説明

消費電力及びノイズを低減可能な制御装置

【課題】入力されたクロック信号に同期してデータ処理を実行するデータ処理回路に対して、高周波クロック信号の入力を制御することにより出力時以外の消費電力及びノイズ発生の増大を抑制する制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、データ処理用のクロック信号を出力する第1のクロック出力手段1210と、データ処理用のクロック信号よりも周波数の低い待機用のクロック信号を出力する第2のクロック出力手段1220と、データ処理用のクロック信号と待機用のクロック信号とを切替て、データ処理回路へ出力する切替部1230とを備える。制御装置の制御部1110、1250または1290は、データ処理回路でデータ処理を実行する期間中にデータ処理用のクロック信号を出力するように切替部1230を制御すると共に、データ処理回路がデータ処理をしていない期間中に待機用のクロック信号を出力するように切替部1230を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理回路の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データを印刷するプリンタでは、画像データをテーブルによるパターン変換で多値化した後、パラレル−シリアル変換を施してプリンタエンジンに出力するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
画像データをパラレル−シリアル変換してプリンタエンジンへ出力するためには、画像出力用の元のクロック(以下、「画像出力用元クロック」という。)の周波数を逓倍(整数倍)した高周波の画像出力クロックで、データ処理回路を駆動制御することが必要となる。
【0004】
また、プリンタでは、印刷速度高速化を図るため、画像出力用元クロックの周波数を逓倍(整数倍)して画像出力クロックの周波数を数百MHzに高めると、印刷時以外の不要のときの消費電力が増加し、ノイズ発生も増大する。
【0005】
そこで、画像出力用元クロックの周波数を逓倍(整数倍)して画像出力クロックを出力するPLL(Phase Locked Loop)において、画像出力クロックの出力をいったん停止させ、周波数の設定を変更してから画像出力クロックの出力を再開させるように構成することが考えられる。
【0006】
この場合には、例えば図9に示すように、コントローラが紙先端検知信号に従ってPLLにクロックを入力するのを停止し、PLLによるクロック出力を一旦停止させる。次に、コントローラは、高周波設定に設定しなおしたあと、PLLへクロックを入力するのを再開する。PLLは、数百μsec.のロックアップタイム後に高周波設定でクロックを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−54032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなPLLの停止及び再開の制御では、ロックアップタイムが経過するまで画像出力の開始を待機せねばならず、時間的ロスが生じる。
【0009】
本発明の目的は、電力の消費を抑制すると共に、ノイズ発生を抑制し、データ処理回路を駆動するためのクロック出力を停止し再開させるときに生じるロックアップタイムによる時間的ロスを低減可能に構成した制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の制御装置は、入力されたクロック信号に同期してデータ処理を実行するデータ処理回路に対する前記クロック信号の出力を制御する制御装置であって、データ処理用の第1のクロック信号を出力する第1のクロック出力ユニットと、前記データ処理用の第1のクロック信号よりも周波数の低い第2のクロック信号を出力する第2のクロック出力ユニットと、前記クロック信号を前記第1のクロック出力ユニットから出力されたデータ処理用の第1のクロック信号と前記第2のクロック出力ユニットから出力された第2のクロック信号との間で切替えて、前記データ処理回路へ出力する切替ユニットと、前記データ処理回路でデータ処理を実行する期間中に前記データ処理用の第1のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御すると共に、前記データ処理回路がデータ処理を実行していない期間中に前記第2のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御する制御ユニットと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、データ処理時以外の消費電力及びノイズを低減することができるという効果がある。また本発明によれば、データ処理時にPLLのロックアップタイムを待たずに時間的ロスを低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図1のプリンタI/Fの機能ブロック図である。
【図3】画像形成装置によるクロック周波数設定処理のフローチャートである。
