説明

消火装置

【課題】簡易な構造の消火剤タンクを備えた消火装置を提供すること。
【解決手段】消火装置1は、可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤タンク10と、消火剤を放出する放出部20と、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別に応じて消火装置1の制御を行う制御部50とを備える。消火剤タンク10は、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別を一意に特定する消火剤情報を格納する種別タグ11を備え、制御部50は、種別タグ11から取得した消火剤情報に基づき消火剤の種別を特定し、当該特定した消火剤の種別に応じて放出部20の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火剤を放出する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消火剤タンクから放出ノズルを介して消火剤を放出する消火装置が用いられている。このような消火装置としては、例えば消火剤タンク内に消火剤と圧縮ガスとを封入し、圧縮ガスの圧力により消火剤を消火剤タンクから放出ノズルに供給させる蓄圧式消火装置が用いられている。
【0003】
さらに、蓄圧式消火装置の放出ノズルを開放させるために用いる加圧ガスを、加圧ガスが貯留された加圧ガス貯蔵部から消火剤タンクにも供給し、消火剤を吐出させるガス圧の補充のために使用することにより、消火剤の放出のための圧力を長時間維持することを可能とした消火システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、圧縮ガスを利用しない消火装置として、例えば、給水ポンプによって給水タンクから噴出ノズルへと水を給水し、噴出ノズルから水を吐出させる消火ロボットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−287678号公報(段落0008〜0010)
【特許文献2】特開平10−127805号公報(段落0009〜0010)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の蓄圧式消火装置においては、圧縮ガスの高圧力に耐えられる強度を有する高圧ガス用の容器を消火剤タンクとして用いる必要があったため、消火剤タンクの寸法や重量が増大してしまっていた。このため、消火装置の構造の複雑化や設置スペースの制約等を招いていた。また、消火装置の使用後、消火剤タンクへの消火剤の充填や消火剤タンクの交換が必要な場合における作業負担が増大していた。
【0007】
また、給水ポンプによって給水タンクから水を給水する従来の消火ロボットは、給水タンクが開放構造となっていたため、振動等に起因する漏水や、不純物の混入等の可能性があった。一方、給水タンクを密閉構造とした場合、給水ポンプによって給水可能とするためには、放水による水量低下に伴って給水タンクの内圧が低下することを防止するため、吸気バルブを給水タンクに設ける必要があり、構造の複雑化を招いていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構造の消火剤タンクを備えた消火装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の消火装置は、密閉された可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤収容手段と、前記消火剤を放出する放出手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の消火装置は、請求項1に記載の消火装置において、前記消火剤収容手段を前記消火装置の外部に設置したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の消火装置は、請求項1又は2に記載の消火装置において、前記消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別に応じて前記消火装置の制御を行う制御手段を備え、前記消火剤収容手段は、当該消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別を一意に特定する消火剤情報を格納する消火剤情報格納手段を備え、前記制御手段は、前記消火剤情報格納手段から取得した前記消火剤情報に基づき前記消火剤の種別を特定し、当該特定した消火剤の種別に応じて前記放出手段の制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の消火装置は、請求項3に記載の消火装置において、前記放出手段は、放出する前記消火剤の種別毎に相違する複数の放出口を備え、前記制御手段は、前記消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別に応じて、当該消火剤を放出させる前記放出口の切替制御を行うことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の消火装置は、請求項3又は4に記載の消火装置において、前記消火装置に関する案内情報を出力する出力手段を備え、前記制御手段は、前記消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別に応じて、前記案内情報の出力制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の本発明によれば、可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤収容手段を備えているので、ポンプを用いて消火剤収容手段から放出手段に消火剤を供給する場合、消火剤収容手段自体が変形し容積を減少させるので、吸気バルブを消火剤収容手段に設ける必要がなく、消火剤収容手段を簡易な構造とすることができる。また、消火剤収容手段が容易に変形可能なので、消火装置の内部空間を有効に活用して消火剤収容手段を設置することができ、消火装置の小型化を図ることができる。また、消火剤収容手段の構造が簡易となるので、消火剤収容手段の交換を容易に行うことができる。
