説明

浸漬型中空糸膜モジュール

【課題】本発明は、拡張が容易で、設置に要する面積が小さいだけでなく、汚染防止性及び耐久性に優れた浸漬型中空糸膜モジュールに関するものである。
【解決手段】[I]透過水集水空間(5)と透過水出口(3)を有する、二つのモジュール本体、[II]前記モジュール本体の上端部と下端部に、前記モジュール本体の正面に対して垂直方向に連結されているモジュール支持管(17)、[III]前記モジュール本体に挿入されており、中空糸膜用空間(10)が形成されている、板状のモジュールヘッダー挿入層、[IV]散気口(4)及び散気管(11)が形成されており、前記モジュールヘッダー挿入層の次に前記モジュール本体内に挿入されている板状の散気層及び[V]前記モジュールヘッダー挿入層に挿入されているモジュールヘッダー、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水、汚水及び浄水などの水処理分野に適合する分離膜モジュールに関するものであり、より詳細には、大量の水処理に適合するように、多数の単位モジュールを一つのカートリッジに統合した浸漬型中空糸膜モジュールに関するものである。
【0002】
また、本発明は、拡張が容易であるだけでなく、設置に要する面積が少ないため、大規模の水処理に適合すると共に、モジュールの内部及び外部からの効率的な散気作用によって汚染防止が可能で、耐久性に優れた浸漬型中空糸膜モジュールに関するものである。
【0003】
更に本発明は、モジュール内の散気口をより経済的に製造することができるのみならず、散気効率が増加して大容量システムにも適用することができる非常に高性能な浸漬型中空糸膜モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0004】
最近、米国、ヨーロッパなどの先進国をはじめ、各国で、環境を重要視する声が増加するにつれて、水処理分野に膜工程を適用しようとする需要が増加している。
【0005】
膜工程は、自動運転の容易性、寿命及び処理水の水質の面ではその優秀性が認識されているが、他の先行技術と比較して経済性が劣るため、大規模な用途への適用はこれまで行われなかった。
【0006】
しかし、生活水準が益々向上し、健康及び生活の重要性が強調されるにつれて、膜工程のコストも低下し、その適用事例が増加している。
【0007】
水処理に使われる膜としては、チューブ型、中空糸型、フィルム型、スパイラル型などのように多様な形態の膜がある。その中でも、中空糸型の膜は、設置面積当たりの処理量が多く、水処理においては有利である反面、膜構造的に機械的強度が小さいため、円筒状ケースによってその膜が保護される形態のモジュールが一般的である。
【0008】
このような形態のモジュールは、廃水処理の場合、公知のように、膜表面に蓄積される不純物の効果的な除去が不可能であるので、ファウリングによって透過性能の低下が起こるという問題があった。一方、これを克服するためにケースのない浸漬型モジュールが考案されたが、膜の強度が十分でない場合、膜損傷によるシステム信頼度の低下が重大な問題として生じうる。更にこの場合、空気による散気作用が効率的になされない場合、依然としてファウリング問題が発生して、運転圧の上昇及び流量(フラックス)の低下という問題が生じうる。
【0009】
浸漬型モジュールの透過性能の損失を最小化するためには、モジュールの逆洗浄作用と共に、強力で効率的な散気作用を通じて、膜に蓄積される不純物を除去しなければならない。この点に関し、各種の技術が公知となっている。
【0010】
例えば大韓民国特許第022807号(特許文献1)では、緩慢な散気条件下で膜汚染を防止するために、中空糸膜を円錐形に広げてU字型で折って固定したモジュールを提示している。
【0011】
しかし、このような場合、モジュールの体積が大きくなり、その構造上、処理容量を増加するためにモジュール同士を結合する際、作業が容易でないという短所があった。
【0012】
大韓民国特許第0236921号(特許文献2)に開示された浸漬型モジュールの場合、中空糸膜が、前記特許文献1とは異なり、U字型に曲げずにI字型に両端が固定された形態で、空気注入口と濾過水出口がモジュールの一方に連結されていることを特徴とする。
【0013】
