消火栓装置
【課題】配線の作業性に優れた電線横断路構造を持つ消火栓装置を提供する。
【解決手段】第1筐体12−1には前方から見てホース収納空間36の右側にバルブ類収納空間38を形成している。第1筐体12−1の内部のホース収納空間36の前方上部に電線を通す電線横断路を設ける。電線横断路は前方上部空間を外部に開口しており、電線を通す際に手前から手を入れて作業することができる。また、第1筐体12−1の内部のホース収納空間36の前方下部に電線を通す電線横断路を設けてもよい。
【解決手段】第1筐体12−1には前方から見てホース収納空間36の右側にバルブ類収納空間38を形成している。第1筐体12−1の内部のホース収納空間36の前方上部に電線を通す電線横断路を設ける。電線横断路は前方上部空間を外部に開口しており、電線を通す際に手前から手を入れて作業することができる。また、第1筐体12−1の内部のホース収納空間36の前方下部に電線を通す電線横断路を設けてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓扉を開いて放水ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路などのトンネル内には、火災発生時に備えて消火栓装置が設置されている。
【0003】
図11は従来の消火栓装置100の正面図であり、図12は消火栓装置100の消火栓扉104を開いた状態の内部構造の平面図であり、図13はその側面図である。消火栓装置100の筐体102の前面には消火栓扉104と消火器扉106が設けられている。
【0004】
消火栓扉104にはハンドルが設けられ、ハンドルを手前に引くことでロックを解除し、消火栓扉104の下側を回転軸に前方に開放することができる。また消火栓扉104と筐体102との間には緩衝用ダンパ108が設けられ、消火栓扉104を滑らかに開放できるようにしている。
【0005】
消火栓扉104の内部には、先端にノズル110を装着したホース112を筐体内のホースバケット116に内巻きして収納している。ホース112はホースバケット116の側面板に開口した孔を通してホースバケット116内に収納される。その孔には、ホース112を引き出したときに、ホース112が擦れてホース表面が傷付くことを防ぐために、ホース112は保護管112aの中を通ってホースバケット116内に入る。
【0006】
消火栓扉104を開いてノズル110付きのホース112を引き出し、扉内に設けている消火栓弁開閉レバー114を操作することで消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0007】
更に、図13に示すように、筐体102の内部上方に、断面L字形の板を配置し、上面との間に電線横断路118を構成し、筐体102の右側から電線横断路118に電線を通し、消火器側の筐体内部の端子台などに配線している。
【特許文献1】特開2005−318972号公報
【特許文献2】特開2001−204842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような消火栓装置にあっては、筐体内の上部に左右に貫通する電線横断路を設けて電線を通すようにしていたため、左右に伸びた電線横断路の空間穴に電線を通すためには筐体奥に手を入れなければならず、また、電線を一端の開口から挿入して反対側の開口まで通すこととなり、電線横断路に電線を通す作業が煩雑で手間と時間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、配線の作業性に優れた電線横断路構造を持つ消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
内部にホース収納空間を形成した筐体と、
前記筐体の前方に取り付けられ前記ホース収納空間のホースを取り出すための扉開口部を有する化粧枠と、
扉開口部に開閉自在に配置される消火栓扉と、
を備えた消火栓装置に於いて、
筐体内部のホース収納空間と前記化粧枠との間の上部もしくは下部に電線を通す電線横断路を設けたことを特徴とする。
【0011】
ここで、筐体内部のホース収納空間前方の上部に設けた電線横断路は、前方上部空間を外部に開口する。
【0012】
また、筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、上部に開口したトラフ形状であり、底面に水抜き穴を備える。更に、筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、ホース収納空間に収納されたホースの前方への移動を規制するホース規制板を備える。
【0013】
また筐体内部の電線横断路は、消火栓扉を開放した際に扉開口部から隠れた位置に配置する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホース収納空間の前方に形成された空き空間の上部もしくは下部に電線横断路を形成したことにより、電線横断路が扉開口部に近い手前側に位置し、電線横断路に電線を通す際に、扉開口側から簡単に手を入れて電源を通すことかでき、左右に伸びた電線横断路に電線を通す作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0015】
また上部の電線横断路はその一部が扉開口となる手前側に開口し、下部の配線横断路は上部に開口したトラフ形状であり、一方の通線口から挿入した電線を、手前から手を入れて通していく作業ができ、狭いスペースであっても、効率良く作業ができる。
【0016】
さらに、扉を開放したときに電線横断路は開口部から隠れた目立たない位置に配置したことで、配線作業が完了した後は、ホースの引き出し作業や収納作業に悪影響を及ぼすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明によるトンネルに設置される消火栓装置の実施形態を示した正面図である。図1において、消火栓装置10は、消火栓側の筐体12−1と消火器側の筐体12−2に分割した構造であり、全面に化粧板14−1,14−2を装着しており、筐体12−1,12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定した状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
【0018】
