説明

消耗品保管管理システム、サーバ及び画像処理装置

【課題】カートリッジの保管場所を、簡単・低コストなシステムで、しかもそのカートリッジを使用する機器の設置場所においてユーザが容易に知ることができるようにする。
【解決手段】サーバ機能を有する通信BOX2のメモリ(NVRAM)24に、インク10,12,14,16,18…の種別毎に各インクの保管場所名や保管場所地図等の各種保管情報が対応付けられてなるインク情報テーブルが保存されている。このインク情報テーブルは、例えば、PC7で作成してそれを通信BOX2へ送信すること等によってメモリ24に保存される。一方、各MFP(例:MFP−A3)は、通信BOX2からインク情報テーブルを取得してメモリ(NVRAM)34に保存しておき、例えばインク残量が所定量以下になるなどの情報出力条件が成立したら、メモリ34に保存されているインク情報テーブルを基にそのインクの保管場所等をLCD表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置で使用される消耗品の保管状況を管理するための消耗品管理システムと、この消耗品保管管理システムを構成するサーバ及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理装置として、プリンタ機能やファクシミリ機能、スキャナ機能などの複数種類の機能を備えた複合機が普及している。オフィスなどの規模の大きい組織の中でも、業務効率向上等のため、複数の複合機を適所に設けて利用するケースが増えている。
【0003】
こういったケースにおいては、ある場所に設置されている複合機のインクの残量が少なくなって印刷できなくなった場合、ユーザは新しいインクカートリッジ(以下単に「カートリッジ」と言う)がどこに保管されているかわからず、業務に支障が生じることがある。特に、複合機の種類が多種に渡ると、それらに用いられるカートリッジも機種毎に異なる場合が多く、ユーザ側でそれらを保管・管理する負担も増大する。
【0004】
これに対し、特許文献1には、消耗品の1つ1つにICタグを取り付け、これら消耗品が使用・保管されるホームネットワーク内の各所(壁、天井、床など)にICタグを検知するセンサを設けて、各センサからの検知情報に基づいてその消耗品の保管位置を検出し、ユーザに通知する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−221426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の発明は、ICタグ検知用のセンサを各所に設ける必要があるため、システムの規模が大型化・複雑化し、膨大なコストがかかる。しかも、消耗品が金属製ロッカーの中に保管されているとセンサで検知できなくなるなど、消耗品の保管場所によっては検知されずに在庫がないなどと誤検出されてしまうおそれもある。
【0007】
尚、消耗品を保管・管理するためのごく簡易的な方法としては、例えば、各複合機に保管場所や管理担当者等を書いたラベルを貼付する方法がある。しかしこのような方法だと、ラベルの作成・貼付の作業の負担が大きく、また、保管場所が変わるとその度に機器毎にラベル張り替えなどの各種作業が発生し、大きな負担となる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、カートリッジ等の消耗品の保管場所を、簡単・低コストなシステムで、しかもその消耗品を使用する機器の設置場所において、ユーザが容易に知ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、サーバと少なくとも1つの画像処理装置とがネットワークを介して相互に通信可能に構成され、画像処理装置に装着されて使用される消耗品の保管状況を管理するための消耗品保管管理システムである。サーバは、消耗品の種類毎にその消耗品の保管状況を示す保管情報が対応付けられてなる、消耗品保管情報が記憶された、サーバ内情報記憶部を備え、保管情報として少なくとも消耗品の保管場所を示す情報を有している。画像処理装置は、サーバ内情報記憶部に記憶されている、該画像処理装置で使用される消耗品に対応した保管情報を取得する保管情報取得手段と、所定の情報出力条件が成立した場合に、保管情報取得手段が取得した保管情報を出力する情報出力手段とを備えている。
【0010】
上記構成の消耗品保管管理システムでは、サーバに消耗品保管情報(少なくとも保管場所)が保持され、画像処理装置が、その保管情報をサーバから取得して、所定の情報出力条件が成立するとその保管情報を出力する。そのため、画像処理装置を使用するユーザは、消耗品の保管場所を、簡単・低コストなシステムで、しかもその消耗品を使用する画像処理装置の設置場所において、容易に知ることができる。
【0011】
保管場所を示す情報の具体的内容は種々考えられるが、請求項2に記載のように、地図、アクセス方法及び外観の少なくとも1つとすることができる。即ち、サーバ内情報記憶部には、保管情報として、消耗品の保管場所を含むその保管場所周辺の地図、保管場所へのアクセス方法、及び保管場所の外観のうち少なくとも1つが記憶されている。そして、画像処理装置の情報出力手段は、保管情報として、上記の地図、アクセス方法、及び外観の少なくとも1つを出力する。
【0012】
上記構成の消耗品保管管理システムによれば、消耗品の保管場所について、その場所は具体的にどこなのか、どのようなルートで辿り着けるのか、どんな外観の場所なのか、などの情報まで出力されるため、ユーザは保管場所をより容易に知ることができる。
【0013】
また、情報出力手段が保管情報を具体的にどのように出力するかについても種々考えられ、例えば画面表示したり音声出力したりする方法もあるが、請求項3に記載のように印刷出力させるようにしてもよい。即ち、画像処理装置は、保管情報の印刷出力の要求を受け付ける印刷要求受付手段と、保管情報を示す画像を記録媒体に印刷する印刷手段とを備え、情報出力手段は、情報出力条件が成立した場合に、印刷要求受付手段により印刷出力の要求が受け付けられたならば、印刷手段に保管情報を示す画像を印刷させる。
【0014】
上記構成の消耗品保管管理システムによれば、印刷された保管情報を持ってその内容を確認しながら保管場所に行くことができるため、ユーザの利便性が高まる。
消耗品保管情報をどのように生成してサーバに記憶させるかについても種々考えられるが、請求項4に記載のように、外部からの情報の入力を受け付けてその入力された情報に基づいて消耗品保管情報を生成する消耗品保管情報生成手段を備え、サーバは、その消耗品保管情報生成手段により生成された消耗品保管情報をサーバ内情報記憶部に記憶させるようにすることができる。消耗品保管情報生成手段は、サーバ及び画像処理装置とは別に独立した構成であってもよいし、サーバ又は画像処理装置に内蔵されていてもよい。
【0015】
上記構成の消耗品保管管理システムによれば、ユーザ入力等の外部入力によって消耗品保管情報を生成できる。つまり、ユーザが必要に応じて保管情報を自在に生成でき、それをサーバに登録・更新等することができる。
【0016】