このようなモジュール構造は、多数のモジュールを結合して処理容量を増加させる場合において、集水パイプと空気注入パイプの配置作業が非効率的になるという問題や、モジュールの一方に濾過水出口と空気注入口が共存するため、モジュールの製造時、作業性が落ちるという問題があった。
【0014】
特に、大容量の水処理を行う場合、中空糸膜の束が広く広がっている四角形状のモジュールは、円筒状のモジュールと比較し、モジュールの小さい設置面積に多数のモジュールを設置する際には有利である。
【0015】
ただし、このような形態のモジュールは、小さい設置面積でも多量の水処理が可能である長所がある反面、中空糸膜の束が高密度に集束されているため、不純物が蓄積し易くなり、ゆえに効率的な散気が行われなければならない。
【0016】
しかしながら、このような過程で膜に加えられる直接的な衝撃により、長期間の使用の後、膜の損傷によって処理水の水質低下が生じ、またモジュール部品間の連結部位の劣化によって漏水が生じうる。
【0017】
また、大規模の水処理において、処理容量に合うように多数のモジュールを結合する場合、効率的な配置が不可能で、設置面積の最小化が困難で、かつ結合が容易でないとの短所がある。
【0018】
また、経済性も考慮すべき問題である。モジュールの大量生産のためには、生産の際に各々の部品の原価を最小化するためにその構造はできるだけ単純でなければならず、また部品の材料なども考慮すべきである。即ち、生産の際、効率性と共に生産費用の最小化も考慮すべきである。これらの条件が経済性を左右することであり、経済性に優れたモジュールの製造技術が大量生産に適用可能な技術である。
【0019】
【特許文献1】大韓民国特許第022807号
【特許文献2】大韓民国特許第0236921号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、大容量の水処理が行われるように、モジュール自体の処理容量が大きいだけでなく、モジュール間の2次元的または3次元的な拡張が容易で、連結部を始めとするすべてのモジュール部品の最小化を通じて、長期使用時の連結部品の劣化による漏水を防止できると共に、モジュールの製造時、作業性及び経済性を最大化させることができる浸漬型モジュールを提供することを課題とする。
【0021】
また、本発明によるモジュールは、不純物の蓄積による流量減少や圧上昇を防止するための効果的な散気作用が行われるように、モジュール自体に装着された散気部を通して3面から気泡が発生して中空糸膜を揺することができる構造を有するのが望ましい。
【0022】
また、モジュールを経済的に製造するために、比較的原価の高い金属部品は、その使用を最少化するのが望ましい。
【0023】
換言すれば、散気作用のための散気管(11)も鋳型による製造が可能な材料で製造し、それによりモジュールを支持する支持管以外のすべての部品を鋳型製造できるようにすることが望ましい。
【0024】
本発明のもう一つの目的は、同一形態の中空糸膜モジュールの単位体をお互い結合して設置することにより、設置面積を増加させずにモジュールの処理能を容易に拡張することを可能にする連結手段を提供することである。
【0025】
以上より、本発明の目的は、少ない設置面積でも多量の水処理が可能であり、モジュール同士の結合が容易でかつ経済的なモジュールの生産が可能であり、効率的な散気条件によって、フラックスを安定に維持し、また膜損傷及びモジュールの連結部位の劣化による漏水の無い、浸漬型中空糸膜の大型モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
このような目的と課題を達成するための本発明による浸漬型中空糸膜の大型モジュールは、[I]中空糸膜(16)を通じて濾過された透過水が集水される透過水集水空間(5)と、前記透過水集水空間に集水された透過水を外部に排出する透過水出口(3)を有する、二つのモジュール本体、[II]前記モジュール本体の上端部と下端部それぞれに、前記モジュール本体の正面に対して垂直方向に連結されている、モジュール支持管(17)、[III]中空糸膜用空間(10)が形成されており、前記モジュール本体に挿入されて前記モジュール本体内に前記透過水集水空間(5)を形成する、板状のモジュールヘッダー挿入層、[IV]上部に散気口(4)が形成されており、下記[V]のモジュールヘッダーとは一定距離を維持しながら前記中空糸膜(16)の束を