説明

浸漬型膜分離装置の運転方法、および浸漬型膜分離装置

【課題】分離膜モジュールを被膜ろ過液に浸漬させて膜分離運転を行う際に、分離膜が目詰まりしないように散気装置を洗浄する方法を提供する。
【解決手段】複数の分離膜エレメント1が配置されてなる分離膜モジュール2と、該分離膜モジュール2の鉛直下方に設置された散気装置5とを備え、該散気装置5が、支持体と、スリットが形成され支持体の少なくとも一部を覆う弾性シートとを有し、気体が供給された際に、該弾性シートが膨張してスリットが開くことにより、気泡を発生する散気装置5である、浸漬型膜分離装置において、該分離膜で被膜ろ過液を膜分離する浸漬型膜分離装置の運転方法であって、該散気装置5への送気風量の減少による該弾性シートの収縮と、該散気装置5への送気風量の増加による該弾性シートの膨張とを、1回以上繰り返すことによって、該散気装置5を洗浄する散気装置洗浄工程を有し、前記散気装置の洗浄を、前記膜分離の停止中に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水処理などに使用される浸漬型膜分離装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膜分離法は、省エネルギー、省スペース、省力化および製品の品質向上などの特徴を有するため、適用分野を拡大しながら普及している技術である。膜分離法には、逆浸透、限外ろ過、精密ろ過、ガス分離、血液浄化、およびパーベーパレーションなどの方法がある。また、分離膜の形態には、中空糸膜、平膜、および管状膜などがあり、上記の各分離対象物の性質や特徴に応じて使い分けられている。
【0003】
従来、精密ろ過の分野では、小型のディスクフィルターや平膜プリーツ型カートリッジフィルターとして比較的少量の処理の、かつ比較的清澄な水溶液を分離・ろ過する目的のものが使用されてきている。また、限外ろ過の分野では、超純水の製造や食品製造および清涼飲料の製造などに平膜分離装置や中空糸型膜モジュールが使用されてきた。
【0004】
しかし、最近では環境保全の観点から、廃水処理にも膜分離技術を適用しようとする研究が進められている。
【0005】
廃水処理では、多くの場合、沈殿による固液分離を伴うため、その代替として膜分離技術が実施できれば、高品位な処理水が得られるだけでなく、広大な沈殿池の省略あるいは縮小ができ、スペースメリットが非常に大きい。廃水処理では、活性汚泥と呼ばれる微生物により、廃水中の有機物を分解した後に、フロック化した汚泥と処理水を分離する活性汚泥処理プロセスが広く用いられている。
【0006】
活性汚泥処理プロセスでは、処理効率を上げるために、活性汚泥を高濃度化すると分解処理が進む一方で、後段の沈殿池において汚泥の沈降性不良を生じる場合があり、水質の悪化を防止するための管理作業が煩雑であった。
【0007】
この汚泥と処理水との固液分離に膜分離技術を利用することで、高濃度活性汚泥処理を行った場合にも水質の悪化を伴わず、さらに沈殿池を省略でき非常に省スペースとなる。
以上のような点から、近年、水槽内に分離膜モジュールを浸漬してモジュールの透過側をポンプで吸引、あるいはサイホンなどのように水位差を利用して処理水を得る、浸漬タイプの分離膜モジュールの研究が行われている。活性汚泥処理では通常、好気性の微生物を飼育するための曝気が行われており、この浸漬タイプは膜面を曝気により水槽内に形成される旋回流を利用して、汚れをかきとりながら固液分離を行うことができ非常に低コストで運転が可能である。
【0008】
浸漬タイプの分離膜モジュールとしては、特許文献1に示されるように分離膜エレメントを複数設置したものが提案されている。浸漬タイプの分離膜モジュールでは、良好な膜分離運転を行うために、散気装置を連続的に曝気運転した状態で、被膜ろ過液の膜分離実施と膜分離停止とを一定時間ごとに交互に繰り返す間欠膜分離運転を行うことによって、膜分離停止中に分離膜面を洗浄する方法が従来から用いられている。
【0009】
また、浸漬タイプの分離膜モジュールのうち、散気装置部分に特徴的な構造を有するものとして、特許文献2に示されるように、スリットが形成された弾性シートが支持体を覆っており、該弾性シートと該支持体との間に気体を送気することによって、該弾性シートが膨張し、スリットが開くことによって曝気される構造のもの、いわゆる微細気泡散気管を有する浸漬タイプの分離膜モジュールが提案されている。この微細気泡散気管は、分離膜表面を均一にかつ効率的に洗浄し、生物処理に必要な酸素を効率的に供給する目的で使用される。
【0010】
しかし、スリットを有したゴム状弾性シートを配したタイプの散気装置を連続的に曝気運転すると、散気装置の弾性シート表面に汚泥が付着し、弾性シートのスリットが目詰まりして、散気装置から均一に曝気されない問題が発生する。
【0011】
散気装置から均一に曝気されないと、目詰まりした散気装置上部にある分離膜は洗浄されなくなり、分離膜が目詰まりしてしまう問題が発生する。
【0012】