【0015】
また、請求項2に記載の本発明によれば、消火剤収容手段を消火装置の外部に設置したので、狭隘なスペースにも容易に消火剤収容手段を設置することができると共に、消火装置を小型化することができ、設置スペースの制約を低減することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の本発明によれば、消火剤収容手段に収容されている消火剤の種別に応じて放出手段の制御を行うので、異なる種別の消火剤を収容している消火剤収容手段に交換した場合であっても、当該消火剤の種別に応じて適切な消火動作を行うことができる。
【0017】
また、請求項4に記載の本発明によれば、消火剤の種別に応じて、消火剤を放出させる放出口の切替制御を行うので、異なる種別の消火剤を収容している消火剤収容手段に交換した場合であっても、当該消火剤を適切な放出口から放出させることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の本発明によれば、消火剤の種別に応じて、案内情報の出力制御を行うので、異なる種別の消火剤を収容している消火剤収容手段に交換した場合であっても、消火剤の種別に応じて、消火剤が消火可能な火災の種別等、適切な消火活動に必要な情報を報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る消火装置の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について順次説明し、最後に、〔III〕各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る消火装置は、消火剤を放出することにより消火を行うことを目的とするものである。
【0021】
各実施の形態に係る消火装置の設置対象は任意であり、例えば、一般住宅における台所、寝室、居間等の各部屋や、養護施設、病院等の公共施設、あるいは、ビルや工場等の大規模建築物に設置することができる。また、各実施の形態に係る消火装置の使用態様は任意であり、例えば、スタンドアロン型の消火装置として使用することができ、あるいは、警備用ロボット等の他の機器に搭載して使用することもできる。
【0022】
各実施の形態に係る消火装置の特徴の一つは、概略的に、密閉された可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤収容手段を備えていることにある。従って、ポンプを用いて消火剤収容手段から放出手段に消火剤を供給する場合、消火剤収容手段自体が変形し容積を減少させるので、吸気バルブを消火剤収容手段に設ける必要がなく、消火剤収容手段を簡易な構造とすることができる。また、消火剤収容手段が容易に変形可能なので、消火装置の内部空間を有効に活用して消火剤収容手段を設置することができ、消火装置の小型化を図ることができる。また、消火剤収容手段の構造が簡易となるので、消火剤収容手段の交換を容易に行うことができる。
【0023】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0024】
〔実施の形態1〕
まず実施の形態1について説明する。この形態は、可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤収容手段を備えた形態である。
【0025】
(消火装置の構成)
まず、消火装置の構成を説明する。図1は消火装置の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。図1に示すように、消火装置1は、消火剤タンク10、放出部20、タグリーダ30、出力部40、制御部50、及び記録部60を備えている。
【0026】
(消火装置の構成−消火剤タンク)
消火剤タンク10は、可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤収容手段である。図2は消火剤タンク10の外形を例示した斜視図、図3は消火装置1の内部を例示した断面図である。この消火剤タンク10の具体的な構成は任意であり、例えば図2(a)や図2(b)に例示したように樹脂フィルムを袋状に加工して形成することができ、あるいは図2(c)や図2(d)に例示したように樹脂を成型加工して形成することができる。
【0027】
このように可撓性容器として消火剤タンク10を構成しているので、図3に示したように、消火装置1の複雑な内部形状に合わせて消火剤タンク10を設置することができる。また、消火剤を収容する場合は図3(a)に示したように消火剤タンク10が膨張した状態となり、消火剤を放出した際は図3(b)に示したように消火剤タンク10が変形し収縮した状態となるので、消火剤を放出しても消火剤タンク10の内圧を維持でき、消火剤タンク10から消火剤を吸引可能とするための吸気バルブを設ける必要がない。特に消火剤タンク10の消火剤出口を、当該消火剤タンク10の下部に配置したことで、消火剤がその自重で消火剤タンク10の下部に集まり、ポンプにより消火剤を無駄なく最後まで容易に放出することができる。