化粧板14−1,14−2には扉開口部16,17が設けられている。第1筐体12−1の扉開口部16には、消火栓扉18と保守扉22が設けられており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。消火栓扉18は下側のヒンジ21を中心に前方に開閉することができ、通常時は一対のハンドル20によるロックで図示の閉鎖位置に閉じており、ハンドル20に手を入れて手前に引くとロックが外れ、開くことができる。
【0019】
消火栓扉18の上には、ヒンジ23により上向に開閉する保守扉22が設けられており、点検時に消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。また、第1筐体12−1の上部両側には装置を吊り下げるための吊り輪25が取り付けられている。
【0020】
第2筐体12−2の扉開口部17の右側には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯26、発信機28、及び応答ランプ30を設けている。なお、通報装置扉24の内側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。
【0021】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
【0022】
扉開口部17の左側には消火器扉32が設けられ、消火器扉32に対応した筐体12の内部を消火器収納空間とし、例えば2本の消火器を収納している。消火器扉32にはハンドル34が設けられ、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0023】
図2は図1の実施形態について第1筐体12−1側の消火栓扉を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示した正面図である。図2において、第1筐体12−1の左側にはホース収納空間36が形成され、右側にバルブ類収納空間38を形成している。
【0024】
ホース収納空間36にはフレームパイプを水平方向で上下に配置したバケットフレーム40に配置され、内部にホース収納空間を形成している。バケットフレーム40は一方のパイプを正面から見てU字形で且つ平面から見て横L字形となるように屈曲しており、左側の上下のパイプ端は第1筐体12−1の左側面の内壁面に固定され、右側の屈曲端部はフレームホルダ45により筐体背面の内壁面に固定されている。
【0025】
バケットフレーム40の中央には縦方向に2本のホースガイド42が固定され、その中にホース引出し口を形成している。ホースガイド42はホース44を引き出す際に、内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぐ。
【0026】
バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44が内巻きして収納されている。ここで、右側のバルブ類収納空間38の下部にはホース接続口46が配置されており、ホース接続口46にホース44の1次側を接続した後、ホース44をホース収納空間36に巻き込むことになるが、この場合のホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。
【0027】
即ち、ホース接続口46に接続したホース44は、まず第1筐体12−1の下側内壁に沿うようにホース収納部36方向に向かい、ホース収納空間36の下側から巻き込まれ、その後に、右回りに収納空間内に巻き込まれ、最後にノズル48を装着したホース先端をバケットフレーム40中央付近に取り付けられたホースガイド42の間から取り出し、下側のバケットフレーム40に装着しているノズルホルダー50にノズル48を着脱自在に装着している。
【0028】
このようなホース収納空間36に対しホース接続口46を最下部に位置させて右巻きした内巻きにより収納することで、図11の従来例に示したように、ホース112を左巻きとしてホース巻き込み開始部分112aをホース収納空間の上部に送り込む場合のホース収納空間から外れるホース部分(巻き込み半周程度)がなくなり、その分、ホース44を短くでき、ホース収納空間36の容積が減ることで、結果的に筐体12を薄型化できる。
【0029】
また、ホース巻き込み開始部分は右巻きによりホース収納空間36の下側に送りこまれるため、ホース44がホースバケット42に当って摺動するようなことはなく、図11の従来のホース左巻きによりホースバケットに当って摺動することに対する保護の必要がなく、構造を簡単にできる。
【0030】
またホース収納空間36に右巻きとして収納した後に取り出したホース先端のノズル48は放水部を下向きにしてノズルホルダー50に着脱自在に装着されており、放水部が下向きであることから、消火栓扉を開いてノズル48を放水部を下に向けたまま外すことができ、消火栓弁に設けている消火栓弁開閉レバー64を操作しない限り、放水されないが、火災時に操作する者にとっては不慣れであることから、放水口が自分に向かないことで、安心感をもってノズル48を外すことができ、安全面でのメリットが大きい。
【0031】
また放水部を下向きにして配置されたノズル48の取り出しは、右手であっても、左手であっても、殆ど違和感なく、容易にグリップを掴んで外すことができる。
【0032】
第1筐体12−1に設けたホース収納空間36の右側に配置したバルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース接続口46に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、及びメンテナンス装置60を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー64に対応して銘板66が設けられており、銘板66の裏側に消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁が配置されている。
【0033】
図3は、図1について内部構造を示した平面図である。図3において、第1筐体12−1と第2筐体12−2は連結固定部15においてボルトにより固定されている。第1筐体12−1のホース収納空間36には平面から見て横L字形にバケットフレーム40が配置され、筐体内壁との間に形成したホース収納空間にホース44を右巻きにより内巻き状態で収納している。また、消火器収納空間39には2本の消火器37が収納されている。
【0034】
図4は図1について内部構造を示した側面図であり、バルブ類収納空間の構造を示している。図4において、第1筐体12−1の前面の閉鎖状態にある消火栓扉18は、ハンドル操作によりラッチを解除することで、ヒンジ21を中心に図示の前方位置に開くことができる。