この問題を解決する方法として、特許文献3では、記載の散気管への送気を停止、再開するによって、弾性シートを伸縮させ、散気管を洗浄する方法が提案されている。しかし、この方法を、散気管上部に分離膜を設置した浸漬型膜分離装置に適用した場合、前記散気管の洗浄方法を膜ろ過時に行うと、曝気による膜表面の洗浄を行っていない状態で膜ろ過を行うため、膜細孔の目詰まりや膜表面の汚泥ケーク形成が急速に進行し、安定した膜ろ過が継続できないという問題点があった。
【0013】
また、散気装置の洗浄方法として、特許文献4に示されるように、散気装置へ浸漬液を逆流させることによって堆積した異物除去する方法が提案されている。弾性シートを有する散気装置では、送気を停止すると、弾性シートに形成されたスリットが閉じるため、この方法は使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−268415号公報
【特許文献2】特開2002−263680号公報
【特許文献3】特開2004−174353号公報
【特許文献4】特開2006−116388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、散気管上部に分離膜を設置した浸漬型膜分離装置において、分離膜モジュールを被膜ろ過液に浸漬させて膜分離運転を行う際に、分離膜が目詰まりしないように散気装置を洗浄する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記の目的を達成するために、下記(1)〜(8)を特徴とするものである。
(1)少なくとも分離膜を配設した、複数の分離膜エレメントが配置されてなる分離膜モジュールと、該分離膜モジュールの鉛直下方に設置された散気装置とを備え、
該散気装置が、少なくとも、支持体と、スリットが形成された弾性シートとを有し、
該弾性シートが該支持体の少なくとも一部を覆うように配置され、
該弾性シートと該支持体との間隙に気体が供給された際に、
該弾性シートが膨張してスリットが開くことにより、
気泡が散気装置外に発生する機能を有する散気装置である、
浸漬型膜分離装置において、
被膜ろ過液を収容した処理槽内に浸漬設置し、該分離膜で該被膜ろ過液を膜分離する該浸漬型膜分離装置の運転方法であって、
該散気装置への送気風量の減少による該弾性シートの収縮と、
該散気装置への送気風量の増加による該弾性シートの膨張とを、少なくとも1回以上繰り返すことによって、該散気装置を洗浄する散気装置洗浄工程を有し、
前記散気装置の洗浄を、
前記膜分離の停止中に行うこと
を特徴とする浸漬型膜分離装置の運転方法。
(2)前記散気装置への送気風量を0とすることによって前記弾性シートの収縮を行うことを特徴とする(1)に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
(3)膜分離実施と膜分離停止とを一定時間ごとに交互に繰り返す間欠膜分離運転を行うことを特徴とする(1)もしくは(2)に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【0017】
(4)前記膜分離停止中に前記散気装置の洗浄を行う場合に、
前記間欠膜分離運転における膜分離停止の一定時間を、該散気装置の洗浄に要する時間以上、延長することを特徴とする(3)に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
(5)前記散気装置の上流側に、該散気装置に気体を供給する気体供給装置を備え、
該気体供給装置と該散気装置とを連通する配管の間に圧力計測手段もしくは流量計測手段を設置し、
該圧力計測手段の指示値、もしくは、該流量計測手段の指示値に基づいて、
前記散気装置の洗浄を行うことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
(6)前記処理槽内に前記浸漬型膜分離装置が複数台並列に浸漬設置され、該複数台の浸漬型膜分離装置は、それぞれ1台以上の該浸漬型膜分離装置から構成される2以上の散気グループに分割され、それぞれの該浸漬型膜分離装置における前記散気装置に連通された散気装置用配管は、該散気グループごとにそれぞれ1本の散気グループ用配管に連通され、該散気グループ用配管にはそれぞれ調整弁が設置され、それぞれの該散気グループ用配管は、前記気体供給装置に連通された1本の気体供給幹配管に連通されており、該散気装置の洗浄を、少なくとも1つの該調整弁を閉、かつ、少なくとも1つの該調整弁を開にするにことによって行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
(7)前記散気装置洗浄工程の終了時から次の該散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔H(hour)が、次式(1)を満足することを特徴とする(1)〜(6)に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【0018】
H ≦ 320 × exp (−0.00015X) (1)
(ただし、Xは前記処理槽内の被膜ろ過液の懸濁物質濃度(mg/L)を表す。)
