漏れ履歴の有無に拘わらずそれに合わせて元の色に戻ってしまい、履歴を確認することができないという問題がある。
【0007】
そこで、高分子結着剤とこの高分子結着剤中に分散された有機若しくは無機フィラーと、可視光線の波長以上の粒径を有する水溶性染料粒子を主成分とした材料により水分に触れたことを色変化により表示する水分インジケータを構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
この場合、水分に接すると水溶性染料粒子が分解して分子状に分散されて発色し、また、変色後に周囲が乾燥状態になっても水溶性染料粒子の分子状の分散状態が保持されるとともに、侵入した水分は有機若しくは無機フィラーに吸着されるので蒸発されにくい状態となるの変色状態を保ち、それによって、水没や水漏れ履歴を表示することが可能になる。
【0009】
この様な事情は、食品や薬剤等の運送・保管・管理等においても同様であり、布やフィルム中に含有させる水分インジケータ材料として、有機酸、有機酸により発色する呈色性有機化合物、吸水性粉末、及び、高分子結着剤からなる組成物を非水溶媒中に溶解或いは分散させたものを用いることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
この場合、乾燥状態においては有機酸と呈色性有機化合物とが接触して呈色状態にあるが、水分と接すると消色し、消色後の乾燥状態においては呈色性有機化合物は有機酸と再び接触できなくなるので、再び呈色状態に戻ることがなく、それによって、水没や水漏れ履歴を表示することが可能になる。
【特許文献1】特開平07−098309号公報
【特許文献2】特開平07−120398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述のメモリ作用を有する水分インジケータ材料は、複雑な材料の組み合わせからなるとともに、表面張力による影響を排して金属やプラスチック筐体の所定の箇所に選択的に安定な定着状態を必要とする電気・電子機器の防水試験にとって定着性に優れたインジケータではなかった。
【0012】
したがって、本発明は、化学的に安定で、かつ、簡単な組成の材料構成により所定の箇所に着実に定着することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、浸水インジケータにおいて、互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料の少なくとも一方の材料と、粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有することを特徴とする。
【0014】
このように、防水試験を行うための浸水インジケータ2としては、互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料を組み合わせて用いるとともに、粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方に混合して用いることによって、金属やプラスチック筐体の所定の箇所に表面張力による撥水作用の影響を受けることなく選択的に安定に定着することができる。
【0015】
また、一般環境において、不可逆的な化学反応を応用しているため、浸入した水が揮発後も変色部分4を確実に検知することができ、障害発生時の解析においても、同様の手段で故障原因になりやすい塩素分の浸入を検証することができ、解析効率を向上することができる。
【0016】
なお、この場合、第1の材料と第2の材料の両方を粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方に混合して浸水インジケータ2としても良いし、或いは、第1の材料と第2の材料のいずれか一方のみを粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方に混合して浸水インジケータ2としても良い。
【0017】
この場合、化学的に安全且つ安定な浸水インジケータ2とするためには、第1の材料としては硝酸銀と、第2の材料としては塩化ナトリウム等の塩素化合物、臭素化合物、或いは、フッ素化合物のいずれかの組合せが典型的なものである。
【0018】
また、第1の材料としては硝酸銀と、第2の材料としては塩化ナトリウム等の塩素化合物、臭素化合物、或いは、フッ素化合物のいずれかの両方を含有させる場合、第2の材料に対する第1の材料の重量比を1/10以上とすることが望ましく、1/10未満であると変色の確認が困難になる。
なお、1/2を超えると増量分の添加効果が飽和して、添加する意味がなくなる。
【0019】
また、第1の材料として硝酸銀を用い、第2の材料としてクロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムを用いても良いものであり、この場合も化学反応によって鮮明な発色が得られる。
但し、クロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムは6価のクロムイオンを含むので環境性に留意する必要がある。
【0020】
また、粘調剤としては、グリセリン或いはポリエチレングリコールが好適であり、これらの一方のみを用いても良いし、或いは、両方を混合しても良いものであり、それによって、浸水インジケータ2の表面張力を小さくして安定な定着性を実現することができる。
【0021】
また、上述の浸水インジケータ2を用いた浸水インジケート方法としては、第1の材料と第2の材料の一方の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する防水インジケータ2を評価対象物1の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、評価対象物1を第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液3中に浸漬、もしくは当該水溶液3を散布して、水分侵入箇所の変色を判定すれば良い。
【0022】
或いは、第1の材料と第2の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する防水インジケータ2を評価対象物1の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、評価対象物1を水中に浸漬、もしくは水を散布して、水分侵入箇所の変色を判定するようにしても良い。
【0023】
この場合の第1の材料として硝酸銀を用い、第2の材料として塩化ナトリウム等の塩素化合物、臭素化合物、或いは、フッ素化合物のいずれかを用いても良い。
【0024】
或いは、第1の材料として硝酸銀を用い、第2の材料としてクロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムのいずれかを用いても良いものである。
【0025】
或いは、第1の材料として1,5−ジフェニルカルボノヒドラジドを用い、第2の材料としてクロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムのいずれかを用いても良い。