また、画像処理装置の保管情報取得手段がサーバから保管情報を取得するタイミングや要領等も種々考えられるが、例えば請求項5に記載のように構成することができる。即ち、画像処理装置の保管情報取得手段は、所定の取得タイミングで保管情報を取得して装置内情報記憶部に記憶しておく。そして、情報出力条件が成立したとき、装置内情報記憶部に記憶されている保管情報に対してサーバ内情報記憶部に記憶されているその保管情報が更新されているか否かを確認する更新有無確認を行い、更新されていたならば、サーバからその更新されている保管情報を取得して装置内情報記憶部の記憶内容を更新する。
【0017】
そして、情報出力手段は、情報出力条件が成立した場合、更新有無確認によって更新されていないならば装置内情報記憶部に記憶されている保管情報を出力し、更新されていたならば、その更新有無確認後に保管情報取得手段がサーバから取得した、その更新されている保管情報を出力する。
【0018】
上記構成の消耗品保管管理システムによれば、サーバから予め保管情報を取得しておくことで、必要時に迅速にその情報を出力することができる。しかも、サーバにおける更新の有無を確認し、更新されている場合にはその更新情報をサーバから取得して出力するため、常に最新の保管情報をユーザに提供することができる。
【0019】
ここで、保管情報としては、上記の保管場所の他、更に、請求項6に記載のように、消耗品の種類毎の在庫数量を有するようにするとよい。そして、画像処理装置の情報出力手段は、保管情報として、少なくとも保管場所及び在庫数量を出力する。
【0020】
上記構成の消耗品保管管理システムによれば、保管場所に加えて在庫数量も出力(提供)されるため、ユーザは所望の消耗品についてその在庫数量まで知ることができ、情報提供の付加価値を高めることができる。
【0021】
そして、在庫数量の管理は、請求項7に記載のようにサーバと消耗品との通信によって行えるようにすると効率的である。即ち、消耗品には、当該消耗品を示す消耗品情報として少なくともその消耗品の種類が登録された消耗品情報登録部と、この消耗品情報登録部に登録されている消耗品情報を送信する送信手段とが設けられている。一方、サーバは、消耗品の送信手段から送信された消耗品情報を受信する受信手段と、この受信手段により消耗品情報が受信された場合に、その消耗品情報に基づいて、サーバ内情報記憶部に記憶されている消耗品保管情報におけるその消耗品の在庫数量を増加させる在庫数量設定手段とを備えている。
【0022】
上記構成の消耗品保管管理システムによれば、サーバは、消耗品との通信(消耗品情報の送受信)によって消耗品の在庫数量を管理(増加)するため、消耗品の在庫登録(増加)を容易に行うことができる。
【0023】
但し、上記構成では、サーバの受信手段が同じ1つの消耗品から消耗品情報を複数回受信した場合、受信する度に在庫数量を増加させてしまうおそれがある。そこで、そのような重複登録を避けるために、例えば請求項8に記載の構成をとるとよい。
【0024】
即ち、消耗品の消耗品情報登録部には、消耗品情報として、当該消耗品固有の消耗品識別情報が登録されている。一方、サーバは、在庫数量設定手段により在庫数量が増加された際、その増加された消耗品の消耗品識別情報に基づき、その消耗品識別情報を有する消耗品については在庫数量として既に計上されたことを登録する在庫計上状況登録手段を備えるようにする。そして、在庫数量設定手段は、受信手段により消耗品から消耗品情報が受信された場合、その消耗品情報に含まれている消耗品識別情報に基づき、その消耗品が在庫計上状況登録手段によって既に在庫数量として計上されているか否か判断して、計上されていない場合に在庫数量を増加させる。
【0025】
つまり、サーバ側で、消耗品毎に個別に、在庫登録したものについてはその旨を登録しておくようにし、在庫登録時、既に在庫登録済みの消耗品であるかどうか判断して、未登録のものである場合に、在庫数量として計上(増加)するのである。そのため、同じ消耗品が二重・三重…に在庫数量として計上されてしまうのを防ぐことができ、在庫数量を適正に管理することができる。
【0026】
在庫数量のより適切な管理のためには、請求項9に記載のように、消耗品が実際に画像処理装置に装着された場合にその分を在庫数量から減らすようにするとよい。即ち、画像処理装置は、該画像処理装置に消耗品が装着された場合にその消耗品から消耗品情報を取得する消耗品情報取得手段と、消耗品が装着された場合に、消耗品情報取得手段により取得された消耗品情報を、その消耗品が装着されたことを示す装着情報としてサーバへ送信する装着情報送信手段と、を備え、サーバの在庫数量設定手段は、装着情報送信手段から送信された装着情報を受信した場合、その装着情報に基づいて、サーバ内情報記憶部に記憶されている消耗品保管情報におけるその消耗品の在庫数量を減少させる。
【0027】
消耗品が画像処理装置に装着されて使用されると、その消耗品はもはや在庫品(新品)ではなくなる。そこで、その場合はその都度サーバ側で在庫数量を減らすようにすることで、在庫数量のより適正な管理・把握が可能となる。
【0028】
上記のように装置装着時に在庫数量を減少させる場合においても、例えば同じ1つの消耗品が複数回着脱されると、その度に在庫数量が減少してしまうおそれがある。そこで、そのような重複減少を避けるために、例えば請求項10に記載の構成をとるとよい。
【0029】
即ち、画像処理装置は、上述した消耗品情報取得手段と装着情報送信手段とを備えている。一方、サーバの在庫数量設定手段は、装着情報送信手段から送信された装着情報を受信した場合、その装着情報に基づいて、サーバ内情報記憶部に記憶されている消耗品保管情報におけるその消耗品の在庫数量を減少させ、在庫計上状況登録手段は、在庫数量設定手段により在庫数量が減少された際、その減少された消耗品の消耗品識別情報に基づき、その消耗品識別情報を有する消耗品については在庫数量から減少されたことを登録するようにする。そして、在庫数量設定手段は、装着情報送信手段から送信された装着情報を受信した場合、その装着情報に含まれている消耗品識別情報に基づき、その消耗品が在庫計上状況登録手段によって既に在庫数量から減少されたものとされているか否か判断して、減少されたものとされていない場合に在庫数量を減少させる。
【0030】
つまり、サーバ側で、消耗品毎に個別に、在庫数量から削除したものについてはその旨を登録しておく。そして、画像処理装置への消耗品装着時、その消耗品が既に在庫数量から削除されたものであるかどうか判断して、まだ削除されていないもの(つまりまだ在庫数量として計上されているもの)である場合に、在庫数量から削減する。そのため、同じ消耗品が重複して在庫数量から削減されてしまうのを防ぐことができ、在庫数量をより適正に管理することができる。
【0031】
次に、請求項11に記載の発明は、ネットワークを介して少なくとも1つの画像処理装置と相互に通信可能に構成されたサーバであって、画像処理装置に装着されて使用される消耗品の種類毎にその消耗品の保管状況を示す保管情報が対応付けられてなる、消耗品保管情報が記憶された、サーバ内情報記憶部と、画像処理装置に対し、サーバ内情報記憶部に記憶されている、該画像処理装置で使用される消耗品に対応した保管情報を送信する保管情報送信手段とを備え、保管情報として少なくとも消耗品の保管場所を示す情報を有している。
