説明

浸漬ノズル支持交換機構

【課題】本発明は、各クランパーの各全幅寸法を浸漬ノズルのフランジ径寸法より小とし、各クランパーの位置を規制し、位置決めライナーを設けることにより、新浸漬ノズルの交換を円滑とし、簡単で低コストの構成とすることを目的とする。
【解決手段】本発明による浸漬ノズル支持交換機構は、各クランパー(20,21)の各全幅寸法(L3)を浸漬ノズル(9)のフランジ径寸法(L1)より小とし、位置決め部材(26)によって各クランパー(20,21)の位置決めを行い、位置決めライナー(6)によって新浸漬ノズル(9A)の上面(43)を案内し、新浸漬ノズル(9A)の水平移動時の高さ位置を規制する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸漬ノズル支持交換機構に関し、特に、各クランパーの各全幅寸法を浸漬ノズルのフランジ径寸法より小とし、位置決め部材でクランパーの位置を規制すると共に位置決めライナーによって新浸漬ノズルの高さ位置を規制することにより、簡単で低コストの構造でかつ耐火物の大きさと重量を減らすことができるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の浸漬ノズル支持交換機構としては、例えば、特許文献1から3で示される構成を挙げることができる。
すなわち、特許文献1で示される第1従来例においては、浸漬ノズルが接する上部耐火物の接合平面を浸漬ノズルの接合平面より大きくし、交換用の新しい新浸漬ノズルは、挿入位置で該上部耐火物の接合面の下に配置され、交換の為スライドされる時に揺動レバーで該上部耐火物接合面に押圧されたまま出湯口までスライドされる。
また、この揺動レバーは浸漬ノズル上部フランジとほぼ同じ幅に複数個配置されている。
【0003】
また、特許文献2で示される第2従来例においては、新しい浸漬ノズルは、挿入位置から鋳造位置まで移動する間その上部ノズルに接触しないように押圧力付勢機構を設けている。この付勢機構は、浸漬ノズルを押圧する鍵盤の高さ位置を調整する目的でスライドフレームが設置され、該スライドフレームは新浸漬ノズルの動きに合わせて動くことにより、複数個の鍵盤の高さがそれぞれ調整され、浸漬ノズルが上部ノズルに接触しないように構成されている。
また、この場合、浸漬ノズルと上部耐火物の接合面はほぼ同じ大きさに設計されている。
この機構は、新しい浸漬ノズルの接合面を傷つけない目的で、上部耐火物に接触させないで出湯口まで移動するものである。
【0004】
また、特許文献3で示される第3従来例においては、新しい浸漬ノズルは、挿入位置から鋳造位置まで移動する間その上部ノズルに接触しないように押圧手段により付勢された揺動アームを設けている。この揺動アームは、第1、第2の突起により、浸漬ノズル保持ケースに保持された浸漬ノズルのスライド位置、高さ位置と押圧力を制御している。
また、この場合、浸漬ノズルと上部耐火物の接合面はほぼ同じ大きさに設計されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3009112号公報
【特許文献2】特許第3781371号公報
【特許文献3】特許第3834741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の浸漬ノズル支持交換機構は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、
(1) 第1従来例
浸漬ノズルが接する上部耐火物の接合面を大きくする必要があり、耐火物の重量が重く作業性が悪い。また、重量が重く、且つ、接合面が大きく製造過程で平面精度を確保するため、耐火物コストも高くなる。
(2) 第2従来例及び第3従来例