【0026】
或いは、第1の材料としてアンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてフェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(III ) 酸ナトリウムを用いても良い。
【0027】
或いは、第1の材料として亜硝酸イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてスルファニルアミド・ナフチルエチレンジアミンを用いても良い。
【0028】
或いは、第1の材料としてリン酸イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてモリブデン酸を用いても良い。
【0029】
或いは、第1の材料としてフッ素イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてランタン−アリザリンコンプレキリンを用いても良い。
【0030】
或いは、第1の材料として3価鉄イオン、塩素イオン、或いは、ヨウ素イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料として過マンガン酸カリウムを用いても良い。
【0031】
或いは、第1の材料として鉛イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてクロム酸カリウムを用いても良い。
【0032】
或いは、第1の材料として水酸化ナトリウムを用い、第2の材料としてフェノールフタレインを用いても良い。
【0033】
或いは、第1の材料としてニッケルイオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてアンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体を用いても良い。
【0034】
或いは、第1の材料として銅イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてアンモニウムイオンを含む化合物又は錯体、或いは、水酸化ナトリウムのいずれかを用いても良い。
【0035】
或いは、第1の材料として鉄イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料としてアンモニウムイオンを含む化合物又は錯体、或いは、水酸化ナトリウムのいずれかを用いても良い。
【0036】
或いは、第1の材料として硫化物イオンを含む化合物或いは錯体を用い、第2の材料として鉛イオン或いはカドミウムイオンを含む化合物或いは錯体を用いても良い。
【0037】
或いは、第1の材料として塩化ベンゼンジアゾニウムを用い、第2の材料としてナトリウムフェノキシドを用いても良い。
【0038】
また、水との反応により蛍光を発する第1の材料と第1の材料の反応を促進する触媒作用を有する第2の材料の一方の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する防水インジケータ2を評価対象物1の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、評価対象物1を第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液3中に浸漬、もしくは当該水溶液3を散布して、水分侵入箇所の変色を判定するようにしても良い。
なお、この場合には、ブラックライト(紫外線)を照射して、蛍光を観察すれば良い。
【0039】
この場合、第1の材料としてはルミノールが、また、第2の材料としてはフェリシアン化カリウム(赤血塩:K3 〔Fe(CN)6 〕)等の鉄イオンを含む化合物或いは錯体でが典型的なものである。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、一般環境において、不可逆的な化学反応を応用しているため、浸入した水が揮発後も浸水箇所を確実に検知することができ、また、障害発生時の解析においても、同様の手段で故障原因になりやすい塩素分の浸入を検証することができ、解析効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、互いの反応或いは触媒作用によって発色現象を生ずる第1の材料と第2の材料の一方の材料とグリセリン或いはポリエチレングリコールからなる粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する防水インジケータを作製し、この防水インジケータを携帯電話等の評価対象物の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、評価対象物を第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液中に浸漬、もしくは当該水溶液を散布して、水分侵入箇所の変色を判定するものである。
【実施例1】
【0042】
ここで、本発明の実施例1の浸水インジケート方法を説明する。
まず、2〜9重量%塩化ナトリウム(NaCl)と、20重量%の硝酸銀(AgNO3 )とを20重量%のグリセリンを混合して浸水インジケータを作製する。
【0043】
次いで、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、この携帯電話を水中に浸漬して変色を判定する。
この場合、浸水インジケータは粘調剤となるグリセリンを含有しているので、携帯電話の筐体の表面において表面張力によって丸まることはなく、均一な厚さで所定箇所に定着することが可能になる。
【0044】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所において水を媒介として下記の化学反応が進行し、白色沈澱物であるAgClが形成される。
Cl- +Ag+ → AgCl(白色) ・・・(1)
【0045】
この化学反応によって生成されるAgClは、不可逆的な化学反応による生成物であるので、浸水後に水が蒸発してもAgClとして残存するので、このAgClを検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0046】
図2参照
図2は、浸水による変色状態の浸水インジケータ中のNaCl/AgNO3 比依存性の説明図であり、1/10以上の重量比において変色を確実に確認ができることが分かった。
なお、1/2を超えた場合にも変色の確認はできるが、変色の程度が飽和するので増量する意味がなくなる。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の実施例2の浸水インジケート方法を説明する。
まず、20重量%の硝酸銀(AgNO3 )と20重量%のグリセリンを混合して浸水インジケータを作製する。
【0048】
次いで、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、この携帯電話を塩化ナトリウム水溶液中に浸漬して変色を判定する。