【0035】
この場合、消火栓扉18には従来のように、ノズルや消火栓弁開閉レバーが設けられていないことから軽量化されており、開放の際の衝撃を吸収するダンパーを必ずしも設ける必要はなく、簡単なダンパ機構やバネ機構などの緩衝機構を設けるだけで良い。
【0036】
バルブ類収納空間38には、給水弁52、消火栓弁54、自動調圧弁56及びメンテナンス装置60が縦方向に連設配置されている。自動排水弁58は消火栓弁54の2次側に装着されている。
【0037】
消火栓弁54には直接に消火栓弁開閉レバー64が装着されている。即ち消火栓弁開閉レバー64が図示の上向き位置の閉位置のとき、消火栓弁54は閉状態であり、このとき配管内に消火用水が存在せず、圧がないことから自動排水弁58は開状態にある。
【0038】
消火栓弁開閉レバー64を下向きとなる開位置に操作すると、消火栓弁56が開放位置に作動され、配管内に圧が上昇して自動排水弁58は閉鎖位置に作動される。これによって、給水接続口51から加圧された消火用水を自動調圧弁56を通して所定圧に調圧した後、ホース44側に供給するようにしている。
【0039】
同時に消火栓弁開閉レバー64の背後に設置しているスイッチがオンし、これによってポンプ設備に信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー64を元の上向き位置に戻すと消火栓弁54が閉じ、同時にスイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
【0040】
このように本実施形態にあっては、従来、消火栓扉に設けてワイヤー連結により消火栓弁を開閉していた消火栓弁開閉レバー64を筐体12側に配置して消火栓弁54に直接設けたことで、消火栓扉18の構造が簡略化され、薄型化と軽量化を達成することができる。
【0041】
更に、バルブ類収納空間側の筐体側面の上部には通線口74が開口しており、ここから電線を引き込むようにしている。
【0042】
図5は図1についてホース収納空間の部分の断面構造を示した断面図である。図5において、第1筐体12−1の内部に配置したバケットフレーム40の背後にホース収納空間36が形成され、ここにホース44を内巻き状態で収納している。
【0043】
バケットフレーム40で規制されたホース収納空間36の前方の扉開口部との間には空き空間41が形成され、この実施形態にあっては、空き空間41の上部に横断路支持部材70を配置し、第1筐体12−1を左右に貫通する電線横断路72を設けている。
【0044】
横断路支持部材70は筐体内面上方に配置している。これにより図2に示すように保守扉22を上側に開放したときに、扉開口部16からは隠れて目立たなくしている。よって、消火栓装置の設置時に行う配線作業が完了した後は、火災時のホースの引き出し作業や、ホースの収納作業に邪魔になることがない。
【0045】
図6は図1の分割筐体構造を取り出して示した説明図である。図6において、本実施形態の筐体は第1筐体12−1と第2筐体12−2に分割されており、第1筐体12−1の内部にはホース収納空間36とバルブ類収納空間38が形成され、箱型に形成したフレームの左、右、上部及び背面に金属隔壁を固定した箱型形状としている。
【0046】
第1筐体12−1のホース収納空間36にはバケットフレーム40が左側のパイプ端の金属隔壁への固定および右側の屈曲部のフレームホルダ45による背面への固定で支持されている。バケットフレーム36の前方となる空き空間の上部には、左右に亘って横断路支持部材70が配置され、左右の側壁の横断路支持部材70に相対する位置には通線口74,76が開口している。
【0047】
第2筐体12−2の内部には消火器収納空間39が形成され、箱型に形成したフレームの左右、上部及び背面に金属隔壁を固定している。第1筐体12−1の左側の通線口76に相対する側壁部分には通線口78が形成されている。また、第2筐体12−2の上部背面側には、強電用の端子箱784と弱電用の端子箱785が設置されている。
【0048】
第1筐体12−1の左側隔壁の4箇所にはネジ穴80が形成されている。ネジ穴80に対応した第2筐体12−2側の右側隔壁にはダルマ穴82が設けられている。第1筐体12−1に対する第2筐体の固定は、第1筐体のネジ穴80にボルトを捩じ込んでボルト頭部を左側に飛び出した状態とし、このボルト頭部に第2筐体のダルマ穴82の大径穴を嵌め入れ、ボルトネジ部をダルマ穴82の小径穴に移動する。この状態でボルトを締め付けて固定する。
【0049】
更に、第1筐体12−1及び第2筐体12−2の前面のフレームには、それぞれ4箇所に化粧板14−1,14−2を取り付けるためのネジ穴86,88が設けられている。
【0050】
図7は図6における上部の横断路支持部材70を取り出して示した説明図であり、横断路支持部材70は底板70a、前板70b、背板70c、上板70dにより前部上方に開口したトラフ形状をもった部材であり、図6のように上板70dにより第1筐体12−1の内部の上部前方に組付けた状態で手前側に開口を形成しており、手前から内部に手を入れて電線を通す作業ができるようにしている。
【0051】
このような本実施形態の第1筐体12−1の内部の上部前方に設けた横断路部材70によって形成される電線横断路72によれば、ホース収納空間36の前方に形成された空き空間の上部に電線横断路72を形成したことにより、電線横断路72が扉開口部に近い手前側に位置し、電線横断路72に電線を通す際に、扉開口側から簡単に手を入れて電線を通すことかでき、電線横断路12に右側から電線を挿入して左に送りながら通し、第2筐体12−2の端子箱74,75に電線を接続する作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0052】
また上部の電線横断路70はその一部が扉開口となる手前側に開口し、手前から手を入れて電線を通していく作業ができ、狭いスペースであっても、効率良く作業ができる。
【0053】
さらに図5に示すように、横断路支持部材70の背板70cは、ホース収納空間36と空き空間41との境界部材を兼用しており、背板70cの背面がホース収納空間36に収納されたホース44が空き空間41側へ移動してばらけるのを押さえている。
【0054】
なお、図7に示す横断路部材70は一枚の板部材に限らず、途中が切れた複数部材で構成されていても良いし、ホース収納空間36の範囲のみ設けても良い。
【0055】
