消臭殺菌照明装置
【課題】消臭殺菌照明装置において、組立て設置を容易かつ簡単に行うことができ、小型で取り扱い易くする。
【解決手段】消臭殺菌照明装置1は、本体部2、本体部2に取付られる蓋部3、本体部2と蓋部3とを繋ぐ折畳み部4、及び本体部2に設けられた紫外線光源部5及びオゾン発生部6を備える。蓋部3を本体部2に対して開放することによりテント状空間部10を形成し、テント状空間部10で床面Aの汚れ面Bを覆って密閉し、テント状空間部10内に紫外線光源部5から消臭殺菌用紫外線を照射し、かつ、オゾン発生部6からオゾンを充満して消臭殺菌する。これにより、蓋部3を本体部2から開くだけで、容易かつ簡単に汚れ面Bを覆うテント状空間部10を形成できるので、組立て設置を容易かつ簡単に行え、小型で取り扱い易くなる。
【解決手段】消臭殺菌照明装置1は、本体部2、本体部2に取付られる蓋部3、本体部2と蓋部3とを繋ぐ折畳み部4、及び本体部2に設けられた紫外線光源部5及びオゾン発生部6を備える。蓋部3を本体部2に対して開放することによりテント状空間部10を形成し、テント状空間部10で床面Aの汚れ面Bを覆って密閉し、テント状空間部10内に紫外線光源部5から消臭殺菌用紫外線を照射し、かつ、オゾン発生部6からオゾンを充満して消臭殺菌する。これにより、蓋部3を本体部2から開くだけで、容易かつ簡単に汚れ面Bを覆うテント状空間部10を形成できるので、組立て設置を容易かつ簡単に行え、小型で取り扱い易くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線やオゾンを用いて汚れの消臭殺菌を行う消臭殺菌照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内におけるフローリングや壁などに付着した汚れを取り除くには、洗剤などを付けた布等により拭き取っていた。しかし、フローリングの微小な隙間や、木材の微細孔に入ってしまった汚れを拭き取るのは難しく、特に、犬や猫のペット等による汚れは匂いも強く、消臭・除菌が困難な場合があった。これに対して、このような汚れを布で拭き取る方法ではなく消臭・除菌するものとして、消臭殺菌効果の高い波長を発生させる殺菌灯により、紫外線光を汚れ部分に直接照射する方法や、空気中の微生物などに対する強力な殺菌作用を有するオゾンを発生させて消臭殺菌する方法などを備えた消臭殺菌装置が知られている。
【0003】
例えば、包装幕で囲って殺菌消毒室を仮設し、この殺菌消毒室に殺菌消毒しようとする寝具を隔離受容させた後、紫外線及びオゾンの各発生器で発生させた紫外線及びオゾンに寝具を露出させて殺菌消毒する寝具の殺菌消毒装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この装置は、ベットマットレス等の大きい寝具を殺菌消毒対象としているため、殺菌消毒室を仮設すると共に、仮設した殺菌消毒室内の空間維持のために包装幕を支持する支柱を必要とするなど、装置が複雑、かつ、大型化し、組立て設置が煩雑であると共に、設置に手間が掛かっていた。このため、例えば、室内の床や壁におけるペットによる汚れや匂いの付いた比較的狭い場所に対して消臭殺菌を行おうとすると、装置が複雑で大き過ぎるため、取り扱い難く設置に時間が掛かると共に、設置すること自体が困難なことがあった。また、小さい消臭殺菌対象でも大量の紫外線とオゾンが消費されるので、殺菌効率が低下するという問題があった。
【特許文献1】特表2003−512134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、組立て設置を容易かつ簡単に行うことができ、小型で取り扱い易い消臭殺菌照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、本体部と、少なくとも一部が前記本体部に着脱自在に取付られる蓋部と、前記本体部と蓋部とを繋ぐ折畳み部と、前記本体部、蓋部、及び折畳み部のうちの少なくとも一面に設けられた紫外線照射部と、を備え、前記蓋部を、前記本体部に対して開放させることにより、前記本体部、蓋部、及び折畳み部により囲まれたテント状空間が形成されるものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の消臭殺菌照明装置において、前記テント状空間にオゾンを噴霧するオゾン発生部を、さらに備えたものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の消臭殺菌照明装置において、前記テント状空間にオゾンを噴霧するオゾン発生部を、さらに備えたものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の消臭殺菌照明装置において、前記テント状空間内にオゾンを充満させて消臭殺菌処理を施し、その後に該空間内のオゾンを分解又はその濃度を薄くする手段を備えたものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の消臭殺菌照明装置において、前記紫外線照射部による紫外線が直接又は間接的に照射される前記テント状空間内の本体部、蓋部、及び折り畳み部の各内面のうちの少なくとも1つの内面が、紫外線を反射し易い部材で形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、蓋部を本体部に対して開放するだけで、容易かつ簡単に汚れ面を覆うテント状空間を形成できる。また、紫外線により床面または壁面に付着したペット等による汚れや臭いを簡単に除去することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、テント状空間に紫外線の照射に加え、オゾンを噴射することができるので、紫外線とオゾンとの相乗効果により消臭殺菌効果が向上する。
【0012】
請求項3の発明によれば、テント状空間の縁部と、紫外線が照射される面とが接触されるので、テント状空間と紫外線の照射面により略密閉空間が形成され、装置外への紫外線及びオゾンの漏洩等が低減し、安全性及び消臭殺菌効率が向上する。
【0013】
請求項4の発明によれば、オゾンによる消臭殺菌処理後に、テント状空間内のオゾンが無害化されるので、消臭殺菌処理後の作業の安全性を高めることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、テント状空間の内面の紫外線に対する反射効率が高まり、紫外線を吸収し易い汚れ面に多くの紫外線を照射することができるので、消臭殺菌処理を、効率良く短時間で行うことができる。また、テント状空間部内面で紫外線を反射させて、吸収し難くできるので、その構成部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態に係る消臭殺菌照明装置(以下、本装置という)について、図1乃至図5を参照して説明する。本装置1は、略矩形状の本体部2と、本体部2に対向する位置に配置される蓋部3と、本体部2及び蓋部3を繋ぐ折畳み部4と、本体部2の一面に設けられた消臭殺菌用の紫外線光源部(紫外線照射部)5と、オゾン発生部6と、汚れ確認用光源部7とを備える。また、紫外線光源部5、オゾン発生部6などは、電源コード30を介して外部AC電源に接続される。
