浸漬平膜ユニット用集水ブロック
【課題】 下水や産業排水等の水処理に使用される浸漬平膜ユニットに取付けられる配管構成を改善した浸漬平膜ユニット集水ブロックの提供。
【解決手段】 箱型形状をなす平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、ブロック本体2及び上蓋3から構成されている。ブロック本体2の底板側には、二列の千鳥配置にされた受入れ穴5が穿設され、上蓋3を構成する上板側には、集合吸引口4が凸設されている。前記各受入れ穴5は、平膜浸漬ユニット10の各吸引口11に嵌合することによって取付けられるものであり、ブック本体2の底板側には、止水用のOリング8を配置する凹溝7が構成されている。
このように構成された平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、各受入れ穴5が二列の千鳥配置に構成されたことから、吸引空間が広くなるので吸引機能を向上できる。また、止水用のOリング8を凹溝7内に配置したことから、水漏れを防止でき、しかも同時取付けの際、組立て精度の誤差を吸収することから取付け作業の操作性も向上する。
【解決手段】 箱型形状をなす平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、ブロック本体2及び上蓋3から構成されている。ブロック本体2の底板側には、二列の千鳥配置にされた受入れ穴5が穿設され、上蓋3を構成する上板側には、集合吸引口4が凸設されている。前記各受入れ穴5は、平膜浸漬ユニット10の各吸引口11に嵌合することによって取付けられるものであり、ブック本体2の底板側には、止水用のOリング8を配置する凹溝7が構成されている。
このように構成された平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、各受入れ穴5が二列の千鳥配置に構成されたことから、吸引空間が広くなるので吸引機能を向上できる。また、止水用のOリング8を凹溝7内に配置したことから、水漏れを防止でき、しかも同時取付けの際、組立て精度の誤差を吸収することから取付け作業の操作性も向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水や産業排水等の処理に使用される浸漬平膜ユニット用集水ブロックに関し、特に浸漬平膜ユニットに簡単に取付けることができ、しかも吸引機能及び止水機能を高め得る水処理の配管技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浸漬平膜ろ過装置では、処理槽内に被処理水が貯留され、この被処理水中には、吸引口を備えた浸漬平膜ユニットが浸漬されている。
そして、この浸漬平膜ユニットは、平膜エレメントを複数組並置することにより構成されるもので、通水部材の内部の通過によって処理された処理水は、吸引ポンプにより、前記吸引口から外部配管を介して系外に排出される。
ところで、前記吸引口については、平膜エレメントの側面部に吸引口が形成される場合(例えば、特許文献1参照)では、接続ホースを取付けるにあたって、各吸引口の間隔が狭ことから作業性が悪く、このため、配管構成の単純化が要望されている。
また、浸漬平膜ユニットの膜接合部材に吸引口が形成される場合(例えば、特許文献2参照)では、膜接合部材内に集水部分が形成される。このため、処理水の収容量が少なく、この結果、吸引効率も低いため、構造的な改善が要求されている。
【特許文献1】特開2006−43631号公報
【特許文献2】特許第3815645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、従来の浸漬平膜ユニットにおける集水管や集水部分による構成では、配管構成として作業性及び効率性が悪いことから、これらの改善が問題点になっている。つまり、浸漬平膜ユニットからの効率的な吸引機能を簡単に、しかも単純化構成で実現できる配管構成が要求されている。
このようなことから、本発明では、上述の点に鑑みなされたもので、これらの問題点を基本的に解消し得ることを目的とし、また吸引機能を向上し得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る請求項1記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、吸引口を凸設した通水部材等からなる平膜エレメントが複数組並置されたときに、各吸引口が二列の千鳥配置に構成される浸漬平膜ユニットに対し、これらの各吸引口を介して取付けるようにした箱型形状の集水ブロックであって、上板側には、筒状の集合吸引口が凸設され、底板側には、前記各吸引口にそれぞれ嵌合する複数個の受入れ穴が穿設されるとともに、各受入れ穴の凹溝内には、止水用のOリングがそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0005】
上記構成によれば、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、上板側に集合吸引口を凸設した箱型形状で、受入れ穴が二列の千鳥配置であることから、処理水の集合空間即ち、吸引容積を大きくとることができ、しかも一列配置に比べ取付け間隔に余裕ができるので、取付け時の相互干渉もなくなる。
また、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、その底板側の各受入れ穴を介して平膜ユニットの各吸引口に同時に取付けることから、その組立て作業を簡単な操作で行うことができる。