図8は扉側を外して本体内部構造を示した本発明の他の実施形態を示した正面図であり、図9にホース収納空間の部分の断面構造を示している。
【0056】
図8の実施形態における第1筐体12−1及び第2筐体の構造は基本的に図2の実施形態と同じであるが、電線横断路をホース収納空間36の下部手前側に設けている。即ち、図9に示すように、第1筐体12−1の内部に配置したバケットフレーム40で規制されたホース収納空間36の前方の扉開口部との間には空き空間41が形成され、この実施形態にあっては、空き空間41の下部に横断路支持部材90を配置し、第1筐体12−1を左右に貫通する電線横断路964を設けている。筐体左右側壁の横断路支持部材90に相対する位置には図6と同様な通線口が開口している。
【0057】
図10は図9における上部の横断路支持部材90を取り出して示した説明図であり、横断路支持部材90は底板90a、前板90b、背板90cにより上方及び前部上方に開口したトラフ形状をもった部材である。
【0058】
また、横断路支持部材90の背板90cは斜め前方に傾いており、更に2本のホースガイド44に対応したホース収納空間36の中央部分となる位置にホース規制板924を一体に張出し形成しており、ホース収納空間36に収納されたホースの下側の前方への移動を規制している。
【0059】
また横断路支持部材90の底板90aには水抜き穴94が複数設けられており、電線横断路96の底に水がたまるのを防止している。
【0060】
このような図7〜図10の実施形態の第1筐体12−1の内部の下部前方に設けた横断路部材90によって形成される電線横断路96によれば、ホース収納空間36の前方に形成された空き空間の下部に電線横断路96を形成したことにより、電線横断路96が扉開口部に近い手前側に位置し、電線横断路96に電線を通す際に、扉開口側から簡単に手を入れて電線を通すことかでき、電線横断路96に右側から電線を挿入して左に送りながら第2筐体12−2の端子箱74,75に電線を接続する作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0061】
また電線横断路90は上部に開口しているため、手前から手を入れて電線を通していく作業が簡単にでき、狭いスペースであっても、効率良く作業ができる。
【0062】
また消火栓扉18を開放したときに、扉開口部16からは下側に隠れて目立たなくしている。よって、消火栓装置の設置時に行う配線作業が完了した後は、火災時のホースの引き出し作業や、ホースの収納作業に邪魔になることがない。
【0063】
また第1実施形態の上部に設けた横断路支持部材70と下部に設けた横断路支持部材90と両方筐体内に設けてどちらでも電線を通せる構成にしても良い。この場合、両支持部材の背板が収納されたホースの前方への移動を規制することもできる。
【0064】
なお上記の実施形態にあっては、工場段階で第1筐体12−1及び第2筐体12−2に必要な機器を組み込んだ後に連結固定して、最終的に化粧板14−1,14−2を取り付けて完成させるようにしているが、設置現場に搬送する際に、化粧板14−1,14−2を外すと共に第1筐体12−1と第2筐体12−2の連結を外し、第1筐体12−1、第2筐体12−2及び化粧板14を分離した状態で設置現場に運搬し、現場で組み立ててトンネル壁面の必要場所に設置することも可能である。
【0065】
この場合、最も重量が大きいのは第1筐体12−1であることから、第1筐体12−1の上部には2つの吊り輪25が設けられ、工場組立段階における移動や組立後の分離状態での現場搬送の際には、吊り輪25にフックなどを掛けてクレーンなどにより吊り下げ搬送できるようにしている。
【0066】
また、上記の実施形態にあっては、筐体を消火栓側と消火器側とに分割した場合を例にとっているが、一体型の筐体構造についても、同様に、筐体内部のホース収納空間前方の上部もしくは下部に電線を通す電線横断路を設ける構造を適用することができる。
【0067】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による消火栓装置の実施形態を正面から示した説明図
【図2】図1について扉側を外して本体内部構造を示した正面図
【図3】図1について内部構造を示した平面図
【図4】図1について内部構造を示した側面図
【図5】図1についてホース収納部の断面構造を示した断面図
【図6】図1の分割筐体構造を示した説明図
【図7】図6における上部の横断路部材を取り出して示した説明図
【図8】扉側を外して本体内部構造を示した本発明の他の実施形態を示した正面図
【図9】図8についてホース収納部の断面構造を示した断面図
【図10】図9における下部の横断路部材を取り出して示した説明図
【図11】従来の消火栓装置の扉を外して内部構造を示した正面図
【図12】従来の消火栓装置の扉を開放して内部構造を示した平面図
【図13】従来の消火栓装置の扉を開放して内部構造を示した側面図
【符号の説明】
【0069】
10:消火栓装置
12−1:第1筐体
12−2:第2筐体
14−1,14−2:化粧板
16,17:扉開口部
36:ホース収納空間
38:バルブ類収納空間
40:バケットフレーム
42:ホースガイド
44:ホース
70,90:横断路支持部材
72,96:電線横断路
72a,90a:底板
72b,90b:前板
72c,90c:背板
74,76,78:通線口
92:ホース規制板
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓扉を開いて放水ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路などのトンネル内には、火災発生時に備えて消火栓装置が設置されている。
【0003】
図11は従来の消火栓装置100の正面図であり、図12は消火栓装置100の消火栓扉104を開いた状態の内部構造の平面図であり、図13はその側面図である。消火栓装置100の筐体102の前面には消火栓扉104と消火器扉106が設けられている。
【0004】
消火栓扉104にはハンドルが設けられ、ハンドルを手前に引くことでロックを解除し、消火栓扉104の下側を回転軸に前方に開放することができる。また消火栓扉104と筐体102との間には緩衝用ダンパ108が設けられ、消火栓扉104を滑らかに開放できるようにしている。
【0005】
消火栓扉104の内部には、先端にノズル110を装着したホース112を筐体内のホースバケット116に内巻きして収納している。ホース112はホースバケット116の側面板に開口した孔を通してホースバケット116内に収納される。その孔には、ホース112を引き出したときに、ホース112が擦れてホース表面が傷付くことを防ぐために、ホース112は保護管112aの中を通ってホースバケット116内に入る。
