説明

消臭剤及び消臭方法

【課題】 人やペットの体臭、し尿臭、生ゴミ等に由来する臭い等の各種の不快な臭気について、素早く消臭効果を得ることができ、而も高い消臭効果が得られる消臭剤及び消臭方法の提供。
【解決手段】 精油を0.1乃至30重量%含有し、アルカリイオン水を0.5乃至99重量%含有するように、精油とアルカリイオン水を混合する。アルカリイオン水のpHは7.5乃至13.5とする。精油は、菜種、柿、レモン、茶、ヨモギ、ミント、ローズマリー、レモングラス、ヒノキ、及び松から選ばれる1又は2以上から得られるものとする。精油とアルカリイオン水が混合した組成物を、対象雰囲気や対象物等に噴霧することにより、或いは揮発させることにより、或いは対象物に混合することにより、消臭に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物から得られる精油を含有する消臭剤及び消臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人やペットの体臭、し尿臭、生ゴミ等に由来する臭い等の各種の不快な臭気の消臭については、従来より、多種多様な消臭剤が開発されている。その一例としては、芳香剤を使用したマスキング作用による消臭組成物や、活性炭の微細孔に臭い成分を取り込んで脱臭する脱臭剤等を挙げることができる。また、臭いの成分を中和、酸化、還元等により化学的に変化させて消臭する方法もある。
【0003】
しかしながら、従来の技術の多くは、消臭効果を素早く得る上で難点があったり、消臭効果が十分とは言えないものが多かった。
【0004】
例えば、特開2003−205021号公報(特許文献1)には、「水溶液中に、炭、トルマリン、麦飯石等の水溶液イオン化物質を添加したことを特徴とする消臭剤」が記載されている。この発明は、水を改質することにより水の持つ消臭効果を最大限発揮できるようにしたものであって、水溶液中にマイナスイオンを発生させる物質を配合し水分子のクラスターを小さくさせ、そのまま水分子のクラスターの大きさを維持することにより、水の脱臭、消臭力を高め、これを室内空気に適用させることにより生活環境中のプラスイオンを中和若しくはマイナスイオン化させ、悪臭を改善できるものである。
【0005】
また特開2002−85543号公報(特許文献2)には、「天然抽出物を含む消臭成分と無機多孔質微粒子を含有する消臭剤、特に、無機多孔質微粒子内に、天然抽出物を含む消臭成分が封入されてなり、経時的に天然抽出物が徐放される消臭剤」が記載されている。この発明は、天然抽出物を含む消臭成分とこの消臭成分を含んだ無機多孔質微粒子を含有する液を噴霧器により同時に噴射させることで、天然抽出物を含む消臭成分の速効的な効果と、無機多孔質微粒子から前記天然抽出物を含む消臭成分が徐放されることで持続性をもたせる効果の双方の効果を奏するものである。
【0006】
しかしながら、前者は消臭効果そのものについては、その速度と強さにおいて必ずしも要望を満たすものではなく、後者についても、消臭速度及び消臭力について更に改善の余地があった。
【特許文献1】特開2003−205021号公報
【特許文献2】特開2002−85543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、人やペットの体臭、し尿臭、生ゴミ等に由来する臭い等の各種の不快な臭気について、素早く消臭効果を得ることができ、而も高い消臭効果が得られる消臭剤及び消臭方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の消臭剤は、精油とアルカリイオン水が混合してなるものである。
【0009】
上記本発明の消臭剤は、上記精油を0.1乃至30重量%含有し、上記アルカリイオン水を0.5乃至99重量%含有するものとすることができる。
【0010】
本発明の消臭剤においては、上記アルカリイオン水のpHが7.5乃至13.5であるものとすることができる。
【0011】
また本発明の消臭剤においては、上記精油が、菜種、柿、レモン、茶、ヨモギ、ミント、ローズマリー、レモングラス、ヒノキ、及び松から選ばれる1又は2以上から得られるものとすることができる。
【0012】
また本発明の消臭方法は、精油とアルカリイオン水が混合してなる組成物を用いるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の消臭剤又は消臭方法によれば、人やペットの体臭、し尿臭、生ゴミ等に由来する臭い等の各種の不快な臭気について、素早く消臭効果を得ることができ、而も高い消臭効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の消臭剤又は本発明の消臭方法に用いる組成物、すなわち精油とアルカリイオン水が混合してなる消臭剤又は組成物においては、アルカリイオン水に対し精油は、通常、溶解又は分散している。
【0015】
精油とは、種々の植物体から主として水蒸気蒸溜(又は抽出若しくは圧搾等)によって得られる、特有の芳香をもつ揮発性油状物である。植物体において精油を得る器官は、葉、果実、茎、根等の何れでもよく、特に限定されない。
【0016】
本発明においては、消臭作用を示す精油を用いることができる。本発明における精油としては、菜種、柿、レモン、茶、ヨモギ、ミント、ローズマリー、レモングラス、ヒノキ、及び松から選ばれる1又は2以上から得られるものであることが好ましい。
【0017】
アルカリイオン水というのは、水を電気分解して陰極側で得られるアルカリ性水溶液である。元の水に含まれるイオンのうち、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン等の陽イオンを含む。
【0018】
アルカリイオン水は、pHが7.5乃至13.5であるものとすることができる。好ましいpHは、11.0乃至12.7程度である。
【0019】
本発明の消臭剤又は本発明の消臭方法に用いる組成物においては、例えば、精油を0.1乃至30重量%含有し、アルカリイオン水を0.5乃至99重量%含有するものとすることができる。好ましくは、精油を2.5乃至10重量%、アルカリイオン水を20乃至95重量%である。
【0020】
なお、精油及びアルカリイオン水以外に、脱イオン水やその他の消臭効果を損なわない成分(例えば、アルコール、アレルゲン低減化剤、防腐剤、除菌剤、抗菌剤等であって、実質上消臭効果を損なわないもの。)を含むことを排除するものではない。脱イオン水は、例えば5乃至95重量%含有するものとすることができる。好ましくは10乃至70重量%である。
【0021】
本発明の消臭剤又は本発明の消臭方法に用いる組成物は、例えば次のように使用することができるが、これに限るものではない。すなわち、例えば、対象雰囲気や対象物等に噴霧することにより、(好ましくは適宜媒体に保持された状態で)揮発させることにより、或いは対象物(例えば液体、固体、流動体等であってもよい)に混合することにより、消臭に用いることができる。
【実施例】
【0022】
次に本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0023】
消臭剤の製造
【0024】
アポライトL−30(菜種を主成分とする植物性《注:製油or精油?》の商品名 日本化成株式会社製)3重量部、アルカリイオン水(pH12.4)30部、及び、脱イオン水57部を十分に攪拌混合することにより、消臭剤1を得た。
【0025】
また、パンシルFG−50(柿に含まれるタンニンを主成分とする水溶性液体の商品名 リリース化学株式会社製)3重量部、アルカリイオン水(pH12.4)30部、及び、脱イオン水57部を十分に攪拌混合することにより、消臭剤2を得た。
【0026】
更に、アポライトL−30(菜種を主成分とする植物性《注:製油or精油?》の商品名 日本化成株式会社製)3重量部、及び、脱イオン水87部を十分に攪拌混合することにより、比較消臭剤1を得た。
【0027】
パンシルFG−50(柿に含まれるタンニンを主成分とする水溶性液体の商品名 リリース化学株式会社製)3重量部、及び、脱イオン水87部を十分に攪拌混合することにより、比較消臭剤2を得た。
【0028】
なお、脱イオン水をブランクとして用いた。
【0029】
消臭試験1
5リットルのガス捕集袋5個に、それぞれ5gの消臭剤1、消臭剤2、比較消臭剤1、比較消臭剤2、及びブランクのうち何れか1つと、初期濃度100ppmのアンモニア3リットル(各ガス捕集袋について)を封入した。
別の5リットルのガス捕集袋5個に、それぞれ5gの消臭剤1、消臭剤2、比較消臭剤1、比較消臭剤2、及びブランクのうち何れか1つと、初期濃度28.0ppmのトリメチルアミン3リットル(各ガス捕集袋について)を封入した。
更に別の5リットルのガス捕集袋5個に、それぞれ5gの消臭剤1、消臭剤2、比較消臭剤1、比較消臭剤2、及びブランクのうち何れか1つと、初期濃度4.0ppmの硫化水素3リットル(各ガス捕集袋について)を封入した。
【0030】
封入してから、15分後、1時間後、及び5時間後における各封入ガスの濃度を測定し、以下の計算式により消臭率を求めた。アンモニア、トリメチルアミン、及び硫化水素についての各消臭率を、それぞれ表1、表2及び表3に示す。
【0031】
消臭率(%)= {(ガスの初期濃度−ガスの計測濃度)/(ガスの初期濃度)} × 100
【0032】
アンモニアの消臭率
【表1】

