説明

消費電流に応じてディスプレイの動作パラメータを制御するシステムおよび方法

電子ディスプレイの電力消費を制御するシステムおよび方法である。最大電流値が選択され、この値より上ではディスプレイまたは局部回路を損傷する危険がある。ファン速度やバックライトレベルといったディスプレイパラメータのランプ状制御および/または漸次的制御により、極限状況および線間電圧変動時の消費電流が低減され得る。実施形態は、局部回路の過負荷またはディスプレイへの損傷の危険を冒さずにディスプレイが動作し続けることを可能にする。さらに実施形態は、エネルギー使用量を最小限に抑えるためにディスプレイの電力消費を制限するのにも使用され得る。複数のパラメータを同時に測定し、制御して、画像の違いに極力気づかれないようにエネルギー使用を最小限にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的実施形態は、一般に、所望の消費電流の範囲を維持し、かつ/またはエネルギー消費を最小限に抑えるために様々なパラメータのランプ状制御および/または漸次的制御を行う電子ディスプレイおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高度な電子表示システムは、温度変化および/または直射日光の量が限られる室内用途または屋外用途にだけが使用されてきた。これらのシステムが屋外に移動されると、温度も日光も、ディスプレイが画像を生成し、ディスプレイ内の様々な構成要素に十分な動作温度を維持することのできる機能において重大な要因になる。
【0003】
低温は液晶ディスプレイ(LCD)システムには特に有害であり、低温では液晶の反応が遅くなる可能性があり、極端な場合には実際に凍結することもあり得る。また熱も多くの電子ディスプレイにとって有害である。というのは、ディスプレイシステムを駆動する電気部品が加熱し、誤動作し得るからである。高温または低温でのディスプレイ構成部品への損傷を防止するための、いくつかの加熱システムおよび冷却システムが提案されている。これらのシステムの中にはディスプレイの温度を適切に制御することのできるものもあるが、往々にしてこれらのシステムは大量の電力を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイが大量の電力を消費し始めるといくつかの問題が懸念されるようになる。言うまでもなく、エネルギー関連事項は常に問題であり、消費者はエネルギー消費および対応するエネルギーコストを最小限に保つことを求める。さらに、大電力消費は、消費電流の急激な上昇、および特にブレーカまたはヒューズの遮断として、局部回路を過負荷状態にする危険に関係し得る。往々にしてこれらのディスプレイに供給される線間電圧は、程度の差はあれ、変動し得る(「電圧低下(brown out)」)。線間電圧の低下は、典型的には、ディスプレイによる消費電流の増加と、それに続く局部回路の過負荷をもたらす。よって、電力消費を制御し、局部回路の過負荷を防止しながら可能な最善のディスプレイ性能を維持することのできるシステムを開発することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的実施形態は、消費電流、温度、および任意選択の輝度の各測定に基づいて、電子ディスプレイ上のバックライトおよび/または冷却/加熱システムを調整するシステムおよび方法を含む。
【0006】
電子ディスプレイバックライトは、典型的なディスプレイの熱およびエネルギー消費の大きな原因である。前述のように、熱が多すぎても熱が少なすぎても、電子ディスプレイの構成部品を損傷し、または破壊する可能性がある。よって、例示的実施形態は、バックライトキャビティ内の空気の温度およびディスプレイの消費電流に基づいてディスプレイの背面照射のレベルを制御する。
【0007】
さらに、実施形態の中には、ディスプレイの内部温度をモニタし、これらの内部温度および消費電流に応じてディスプレイの加熱/冷却アセンブリを制御するものもある。消費電流/電力消費が問題になると、実施形態によっては、加熱/冷却アセンブリを必要なだけしか動作させず、または差し迫った熱制御を必要とするディスプレイの領域を加熱または冷却するシステムだけを選択的に稼働させる。
【0008】