(8)前記処理槽内に被膜ろ過液の懸濁物質濃度X(mg/L)を測定する計測装置と、前記散気装置洗浄工程の終了時から次の該散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔H(hour)をカウントするタイマーとを備え、該計測装置の指示値に基づき、該タイマーが上式(1)を満足する時間間隔Hから選ばれる時間間隔Hに連動し、自動で該散気装置洗浄工程を繰り返すことを特徴とする(7)に記載の浸漬型膜分離装置。
【発明の効果】
【0019】
前記浸漬型膜分離装置において、上記の(1)〜(8)を用いて、膜分離運転と前記散気装置洗浄工程を行った場合、前記散気装置の前記弾性シートは送気風量の増減により膨縮するため、該弾性シート上に付着した汚泥やゴミなどの付着物は該弾性シートの膨縮の振動によって剥がれ落ち、該散気装置の目詰まりは解消される。そのため、目詰まり部分上部の分離膜面に散気不足によるケーク形成が起こらなくなり、長期的に安定した膜分離が実施できることになる。そして、膜分離停止中に該散気装置の洗浄を行うため、分離膜面に散気不足によるケーク形成の不具合は起こらなくなる。ゆえに、従来技術では解決できなかった問題点が解決できる。
【0020】
また、多数の該散気装置を有する施設の場合では、前記散気グループごとに前記調整弁の開閉で洗浄を行うことにより、前記気体供給装置の停止が不要となるため、運転再開後に設定風量までにかかる時間を考慮する必要が無くなり、制御しやすくなる。
【0021】
また、前記処理槽内の被膜ろ過液の懸濁物質濃度が濃いほど、該弾性シートに付着物が付きやすいが、該懸濁物質濃度によって前記散気装置洗浄工程の終了時から次の該散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔Hを決定することで効率的、かつ、確実に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る浸漬型膜分離装置の一実施態様を示す概略フロー図である。
【図2】ブロアの稼働状態と散気装置の洗浄工程の設定時間を示す図である。
【図3】ブロアの運転制御方法を示す図である。
【図4】ブロアのOFFとなる条件を示す図である。
【図5】散気装置の長手方向中心軸αでの縦断面図である。
【図6】本発明に係る浸漬型膜分離装置の別の一実施態様を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る浸漬型膜分離装置の一実施態様を示す概略フロー図である。
【0024】
図1に示す浸漬型膜分離装置は、被膜ろ過液を膜分離して透過水を得るための分離膜エレメント1が設置されている分離膜モジュール2と、分離膜モジュール2を被膜ろ過液に浸漬するための処理槽7と、分離膜モジュール2の下流側には、被膜ろ過液を膜分離することによって得られる透過水を系外に取り出すための配管3と、配管3に備えられた膜分離の駆動力のための吸引ポンプ4と、分離膜エレメント1の鉛直下方に設置されている散気装置5と、散気装置5に気体供給するブロア6を備えている、構成からなる。
【0025】
ここで、分離膜エレメント1は、分離膜の取り扱い性や物理的耐久性を向上させるために、たとえば平板状支持板の両面もしくは片面にシート状分離膜を配した平膜エレメント構造のものを採用することができる。ただし、本発明の目的は、散気装置の目詰まりによって発生する分離膜面の目詰まりの防止であるため、平膜エレメント構造に限定されるものではなく、中空糸、スパイラル、チューブラーなどのエレメント構造でも有効に使用できる。
【0026】
ここにおいて、平板状支持板は、平板状であればその形状は特に限定しないが、例えば、支持板の表裏両面を、周縁部が厚い凸部であって、その内側に凹部が設けられた構造とする。シート状の分離膜を、該凹部を覆うように配し、周縁の凸部にて前記分離膜と平板状支持板とを固着させることにより平膜エレメントを形成する。該平膜エレメントにおいて、前記凹部と分離膜との間に存在する間隙は、ろ過水が移動するための流路として機能しており、ろ過水は、前記間隙と連通したろ過水出口を経て、平膜エレメントの外部に取り出される。
【0027】
平板状支持板の素材は、ASTM試験法のD638における引っ張り強さが15MPa以上の剛性を有する物質であることが好ましく、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)で代表される共重合体の汎用性樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの単一重合体の汎用性樹脂や、複合材料である繊維強化樹脂、金属類などが例示される。
【0028】