浸漬ノズルの動きを制御するための押圧力付勢機構が複雑で、装置コストが高く、また、メンテナンスコストも高くなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による浸漬ノズル支持交換機構は、タンディシュからモールドへの溶融金属流量を制御するスライドバルブ装置の下部フレーム側に設けられ、鋳造中の浸漬ノズルを上部耐火物に押し付けるため前記浸漬ノズルの両側に位置する第1、第2クランパーと、前記下部フレームの支持突起に設けられ前記各クランパーを上方へ付勢するためのバネと、前記浸漬ノズルの水平方向の移動を案内するため前記下部フレーム側のフレームへ設けられた二対のガイドレールと、前記浸漬ノズルを前記水平方向に押すための押出し装置と、よりなる浸漬ノズル支持交換機構において、前記第1、第2クランパーの各全幅寸法を前記浸漬ノズルのフランジのフランジ径寸法より小とし、前記支持突起に垂下して設けられた位置決め部材を前記第1、第2クランパーに係合させて前記各クランパーの位置決めを行い、前記下部フレームの下面に設けられた位置決めライナーに前記浸漬ノズルの次の新浸漬ノズルの上面を案内させることにより、前記新浸漬ノズルの水平移動時の高さ位置を規制する構成であり、また、前記第1、第2クランパーの各クランパー片は、ピンを介して軸支され、前記位置決め部材は前記各クランパー片の後部に形成された貫通孔を貫通し、前記位置決め部材の先端に形成された膨大部が前記後部と係合している構成であり、また、前記第1、第2クランパーの全幅寸法の幅中心を示すクランパー中心は、前記フランジ径寸法の幅中心を示すフランジ中心と一致し、前記クランパー中心から上流側の上流端迄の第1配置幅と前記フランジ径寸法は、L1:L2=1:0.2〜0.4である構成であり、また、前記第1、第2クランパーの各クランパー片の先端上部は、所定のRからなる曲面形状とした構成であり、また、前記第1、第2クランパーの各クランパー片のうち、最も挿入側に位置するクランパー片のみ又は全てのクランパー片の先端上部は、斜面形状とした構成であり、また、タンディシュからモールドへの溶融金属流量を制御するストッパー装置の下流側に設けられ、鋳造中の浸漬ノズルを上部耐火物に押し付けるため前記浸漬ノズルの両側に位置する第1、第2クランパーと、前記下部フレームの支持突起に設けられ前記各クランパーを上方へ付勢するためのバネと、前記浸漬ノズルの水平方向の移動を案内するため前記下部フレーム側のフレームへ設けられた二対のガイドレールと、前記浸漬ノズルを前記水平方向に押すための押出し装置と、よりなる浸漬ノズル支持交換機構において、前記第1、第2クランパーの各全幅寸法を前記浸漬ノズルのフランジのフランジ径寸法より小とし、前記支持突起に垂下して設けられた位置決め部材を前記第1、第2クランパーに係合させて前記各クランパーの位置決めを行い、前記下部フレームの下面に設けられた位置決めライナーに前記浸漬ノズルの次の新浸漬ノズルの上面を案内させることにより、前記新浸漬ノズルの水平移動時の高さ位置を規制する構成であり、また、前記第1、第2クランパーの各クランパー片は、ピンを介して軸支され、前記位置決め部材は前記各クランパー片の後部に形成された貫通孔を貫通し、前記位置決め部材の先端に形成された膨大部が前記後部と係合している構成であり、また、前記第1、第2クランパーの全幅寸法の幅中心を示すクランパー中心は、前記フランジ径寸法の幅中心を示すフランジ中心と一致し、前記クランパー中心から上流側の上流端迄の第1配置幅と前記フランジ径寸法は、L1:L2=1:0.2〜0.4である構成であり、また、前記第1、第2クランパーの各クランパー片の先端上部は、所定のRからなる曲面形状とした構成であり、また、前記第1、第2クランパーの各クランパー片のうち、最も挿入側に位置するクランパー片のみ又は全てのクランパー片の先端上部は、斜面形状とした構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による浸漬ノズル支持交換機構は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、
請求項1において、
タンディッシュからモールドへの溶融金属流量を制御するスライドバルブ装置の下部フレーム側に設けられ、鋳造中の浸漬ノズルを上部耐火物に押し付けるため前記浸漬ノズルの両側に位置する第1、第2クランパーと、前記下部フレームの支持突起に設けられ前記各クランパーを上方へ付勢するためのバネと、前記浸漬ノズルの水平方向の移動を案内するため前記下部フレーム側へ設けられた二対のガイドレールと、前記浸漬ノズルを前記水平方向に押すための押出し装置と、よりなる浸漬ノズル支持交換機構において、
前記第1、第2クランパーの各全幅寸法を前記浸漬ノズルのフランジのフランジ径寸法より小とし、前記支持突起に垂下して設けられた位置決め部材を前記第1、第2クランパーに係合させて前記各クランパーの位置決めを行い、前記下部フレームの下面に設けられた位置決めライナーに前記浸漬ノズルの次の新浸漬ノズルの上面を摺接させることにより、前記新浸漬ノズルの水平移動時の高さ位置を規制しているため、機構の構成が簡素化及び小型化され、耐火物コストも安くなり、挿入される浸漬ノズルの移動も円滑となる。