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所において塩化ナトリウム水溶液中のClと浸水インジケータ中のAgとが上記(1)の反応式によってAgClを生成するので、このAgClを検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【実施例3】
【0049】
次に、本発明の実施例3の浸水インジケート方法を説明する。
まず、2〜9重量%塩化ナトリウム(NaCl)と20重量%のグリセリンを混合して浸水インジケータを作製する。
【0050】
次いで、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、この携帯電話を硝酸銀水溶液中に浸漬して変色を判定する。
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所において浸水インジケータ中のClと硝酸銀水溶液中のAgとが上記(1)の反応式によってAgClを生成するので、このAgClを検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【実施例4】
【0051】
次に、本発明の実施例4の浸水インジケート方法を説明する。
まず、20重量%の硝酸銀(AgNO3 )と20重量%のグリセリンを混合して浸水インジケータを作製する。
【0052】
次いで、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、この携帯電話をクロム酸カリウム(K2 CrO4 )水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0053】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてクロム酸カリウム水溶液中のCrO4 と浸水インジケータ中のAgとが下記の(2)の反応式によって赤褐色の反応生成物Ag2 CrO4 を生成するので、このAg2 CrO4 を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
CrO4 - +2Ag+ → Ag2 CrO4 (赤褐色) ・・・(2)
【0054】
なお、この場合、上記の実施例1と同様にクロム酸カリウム(K2 CrO4 )と硝酸銀(AgNO3 )とを混合して浸水インジケータを作製しても良いし、或いは、上記の実施例3と同様にクロム酸カリウム(K2 CrO4 )とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、硝酸銀水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例5】
【0055】
次に、本発明の実施例5の浸水インジケート方法を説明する。
まず、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジドとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話をクロム酸カリウム(K2 CrO4 )水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0056】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてクロム酸カリウムと1,5−ジフェニルカルボノヒドラジドとが反応してピンク色の反応生成物を生成するので、この反応生成物を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0057】
なお、この場合、上記の実施例3と同様にクロム酸カリウム(K2 CrO4 )とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例6】
【0058】
次に、本発明の実施例6の浸水インジケート方法を説明する。
まず、フェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(III ) 酸ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話をアンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体、例えば、塩化アンモニウム(NH4 Cl)を水で溶解した塩化アンモニウム水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0059】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてフェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(III ) 酸ナトリウムとアンモニウムイオンとが反応して青色生成物であるインドフェーノールを生成するので、このインドフェーノールを検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0060】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に塩化アンモニウム(NH4 Cl)とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、フェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(III ) 酸ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例7】
【0061】
次に、本発明の実施例7の浸水インジケート方法を説明する。
まず、スルファニルアミド・ナフチルエチレンジアミンとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を亜硝酸イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、亜硝酸ナトリウム(NaNO2 )を水で溶解した亜硝酸ナトリウム水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0062】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてスルファニルアミド・ナフチルエチレンジアミンと亜硝酸イオンとが反応して赤色生成物であるジアゾ化合物を生成するので、このジアゾ化合物を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0063】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に亜硝酸ナトリウム(NaNO2 )とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、スルファニルアミド・ナフチルエチレンジアミン水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例8】
【0064】
次に、本発明の実施例8の浸水インジケート方法を説明する。