【0016】
(本体部)
本体部2は、紫外線照射部5又はオゾン発生部6を収納又は設置するための支持体であって、蓋部3の一端が着脱及び回転自在に取り付けられる。蓋部3を本体部2に対して開放させることにより、本体部2、蓋部3、及び折畳み部4により囲まれたテント状空間部10が形成される。このテント状空間部10は、消臭殺菌の際、床又は壁等(床面A)における消臭殺菌対象である汚れ面B上に設置される。なお、消臭殺菌する床面Aの部材としては、フローリング、絨毯、畳など一般の住宅にある全ての種類の床材が対象となる。なお、紫外線照射部5又及びオゾン発生部6は、蓋部3又は折畳み部4に格納又はそれらの表面に設置されても構わない。
【0017】
(蓋部)
蓋部3は、折畳み部4を折畳んで閉じたとき、本体部2上の紫外線光源部5を覆い、本体部2に略平行に接するように配設され、本体部2から開放されると、紫外線光源部5及びオゾン発生部6が露出される。
【0018】
(折畳み部)
折畳み部4は、本体部2と蓋部3の間に設置され、図2(a)、(b)に示されるように、蓋部3が本体部2から開放されると、テント状空間部10が形成され、このとき、汚れの付着した部屋の床面や壁との隙間を塞いで、略密閉空間を構成する。この折畳み部4は、蓋部3を閉じるとき、図3(a)に示すように、折畳み部4の折畳み線41が白矢印方向に折畳まれ、図3(b)に示すように、ほぼ完全に折畳まれると、全体の厚みが薄くなり、本装置1は小型でコンパクトな形状になり、持ち運び易くなる。
【0019】
(紫外線光源部)
紫外線光源部5は、本体部2のテント状空間部10に臨む面に設けられ、消臭殺菌効果の高い波長を発生させる複数本の消臭殺菌用紫外線灯51(消臭殺菌灯という)と、消臭殺菌灯51を覆うように本体部2上に配設され平板状の光拡散部材52とを有する。この光拡散部材52は、その裏面側で発生された消臭殺菌灯51の消臭殺菌用紫外線を表面側で平面的に拡散して照射する。これにより、紫外線光源部5は、面光源となる。
【0020】
この紫外線光源部5からは、100〜280nmにピークを持つ紫外線(UV−C)、または、280〜315nmの波長成分を持つ紫外線(UV−B)のどちらか一方の紫外線が、テント状空間部10と床面Aとによる略密閉空間内で、直接的、又は反射により間接的に、汚れ面Bに照射される。これにより、汚れ面Bを集中的に消臭殺菌することができる。この消臭殺菌用の紫外線は、波長区分により消臭力殺菌力が相違し、紫外線(U・V−C)は、強力な消臭殺菌を必要とする場合に、紫外線(UV−B)は、床面等を損傷させたくない場合にそれぞれ使用される。
【0021】
(オゾン発生部)
オゾン発生部6は、例えば、対向した電極間に高周波高電圧を印加して、空気の一部をオゾン化させることによりオゾンを発生させるものであり、オゾンにより汚れを分解させて消臭殺菌する。このオゾン発生部6は、テント状空間部10を床面Aに設置して形成される略密閉空間にオゾンガスを噴霧する。このオゾンガスは、略密閉空間内に充満され、オゾン濃度が高められて、略密閉空間内の床面Aを消臭殺菌する。
【0022】
(汚れ確認用光源部)
汚れ確認用光源部7は、本体部2の端部21に設けられユーザが汚れ位置を確認するための紫外線光を照射するものである。この紫外線は、汚れ部分に照射され、吸収されることにより可視光を励起する紫外線光(例:315〜400nmの波長範囲の紫外線UV−A)であり、この紫外線UV−Aは、尿素やアンモニア等で構成される汚れ部分に吸収されると、可視光を励起する。この可視光により、ユーザは汚れ部分を目で確認することができる。
【0023】
また、汚れ確認用光源部7の光源は、砲弾型LEDを取り付けた点光源から成り、本体部2の端部21に固定されている。また、点光源の前面にはレンズ(不図示)が取り付けられており、蓋部3を折畳んだときに、懐中電灯のように比較的に狭い範囲を効果的に照射できるようになっている。この汚れ確認用光源部7の使用状態を、図5に示す。ユーザは、蓋部3を閉じた状態の本装置1を持ち上げて汚れ確認用光源部7からの照射光Cで床面Aを照らすことにより、予め汚れ面Bを見付けておくことができる。
【0024】
汚れ確認用光源部7の光源を、点光源でなく細長い紫外線蛍光管として本体部2内に設置した構成としてもよい。この構成においては、テント状空間部10を組み立てた状態で、開口面全体を略一様に汚れ確認用の紫外線を照射することができる。これにより、汚れ面Bを確認する際、開放状態の本装置1全体を持ち上げるだけで、汚れ面Bの位置を見つけることができる。
【0025】
上記本体部2、蓋部3及び折畳み部4等の紫外線が照射されるテント状空間部10の各内面は、紫外線を反射し易い部材で形成される。この反射部材は、例えば、金属製部材(ステンレス(例:SUS304)、アルミ、アルマイト等)や金属表面処理(クロムメッキ、アルミ蒸着、金メッキ、金蒸着、銀メッキ、銀蒸着品等)や樹脂成形品(アルミなどの金属を樹脂の中に含有した金属フレークを成形したもの)等を使用できる。
【0026】
また、テント状空間部10の各内面は、テント状空間部10内にオゾンが充満されるので、オゾンで劣化し難い部材で形成される。このオゾンで劣化し難い部材は、例えば、金属製部材(SUS304のようなステンレス、表面を陽極酸化被膜処理したアルミニウム等)、一般磁器、アルミナ磁器、エンジニアリングプラスチック/ポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製ベスペル、東レ・デュポン社製カプトンフィルム等)、及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン、polyetheretherketone)樹脂(例えば、ビクトレックス・エムシー社製ベクトラ等)等を使用できる。
【0027】
ここでは、テント状空間部10の各内面の少なくとも1つの内面は、反射率の高いアルミニウムを表面酸化させたアルマイト処理等を施すことにより、紫外線の反射率の高い金属表面を成すと共に、オゾンによる酸化を防止できる。なお、テント状空間部10内面の構成材料として樹脂を用いる場合は、紫外線が樹脂に直接当らないように、例えば、金属蒸着、又は紫外線吸収材の入った塗料の塗布等により、紫外線の影響を防止することができる。
【0028】