【0006】
消火栓扉104を開いてノズル110付きのホース112を引き出し、扉内に設けている消火栓弁開閉レバー114を操作することで消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0007】
更に、図13に示すように、筐体102の内部上方に、断面L字形の板を配置し、上面との間に電線横断路118を構成し、筐体102の右側から電線横断路118に電線を通し、消火器側の筐体内部の端子台などに配線している。
【特許文献1】特開2005−318972号公報
【特許文献2】特開2001−204842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような消火栓装置にあっては、筐体内の上部に左右に貫通する電線横断路を設けて電線を通すようにしていたため、左右に伸びた電線横断路の空間穴に電線を通すためには筐体奥に手を入れなければならず、また、電線を一端の開口から挿入して反対側の開口まで通すこととなり、電線横断路に電線を通す作業が煩雑で手間と時間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、配線の作業性に優れた電線横断路構造を持つ消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
内部にホース収納空間を形成した筐体と、
前記筐体の前方に取り付けられ前記ホース収納空間のホースを取り出すための扉開口部を有する化粧枠と、
扉開口部に開閉自在に配置される消火栓扉と、
を備えた消火栓装置に於いて、
筐体内部のホース収納空間と前記化粧枠との間の上部もしくは下部に電線を通す電線横断路を設けたことを特徴とする。
【0011】
ここで、筐体内部のホース収納空間前方の上部に設けた電線横断路は、前方上部空間を外部に開口する。
【0012】
また、筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、上部に開口したトラフ形状であり、底面に水抜き穴を備える。更に、筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、ホース収納空間に収納されたホースの前方への移動を規制するホース規制板を備える。
【0013】
また筐体内部の電線横断路は、消火栓扉を開放した際に扉開口部から隠れた位置に配置する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホース収納空間の前方に形成された空き空間の上部もしくは下部に電線横断路を形成したことにより、電線横断路が扉開口部に近い手前側に位置し、電線横断路に電線を通す際に、扉開口側から簡単に手を入れて電源を通すことかでき、左右に伸びた電線横断路に電線を通す作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0015】
また上部の電線横断路はその一部が扉開口となる手前側に開口し、下部の配線横断路は上部に開口したトラフ形状であり、一方の通線口から挿入した電線を、手前から手を入れて通していく作業ができ、狭いスペースであっても、効率良く作業ができる。
【0016】
さらに、扉を開放したときに電線横断路は開口部から隠れた目立たない位置に配置したことで、配線作業が完了した後は、ホースの引き出し作業や収納作業に悪影響を及ぼすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明によるトンネルに設置される消火栓装置の実施形態を示した正面図である。図1において、消火栓装置10は、消火栓側の筐体12−1と消火器側の筐体12−2に分割した構造であり、全面に化粧板14−1,14−2を装着しており、筐体12−1,12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定した状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
【0018】
化粧板14−1,14−2には扉開口部16,17が設けられている。第1筐体12−1の扉開口部16には、消火栓扉18と保守扉22が設けられており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。消火栓扉18は下側のヒンジ21を中心に前方に開閉することができ、通常時は一対のハンドル20によるロックで図示の閉鎖位置に閉じており、ハンドル20に手を入れて手前に引くとロックが外れ、開くことができる。
【0019】
消火栓扉18の上には、ヒンジ23により上向に開閉する保守扉22が設けられており、点検時に消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。また、第1筐体12−1の上部両側には装置を吊り下げるための吊り輪25が取り付けられている。
【0020】
第2筐体12−2の扉開口部17の右側には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯26、発信機28、及び応答ランプ30を設けている。なお、通報装置扉24の内側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。
【0021】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
【0022】
扉開口部17の左側には消火器扉32が設けられ、消火器扉32に対応した筐体12の内部を消火器収納空間とし、例えば2本の消火器を収納している。消火器扉32にはハンドル34が設けられ、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0023】
図2は図1の実施形態について第1筐体12−1側の消火栓扉を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示した正面図である。図2において、第1筐体12−1の左側にはホース収納空間36が形成され、右側にバルブ類収納空間38を形成している。
【0024】
ホース収納空間36にはフレームパイプを水平方向で上下に配置したバケットフレーム40に配置され、内部にホース収納空間を形成している。バケットフレーム40は一方のパイプを正面から見てU字形で且つ平面から見て横L字形となるように屈曲しており、左側の上下のパイプ端は第1筐体12−1の左側面の内壁面に固定され、右側の屈曲端部はフレームホルダ45により筐体背面の内壁面に固定されている。