また、請求項2において、前記第1、第2クランパーの各クランパー片は、ピンを介して軸支され、前記位置決め部材は前記各クランパー片の後部に形成された貫通孔を貫通し、前記位置決め部材の先端に形成された膨大部が前記後部と係合していることにより、クランパーの各クランパー片の位置決め及び浸漬ノズルのフランジへの押圧が一定となり、安定した浸漬ノズルへの付勢が可能となる。
また、請求項3において、前記第1、第2クランパーの前記全幅寸法の幅中心を示すクランパー中心は、前記フランジ径寸法の幅中心を示すフランジ中心と一致し、前記クランパー中心から上流側の上流端迄の第1配置幅と前記フランジ径寸法は、L1:L2=1:0.2〜0.4であることにより、新浸漬ノズルが上部耐火物に接触することなく上部耐火物の下に円滑に挿入することができる。
また、請求項4において、前記第1、第2クランパーの各クランパー片の先端上部は、所定のRからなる曲面形状としたことにより、浸漬ノズル及び新浸漬ノズル共、この曲面の先端上部を介して円滑に移動することができる。
また、請求項5において、前記第1、第2クランパーの各クランパー片のうち、最も入側に位置するクランパー片のみ又は全てのクランパー片の先端上部は、斜面形状としたことにより、浸漬ノズル及び新浸漬ノズル共、この斜面の先端上部を介して円滑に移動することができる。
請求項6において、
タンディッシュからモールドへの溶融金属流量を制御するストッパー装置の下流側に設けられ、鋳造中の浸漬ノズルを上部耐火物に押し付けるため前記浸漬ノズルの両側に位置する第1、第2クランパーと、前記下部フレームの支持突起に設けられ前記各クランパーを上方へ付勢するためのバネと、前記浸漬ノズルの水平方向の移動を案内するため前記下部フレーム側へ設けられた二対のガイドレールと、前記浸漬ノズルを前記水平方向に押すための押出し装置と、よりなる浸漬ノズル支持交換機構において、
前記第1、第2クランパーの各全幅寸法を前記浸漬ノズルのフランジのフランジ径寸法より小とし、前記支持突起に垂下して設けられた位置決め部材を前記第1、第2クランパーに係合させて前記各クランパーの位置決めを行い、前記下部フレームの下面に設けられた位置決めライナーに前記浸漬ノズルの次の新浸漬ノズルの上面を摺接させることにより、前記新浸漬ノズルの水平移動時の高さ位置を規制しているため、機構の構成が簡素化及び小型化され、耐火物コストも安くなり、挿入される浸漬ノズルの移動も円滑となる。
また、請求項7において、前記第1、第2クランパーの各クランパー片は、ピンを介して軸支され、前記位置決め部材は前記各クランパー片の後部に形成された貫通孔を貫通し、前記位置決め部材の先端に形成された膨大部が前記後部と係合していることにより、クランパーの各クランパー片の位置決め及び浸漬ノズルのフランジへの押圧が一定となり、安定した浸漬ノズルへの付勢が可能となる。
また、請求項8において、前記第1、第2クランパーの前記全幅寸法の幅中心を示すクランパー中心は、前記フランジ径寸法の幅中心を示すフランジ中心と一致し、前記クランパー中心から上流側の上流端迄の第1配置幅と前記フランジ径寸法は、L1:L2=1:0.2〜0.4であることにより、新浸漬ノズルが上部耐火物に接触することなく上部耐火物の下に円滑に挿入することができる。
また、請求項9において、前記第1、第2クランパーの各クランパー片の先端上部は、所定のRからなる曲面形状としたことにより、浸漬ノズル及び新浸漬ノズル共、この曲面の先端上部を介して円滑に移動することができる。
また、請求項10において、前記第1、第2クランパーの各クランパー片のうち、最も入側に位置するクランパー片のみ又は全てのクランパー片の先端上部は、斜面形状としたことにより、浸漬ノズル及び新浸漬ノズル共、この斜面の先端上部を介して円滑に移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、各クランパーの各全幅寸法を浸漬ノズルのフランジ径寸法より小とし、位置決め部材でクランパーの位置を規制すると共に位置決めライナーによって新浸漬ノズルの高さ位置を規制することにより、簡単に低コストの構造でかつ耐火物の大きさと重量を減らすことができる浸漬ノズル支持交換機構を提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明による浸漬ノズル支持交換機構の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものは、周知のスライドバルブ装置であり、このスライドバルブ装置1の下部フレーム2に形成された開口2aには、出湯口4に連通する上部耐火物3が設けられている。