【0032】
このように構成されたサーバによれば、保管情報が記憶されると共にその保管情報を画像処理装置に送信するため、画像処理装置側で消耗品の保管情報を利用(情報出力等)できる。そのため、請求項1と同様の効果が得られる。
【0033】
次に、請求項12に記載の発明は、サーバとネットワークを介して相互に通信可能に構成された画像処理装置であって、サーバには、当該画像処理装置に装着されて使用される消耗品の種類毎にその消耗品の保管状況を示す保管情報が対応付けられて記憶され、保管情報として少なくとも消耗品の保管場所を示す情報が記憶されている。そして、当該画像処理装置は、サーバから該サーバに記憶されている保管情報を取得する保管情報取得手段と、所定の情報出力条件が成立した場合に、保管情報取得手段が取得した保管情報を出力する情報出力手段とを備えている。
【0034】
上記構成の画像処理装置によれば、消耗品の保管情報をサーバから取得して必要に応じて(情報出力条件成立時に)出力できるため、請求項1と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態の消耗品保管管理システムの概略構成を表す構成図である。
【図2】第1実施形態の通信BOXに保存されるインク情報テーブルを表す説明図である。
【図3】第1実施形態のMFPの動作時にLCD表示・印刷される内容の一例を表す説明図である。
【図4】第1実施形態のMFPで実行されるインク保管場所情報表示・印刷処理を表すフローチャートである。
【図5】第2実施形態の各テーブルを表す説明図である。
【図6】第2実施形態のMFP及び通信BOXの動作時にLCD表示される内容の一例を表す説明図である。
【図7】第2実施形態の通信BOXで実行されるインク在庫情報登録処理を表すフローチャートである。
【図8】第2実施形態のMFP及び通信BOXで実行される各処理を表すフローチャートである。
【図9】消耗品保管管理システムの他の例を表す構成図である。
【図10】図9の消耗品保管管理システムにおけるMFP及びPCで実行される各処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のインク保管管理システム1は、サーバ機能を有する通信BOX2と、複数のMFP(Multi Function Peripheral)3,4,5,6とがネットワーク(本例では有線LAN)8を介して相互にデータ通信可能に接続されたものである。ネットワーク8にはパーソナルコンピュータ(PC)7も接続されている。
【0037】
通信BOX2は、PSTNやIP網などの外部回線9と接続され、各MFP3〜6と外部回線9との間のファクシミリ通信、データ通信、通話や、PC7と外部回線9との間のデータ通信を中継するものであり、CPU21,ROM22,RAM23,電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであるNVRAM(以下単に「メモリ」と言う)24,表示・操作部25,LANインタフェース(I/F)26,タグリーダライタ(R/W)27,WANI/F30などを備えている。
【0038】
表示・操作部25は、各種情報を画像表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネル、各種操作ボタンなどを備えてなるものである。LANI/F26は、ネットワーク8を介したデータ送受信を担うものであり、WANI/F30は、外部回線9を介したデータや各種信号等の送受信を担うものである。尚、タグリーダライタ27は、各MFP3〜6で使用されるカートリッジに取り付けられたICタグとの間で非接触通信を行うためのものであるが、これについては後述する第2実施形態で言及する。
【0039】
この通信BOX2は、サーバ機能を有し、ファクシミリ受信データを一旦保存して必要に応じて各MFP3〜6へ送出するなどの各種機能を有する他、本実施形態では、インク(カートリッジ)の保管状況に関する情報が集約されたインク情報テーブルを保持しており、必要に応じて各MFP3〜6へ提供する。通信BOX2のメモリ24には、これらサーバ機能を実現するための各種プログラムやインク情報テーブルが格納されており、これら各種プログラムをCPU21が実行することによりサーバ機能が実現される。
【0040】
インク情報テーブルは、図2に示すように、インク(カートリッジ)の種別毎に、各インクの保管場所(テキスト情報)、対応機種、カートリッジの外観画像、管理担当者名とその内線番号、保管場所の画像、保管場所の地図、本インク情報テーブルの最新の更新日時を示すタイムスタンプなどが対応付けられてなるものである。このインク情報テーブルの作成・更新は、後述するようにPC7で行われるが、通信BOX2本体でもユーザ操作により更新等できる。
【0041】
尚、本実施形態では、MFP−A3に対応した(使用可能な)インク種別は「BR−01」、MFP−B4及びMFP−C5に対応したインク種別は「BR−02」、MFP−D6に対応したインク種別は「BR−03」である。各インクいずれも、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色がある。
【0042】
PC7は、周知のパーソナルコンピュータであり、CPU71,ROM72,RAM73,電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであるNVRAM(メモリ)74,表示・操作部75,LANI/F76などを備えている。表示・操作部75は、例えばユーザが各種入力操作をおこなうためのキーボードとLCDとにより構成されている。
【0043】
このPC7は、内部に各種アプリケーションソフトがインストールされている他、通信BOX2を介してインターネットに接続でき、Webサイトとの間で各種データのダウンロード・アップロードが可能である。PC7は更に、上述したインク情報テーブルをユーザ操作により作成して通信BOX2へ送信する機能(ソフト)も有している。
【0044】
PC7によるインク情報テーブルの作成・送信は次のように行われる。まず前提として、通信BOX2は、ネットワーク8にMFPが接続されると、その都度、自動的にその接続されたMFPと所定のデータ通信を行って、そのMFPの機種や対応インク種別などを取得する。そのため、通信BOXのメモリ24には、ネットワーク8に接続されている各MFP3〜6の機種や対応インク種別が記憶されている。
【0045】
また、インク情報テーブルの雛形が所定のWebサイトにある。そこでユーザは、PC7を操作して、Webサイトからインク情報テーブルの雛形を取得する。雛形の初期状態は、何れの項目も基本的には空白となっているため、これをユーザが入力操作等して埋めていくことになる。但し、ネットワーク8に接続されているMFPの機種や対応インク種別については上記のように通信BOX2に記憶されているため、PC7が通信BOX2からこれらを自動的に取得することで、インク情報テーブルのうち対応機種とインク種別については自動的に埋め込まれる。そのため、ユーザは、対応機種及びインク種別以外の各種情報について、順次埋めていくこととなる。但し、対応機種及びインク種別についても、ユーザ自ら入力できるようにしてもよい。