まず、モリブデン酸とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話をリン酸イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、リン酸(H3 PO4 )を水で溶解したリン酸水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0065】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてモリブデン酸とリン酸イオンとが反応して赤色生成物であるリンモリブデン酸錯体化合物を生成するので、このリンモリブデン酸錯体化合物を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0066】
なお、この場合、上記の実施例3と同様にリン酸(H3 PO4 )とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、モリブデン酸水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例9】
【0067】
次に、本発明の実施例9の浸水インジケート方法を説明する。
まず、ランタン−アリザリンコンプレキリンとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話をフッ素イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、フッ化銀(AgF)を水で溶解したフッ化銀水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0068】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてランタン−アリザリンコンプレキリンとフッ素イオンとが反応して青色生成物である複合錯体化合物を生成するので、この複合錯体化合物を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0069】
なお、この場合、上記の実施例3と同様にフッ化銀(AgF)とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、ランタン−アリザリンコンプレキリン水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例10】
【0070】
次に、本発明の実施例10の浸水インジケート方法を説明する。
まず、硫酸酸性とした過マンガン酸カリウムとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を3価鉄イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、水酸化鉄〔Fe(OH)3 〕を水で溶解した水酸化鉄水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0071】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所において過マンガン酸カリウムと3価鉄イオンとが反応して2価のマンガンイオンを生成して過マンガン酸カリウムの紫色を脱色するので、脱色箇所を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【実施例11】
【0072】
次に、本発明の実施例11の浸水インジケート方法を説明する。
まず、クロム酸カリウムとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を鉛イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、塩化鉛(PbCl2 )を水で溶解した塩化鉛水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0073】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてクロム酸カリウムと鉛イオンとが反応して黄色の反応生成物のクロム酸鉛(PbCrO4 )を生成するので、このクロム酸鉛(PbCrO4 )を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0074】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に塩化鉛(PbCl2 )とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、クロム酸カリウム水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例12】
【0075】
次に、本発明の実施例12の浸水インジケート方法を説明する。
まず、フェノールフタレインとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を水酸化ナトリウム(NaOH)を水で溶解した水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0076】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてフェノールフタレインと水酸基とが反応して、PH≒8.0でラクトン環が開いてピンク色に発色し、PH≒10.0でさらに一つのフェノールがアニオンとなり濃いピンク色は発生するので、この発色反応を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0077】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に水酸化ナトリウムとグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、フェノールフタレイン水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例13】
【0078】
次に、本発明の実施例13の浸水インジケート方法を説明する。
まず、アンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体、例えば、塩化アンモニウム(NH4 Cl)とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話をニッケルイオンを含む化合物或いは錯体、例えば、硫酸ニッケル(NiSO4 ・6H2 O)を水で溶解した硫酸ニッケル水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0079】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてアンモニウムイオンとニッケルイオンとが反応して、青色の反応生成物のヘキサアンモンニッケル(II)(〔Ni(NH3 6 2+)を生成するので、このヘキサアンモンニッケル(II)を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0080】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に硫酸ニッケル(NiSO4 ・6H2 O)等のニッケルイオンを含む化合物或いは錯体とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、塩化アンモニウム水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例14】