さらに、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、各受入れ穴の凹溝内に止水用のOリングが配置されていることから、水漏れがなく安全かつ確実な排水処理を行うことができる。この場合、このOリングは、取付けにあたって、組立て精度の誤差を吸収する機能も有する。
【0006】
請求項2記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロックでは、前記凹溝内のOリングは、それぞれ2個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロックである。
上記構成によれば、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、Oリングを2個にしたことから止水機能が高まるので、水漏れに対する安全性及び良好な作業環境を確保できる。これは、発明者等の同時取付けの作業性及び水漏れ等に関する各種の実験結果等に基づき知見したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、箱型形状の内部では、浸漬平膜ユニットの各吸引口から処理水が集水され、この処理水が吸引ポンプにより、集合吸引口から外部配管を介して系外に排出される。
この結果、浸漬平膜用集水ブロックを同時取付けの作業操作だけで、水処理配管を構成できるという利点を有する。
また、本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、各吸引口の二列の千鳥配置によって、内部空間を広く確保することができるので、容量増加に伴う吸引機能を向上できるという利点を有する。
さらに、本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、浸漬平膜ユニットに対する取付けにあたって、止水用のOリングを適用しているため、止水機能が高められ、しかも組立て精度誤差も吸収できるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
平膜ユニット用集水ブロックは、吸引口を凸設した通水部材等からなる平膜エレメントが複数組並置されたときに、各吸引口が二列の千鳥配置に構成される浸漬平膜ユニットに対して適用される。
また、平膜ユニット用集水ブロックは、これらの各吸引口を介して取付けるようにした箱型形状なしており、上板側には、筒状の集合吸引口が凸設され、底板側には、前記各吸引口にそれぞれ嵌合する複数個の受入れ穴が穿設されるとともに、各受入れ穴の凹溝内には、止水用のOリングがそれぞれ配置されている。この場合、前記凹溝内のOリングは、それぞれ2個配置されることが好適する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックについて、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックを示す概念的な正面図で、図2は、その平面図であって、図3は、受入れ穴の配置状態を概念的に示す底面図である。
第1実施形態の浸漬平膜ユニット用集水ブロック1は、箱型形状をなすもので、例えば合成樹脂製のブロック本体2及び上蓋3から構成されている。そして、この上蓋3を構成する上板側には、集合吸引口4が凸設され、ブロック本体2の底板側には、後述する平幕浸漬ユニット10の各吸引口11に嵌合する各受入れ穴5が穿設されている。
前記各受入れ穴5は、図3で示されるように、二列の千鳥配置を採用しているが、これは、一列配置よりも吸引空間が広く、しかも穴位置の間隔に余裕を持たせ、取付け操作性を良好にする配慮である。
また、各受入れ穴5は、ブロック本体2に形成される底板の内面側には、図4で示されるように、拡大穴部分5aが連設され、しかも、図7で示される中蓋6を備えることによって凹溝7が構成される。この場合、図4は、図1に示される平膜浸漬ユニット用集水ブロックのA−A線に沿って得られる概念的な断面図で、内部構成を説明するために示したものである。図7は、前記中蓋6を示した平面図で、前記受入れ穴5に適合する連通穴6aが穿設されている。
そして、これらの各凹溝7内には、例えばエチレンゴム、シリコン、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等からなる止水用のOリング8が配置されている。
このOリング8は、各吸引口11の同時取付けにあたって、材質的には、柔らかすぎても、また硬すぎてもよくないし、組立て精度の誤差吸収の観点及び止水機能の観点から、適宜の弾発力が必要である。配置の個数については、取付け作業及び水処理実験等の結果から、発明者等は、通常の水処理では、1個でも差し支えないが、厳格な水処理が要求される場合には、2個が好適することを知見した。
図5(a)(b)は、上蓋3の正面図及び底面図をそれぞれ示したものであり、上蓋3の上側には、集合吸引口4が凸設され、下側には、その形状周縁に沿って先細の突起部分3aが形成されている。
また、図6(a)(b)は、ブロック本体2の正面図及び平面図をそれぞれ示したものであり、前述した上蓋3の突起部分3aは、ブロック本体2の形状周縁に沿って形成される傾斜穴部分2aに挿入され一体化される。この場合、前記ブロック本体2は、図6(a)で示されるように、底板の内面側では、中央部分を凹ませているが、残りの円弧状をなす陸部分には、前記拡大穴部分5aを備えた各受入れ穴5が穿設されるようになっている。これは、連通穴6aを有する中蓋6との面接触を確実にして、水漏れを防ぐ配慮である。