3面で囲む散気管(11)を有し、前記モジュールヘッダー挿入層の次に前記モジュール本体に挿入されて前記モジュール本体内に散気空間(7)を形成する、板状の散気層及び、[V]前記中空糸膜(16)の束がその内部にポッティング液(22)で固定され、前記モジュールヘッダー挿入層に挿入されているモジュールヘッダーであり、前記中空糸膜の束がその両端に存在する透過水排出面と平行にその開口部が開いて前記モジュール本体中に前記透過水集水空間(5)を形成することを特徴とする、モジュールヘッダーを含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付した図面を基に本発明を詳細に説明する。
【0028】
図1(a)乃至図1(c)は、本発明に関する浸漬型中空糸膜の大型モジュールのモジュール本体の平面図、正面図及び右側面図である。
【0029】
モジュール本体の上端部には、透過水を集めてから排出する透過水出口(3)と、モジュール内に散気を注入するための空気注入口(4)が存在する。図2(a)乃至図2(c)に図示されるようなモジュールヘッダー挿入層と、図3(a)乃至図3(c)に図示されるような散気層を組み込むことにより、モジュール本体内を透過水集水空間(5)と散気空間(7)とに分ける層が形成されている。
【0030】
透過水集水空間(5)と散気空間(7)の間には、隙間(6)が形成されて、これらの空間を分離させている。
【0031】
また、モジュール本体の外側は開放可能である。固定ねじとモジュール本体の蓋(2)によって、通常は透過水が漏れないが、モジュールのリークなどの異常が発見された場合、その原因の把握及び改善補修のために開放可能になっている。
【0032】
これと共に、モジュール本体の内部にはモジュール支持管(17)が挿入されるモジュール支持管固定溝(8)が4ヶ所に確保されている。
【0033】
前記固定溝に挿入されたモジュール支持管(17)は、ウレタンなどの各種接着剤あるいはねじによって固定することができる。
【0034】
モジュール支持管(17)が挿入されているモジュールの全体形態を図6と図7に図示する。
【0035】
図2(a)乃至図2(c)は、本発明を構成するモジュールヘッダー挿入層の平面図、正面図及び右側面図である。
【0036】
前記モジュールヘッダー挿入層は、モジュール本体にはじめに組み込まれて透過水集水空間(5)を形成する。
【0037】
前記透過水集水空間(5)は、モジュール本体の外壁とモジュールヘッダー挿入層の間に形成される。
【0038】
前記モジュールヘッダー挿入層には、中空糸膜(16)を挿入するための中空糸膜用空間(10)が存在する。
【0039】
前記モジュールヘッダー挿入層が組み込まれ、更に中空糸膜(16)がポッティング液(接着剤)(22)によって接着されているモジュールヘッダーがモジュールヘッダー挿入層に挿入されると、中空糸膜(16)を通過した透過水は、組立の際の問題によりモジュール内でのリークが発生しない限りは、透過水出口(3)以外の部分からはモジュール本体とモジュールヘッダー挿入層によって作られる透過水集水空間(5)の外に漏れることはない。
【0040】
図3(a)乃至図3(c)は、本発明を構成する散気層の平面図、正面図及び右側面図である。
【0041】
散気層は、前記モジュールヘッダー挿入層がモジュール本体に組み込まれてから、その上に組み込まれ、これにより透過水集水空間(5)の上にもう一つの隙間(6)が生じる。
【0042】
なお、前記の隙間(6)は、透過水集水空間(5)と散気空間(7)の間に形成されている空間である。
【0043】
前記の散気層は、モジュールヘッダー挿入層とは異なり、完全に密閉される空間とはならず、ただモジュールヘッダーから延び出す中空糸膜(16)をある程度支持するのみである。前記散気層は空気注入口(4)から入る空気の通り道として機能し、空気が散気管(11)を経て散気管(11)内に穿孔されている小さな散気孔を通じて中空糸膜(16)をより効率的に攻撃して、中空糸膜(16)表面上の粒子状の不純物などを除去する。
【0044】
浸漬型モジュールの場合、モジュールヘッダーから近い部分が最も汚染されやすく、モジュール性能低下の主原因となりがちになるため、効率的な散気によってこの部分の汚染をなくすことが非常に重要である。
【0045】