【0028】
図1に戻り、消火剤タンク10は種別タグ11を備えている。種別タグ11は、消火剤タンク10が収容する消火剤の種別を一意に特定する消火剤情報を格納する消火剤情報格納手段である。この種別タグ11は、消火剤情報が記録されたRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いて構成され、タグリーダ30を用いて当該種別タグ11から消火剤情報を読み取り可能となっている。なお、消火剤情報の具体的な内容は任意であり、例えば、消火剤の種別名称(水、強化液、機械泡等)を種別タグ11に格納することができる。
【0029】
(消火装置の構成−放出部)
放出部20は、消火剤を放出する放出手段であり、消火剤の種別に対応した複数の放出ノズル21、及びポンプ22を備えている。放出ノズル21は、消火剤を放出する放出口である。放出ノズル21の具体的な構成は任意であり、例えば水又は強化液に対応した噴霧ノズルや、機械泡に対応した泡ノズル等を用いることができる。本実施の形態では、放出部20が噴霧ノズル21a及び泡ノズル21bを備えた場合を例として説明する。
【0030】
ポンプ22は、消火剤を消火剤タンク10から吸引し、放出ノズル21に供給する。このポンプ22の具体的構成は任意で、公知のポンプを用いることができる。また、ポンプ22と放出ノズル21との間に公知の電磁弁(図示省略)を設けることにより、ポンプ22から消火剤を供給する放出ノズル21を当該電磁弁を介して切り替えることができる。
【0031】
(消火装置の構成−タグリーダ)
タグリーダ30は、種別タグ11に格納されている消火剤情報を読み取るための読取手段であり、公知のRFIDタグリーダを用いることができる。
【0032】
(消火装置の構成−出力部)
出力部40は、消火装置1に関する案内情報を出力する出力手段である。具体的には、案内情報を音声情報として出力するためのスピーカや、画像情報として出力するための液晶モニタ等を出力部40として設けることができる。
【0033】
(消火装置の構成−制御部)
制御部50は、消火装置1の動作を制御するための制御手段であり、特定部51、放出制御部52、及び案内制御部53を備えている。特定部51は、タグリーダ30を介して種別タグ11から取得した消火剤情報に基づき、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別を特定する。放出制御部52は、特定部51が特定した消火剤の種別に応じて放出部20の制御を行う。案内制御部53は、特定部51が特定した消火剤の種別に応じて、出力部40に出力させる案内情報の出力制御を行う。これらの制御部50の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0034】
なお、制御部50の具体的構成は任意であるが、例えば、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定した組み込みプログラム、所要データを格納するための内部メモリ、及び、これらのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成される。
【0035】
(消火装置の構成−記録部)
記録部60は、制御部50によって実行される各種処理に必要なデータ、例えば制御部50が放出部20や出力部40の制御を行う際に参照する制御テーブル等を記録する記録手段である。図4は制御テーブルを例示した表である。
【0036】
制御テーブルは、図4に例示するように、テーブル項目として「消火剤」、「放出ノズル」、及び「案内情報」を備え、これらに対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「消火剤」に対応して格納される情報は、消火剤の種別を特定する消火剤情報であり、例えば消火剤の種別名(図4では水、強化液、機械泡)が格納される。項目「放出ノズル」に対応して格納される情報は、消火剤の種別毎に対応する放出ノズル21を特定するための情報であり、例えば放出ノズル21の名称(図4では噴霧ノズル、泡ノズル)が格納される。項目「案内情報」に対応して格納される情報は、消火剤の種別に対応して出力部40に出力させるべき案内情報であり、例えば各消火剤が消火可能な火災の種類を特定する情報(図4では普通、油、電気)が格納される。
【0037】
この制御テーブルに格納される情報を記録部60に記録する方法やタイミングは任意であり、例えば消火装置1の製造段階において所定の入力手段を介して記録することができる。なお、記録部60の具体的な構成は任意であり、例えば、フラッシュメモリの如き書き換え可能な記憶手段を用いて構成することができる。
【0038】
(消火装置による処理)
次に、このように構成された消火装置1が実行する処理について説明する。消火装置1が実行する処理は、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別を特定する特定処理と、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別に応じて放出部20の制御を行い消火剤を放出させる消火処理とに大別される。これらの特定処理と消火処理とについて、以下説明する。