ディスプレイバックライトに要求される光の量は、周囲環境から入ってくる周辺光の量に左右されする。例えば、周囲環境が非常に明るいときには、バックライトに大量の光が要求される。というのは、この光は、環境間内にある、表示面から反射する明るい光に打ち勝たねばならないからである。これに対して、周囲環境が非常に暗いときには、ディスプレイの光は明るい周辺光に対抗しなくてもよいため、バックライトに要求される光がより少量ですむ。よって、エネルギー消費または消費電流が懸念されるときには、実施形態によっては、周辺光のレベルに基づいて許容できる画像を作成するように、必要なだけのバックライト照明しか使用しない。
【0009】
背面照射源の中には時間が経つと劣化するものもある。例えば、LEDのものは時間が経つと劣化し、発する光が低減し得る。また例示的実施形態は、光源の劣化に基づいてディスプレイの明るさを調整させることもできる。
【0010】
本発明の上記その他の特徴および利点は、添付の図面に例示される特定の実施形態の以下のより詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【0011】
以下の詳細な説明および添付の図面を読めば、例示的実施形態のより良い理解が得られるであろう。図面において同一の参照符号は同一の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】典型的な電子ディスプレイ消費電流に対する典型的な線間電圧を表すグラフである。
【図2】ディスプレイハウジング内部の温度に対する理想のバックライト電力およびファン電力を表すグラフ。
【図3】温度測定および消費電流に応じてバックライトおよび冷却ファンを制御するための基本構成要素を示す概略図。
【図4】温度および消費電流に応じてバックライトおよび冷却ファンを制御するための論理を示すフローチャート。
【図5】温度に基づくバックライトのランプ状制御および/または漸次的制御の一種を表すグラフ。
【図6】複数の温度測定および消費電流に応じてバックライトおよび複数の冷却ファンを制御するための基本構成要素を示す概略図。
【図7】複数の温度測定および消費電流に応じてバックライトおよび複数の冷却ファンを制御するための論理を示すフローチャート。
【図8】温度、消費電流、バックライト照明、および周辺光の各測定に応じてバックライトおよび冷却ファンを制御するための基本構成要素を示す概略図。
【図9】温度、消費電流、バックライト照明、および周辺光の各測定に応じてバックライトおよび冷却ファンを制御するための論理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、(y軸上に示す)線間電圧と(x軸上に示す)電子ディスプレイの消費電流との関係の大まかなグラフを示す。VNORMは特定の設備についての公称線間電圧を表す。公称線間電圧は、ディスプレイが設置される場所に応じて変動する。図の領域5は、線間電圧は比較的一定のままであるが、ディスプレイのためのバックライトまたは冷却/加熱システムの高需要に基づく消費電流の増加が生じ得る正常動作条件とみなされるはずのものを表す。CMAXは、ディスプレイについての所望の消費電流の上限を表す。消費電流がCMAXより大きくなると、局部回路を過負荷状態にする危険がより高くなる。領域6は、ディスプレイの消費電流が非常に懸念すべき状態である領域を表し、本発明のシステムは、回路の過負荷状態(またはおそらくは過剰なエネルギー使用)を回避するためにシステムの消費電流を低減するのに用いられるはずである。
【0014】
線間電圧は常に一定であるとは限らない。「停電」は周知であり、線間電圧が完全に途絶えたときに生じる。しかし、「電圧低下」は、やはり公知の現象であり、線間電圧が途絶えず、単に減少したときに生じる。この減少は、場合によって小さいときもあるが、非常に大きくなる可能性もある。線10は、電圧が減少するときにディスプレイの消費電流に何が起こり得るかを大まかに表すものである。よって、線間電圧が減少するにつれて、ディスプレイの消費電流はおおむね直線的に増加し得る。というのは、ディスプレイは、供給電圧が低下すると動作を維持しようと試みるからである。ディスプレイ消費電流の多少の増加は既存のシステムおよび局部回路によっても対応され得るが、ディスプレイが線8に達すると、回路を過負荷状態にする危険性が高まる。よって、本発明の実施形態は、線8に達したディスプレイも利用することができるはずであり、(所与の線間電圧について)ディスプレイの消費電流を低減し、(線間電圧がこの低いレベルのままに留まるべきであった場合には)ほぼ線9に沿って戻ることができる。
【0015】