本発明は、中空糸膜(16)の主要な汚染部分を集中的に散気にさらすことができるため、モジュール性能が維持される期間が飛躍的に伸びる。
【0046】
図4(a)乃至図4(c)は、本発明を構成するモジュールヘッダーの平面図、正面図及び右側面図である。
【0047】
モジュールヘッダーは、中空糸膜(16)がポッティング液(22)により付着される部分である。ポッティング液(22)は、モジュールヘッダーの中空糸膜用空間(10)内に中空糸膜(16)を付着させる一種の接着剤であって、一般的なすべての接着剤を使用することができ、具体的にはウレタンまたはエポキシなどが使用される。
【0048】
モジュールヘッダーの右側面図である図4(c)には、モジュールヘッダーの固定顎(13)(モジュールヘッダーをモジュールヘッダーの挿入層に挿入するための部分)がモジュールヘッダーの下部側から突出している様子が描かれている。挿入後にはモジュールヘッダー挿入層とモジュールヘッダーの間に存在する前記固定顎(13)を接着剤によって密封して透過水のリークを防止する。
【0049】
モジュールヘッダーの上部側から突出している中空糸膜保護装置の固定顎(12)は、図9(a)乃至図9(c)に図示される中空糸膜保護装置と結合させるために設けられている。
【0050】
前記中空糸膜保護装置は、モジュールヘッダーと結合している中空糸膜(16)が、モジュールの製造工程中露出し、(外部から)損傷を受けることを防止するために用いられる。
【0051】
中空糸膜(16)が接着される中空糸膜用空間(10)内にモジュールヘッダーの長手方向と交差する方向にモジュールヘッダーの仕切り板(15)が存在する。
【0052】
前記モジュールヘッダーの仕切り板(15)は、ポッティング液(22)の注入時、高粘度のポッティング液(22)が等しく塗布され、中空糸膜(16)の間に十分浸透するのを促進する。更に、モジュールヘッダーを鋳型で製造した際、冷却によるねじれによって形状が変化してしまうことを防止するのに役立つ。
【0053】
図5は、モジュールヘッダー挿入層、散気層及び、中空糸膜(16)が接着されているモジュールヘッダーがモジュール本体に結合した状態を示す概略図である。
【0054】
図6は、本発明に係る浸漬型中空糸膜モジュールの平面図であり、図7は、本発明に係る中空糸膜モジュールの側断面図である。
【0055】
簡便化のため、中空糸膜(16)は数本のみで示す。
【0056】
モジュール本体にはモジュールヘッダー挿入層、散気層及びモジュールヘッダーが順次に挿入されており、中空糸膜用空間(10)には中空糸膜(16)が配置されており、モジュールヘッダーの間に散気管(11)が配置されている。そのような構成により、前記散気管(11)に等しく存在する散気孔を通じて中空糸膜の両側の全面を等しく空気洗浄できることを示している。
【0057】
図10は、モジュール本体内のモジュールヘッダーと散気層部分とを中空糸膜の長手方向に対して水平方向に切断した断面概略図である。
【0058】
図10において、本発明によるモジュールは、分離膜機能を持つ中空糸膜(16)の束により構成され、吸引圧あるいは水頭による自然圧によって、膜の外部から透過された透過水が膜内部を通じて両側のモジュールヘッダーの透過水集水空間(5)に集まる。
【0059】
この時、モジュールヘッダー内部の透過水排出面(21)には、中空糸膜の末端開口部が透過水排出面(21)と平行に向いて開いている状態でポッティング液(22)によって固定された状態で存在するため、透過水を透過水排出面(21)を通じて透過水集水空間(5)に集めることが可能となる。
【0060】
透過水集水空間(5)に集まった透過水は、吸引ポンプなどの透過水吸引装置と連結されたモジュール本体の透過水出口(3)を通じて流出される。この時、モジュールヘッダーの透過水出口(3)は、モジュール単位体の結合による拡張を考慮して、上下面にそれぞれ一つずつ設けることが可能である。このような構造において、一つのモジュール単位体のみで運転する場合には、それぞれの出口が前記透過水吸引装置と連結されるか、モジュール本体の下端面の透過水出口(3)を、閉鎖連結部材を利用して閉鎖し、上端面の透過水出口(3)のみで連結して使用することが可能である。
【0061】
中空糸膜(16)の長さ、即ち、モジュールヘッダー間の距離は80cm〜150cm程度であることが好ましく、上記の通り二つのモジュールヘッダーで対称的に集水機能を発揮させることにより、中空糸膜(16)が長くなることによる圧力低下を補償することが可能となる。