【0011】
前記下部フレーム2の下面には、挿入側5に向けてテーパ面5aが形成された位置決めライナー6が設けられると共に、この下部フレーム2の下面から垂下して形成されたフレーム7の下部には、二対の入側、出側ガイドレール8、8’が設けられ、この各ガイドレール8、8’上には、浸漬ノズル9及び次の交換用の新しい新浸漬ノズル9Aがフランジ12を介して押出し装置10の押し部11によって水平方向に押出し移動できるように構成されている。
前記新浸漬ノズル9Aは挿入位置14に位置し、前記浸漬ノズル9は排出位置15で排出することができるように構成されており、前記押出し装置10は前記スライドバルブ装置1又は図示しないタンディッシュ等の溶融金属容器に着脱自在に取付けることができる。尚、浸漬ノズル9,9Aの上面43の接合面と上部耐火物3の下部接合面3aとは同等の大きさに構成されている。
【0012】
前記フレーム7の下面には、前記各ガイドレール8、8’の長手方向と直交する方向に沿って前記浸漬ノズル9を挟む状態で対向して一対の第1、第2クランパー20,21が配設されている。
前記各クランパー20,21は、各々複数個、すなわち、三個のクランパー片20a,21aが互いに並設された構成であり、各クランパー片20a,21aは、図4に示されるように、その先端上部22が前記フランジ12のフランジ下面12aに当接及び摺接することができるように構成されている。
【0013】
前記各クランパー片20a,21aは、前記下部フレーム2に支持されたピン22によって揺動自在に軸支されており、前記下部フレーム2に垂下して設けられL字状をなす支持突起23に設けられた圧縮型のバネ24が前記クランパー片20a,21aの後部30を押すため、前記先端上部22が前記フランジ12のフランジ下面12aに当接して付勢されるため、前記フランジ12は上部耐火物3の下部接合面3aに当接するように構成されている。
【0014】
前記各クランパー片20a,21aの後部30には貫通孔25が形成され、前記支持突起23から下方に垂下する棒状をなす位置決め部材26が前記貫通孔25を貫通し、この位置決め部材26の下端に設けられたフランジ状の膨大部27がクランパー片21a(20a)の下面外に位置していることにより、前記位置決め部材26における各クランパー片20a,21aの後部30の抜け止めがなされ、この膨大部27により各クランパー片21a(20a)の揺動時のフランジ下面12aに対する付勢力の規制すなわちストッパの作用をなすように構成されている。
尚、図4では、第2クランパー21のみを断面で示し、第1クランパー20は省略しているが、前記第1クランパー20についても、図4と同じ断面構造で構成されている。
【0015】
また、前述の図4及び図5で示される位置決め部材26及びストッパとしての膨大部27の他の形態として図8から図11で示される形態を示すことができる。
尚、図4及び図5と同一部分には同一符号を付しその説明は省略すると共に、異なる部分についてのみ説明する。
すなわち、前記位置決め部材26は図9で示されるように、前記支持突起23に接続された凹状部材26Aと、この凹状部材26Aの上部をL字状をなす前記支持突起23によって閉状態に固定するためのボルト26Bと、からなり、この凹状部材26Aの内底面26Dと前記支持突起23の下面23Eとの間には高さHの空間26Fが形成されていると共に、前記位置決め部材26は図4の場合と同様に、前記支持突起23から一体状に下方へ垂下して形成されている。尚、図9では片側のみ示しているが、他方も同様に構成されている。
【0016】
前述の構成において、前記各クランパー片21a(20a)の各後部30が前記空間26F内に位置した状態で前記位置決め部材26に係合し、この空間26Fの高さH内の内底面26Dにおいて前記各後部30の回動動作の規制が前述の図4の形態の動作と同様に行われる。
また、図10は、図9の形態の他の形態を示すもので、前記内底面26Dの一部の高さHを高さH’のように変更することによりクランパー片21a,(20a)の回動範囲の規制を変える構成とすることもできる。