【0081】
次に、本発明の実施例14の浸水インジケート方法を説明する。
まず、アンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体、例えば、塩化アンモニウム(NH4 Cl)とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を銅イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、塩化銅(CuCl2 )を水で溶解した塩化銅水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0082】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてアンモニウムイオンと銅イオンとが反応して、青色の反応生成物のテトラアミン銅(II)(〔Cu(NH3 4 2+)を生成するので、このテトラアミン銅(II)を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0083】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に塩化銅(CuCl2 )等の銅イオンを含む化合物或いは錯体とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、塩化アンモニウム水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例15】
【0084】
次に、本発明の実施例15の浸水インジケート方法を説明する。
まず、水酸基を含む化合物或いは錯体、例えば、水酸化ナトリム(NaOH)とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を鉄イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、硫酸鉄(II)7水和物(FeSO4 ・7H2 O)を水で溶解した硫酸鉄水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0085】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてアンモニウムイオンと鉄イオンとが反応して、緑色の反応生成物の水酸化鉄(II)〔Fe(OH)2 〕を生成するので、この水酸化鉄(II)を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0086】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に硫酸鉄(II)7水和物(FeSO4 ・7H2 O)等の鉄イオンを含む化合物或いは錯体とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例16】
【0087】
次に、本発明の実施例16の浸水インジケート方法を説明する。
まず、鉛イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、硫酸鉛(PbSO4 )とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を硫化物イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、硫化水素(H2 S)を水で溶解した硫化水素水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0088】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所において鉛イオンと硫化物イオンとが反応して、黒色の反応生成物の硫化鉛PbSを生成するので、この硫化鉛を検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0089】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に硫化水素(H2 S)等の硫化物イオンを含む化合物或いは錯体とグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、硫酸鉛水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例17】
【0090】
次に、本発明の実施例17の浸水インジケート方法を説明する。
まず、ナトリウムフェノキシドとグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話を塩化ベンゼンジアゾニウムを水で溶解した塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0091】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてナトリウムフェノキシドと塩化ベンゼンジアゾニウムとが反応して、橙赤色の反応生成物のp−フェニルアゾフェノールを生成するので、このp−フェニルアゾフェノールを検出することによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0092】
なお、この場合、上記の実施例3と同様に塩化ベンゼンジアゾニウムとグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、ナトリウムフェノキシド水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【実施例18】
【0093】
次に、本発明の実施例18の浸水インジケート方法を説明する。
まず、鉄イオンを含む化合物或いは錯体、例えば、フェリシアン化カリウム(赤血塩:K3 〔Fe(CN)6 〕)とグリセリンを混合して浸水インジケータを作製し、この浸水インジケータを携帯電話の筐体内部に塗布したのち、携帯電話をルミノール水溶液中に浸漬して変色を判定する。
【0094】
この防水試験において、浸水が発生した場合には、浸水箇所においてルミノールがフェリシアン化カリウムの触媒作用により水と反応して、3−アミノフタル酸を生成するので、ブラックライト(紫外線)下に晒し、青白色の蛍光発光箇所をインジケートすることによって、進入箇所及び浸水経路を特定することが可能になる。
【0095】
なお、この場合、上記の実施例3と同様にルミノールとグリセリンにより浸水ジンジケータを作製して、フェリシアン化カリウム水溶液中に浸漬しても同様の結果が得られる。
【0096】