さらに、このようにして構成された平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、各受入れ穴5からの水漏れを防ぐため、中蓋6は、凹溝7内にOリング8が配置された後に、適宜の接着剤によってブロック本体2内部に固定される。
また、上蓋3についても、突起部分3aがブロック本体2の傾斜穴部分2aに挿入されるときに適宜の接着剤や固定部材(図示せず)を利用して固定される。
【0010】
ところで、平膜浸漬ユニット用集合ブロック1は、例えば、図8で示される10組の平膜エレメント12を並置した平膜浸漬ユニット10に対して適用される。つまり、図示の平膜浸漬ユニット10は、各吸引口11が二列の千鳥配置に構成されるものであって、各吸引口11は、同時に本発明の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1の各受入れ穴5に嵌合して取付けられる。この場合、図示の平膜浸漬ユニット10の枠部材10aには、吊下げに利用される突起部材13及び取付け部材14が形成されている。
なお、平膜エレメント12は、通水部材等からなるもので、例えば、ろ過膜15がスペーサーを介して通水材を覆っているものである。この場合、スペーサーは、不織布等の通気性のある材料によって形成され、ろ過膜15と一体構造でもよい。また、通水材は、例えば、前述した特許文献1に開示されている断面が波状をした基材の両面に多孔板を添設したものや、特開2000−354741号公報に開示されている袋状をなす多孔体としたものでもよい。
図9(a)(b)は、平膜浸漬ユニット10の各吸引口11に対し、本発明の平膜浸漬ユニット用集水ブロックを取付けた状態を断面的に示した概念的な一部正面図及び一部平面図である。
なお、図9(a)では、平膜浸漬ユニット用集水ブロックの集合吸引口4には、接続ホース16を接続したものが例示されている。
【0011】
図10は、別の形態をなす平膜浸漬ユニット10を例示する正面図であり、前述したものと同様な構成部品には、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。要すれば、図10では、平膜浸漬ユニット10を横置きに2個配置したものであり、ろ過膜15の下方には、ろ過膜15に沿ってそれぞれ散気管17を配設し、前記集合吸引口4に取付けた接続ホース15には、集合管18などが接続されるようになっている。
また、図11(a)(b)は、他の平膜浸漬ユニット10を例示する正面図及び平面図であり、前述のものと同様な構成部品には、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。つまり、図11(a)(b)に例示される平膜浸漬ユニット10は、図10に例示されるもの対して、吊下げに利用される突起部材13の構成を一部変更したものが示されている。
なお、本発明に適用される平膜浸漬ユニット10は、前記吸引口11が二列の千鳥配置に構成されていれば、各部材の個数、形状、材質などは、特に限定されるものではない。
【実施例2】
【0012】
次に、本発明に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロック1の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態と同様な部品には、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
第2実施形態の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、要すれば、第1実施形態と異なる点は、前述した受入れ穴5に構成される凹溝7の構成を変更したことにある。第2実施形態に係る図12は、本発明に係る第2実施形態における平膜浸漬ユニット用集水ブロックの正面図であり、図13は、図12のA−A線に沿って得られる断面図である。
第2実施形態に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロック1について、図12及び13を参照して説明すれば、第1実施形態と同様に、ブロック本体2及び上蓋3からなっている。そして、前記凹溝7は、ブロック本体2の上げ底になっている底板の外面にあって、受入れ穴5の拡大部分5aには、前記Oリング8が配置された後、連通穴9aを有する外板9によって塞がれることにより構成される。なお、外板9については、図15で平面図のみを例示した。
一方、第2実施形態では、前記ブロック本体2の底板は、上面側からみれば、受入れ穴5が図14(a)で示され、底面側からみれば、第1実施形態の図6(b)のように、中央部分2bを凹ませ、その陸部分に、拡大穴部分5aを有する受入れ穴5が図14(b)で示されている。
前記上蓋3は、第1実施形態と略同一形状なので、簡略化のため図示を省略し、平膜浸漬ユニット用集水ブロック1についても、略同一に示されるため平面図及び底面図を省略している。
なお、本発明の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、各部材の個数、形状、材質などは、特に限定されるものではない。