【0025】
バケットフレーム40の中央には縦方向に2本のホースガイド42が固定され、その中にホース引出し口を形成している。ホースガイド42はホース44を引き出す際に、内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぐ。
【0026】
バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44が内巻きして収納されている。ここで、右側のバルブ類収納空間38の下部にはホース接続口46が配置されており、ホース接続口46にホース44の1次側を接続した後、ホース44をホース収納空間36に巻き込むことになるが、この場合のホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。
【0027】
即ち、ホース接続口46に接続したホース44は、まず第1筐体12−1の下側内壁に沿うようにホース収納部36方向に向かい、ホース収納空間36の下側から巻き込まれ、その後に、右回りに収納空間内に巻き込まれ、最後にノズル48を装着したホース先端をバケットフレーム40中央付近に取り付けられたホースガイド42の間から取り出し、下側のバケットフレーム40に装着しているノズルホルダー50にノズル48を着脱自在に装着している。
【0028】
このようなホース収納空間36に対しホース接続口46を最下部に位置させて右巻きした内巻きにより収納することで、図11の従来例に示したように、ホース112を左巻きとしてホース巻き込み開始部分112aをホース収納空間の上部に送り込む場合のホース収納空間から外れるホース部分(巻き込み半周程度)がなくなり、その分、ホース44を短くでき、ホース収納空間36の容積が減ることで、結果的に筐体12を薄型化できる。
【0029】
また、ホース巻き込み開始部分は右巻きによりホース収納空間36の下側に送りこまれるため、ホース44がホースバケット42に当って摺動するようなことはなく、図11の従来のホース左巻きによりホースバケットに当って摺動することに対する保護の必要がなく、構造を簡単にできる。
【0030】
またホース収納空間36に右巻きとして収納した後に取り出したホース先端のノズル48は放水部を下向きにしてノズルホルダー50に着脱自在に装着されており、放水部が下向きであることから、消火栓扉を開いてノズル48を放水部を下に向けたまま外すことができ、消火栓弁に設けている消火栓弁開閉レバー64を操作しない限り、放水されないが、火災時に操作する者にとっては不慣れであることから、放水口が自分に向かないことで、安心感をもってノズル48を外すことができ、安全面でのメリットが大きい。
【0031】
また放水部を下向きにして配置されたノズル48の取り出しは、右手であっても、左手であっても、殆ど違和感なく、容易にグリップを掴んで外すことができる。
【0032】
第1筐体12−1に設けたホース収納空間36の右側に配置したバルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース接続口46に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、及びメンテナンス装置60を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー64に対応して銘板66が設けられており、銘板66の裏側に消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁が配置されている。
【0033】
図3は、図1について内部構造を示した平面図である。図3において、第1筐体12−1と第2筐体12−2は連結固定部15においてボルトにより固定されている。第1筐体12−1のホース収納空間36には平面から見て横L字形にバケットフレーム40が配置され、筐体内壁との間に形成したホース収納空間にホース44を右巻きにより内巻き状態で収納している。また、消火器収納空間39には2本の消火器37が収納されている。
【0034】
図4は図1について内部構造を示した側面図であり、バルブ類収納空間の構造を示している。図4において、第1筐体12−1の前面の閉鎖状態にある消火栓扉18は、ハンドル操作によりラッチを解除することで、ヒンジ21を中心に図示の前方位置に開くことができる。
【0035】
この場合、消火栓扉18には従来のように、ノズルや消火栓弁開閉レバーが設けられていないことから軽量化されており、開放の際の衝撃を吸収するダンパーを必ずしも設ける必要はなく、簡単なダンパ機構やバネ機構などの緩衝機構を設けるだけで良い。
【0036】
バルブ類収納空間38には、給水弁52、消火栓弁54、自動調圧弁56及びメンテナンス装置60が縦方向に連設配置されている。自動排水弁58は消火栓弁54の2次側に装着されている。
【0037】
消火栓弁54には直接に消火栓弁開閉レバー64が装着されている。即ち消火栓弁開閉レバー64が図示の上向き位置の閉位置のとき、消火栓弁54は閉状態であり、このとき配管内に消火用水が存在せず、圧がないことから自動排水弁58は開状態にある。
【0038】
消火栓弁開閉レバー64を下向きとなる開位置に操作すると、消火栓弁56が開放位置に作動され、配管内に圧が上昇して自動排水弁58は閉鎖位置に作動される。これによって、給水接続口51から加圧された消火用水を自動調圧弁56を通して所定圧に調圧した後、ホース44側に供給するようにしている。
【0039】
同時に消火栓弁開閉レバー64の背後に設置しているスイッチがオンし、これによってポンプ設備に信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー64を元の上向き位置に戻すと消火栓弁54が閉じ、同時にスイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
【0040】
このように本実施形態にあっては、従来、消火栓扉に設けてワイヤー連結により消火栓弁を開閉していた消火栓弁開閉レバー64を筐体12側に配置して消火栓弁54に直接設けたことで、消火栓扉18の構造が簡略化され、薄型化と軽量化を達成することができる。
【0041】
更に、バルブ類収納空間側の筐体側面の上部には通線口74が開口しており、ここから電線を引き込むようにしている。
【0042】