図には網掛けした部分および線があるが、線間電圧とディスプレイ消費電流との関係は複雑であり、データは必ずしも図示の各線に沿って進み、または網掛け領域内に留まるとは限らないことに留意すべきである。大きな動的スパイクの後に比較的一定の消費電流の期間が続くこともあり得る。図は、本発明の実施形態によって対処され得る現象のいくつかの基本的関係を示すためのものにすぎない。
【0016】
過去の装置は、通常、特に電圧低下などの動的条件の下で、システムの消費電流を慎重に制御するための機能を欠くものであった。典型的には、これらの装置は、回路が過負荷状態になるまで継続し、またはバックライトレベルを激減させ、またはバックライトを完全にオフにするはずである。本発明の実施形態は、急激な変化を回避するために様々な構成要素の漸次的ランプ状制御を利用する。よって、バックライトは絶対的に必要なときにだけ低減される。というのは、バックライトはディスプレイ上に画像を生成するのに必要だからである。情報用または広告用のディスプレイでは、画像は、その画質が落とされ、または除去されることが絶対的に必要になるまで、可能な最善の状態で見え続けることが重要である。同様のランプ状および漸次的制御の理論が、一般的なエネルギー節約原理にも適用される。これらのシナリオでは、バックライトは、温度および周辺光のレベルに応じて、それが十分に見える状態に留まる程度にのみ照明される。さらに、電力消費が懸念されるようになると、バックライトアセンブリの前に、冷却/加熱装置がまず選択的に低減される。
【0017】
図2に、内部ディスプレイ温度(x軸)と、1つまたは複数のファンに送られる電力(左y軸)と、バックライト(右y軸)に送られる電力との関係の大まかなグラフ表示を示す。消費電流が問題になり、ディスプレイの温度が相対的に低いときには、バックライトへの電力は高いままとすることができ(または増加させることさえもでき)、他方ファンへの電力は(ディスプレイ温度が低く不要であるため)低減される。逆に、消費電流が問題になり、ディスプレイの温度が相対的に高いときには、バックライトへの電力が低減され、ファンへの電力は一定のままとすることができる(または増加させることさえもできる)。これら2要因のバランスは、ディスプレイの消費電流を適切に管理すると同時に、ディスプレイを損傷から保護するのにも役立つ。
【0018】
温度とファン電力とバックライト電力との関係は、図2に示すグラフの形を取るとは限らないことに留意すべきである。例えば、バックライト電力は、ファン速度が減少するに従って増加するとは限らない。一例示的実施形態では、ファンへの電力が電流の増加を回避するために単純に低減される間、バックライトはその最大出力に留まり得る。また、本出願で十分に論じるように、バックライトは温度が上昇する際に低減されるとは限らず、これは、消費電流が懸念されるときにディスプレイの温度を下げるためのツールとして使用され得る。図は様々なディスプレイパラメータ間の関係の大まかな近似を示すにすぎない。
【0019】
図3に、一般的な実施形態についての基本構成要素を示す。消費電流測定装置20はソフトウェアドライバ22と電気的に通信する。また温度センサ21もソフトウェアドライバ22と電気的に通信する。ソフトウェアドライバ22はさらに、ファン24を駆動するファン電源23と電気的に通信する。またソフトウェアドライバ22は、バックライト26を駆動するバックライト電源25とも電気的に通信する。バックライトシステムのフィードバックループを提供するためのさらに別のバックライト輝度センサが設けられてもよい。また周辺光センサ(図8参照)も使用され得る。
【0020】
消費電流測定装置20は多くの形をとり得る。実施形態によっては、ディスプレイの全体電源接続のところに位置する感知装置に基づいて、ディスプレイ全体からの全消費電流を測定してもよい。別の実施形態では、各ディスプレイ構成要素を動作させるのに使用される各電源モジュールから入ってくるフィードバックループを使用し得る。よって、図3には2つの電源だけしか示されていないが、バックライトだけまたはファンだけに電力供給するのに使用される複数の電源があってもよく、ソフトウェアドライバおよびディスプレイアセンブリ自体(すなわち、LCDスタック、OLED、またはプラズマアセンブリ)に電力供給するためのさらに別の電源があってもよい。別の実施形態では、ソフトウェアドライバ22から送られる制御を検証するために、ファン電源23およびバックライト電源25のためのフィードバックループを使用してもよい。これらのフィードバックループはよく知られており、本明細書ではこれ以上論じない。
【0021】