また、分離膜は、多孔質の膜であって固液分離機能や逆浸透機能があれば特に限定するものではなく、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、逆浸透膜などが例示されるが、特に活性汚泥の固液分離を行う場合には、その膜表面の細孔径が0.01〜20μm程度の範囲内である精密濾過膜や限外濾過膜であることが好ましい。また、その素材としては特に限定するものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、ポリアクリロニトリル、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルフルオライド、その他の材質を適宜選択して使用することができる。特に、物理的・化学的耐久性の高いポリオレフィン系やフッ素系樹脂の材質が特に好ましく使用することができる。
【0029】
分離膜モジュール2は上記のような平膜エレメントの複数枚を、エレメント保持枠体内に配列させた分離膜ユニットである。ここで、エレメント保持枠体は、隣接する平膜エレメントに配されている分離膜同士の間に所望間隔があけられるように、複数枚の平膜エレメントを、膜表面が上下方向と略平行な向きとなるように配列することができる機能を有するものであれば、その構造は特に限定しない。例えば、エレメント保持枠体を、上下を開口したケーシング構造とし、その内部に複数枚の平膜エレメントを収容する構造としてもよい。あるいは、配列させた平膜エレメントの側端部同士を通しボルトとナットでもって配列固定させることにより保持枠体部分を形成することにより、複数のエレメントが枠体内に配列された構造としてもよい。本発明は、散気装置の曝気によって分離膜面を洗浄するものであるため、曝気の気泡によって分離膜面の洗浄を行いながら膜分離を行う分離膜モジュール構造であれば、その構造は限定されない。エレメント保持枠体の素材としては、活性汚泥中においても、複数枚の平膜エレメントを同時に長期間安定して保持可能な強度と耐久性とをもつ素材であれば特に限定されるものではないが、例えば、ステンレスなどの金属や、ABSなどの樹脂や、それら樹脂に炭素繊維などの強化用繊維を配合した繊維強化複合樹脂などが挙げられる。
【0030】
配管3は、吸引ポンプ4が備えられている。膜分離運転を行うためには駆動力が必要となるが、駆動力としては、ポンプや水頭差を利用することが好ましい。本発明は、上記(1)〜(8)を行う際、散気装置の洗浄時に膜分離運転を停止させるため、膜分離運転を停止できる構造でなければならない。膜分離の駆動力をポンプで得る場合は、膜分離運転の停止をポンプの電源停止や流量調整によって行い、また、ポンプを設置せずに水頭差を利用して膜分離運転を行う場合には、配管3にバルブを設置し、膜分離運転の停止を、バルブを閉めることによって行うことが好ましい。
【0031】
散気装置5は、ブロア6などの気体供給装置と連結されており、散気装置5から生起される気液混合上向流が、隣接する分離膜エレメント1の分離膜間を流れ、分離膜表面を洗浄すると同時に膜ろ過を行うことによって、分離膜の目詰まりを抑制することができる。
【0032】
該散気装置5において、本発明では、該ブロアで送気風量の増減を行い、該散気装置5の弾性シートを膨縮させることによって弾性シート上の付着物を剥がし取るため、該ブロアは電源のON/OFFもしくは流量調整ができるものである必要がある。また、該散気装置5は、散気装置洗浄工程時に弾性シートを膨縮させることが必要であり、弾性シートが支持体を覆うように配置され、弾性シートと支持体の間に気体を供給する構造である必要がある。かつ、曝気によって分離膜面を洗浄しているため、前記分離膜モジュールの鉛直下方に設置されている必要がある。
【0033】
該散気装置5としては、例えば、図5(長手方向中心軸αでの縦断面図)に示すように、少なくとも、筒状の支持管110と、微細スリットが形成された弾性シート111とを有し、弾性シート111が支持管110の外周を覆うように配置され、弾性シート111と支持管110の間に気体を供給した際に、弾性シート111の微細スリットが開くことにより、微細気泡が散気装置外に発生する構造のものが例示される。
【0034】
図5に示す散気装置の構造と動作について図5に基づいて説明する。散気装置は、中心部に支持管110があり、この支持管110の外周全面を覆うように弾性シート111が設けられ、弾性シート111の軸方向の両端部は、環状固定具112により固定されている。弾性シート111には複数の散気スリット(図示なし)が形成されている。
【0035】
ここで支持管110の片端は分岐管部114と接続しており、接続端付近に貫通孔113が設けられている。分岐管114から供給された空気は貫通孔113を通った後、支持管110と弾性シート111の間に入り、弾性シート111を膨張させる。弾性シート111が膨張したことによって散気スリット(図示なし)が開き、供給された空気が微細気泡となって、処理槽内の被膜ろ過液中に放出される。空気供給が停止した時には弾性シート111が収縮して散気孔が閉じるので、微細気泡が放出されない時に散気孔から被膜ろ過液が散気装置内に流入することがなく、ろ過運転を行う過程で被膜ろ過液中の汚泥による散気孔の閉塞や散気装置内の汚れを防ぐことができる。
【0036】