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明は各実施例に記載した構成及び条件に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上記の各実施例においては、浸水インジケータを定着した評価対象物を水或いは水溶液中に浸漬しているが、浸漬する代わりに水或いは水溶液を評価対象物の表面に噴霧しても良いものである。
【0097】
また、上記の各実施例においては、浸水インジケータにグリセリンを加えて粘性を増して定着性を高めているが、粘調剤はグリセリンに限られるものではなく、ポリエチレングリコールを用いても良いものであり、或いは、グリセリンとポリエチレングリコールとを混合して用いても良いものである。
【0098】
また、上記の各実施例においては、浸水インジケータに粘調剤のみ添加しているが、粘調剤の代わりにトリエタノールアミン等の有機溶剤を混合しても良いものであり、或いは、粘調剤と有機溶剤とを併せて用いても良いものである。
【0099】
また、上記の実施例1乃至実施例3においては塩素イオン源としてNaClを用いているが他の塩化化合物を用いても良いものであり、さらには、臭素化合物或いはフッ素化合物等のハロゲン化合物を用いても良いものである。
【0100】
また、上記の実施例4或いは実施例5においてはAgNO3 或いは1,5−ジフェニルカルボノヒドラジドと反応する材料としてクロム酸カリウムを用いているが、クロム酸カリウムの代わりに重クロム酸カリウム(K2 Cr2 7 )を用いても良いものである。
【0101】
また、上記の実施例10においては、脱色反応を利用するために3価鉄イオンを含む化合物或いは錯体を用いているが、塩化水素(HCl)等の塩素イオンを含む化合物或いは錯体、或いは、ヨウ化水素(HI)等のヨウ素イオンを含む化合物或いは錯体を用いても良いものである。
【0102】
また、上記の実施例14或いは実施例15においては、銅イオン或いは鉄イオンと反応する材料として、アンモニウムイオンを含む化合物又は錯体を用いているが、アンモニウムイオンを含む化合物又は錯体の代わりに水酸化ナトリウムを用いても良いものである。
【0103】
また、上記の実施例16においては、硫化物イオンと反応する材料として、鉛イオンを含む化合物又は錯体を用いているが、鉛イオンを含む化合物又は錯体の代わりにカドミウムイオンを含む化合物又は錯体、例えば、塩化カドミウム(CdCl2 )を用いても良いものである。
【0104】
また、上記の各実施例の説明においては、評価対象物を携帯電話としているが、携帯電話が単なる一例であることはいうまもなく、モバイルPC等の人が野外環境で使用することの多い他の電子機器の浸水性能評価にも適用されるものである。
【0105】
或いは、輸送中の浸水検出、例えば、湿気・結露を嫌う精密機械設備や半導体部品を含む電子機器の輸送用梱包時に本方式を採用することで、輸送、特に、空輸や海上輸送時に起きる浸水、結露の有無性能を評価することができる。
【0106】
或いは、水分・湿気を嫌う薬剤、食品に本インジケート方式を採用することによって、薬剤、食品容器の浸水性能評価を行うことができる。
【0107】
或いは、建屋家屋や船舶等の防水性能確認に本方式を採用することによって、建屋家屋や船舶等の浸水性能評価を行うことが可能になる。
【0108】
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料の少なくとも一方の材料と、粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有することを特徴とする浸水インジケータ。
(付記2) 上記第1の材料が硝酸銀であり、上記第2の材料が塩素化合物、臭素化合物、或いは、フッ素化合物のいずれかであることを特徴とする付記1記載の浸水インジケータ。
(付記3) 上記第1の材料と第2の材料とを含有するとともに、第2の材料に対する第1の材料の重量比が、1/10以上であることを特徴とする付記2記載の浸水インジケータ。
(付記4) 上記第1の材料が硝酸銀であり、上記第2の材料がクロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムのいずれかであることを特徴とする付記1記載の浸水インジケータ。(付記5) 上記粘調剤として、グリセリン或いはポリエチレングリコールの少なくとも一方を用いたことを特徴とする付記1乃至4のいずれれか1に記載の浸水インジケータ。(付記6) 互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料の一方の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する浸水インジケータ2を評価対象物1の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、前記評価対象物1を前記第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液3中に浸漬、もしくは当該水溶液3を散布して、水分侵入箇所の変色を判定することを特徴とする浸水インジケート方法。
(付記7) 互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する浸水インジケータ2を評価対象物1の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、前記評価対象物1を水中に浸漬、もしくは水を散布して、水分侵入箇所の変色を判定することを特徴とする浸水インジケート方法。
(付記8) 上記第1の材料が硝酸銀であり、上記第2の材料が塩素化合物、臭素化合物、或いは、フッ素化合物のいずれかであることを特徴とする付記6または7に記載の浸水インジケート方法。
(付記9) 上記第1の材料が硝酸銀であり、上記第2の材料がクロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムのいずれかであることを特徴とする付記6または7に記載の浸水インジケート方法。
(付記10) 上記第1の材料が1,5−ジフェニルカルボノヒドラジドであり、上記第2の材料がクロム酸カリウム或いは重クロム酸カリウムのいずれかであることを特徴とする付記6記載の浸水インジケート方法。