【図4】画像形成装置における用紙搬送と画像出力クロックの関係を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施の形態及び第3実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置のプリンタI/Fの内部ハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置における用紙搬送と画像出力クロックの関係を示す説明図である。
【図7】第3実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置によるクロック周波数設定処理のフローチャートである。
【図8】第3実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置における用紙搬送と画像出力クロックの関係を示す説明図である。
【図9】従来の画像形成装置における、画像出力用元クロックの出力をいったん停止させ、周波数を変更してから再開させる場合の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0014】
本発明の第1実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置のハードウェア構成を、図1を参照して説明する。
【0015】
図1で、100は、画像形成装置を示し、200は、ネットワークやUSBなどのPCインターフェースを介して画像形成装置100と接続されるPCを示す。
【0016】
この画像形成装置100は、画像形成装置全体を制御するためのコントローラ1000を備える。さらに、コントローラ1000はASIC(Application Specific Integrated Circuit)1100を備える。
【0017】
このASIC1100は、コントローラ1000各部の制御を行う制御部であるCPU1110と、PC200からの印刷ジョブに画像処理を施す画像処理部1120を備える。
【0018】
さらに、このASIC1100は、PC200からの印刷ジョブを受信するPCインターフェース(以下明細書の表記は図面と同じI/Fのままとするが、訳語はinterfaceをあてる。)1130、RAM1300とのデータ通信を行うRAMI/F1140を備える。これと共に、ASIC1100は、ユーザインターフェース(以下明細書の表記は図面と同じUIのままとするが、訳語はuser interfaceをあてる。)であるパネル1500との通信を行うパネルI/F1150と、ROM1400とのデータ通信を行うROMI/F1160備える。さらに、このASIC1100は、プリンタエンジン1600への画像データ転送及び制御通信を行うプリンタI/F1200を備える。
【0019】
また、このコントローラ1000は、制御プログラムを実行するための領域や画像処理用のワークデータを格納する領域及び画像データを格納する領域を提供するRAM1300と、制御プログラムを格納するROM1400とを備える。
【0020】
また、この画像形成装置100は、ユーザインターフェースであるパネル1500、印刷を行うプリンタエンジン1600を備える。プリンタエンジン1600は、用紙上に画像形成処理をする画像形成部1610と、画像形成部1610へ用紙を搬入する搬送路上の画像形成部1610より用紙の搬送方向上流側の所定に配置されて、用紙の先端と後端を検知するセンサ1620を備える。さらに、この画像形成装置100は、プリンタエンジン1600に電力を供給するAC電源1700を備える。
【0021】
次に、プリンタI/F1200の内部ハードウェア構成について、図2を参照して説明する。
【0022】
図2において、1210は、画像出力用元クロックの周波数を逓倍(整数倍)し、データ処理用のクロック信号として高周波数クロック(高周波数クロック信号)を生成するPLL(第1のクロック出力ユニット)である。なお、PLL1210(第1のクロック出力ユニット)は、データ処理用の第1のクロック信号を出力する。
【0023】
図2で1220は、PLL1210から出力された高周波数クロックを設定値にしたがって分周して、待機用のクロック信号として低周波数クロック(低周波数クロック信号)を生成する分周器(第2のクロック出力ユニット)である。なお、分周器1220(第2のクロック出力ユニット)は、データ処理用の第1のクロック信号よりも周波数の低い第2のクロック信号を出力する。1221は、画像出力用元クロックの周波数を逓倍(整数倍)するのに用いられる分周器を示す。
【0024】
前述したPLL1210での逓倍(整数倍)の周波数と、分周器1220での周波数とは、逓倍(整数倍)設定制御部1240によって設定され、かつ制御される。逓倍(整数倍)設定制御部1240は、逓倍(整数倍)された周波数クロックがPLL1210から出力されるように分周器1221を制御する。
【0025】
また、PLL1210から出力された高周波数クロックと、分周器1220から出力された低周波数クロックとは、切替部1230で切替られて、画像出力クロックとして出力される。この切替部1230は、画像出力クロックを、データ処理用のクロック信号である高周波数クロックと、待機用のクロック信号である低周波数クロックとの間で、出力信号の途切れ無しに切替えて出力する。
【0026】