散気装置5の弾性シートは、膨縮する材質であれば特に制限されるものでなく、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコンなどが好ましく用いられる。また、清澄水中において、直径2mm以下の微小気泡を生起させる散気装置であることが好ましい。これにより、酸素供給効率を高めることができる。
【0037】
処理槽7は被膜ろ過液を貯え、分離膜モジュール2を被膜ろ過液に浸漬することができれば特に制限されるものではなく、コンクリート槽、繊維強化プラスチック槽などが好ましく用いられる。また、処理槽7の内部が複数に分割されていても構わないし、複数に分割されている槽のうち一部を、分離膜エレメント1を浸漬する槽として、他方を脱窒槽として利用し、被膜ろ過液を互いの分割されている槽間で循環されるようにしていてもよい。
【0038】
被膜ろ過液は、一般に懸濁物質を含有する液体であり、特に限定されないが、微生物培養液や活性汚泥などの微生物を含む液体においては、微生物が生物処理した液体のみを分離したいという要求があるため、本発明に係る浸漬型膜分離装置の被膜ろ過液として、好ましく用いられる。
【0039】
このような構成の浸漬型膜分離装置で上記の(1)〜(8)を用いると、散気装置の目詰まりが防止され、洗浄されない分離膜が発生せず、良好な膜分離運転を行うことができる。
【0040】
特に、前記散気装置洗浄工程を行うと、散気装置の弾性シートが送気風量の増減により膨縮し、弾性シートの膨縮の振動によって、弾性シート上に付着した汚泥やゴミなどの付着物は剥がれ落ち、そのため該散気装置の目詰まりは解消される。散気装置の目詰まりが防止されることによって、洗浄されない分離膜面が減少し、安定的な良好な膜分離運転を行うことができる。
【0041】
図2に、ブロアの稼働状態と散気装置の洗浄工程の設定時間について記載する。
【0042】
散気装置洗浄工程において、散気装置への送気を停止すると、散気装置へ送気風量を調整する手段としてのバルブや電磁式開閉調整弁などが不要となり、散気装置へ気体を供給するための気体供給装置の電源をON/OFFするだけとなるため、装置やシステムが簡便になり、制御も容易となるため好ましい。また、図2のブロアの稼働状態に示されるように、散気装置洗浄工程ではブロアのON/OFFを交互に行うことが好ましい。ブロアOFFの時間12は、ブロアをOFFする前の送気風量よりも流量が減少するのに十分な時間であれば、散気装置の弾性シートが収縮し、散気装置の洗浄が有効に行われるが、ブロアの散気装置の弾性シートが収縮しきる時間、つまり、送気風量が0になるのに要する時間以上長くすれば、弾性シートが最大限に収縮しきるため好ましい。ブロアONの時間13は、送気風量が増加し、散気装置から散気が開始されるのに十分な時間であればよいが、設定した散気風量に回復するために要する時間以上長くすれば、弾性シートが大きく膨張するため好ましい。
【0043】
図3に、ブロアの運転制御方法を記載する。
【0044】
図4に、ブロアのOFFとなる条件を記載する。
【0045】
散気装置洗浄工程中は、送気風量の減少によって分離膜面の洗浄力が低下するが、図4の吸引ポンプとブロアの稼働状態に示すように、膜分離停止(OFF)時に散気装置洗浄工程を行うことによって、洗浄力低下による分離膜の目詰まりの誘発を防止することができる。すなわち、図3に示すように、吸引ポンプの稼働が停止していることを確認してから散気装置洗浄工程が開始される運転制御を行うことが必要である。
【0046】
浸漬型膜分離装置の運転において、図4の吸引ポンプの稼働状態に示すような、被膜ろ過液の膜分離実施と膜分離停止とを一定時間ごとに交互に繰り返す間欠膜分離運転を行う場合、図4の吸引ポンプとブロアの稼働状態に示すように、間欠膜分離運転停止時に散気装置洗浄工程を行うことによって、散気装置洗浄工程のために膜分離運転を停止することが不要となり、制御が容易となる。すなわち、図3に示すように、洗浄工程終了時から次の洗浄工程開始時までの時間11のカウントアップが終了しても、間欠膜分離運転停止による吸引ポンプの停止が確認されるまで、散気装置洗浄工程を開始しない運転制御を行うことが必要である。
【0047】
間欠膜分離運転では、膜分離運転停止時は、散気装置による連続曝気で分離膜面を洗浄している。散気装置洗浄工程を膜分離運転の停止時に行う場合、散気装置洗浄工程による曝気減少によって分離膜面の洗浄力が低下し、分離膜面を充分に洗浄できなくなることがある。そのため、図4の吸引ポンプとブロアの稼働状態に示すように、散気装置洗浄工程に要する時間以上に膜分離停止時間を延長する、つまり、図4に示すようにt1=t2,t1=t3+t4になるように運転すると、散気装置の曝気による分離膜面洗浄の効果を得ることができ、分離膜の目詰まりの誘発を抑制することができるため好ましい。例えば、図3に示すように、散気装置洗浄工程を開始する前に吸引ポンプ停止時間のカウントアップを停止し、散気装置洗浄工程を終了した後に吸引ポンプ停止時間のカウントアップを再開する運転制御を行うことが好ましい。
【0048】