【0046】
インク情報テーブルの各項目のうち、保管場所画像や保管場所地図については、例えば、予め写真撮影したり地図を作成してPC7に保存しておき、それら画像データを雛形に貼り付けるようにすることができる。インク外観画像についても、同様にして画像データを雛形に貼り付けるようにしてもよいし、通信BOX2又はPC7がWebサイトからインク外観画像データを取得できるようにしてもよいなど、種々の方法を採り得る。
【0047】
PC7で作成されたインク情報テーブルは、通信BOX2へ送信され、これにより通信BOX2に登録(即ちメモリ24に記憶)される。また、PC7では、通信BOX2に保存されているインク情報テーブルを更新することもできる。通信BOX2は、自身に記憶されているインク情報テーブルが更新される毎に、その最新の更新時刻を示す情報であるタイムスタンプを、インク種別毎に設定する。
【0048】
尚、上記のようにインク情報テーブルの作成をWebサイトから雛形を取得して行うようにするのはあくまでも一例であり、インク情報テーブルを具体的にどこでどのように作成するか、さらには作成したインク情報テーブルをどこで保持しておくか、などについては種々の形態をとることができる。
【0049】
通信BOX2と接続されているMFP−A3,MFP−B4,MFP−C5及びMFP−D6は、何れも、プリンタ機能やファクシミリ機能、スキャナ機能などの複数種類の機能を備えたいわゆる複合機である。このうちMFP−A3は、このMFP−A3に対応したカートリッジ12が着脱可能である。カートリッジ12にはICタグ13が取り付けられ、MFP−A3にはそのICタグ13と無線通信してデータの読み書きを行うためのタグリーダライタ37が設けられている。他の各MFP4〜6も同様の構成であるため、以下の説明では、代表としてMFP−A3について説明する。
【0050】
MFP−A3は、CPU31,ROM32,RAM33,電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであるNVRAM(メモリ)34,表示・操作部35,LANI/F36,タグリーダライタ37,インク装着検知部38a,インク残量検知部38b,プリンタ部39,及びスキャナ部40などを備えている。
【0051】
表示・操作部35は、各種情報を画像表示するためのLCDやタッチパネル、各種操作ボタンなどを備えてなるものである。また、インク装着検知部38aは、当該MFP−A3にカートリッジ12が装着された場合にこれを検知するものである。尚、図1ではMFP−A3に1つのカートリッジ12が装着された状態が図示されているが、実際には各色(4色)のカートリッジが装着され、インク装着検知部38aはそれぞれの装着の有無を個別に検知する。また、インク残量検知部38bは、装着されているカートリッジ12の残量を検知する。このインク残量検知部38bも、装着されている各色のカートリッジ毎にそのインクの残量を検知する。
【0052】
プリンタ部39は、プリンタ機能を実現するものであり、図示しない用紙トレイに収容された印刷用紙に画像を形成(印刷)する。スキャナ部40は、スキャナ機能を実現するものである。尚、タグリーダライタ37は、装着された各カートリッジに取り付けられたICタグとの間で非接触通信を行うためのものであるが、これについては本実施形態では言及せず、後述する第2実施形態で言及する。
【0053】
MFP−A3のメモリ34には、MFPとしての上記各種機能を実現するための各種プログラムや、後述するインク保管場所情報表示・印刷処理のプログラムなどが記憶されている。また、通信BOX2に記憶されているインク情報テーブルのうち、少なくとも当該MFP−A3に対応した情報も、通信BOX2から送信されてメモリ34に記憶される。MFP−A3では、そのインク情報テーブルに基づき、後述するようにインクの保管場所を表示したり印刷出力したりすることができる。
【0054】
通信BOX2からMFP−A3へのインク情報テーブルの送信タイミングは種々考えられるが、本実施形態では少なくとも、PC7にてインク情報テーブルが作成されてそれが通信BOX2へ送信・記憶された時に、通信BOX2が各MFP3〜6へ送信し、これが各MFP3〜6で記憶されるよう構成されている。
【0055】
本実施形態のインク保管管理システム1における、最も特徴的な機能は、各MFP3〜6において自身のインクの保管場所を表示・印刷出力させる機能である。この機能の実現過程で、図3(a)のインク残量情報や図3(b)のインク保管場所情報などがLCD表示され、更に図3(c)に示すインク保管場所情報が印刷出力される。
【0056】
次に、MFP−A3で実行されるインク保管場所情報表示・印刷処理について、図4を用いて説明する。この処理はCPU31により定期的に実行される。CPU31はこの処理を開始すると、まずインク残量表示キーが押されたか否か判断する(S110)。
【0057】
表示・操作部35を構成するLCDには、初期状態では、所定のメニュー画面が表示されており、そのメニュー画面の中に残量表示ボタンも表示されている。その残量表示ボタンが押されると(S110:YES)、図3(a)に示すインク残量情報をLCD表示する。但しこの場合は、図3(a)のうち破線で囲まれたメッセージは表示しない。
【0058】
一方、インク残量表示キーが押されない場合は(S110:NO)、インク残量が所定量以下と検出されたか否かをインク残量検知部38bの検知情報に基づいて判断する。そして、インク残量が所定量以下でなければ(S130:NO)、S110に戻るが、所定量以下ならば(S130:YES)、インク切れが間近である旨のインク残量情報(図3(a))をLCD表示する(S140)。
【0059】
そして、メモリ34にインク保管場所情報(インク情報テーブル)があるか否か判断し(S150)、メモリ34にインク情報テーブルが記憶されていない場合は(S150:NO)、インク保管場所情報がない旨をLCD表示して(S300)、このインク保管場所情報表示・印刷処理を終了する。一方、メモリ34にインク保管場所情報が記憶されていれば(S150:YES)、通信BOX2に記憶されているインク情報テーブルの更新有無を確認する(S160)。
【0060】
そのためにまず、通信BOX2のインク情報テーブルを確認できたか否か判断する(S170)。そして、通信BOX2のインク情報テーブルを確認できたならば(S170:YES)、自身のメモリ34内の情報が通信BOX2側で更新されているか否か判断する(S180)。この判断はタイムスタンプを比較することにより行い、更新されていたならば(S180:YES)、通信BOX2のメモリ24に記憶されている最新のインク情報テーブルに基づき、自身のメモリ34のインク情報テーブルを更新する(S200)。そして、その更新後のインク情報テーブルに基づいて、最新のインク保管場所情報を、図3(b)に示すようにLCD表示する(S210)。尚、タイムスタンプの比較による更新有無の確認方法はあくまでも一例であり、他の方法で確認してもよい。
【0061】
