説明

消臭フィルター装置

【課題】ダクト内を空気が通過する際に消臭シートと空気との接触を容易にすることができるので、経済的で消臭効率の優れた消臭フィルター装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ダクト内へ空気を送り込む送風手段を該ダクトの一端側に備え、前記ダクト内に消臭シートを有する消臭フィルター装置であって、空気の流通方向に略平行に、かつ、前記ダクト内壁から離間して前記ダクト内の少なくとも一部に消臭シートを配置することによって、消臭効率の優れた消臭フィルター装置とすることができることを見出し本発明に到達した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、冷蔵庫等の密閉された機器内の内部空気の消臭、室内の空気の消臭等に用いられる消臭フィルター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を強制的に循環させて消臭する消臭装置としては、例えば、両端に通気口を有する断面形状が扁平なダクトの上壁内面及び下壁内面にうち少なくともいずれか一方に消臭シートを積層した構成とし、扁平ダクトの上壁内面と下壁内面との離間間隔を0.25〜2.5cmに設定した消臭装置が公知(特許文献1)であって、空気が扁平ダクト内部を通過する際の圧力損失を小さくでき、製作が容易でコスト低減できる消臭性能に優れた消臭装置とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−218740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、消臭シートがダクトの内壁に密着しているので、ダクト内を通過する空気が前記消臭シートの密着面に接触しにくいという問題があった。このように空気が接触しにくい密着面があっても消臭効果はあるものの、消臭効率の点で劣るものとなっていた。
【0005】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、ダクト内を空気が通過する際に消臭シートと空気との接触を容易にすることができるので、経済的で消臭効率の優れた消臭フィルター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]ダクト内へ空気を送り込む送風手段を該ダクトの一端側に備え、前記ダクト内に消臭シートを有する消臭フィルター装置であって、空気の流通方向に略平行に、かつ、前記ダクト内壁から離間して前記ダクト内の少なくとも一部に消臭シートを配置したことを特徴とする消臭フィルター装置。
【0008】
[2]前記消臭シートが、前記ダクト内壁から1〜7mm離間して配置された前項1に記載の消臭フィルター装置。
【0009】
[3]前記消臭シートが、片段シート、片段シートを2層以上に積層したシートからなる群から選ばれた1種または2種以上からなる前項1または2に記載の消臭フィルター装置。
【0010】
[4]前記片段シートのコルゲート面が、前記ダクトの内壁に対面するように配置された前項1〜3のいずれか1項に記載の消臭フィルター装置。
【0011】
[5]前記片段シートのコルゲートのセル密度が、25〜150セル/(インチ)である前項1〜4のいずれか1項に記載の消臭フィルター装置。
【0012】
[6]前記消臭シートとして、消臭剤を付着させた繊維質シートが用いられている前項1〜5のいずれか1項に記載の消臭フィルター装置。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、ダクト内へ空気を送り込む送風手段を該ダクトの一端側に備え、該ダクト内に消臭シートを有するフィルター装置であって、空気の流通方向に略平行に、かつ、該ダクト内壁から離間して該ダクト内の少なくとも一部に消臭シートを配置するので、空気が前記ダクト内を通過する際に、前記消臭シートと前記ダクト内壁との間を通過することができる。したがって、前記消臭シートの片面のみならず両面を空気と容易に接触させることができるようになり、これによって優れた消臭効率を確保することができるとともに、経済的なものとすることができる。
【0014】
[2]の発明では、前記消臭シートと前記ダクト内壁とからの離間距離が1〜7mmという狭い範囲に規定されているので、空気が前記ダクト内を通過する際に、前記消臭シートとダクト内壁との間で、反射しながら流れるようにすることができる。したがって、前記消臭シートに何度も接触して移動していくようになるので、さらに優れた消臭効率を確保することができる。
【0015】