ソフトウェアドライバ22は、任意の市販の制御システムまたはマイクロコントローラとすることができる。好ましくは、ソフトウェアドライバ22はeprom(すなわちeeprom)を備え、これは、ミネソタ州シーフ・リバー・フォールズ(Thief River Falls, MN)のデジキー社(Digi−Key)(www.digi−key.com)から市販されている。
【0022】
温度センサ21はディスプレイ内のいくつかの場所に配置され得る。理想的には、ただ1つの温度センサしか使用されていない場合には、好ましくは、過熱することが分かっており、ファン24によって直接的または間接的に冷却され得るディスプレイの領域に配置されるべきである。
【0023】
図4に、図3に示した実施形態のソフトウェアドライバ22によって実行され得る論理の一例を示す。好ましくは、この論理は、ディスプレイの消費電流を測定し、その測定値とCmax値とを比較することによって、開始する。Cmax値は、ディスプレイが設置されている局部回路に基づいて予め設定された値であるか、または、エネルギー節約のために設定された値である。ディスプレイの消費電流がCmaxに接近していない場合には、ディスプレイは正常動作を続けることができる。正常なシステム動作中では、ディスプレイは、バックライトおよび冷却/加熱システムを十分な性能を維持するのに必要とみなされる最高レベルまで動作させることができる。冷却/加熱システムは必要に応じて動作させることができ(おそらくはやはり温度センサに基づくが、必ずしもそうとは限らない。というのは、システムは単にノンストップで動作することもできるからである)、バックライトは、消費電流が懸念されないため、周辺光レベルに調整されてもされなくてもよい。
【0024】
しかし、ディスプレイがCmaxに接近している場合には、ディスプレイの温度がチェックされる。ディスプレイの最高温度は、ディスプレイの試験に基づいて事前に決定された温度でもよく、また、ディスプレイがその構成要素に重大な損傷を受けずに動作することのできる最高温度でもよい。ディスプレイがその最高許容温度に達していない場合には、消費電流を低減するために、システムは冷却ファンに送られる電力をわずかに低減し得る。この電力が低減された後で、システムはディスプレイの消費電流を再チェックし、ディスプレイが依然としてCmaxに接近している場合には、論理は戻ってディスプレイ温度を再測定し、最高ディスプレイ温度に達していない場合には、ファンへの電力をさらに低減し得る。
【0025】
システムが(第1の測定の後またはファンへの電力を低減した後で)最高ディスプレイ温度に達したと判定した場合には、バックライトへの電力はわずかに低減され得る。通常は、可能な限り最大のバックライトが求められるので、そのため、バックライトへの電力は、好ましくは、ディスプレイがCmaxに近い状態でなくなるまでランプ状で漸次的に、徐々にわずかずつ低減される。次いでこれらのレベルは電流(およびおそらくは温度)が下がるまで維持され、システムは論理パターンの最初に戻る。
【0026】
上述の“ランプ(斜面)状(ramp-wise)”という用語は、本明細書では、ディスプレイ用のファン及びバックライトに送られる電力が漸次的にわずかに変化することを表すために使用される用語である。図5は、バックライトのランプ状および/または漸次的制御の一例を示すグラフである。この図ではx軸上に温度が示されており、好ましくはこの温度はバックライトのキャビティに近い。y軸はバックライトに送られる電力を示している。ディスプレイがThighに達する前に、バックライトには、その最高レベル(Bhigh)(または周辺光レベルに基づく望ましいだけのレベル)の電力供給され得る。しかし、Thighに達すると、バックライトは、ディスプレイの消費電流を増加させずにディスプレイの冷却を助長するように、ランプ状に低減され得る。ディスプレイの温度が上昇し続ける場合には、バックライト電力(Bunit)も引き続きランプ状に低減され得る。線形補間は、バックライト測定と温度測定との適正な関係を判定する一つの方法になり得る。バックライトが低減されているにもかかわらずディスプレイの温度が上昇し続ける最悪のシナリオでは、温度がディスプレイの損傷を引き起こす可能性の高い温度(Tmax)まで達すると、バックライトは最終的にオフにされ得る。ファンへの電力のランプ状および/または漸次的制御も同様に行われ得る。例えば、ファンへの電力は、ディスプレイの消費電流が高くなることを回避するために、わずかずつ徐々に低減され得る。これは、ディスプレイおよび/またはバックライトを完全にシャットダウンすることなく、可能な限り長期間にわたってディスプレイで画像を提供するためである。
【0027】