散気装置に汚泥が付着したまま、散気を継続すると、付着した汚泥は、散気によって乾燥し、固着してしまうことがある。散気装置に圧力計測手段や流量計測手段が設けられている場合、散気装置の弾性シートが目詰まりを起こすと、気体供給装置と散気装置を連通する配管に設置した圧力計測手段の指示値は上昇し、流量計測手段の指示値は減少するが、圧力計測手段の指示値が一定値を超えた場合、もしくは、流量計測手段の指示値が一定値を下回った場合に散気装置洗浄工程を行うと、散気装置に付着物が固着することを防止することでき、また、気体供給装置にかかる圧力の上昇を抑えることによって電気消費量を抑制することができ、散気装置洗浄工程を開始するシステムを構築する際に制御しやすくなるため好ましい。そのため、図2に示す洗浄工程終了時から次の洗浄工程開始時までの時間11は、前回の散気装置洗浄工程終了時から、圧力計測手段の指示値が一定値を超える時間、もしくは、流量計測手段の指示値が一定値を下回る時間よりも短い時間であることが好ましい。また、散気装置洗浄工程中に圧力計測手段もしくは流速計測手段の指示値の変化を測定し、一定値まで回復するまで散気装置洗浄工程を1回もしくは必要に応じて複数回行うと、散気装置に付着した汚泥が確実に剥がれ落ちたことを判断でき、付着汚泥の固着を防ぐことができるため、好ましい。例えば、図2に示すブロアの稼働状態では、散気装置洗浄工程を3回行ったことになり、図3に示すブロアの運転制御方法では、ブロアのOFFの回数を設定することによって、複数回の散気装置洗浄工程を実行する。
【0049】
図6は、本発明に係る浸漬型膜分離装置の別の一実施態様を示す概略フロー図である。
【0050】
図1では、散気装置が1台の態様であるが、図6では、散気装置が4台と複数台から構成されており、上記(6)を実施することができる態様である。上記(6)を実施するためには、ブロア6と散気装置5の間にバルブ8などの送気風量を調整できる弁を、散気装置が2つ以上のグループになるように、設置することが必要である。この点において、図6では、散気グループが2つになるように、散気装置2台ずつを1グループとしてバルブを設置している。この2つのバルブのうちの一方を開、もう一方を閉にすることで、開になっている散気グループの送気風量が増加し、散気装置の弾性シートが膨張する。一定時間経過後、今後は逆に開になっているバルブを閉、閉になっているバルブを開にすることで、弾性シートを膨縮させ、散気装置を洗浄することができる。このようにブロアを停止することなく散気装置を洗浄することができる。
【0051】
また、処理槽内の被膜ろ過液の懸濁物質濃度によって、汚泥やゴミなどの付着し易さが異なり、懸濁物質濃度の高い方が短時間で付着することが判った。そこで、本願発明者らは、散気装置洗浄工程の回数、すなわち、散気装置洗浄工程の終了時から次の散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔Hを、被膜ろ過液の懸濁物質濃度によって決定することにより、散気装置への付着物の固着を防ぐことができることを見出した。特に、前記散気装置洗浄工程の終了時から次の該散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔H(hour)が、次式(1)を満足することが、膜間差圧上昇速度を抑えて長期間安定して運転できるために、好ましい。
【0052】
H ≦ 320 × exp (−0.00015X) (1)
(ただし、Xは前記処理槽内の被膜ろ過液の懸濁物質濃度(mg/L)を表す。)
ここで、式(1)の懸濁物質濃度の測定方法は、ガラス繊維ろ紙法によるものである。
【0053】
また、処理槽内の懸濁物質濃度を測定する計測装置によって計測された懸濁物質濃度に基づき、自動で散気装置洗浄工程を繰り返すことは、散気装置への付着物の固着が防ぐことができ、好ましい。
【実施例】
【0054】
(比較例1)
ポリエステル不織布にポリフッ化ビニリデン膜がコーティングされた複合平膜(細孔径0.08μm)をフレームの両面に貼り付けた平膜の分離膜エレメント1(有効膜部分:縦1010mm、幅470mm、有効膜面積0.9m)50枚を図1に示す浸漬型膜分離装置(分離膜エレメントの設置間隔7.5mm)の処理槽7(内寸の幅2.8m×奥行1.2m×深さ2.1mの直方体状)に浸漬した。吸引ポンプ4は配管3の中間に設置し、9分間13.8L/分で膜分離運転を行い、その後1分間ポンプの運転を停止することによって膜分離運転を停止し膜面を洗浄する間欠運転を行った。散気装置5は、支持体(内径62mm×全長762mm)の上部に弾性シート(材質:ポリウレタン,スリット2mm)が覆われている管状の散気装置を使用した。空気供給装置としてブロア6を用いた。被膜ろ過液として工場廃水を12.5L/分の割合で供給し、被膜ろ過液である活性汚泥の濃度(MLSS)は22,000ppmであった。
【0055】
上記条件の浸漬型膜分離装置の運転において、ブロアの連続運転を行った運転1を1ヶ月行った。
【0056】
運転1の終了後、浸漬型膜分離装置を引き上げた際に散気装置に汚泥が見受けられた。また、複数枚の分離膜面に汚泥のケーク形成が見受けられ、膜間差圧上昇速度が0.3kPa/dayであった。