一方、S170にて通信BOX2のインク情報テーブルを確認できなかった場合(S170:NO)、又はS180にて自身のメモリ34内の情報が最新であると判断された場合は(S180:NO)、自身のメモリ34内に記憶されているインク情報テーブルに基づき、図3(b)に示すインク保管場所情報をLCD表示する(S190)。
【0062】
インク保管場所情報のLCD表示後は、更に、インク保管場所情報の印刷要求があるか否かを判断する(S220)。図3(b)に示すように、LCD表示されるインク保管場所情報には、保管場所のテキストデータや各色のインク残量の他、保管場所情報を印刷するか否かをユーザに選択させる画像も表示される。ここで、「いいえ」が押されたら(S220:NO)、そのままこのインク保管場所情報表示・印刷処理を終了するが、「はい」が押された場合は(S220:YES)、インク残量検知部38bの検知結果に基づいて各色のインク残量をチェックし(S230)、そのチェック結果に基づいて印刷出力可能かどうか、即ち印刷出力し得るだけのインク残量があるか否かを判断する(S240)。
【0063】
そして、インク残量不足によって印刷出力できない場合は(S240:NO)、印刷できない旨をLCD表示するが(S280)、印刷出力できる場合は(S240:YES)、更に、カラー印刷可能か否かを判断する(S250)。そして、カラー印刷可能な程度に各色のインクが残っている場合は(S250:YES)、インク保管場所情報をカラー印刷する。具体的には、図3(c)に示す画像を印刷用紙に印刷出力する。
【0064】
この印刷出力される情報は、図3(c)から明らかなように、保管場所のテキスト情報の他、保管場所の外観画像、保管場所の地図、インクの外観画像もある。尚、地図の代わりに(或いは地図に加えて)保管場所までのアクセス方法を提供してもよい。
【0065】
一方、インク不足等によってカラー印刷できない場合は(S250:NO)、図3(c)のインク保管場所情報をモノクロ印刷する(S290)。そして、インク保管場所情報を印刷出力した後は、LCD表示をもとのメニュー画面に戻す(S270)。尚、保管場所の外観画像や地図、インクの外観画像などは、LCD表示可能としてもよい。
【0066】
以上説明した本実施形態のインク保管管理システム1によれば、MFPを使用するユーザは、インクの保管場所を、簡単・低コストなシステムで、しかもそのインクを使用するMFPの設置場所において、容易に知ることができる。また、LCD表示だけでなく印刷出力も可能であるため、ユーザは必要に応じてインク保管場所情報を印刷出力し、その印刷内容を確認しながら保管場所に行くことができ、ユーザの利便性が高まる。
【0067】
しかも、LCD表示或いは印刷出力されるインク保管場所情報として、保管場所を示すテキストデータだけでなく、保管場所の外観画像や地図、カートリッジの外観画像も表示或いは印刷出力される。そのため、ユーザは保管場所をより容易に知ることができる。
【0068】
更に、MFPは、インク保管場所情報を表示等する際、通信BOX2に更新の有無を確認し、更新されていた場合にはその最新のインク情報テーブルを取得してその内容を表示等するため、常に最新のインク保管場所情報をユーザに提供することができる。
【0069】
また、通信BOX2に記憶されるインク情報テーブルは、ユーザがPC7にて自在に作成・更新することができる。そのため、例えば引越などでインク保管場所が変わっても、その変更をインク情報テーブルに迅速且つ容易に反映させるこができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のインク保管管理システムについて説明する。本実施形態のインク保管管理システムは、そのハード構成自体は図1に示すインク保管管理システム1と同じであり、第1実施形態で説明した各種機能は備えている。その上で、本実施形態では、インク(カートリッジ)の種別・色毎にその在庫数量を管理する機能も備えている。
【0071】
図1に示すように、各カートリッジにはそれぞれ、ICタグが取り付けられている。例えばMFP−A3に装着されるカートリッジ12に取り付けられているICタグ13は、主として、送受信部13a,制御部13b,メモリ13cを備えている。送受信部13aは、通信BOX2のタグリーダライタ27やMFP−A3のタグリーダライタ37との間で無線にてデータ送受信を行う。制御部13bは、当該ICタグ13の動作全体を制御するものであり、メモリ13cに対する各種データの読み書きを制御する。
【0072】
通信BOX2のタグリーダライタ27は、各カートリッジのICタグとの無線通信により在庫登録を行うために用いられる。例えば図1に示すようにあるカートリッジ10を通信BOX2のタグリーダライタ27に近づけると、タグリーダライタ27がカートリッジ10のICタグ11から必要な情報を取得して、このカートリッジ10を在庫として登録すると共にその登録した旨をICタグ11にも送信する。
【0073】
一方、各MFP3〜6の各タグリーダライタ37,47,57,67は、それぞれ対応するインクが装着された場合にそのインクのICタグとの無線通信によりそのインクの情報を取得するために用いられる。
【0074】
通信BOX2のメモリ24には、図5(a)に示すインク情報テーブル、及び図5(b)に示すタグ情報テーブルが記憶される。このうち図5(a)のインク情報テーブルは、図2に示した第1実施形態のインク情報テーブルに対して更に、各カートリッジの在庫数量が加えられたものである。この在庫数量については、基本的にはユーザにより自在に操作できず(勿論できるようにしてもよいが)、よって初期値は全て0となっている。図5(b)のタグ情報テーブルは、後述する在庫登録時に自動的に作成されるものである。
【0075】
また、カートリッジ12のICタグ13には、そのメモリ13c内に、図5(c)に示すカートリッジ情報テーブルが記憶されている。具体的には、そのカートリッジ12固有の固有IDと、インク種別(本例では「BR−01」の黒(black))、及び在庫として登録済みであるか否かを示す在庫フラグがテーブル化されて記憶されている。
【0076】
このように構成された本実施形態のインク保管管理システム1においても、各MFP3〜6では、第1実施形態で説明したインク保管場所情報表示・印刷処理(図4参照)が実行され、これにより第1実施形態と同様の作用効果が得られる。但し本実施形態では、LCD表示されるインク保管場所情報として、図6(a)に示すように、各色インクの在庫数量(残り個数)も含まれており、この在庫数量は印刷出力の際にも印刷される。
【0077】
更に本実施形態では、通信BOX2にて、カートリッジがタグリーダライタ27に近づけられると、図7に示すインク在庫情報登録処理がなされる。この処理の過程で、図6(b)〜図6(d)の各画像がLCD表示される。そこで、このインク在庫情報登録処理について、図7を用いて説明する。この処理は、通信BOX2のCPU21が定期的に実行するものであり、CPU21は、この処理を開始すると、カートリッジのICタグを確認したか否か(即ちタグリーダライタ27にて通信開始されたか否か)を判断し(S310)、ICタグを確認したら、そのICタグからICタグ情報(図5(c)のカートリッジ情報テーブル)を読み出す(S320)。
【0078】