【0062】
濾過工程の際、圧力によってモジュール本体の透過水集水空間(5)に集水される透過水は、中空糸膜の外表面に存在する微細孔を通じて透過する。モジュール上の隙間などから漏水が発生する場合、濾過機能が低下する。
【0063】
本発明により提供されるモジュールは、その部品が鋳型による製造が可能なプラスチック製であり、中空糸膜(16)及び接着剤のみを用いて組立てられているため、モジュールの重量の低減、製造原価の低減が可能となり、更に部品間の連結部品の劣化による漏水を防止することが可能となる。
【0064】
この際、モジュール本体の形態は、円筒状及び矩形からなる群から選択することができる。
【0065】
一方、高濃度の固体浮遊物質などを含有する廃水の処理時には、不純物の蓄積による流量減少や圧上昇が生じうる。ゆえに、濾過工程と同時に空気による散気工程を行う必要がある。
【0066】
本発明によるモジュールは、モジュール自体に散気機能が存在するので、別途散気装置を設置する必要がない。また、鋳型による製造が可能なプラスチック製の散気管(11)により、モジュール内の分離(中空糸)膜(16)の主要な汚染部位を均一かつ強力に、かつ集中的に空気洗浄することを特徴とする、効率的に散気可能なモジュールを、簡便かつ経済的に製造することが可能となる。
【0067】
即ち、モジュールの散気部は、モジュール本体に存在する空気注入口(4)と前記モジュールヘッダーと平行に若干離れて位置する散気管(11)から構成されており、前記モジュールヘッダーから延び出した中空糸膜の主要な汚染部位を散気管(11)が囲んでおり、該散気管(11)の表面には散気のための散気孔が均一に分布しているため、効率的なモジュール内の散気が可能となる。
【0068】
この時、前記空気注入口(4)は、モジュール単位体の結合による拡張を考慮して、モジュール本体の上下にそれぞれ一つずつ設置することが可能である。
【0069】
このような構造の場合、モジュール単位体一つのみで運転させる際には、各モジュール間の空気注入口(4)を図8に図示される連結部材を媒介として連結した後、閉鎖連結部材を利用して下部モジュールの空気注入口を閉鎖して上端のモジュール本体の空気注入口(4)のみで連結して使用することが可能である。
【0070】
図8は、前記連結部材の斜視図である。
【0071】
前記連結部材は、直列に配列された2個のモジュールヘッダー及び散気管のそれぞれの間で透過水と空気がそれぞれ流通するための通路を有する。
【0072】
効率的な散気工程のために、モジュールヘッダーの付近はモジュールの中間部分に比べて中空糸が緻密に集束し、膜間の間隔が相対的に狭くなり、それによりこの部分に不純物が集中的に蓄積する。したがって、散気の効率性を最大化するため、モジュールヘッダーの付近、即ち、モジュールヘッダーから1〜20cm程度離れている位置に別途垂直方向の散気管(11)を設置することが好ましい。
【0073】
このような散気機能を持つモジュールを、実際に処理しようとする原水に浸漬する場合、水頭による圧力差によって、水深が深いほど、即ち、モジュールの下部へ行くほど、空気の流量が減少する。ゆえに、この点を勘案して、前記垂直方向の二つの散気管(11)に存在する散気孔は、モジュール下部へ行くほど、真上の孔に比べて10%〜100%ずつ大きくなることが望ましく、また前記散気孔は2mm〜8mm程度の直径であることが望ましい。
【0074】
以上の方法により散気作用を発揮させる場合、浸漬槽の下部に存在する散気管(11)から発生した気泡は、上部に上がりながら横方向に位置した中空糸膜(16)を連続的に揺さぶって不純物の蓄積を防止する。一方、左右側の垂直散気管(11)から発生された気泡は、中空糸膜に対して水平方向に移動して、膜の集束する部分での不純物の蓄積を防止する。
【0075】
上記した浸漬型中空糸膜モジュールは、膜の汚染による性能低下を防止するために、三面で気泡が発生して中空糸膜を直接に揺さぶることにより、不純物の蓄積を防止するように設計されている。そのため、長期間運転させた場合には、膜が損傷を受けるおそれがある。したがって、1kg/1本以上の引張強度を有する中空糸膜を使用することが望ましい。
【0076】