図6には、少なくとも2つの温度センサ30および31を含む、やや高度な実施形態の基本的概略を示す。システムが必要なだけの数の温度センサを含み得ることを示すために、第3の温度センサX32が示されている。温度センサ30、31、32はそれぞれ、ソフトウェアドライバ22と電気的に通信する。この実施形態には、少なくとも2つのファン電源33および34もある。第1の組のファン36は第1のファン電源33に接続されており、第2の組のファン37は第3のファン電源34に接続されている。第3のファン電源「ファンX電源」35は、任意の数のファン電源および関連付けられたファン38があってよいことを示すために図示するものである。
【0028】
図7に、2つのファン電源および2組のファンを使用する実施形態のために実行され得る論理を示す。この論理は、図4に開示した論理と同様に働くが、主な相違点として、この論理では、必要でない限り、バックライトへの電力を低減することを強いられずに、システムの消費電流をさらに低減するために別の組のファンと平衡化を行うことができる。よって、ディスプレイがCmaxに接近している場合には、Temp1をチェックして、それが設定最大値に近いかどうかが判定される。近くない場合、電力を節約するためにファン1への電力が低減され得る。この電力の低減は、バックライトを低減することなく、ディスプレイのための電流レベルを安全なレベルまで下げることを可能にし得る。その場合、ディスプレイは、安全な電流レベルに戻るまでこの変更された動作(ファン1電力を下げる)を維持し、その後に論理が再開する。
【0029】
しかし、ファン1への電力の低減でもディスプレイの消費電流がCmaxの下まで下がらず、Temp1の最高温度に達している場合には、システムはTemp2を測定し、Temp2の最高許容温度に達しているかどうか判定する。達していない場合には、電力を節約するためにファン2への電力が低減され得る。この電力の低減は、バックライトを低減することなく、ディスプレイのための電流レベルを安全なレベルまで下げることを可能にし得る。その場合、ディスプレイは、安全な電流レベルに戻るまでこの変更された動作(ファン1およびファン2の電力を下げる)を維持し、その後に論理が再開する。このプロセスは、任意の数のさらに別のファンおよび温度センサについて繰り返すことができる。
【0030】
しかし、ファンへの電力の低減によりディスプレイの消費電流がCmaxの下まで下がらず、Temp1およびTemp2の最高温度に達している場合には、ディスプレイはバックライトへの電力をランプ状にわずかに低減し得る。この場合もやはり、この低減は、画像が依然として可能な限り明るく表示されるように、可能な限り少なくすべきである。これらの設定は、ディスプレイの電流が安全なレベルに下がるまで維持され、その後に論理が再開し得る。
【0031】
図8に、図3に示したものと同様であるが、主要な例外として、ソフトウェアドライバ22と電気的に通信するさらに別のバックライトセンサ40および周辺光センサ41を有する実施形態を示す。バックライトセンサ40は、バックライトアセンブリから入ってくる光のレベルを判定するためにバックライトキャビティ内に配置され得る。周辺光センサ41は、どれ程の周辺光が前表示面に当たっているか判定するために前表示面の近くに配置され得る。これらの追加のセンサは、エネルギー節約を重要要因とする実施形態において使用され得る。
【0032】
図9に、図7のソフトウェアドライバ22によって実行され得る論理を示す。理解されるように、この論理は図4で示したものと同様であるが、主な相違点は、さらに別のバックライト論理を伴う。エネルギーを節約する実施形態では、Cmaxは、回路の過負荷状態に近い値として選択するのではなく、ディスプレイによる最大エネルギー消費の目標値でもよい。この場合、ディスプレイは、ディスプレイの温度に基づきCmaxの下方で適切に制御されているが、バックライトは、画像を大幅に劣化させることなく低減され得る。
【0033】
理想的には、周囲環境の光の量とバックライトキャビティで生成される光の量とを比較した値である好ましい光度比が決定され得る。ほとんどの用途では、バックライトの量は、ディスプレイが見えるように、周辺光の量よりも多いことが必要とされる。好ましくは、周辺光のバックライトに対する比(例えば、比=周辺光/バックライト)は1未満とすべきである。しかし、正確な比は、個々のディスプレイ、環境、および用途に応じて変化し得る。
【0034】