上記のように構成された本装置1を用いた消臭殺菌の手順について説明する。まず、ユーザが目視又は、汚れ確認用光源部7により汚れ確認用紫外線を照射し、予め汚れ面Bの位置を見付けておく。このとき、紫外線光源部5は、ユーザの目を保護するために、オフしておく。次に、本体部2から蓋部3を開放してテント状空間部10を形成し、このテント状空間部10により、汚れ面Bを含む床面Aを覆って密閉し、このテント状空間部10と床面Aとによる略密閉空間を形成する。この略密閉空間内に、紫外線光源部5をオンして消臭殺菌用の紫外線(UV−B又はUV−C)を照射し、さらにオゾン発生部6をオンしてオゾンを発生させて充満させる。
【0029】
紫外線光源部5から照射された紫外線は、上記略密閉空間内で、直接的に、又はテント状空間部10の各内側表面で反射されながら間接的に汚れ面Bに到達する。従って、テント状空間部10内の個々の内側表面の反射特性を最適化することによって、汚れ面Bに略均一に紫外線を照射することができる。また、オゾン発生部6から発生したオゾンガスは、数秒間でテント状空間部10内に充満される。
【0030】
そして、所定時間の間、上記略密閉空間内で、紫外線が照射され、オゾンガスが充満され続けると、消臭殺菌用紫外線(UV−B又はUV−C)及びオゾンの作用により、汚れ面Bから汚れが徐々に分解される。即ち、消臭殺菌用の紫外線により、汚れ又は臭い源が消臭殺菌されると共に、オゾンガスが汚れ又は臭い源を取り囲むことにより、それらを消臭殺菌する。この消臭殺菌作用が終了したと予想される所定時間後に、テント状空間部10を、床面Aから外して、消臭殺菌後の汚れ面Bのチェックを行う。このチェックは、前記と同様に、目視、又は汚れ確認用紫外線の照射により、汚れ面Bにおける汚れの残り具合や分解度を確認することにより行い、確認ができなければ、同じ動作を繰返し行う。
【0031】
また、汚れの確認時に、テント状空間部10を床面Aから外すと同時に、本装置1の電源が自動的にオフされ、これにより、紫外線及びオゾンの発生を中止し、人体への悪影響を防止する。消臭殺菌作業が完了したなら、折畳み部4を畳んで蓋部3を閉じればよい。
【0032】
このように、本実施形態によれば、蓋部3を本体部2に対して開放するだけで、容易かつ簡単に汚れ面Bを覆うテント状空間部10を形成することができ、従って、本装置1の組立て設置が簡単となると共に、テント状空間部10がテント用支柱等を必要とせずに構成されるので、小型化でき、さらに取り扱い易くなる。また、紫外線により、床面または壁面に付着したペット等による汚れや臭いを、簡単に除去することができる。
【0033】
また、テント状空間部10に紫外線の照射に加え、オゾンを噴射することができるので、紫外線とオゾンとの相乗効果により消臭殺菌効果が向上する。また、使用しないときは、テント状空間部10を折畳んで本装置1を小さく、コンパクトにできるので、容易に持ち運びことができる。
【0034】
また、紫外線が照射されるテント状空間部10の各内面を、紫外線を反射し易い部材で形成したことにより、テント状空間部10内面の紫外線に対する反射効率が高まり、紫外線を汚れ面Bに集中して照射することができ、従って、効率良く短時間で消臭殺菌処理を行うことができる。また、紫外線をテント状空間部10内面で反射させて、吸収し難くできるので、その構成部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。
【0035】
また、オゾンが充満されるテント状空間部10の各内面を、オゾンで劣化され難い部材で形成することにより、例えば、消臭殺菌処理を効率良く行うために、オゾンを高濃度に噴霧した場合や、消臭殺菌を長期間実施した場合にも、部材が劣化せずに安全に使用することができる。
【0036】
(変形例)
次に、上記実施形態に係る消臭殺菌照明装置の本体部の変形例について、図6を参照して説明する。この変形例は、本体部2の紫外線光源部5と、汚れ確認用光源部7とを一体化した点が、上記実施形態と異なり、他は同様である。
【0037】
紫外線光源部5は、複数本の消臭殺菌灯51から成り、汚れ確認用光源部7は、汚れ確認用紫外線を照射する複数本の汚れ確認用紫外線灯71から成り、複数本の消臭殺菌灯51の間に交互に設けられている。これにより、汚れ確認用光源部7が、平面状の汚れ確認用光源として形成されて紫外線光源部5の中に一体化されるので、本体部2を小型化できる。
【0038】
(他の変形例)
次に、上記実施形態に係る消臭殺菌照明装置の本体部の他の変形例について、図7を参照して説明する。この変形例は、本体部2の紫外線光源部5と汚れ確認用光源部7とが一体化されると共に、それぞれ1本の消臭殺菌灯51及び汚れ確認用紫外線灯71と、それらに共通の導光部材53とを備え、それぞれで発生する消臭殺菌用紫外線と汚れ確認用紫外線とがともに導光部材53で導光される面光源として形成されている。
【0039】
消臭殺菌灯51は、本体部2の一端側に設けられ、汚れ確認用紫外線灯71は、本体部2の他端側に設けられ、これらは両方からの光を導光する平板の導光部材53により覆われている。この構成により、消臭殺菌灯51及び汚れ確認用紫外線灯71の数を減らすことができると共に、紫外線光源部5と汚れ確認用光源部7とを一体化することができ、従って、構成をさらに簡単にでき、本体部2を低コスト化、及び軽量化できる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る消臭殺菌照明装置について、図8及び図9を参照して説明する。本装置1は、テント状空間部10が形成された状態で、紫外線が照射される面に対して、本体部2、蓋部3、及び折畳み部4が密着して接触する接触縁部(縁部)11乃至13を備えている。その他の構成は、前述実施形態と同様である。
【0041】
本体部2、蓋部3、及び折畳み部4は、テント状空間部10の床面Aを覆う開口周辺において、それぞれ汚れ面Bを含む床面Aと密着して接触する接触縁部(縁部)11、12、13と、テント状空間部10内の気体の圧力を増減して調整する圧力調整部8をさらに備えている。
【0042】
接触縁部11乃至13は、テント状空間部10が形成された状態で、テント状空間部10の開口部分と、床面Aとを密着させて密閉空間を形成するためのものである。接触縁部11乃至13により、テント状空間部10と床面Aとを略密着するための構成としては、(1)接触縁部11乃至13自体を、ゴムパッキンのようなゴム状物質、又は起毛状物質で形成し、軟性を持たせて接触する構成、(2)圧力調整部8により、テント状空間部10内の気体をテント状空間部10外へ排出させてテント状空間部10内の圧力を調整する構成、及び(3)接触縁部11乃至13を、水のような液体、又はクリーム状の粘性体液体等で連続させて略密着させる構成等がある。ここでは、接触縁部11乃至13自体をゴム状物質で形成して略密着し、かつ、圧力調整部8により、テント状空間部10内の気圧を調整することにより着脱できるようにしている。
【0043】
圧力調整部8は、外部とテント状空間部10内とを通気する空気ファンを有する空気穴81を備えている。圧力調整部8は、空気ファンにより、テント状空間部10内部の気体を外部へ排出して気圧を下げ、空気穴81を閉じてテント状空間部10と床面Aとを強く密着したり、逆に、外部の気体を内部に送入して、テント状空間部10が床面Aから外れ易くする。なお、圧力調整部8による圧力調整は、テント状空間部10と外部とを通気パイプで接続し、このパイプの先に真空ポンプを設けて空気調整するようにしてもよい。