(実施例1)
浸漬型膜分離装置の運転において、ブロアの連続運転を行った運転1の代わりに、膜分離運転停止時にブロアを5秒間OFFにした後、4時間後に再度ブロアOFFする時までブロアを連続運転することを繰り返した運転2(1日6回ブロアをOFFすることになる。)を1ヶ月行った以外は、比較例1と同じ条件で浸漬型膜分離装置の運転を行った。
【0057】
ブロアOFFを行う運転2では、浸漬型膜分離装置を引き上げた際に散気装置に汚泥の付着は見られなかった。また、すべての分離膜面に汚泥のケーク形成が見受けられず、膜間差圧上昇速度は0.05kPa/day以下であり、安定的で良好な膜分離運転が実施できた。
(実施例2)
ポリエステル不織布にポリフッ化ビニリデン膜がコーティングされた複合平膜(細孔径0.08μm)をフレームの両面に貼り付けた平膜の分離膜エレメント1(有効膜部分:縦1010mm、幅470mm、有効膜面積0.9m)50枚を図1に示す浸漬型膜分離装置(分離膜エレメントの設置間隔7.5mm)の処理槽7(内寸の幅2.8m×奥行1.2m×深さ2.1mの直方体状)に浸漬した。吸引ポンプ4は配管3の中間に設置し、9分間13.8L/分で膜分離運転を行い、その後1分間ポンプの運転を停止することによって膜分離運転を停止し膜面を洗浄する間欠運転を行った。散気装置5は、支持体(内径62mm×全長762mm)の上部に弾性シート(材質:ポリウレタン,スリット2mm)が覆われている管状の散気装置を使用した。空気供給装置としてブロア6を用い、散気装置5とブロア6の間に流量計と圧力計を設けた。
【0058】
被膜ろ過液として工場廃水を12.5L/分の割合で供給し、被膜ろ過液である活性汚泥の濃度(MLSS)は20,000ppmであった。
【0059】
図2に記載したブロアの稼働状態と散気装置の先行工程の設定時間、ブロアのOFFの回数について、洗浄工程終了時から次の洗浄工程開始時までの時間11を4時間とし、1日6回洗浄工程を行った。洗浄工程中のブロアOFFの時間12を5秒、洗浄工程中のブロアONの時間13を5秒、1回の洗浄工程中のブロアOFFの回数を3回に設定した。
【0060】
ブロアの運転制御方法は図3に記載のものとした。
【0061】
ブロアのOFFとなる条件は図4に記載のものとし、下記の(101)〜(104)とした。
(101)ブロアの時間11用のタイマーがOFF
かつ
(102)吸引ポンプの運転を命令するシグナルがOFF(吸引ポンプが稼動していない状態。)
かつ
(103)ブロアの洗浄OFF時間12用のタイマーがブロワをOFFにするように命令シグナルをONにしているとき。
かつ
(104)洗浄工程でのブロアOFFの回数を数えているカウンターがOFF回数未満で、洗浄工程を続けるように命令するシグナルがONのとき。
【0062】
ブロアのOFFの条件を上記(101)〜(104)にすることにより、ブロアの運転時間が終了した際に、膜分離が停止するまで散気装置の洗浄工程の開始を保留し、膜分離が停止した際に前記洗浄工程を開始し、前記洗浄工程が終了した後に、ブロアの運転を再開した。その後、膜分離の停止時間のカウントアップを開始し、停止時間経過後に膜分離を再開した。また、膜分離が停止中にブロアの運転時間が終了した場合は、膜分離停止時間のカウントアップを停止し、前記洗浄工程を開始し、前記洗浄工程が終了した後に、ブロアの運転を再開し、膜分離の停止時間のカウントアップを再開する運転とした。
【0063】
上記の条件で浸漬型膜分離装置の運転を1ヶ月間行った結果、浸漬型膜分離装置を引き上げた際に散気装置に汚泥の付着は見られなく、また、ブロアの洗浄時に散気装置の送気風量と圧力が回復しきることを確認し、運転期間中は膜間差圧上昇速度が0.05kPa/dayとなり、安定的で良好な膜分離運転が実施できた。
(実施例3)
浸漬型膜分離装置の運転において、ブロアの連続運転を行った運転1の代わりに、膜分離運転停止時にブロアを5秒間OFFにした後、T時間後に再度ブロアOFFする時までブロアを連続運転することを繰り返した運転(散気装置洗浄工程の終了時から次の散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔がT時間である。)を2週間行った以外は、比較例1と同じ条件で浸漬型膜分離装置の運転を行った。ここで、表1に、運転条件として、被膜ろ過液である活性汚泥の濃度(MLSS)と、散気装置洗浄工程の終了時から次の散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔T、運転結果として、汚泥付着の有無、膜間差圧上昇速度を示す。
【0064】
式(1)を満たす範囲では、膜間差圧上昇速度は0.05kPa/day以下であり、安定的で良好な膜分離運転が実施できた。
【0065】
【表1】

【符号の説明】
【0066】
1:分離膜エレメント
2:分離膜モジュール
3:配管
4:吸引ポンプ
5:散気装置
6:ブロア
7:処理槽
8:バルブ
11:洗浄工程終了時から次の洗浄工程開始時までの時間
12:洗浄工程中のブロアOFFの時間
13:洗浄工程中のブロアONの時間