[3]の発明では、前記消臭シートが、片段シート、片段シートを2層以上に積層したシートからなる群から選ばれた1種または2種以上からなるので、前記消臭シートの表面積を増加させることができる。したがって、前記ダクト内を通過する空気は、前記消臭シートに何度も接触して移動していくので、さらに優れた消臭効率を確保することができる。
【0016】
[4]の発明では、前記片段シートのコルゲート面が、ダクトの内壁に対面するように配置されるので、前記片段シートのコルゲート側と該ダクト内壁との間を空気が通過する際に、前記片段シートのコルゲートに衝突し空気の流れが乱れるので、何度も接触して移動していくことになり、さらに優れた消臭効率を確保することができる。
【0017】
[5]の発明では、前記片段シートのコルゲートのセル密度が、25〜150セル/(インチ)という範囲に規定されているので、前記片段シートのコルゲート側と該ダクト内壁との間を空気が通過する際に、前記片段シートのコルゲートのセル内部へ空気が入り易く、しかも通過し易くなるので、十分に接触して移動していくことになり、さらに優れた消臭効率を確保することができる。
【0018】
[6]の発明では、前記消臭シートとして、消臭剤を付着させた繊維質シートが用いられているので、前記ダクト内を通過する空気との接触表面積を増大させることができる。したがって、前記ダクト内を通過する空気は、前記消臭シートに何度も接触して移動していくので、さらに優れた消臭効率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の消臭フィルター装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2におけるA−A‘線断面図である。
【図3】消臭フィルター装置の従来技術による断面図である。
【図4】消臭フィルター装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の一実施形態に係る消臭フィルター装置1を図1、図2に示す。この消臭フィルター装置1は、ダクト2の両端にダクト口2a、2bを有し、ダクト2内へ空気を送り込む送風手段4を該ダクト2の一端側ダクト口2bに備え、前記ダクト2内に消臭シート3を有する。そして、図2に示すように、空気の流通方向に略平行に、かつ、前記ダクト2の内壁から1〜7mm離間して前記ダクト2内の少なくとも一部に消臭シート3を配置されている。前記消臭シート3は、片段シートからなり、該片段シートのコルゲート面を前記ダクト2の内壁に対面するように配置されている。 なお、ダクト2の断面形状は、いずれの形状でも良く、例えば矩形、多角形、円形を採用することができ、消臭フィルター装置を設置する部位や場所に応じて適宜選定すれば良い。中でも、矩形、円形がダクトの製作し易さの点と設置し易さの点で好ましい。
【0021】
前記送風手段4を、前記ダクト2の両端のダクト口2a、2bのいずれか一端側に備えれば良く。本実施形態では、前記送風手段4としてモーターで駆動するファンを用いている。
【0022】
このようにして、例えば、冷蔵庫内、室内等に前記消臭フィルター装置1を設置して、前記送風手段4を駆動させると、前記ダクト2内を空気が通過する。この時、空気は前記消臭シート3と前記ダクト2内壁との間を通過することができ、前記消臭シートの片面のみならず両面に空気が容易に接触することができるようになるので、優れた消臭効率を確保することができるとともに、経済的なものとすることができる。前記送風手段4を該ダクト2の両端のダクト口2a、2bの両方に備えても良い。送風手段4の選定に併せて適宜決定すれば良い。なお、空気の流れがある所に消臭フィルター装置1を設置する場合には、送風手段4を備えなくても良い。
【0023】
消臭シート3は、空気の流通方向に略平行に、かつ、前記ダクト2の内壁から1〜7mm離間して前記ダクト2内の少なくとも一部に消臭シート3を配置する必要がある。消臭シート3を空気の流通方向に略平行に、前記ダクト2の内壁から1〜7mm離間して配置するので、消臭シート3の片面のみならず両面に空気が容易に接触することができる。空気の流通方向に略平行でない場合は、消臭シート3の片面には空気が容易に接触することができるものの、もう一方の片面には、空気が接触し難くなるので、空気の接触頻度が低下して優れた消臭効率を確保することが困難になる。消臭シート3と前記ダクト2の内壁とからの離間距離が1mm未満では、前記消臭シート3と前記ダクト2の内壁の間を通過する空気の量が少なくなるので、前記消臭シート3と前記ダクト2の内壁との間を反射しながら流れる効果が小さくなる。一方、離間距離が7mmを越えると、反射しながら流れる効果は小さくなる。消臭シート3と前記ダクト2の内壁とからの離間距離は2〜5mmに設定するのがより好ましい。なお、上記実施形態では、ダクト2内の1つの面に消臭シート3を配置しているが、複数の面に配置しても良い。消臭シート3を前記ダクト2の内壁から離間して配置するには、公知の方法で配置すれば良い。例えば、ダクト2内に支持部、あるいは支持体等を設け消臭シート3を支持すれば良い。前記支持部としてダクト2の内壁に溝を設け、消臭シート3の端部を溝に嵌めて配置すれば良い。前記支持体としてダクト2内に枠を設け、消臭シート3の端部を枠に配置すれば良い。