この切替部1230は、画像出力開始終了検知部1250から受信した画像出力の開始タイミング又は終了タイミングの信号に応じて、高周波数クロックと低周波数クロックとを切り替える。この切替部1230は、画像出力制御部1260やパラレルシリアル変換部1270がデータ処理を実行する期間中に、データ処理用のクロック信号を出力するように切替ると共に、それらが待機する期間中には、待機用のクロック信号を出力するように切替える。
【0027】
画像出力開始終了検知部1250は、開始終了信号選択部1290で選択された画像出力開始信号または画像出力終了信号を受信して、画像出力の開始タイミング又は終了タイミングを検知する。
【0028】
画像出力制御部1260は、この切替部1230からから出力された画像出力クロックを入力して画像出力クロックに同期してデータ処理を実行するデータ処理回路である。画像出力制御部1260は、プリンタエンジン1600及びパラレルシリアル変換部1270に対して制御信号及び画像データの出力制御を行う。
【0029】
また、パラレルシリアル変換部1270も、この切替部1230から出力された画像出力クロックを入力して画像出力クロックに同期してデータ処理を実行するデータ処理回路である。画像出力制御部1260で処理された画像データ及び出力制御信号は、パラレルシリアル変換部1270に入力される。
【0030】
このパラレルシリアル変換部1270は、パラレル−シリアル変換用の変換テーブル1280を利用して、画像データのパラレル−シリアル変換を行う。
【0031】
また、図2において、電力を必要としているところには電源供給信号を介して図1のAC電源1700から電力が供給される。
【0032】
次に、上述した画像形成装置のクロック周波数設定処理を、図3を参照して説明する。
【0033】
画像形成装置100のコントローラ1000は、電源ONによるAC電源1700からの電力供給後に基本動作処理を開始する。そして、CPU1110は、不図示の信号を介して、PLL1210への逓倍(整数倍)高周波設定と、分周器1220への分周低周波設定とを、逓倍(整数倍)設定制御部1240に設定する(ステップS401)。逓倍(整数倍)設定制御部1240は、その逓倍(整数倍)高周波設定に従ってPLL1210から出力されるクロックの周波数を設定し、分周低周波数設定に従って分周器1220から出力されるクロックの周波数を設定する。
【0034】
次に、切替部1230は、初期状態で、分周器1220から出力された低周波数クロックを選択する(ステップS402)。
【0035】
次に、コントローラ1000は、PC200からPC I/F1130を介して印刷ジョブを受信するまで待機する。そして、コントローラ1000は、PC200から印刷ジョブを受信すると、画像出力を開始する。
【0036】
すると、画像出力開始終了検知部1250は、後述する画像出力の開始終了検知動作により、画像出力開始を検知する(ステップS403)。
【0037】
次に、画像出力開始を検知した画像出力開始終了検知部1250は、画像出力の開始タイミングを示す信号を切替部1230に送信し、切替部1230はPLL1210からの高周波数クロックを選択する(ステップS404)。この際に、切替部1230は、短い周期のパルスが出ないように、画像出力クロックをLOWの区間で切替える。
【0038】
次に、コントローラ1000は、プリンタエンジン1600へ画像データの出力を開始し、印刷ジョブに基づく画像出力の動作を完了させる。
【0039】
すると、画像出力開始終了検知部1250は、後述する画像出力の開始終了検知動作により、画像出力終了を検知する(ステップS405)。
【0040】
そして、画像出力終了を検知した画像出力開始終了検知部1250は、画像出力の終了タイミングを示す信号を切替部1230に送信し、切替部1230は、分周器1220からの低周波数クロックを選択する(ステップS406)。この際に、切替部1230は、短い周期のパルスが出ないように、LOWの区間で画像出力クロックを切替える。
【0041】
次に、図2及び図4を参照して、図3のクロック周波数設定処理におけるステップS403及びS405での画像出力の開始終了検知動作について説明する。ここで、本第1実施の形態では、画像出力の開始と終了を、用紙の先端検知時に生成される検知信号又は用紙の後端検知時に生成される検知信号が入力した時点としている。
【0042】
画像出力のために紙搬送を開始した際に、プリンタエンジン1600のセンサ1620は、用紙の先端を検知すると、紙先端検知信号を出力する(図4ではLOWアクティブな信号)。さらに、センサ1620は、用紙の後端を検知すると、紙後端検知信号(図4ではLOWアクティブな信号)を出力する。
【0043】
この紙先端検知信号は、画像出力制御部1260及び開始終了信号選択部1290へ送信される。すると、この紙先端検知信号を受信した開始終了信号選択部1290は、画像出力開始信号を画像出力開始終了検知部1250へ出力する。
【0044】
画像出力開始終了検知部1250は、搬送路上を搬送されている用紙の先端がセンサ1620の位置から印刷位置に達する直前で画像出力クロックが高周波数クロックに切り替わるよう、センサ1620の位置から印刷位置に達する直前までの用紙の先端の位置に対応して動作する。このため、画像出力開始終了検知部1250は、画像出力開始信号から一定時間後に、画像出力の開始タイミングを示す信号を切替部1230に送信する。切替部1230はその信号に応じて画像出力クロックをPLL1210から出力された高周波数クロックに切替える。