このような構成の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1について、前述した平膜浸漬ユニット10に取付けて水処理したが、第1実施形態のものと同様、取付け操作性もよく、吸引効率の向上が得られ、しかも安全かつ適正な水処理が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す概念的な正面図である。
【図2】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図1に対する平面図である。
【図3】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図1に対する底面図である。
【図4】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図1中のA−A線に沿って得られる断面図である。
【図5】 上蓋を概念的に説明する図であり、図5(a)は、正面図、図5(b)は、底面図である。
【図6】 ブロック本体を概念的に説明する図であり、図6(a)は、正面図、図6(b)は、平面図である。
【図7】 中蓋を概念的に示す平面図である。
【図8】 平膜浸漬ユニットを概念的に示す斜視図である。
【図9】 平膜浸漬ユニットの各吸引口に対し、本発明に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを取付けた状態を概念的に説明する図であり、図9(a)は、一部正面図、図9(b)は、一部平面図である。
【図10】 他の実施形態に係る平膜浸漬ユニットの各吸引口に対し、本発明に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを取付けた状態を概念的に示す正面図である。
【図11】 別の平膜浸漬ユニットを概念的に説明する図であり、図11(a)は、正面図、図11(b)は、平面図である。
【図12】 本発明の第2実施形態に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを概念的に示す正面図である。
【図13】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図12中のA−A線に沿って得られる断面図である。
【図14】 ブロック本体を概念的に説明する図であり、図14(a)は、正面図、図14(b)は、平面図、図14(c)は、底面図である。
【図15】 外板を示す概念的な平面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 平膜浸漬ユニット用集水ブロック
2 ブロック本体
3 上蓋
4 集合吸引口
5 受入れ穴
6 中蓋
7 凹溝
8 Oリング
9 外板
10 平膜浸漬ユニット
11 吸引口
12 平膜エレメント
15 ろ過膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水や産業排水等の処理に使用される浸漬平膜ユニット用集水ブロックに関し、特に浸漬平膜ユニットに簡単に取付けることができ、しかも吸引機能及び止水機能を高め得る水処理の配管技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浸漬平膜ろ過装置では、処理槽内に被処理水が貯留され、この被処理水中には、吸引口を備えた浸漬平膜ユニットが浸漬されている。
そして、この浸漬平膜ユニットは、平膜エレメントを複数組並置することにより構成されるもので、通水部材の内部の通過によって処理された処理水は、吸引ポンプにより、前記吸引口から外部配管を介して系外に排出される。
ところで、前記吸引口については、平膜エレメントの側面部に吸引口が形成される場合(例えば、特許文献1参照)では、接続ホースを取付けるにあたって、各吸引口の間隔が狭ことから作業性が悪く、このため、配管構成の単純化が要望されている。
また、浸漬平膜ユニットの膜接合部材に吸引口が形成される場合(例えば、特許文献2参照)では、膜接合部材内に集水部分が形成される。このため、処理水の収容量が少なく、この結果、吸引効率も低いため、構造的な改善が要求されている。
【特許文献1】特開2006−43631号公報
【特許文献2】特許第3815645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、従来の浸漬平膜ユニットにおける集水管や集水部分による構成では、配管構成として作業性及び効率性が悪いことから、これらの改善が問題点になっている。つまり、浸漬平膜ユニットからの効率的な吸引機能を簡単に、しかも単純化構成で実現できる配管構成が要求されている。
このようなことから、本発明では、上述の点に鑑みなされたもので、これらの問題点を基本的に解消し得ることを目的とし、また吸引機能を向上し得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る請求項1記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、吸引口を凸設した通水部材等からなる平膜エレメントが複数組並置されたときに、各吸引口が二列の千鳥配置に構成される浸漬平膜ユニットに対し、これらの各吸引口を介して取付けるようにした箱型形状の集水ブロックであって、上板側には、筒状の集合吸引口が凸設され、底板側には、前記各吸引口にそれぞれ嵌合する複数個の受入れ穴が穿設されるとともに、各受入れ穴の凹溝内には、止水用のOリングがそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0005】