【0017】
前記第1、第2クランパー20,21の各全幅寸法L3の幅中心を示すクランパー中心40は、フランジ12のフランジ径寸法L1の幅中心を示すフランジ中心41と一致し、前記クランパー中心40から各クランパー20,21の挿入側5に向けての上流側の上流端42迄の第1配置幅L2と前記フランジ径寸法L1との関係は、新しく挿入して移動する新浸漬ノズル9Aの上面43が上部耐火物3に接触することなくその下に円滑に入る前提として、L1:L2=1:0,2〜0.4(但し、最適値としては、L1:L2=1:0.3である)が可能であり、図1に示される下流端44側の第2配置幅L2’は特に制限はないが、L1/2以下で好適である。すなわち、前述の構成により、新浸漬ノズル9Aが出湯口4まで移動する場合、上部耐火物3は接触することなく上部耐火物3の下に円滑に入ることができる。
【0018】
前記第1、第2クランパー20,21の各クランパー片20a,21aの先端の先端上部29は、図2で示されるように、所定のRを有するR形状、すなわち、曲面形状で形成されており、この形状は、図6及び図7に示されるように、最も前記挿入側5に位置する1個のクランパー片20a,21aのみ、又は全てのクランパー片20a,21aの前記先端上部22を、前記挿入側5へ向けて下がる状態で形成された斜面形状とすることもできる。
【0019】
次に、前述の構成において、本発明による浸漬ノズル支持交換機構を作動させる場合について説明する。
図1の状態では、図示しないタンディッシュからモールドへの鋳造中の浸漬ノズル9を示しており、出湯口4に連通する上部耐火物3の下部接合面3aに浸漬ノズル9が各クランパー20,21によって上方へ付勢された状態である。
【0020】
前述の状態において、前記上部耐火物3に対して、浸漬ノズル9から新浸漬ノズル9Aに交換する場合、ガイドレール8と位置決めライナー6との間に新浸漬ノズル9Aを挿入し、押出し装置10によりこの新浸漬ノズル9Aを図1において右側に押すと、図2で示されるように、移動する新浸漬ノズル9Aに押されて浸漬ノズル9が前記各クランパー20,21上を摺動する。
前記押出し装置10により、引き続いて前記新浸漬ノズル9Aを押すと、浸漬ノズル9は上部耐火物3との対応からはずれ、排出位置15から下方へ排出されると共に、新浸漬ノズル9Aが上部耐火物3と対応して各クランパー20,21によって上方へ押圧され、交換作業が完了する。
【0021】
前述の浸漬ノズル9の交換において、前記ガイドレール8上を移動する前記新浸漬ノズル9Aが上部耐火物3の出湯口4まで移動する場合、その上面43が上部耐火物3の下部接合面3aより上方に行かないように、前記位置決めライナー6の内面6bはこの下部接合面3aと同一か又はわずかに下方に位置するように配設されているため、新浸漬ノズル9Aの上面43における損傷等の発生を防止した状態でノズル交換を行うことができる。
【0022】
また、前述の浸漬ノズル9の交換において、前記各クランパー20,21の各クランパー片20a,21aの先端上部22が、R形状の曲面形状又は斜面形状であると共に、前述のように各クランパー20,21の全幅寸法L3、第1配置幅L2、浸漬ノズル9のフランジ径寸法L1との配置関係を設定しているため、新浸漬ノズル9Aが上部耐火物3に接触することなく、上部耐火物3の下に円滑に入ることができる。
【0023】
また、図12は本発明の図1の別の形態を示すもので、図1のスライドバルブ装置1を例えば特開平5−200504号公報等で周知のストッパー装置51に代えた構成であり、図1と異なり構成のみ説明し、図1と同一部分は同一符号を付し、その説明は省略する。
尚、図2から図11についても、図12のように、スライドバルブ装置1をストッパー装置51に代えた以外の構成については全く同一であるため、図2から図11の構成を援用するものとする。
図12において、前記ストッパー装置51は、下部フレーム52に保持された上部耐火物53上に設けられ出湯口4を有する上ノズル54と、前記上ノズル54の出湯口4に挿入及び離脱自在に設けられて前記出湯口4を開閉自在として溶融金属流量を制御するための棒状のストッパー55と、から構成され、前記上部耐火物53は前記下部フレーム52の上面に設けられたリング体56によって下方へ付勢されている。