【0045】
紙後端検知信号は画像出力制御部1260及び開始終了信号選択部1290へ送信される。すると、この紙後端検知信号を受信した開始終了信号選択部1290は、画像出力終了信号を画像出力開始終了検知部1250へ出力する。
【0046】
画像出力開始終了検知部1250は、画像形成部から用紙後端が搬出された直後に画像出力クロックが低周波数クロックに切り替わるよう、用紙の後端がセンサ1620の位置から画像形成部の終了位置以遠に至るまでの用紙の先端の位置及び速度に対応して動作する。
【0047】
このため、画像出力開始終了検知部1250は、画像出力終了信号から画像形成処理が終わるまでの一定時間経過後に、画像出力の終了タイミングを示す信号を切替部1230に送信する。切替部1230はその信号に応じて画像出力クロックを分周器1220から出力された低周波数クロックに切替える。これにより画像形成装置は、一連の画像出力処理を終える。
【0048】
次に、この画像形成装置において、上述した画像出力の開始終了検知動作を実行することにより得られる消費電力の削減効果について説明する。
【0049】
この画像形成装置では、上述した画像出力クロックの切替え動作によって、画像出力のため用紙を搬送している所要時間だけ、逓倍(整数倍)高周波数クロックが画像出力制御部1260及びパラレルシリアル変換部1270に入力される。
【0050】
また、紙先端が画像形成部1610に入ってから紙後端が当該区間を出るまで用紙を搬送している以外の期間では、高周波数クロックがPLL1210から分周器1220及び切替部1230までしか分配されない構成となっている。
【0051】
このため、これらの期間では、PLL1210、分周器1220及び切替部1230だけが高周波数クロックで動作する。
【0052】
これらの回路と比較して、分周器1220から出力された低周波数クロックで動作するよう切替られる画像出力制御部1260及びパラレルシリアル変換部1270は、回路規模が格段に大きい。
【0053】
ここで、消費電力及びノイズ発生は、クロック周波数及び回路規模に比例するという特性がある。
【0054】
よって、画像出力時以外では、回路規模の大きい画像出力制御部1260及びパラレルシリアル変換部1270が低周波数クロックで動作する。よって、この画像形成装置では、画像出力クロックを低周波数クロックに切り替えない場合と比較して消費電力及びノイズ発生を低減することができるという効果がある。
【0055】
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。本第2実施の形態は、センサ1620が用紙の先端と後端とを検知した場合に割込み信号に基づき、CPU1110が、切替部1230を制御して画像出力クロックを高周波数クロック又は低周波数クロックに切り替える点で、第1実施の形態と異なる。
【0056】
すなわち、第1実施の形態では、センサ1620が用紙の先端と後端とを検知したことに基づいてハードウェアにより切替部1230を制御するものである。これに対して第2実施の形態では、図5に示すようにソフトウェアにより切替部1230を制御するものである。
【0057】
図5は第2実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置のプリンタ I/F1200の内部ハードウェア構成を示す図である。図5では、CPU1110が紙先端検知割込み信号及び紙後端検知割込み信号を利用して、画像出力の開始と終了のタイミングを検出し、制御信号を介して切替部1230を制御する。
【0058】
なお、本第2実施の形態では、前述した第1実施の形態と異なる部分に重点をおいて説明するものとし、第1実施の形態と共通する全体動作等の詳細な説明を省略する。
【0059】
図5及び図6を参照して、本第2実施の形態における画像出力の開始終了検知動作について説明する。本第2実施の形態では、画像出力の開始と終了を、用紙の先端検知及び後端検知による割込み信号を利用して検知している。
【0060】
図1に示す画像形成装置100では、印刷ジョブの処理が開始されると、プリンタエンジン1600内の画像形成部1610へ向けて用紙の搬送が開始される。プリンタエンジン1600のセンサ1620は、紙搬送されている用紙の先端を検知すると、紙先端検知信号(図6ではLOWアクティブな信号)を出力する。さらに、センサ1620は、用紙の後端を検知すると、紙後端検知信号(図6ではLOWアクティブな信号)を出力する。
【0061】
この紙先端検知信号を受信した画像出力制御部1260は紙先端検知信号から生成される紙先端検知割込み信号(図6ではHIGHアクティブな信号)をCPU1110に送信する。CPU1110はその割込み信号を画像出力開始信号として検知する。
【0062】
CPU1110は、紙先端検知割り込み信号の検知から所定時間経過時に、画像出力クロックをPLL1210からの高周波数クロックに切替えるように切替部1230を制御する。なお、この所定時間は、予め分かっている紙搬送の速度と距離とから求められる、センサ1620が用紙の先端を検知したことによる紙先端検知割り込み信号(画像出力開始信号)をCPU1110が検知した時点から搬送される用紙先端が画像処理開始位置に達する時間である。
【0063】