【0024】
本発明において、前記片段シートは、コルゲート面が前記ダクト2の内壁に対面するように配置する。このようにすることで、前記片段シートのコルゲート側と前記ダクト2の内壁との間を空気が通過する際に、前記片段シートのコルゲートに衝突し空気の流れが乱れるので、何度も接触して移動していくことになり、さらに優れた消臭効率を確保することができる。
【0025】
本発明において、消臭シート3として、片段シート、片段シートを2層以上に積層したシートを用いる。消臭シート3を構成する活性炭混抄紙は通常の湿式抄紙法により製造できる。例えば活性炭と天然パルプを水に添加し、水スラリーを作成する。そのスラリーを攪拌しながら所定の固形分濃度に調整し、その後カチオン系ポリマー又はアニオン系ポリマーを添加し、得られた凝集体水分散液から、抄紙機を使い湿式抄紙法によりシート化し、乾燥して活性炭混抄紙を得る。この活性炭混抄紙を、コルゲート加工機を用いコルゲート形状に加工することで片段シートが得られる。得られた片段シートの片面に接着剤を塗布して、2層に積層した片段シートとすることができる。同様にして、3層以上に積層した片段シートとすることができる。前記接着剤としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール等用いることができる。中でも、耐水性に優れ活性炭の細孔を被覆しにくい点でエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。片段シートを2層以上に積層したシートは、両面ともコルゲート面になるように積層しても良いし、片面がコルゲート面になるように積層しても良い。中でも、製作が容易なことから両面がコルゲート面になるように積層するのが好ましい。
【0026】
本発明において、セル密度は、前記コルゲート加工機のギアをセル密度に応じた歯数のギアに交換することによって、セル密度25〜150セル/(インチ)にすることができる。セル密度25セル/(インチ)未満では、セルの形状が大きくなりすぎて、コルゲート形状を維持することが困難になる。一方、セル密度150セル/(インチ)を越えると、セルの内部を空気が通過し難くなる。中でも、セル密度40〜120セル/(インチ)に設定するのが好ましい。
【0027】
本発明において、消臭シート3としては、特に限定されないが、カチオン化処理を施した後、金属フタロシアニン錯体とポリカルボン酸金属塩とを坦持された繊維質シートを用いるのが好ましく、この場合にはメチルメルカプタン、硫化水素、アンモニア、ジメチルスルフィド等の悪臭ガスを優れた消臭効率で消臭することができる。中でも、金属フタロシアニン錯体をpH7.5〜12.0の環境下で繊維質シートに坦持したものを用いるのが好ましい。
【0028】
前記金属フタロシアニン錯体としては、特に限定されないが、コバルトフタロシアニン錯体、鉄フタロシアニン錯体、ニッケルフタロシアニン錯体、銅フタロシアニン錯体などが挙げられる。中でも、コバルトフタロシアニン錯体または鉄フタロシアニン錯体を用いるのが好ましく、消臭効率をより向上させることができる。前記コバルトフタロシアニン錯体としては、例えばコバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウム、コバルトフタロシアニンテトラカルボン酸ナトリウム等が挙げられ、また前記鉄フタロシアニン錯体としては、例えば鉄フタロシアニンオクタカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。前記金属フタロシアニン錯体の坦持量は0.001〜0.05g/mに設定するのが好ましい。
【0029】
前記ポリカルボン酸金属塩としては、特に限定されないが、ポリアクリル酸銅(II)、ポリアクリル酸銀、ポリアクリル酸銅等を例示できる。中でもポリアクリル酸銅(II)を用いるのが好ましく、この場合はさらに優れた消臭効率を確保することができる。
【0030】
前記カチオン化処理に用いるカチオン化剤としては、特に限定されないが、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド縮合ポリマー等を例示できる。中でも3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを用いるのが好ましく、この場合は金属フタロシアニン錯体と良好な化学結合を形成することができる。中でも、前記カチオン化剤としては四級アンモニウム塩型のカチオン化剤を用いるのが好ましい。