図5は図1についてホース収納空間の部分の断面構造を示した断面図である。図5において、第1筐体12−1の内部に配置したバケットフレーム40の背後にホース収納空間36が形成され、ここにホース44を内巻き状態で収納している。
【0043】
バケットフレーム40で規制されたホース収納空間36の前方の扉開口部との間には空き空間41が形成され、この実施形態にあっては、空き空間41の上部に横断路支持部材70を配置し、第1筐体12−1を左右に貫通する電線横断路72を設けている。
【0044】
横断路支持部材70は筐体内面上方に配置している。これにより図2に示すように保守扉22を上側に開放したときに、扉開口部16からは隠れて目立たなくしている。よって、消火栓装置の設置時に行う配線作業が完了した後は、火災時のホースの引き出し作業や、ホースの収納作業に邪魔になることがない。
【0045】
図6は図1の分割筐体構造を取り出して示した説明図である。図6において、本実施形態の筐体は第1筐体12−1と第2筐体12−2に分割されており、第1筐体12−1の内部にはホース収納空間36とバルブ類収納空間38が形成され、箱型に形成したフレームの左、右、上部及び背面に金属隔壁を固定した箱型形状としている。
【0046】
第1筐体12−1のホース収納空間36にはバケットフレーム40が左側のパイプ端の金属隔壁への固定および右側の屈曲部のフレームホルダ45による背面への固定で支持されている。バケットフレーム36の前方となる空き空間の上部には、左右に亘って横断路支持部材70が配置され、左右の側壁の横断路支持部材70に相対する位置には通線口74,76が開口している。
【0047】
第2筐体12−2の内部には消火器収納空間39が形成され、箱型に形成したフレームの左右、上部及び背面に金属隔壁を固定している。第1筐体12−1の左側の通線口76に相対する側壁部分には通線口78が形成されている。また、第2筐体12−2の上部背面側には、強電用の端子箱784と弱電用の端子箱785が設置されている。
【0048】
第1筐体12−1の左側隔壁の4箇所にはネジ穴80が形成されている。ネジ穴80に対応した第2筐体12−2側の右側隔壁にはダルマ穴82が設けられている。第1筐体12−1に対する第2筐体の固定は、第1筐体のネジ穴80にボルトを捩じ込んでボルト頭部を左側に飛び出した状態とし、このボルト頭部に第2筐体のダルマ穴82の大径穴を嵌め入れ、ボルトネジ部をダルマ穴82の小径穴に移動する。この状態でボルトを締め付けて固定する。
【0049】
更に、第1筐体12−1及び第2筐体12−2の前面のフレームには、それぞれ4箇所に化粧板14−1,14−2を取り付けるためのネジ穴86,88が設けられている。
【0050】
図7は図6における上部の横断路支持部材70を取り出して示した説明図であり、横断路支持部材70は底板70a、前板70b、背板70c、上板70dにより前部上方に開口したトラフ形状をもった部材であり、図6のように上板70dにより第1筐体12−1の内部の上部前方に組付けた状態で手前側に開口を形成しており、手前から内部に手を入れて電線を通す作業ができるようにしている。
【0051】
このような本実施形態の第1筐体12−1の内部の上部前方に設けた横断路部材70によって形成される電線横断路72によれば、ホース収納空間36の前方に形成された空き空間の上部に電線横断路72を形成したことにより、電線横断路72が扉開口部に近い手前側に位置し、電線横断路72に電線を通す際に、扉開口側から簡単に手を入れて電線を通すことかでき、電線横断路12に右側から電線を挿入して左に送りながら通し、第2筐体12−2の端子箱74,75に電線を接続する作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0052】
また上部の電線横断路70はその一部が扉開口となる手前側に開口し、手前から手を入れて電線を通していく作業ができ、狭いスペースであっても、効率良く作業ができる。
【0053】
さらに図5に示すように、横断路支持部材70の背板70cは、ホース収納空間36と空き空間41との境界部材を兼用しており、背板70cの背面がホース収納空間36に収納されたホース44が空き空間41側へ移動してばらけるのを押さえている。
【0054】
なお、図7に示す横断路部材70は一枚の板部材に限らず、途中が切れた複数部材で構成されていても良いし、ホース収納空間36の範囲のみ設けても良い。
【0055】
図8は扉側を外して本体内部構造を示した本発明の他の実施形態を示した正面図であり、図9にホース収納空間の部分の断面構造を示している。
【0056】
図8の実施形態における第1筐体12−1及び第2筐体の構造は基本的に図2の実施形態と同じであるが、電線横断路をホース収納空間36の下部手前側に設けている。即ち、図9に示すように、第1筐体12−1の内部に配置したバケットフレーム40で規制されたホース収納空間36の前方の扉開口部との間には空き空間41が形成され、この実施形態にあっては、空き空間41の下部に横断路支持部材90を配置し、第1筐体12−1を左右に貫通する電線横断路964を設けている。筐体左右側壁の横断路支持部材90に相対する位置には図6と同様な通線口が開口している。
【0057】
図10は図9における上部の横断路支持部材90を取り出して示した説明図であり、横断路支持部材90は底板90a、前板90b、背板90cにより上方及び前部上方に開口したトラフ形状をもった部材である。
【0058】
また、横断路支持部材90の背板90cは斜め前方に傾いており、更に2本のホースガイド44に対応したホース収納空間36の中央部分となる位置にホース規制板924を一体に張出し形成しており、ホース収納空間36に収納されたホースの下側の前方への移動を規制している。
【0059】
また横断路支持部材90の底板90aには水抜き穴94が複数設けられており、電線横断路96の底に水がたまるのを防止している。
【0060】
このような図7〜図10の実施形態の第1筐体12−1の内部の下部前方に設けた横断路部材90によって形成される電線横断路96によれば、ホース収納空間36の前方に形成された空き空間の下部に電線横断路96を形成したことにより、電線横断路96が扉開口部に近い手前側に位置し、電線横断路96に電線を通す際に、扉開口側から簡単に手を入れて電線を通すことかでき、電線横断路96に右側から電線を挿入して左に送りながら第2筐体12−2の端子箱74,75に電線を接続する作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0061】