更には、中空糸膜の束を構成する中空糸膜(16)を編組物によって補強して製造した、10kg/1本以上の引張強度を有する複合中空糸膜を使用することが望ましい。
【0077】
大規模の水処理工程に浸漬型モジュールを適用する場合、小さい設置面積で高い処理流量を得られるため有利である。
【0078】
本発明に係るモジュールは、一モジュール当たりの処理能力が非常に高いために、一つの単位モジュールのみで適用させることができるのみならず、設置面積を増加させずに二つ以上の単位モジュールを組み合わせて処理容量を増加させることができる。
【0079】
本発明による浸漬型中空糸膜モジュールは、モジュール当たりの処理容量が高いため多数のモジュールを並列に連結することによって発生する配管工程の非効率性をなくすことができ、モジュールの処理能を拡張することが容易で、モジュール部品の最小化によって耐久性に優れると共にモジュールの製造作業が容易で、大部分の部品を鋳型による製造可能なプラスチック製のものにすることにより非常に経済的である。
【0080】
また、前記浸漬型中空糸膜モジュールは、散気管(11)を通って三面から発生した気泡により中空糸膜を揺さぶることができる構造を有するため、效果的にファウリングを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、廃水、汚水及び浄水の処理などの水処理分野に使われる分離膜モジュールとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(a)は本発明に係るモジュール本体の平面図で、(b)は本発明に係るモジュール本体の正面図で、(c)は本発明に係るモジュール本体の右側面図である。
【図2】(a)は本発明に係るモジュールヘッダー挿入層の平面図で、(b)は本発明に係るモジュールヘッダー挿入層の正面図で、(c)は本発明に係るモジュールヘッダー挿入層の右側面図である。
【図3】(a)は本発明に係る散気層の平面図で、(b)は本発明に係る散気層の正面図で、(c)は本発明に係る散気層の右側面図である。
【図4】(a)は本発明に係るモジュールヘッダーの平面図で、(b)は本発明に係るモジュールヘッダーの正面図で、(c)は本発明に係るモジュールヘッダーの右側面図である。
【図5】モジュール本体にモジュールヘッダー挿入層、散気層及びモジュールヘッダーが結合された状態を示す概略図である。
【図6】本発明に係る浸漬型中空糸膜モジュールの平面図である。
【図7】本発明に係る浸漬型中空糸膜モジュールの側断面図である。
【図8】本発明に係る連結部材の斜視図である。
【図9】(a)は本発明に係る中空糸膜保護装置の平面図で、(b)は本発明に係る中空糸膜保護装置の正面図で、(c)は本発明に係る中空糸膜保護装置の側面図である。
【図10】図7に図示されたモジュール本体内のモジュールヘッダーと散気層部分を中空糸膜の長手方向に対して水平方向に切断した状態を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0083】
1 ねじ固定溝
2 モジュール本体の蓋
3 透過水出口
4 空気注入口
5 透過水集水空間
6 隙間
7 散気空間
8 モジュール支持管固定溝
9 蓋ねじの固定溝
10 中空糸膜用空間
11 散気管
12 中空糸膜保護装置の固定顎
13 モジュールヘッダーの固定顎
15 モジュールヘッダーの仕切り板
16 中空糸膜
17 モジュール支持管
18 連結部材
19 中空糸膜保護装置の留め具
20 中空糸膜保護装置のブラケット
21 透過水排出面
22 ポッティング液(接着剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[I]中空糸膜を通じて濾過された透過水が集水される透過水集水空間(5)と、前記透過水集水空間に集水された透過水を外部に排出する透過水出口(3)とを有する、二つのモジュール本体、
[II]前記モジュール本体の上端部と下端部それぞれに、前記モジュール本体の正面に対して垂直方向に連結されているモジュール支持管(17)、
[III]中空糸膜用空間(10)を有し、前記モジュール本体に挿入されて前記モジュール本体内に前記透過水集水空間(5)を形成する、板状のモジュールヘッダー挿入層、