(付記11) 上記第1の材料がアンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がフェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(III ) 酸ナトリウムであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記12) 上記第1の材料が亜硝酸イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がスルファニルアミド・ナフチルエチレンジアミンであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記13) 上記第1の材料がリン酸イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がモリブデン酸であることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記14) 上記第1の材料がフッ素イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がランタン−アリザリンコンプレキリンであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記15) 上記第1の材料が3価鉄イオン、塩素イオン、或いは、ヨウ素イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料が硫酸酸性にした過マンガン酸カリウムであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記16) 上記第1の材料が鉛イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がクロム酸カリウムであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記17) 上記第1の材料が水酸化ナトリウムであり、上記第2の材料がフェノールフタレインであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記18) 上記第1の材料がニッケルイオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がアンモニウムイオンを含む化合物或いは錯体であることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記19) 上記第1の材料が銅イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がアンモニウムイオンを含む化合物又は錯体、或いは、水酸化ナトリウムのいずれかであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記20) 上記第1の材料が鉄イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料がアンモニウムイオンを含む化合物又は錯体、或いは、水酸化ナトリウムのいずれかであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記21) 上記第1の材料が硫化物イオンを含む化合物或いは錯体であり、上記第2の材料が鉛イオン或いはカドミウムイオンを含む化合物或いは錯体であることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記22) 上記第1の材料が塩化ベンゼンジアゾニウムであり、上記第2の材料がナトリウムフェノキシドであることを特徴とする付記6に記載の浸水インジケート方法。
(付記23) 水との反応により蛍光を発する第1の材料と前記第1の材料の反応を促進する触媒作用を有する第2の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する浸水インジケータ2を評価対象物1の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、前記評価対象物1を前記第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液3中に浸漬、もしくは当該水溶液3を散布して、水分侵入箇所の変色を判定することを特徴とする浸水インジケート方法。
(付記24) 上記第1の材料がルミノールであり、上記第2の材料が鉄イオンを含む化合物或いは錯体であることを特徴とする付記23に記載の浸水インジケート方法。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の活用例としては、携帯電話やモバイルPCなど、人が海等の野外環境で使用することの多い電子機器の浸水性能評価が典型的なものである、輸送中の浸水検出、薬剤、食品容器の水分浸入性評価、建屋屋内の防水性能評価、或いは、船舶内部の防水性能評価等にも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】浸水による変色状態の浸水インジケータ中のNaCl/AgNO3 比依存性の説明図である。
【符号の説明】
【0111】
1 評価対象物
2 浸水インジケータ
3 水溶液
4 変色部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料の少なくとも一方の材料と、粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有することを特徴とする浸水インジケータ。
【請求項2】
上記第1の材料が硝酸銀であり、上記第2の材料が塩素化合物、臭素化合物、或いは、フッ素化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の浸水インジケータ。
【請求項3】
互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料の一方の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する浸水インジケータを評価対象物の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、前記評価対象物を前記第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液中に浸漬、もしくは当該水溶液を散布して、水分侵入箇所の変色を判定することを特徴とする浸水インジケート方法。
【請求項4】
互いに反応して不揮発性の有色生成物を生成する第1の材料と第2の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する浸水インジケータを評価対象物の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、前記評価対象物を水中に浸漬、もしくは水を散布して、水分侵入箇所の変色を判定することを特徴とする浸水インジケート方法。
【請求項5】
水との反応により蛍光を発する第1の材料と前記第1の材料の反応を促進する触媒作用を有する第2の材料の一方の材料と粘調剤もしくは有機溶剤の少なくとも一方を含有する浸水インジケータを評価対象物の防水性能をインジケートしたい部分に定着するとともに、前記評価対象物を前記第1の材料と第2の材料の内の他方を水に溶解した水溶液中に浸漬、もしくは当該水溶液を散布して、水分侵入箇所の変色を判定することを特徴とする浸水インジケート方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−284296(P2006−284296A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102755(P2005−102755)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】