そして、読み出した固有IDに基づき、現在登録されているタグ情報テーブル(図5(b))を参照して、既に通信BOX2に登録されているカートリッジであるか否か判断する(S330)。ここで、既に登録済み、即ち図5(b)のタグ情報テーブルとして記憶されているならば(S330:YES)、図6(b)に示す、既に登録済みである旨を示す登録済み通知をLCD表示する(S410)。そして、現在登録されている在庫保管先を変更するか否かをユーザに問い、変更しない旨の操作入力がなされたら(S420:NO)、通信BOX2からカートリッジを離す旨をLCD表示する(S400)。
【0079】
一方、変更する旨の操作入力がなされた場合(S420:YES)、又はS330に未登録カートリッジである旨判断された場合(S330:NO)は、図6(c)に示すインク在庫保管先選択画面をLCD表示する(S340)。このインク在庫保管先選択画面では、既に登録されている保管先情報がスクロール表示され、ユーザはその中から所望の保管場所をタッチ操作で指定(選択)できる。
【0080】
そして、「戻る」が押されたらS400に進むが、所望の保管場所が指定された状態で「設定」が押された場合は、図6(d)に示すように、その指定した在庫保管先でよいか否かの確認を促すインク保管先確認画面をLCD表示する(S360)。図6の例では、インク在庫保管先選択画面(図6(c))において指定された保管先がインク在庫保管先確認画面(図6(d))にてあらためて表示され、それでよいか否かの確認が促されている。また、図6(c)の画面において「新規登録・修正」が押された場合は、在庫保管先の新規登録又は変更を受け付けるための所定の処理を行った上で(S430)、その新規登録或いは変更後の在庫保管先について図6(d)の確認画面を表示する。
【0081】
そして、設定、新規登録、或いは変更された在庫保管先について、それを登録する旨の操作がされたら(即ち図6(d)の確認画面で「はい」が押されたら)(S370:YES)、カートリッジのICタグへ、在庫フラグを「○」に書き換えるよう指令送信する。これにより、ICタグの在庫フラグは、在庫登録された旨を示す「○」に設定される。
【0082】
更に、通信BOX2自身の各テーブルをそれぞれ更新する。具体的には、インク情報テーブル(図5(a))については、登録されたカートリッジの在庫数量を増加させ、保管場所が新規登録或いは変更された場合はそれを反映させる。 タグ情報テーブルについては、登録されたカートリッジの情報を新規追加する。タグ情報テーブルは、図5(b)に示すように、登録されたインク(ICタグ)毎に固有ID、対応機種、インク保管場所、装着装置名、インク種別、及び在庫フラグが登録されてなるものである。そこで、新規登録されたカートリッジに関する情報を新規追加する。この場合、当該カートリッジはまだMFPに装着されていないため、テーブル情報中、装着装置名については未定となる。
【0083】
このようにして各テーブルをそれぞれ更新した後、通信BOX2からカートリッジを離す旨を表示して(S400)、本処理を終了する。尚、図6(d)の確認画面で「いいえ」がおされた場合も(S370:NO)、このS400の処理に進む。
【0084】
一方、各MFP(代表としてMFP−A3)においては、CPU31が、図8(a)に示すインク装着時MFP側在庫数量変更処理を定期的に実行する。CPU31は、この処理を開始すると、まず、インク装着検知部38aの検知結果に基づき、カートリッジが装着されたか否かを判断する(S510)。そして、装着が確認されたならば(S510:YES)、その装着されたカートリッジのICタグからICタグ情報(図5(c))のカートリッジ情報テーブル)を読み出す(S520)。
【0085】
そして、その読み出したICタグ情報のうち在庫フラグに基づき、そのカートリッジが既に在庫として登録されているか否か判断する(S530)。ここで、在庫フラグが「×」で在庫として登録されていないならば(S530:NO)、そのままこの処理を終了するが、在庫フラグが「○」で在庫として登録されているならば(S530:YES)、カートリッジのICタグへ、在庫フラグを「×」に書き換えるよう指令送信する(S540)。これにより、ICタグの在庫フラグは、在庫品ではない旨を示す「×」に設定される。
【0086】
更に、通信BOX2へ、装着されたカートリッジから読み出したICタグ情報を自装置名(ここではMFP−A3を示す情報)と共にカートリッジ装着情報として送信する(S550)。つまり、カートリッジが装着された旨を通信BOX2へ通知するのである。
【0087】
これに対し、通信BOX2では、図7のインク在庫情報登録処理と並行して図8(b)に示すインク装着時通信BOX側在庫数量変更処理も定期的に実行されている。即ち、通信BOX2のCPU21は、この図8(b)の処理を開始すると、まず何れかのMFPからカートリッジ装着情報が受信されたか否かを判断し(S610)、受信された場合には、そのカートリッジ装着情報に対応したカートリッジ(即ちMFP側で装着されたカートリッジ)が通信BOX2自身のタグ情報テーブル(図5(b))に登録されているものであるか否かを固有IDに基づいて判断する(S620)。
【0088】
そして、タグ情報テーブルに登録されているカートリッジでないならば(S620:NO)、そのままこの処理を終了するが、タグ情報テーブルに登録されているカートリッジならば(S620:YES)、そのカートリッジ装着情報の送信元のMFPに対して既に装着済みとされている、同種別(同色)で異なる固有IDのカートリッジが登録されているか否か判断する(S630)。つまり、タグ情報テーブル中、同種別・同色で異なる固有IDのカートリッジについて、在庫フラグが「×」となっていて装着装置名がその送信元のMFPと同名であるか否かを判断する。この判断をするのは、交換されて既に廃棄処分等されたカートリッジの情報についてはその都度消去していくようにするためである。
【0089】
このS630で肯定判定された場合は、交換前の古いカートリッジの情報が残っているということであるため、そのカートリッジの情報についてはタグ情報テーブルから削除して(S640)、S650に移行する。また、S630で否定判定された場合も、S650に移行する。S650では、タグ情報テーブルにおける、新規装着されたカートリッジの情報を変更する。具体的には、インク情報テーブルにおいて、新規装着されたカートリッジの在庫数量を減少させる。また、タグ情報テーブルにおいて、新規装着されたカートリッジについて、在庫フラグを「×」にすると共に装着装置名を設定する。
【0090】
以上説明した第2実施形態のインク保管管理システムによれば、ユーザに対してカートリッジの保管場所に加えて在庫数量も提供することができるため、低コストながら情報提供の付加価値を一層高めることができる。
【0091】
しかもその在庫登録は、通信BOX2とカートリッジのICタグとの通信により行われ、在庫登録と共に在庫フラグも設定され、その在庫フラグに基づいて、新規登録時の在庫数量への計上、及びMFPへの装着時における在庫数量からの削減がなされる。そのため、カートリッジの在庫数量の管理を、低コストながら容易に且つ適正に(重複計上・重複削減することなく)行うことができる。また、非接触のICタグを用いていることから、複数のカートリッジをまとめて在庫登録することもできる。