【0044】
このように、本実施形態によれば、テント状空間部10の接触縁部11乃至13と床面Aとが密着して接触されるので、テント状空間部10と床面Aとにより密閉度の高い密閉空間が形成され、テント状空間部10内から外部への紫外線及びオゾンの漏洩等を低減でき、消臭殺菌作業の安全性が高まると共に、消臭殺菌効率が向上する。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る消臭殺菌照明装置について、図10を参照して説明する。本装置1は、テント状空間部10内にオゾンを充満させて消臭殺菌処理を施し、その後にテント状空間部10内のオゾンを分解又はその濃度を薄くするオゾン無害化の手段として、オゾン無害化物質投入部15及びオゾン無害化装置部16を備えている。その他の構成は前記実施形態と同様である。
【0046】
オゾン無害化物質投入部15は、テント状空間部10内のオゾンを無害化するために、無害化物質を投入する投入口17を有し、その投入口17からは、オゾンを無害化する酸素や水蒸気が噴射される。テント状空間部10内に投入する酸素や霧状物質の量はオゾン濃度センサ(不図示)の値に応じて調整する場合もある。
【0047】
オゾン無害化装置部16は、テント状空間部10の外部に設けられ、テント状空間部10内部のオゾンを取出管18により取出して、オゾンの無害化処理を行う。このオゾン無害化装置部16の無害化処理としては、オゾン無害化物質投入部15による無害化処理と同じように、酸素や霧状の水と混合することにより、又は水中を通過させることにより無害化することができる。
【0048】
本実施形態の本装置1は、消臭殺菌後に、オゾン無害化物質投入部15によりテント状空間部10内部に無害化物質を投入してオゾンの無害化処理を行い、オゾン無害化装置部16によりテント状空間部10内部からオゾンを取出して無害化処理を行う。
【0049】
なお、テント状空間部10からオゾン無害化装置部16へ引き込む経路を長くしたり、オゾン無害化装置部16の内部の経路を長くすることにより、自然にオゾン濃度が人体に悪影響を及ぼさないレベルにまで低減させることにより行うこともできる。さらに、オゾン無害化装置部16内のオゾンが通過する経路の壁などに酸化チタンなどの光触媒コートを施し、その壁面に可視光や紫外線を照射して、触媒作用によってオゾンを分解することにより無害化することも可能である。
【0050】
本装置1を用いた消臭殺菌の手順は、前記第1の実施形態と同じであり、所定時間の消臭殺菌が終わって本装置1の電源をオフした後、オゾン無害化物質投入部15又はオゾン無害化装置部16により、テント状空間部10内に残存するオゾンガスの無害化処理を行い、この無害化処理を終わってから、汚れの落ちを確認する。すなわち、消臭殺菌後に、テント状空間部10を汚れ面Bから外して行う汚れ落ちの確認作業を、密閉空間内のオゾンを無害化処理してから行う。
【0051】
このように、本実施形態によれば、テント状空間部10内におけるオゾンによる消臭殺菌処理後、テント状空間内のオゾンが無害化されるので、消臭殺菌処理後の作業の安全性を高めることができる。
【0052】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る消臭殺菌照明装置について、図11を参照して説明する。本装置1は、オゾンを分解又はその濃度を薄くするオゾン無害化装置部16を本体部2に設けている。その他の構成は前述実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態においては、オゾン無害化装置部16が本体部2に一体化されるので、オゾンをテント状空間部10内からオゾン無害化装置部16に取出す取出管18(図10参照)が不要になり、本装置1はよりコンパクトとなり、また低価格になる。
【0054】
なお、本発明は上記各種の実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。本実施形態では、蓋部の一端を本体部に取り付けた状態で、蓋部を開放することによりテント状空間部を形成する例を示したが、蓋部を本体部から完全に分離させた状態で本体部と蓋部を全て折畳み部で繋いで一体化したものとすれば、折畳み部全体を伸ばしてテント状空間部の大きさを、自由度を持って形成することができる。また、被消臭殺菌場所の広さに応じて複数個の消臭殺菌照明装置を取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【図2】(a)は上記消臭殺菌照明装置の側面図、(b)は同装置の断面図。
【図3】(a)は上記消臭殺菌照明装置の折畳み途中の側面図、(b)は同装置の折畳み後の側面図。
【図4】(a)は上記消臭殺菌照明装置の本体部の平面図、(b)は同本体部の断面図。
【図5】上記消臭殺菌照明装置の汚れ確認用光源部の使用状態を示す図。
【図6】上記第1の実施形態の変形例における本体部の平面図。
【図7】上記第1の実施形態の他の変形例における本体部の平面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【図9】上記消臭殺菌照明装置の断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1 消臭殺菌照明装置
2 本体部
3 蓋部
4 折畳み部
5 紫外線光源部(紫外線照射部)
6 オゾン発生部
10 テント状空間部(テント状空間)
11、12、13 接触縁部(縁部)
21 筐体(本体部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線やオゾンを用いて汚れの消臭殺菌を行う消臭殺菌照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内におけるフローリングや壁などに付着した汚れを取り除くには、洗剤などを付けた布等により拭き取っていた。しかし、フローリングの微小な隙間や、木材の微細孔に入ってしまった汚れを拭き取るのは難しく、特に、犬や猫のペット等による汚れは匂いも強く、消臭・除菌が困難な場合があった。これに対して、このような汚れを布で拭き取る方法ではなく消臭・除菌するものとして、消臭殺菌効果の高い波長を発生させる殺菌灯により、紫外線光を汚れ部分に直接照射する方法や、空気中の微生物などに対する強力な殺菌作用を有するオゾンを発生させて消臭殺菌する方法などを備えた消臭殺菌装置が知られている。
【0003】