尚、図示しないタンディッシュからモールドへの溶融金属流量を制御するための前記ストッパー装置51の下流側に、浸漬ノズル9を支持交換するための第1、第2クランパー20、21等が前述の図2及び図2から図11に示されるように構成され、その浸漬ノズル9の交換動作については、前述の図2から図11に示される構成と同じであるため、ここではその動作説明は援用することとして再度の説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による浸漬ノズル支持交換機構を示す断面図である。
【図2】図1における浸漬ノズルの交換開始状態を示す説明図である。
【図3】図2の交換経過状態を示す説明図である。
【図4】図1の側断面図である。
【図5】図4の底面図である。
【図6】図1の他の形態を示す断面図である。
【図7】図6における浸漬ノズルの交換開始状態を示す説明図である。
【図8】図4の他の形態を示す断面図である。
【図9】図8の位置決め部材を示す側面図である。
【図10】図9の他の形態を示す構成図である。
【図11】図8の底面図である。
【図12】本発明による浸漬ノズル支持交換機構の他の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 スライドバルブ装置
2 下部フレーム
2a 開口
3 上部耐火物
3a 下部接合面
4 出湯口
5 挿入側
5a テーパ面
6 位置決めライナー
7 フレーム
8 入側ガイドレール
8’ 出側ガイドレール
9 浸漬ノズル
9A 新浸漬ノズル
10 押出し装置
12 フランジ
12a フランジ下面
14 挿入位置
15 排出位置
20 第1クランパー
21 第2クランパー
20a,21a クランパー片
22 ピン
23 支持突起
24 バネ
25 貫通孔
26 位置決め部材
27 膨大部
29 先端上部
30 後部
40 クランパー中心
41 フランジ中心
42 上流端
43 上面
L1 フランジ径寸法
L2 第1配置幅
L2’ 第2配置幅
L3 全幅寸法
51 ストッパー装置
52 下部フレーム
53 上部耐火物
54 上ノズル
55 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンディシュからモールドへの溶融金属流量を制御するスライドバルブ装置(1)の下部フレーム(2)側に設けられ、鋳造中の浸漬ノズル(9)を上部耐火物(3)に押し付けるため前記浸漬ノズル(9)の両側に位置する第1、第2クランパー(20,21)と、前記下部フレーム(2)の支持突起(23)に設けられ前記各クランパー(20,21)を上方へ付勢するためのバネ(24)と、前記浸漬ノズル(9)の水平方向の移動を案内するため前記下部フレーム(2)側のフレーム(7)へ設けられた二対のガイドレール(8,8')と、前記浸漬ノズル(9)を前記水平方向に押すための押出し装置(10)と、よりなる浸漬ノズル支持交換機構において、
前記第1、第2クランパー(20,21)の各全幅寸法(L3)を前記浸漬ノズル(9)のフランジ(12)のフランジ径寸法(L1)より小とし、前記支持突起(23)に垂下して設けられた位置決め部材(26)を前記第1、第2クランパー(20,21)に係合させて前記各クランパー(20,21)の位置決めを行い、前記下部フレーム(2)の下面に設けられた位置決めライナー(6)に前記浸漬ノズル(9)の次の新浸漬ノズル(9A)の上面(43)を案内させることにより、前記新浸漬ノズル(9A)の水平移動時の高さ位置を規制することを特徴とする浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項2】
前記第1、第2クランパー(20,21)の各クランパー片(20a,21a)は、ピン(22)を介して軸支され、前記位置決め部材(26)は前記各クランパー片(20a,21a)の後部(30)に形成された貫通孔(25)を貫通し、前記位置決め部材(26)の先端に形成された膨大部(27)が前記後部(30)と係合していることを特徴とする請求項1記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項3】
前記第1、第2クランパー(20,21)の全幅寸法(L3)の幅中心を示すクランパー中心(40)は、前記フランジ径寸法(L1)の幅中心を示すフランジ中心(41)と一致し、前記クランパー中心(40)から上流側の上流端(42)迄の第1配置幅(L2)と前記フランジ径寸法(L1)は、L1:L2=1:0.2〜0.4であることを特徴とする請求項1又は2記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項4】