【0092】
[変形例]
本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0093】
例えば、本発明は、図9に示すようなシステムにおいても適用可能である。図9のインク保管管理システム101は、複数のMFPのうちMFP−A103が、ネットワーク8には接続されずにPC107とUSB190にてローカル接続されている。また、PC107は、無線LANにて通信BOX102とデータ通信可能に構成されている。
【0094】
このシステムにおいても、実質的には上記各実施形態のシステムと同様の機能を備えているが、MFP−A103は、上記実施形態のように通信BOX102と直接データ通信することはできないため、PC107を中継してデータ通信することとなる。その中継処理の一例を、図10を用いて説明する。
【0095】
まず図10(a)は、MFP−A103が通信BOX102からインク情報テーブルを取得するために所定のタイミング(例えば1日に数回、或いは一定時間毎、など)で実行するインク情報中継取得要求処理である。MFP−A103は、この処理を開始すると、まずPC107との接続が確立できたか否か判断する(S710)。そして、通信が確立できない場合は、PCとのケーブル接続及びPCの電源投入をユーザに促すための画面をLCD表示する(S750)。一方、PCとの接続が確立できたら(S710:YES)、PCに対し、通信BOX102からインク情報テーブル中の自身(MFP−A103)に対応した情報を取得するよう指令を送信する(S720)。そして、PCからその情報を受信するまで待機し(S730)、情報を受信したら、その受信したインク情報テーブルの情報を自身のメモリに格納する(S740)。
【0096】
上記のMFP−A103の処理に対し、PC107は、図10(b)に示すインク情報中継取得処理を定期的に実行する。PC107は、この処理を開始すると、まず、MFP103から情報取得の指令(図10(a)のS720で送信)を受信したか否か判断し(S810)、受信したならば、通信BOX102との無線LANによる通信接続が確認できたか否か判断する(S820)。そして、接続が確認できた場合は(S820:YES)、通信BOX102に対し、インク情報テーブルにおける該当MFP(MFP−A103)の情報を送信するよう指令を送る(S830)。そして、通信BOX102からその情報が受信されると(S840:YES)、その受信した情報をPC107自身に保存し(S850)、更にそれをMFP−A103へ送信する(S860)。
【0097】
一方、S820において通信BOX102との接続が確認できない場合は、通信BOX102と接続できないことをPCの画面(LCD)上に表示し(S870)、更にその旨をMFP−A103へ送信する(S880)。そして、例えばLCDに通信BOX102との接続を再試行すべきかどうかを問う画面を表示するなどして通信BOX102との接続を再度確認し(S890)、再接続すべき旨の操作等がなされた場合は(S890:YES)、再びS820以降の処理に移る。一方、再接続は不要である旨の操作等がなされた場合は(S890:NO)、通信BOX102との接続が失敗したことをPC107の画面(LCD)に表示し(S900)、更にその旨をMFP−A103にも送信する(S910)。
【0098】
このように、システムの具体的構成に拘わらず、通信BOXとMFPが直接又は間接的に通信可能である限り、あらゆる形態のシステムで本発明が適用可能である。
また、上記実施形態ではサーバ機能を通信BOXに持たせたが、これも一例に過ぎず、例えば何れかのMFPにサーバ機能も持たせるようにしたり、PCに持たせるようにしたり、或いはサーバ機能を備えた別の装置を設けるようにするなど、サーバ機能をどこに持たせるかについては特に限定されるものではない。
【0099】
また、ネットワーク8は有線に限らず無線ネットワークでもよい。また、カートリッジと通信BOXとの通信(及びMFPとの通信)は、非接触のICタグに限らず、他の種々の通信方式を用いることができる。また、サーバと接続するMFPの数も特に限定されるものではない。また、本発明の適用は、カートリッジの保管管理に限定されるものではなく、他のあらゆる消耗品に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1,101…インク保管管理システム、2,102…通信BOX、3〜6,103…MFP、7…PC、8…ネットワーク、9…外部回線、10,12,14,16,18…カートリッジ、11,13,15,17,19…ICタグ、13a…送受信部、13b…制御部、13c…メモリ、27,37,47,57,67…タグリーダライタ、21,31,71…CPU、22,32,72…ROM、23,33,73…RAM、24,34,74…メモリ(NVRAM)、25,35,75…表示・操作部、38a…インク装着検知部、38b…インク残量検知部、39…プリンタ部、40…スキャナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと少なくとも1つの画像処理装置とがネットワークを介して相互に通信可能に構成され、前記画像処理装置に装着されて使用される消耗品の保管状況を管理するための消耗品保管管理システムであって、
前記サーバは、
前記消耗品の種類毎にその消耗品の保管状況を示す保管情報が対応付けられてなる、消耗品保管情報が記憶された、サーバ内情報記憶部を備え、
前記保管情報として少なくとも前記消耗品の保管場所を示す情報を有し、
前記画像処理装置は、
前記サーバ内情報記憶部に記憶されている、該画像処理装置で使用される前記消耗品に対応した前記保管情報を取得する保管情報取得手段と、
所定の情報出力条件が成立した場合に、前記保管情報取得手段が取得した前記保管情報を出力する情報出力手段と、
を備えていることを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の消耗品保管管理システムであって、
前記サーバ内情報記憶部には、前記保管情報として、前記消耗品の保管場所を含む該保管場所周辺の地図、前記保管場所へのアクセス方法、及び前記保管場所の外観のうち少なくとも1つが記憶されており、
前記画像処理装置の前記情報出力手段は、前記保管情報として、前記地図、前記アクセス方法、及び前記外観の少なくとも1つを出力する
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の消耗品保管管理システムであって、
前記画像処理装置は、
前記保管情報の印刷出力の要求を受け付ける印刷要求受付手段と、
前記保管情報を示す画像を記録媒体に印刷する印刷手段と、
を備え、
前記情報出力手段は、前記情報出力条件が成立した場合に、前記印刷要求受付手段により前記印刷出力の要求が受け付けられたならば、前記印刷手段に前記保管情報を示す画像を印刷させる
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の消耗品保管管理システムであって、