例えば、包装幕で囲って殺菌消毒室を仮設し、この殺菌消毒室に殺菌消毒しようとする寝具を隔離受容させた後、紫外線及びオゾンの各発生器で発生させた紫外線及びオゾンに寝具を露出させて殺菌消毒する寝具の殺菌消毒装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この装置は、ベットマットレス等の大きい寝具を殺菌消毒対象としているため、殺菌消毒室を仮設すると共に、仮設した殺菌消毒室内の空間維持のために包装幕を支持する支柱を必要とするなど、装置が複雑、かつ、大型化し、組立て設置が煩雑であると共に、設置に手間が掛かっていた。このため、例えば、室内の床や壁におけるペットによる汚れや匂いの付いた比較的狭い場所に対して消臭殺菌を行おうとすると、装置が複雑で大き過ぎるため、取り扱い難く設置に時間が掛かると共に、設置すること自体が困難なことがあった。また、小さい消臭殺菌対象でも大量の紫外線とオゾンが消費されるので、殺菌効率が低下するという問題があった。
【特許文献1】特表2003−512134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、組立て設置を容易かつ簡単に行うことができ、小型で取り扱い易い消臭殺菌照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、本体部と、少なくとも一部が前記本体部に着脱自在に取付られる蓋部と、前記本体部と蓋部とを繋ぐ折畳み部と、前記本体部、蓋部、及び折畳み部のうちの少なくとも一面に設けられた紫外線照射部と、を備え、前記蓋部を、前記本体部に対して開放させることにより、前記本体部、蓋部、及び折畳み部により囲まれたテント状空間が形成されるものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の消臭殺菌照明装置において、前記テント状空間にオゾンを噴霧するオゾン発生部を、さらに備えたものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の消臭殺菌照明装置において、前記テント状空間にオゾンを噴霧するオゾン発生部を、さらに備えたものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の消臭殺菌照明装置において、前記テント状空間内にオゾンを充満させて消臭殺菌処理を施し、その後に該空間内のオゾンを分解又はその濃度を薄くする手段を備えたものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の消臭殺菌照明装置において、前記紫外線照射部による紫外線が直接又は間接的に照射される前記テント状空間内の本体部、蓋部、及び折り畳み部の各内面のうちの少なくとも1つの内面が、紫外線を反射し易い部材で形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、蓋部を本体部に対して開放するだけで、容易かつ簡単に汚れ面を覆うテント状空間を形成できる。また、紫外線により床面または壁面に付着したペット等による汚れや臭いを簡単に除去することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、テント状空間に紫外線の照射に加え、オゾンを噴射することができるので、紫外線とオゾンとの相乗効果により消臭殺菌効果が向上する。
【0012】
請求項3の発明によれば、テント状空間の縁部と、紫外線が照射される面とが接触されるので、テント状空間と紫外線の照射面により略密閉空間が形成され、装置外への紫外線及びオゾンの漏洩等が低減し、安全性及び消臭殺菌効率が向上する。
【0013】
請求項4の発明によれば、オゾンによる消臭殺菌処理後に、テント状空間内のオゾンが無害化されるので、消臭殺菌処理後の作業の安全性を高めることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、テント状空間の内面の紫外線に対する反射効率が高まり、紫外線を吸収し易い汚れ面に多くの紫外線を照射することができるので、消臭殺菌処理を、効率良く短時間で行うことができる。また、テント状空間部内面で紫外線を反射させて、吸収し難くできるので、その構成部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態に係る消臭殺菌照明装置(以下、本装置という)について、図1乃至図5を参照して説明する。本装置1は、略矩形状の本体部2と、本体部2に対向する位置に配置される蓋部3と、本体部2及び蓋部3を繋ぐ折畳み部4と、本体部2の一面に設けられた消臭殺菌用の紫外線光源部(紫外線照射部)5と、オゾン発生部6と、汚れ確認用光源部7とを備える。また、紫外線光源部5、オゾン発生部6などは、電源コード30を介して外部AC電源に接続される。
【0016】
(本体部)
本体部2は、紫外線照射部5又はオゾン発生部6を収納又は設置するための支持体であって、蓋部3の一端が着脱及び回転自在に取り付けられる。蓋部3を本体部2に対して開放させることにより、本体部2、蓋部3、及び折畳み部4により囲まれたテント状空間部10が形成される。このテント状空間部10は、消臭殺菌の際、床又は壁等(床面A)における消臭殺菌対象である汚れ面B上に設置される。なお、消臭殺菌する床面Aの部材としては、フローリング、絨毯、畳など一般の住宅にある全ての種類の床材が対象となる。なお、紫外線照射部5又及びオゾン発生部6は、蓋部3又は折畳み部4に格納又はそれらの表面に設置されても構わない。
【0017】
(蓋部)
蓋部3は、折畳み部4を折畳んで閉じたとき、本体部2上の紫外線光源部5を覆い、本体部2に略平行に接するように配設され、本体部2から開放されると、紫外線光源部5及びオゾン発生部6が露出される。
【0018】
(折畳み部)
折畳み部4は、本体部2と蓋部3の間に設置され、図2(a)、(b)に示されるように、蓋部3が本体部2から開放されると、テント状空間部10が形成され、このとき、汚れの付着した部屋の床面や壁との隙間を塞いで、略密閉空間を構成する。この折畳み部4は、蓋部3を閉じるとき、図3(a)に示すように、折畳み部4の折畳み線41が白矢印方向に折畳まれ、図3(b)に示すように、ほぼ完全に折畳まれると、全体の厚みが薄くなり、本装置1は小型でコンパクトな形状になり、持ち運び易くなる。
【0019】
(紫外線光源部)
紫外線光源部5は、本体部2のテント状空間部10に臨む面に設けられ、消臭殺菌効果の高い波長を発生させる複数本の消臭殺菌用紫外線灯51(消臭殺菌灯という)と、消臭殺菌灯51を覆うように本体部2上に配設され平板状の光拡散部材52とを有する。この光拡散部材52は、その裏面側で発生された消臭殺菌灯51の消臭殺菌用紫外線を表面側で平面的に拡散して照射する。これにより、紫外線光源部5は、面光源となる。
【0020】