[IV]上部に空気注入口(4)を有し、下記[V]のモジュールヘッダーとは一定距離を維持しながら中空糸膜(16)の束を3面で囲む散気管(11)を有し、前記モジュールヘッダー挿入層の次に前記モジュール本体に挿入されて前記モジュール本体内に散気空間(7)を形成する板状の散気層、及び、
[V]前記中空糸膜(16)の束がその内部にポッティング液(22)で固定され、前記モジュールヘッダー挿入層に挿入されているモジュールヘッダーであり、前記中空糸膜の束がその両端に存在する透過水排出面と平行にその開口部が開いて前記モジュール本体中に前記透過水集水空間(5)を形成することを特徴とする、モジュールヘッダー、
を含むことを特徴とする、浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項2】
前記モジュール本体内の透過水集水空間(5)が、前記モジュール本体の外壁と前記モジュール本体内に挿入されている板状の前記モジュールヘッダー挿入層との間に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記モジュール本体内の前記散気空間(7)が、前記モジュール本体内に挿入されている前記板状の散気層と前記モジュール本体の内壁との間に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項4】
前記透過水集水空間(5)と前記散気空間(7)の間に隙間(6)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項5】
前記モジュールヘッダーと、前記モジュールヘッダーと隣接するように配置された前記散気管(11)の距離が1〜20cmであることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項6】
前記散気管(11)に多数の散気孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項7】
前記散気孔の直径が2〜8mmであることを特徴とする、請求項6に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項8】
前記散気管(11)に位置した散気孔の直径が、モジュール下部に行くほど、その真上に位置する散気孔の直径より10〜100%ずつ増加することを特徴とする、請求項6に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項9】
前記中空糸膜(16)の束を構成する前記中空糸膜(16)の引張強度が1kg/1本以上であることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項10】
前記中空糸膜(16)の束を構成する中空糸膜(16)が、編組物によって補強されて、その引張強度が10kg/1本以上の複合中空糸膜であることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項11】
前記モジュール本体の形態が円筒状または矩形であることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項12】
請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール二つを結合することができる連結部材が、前記空気注入口(4)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。
【請求項13】
前記連結部材が、互いに直列に配列された二つの前記モジュールヘッダー及び前記散気管(11)それぞれの間で透過水及び空気をそれぞれつなげる通路を有することを特徴とする、請求項12に記載の浸漬型中空糸膜モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−531624(P2007−531624A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507240(P2007−507240)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000979
【国際公開番号】WO2006/004309
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】