外部からの情報の入力を受け付けて該入力された情報に基づいて前記消耗品保管情報を生成する消耗品保管情報生成手段を備え、
前記サーバは、前記消耗品保管情報生成手段により生成された前記消耗品保管情報を前記サーバ内情報記憶部に記憶させる
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の消耗品保管管理システムであって、
前記画像処理装置の前記保管情報取得手段は、所定の取得タイミングで前記保管情報を取得して装置内情報記憶部に記憶しておき、前記情報出力条件が成立したとき、前記装置内情報記憶部に記憶されている前記保管情報に対して前記サーバ内情報記憶部に記憶されている該保管情報が更新されているか否かを確認する更新有無確認を行い、更新されていたならば、サーバからその更新されている保管情報を取得して前記装置内情報記憶部の記憶内容を更新するよう構成されており、
前記情報出力手段は、前記情報出力条件が成立した場合、前記更新有無確認によって前記更新されていないならば前記装置内情報記憶部に記憶されている前記保管情報を出力し、前記更新されていたならば、その更新有無確認後に前記保管情報取得手段が前記サーバから取得した、その更新されている前記保管情報を出力する
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の消耗品保管管理システムであって、
前記保管情報として、更に、前記消耗品の種類毎の在庫数量を有し、
前記画像処理装置の前記情報出力手段は、前記保管情報として、少なくとも前記保管場所及び前記在庫数量を出力する
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の消耗品保管管理システムであって、
前記消耗品には、
当該消耗品を示す消耗品情報として少なくともその消耗品の種類が登録された消耗品情報登録部と、
前記消耗品情報登録部に登録されている前記消耗品情報を送信する送信手段と、
が設けられ、
前記サーバは、
前記消耗品の前記送信手段から送信された前記消耗品情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記消耗品情報が受信された場合に、その消耗品情報に基づいて、前記サーバ内情報記憶部に記憶されている前記消耗品保管情報におけるその消耗品の在庫数量を増加させる在庫数量設定手段と、
を備えていることを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の消耗品保管管理システムであって、
前記消耗品の前記消耗品情報登録部には、前記消耗品情報として、当該消耗品固有の消耗品識別情報が登録されており、
前記サーバは、
前記在庫数量設定手段により前記在庫数量が増加された際、その増加された消耗品の前記消耗品識別情報に基づき、その消耗品識別情報を有する消耗品については在庫数量として既に計上されたことを登録する在庫計上状況登録手段を備え、
前記在庫数量設定手段は、前記受信手段により前記消耗品から前記消耗品情報が受信された場合、その消耗品情報に含まれている前記消耗品識別情報に基づき、その消耗品が前記在庫計上状況登録手段によって既に在庫数量として計上されているか否か判断して、計上されていない場合に在庫数量を増加させる
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の消耗品保管管理システムであって、
画像処理装置は、
該画像処理装置に前記消耗品が装着された場合にその消耗品から前記消耗品情報を取得する消耗品情報取得手段と、
前記消耗品が装着された場合に、前記消耗品情報取得手段により取得された前記消耗品情報を、その消耗品が装着されたことを示す装着情報として前記サーバへ送信する装着情報送信手段と、
を備え、
前記サーバの前記在庫数量設定手段は、前記装着情報送信手段から送信された前記装着情報を受信した場合、その装着情報に基づいて、前記サーバ内情報記憶部に記憶されている前記消耗品保管情報におけるその消耗品の在庫数量を減少させる
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項10】
請求項8に記載の消耗品保管管理システムであって、
画像処理装置は、
該画像処理装置に前記消耗品が装着された場合にその消耗品から前記消耗品情報を取得する消耗品情報取得手段と、
前記消耗品が装着された場合に、前記消耗品情報取得手段により取得された前記消耗品情報を、その消耗品が装着されたことを示す装着情報として前記サーバへ送信する装着情報送信手段と、
を備え、
前記サーバの前記在庫数量設定手段は、前記装着情報送信手段から送信された前記装着情報を受信した場合、その装着情報に基づいて、前記サーバ内情報記憶部に記憶されている前記消耗品保管情報におけるその消耗品の在庫数量を減少させ、
前記在庫計上状況登録手段は、前記在庫数量設定手段により前記在庫数量が減少された際、その減少された消耗品の前記消耗品識別情報に基づき、その消耗品識別情報を有する消耗品については在庫数量から減少されたことを登録し、
前記在庫数量設定手段は、前記装着情報送信手段から送信された前記装着情報を受信した場合、その装着情報に含まれている前記消耗品識別情報に基づき、その消耗品が前記在庫計上状況登録手段によって既に在庫数量から減少されたものとされているか否か判断して、減少されたものとされていない場合に在庫数量を減少させる
ことを特徴とする消耗品保管管理システム。
【請求項11】
ネットワークを介して少なくとも1つの画像処理装置と相互に通信可能に構成されたサーバであって、
前記画像処理装置に装着されて使用される消耗品の種類毎にその消耗品の保管状況を示す保管情報が対応付けられてなる、消耗品保管情報が記憶された、サーバ内情報記憶部と、
前記画像処理装置に対し、前記サーバ内情報記憶部に記憶されている、該画像処理装置で使用される前記消耗品に対応した前記保管情報を送信する保管情報送信手段と、
を備え、
前記保管情報として少なくとも前記消耗品の保管場所を示す情報を有している
ことを特徴とするサーバ。
【請求項12】
サーバとネットワークを介して相互に通信可能に構成された画像処理装置であって、
前記サーバには、当該画像処理装置に装着されて使用される消耗品の種類毎にその消耗品の保管状況を示す保管情報が対応付けられて記憶され、前記保管情報として少なくとも前記消耗品の保管場所を示す情報が記憶されており、
当該画像処理装置は、
前記サーバから該サーバに記憶されている前記保管情報を取得する保管情報取得手段と、
所定の情報出力条件が成立した場合に、前記保管情報取得手段が取得した前記保管情報を出力する情報出力手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。

【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210783(P2012−210783A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78371(P2011−78371)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】