この紫外線光源部5からは、100〜280nmにピークを持つ紫外線(UV−C)、または、280〜315nmの波長成分を持つ紫外線(UV−B)のどちらか一方の紫外線が、テント状空間部10と床面Aとによる略密閉空間内で、直接的、又は反射により間接的に、汚れ面Bに照射される。これにより、汚れ面Bを集中的に消臭殺菌することができる。この消臭殺菌用の紫外線は、波長区分により消臭力殺菌力が相違し、紫外線(U・V−C)は、強力な消臭殺菌を必要とする場合に、紫外線(UV−B)は、床面等を損傷させたくない場合にそれぞれ使用される。
【0021】
(オゾン発生部)
オゾン発生部6は、例えば、対向した電極間に高周波高電圧を印加して、空気の一部をオゾン化させることによりオゾンを発生させるものであり、オゾンにより汚れを分解させて消臭殺菌する。このオゾン発生部6は、テント状空間部10を床面Aに設置して形成される略密閉空間にオゾンガスを噴霧する。このオゾンガスは、略密閉空間内に充満され、オゾン濃度が高められて、略密閉空間内の床面Aを消臭殺菌する。
【0022】
(汚れ確認用光源部)
汚れ確認用光源部7は、本体部2の端部21に設けられユーザが汚れ位置を確認するための紫外線光を照射するものである。この紫外線は、汚れ部分に照射され、吸収されることにより可視光を励起する紫外線光(例:315〜400nmの波長範囲の紫外線UV−A)であり、この紫外線UV−Aは、尿素やアンモニア等で構成される汚れ部分に吸収されると、可視光を励起する。この可視光により、ユーザは汚れ部分を目で確認することができる。
【0023】
また、汚れ確認用光源部7の光源は、砲弾型LEDを取り付けた点光源から成り、本体部2の端部21に固定されている。また、点光源の前面にはレンズ(不図示)が取り付けられており、蓋部3を折畳んだときに、懐中電灯のように比較的に狭い範囲を効果的に照射できるようになっている。この汚れ確認用光源部7の使用状態を、図5に示す。ユーザは、蓋部3を閉じた状態の本装置1を持ち上げて汚れ確認用光源部7からの照射光Cで床面Aを照らすことにより、予め汚れ面Bを見付けておくことができる。
【0024】
汚れ確認用光源部7の光源を、点光源でなく細長い紫外線蛍光管として本体部2内に設置した構成としてもよい。この構成においては、テント状空間部10を組み立てた状態で、開口面全体を略一様に汚れ確認用の紫外線を照射することができる。これにより、汚れ面Bを確認する際、開放状態の本装置1全体を持ち上げるだけで、汚れ面Bの位置を見つけることができる。
【0025】
上記本体部2、蓋部3及び折畳み部4等の紫外線が照射されるテント状空間部10の各内面は、紫外線を反射し易い部材で形成される。この反射部材は、例えば、金属製部材(ステンレス(例:SUS304)、アルミ、アルマイト等)や金属表面処理(クロムメッキ、アルミ蒸着、金メッキ、金蒸着、銀メッキ、銀蒸着品等)や樹脂成形品(アルミなどの金属を樹脂の中に含有した金属フレークを成形したもの)等を使用できる。
【0026】
また、テント状空間部10の各内面は、テント状空間部10内にオゾンが充満されるので、オゾンで劣化し難い部材で形成される。このオゾンで劣化し難い部材は、例えば、金属製部材(SUS304のようなステンレス、表面を陽極酸化被膜処理したアルミニウム等)、一般磁器、アルミナ磁器、エンジニアリングプラスチック/ポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製ベスペル、東レ・デュポン社製カプトンフィルム等)、及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン、polyetheretherketone)樹脂(例えば、ビクトレックス・エムシー社製ベクトラ等)等を使用できる。
【0027】
ここでは、テント状空間部10の各内面の少なくとも1つの内面は、反射率の高いアルミニウムを表面酸化させたアルマイト処理等を施すことにより、紫外線の反射率の高い金属表面を成すと共に、オゾンによる酸化を防止できる。なお、テント状空間部10内面の構成材料として樹脂を用いる場合は、紫外線が樹脂に直接当らないように、例えば、金属蒸着、又は紫外線吸収材の入った塗料の塗布等により、紫外線の影響を防止することができる。
【0028】
上記のように構成された本装置1を用いた消臭殺菌の手順について説明する。まず、ユーザが目視又は、汚れ確認用光源部7により汚れ確認用紫外線を照射し、予め汚れ面Bの位置を見付けておく。このとき、紫外線光源部5は、ユーザの目を保護するために、オフしておく。次に、本体部2から蓋部3を開放してテント状空間部10を形成し、このテント状空間部10により、汚れ面Bを含む床面Aを覆って密閉し、このテント状空間部10と床面Aとによる略密閉空間を形成する。この略密閉空間内に、紫外線光源部5をオンして消臭殺菌用の紫外線(UV−B又はUV−C)を照射し、さらにオゾン発生部6をオンしてオゾンを発生させて充満させる。
【0029】
紫外線光源部5から照射された紫外線は、上記略密閉空間内で、直接的に、又はテント状空間部10の各内側表面で反射されながら間接的に汚れ面Bに到達する。従って、テント状空間部10内の個々の内側表面の反射特性を最適化することによって、汚れ面Bに略均一に紫外線を照射することができる。また、オゾン発生部6から発生したオゾンガスは、数秒間でテント状空間部10内に充満される。
【0030】
そして、所定時間の間、上記略密閉空間内で、紫外線が照射され、オゾンガスが充満され続けると、消臭殺菌用紫外線(UV−B又はUV−C)及びオゾンの作用により、汚れ面Bから汚れが徐々に分解される。即ち、消臭殺菌用の紫外線により、汚れ又は臭い源が消臭殺菌されると共に、オゾンガスが汚れ又は臭い源を取り囲むことにより、それらを消臭殺菌する。この消臭殺菌作用が終了したと予想される所定時間後に、テント状空間部10を、床面Aから外して、消臭殺菌後の汚れ面Bのチェックを行う。このチェックは、前記と同様に、目視、又は汚れ確認用紫外線の照射により、汚れ面Bにおける汚れの残り具合や分解度を確認することにより行い、確認ができなければ、同じ動作を繰返し行う。
【0031】
また、汚れの確認時に、テント状空間部10を床面Aから外すと同時に、本装置1の電源が自動的にオフされ、これにより、紫外線及びオゾンの発生を中止し、人体への悪影響を防止する。消臭殺菌作業が完了したなら、折畳み部4を畳んで蓋部3を閉じればよい。
【0032】
このように、本実施形態によれば、蓋部3を本体部2に対して開放するだけで、容易かつ簡単に汚れ面Bを覆うテント状空間部10を形成することができ、従って、本装置1の組立て設置が簡単となると共に、テント状空間部10がテント用支柱等を必要とせずに構成されるので、小型化でき、さらに取り扱い易くなる。また、紫外線により、床面または壁面に付着したペット等による汚れや臭いを、簡単に除去することができる。
【0033】
また、テント状空間部10に紫外線の照射に加え、オゾンを噴射することができるので、紫外線とオゾンとの相乗効果により消臭殺菌効果が向上する。また、使用しないときは、テント状空間部10を折畳んで本装置1を小さく、コンパクトにできるので、容易に持ち運びことができる。