また、紙後端検知信号を受信した画像出力制御部1260は紙後端検知信号から生成される紙後端検知割込み信号をCPU1110に送信する(図6ではHIGHアクティブな信号)。CPU1110はその割込み信号を画像出力終了信号として検知する。
【0064】
CPU1110は、紙後端検知割込み信号の検知から所定時間経過時に、画像出力クロックを高周波数クロックから分周器1220からの低周波数クロックに切替えるように切替部1230を制御する。なお、この所定時間は、予め分かっている紙搬送の速度と距離とから求められる、センサ1620が用紙後端を検知したことによる紙後端検知割込み信号(画像出力終了信号)をCPU1110が検知した時点から用紙後端が画像処理終了位置以遠まで搬送される時間である。
【0065】
本第2の実施の形態によれば、図5に示すようにCPU1110が紙先端検知割込み信号を利用して画像出力の開始と終了のタイミングを検出して、ソフトウェアによる切替部1230の切替え制御を実行する。これによりCPU1110は、切替部1230を制御して、画像出力中だけ高周波数クロックで規模の大きい回路を駆動するようにして消費電力及びノイズ発生を低減することができるという効果がある。
【0066】
次に、本発明の第3実施の形態について説明する。本第3実施の形態では、画像出力クロックの切替えタイミングを、有効画像出力終了を検知して生成された割込み信号(出力終了時に生成される信号)を利用して制御するものである。第3実施の形態に係る制御装置を備える画像形成装置のプリンタ I/F1200の内部ハードウェア構成は図5に示す第2実施の形態のそれと同一であるので、説明を省略する。
【0067】
次に、第3実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置によるクロック周波数設定処理を、図7を参照して説明する。
【0068】
画像形成装置のコントローラ1000は、電源ONによるAC電源1700からの電力供給後に基本動作処理を開始する。そして、CPU1110は、不図示の信号を介して、PLL1210への逓倍(整数倍)高周波設定と、分周器1220への分周低周波設定とを、逓倍(整数倍)設定制御部1240に設定する(ステップS701)。
【0069】
次に、CPU1110は、分周器1220から出力された低周波数クロックを選択する状態に切替部1230を設定する(ステップS702)。
【0070】
次に、コントローラ1000は、PC200からPC I/F1130を介して印刷ジョブを受信するまで待機する。そして、コントローラ1000は、PC200から印刷ジョブを受信すると、画像出力を開始する。すると、CPU1110は、後述する画像出力の開始終了検知動作により、画像出力開始を検知する(ステップS703)。
【0071】
次に、画像出力開始を検知したCPU1110は、図8に示すように、あらかじめ設定された有効画像領域(用紙上に画像が形成される領域)までの時間をカウントする(ステップS704)。この時間は、有効画像領域までの副走査ライン数に基づいて決まるものである。
【0072】
次に、CPU1110は、画像出力クロックをPLL1210からの高周波数クロックに切替えるよう切替部1230を制御する(ステップS705)。この際に、CPU1110に制御された切替部1230は、短い周期のパルスが出ないように、クロックをLOWの区間で切替える。
【0073】
次に、コントローラ1000は、プリンタエンジン1600へ画像データの出力を開始し、印刷ジョブに基づく有効画像出力の動作を完了させる。
【0074】
すると、CPU1110は、後述する画像出力の開始終了検知動作により、画像出力終了を検知する(ステップS706)。
【0075】
有効画像出力終了を検知したCPU1110は、画像出力クロックを分周器1220からの低周波数クロックに切替えるよう切替部1230を制御する(ステップS707)。この際に、切替部1230は、短い周期のパルスが出ないように、LOWの区間でクロックを切替えて処理を終了する。
【0076】
次に、第3実施の形態に係る制御装置を備えた画像形成装置における画像出力の開始終了検知動作について図5及び図8を参照して説明する。この画像出力の開始と終了の検知は、用紙の先端検知割込み信号及び有効画像出力終了割込み信号を利用するものである。
【0077】
プリンタエンジン1600は、画像形成のため紙搬送を開始する。搬送された用紙先端がプリンタエンジン1600のセンサ1620の位置を通過すると、当該センサ1620は用紙先端を検知して、紙先端検知信号を出力する(図8ではLOWアクティブな信号)。
【0078】
この紙先端検知信号を受信した画像出力制御部1260は紙先端検知信号から生成される紙先端検知割込み信号をCPU1110に送信する。CPU1110はその割込み信号を画像出力開始信号として検知する。
【0079】
そのあと、CPU1110は、あらかじめ設定された有効画像領域までの時間をカウント後に、画像出力クロックをPLL1210からの高周波数クロックに切替えるよう切替部1230を制御する。
【0080】
また、印刷ジョブに設定された有効画像の出力が終了すると、画像出力制御部1260は有効画像出力終了割込み信号(図8ではHIGHアクティブな信号)をCPU1110に送信する。CPU1110はその割込み信号を画像出力終了信号として検知する。
【0081】
画像出力終了信号を受信したCPU1110は、画像出力クロックを分周器1220からの低周波数クロックに切替えるよう切替部1230を制御する。