前記第1、第2クランパー(20,21)の各クランパー片(20a,21a)の先端上部(29)は、所定のRからなる曲面形状としたことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項5】
前記第1、第2クランパー(20,21)の各クランパー片(20a,21a)のうち、最も挿入側(5)に位置するクランパー片(20a,21a)のみ又は全てのクランパー片(20a,21a)の先端上部(29)は、斜面形状としたことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項6】
タンディシュからモールドへの溶融金属流量を制御するストッパー装置(51)の下流側に設けられ、鋳造中の浸漬ノズル(9)を上部耐火物(3)に押し付けるため前記浸漬ノズル(9)の両側に位置する第1、第2クランパー(20,21)と、前記下部フレーム(2)の支持突起(23)に設けられ前記各クランパー(20,21)を上方へ付勢するためのバネ(24)と、前記浸漬ノズル(9)の水平方向の移動を案内するため前記下部フレーム(2)側のフレーム(7)へ設けられた二対のガイドレール(8,8')と、前記浸漬ノズル(9)を前記水平方向に押すための押出し装置(10)と、よりなる浸漬ノズル支持交換機構において、
前記第1、第2クランパー(20,21)の各全幅寸法(L3)を前記浸漬ノズル(9)のフランジ(12)のフランジ径寸法(L1)より小とし、前記支持突起(23)に垂下して設けられた位置決め部材(26)を前記第1、第2クランパー(20,21)に係合させて前記各クランパー(20,21)の位置決めを行い、前記下部フレーム(2)の下面に設けられた位置決めライナー(6)に前記浸漬ノズル(9)の次の新浸漬ノズル(9A)の上面(43)を案内させることにより、前記新浸漬ノズル(9A)の水平移動時の高さ位置を規制することを特徴とする浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項7】
前記第1、第2クランパー(20,21)の各クランパー片(20a,21a)は、ピン(22)を介して軸支され、前記位置決め部材(26)は前記各クランパー片(20a,21a)の後部(30)に形成された貫通孔(25)を貫通し、前記位置決め部材(26)の先端に形成された膨大部(27)が前記後部(30)と係合していることを特徴とする請求項6記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項8】
前記第1、第2クランパー(20,21)の全幅寸法(L3)の幅中心を示すクランパー中心(40)は、前記フランジ径寸法(L1)の幅中心を示すフランジ中心(41)と一致し、前記クランパー中心(40)から上流側の上流端(42)迄の第1配置幅(L2)と前記フランジ径寸法(L1)は、L1:L2=1:0.2〜0.4であることを特徴とする請求項6又は7記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項9】
前記第1、第2クランパー(20,21)の各クランパー片(20a,21a)の先端上部(29)は、所定のRからなる曲面形状としたことを特徴とする請求項6ないし8の何れかに記載の浸漬ノズル支持交換機構。
【請求項10】
前記第1、第2クランパー(20,21)の各クランパー片(20a,21a)のうち、最も挿入側(5)に位置するクランパー片(20a,21a)のみ又は全てのクランパー片(20a,21a)の先端上部(29)は、斜面形状としたことを特徴とする請求項6ないし8の何れかに記載の浸漬ノズル支持交換機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−190085(P2009−190085A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51799(P2008−51799)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000001971)品川白煉瓦株式会社 (112)
【Fターム(参考)】