【0034】
また、紫外線が照射されるテント状空間部10の各内面を、紫外線を反射し易い部材で形成したことにより、テント状空間部10内面の紫外線に対する反射効率が高まり、紫外線を汚れ面Bに集中して照射することができ、従って、効率良く短時間で消臭殺菌処理を行うことができる。また、紫外線をテント状空間部10内面で反射させて、吸収し難くできるので、その構成部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。
【0035】
また、オゾンが充満されるテント状空間部10の各内面を、オゾンで劣化され難い部材で形成することにより、例えば、消臭殺菌処理を効率良く行うために、オゾンを高濃度に噴霧した場合や、消臭殺菌を長期間実施した場合にも、部材が劣化せずに安全に使用することができる。
【0036】
(変形例)
次に、上記実施形態に係る消臭殺菌照明装置の本体部の変形例について、図6を参照して説明する。この変形例は、本体部2の紫外線光源部5と、汚れ確認用光源部7とを一体化した点が、上記実施形態と異なり、他は同様である。
【0037】
紫外線光源部5は、複数本の消臭殺菌灯51から成り、汚れ確認用光源部7は、汚れ確認用紫外線を照射する複数本の汚れ確認用紫外線灯71から成り、複数本の消臭殺菌灯51の間に交互に設けられている。これにより、汚れ確認用光源部7が、平面状の汚れ確認用光源として形成されて紫外線光源部5の中に一体化されるので、本体部2を小型化できる。
【0038】
(他の変形例)
次に、上記実施形態に係る消臭殺菌照明装置の本体部の他の変形例について、図7を参照して説明する。この変形例は、本体部2の紫外線光源部5と汚れ確認用光源部7とが一体化されると共に、それぞれ1本の消臭殺菌灯51及び汚れ確認用紫外線灯71と、それらに共通の導光部材53とを備え、それぞれで発生する消臭殺菌用紫外線と汚れ確認用紫外線とがともに導光部材53で導光される面光源として形成されている。
【0039】
消臭殺菌灯51は、本体部2の一端側に設けられ、汚れ確認用紫外線灯71は、本体部2の他端側に設けられ、これらは両方からの光を導光する平板の導光部材53により覆われている。この構成により、消臭殺菌灯51及び汚れ確認用紫外線灯71の数を減らすことができると共に、紫外線光源部5と汚れ確認用光源部7とを一体化することができ、従って、構成をさらに簡単にでき、本体部2を低コスト化、及び軽量化できる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る消臭殺菌照明装置について、図8及び図9を参照して説明する。本装置1は、テント状空間部10が形成された状態で、紫外線が照射される面に対して、本体部2、蓋部3、及び折畳み部4が密着して接触する接触縁部(縁部)11乃至13を備えている。その他の構成は、前述実施形態と同様である。
【0041】
本体部2、蓋部3、及び折畳み部4は、テント状空間部10の床面Aを覆う開口周辺において、それぞれ汚れ面Bを含む床面Aと密着して接触する接触縁部(縁部)11、12、13と、テント状空間部10内の気体の圧力を増減して調整する圧力調整部8をさらに備えている。
【0042】
接触縁部11乃至13は、テント状空間部10が形成された状態で、テント状空間部10の開口部分と、床面Aとを密着させて密閉空間を形成するためのものである。接触縁部11乃至13により、テント状空間部10と床面Aとを略密着するための構成としては、(1)接触縁部11乃至13自体を、ゴムパッキンのようなゴム状物質、又は起毛状物質で形成し、軟性を持たせて接触する構成、(2)圧力調整部8により、テント状空間部10内の気体をテント状空間部10外へ排出させてテント状空間部10内の圧力を調整する構成、及び(3)接触縁部11乃至13を、水のような液体、又はクリーム状の粘性体液体等で連続させて略密着させる構成等がある。ここでは、接触縁部11乃至13自体をゴム状物質で形成して略密着し、かつ、圧力調整部8により、テント状空間部10内の気圧を調整することにより着脱できるようにしている。
【0043】
圧力調整部8は、外部とテント状空間部10内とを通気する空気ファンを有する空気穴81を備えている。圧力調整部8は、空気ファンにより、テント状空間部10内部の気体を外部へ排出して気圧を下げ、空気穴81を閉じてテント状空間部10と床面Aとを強く密着したり、逆に、外部の気体を内部に送入して、テント状空間部10が床面Aから外れ易くする。なお、圧力調整部8による圧力調整は、テント状空間部10と外部とを通気パイプで接続し、このパイプの先に真空ポンプを設けて空気調整するようにしてもよい。
【0044】
このように、本実施形態によれば、テント状空間部10の接触縁部11乃至13と床面Aとが密着して接触されるので、テント状空間部10と床面Aとにより密閉度の高い密閉空間が形成され、テント状空間部10内から外部への紫外線及びオゾンの漏洩等を低減でき、消臭殺菌作業の安全性が高まると共に、消臭殺菌効率が向上する。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る消臭殺菌照明装置について、図10を参照して説明する。本装置1は、テント状空間部10内にオゾンを充満させて消臭殺菌処理を施し、その後にテント状空間部10内のオゾンを分解又はその濃度を薄くするオゾン無害化の手段として、オゾン無害化物質投入部15及びオゾン無害化装置部16を備えている。その他の構成は前記実施形態と同様である。
【0046】
オゾン無害化物質投入部15は、テント状空間部10内のオゾンを無害化するために、無害化物質を投入する投入口17を有し、その投入口17からは、オゾンを無害化する酸素や水蒸気が噴射される。テント状空間部10内に投入する酸素や霧状物質の量はオゾン濃度センサ(不図示)の値に応じて調整する場合もある。
【0047】
オゾン無害化装置部16は、テント状空間部10の外部に設けられ、テント状空間部10内部のオゾンを取出管18により取出して、オゾンの無害化処理を行う。このオゾン無害化装置部16の無害化処理としては、オゾン無害化物質投入部15による無害化処理と同じように、酸素や霧状の水と混合することにより、又は水中を通過させることにより無害化することができる。
【0048】
本実施形態の本装置1は、消臭殺菌後に、オゾン無害化物質投入部15によりテント状空間部10内部に無害化物質を投入してオゾンの無害化処理を行い、オゾン無害化装置部16によりテント状空間部10内部からオゾンを取出して無害化処理を行う。
【0049】
なお、テント状空間部10からオゾン無害化装置部16へ引き込む経路を長くしたり、オゾン無害化装置部16の内部の経路を長くすることにより、自然にオゾン濃度が人体に悪影響を及ぼさないレベルにまで低減させることにより行うこともできる。さらに、オゾン無害化装置部16内のオゾンが通過する経路の壁などに酸化チタンなどの光触媒コートを施し、その壁面に可視光や紫外線を照射して、触媒作用によってオゾンを分解することにより無害化することも可能である。