上記構成によれば、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、上板側に集合吸引口を凸設した箱型形状で、受入れ穴が二列の千鳥配置であることから、処理水の集合空間即ち、吸引容積を大きくとることができ、しかも一列配置に比べ取付け間隔に余裕ができるので、取付け時の相互干渉もなくなる。
また、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、その底板側の各受入れ穴を介して平膜ユニットの各吸引口に同時に取付けることから、その組立て作業を簡単な操作で行うことができる。
さらに、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、各受入れ穴の凹溝内に止水用のOリングが配置されていることから、水漏れがなく安全かつ確実な排水処理を行うことができる。この場合、このOリングは、取付けにあたって、組立て精度の誤差を吸収する機能も有する。
【0006】
請求項2記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロックでは、前記凹溝内のOリングは、それぞれ2個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロックである。
上記構成によれば、浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、Oリングを2個にしたことから止水機能が高まるので、水漏れに対する安全性及び良好な作業環境を確保できる。これは、発明者等の同時取付けの作業性及び水漏れ等に関する各種の実験結果等に基づき知見したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、箱型形状の内部では、浸漬平膜ユニットの各吸引口から処理水が集水され、この処理水が吸引ポンプにより、集合吸引口から外部配管を介して系外に排出される。
この結果、浸漬平膜用集水ブロックを同時取付けの作業操作だけで、水処理配管を構成できるという利点を有する。
また、本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、各吸引口の二列の千鳥配置によって、内部空間を広く確保することができるので、容量増加に伴う吸引機能を向上できるという利点を有する。
さらに、本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックは、浸漬平膜ユニットに対する取付けにあたって、止水用のOリングを適用しているため、止水機能が高められ、しかも組立て精度誤差も吸収できるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
平膜ユニット用集水ブロックは、吸引口を凸設した通水部材等からなる平膜エレメントが複数組並置されたときに、各吸引口が二列の千鳥配置に構成される浸漬平膜ユニットに対して適用される。
また、平膜ユニット用集水ブロックは、これらの各吸引口を介して取付けるようにした箱型形状なしており、上板側には、筒状の集合吸引口が凸設され、底板側には、前記各吸引口にそれぞれ嵌合する複数個の受入れ穴が穿設されるとともに、各受入れ穴の凹溝内には、止水用のOリングがそれぞれ配置されている。この場合、前記凹溝内のOリングは、それぞれ2個配置されることが好適する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックについて、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る浸漬平膜ユニット用集水ブロックを示す概念的な正面図で、図2は、その平面図であって、図3は、受入れ穴の配置状態を概念的に示す底面図である。
第1実施形態の浸漬平膜ユニット用集水ブロック1は、箱型形状をなすもので、例えば合成樹脂製のブロック本体2及び上蓋3から構成されている。そして、この上蓋3を構成する上板側には、集合吸引口4が凸設され、ブロック本体2の底板側には、後述する平幕浸漬ユニット10の各吸引口11に嵌合する各受入れ穴5が穿設されている。
前記各受入れ穴5は、図3で示されるように、二列の千鳥配置を採用しているが、これは、一列配置よりも吸引空間が広く、しかも穴位置の間隔に余裕を持たせ、取付け操作性を良好にする配慮である。
また、各受入れ穴5は、ブロック本体2に形成される底板の内面側には、図4で示されるように、拡大穴部分5aが連設され、しかも、図7で示される中蓋6を備えることによって凹溝7が構成される。この場合、図4は、図1に示される平膜浸漬ユニット用集水ブロックのA−A線に沿って得られる概念的な断面図で、内部構成を説明するために示したものである。図7は、前記中蓋6を示した平面図で、前記受入れ穴5に適合する連通穴6aが穿設されている。
そして、これらの各凹溝7内には、例えばエチレンゴム、シリコン、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等からなる止水用のOリング8が配置されている。
このOリング8は、各吸引口11の同時取付けにあたって、材質的には、柔らかすぎても、また硬すぎてもよくないし、組立て精度の誤差吸収の観点及び止水機能の観点から、適宜の弾発力が必要である。配置の個数については、取付け作業及び水処理実験等の結果から、発明者等は、通常の水処理では、1個でも差し支えないが、厳格な水処理が要求される場合には、2個が好適することを知見した。