好ましい光度比が選択された後で、この比はソフトウェアドライバ22内に記憶され得る。光度比には許容範囲があり、もって、システムによって措置が講じられる前に、一定の公差を含んだ理想的な比が設定され、この公差内で測定比は、理想比から上方又は下方へずれる。次いでソフトウェアドライバ22は、光センサからデータを読み取り、現在の光度比を計算する。比が受け入れられる許容範囲外にある場合、システムは措置を講じる。比が低すぎる(すなわち、周辺光の量に対してバックライトが強すぎる)場合には、エネルギーを節約するためにバックライトが低減される。比が高すぎる場合には、必要なレベルの明るさを提供するためにバックライトが増大される。バックライトの低減も増大も、好ましくは、その変更が観測者にすぐに気付かれることのないように、ランプ状に、かつ/または漸次的に行われる。比が受け入れられる許容範囲内にある場合には、現在の設定が維持される。典型的には(最大の画像輝度のために)最大のバックライトが所望されるが、この追加の特徴は、システムが(特に薄暮または夜間の条件の間に)必要なバックライトの量を使用するだけで、最小限のレベルのエネルギー節約を維持することを可能にする。
【0035】
開示した実施形態の趣旨および範囲はLCDだけに限定されないことを理解すべきである。実施形態は、静的な広告用ディスプレイを含む、バックライトを使用する任意のディスプレイと併用され得る。さらに、本発明の実施形態は、まだ発見されていないものを含む他の種類のディスプレイとも併用され得る。本明細書で説明した実施形態は、屋外環境に最適であるが、ディスプレイの熱安定性が危険にさらされ得る室内用途(工場環境など)にも適し得る。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態を示し、説明したが、上記の発明に影響を及ぼし、しかも特許請求される発明の範囲内に含まれる多くの変形および改変が加えられ得ることを、当業者は理解するであろう。さらに、前述の要素の多くは、同じ結果をもたらし、特許請求される発明の趣旨内に該当する異なる要素によって変更され、または置換され得る。したがって本発明は特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ディスプレイの電力消費を制御するシステムであって、
ディスプレイバックライトと電気的に通信しているバックライト電源と、
ファンと電気的に通信しているファン電源と、
温度センサと、
ディスプレイ消費電流測定装置と、
前記バックライト電源、前記ファン電源、前記温度センサ及び前記ディスプレイ消費電流測定装置と電気的に通信しているソフトウェアドライバと、
を備えており、
前記ファンは、前記電子ディスプレイにおいて冷却が必要な領域を通るように冷却空気を引き込むよう配置されており、
前記温度センサは、前記領域に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ソフトウェアドライバは、前記バックライト電源と前記ファン電源とをランプ状に制御するために、前記温度センサと前記ディスプレイ消費電流測定装置とから情報を受信する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、更に、
前記ソフトウェアドライバと電気的に通信している周辺光センサと、
前記ソフトウェアドライバと電気的に通信しているバックライトセンサと、
を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ソフトウェアドライバは、前記バックライト電源と前記ファン電源とをランプ状に制御するために、前記温度センサと前記ディスプレイ消費電流測定装置と前記周辺光センサと前記バックライトセンサとから情報を受信する請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、更に、
第2のファンと電気的に通信している第2のファン電源と、
第2の温度センサと、
を備えており、
前記第2のファンは、前記ディスプレイにおいて冷却が必要な第2の領域を通るように冷却用空気を引き込むよう配置されており、
前記第2の温度センサは、前記第2の領域に配置されている請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ソフトウェアドライバは、前記バックライト電源と前記ファン電源と前記第2のファン電源とをランプ状に制御するために、前記温度センサと前記第2の温度センサと前記ディスプレイ消費電流測定装置とから情報を受信する請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムの電力消費を制御する方法であって、