【0039】
(消火装置による処理−特定処理)
まず、特定処理について説明する。図5は特定処理の流れを示すフローチャートである。この特定処理が起動されるタイミングは任意であり、例えば、消火装置1が起動されており、且つ消火剤タンク10が取り外されていることを公知の接触センサ(図示省略)を介して検知した場合、新たに消火剤タンク10が取り付けられるタイミングとして特定処理が起動される。
【0040】
特定処理が起動されると、特定部51は消火剤タンク10が取り付けられたか否かを判定する(ステップSA−1)。具体的には、例えば消火剤タンク10の接続部(図示省略)がポンプ22に接続されたことが公知の接触センサを介して検知されたか否かを判定する。
【0041】
消火剤タンク10が取り付けられたものと判定した場合(ステップSA−1、Yes)、特定部51は種別タグ11に格納されている消火剤情報をタグリーダ30に読み取らせる(ステップSA−2)。
【0042】
特定部51は、タグリーダ30が種別タグ11から読み取った消火剤情報に基づき、消火装置1に取り付けられた消火剤タンク10が収容している消火剤の種別を特定すると共に、消火剤情報を記録部60に記録させる(ステップSA−3)。続いて放出制御部52は制御テーブルを参照し、消火剤の放出に使用する放出ノズル21を、特定部51が特定した消火剤の種別に対応する放出ノズル21に切り替える(ステップSA−4)。例えば図4に示したように、特定部51が特定した消火剤の種別が機械泡であった場合、放出制御部52はポンプ22と放出ノズル21との間に設けられた電磁弁を制御し、消火剤を放出させる放出ノズル21を泡ノズル21bに切り替える。
【0043】
(消火装置による処理−消火処理)
続いて、消火処理について説明する。図6は消火処理の流れを示すフローチャートである。この消火処理が起動されるタイミングは任意であり、例えば公知の火災センサによって火災発生が検知され、消火装置1に対して消火動作を開始する旨の指示入力があった場合に消火処理が起動される。
【0044】
消火処理が起動されると、案内制御部53は、消火剤情報を記録部60から取得すると共に制御テーブルを参照し(ステップSB−1)、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別に対応する案内情報を出力部40から出力させる(ステップSB−2)。図4に示した例では、消火剤タンク10に収容されている消火剤が機械泡であった場合、普通火災又は油火災を消火可能である旨の案内情報を出力部40に出力させる。
【0045】
図6に戻り、放出制御部52は、所定の指示入力手段(図示省略)を介して消火剤の放出指示があるまで待機し(ステップSB−3、No)、放出指示があった場合(ステップSB−3、Yes)、ポンプ22を動作させ、放出ノズル21から消火剤を放出させる(ステップSB−4)。
【0046】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤タンク10を備えているので、ポンプ22を用いて消火剤タンク10から放出ノズル21に消火剤を供給する場合、消火剤タンク10自体が変形し容積を減少させるので、吸気バルブを消火剤タンク10に設ける必要がなく、消火剤タンク10を簡易な構造とすることができる。また、消火剤タンク10が容易に変形可能なので、消火装置1の内部空間を有効に活用して消火剤タンク10を設置することができ、消火装置1の小型化を図ることができる。また、消火剤タンク10が可撓性容器で形成されていることから、消火剤の放出時に消火剤タンク10が自動的に収縮して消火剤が放出出口に集まるため、最後まで無駄なく消火剤を放出することができる。また、消火剤タンク10の構造が簡易となるので、消火剤タンク10の交換を容易に行うことができる。
【0047】
また、消火剤タンク10に収容されている消火剤の種別に応じて放出部20の制御を行うので、異なる種別の消火剤を収容している消火剤タンク10に交換した場合であっても、当該消火剤の種別に応じて適切な消火動作を行うことができる。
【0048】
また、消火剤の種別に応じて、消火剤を放出させる放出ノズル21の切替制御を行うので、異なる種別の消火剤を収容している消火剤タンク10に交換した場合であっても、当該消火剤を適切な放出ノズル21から放出させることができる。
【0049】
また、消火剤の種別に応じて、案内情報の出力制御を行うので、異なる種別の消火剤を収容している消火剤タンク10に交換した場合であっても、消火剤の種別に応じて、消火剤が消火可能な火災の種別等、適切な消火活動に必要な情報を報知することができる。
【0050】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、消火剤収容手段を消火装置の外部に設置した形態である。
【0051】
なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0052】
(消火装置の構成−消火剤タンク)
本実施の形態2に係る消火装置1の構成を説明する。図7は、消火装置1の外観を例示した斜視図である。実施の形態2における消火剤タンク10は、消火装置1の外部に設置されている。具体的には、図7に例示したように、チューブ70を介してポンプ22と接続された消火剤タンク10を、消火装置1の外部の任意の位置に設置することができる。消火剤タンク10は可撓性容器として構成されているので、図7に例示したような狭隘なスペースにも容易に消火剤タンク10を設置することができる。
【0053】
(消火装置の構成−タグリーダ)