また電線横断路90は上部に開口しているため、手前から手を入れて電線を通していく作業が簡単にでき、狭いスペースであっても、効率良く作業ができる。
【0062】
また消火栓扉18を開放したときに、扉開口部16からは下側に隠れて目立たなくしている。よって、消火栓装置の設置時に行う配線作業が完了した後は、火災時のホースの引き出し作業や、ホースの収納作業に邪魔になることがない。
【0063】
また第1実施形態の上部に設けた横断路支持部材70と下部に設けた横断路支持部材90と両方筐体内に設けてどちらでも電線を通せる構成にしても良い。この場合、両支持部材の背板が収納されたホースの前方への移動を規制することもできる。
【0064】
なお上記の実施形態にあっては、工場段階で第1筐体12−1及び第2筐体12−2に必要な機器を組み込んだ後に連結固定して、最終的に化粧板14−1,14−2を取り付けて完成させるようにしているが、設置現場に搬送する際に、化粧板14−1,14−2を外すと共に第1筐体12−1と第2筐体12−2の連結を外し、第1筐体12−1、第2筐体12−2及び化粧板14を分離した状態で設置現場に運搬し、現場で組み立ててトンネル壁面の必要場所に設置することも可能である。
【0065】
この場合、最も重量が大きいのは第1筐体12−1であることから、第1筐体12−1の上部には2つの吊り輪25が設けられ、工場組立段階における移動や組立後の分離状態での現場搬送の際には、吊り輪25にフックなどを掛けてクレーンなどにより吊り下げ搬送できるようにしている。
【0066】
また、上記の実施形態にあっては、筐体を消火栓側と消火器側とに分割した場合を例にとっているが、一体型の筐体構造についても、同様に、筐体内部のホース収納空間前方の上部もしくは下部に電線を通す電線横断路を設ける構造を適用することができる。
【0067】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による消火栓装置の実施形態を正面から示した説明図
【図2】図1について扉側を外して本体内部構造を示した正面図
【図3】図1について内部構造を示した平面図
【図4】図1について内部構造を示した側面図
【図5】図1についてホース収納部の断面構造を示した断面図
【図6】図1の分割筐体構造を示した説明図
【図7】図6における上部の横断路部材を取り出して示した説明図
【図8】扉側を外して本体内部構造を示した本発明の他の実施形態を示した正面図
【図9】図8についてホース収納部の断面構造を示した断面図
【図10】図9における下部の横断路部材を取り出して示した説明図
【図11】従来の消火栓装置の扉を外して内部構造を示した正面図
【図12】従来の消火栓装置の扉を開放して内部構造を示した平面図
【図13】従来の消火栓装置の扉を開放して内部構造を示した側面図
【符号の説明】
【0069】
10:消火栓装置
12−1:第1筐体
12−2:第2筐体
14−1,14−2:化粧板
16,17:扉開口部
36:ホース収納空間
38:バルブ類収納空間
40:バケットフレーム
42:ホースガイド
44:ホース
70,90:横断路支持部材
72,96:電線横断路
72a,90a:底板
72b,90b:前板
72c,90c:背板
74,76,78:通線口
92:ホース規制板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にホース収納空間を形成した筐体と、
前記筐体の前方に取り付けられ前記ホース収納空間のホースを取り出すための扉開口部を有する化粧枠と、
前記扉開口部に開閉自在に配置される消火栓扉と、
を備えた消火栓装置に於いて、
前記筐体内部のホース収納空間と前記化粧枠との間の上部もしくは下部に電線を通す電線横断路を設けたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記筐体内部のホース収納空間前方の上部に設けた電線横断路は、前方上部空間を外部に開口したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、上部に開口したトラフ形状であり、底面に水抜き穴を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記前記筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、前記ホース収納空間に収納されたホースの前方への移動を規制するホース規制板を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記筐体内部の電線横断路は、前記消火栓扉を開放した際に前記扉開口部から隠れた位置に配置したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項1】
内部にホース収納空間を形成した筐体と、
前記筐体の前方に取り付けられ前記ホース収納空間のホースを取り出すための扉開口部を有する化粧枠と、
前記扉開口部に開閉自在に配置される消火栓扉と、
を備えた消火栓装置に於いて、
前記筐体内部のホース収納空間と前記化粧枠との間の上部もしくは下部に電線を通す電線横断路を設けたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記筐体内部のホース収納空間前方の上部に設けた電線横断路は、前方上部空間を外部に開口したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、上部に開口したトラフ形状であり、底面に水抜き穴を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記前記筐体内部のホース収納空間前方の下部に設けた電線横断路は、前記ホース収納空間に収納されたホースの前方への移動を規制するホース規制板を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記筐体内部の電線横断路は、前記消火栓扉を開放した際に前記扉開口部から隠れた位置に配置したことを特徴とする消火栓装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−22512(P2010−22512A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185802(P2008−185802)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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