【0082】
上述した第3実施の形態によれば、有効画像領域までの時間設定及び有効画像出力終了割込み信号の検知によって、逓倍(整数倍)高周波数クロックの分配時間を短縮することが可能となる。
【0083】
また、本発明の画像形成装置に用いた制御装置では、画像出力開始と画像出力終了を検知するための構成を、第1、第2及び第3の実施の形態を任意に組合せて構成しても良い。例えば、紙先端検知信号を画像出力開始信号として検知し(第1実施の形態)、紙後端検知割込み信号(第2実施の形態)又は有効画像出力終了割込み信号(第3実施の形態)を画像出力終了信号として検知する構成が可能である。
【符号の説明】
【0084】
100 画像形成装置
1000 コントローラ
1100 ASIC
1200 プリンタ I/F
1210 PLL
1220 分周器
1230 切替部
1240 逓倍(整数倍)設定制御部
1250 画像出力開始終了検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたクロック信号に同期してデータ処理を実行するデータ処理回路に対する前記クロック信号の出力を制御する制御装置であって、
データ処理用の第1のクロック信号を出力する第1のクロック出力ユニットと、
前記データ処理用の第1のクロック信号よりも周波数の低い第2のクロック信号を出力する第2のクロック出力ユニットと、
前記クロック信号を前記第1のクロック出力ユニットから出力されたデータ処理用の第1のクロック信号と前記第2のクロック出力ユニットから出力された第2のクロック信号との間で切替えて、前記データ処理回路へ出力する切替ユニットと、
前記データ処理回路でデータ処理を実行する期間中に前記データ処理用の第1のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御すると共に、前記データ処理回路がデータ処理を実行していない期間中に前記第2のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御する制御ユニットと、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
画像形成部へ用紙を搬入する搬送路上に配置された前記用紙の先端と後端を検出するセンサをさらに備え、
前記データ処理回路は、前記画像形成部による画像形成のためのデータ処理を行う回路として構成し、
前記制御ユニットは、前記センサが搬送されている前記用紙の先端を検出したときに出力する紙先端検知信号を受信して画像出力開始信号を出力すると共に、前記センサが前記用紙の後端を検出したときに出力された紙後端検知信号を受信して画像出力終了信号を出力する選択ユニットと、
前記選択ユニットから前記画像出力開始信号を受信して、前記データ処理用の第1のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御すると共に、前記選択ユニットから前記画像出力終了信号を受信して、前記第2のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御する検知ユニットとを備えることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
画像形成部へ用紙を搬入する搬送路上に配置された前記用紙の先端と後端を検出するセンサをさらに備え、
前記データ処理回路は、前記画像形成部による画像形成のためのデータ処理を行う回路として構成し、
前記制御ユニットは、前記センサが搬送されている前記用紙の先端検知時に生成される信号を受信して、前記データ処理用の第1のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御すると共に、前記センサが搬送されている前記用紙の後端検知時に生成される信号を受信して、前記第2のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
画像形成部へ用紙を搬入する搬送路上に配置された前記用紙の先端を検出するセンサをさらに備え、
前記データ処理回路は、前記画像形成部による画像形成のためのデータ処理を行う回路として構成し、
前記制御ユニットは、前記センサが搬送されている前記用紙の先端検知時に生成される信号を受信して、前記データ処理用の第1のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御すると共に、前記用紙の上に形成される有効画像の出力終了時に生成される信号を受信して、前記第2のクロック信号を出力するように前記切替ユニットを制御することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記切替ユニットは、クロック信号をLOWの区間で切替えることを特徴とする請求項1記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−233140(P2011−233140A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64830(P2011−64830)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】