【0031】
前記カチオン化処理の方法としては、特に限定されないが、例えばディッピング等の浸漬処理、スプレー処理などが挙げられる。
【0032】
前記繊維質シートとしては、特に限定されないが、例えば紙、不織布シート、織布シート、編布シート等が挙げられる。中でも、前記繊維質シートとしては活性炭混抄紙を用いるのが好ましく、活性炭により速効性に優れた消臭効率を確保することができる。
【0033】
前記活性炭混抄紙における活性炭含有量は、40〜85質量%に設定するのが好ましい。40質量%未満では速効性に優れた消臭効率の確保が十分とはならない。一方85質量%を超えると混抄紙の強度が十分に得られなくなるので好ましくない。中でも、活性炭含有量は50〜80質量%に設定するのがより好ましい。前記活性炭としては特に限定されず、どんな種類、形態のものも用いることができる。なお、前記活性炭混抄紙の目付は30〜200g/mの範囲に設定するのが好ましい。
【実施例】
【0034】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。なお、各消臭フィルター装置に対して次の試験法に従い、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
<消臭性能試験法>
(メチルメルカプタン消臭性能)
内容積250Lのアクリルボックス内の底面にフィルター装置を設置した後、アクリルボックス内の濃度が5〜10ppm程度となるようにメチルメルカプタンガスを注入した。注入後、送風手段を駆動させてダクト内における通気速度が1m/秒になるように設定した。注入してから30分経過後と60分経過後のメチルメルカプタンガスの残存濃度を検知管(ガステック社製70L)を用いて測定し、この測定値よりメチルメルカプタンガス残存率(%)を算出した。なお、アクリルボックス内の空気は、20℃、85%RHに設定した。
【0036】
(硫化水素消臭性能)
メチルメルカプタンガスに代えて硫化水素ガスを注入した以外は、メチルメルカプタン消臭性能試験と同様にして、注入してから30分経過後と60分経過後の硫化水素ガスの残存率(%)を算出した。
【0037】
(アンモニア消臭性能)
メチルメルカプタンガスに代えてアンモニアガスを注入した以外は、メチルメルカプタン消臭性能試験と同様にして、注入してから30分経過後と60分経過後のアンモニアガスの残存率(%)を算出した。
【0038】
(ジメチルジスルフィド消臭性能)
メチルメルカプタンガスに代えてジメチルジスルフィドガスを注入した以外は、メチルメルカプタン消臭性能試験と同様にして、注入してから30分経過後と60分経過後のジメチルジスルフィドガスの残存率(%)を算出した。
【0039】
<実施例1>
椰子殻活性炭を70質量%と主にセルロース繊維からなる紙を30質量%とを含有した活性炭混抄紙(目付65g/m)をコルゲート機によってセル密度40セル/(インチ)の片段シートを作成し、水1000g、水酸化ナトリウム3.5g、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド10.0gからなるカチオン化処理剤に5分間ディッピング処理した後、水洗し、80℃で乾燥させた。続いて、前記カチオン化処理済みの片段シートを、水1000g、水酸化ナトリウム5.0g、コバルトフタロシアニン2.0gからなる消臭剤含有液に5分間ディッピング処理した後、水洗し、80℃で乾燥させた。さらに、この片段シートを、ポリアクリル酸銅(II)10g/lの溶液に5分間ディッピング処理した後、水洗し、80℃で乾燥させることによって、片段シートの消臭フィルターを得た。この片段シートの消臭フィルターは、幅50mm×長さ116mm×厚さ4.2mmであった。続いて、図1に示すダクト(幅60mm×長さ180mm×高さ45mm)内に、前記片段シートの消臭フィルターをダクト内壁から2mm離間して、コルゲート面をダクト内壁に対面するように ダクト内に設けた支持部に配置して、消臭フィルター装置を得た。(図1参照)。
【0040】
<実施例2>
実施例1において、片段シートの消臭フィルターをダクト内壁から6mm離間して配置した以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0041】
<実施例3>
実施例1において、片段シートを両面ともコルゲート面になるように2層積層した消臭フィルターを用いた以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0042】
<実施例4>