図5(a)(b)は、上蓋3の正面図及び底面図をそれぞれ示したものであり、上蓋3の上側には、集合吸引口4が凸設され、下側には、その形状周縁に沿って先細の突起部分3aが形成されている。
また、図6(a)(b)は、ブロック本体2の正面図及び平面図をそれぞれ示したものであり、前述した上蓋3の突起部分3aは、ブロック本体2の形状周縁に沿って形成される傾斜穴部分2aに挿入され一体化される。この場合、前記ブロック本体2は、図6(a)で示されるように、底板の内面側では、中央部分を凹ませているが、残りの円弧状をなす陸部分には、前記拡大穴部分5aを備えた各受入れ穴5が穿設されるようになっている。これは、連通穴6aを有する中蓋6との面接触を確実にして、水漏れを防ぐ配慮である。
さらに、このようにして構成された平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、各受入れ穴5からの水漏れを防ぐため、中蓋6は、凹溝7内にOリング8が配置された後に、適宜の接着剤によってブロック本体2内部に固定される。
また、上蓋3についても、突起部分3aがブロック本体2の傾斜穴部分2aに挿入されるときに適宜の接着剤や固定部材(図示せず)を利用して固定される。
【0010】
ところで、平膜浸漬ユニット用集合ブロック1は、例えば、図8で示される10組の平膜エレメント12を並置した平膜浸漬ユニット10に対して適用される。つまり、図示の平膜浸漬ユニット10は、各吸引口11が二列の千鳥配置に構成されるものであって、各吸引口11は、同時に本発明の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1の各受入れ穴5に嵌合して取付けられる。この場合、図示の平膜浸漬ユニット10の枠部材10aには、吊下げに利用される突起部材13及び取付け部材14が形成されている。
なお、平膜エレメント12は、通水部材等からなるもので、例えば、ろ過膜15がスペーサーを介して通水材を覆っているものである。この場合、スペーサーは、不織布等の通気性のある材料によって形成され、ろ過膜15と一体構造でもよい。また、通水材は、例えば、前述した特許文献1に開示されている断面が波状をした基材の両面に多孔板を添設したものや、特開2000−354741号公報に開示されている袋状をなす多孔体としたものでもよい。
図9(a)(b)は、平膜浸漬ユニット10の各吸引口11に対し、本発明の平膜浸漬ユニット用集水ブロックを取付けた状態を断面的に示した概念的な一部正面図及び一部平面図である。
なお、図9(a)では、平膜浸漬ユニット用集水ブロックの集合吸引口4には、接続ホース16を接続したものが例示されている。
【0011】
図10は、別の形態をなす平膜浸漬ユニット10を例示する正面図であり、前述したものと同様な構成部品には、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。要すれば、図10では、平膜浸漬ユニット10を横置きに2個配置したものであり、ろ過膜15の下方には、ろ過膜15に沿ってそれぞれ散気管17を配設し、前記集合吸引口4に取付けた接続ホース15には、集合管18などが接続されるようになっている。
また、図11(a)(b)は、他の平膜浸漬ユニット10を例示する正面図及び平面図であり、前述のものと同様な構成部品には、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。つまり、図11(a)(b)に例示される平膜浸漬ユニット10は、図10に例示されるもの対して、吊下げに利用される突起部材13の構成を一部変更したものが示されている。
なお、本発明に適用される平膜浸漬ユニット10は、前記吸引口11が二列の千鳥配置に構成されていれば、各部材の個数、形状、材質などは、特に限定されるものではない。
【実施例2】
【0012】
次に、本発明に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロック1の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態と同様な部品には、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
第2実施形態の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、要すれば、第1実施形態と異なる点は、前述した受入れ穴5に構成される凹溝7の構成を変更したことにある。第2実施形態に係る図12は、本発明に係る第2実施形態における平膜浸漬ユニット用集水ブロックの正面図であり、図13は、図12のA−A線に沿って得られる断面図である。
第2実施形態に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロック1について、図12及び13を参照して説明すれば、第1実施形態と同様に、ブロック本体2及び上蓋3からなっている。そして、前記凹溝7は、ブロック本体2の上げ底になっている底板の外面にあって、受入れ穴5の拡大部分5aには、前記Oリング8が配置された後、連通穴9aを有する外板9によって塞がれることにより構成される。なお、外板9については、図15で平面図のみを例示した。
一方、第2実施形態では、前記ブロック本体2の底板は、上面側からみれば、受入れ穴5が図14(a)で示され、底面側からみれば、第1実施形態の図6(b)のように、中央部分2bを凹ませ、その陸部分に、拡大穴部分5aを有する受入れ穴5が図14(b)で示されている。