【0050】
本装置1を用いた消臭殺菌の手順は、前記第1の実施形態と同じであり、所定時間の消臭殺菌が終わって本装置1の電源をオフした後、オゾン無害化物質投入部15又はオゾン無害化装置部16により、テント状空間部10内に残存するオゾンガスの無害化処理を行い、この無害化処理を終わってから、汚れの落ちを確認する。すなわち、消臭殺菌後に、テント状空間部10を汚れ面Bから外して行う汚れ落ちの確認作業を、密閉空間内のオゾンを無害化処理してから行う。
【0051】
このように、本実施形態によれば、テント状空間部10内におけるオゾンによる消臭殺菌処理後、テント状空間内のオゾンが無害化されるので、消臭殺菌処理後の作業の安全性を高めることができる。
【0052】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る消臭殺菌照明装置について、図11を参照して説明する。本装置1は、オゾンを分解又はその濃度を薄くするオゾン無害化装置部16を本体部2に設けている。その他の構成は前述実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態においては、オゾン無害化装置部16が本体部2に一体化されるので、オゾンをテント状空間部10内からオゾン無害化装置部16に取出す取出管18(図10参照)が不要になり、本装置1はよりコンパクトとなり、また低価格になる。
【0054】
なお、本発明は上記各種の実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。本実施形態では、蓋部の一端を本体部に取り付けた状態で、蓋部を開放することによりテント状空間部を形成する例を示したが、蓋部を本体部から完全に分離させた状態で本体部と蓋部を全て折畳み部で繋いで一体化したものとすれば、折畳み部全体を伸ばしてテント状空間部の大きさを、自由度を持って形成することができる。また、被消臭殺菌場所の広さに応じて複数個の消臭殺菌照明装置を取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【図2】(a)は上記消臭殺菌照明装置の側面図、(b)は同装置の断面図。
【図3】(a)は上記消臭殺菌照明装置の折畳み途中の側面図、(b)は同装置の折畳み後の側面図。
【図4】(a)は上記消臭殺菌照明装置の本体部の平面図、(b)は同本体部の断面図。
【図5】上記消臭殺菌照明装置の汚れ確認用光源部の使用状態を示す図。
【図6】上記第1の実施形態の変形例における本体部の平面図。
【図7】上記第1の実施形態の他の変形例における本体部の平面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【図9】上記消臭殺菌照明装置の断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る消臭殺菌照明装置の斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1 消臭殺菌照明装置
2 本体部
3 蓋部
4 折畳み部
5 紫外線光源部(紫外線照射部)
6 オゾン発生部
10 テント状空間部(テント状空間)
11、12、13 接触縁部(縁部)
21 筐体(本体部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
少なくとも一部が前記本体部に着脱自在に取付られる蓋部と、
前記本体部と蓋部とを繋ぐ折畳み部と、
前記本体部、蓋部、及び折畳み部のうちの少なくとも一面に設けられた紫外線照射部と、を備え、
前記蓋部を、前記本体部に対して開放させることにより、前記本体部、蓋部、及び折畳み部により囲まれたテント状空間が形成されることを特徴とする消臭殺菌照明装置。
【請求項2】
前記テント状空間にオゾンを噴霧するオゾン発生部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項3】
前記テント状空間が形成された状態で、紫外線が照射される面に対して、前記本体部、蓋部、及び折り畳み部の各縁部が略接触することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項4】
前記テント状空間内にオゾンを充満させて消臭殺菌処理を施し、その後に該空間内のオゾンを分解又はその濃度を薄くする手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項5】
前記紫外線照射部による紫外線が直接又は間接的に照射される前記テント状空間内の本体部、蓋部、及び折り畳み部の各内面のうちの少なくとも1つの内面が、紫外線を反射し易い部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項1】
本体部と、
少なくとも一部が前記本体部に着脱自在に取付られる蓋部と、
前記本体部と蓋部とを繋ぐ折畳み部と、
前記本体部、蓋部、及び折畳み部のうちの少なくとも一面に設けられた紫外線照射部と、を備え、
前記蓋部を、前記本体部に対して開放させることにより、前記本体部、蓋部、及び折畳み部により囲まれたテント状空間が形成されることを特徴とする消臭殺菌照明装置。
【請求項2】
前記テント状空間にオゾンを噴霧するオゾン発生部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項3】
前記テント状空間が形成された状態で、紫外線が照射される面に対して、前記本体部、蓋部、及び折り畳み部の各縁部が略接触することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項4】
前記テント状空間内にオゾンを充満させて消臭殺菌処理を施し、その後に該空間内のオゾンを分解又はその濃度を薄くする手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の消臭殺菌照明装置。
【請求項5】
前記紫外線照射部による紫外線が直接又は間接的に照射される前記テント状空間内の本体部、蓋部、及び折り畳み部の各内面のうちの少なくとも1つの内面が、紫外線を反射し易い部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の消臭殺菌照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−50584(P2009−50584A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221895(P2007−221895)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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