本実施の形態2では消火剤タンク10が消火装置1の外部に設置される。従って、消火剤タンク10が備えている種別タグ11の読み取りを容易とするため、消火装置1の外表面にタグリーダ30が設置される。この場合、消火剤タンク10の種別タグ11をタグリーダ30に近接させることにより、容易に種別タグ11が格納している消火剤情報をタグリーダ30に読み取らせることができる。
【0054】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、消火剤タンク10を消火装置1の外部に設置したので、狭隘なスペースにも容易に消火剤タンク10を設置することができると共に、消火装置1を小型化することができ、設置スペースの制約を低減することができる。
【0055】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0056】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0057】
(各実施の形態の相互の関係について)
上記説明した各実施の形態は、任意の組み合わせで相互に組み合わせることができる。例えば、実施の形態1と実施の形態2とにおける消火装置1を組み合わせて、消火装置1の内部及び外部に消火剤タンク10を備えるように消火装置1を構成することができる。これにより、消火装置1が放出可能な消火剤の容量を増大させることができる。また、相互に異なる種別の消火剤を収容する複数の消火剤タンク10を備えさせることで、様々な火災の種類に対応して適切な消火剤を放出させることができる。
【0058】
(種別タグについて)
上述の各実施の形態では、RFIDタグを用いた種別タグ11に格納されている消火剤情報に基づき消火剤の種別を特定する場合について説明したが、他の手段に基づき消火剤の種別を特定するようにしてもよい。例えば、消火剤タンク10におけるポンプ22との間の接続部を、消火剤の種別毎に異なる形状として構成してもよい。この場合、公知の接触スイッチ等を用いて当該接続部の形状を特定し、当該特定した接続部の形状に基づき消火剤の種別を一意に特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明に係る消火装置は、消火剤を放出する消火装置に適用でき、簡易な構造の消火剤タンクを備えた消火装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】消火装置の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図2】消火剤タンクの外形を例示した斜視図である。
【図3】消火装置の内部を例示した断面図である。
【図4】制御テーブルを例示した表である。
【図5】特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】消火処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】消火装置の外観を例示した斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 消火装置
10 消火剤タンク
11 種別タグ
20 放出部
21 放出ノズル
21a 噴霧ノズル
21b 泡ノズル
22 ポンプ
30 タグリーダ
40 出力部
50 制御部
51 特定部
52 放出制御部
53 案内制御部
60 記録部
70 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された可撓性容器の内部に消火剤を収容する消火剤収容手段と、
前記消火剤を放出する放出手段と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
前記消火剤収容手段を前記消火装置の外部に設置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
前記消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別に応じて前記消火装置の制御を行う制御手段を備え、
前記消火剤収容手段は、
当該消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別を一意に特定する消火剤情報を格納する消火剤情報格納手段を備え、
前記制御手段は、
前記消火剤情報格納手段から取得した前記消火剤情報に基づき前記消火剤の種別を特定し、当該特定した消火剤の種別に応じて前記放出手段の制御を行うこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の消火装置。
【請求項4】
前記放出手段は、
放出する前記消火剤の種別毎に相違する複数の放出口を備え、
前記制御手段は、
前記消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別に応じて、当該消火剤を放出させる前記放出口の切替制御を行うこと、
を特徴とする請求項3に記載の消火装置。
【請求項5】
前記消火装置に関する案内情報を出力する出力手段を備え、
前記制御手段は、
前記消火剤収容手段に収容されている前記消火剤の種別に応じて、前記案内情報の出力制御を行うこと、
を特徴とする請求項3又は4に記載の消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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