最大電流値(Cmax)を選択する工程と、
最高温度値(Tmax)を選択する工程と、
前記システムの前記ディスプレイ消費電流測定装置を用いてディスプレイ消費電流を測定する工程と、
前記電子ディスプレイにおける冷却が必要な前記領域の温度を前記システムの前記温度センサを用いて測定する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度が前記最高温度値(Tmax)未満である場合に、前記システムの前記ファンに送られる電力を低減する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度が前記最高温度値(Tmax)以上である場合に、前記ディスプレイバックライトに送られる電力を低減する工程と、
を含む方法。
【請求項8】
前記方法は、更に、
前記ディスプレイ消費電流測定装置を用いて前記ディスプレイ消費電流を再測定する工程と、
冷却が必要な前記領域の前記温度を前記温度センサを用いて再測定する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度が前記最高温度値(Tmax)未満である場合に、前記ファンに送られる前記電力をさらに低減する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度が前記最高温度値(Tmax)以上である場合に、前記ディスプレイバックライトに送られる前記電力をさらに低減する工程と、
を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、更に、
前記ソフトウェアドライバと電気的に通信している周辺光センサを設ける工程と、
前記ソフトウェアドライバと電気的に通信しているバックライトセンサを設ける工程と、
バックライト輝度に対する周辺光輝度の所望の比を選択する工程と、
前記周辺光センサを用いて前記周辺光輝度を測定する工程と、
前記バックライトセンサを用いて前記バックライト輝度を測定する工程と、
前記周辺光センサ及び前記バックライトセンサによる測定によって得られた測定値を使用して、前記バックライト輝度に対する前記周辺光輝度の現在の比を計算する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)未満であるとともに前記現在の比が前記所望の比未満である場合に、前記バックライトへの前記電力を低減する工程と、
を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、更に、
前記周辺光センサを用いて前記周辺光輝度を再測定する工程と、
前記バックライトセンサを用いて前記バックライト輝度を再測定する工程と、
前記周辺光センサ及び前記バックライトセンサによる測定によって得られた再測定値を使用して、前記バックライト輝度に対する前記周辺光輝度の新たな現在の比を計算する工程と、
前記現在の比が依然として前記所望の比未満である場合に、前記バックライトへの前記電力をさらに低減する工程と、
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムの電力消費を制御する方法であって、
最大電流値(Cmax)を選択する工程と、
最高温度値(Tmax)を選択する工程と、
前記システムの前記ディスプレイ消費電流測定装置を用いてディスプレイ消費電流を測定する工程と、
前記電子ディスプレイにおける冷却が必要な前記領域の温度を前記システムの前記温度センサを用いて測定する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度が前記最高温度値(Tmax)未満である場合に、電流測定値が前記最高温度値(Cmax)未満になるまで前記ファンに送られる電力をランプ状に低減する工程と、
を含む方法。
【請求項12】
前記方法は、更に、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度が前記最高温度値(Tmax)以上である場合に、前記電流測定値が前記最大電流値(Cmax)未満になるまでディスプレイバックライトに送られる電力をランプ状に低減する工程と、
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、更に、
前記ソフトウェアドライバと電気的に通信している周辺光センサを設ける工程と、
前記ソフトウェアドライバと電気的に通信しているバックライトセンサを設ける工程と、