実施例1において、セル密度140セル/(インチ)の片段シートを用いた以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0043】
<比較例1>
実施例1において、片段シートの消臭フィルターをダクト内壁に貼着して配置した以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0044】
<比較例2>
実施例1において、片段シートの消臭フィルターをダクト内壁から9mm離間して配置した以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0045】
<比較例3>
実施例1において、サイズが幅58mm×長さ43mmの片段シートの消臭フィルターを空気の流通方向に直角に配置した以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0046】
<比較例4>
実施例1において、セル密度10セル/(インチ)の片段シートを用いた以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。しかしながら、セルの形状が大きくなりすぎて、コルゲート形状を維持することができなかった。したがって、消臭フィルター装置として不可とし、各消臭試験は行わなかった。
【0047】
<比較例5>
実施例1において、セル密度170セル/(インチ)の片段シートを用いた以外は実施例1と同様にして消臭フィルター装置を得た。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜4の消臭フィルター装置は、メチルメルカプタンガス、硫化水素、アンモニア、ジメチルジスルフィドガスのいずれも短時間で十分消臭することができ、優れた消臭効率を確保することができた。
【0050】
これに対して、片段シートの消臭フィルターをダクト内壁に貼着して配置した比較例1の消臭フィルター装置と、片段シートの消臭フィルターとダクト内壁との離間距離がこの発明の規定範囲を逸脱した比較例2の消臭フィルター装置と、片段シートの消臭フィルターを空気の流通方向に直角に配置した比較例3の消臭フィルター装置と、片段シートのコルゲートのセル密度がこの発明の規定範囲を逸脱した比較例5の消臭フィルター装置とでは、メチルメルカプタンガス、硫化水素、アンモニア、ジメチルジスルフィドガスのいずれも消臭効率が劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、冷蔵庫等の密閉された機器内の内部空気の消臭、室内の空気の消臭等に用いられる消臭フィルター装置として利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・消臭フィルター装置
2・・・ダクト
2a、2b・・・ダクト口
3・・・消臭シート
4・・・送風手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト内へ空気を送り込む送風手段を該ダクトの一端側に備え、前記ダクト内に消臭シートを有する消臭フィルター装置であって、空気の流通方向に略平行に、かつ、前記ダクト内壁から離間して前記ダクト内の少なくとも一部に消臭シートを配置したことを特徴とする消臭フィルター装置。
【請求項2】
前記消臭シートが、前記ダクト内壁から1〜7mm離間して配置された請求項1に記載の消臭フィルター装置。
【請求項3】
前記消臭シートが、片段シート、片段シートを2層以上に積層したシートからなる群から選ばれた1種または2種以上からなる請求項1または2に記載の消臭フィルター装置。
【請求項4】
前記片段シートのコルゲート面が、前記ダクトの内壁に対面するように配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の消臭フィルター装置。
【請求項5】
前記片段シートのコルゲートのセル密度が、25〜150セル/(インチ)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の消臭フィルター装置。
【請求項6】
前記消臭シートとして、消臭剤を付着させた繊維質シートが用いられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の消臭フィルター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−24462(P2012−24462A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168267(P2010−168267)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】