101:ブロアの時間1用のタイマーのシグナル
102:吸引ポンプの運転を命令するシグナル
103:ブロアの洗浄OFF時間2用のタイマーがブロワをOFFにするように命令するシグナル
104:洗浄工程でのブロアOFFの回数を数えているカウンターがOFF回数未満で、洗浄工程を続けるように命令するシグナル
110:筒状の支持管
111:弾性シート
112:環状固定具
113:貫通孔
114:分岐管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも分離膜を配設した、複数の分離膜エレメントが配置されてなる分離膜モジュールと、該分離膜モジュールの鉛直下方に設置された散気装置とを備え、
該散気装置が、少なくとも、支持体と、スリットが形成された弾性シートとを有し、
該弾性シートが該支持体の少なくとも一部を覆うように配置され、
該弾性シートと該支持体との間隙に気体が供給された際に、
該弾性シートが膨張してスリットが開くことにより、
気泡が散気装置外に発生する機能を有する散気装置である、
浸漬型膜分離装置において、
被膜ろ過液を収容した処理槽内に浸漬設置し、該分離膜で該被膜ろ過液を膜分離する該浸漬型膜分離装置の運転方法であって、
該散気装置への送気風量の減少による該弾性シートの収縮と、
該散気装置への送気風量の増加による該弾性シートの膨張とを、少なくとも1回以上繰り返すことによって、該散気装置を洗浄する散気装置洗浄工程を有し、
前記散気装置の洗浄を、
前記膜分離の停止中に行うこと
を特徴とする浸漬型膜分離装置の運転方法。
【請求項2】
前記散気装置への送気風量を0とすることによって前記弾性シートの収縮を行うことを特徴とする請求項1に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【請求項3】
膜分離実施と膜分離停止とを一定時間ごとに交互に繰り返す間欠膜分離運転を行うことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【請求項4】
前記膜分離停止中に前記散気装置の洗浄を行う場合に、
前記間欠膜分離運転における膜分離停止の一定時間を、該散気装置の洗浄に要する時間以上、延長することを特徴とする請求項3に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【請求項5】
前記散気装置の上流側に、該散気装置に気体を供給する気体供給装置を備え、
該気体供給装置と該散気装置とを連通する配管の間に圧力計測手段もしくは流量計測手段を設置し、
該圧力計測手段の指示値、もしくは、該流量計測手段の指示値に基づいて、
前記散気装置の洗浄を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【請求項6】
前記処理槽内に前記浸漬型膜分離装置が複数台並列に浸漬設置され、該複数台の浸漬型膜分離装置は、それぞれ1台以上の該浸漬型膜分離装置から構成される2以上の散気グループに分割され、それぞれの該浸漬型膜分離装置における前記散気装置に連通された散気装置用配管は、該散気グループごとにそれぞれ1本の散気グループ用配管に連通され、該散気グループ用配管にはそれぞれ調整弁が設置され、それぞれの該散気グループ用配管は、前記気体供給装置に連通された1本の気体供給幹配管に連通されており、該散気装置の洗浄を、少なくとも1つの該調整弁を閉、かつ、少なくとも1つの該調整弁を開にするにことによって行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
【請求項7】
前記散気装置洗浄工程の終了時から次の該散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔H(hour)が、次式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜6に記載の浸漬型膜分離装置の運転方法。
H ≦ 320 × exp (−0.00015X) (1)
(ただし、Xは前記処理槽内の被膜ろ過液の懸濁物質濃度(mg/L)を表す。)
【請求項8】
前記処理槽内に被膜ろ過液の懸濁物質濃度X(mg/L)を測定する計測装置と、前記散気装置洗浄工程の終了時から次の該散気装置洗浄工程開始時までの時間間隔H(hour)をカウントするタイマーとを備え、該計測装置の指示値に基づき、該タイマーが上式(1)を満足する時間間隔Hから選ばれる時間間隔Hに連動し、自動で該散気装置洗浄工程を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載の浸漬型膜分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−89079(P2010−89079A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204397(P2009−204397)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】