バックライト輝度に対する周辺光輝度の比の許容範囲を選択する工程と、
前記周辺光センサを用いて前記周辺光輝度を測定する工程と、
前記バックライトセンサを用いて前記バックライト輝度を測定する工程と、
前記周辺光センサ及び前記バックライトセンサによる測定によって得られた測定値を使用して、前記バックライト輝度に対する前記周辺光輝度の現在の比を計算する工程と、
前記ディスプレイ消費電流が前記最大電流値(Cmax)未満であるとともに前記現在の比が前記許容範囲未満である場合に、前記現在の比が前記許容範囲内に収まるまで前記ディスプレイバックライトへの前記電力をランプ状に低減する工程と、
をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ディスプレイの電力消費を制御する方法であって、
前記ディスプレイは、バックライトと、冷却が必要な前記ディスプレイの領域内に配置されたファンとを有しており、
前記方法は、
最大電流値(Cmax)を選択する工程と、
最高温度値(Tmax)を選択する工程と、
ディスプレイ消費電流を測定する工程と、
冷却が必要な前記領域の温度を測定する工程と、
ディスプレイ消費電流測定値が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに温度測定値が前記最高温度値(Tmax)未満である場合に、前記ファンに送られる電力を低減する工程と、
前記ディスプレイ消費電流測定値が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度測定値が前記最高温度値(Tmax)以上である場合に、前記ディスプレイの前記バックライトに送られる電力を低減する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記方法は、更に、
前記ディスプレイ消費電流を再測定する工程と、
冷却が必要な前記領域の前記温度を再測定する工程と、
前記ディスプレイ消費電流測定値が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度測定値が前記最高温度値(Tmax)未満である場合に、前記ファンに送られる前記電力をさらに低減する工程と、
前記ディスプレイ消費電流測定値が前記最大電流値(Cmax)以上であるとともに前記温度測定値が前記最高温度値(Tmax)以上である場合に、前記ディスプレイの前記バックライトに送られる前記電力をさらに低減する工程と、
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、更に、
バックライト輝度に対する周辺光輝度についての所望の比を選択する工程と、
前記周辺光輝度を測定する工程と、
前記バックライト輝度を測定する工程と、
周辺光輝度測定値およびバックライト輝度測定値を使用して、現在の光度比を計算する工程と、
前記ディスプレイ消費電流測定値が前記最大電流値(Cmax)未満であるとともに前記現在の光度比が前記所望の比未満である場合に、前記バックライトへの前記電力を低減する工程と、
含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、更に、
バックライト輝度に対する周辺光輝度の比の許容範囲を選択する工程と、
前記周辺光輝度を測定する工程と、
前記バックライト輝度を測定する工程と、
周辺光輝度測定値およびバックライト輝度測定値を使用して、現在の光度比を計算する工程と、
前記ディスプレイ消費電流測定値が前記最大電流値(Cmax)未満であるとともに前記現在の光度比が前記許容範囲未満である場合に、前記現在の比が前記許容範囲内に収まるまで前記バックライトへの前記電力をランプ状に低減する工程と、
を含む請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−518816(P2012−518816A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552126(P2011−552126)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/025213
【国際公開番号】WO2010/099187
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(510135614)マニュファクチャリング・リソーシズ・インターナショナル・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】