【0033】
トリメチルアミンの消臭率
【表2】

【0034】
硫化水素の消臭率
【表3】

【0035】
消臭試験2
【0036】
屋外犬の犬小屋で6ヵ月間使用した犬用マット(1m×2m)を切断して、10cm×10cmの試験片を5枚用意した。
【0037】
元の試験片(噴霧前)と、その試験片をデシケータ(容量20リットル)に1枚入れ、消臭剤1、消臭剤2、比較消臭剤1、比較消臭剤2、及びブランクのうち何れか1つを、試験片から約15cm離してハンドスプレーで2回噴霧(噴霧量は約1.5mL)した後、デシケータに蓋を施し、15分後にデシケータの蓋を開けて取り出した試験片(噴霧後)について、それぞれパネラー5名(男性3名、女性2名)により次の6段階で判定させた。結果を表4及び表5に示す。なお、表4は5名の平均値、表5は個別データを示す。
0・・・無臭
1・・・やっと感知できる臭い(検知閾値)
2・・・何の臭いであるかがわかる弱い臭い(認知閾値)
3・・・楽に感知できる臭い
4・・・強い臭い
5・・・強烈な臭い
【0038】
【表4】

【0039】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
精油とアルカリイオン水が混合してなる消臭剤。
【請求項2】
上記精油を0.1乃至30重量%含有し、上記アルカリイオン水を0.5乃至99重量%含有する請求項1記載の消臭剤。
【請求項3】
上記アルカリイオン水のpHが7.5乃至13.5である請求項1又は2記載の消臭剤。
【請求項4】
上記精油が、菜種、柿、レモン、茶、ヨモギ、ミント、ローズマリー、レモングラス、ヒノキ、及び松から選ばれる1又は2以上から得られるものである請求項1、2又は3記載の消臭剤。
【請求項5】
精油とアルカリイオン水が混合してなる組成物を用いる消臭方法。

【公開番号】特開2006−122070(P2006−122070A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310365(P2004−310365)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】