前記上蓋3は、第1実施形態と略同一形状なので、簡略化のため図示を省略し、平膜浸漬ユニット用集水ブロック1についても、略同一に示されるため平面図及び底面図を省略している。
なお、本発明の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1は、各部材の個数、形状、材質などは、特に限定されるものではない。
このような構成の平膜浸漬ユニット用集水ブロック1について、前述した平膜浸漬ユニット10に取付けて水処理したが、第1実施形態のものと同様、取付け操作性もよく、吸引効率の向上が得られ、しかも安全かつ適正な水処理が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す概念的な正面図である。
【図2】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図1に対する平面図である。
【図3】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図1に対する底面図である。
【図4】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図1中のA−A線に沿って得られる断面図である。
【図5】 上蓋を概念的に説明する図であり、図5(a)は、正面図、図5(b)は、底面図である。
【図6】 ブロック本体を概念的に説明する図であり、図6(a)は、正面図、図6(b)は、平面図である。
【図7】 中蓋を概念的に示す平面図である。
【図8】 平膜浸漬ユニットを概念的に示す斜視図である。
【図9】 平膜浸漬ユニットの各吸引口に対し、本発明に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを取付けた状態を概念的に説明する図であり、図9(a)は、一部正面図、図9(b)は、一部平面図である。
【図10】 他の実施形態に係る平膜浸漬ユニットの各吸引口に対し、本発明に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを取付けた状態を概念的に示す正面図である。
【図11】 別の平膜浸漬ユニットを概念的に説明する図であり、図11(a)は、正面図、図11(b)は、平面図である。
【図12】 本発明の第2実施形態に係る平膜浸漬ユニット用集水ブロックを概念的に示す正面図である。
【図13】 前記平膜浸漬ユニット用集水ブロックを示す図12中のA−A線に沿って得られる断面図である。
【図14】 ブロック本体を概念的に説明する図であり、図14(a)は、正面図、図14(b)は、平面図、図14(c)は、底面図である。
【図15】 外板を示す概念的な平面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 平膜浸漬ユニット用集水ブロック
2 ブロック本体
3 上蓋
4 集合吸引口
5 受入れ穴
6 中蓋
7 凹溝
8 Oリング
9 外板
10 平膜浸漬ユニット
11 吸引口
12 平膜エレメント
15 ろ過膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引口を凸設した通水部材等からなる平膜エレメントが複数組並置されたときに、各吸引口が二列の千鳥配置に構成される浸漬平膜ユニットに対し、これらの各吸引口を介して取付けるようにした箱型形状の集水ブロックであって、
上板側には、筒状の集合吸引口が凸設され、底板側には、前記各吸引口にそれぞれ嵌合する複数個の受入れ穴が穿設されるとともに、各受入れ穴の凹溝内には、止水用のOリングがそれぞれ配置されていることを特徴とする浸漬平膜ユニット用集水ブロック。
【請求項2】
前記凹溝内のOリングは、それぞれ2個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロック。
【請求項1】
吸引口を凸設した通水部材等からなる平膜エレメントが複数組並置されたときに、各吸引口が二列の千鳥配置に構成される浸漬平膜ユニットに対し、これらの各吸引口を介して取付けるようにした箱型形状の集水ブロックであって、
上板側には、筒状の集合吸引口が凸設され、底板側には、前記各吸引口にそれぞれ嵌合する複数個の受入れ穴が穿設されるとともに、各受入れ穴の凹溝内には、止水用のOリングがそれぞれ配置されていることを特徴とする浸漬平膜ユニット用集水ブロック。
【請求項2】
前記凹溝内のOリングは、それぞれ2個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浸漬平膜ユニット用集水ブロック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−190015(P2009−190015A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58649(P2008−58649)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(391048739)株式会社安藤製作所 (2)
【出願人】(508072501)株式会社エンテック (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(391048739)株式会社安藤製作所 (2)
【出願人】(508072501)株式会社エンテック (12)
【Fターム(参考)】
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