説明

消雪用ブロックの連結構造

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送水管と散水ノズルとをブロックで一体化し、このブロックを道路や駐車場などに敷設する消雪用ブロックの連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の消雪用ブロックとして種々の消雪用ブロックが提案されており、例えば、特公平6−89537号公報、特開平10−306416号公報などに提案される消雪用ブロックは、送水管と、この送水管から分岐して接続された散水ノズルとをブロックに埋設し、このようにユニット化したブロックを道路などに敷設して隣接ブロックの送水管を連結管で連結している。また、ブロックは、その一端にL型に切り欠いた載置受部を形成するとともに、ブロックの他端側に逆L型に切り欠いた抉部を形成し、ブロックの敷設作業時に載置受部と抉部とを嵌合させて隣接する各ブロックを相互に連結するように構成している。すなわち、特公平6−89537号公報、特開平10−306416号公報などに開示される消雪用ブロックは、ブロックの左右両側面に載置受部と抉部を形成し、これらの係合によって隣接するブロックを相互に連結することから、ブロックを敷設する際、隣接する一方の載置受部に他方の抉部を嵌め合わせるようにブロックを一定方向に揃えて並べる必要があり、ブロックを敷設する際、ブロックの方向を確認するといった煩わし手間がかかる。また、ブロックの敷設方向を間違えた場合、重いブロックを吊り上げて左右方向に反転させる必要があるため、ブロックの敷設作業が非効率的であった。
【0003】
また、特公平7−91817号公報や特公平6−3854号公報などには、ブロックの左右両側面が平坦的に形成された消雪用ブロックが提案されているが、この消雪用ブロックは、平坦に形成されたブロックの左右両側面から送水管の接続部が突出する構造であるため、ブロックを敷設する際などにおいて、ブロックから突出するブロックが路面などに衝突し、送水管が変形する虞れがある。このため、敷設作業時などにおいて送水管の接続部が変形した場合、ブロック内の送水管を連結管で連結することが困難となる。
【0004】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、消雪用ブロックの施工作業を能率化するととも、作業時においてブロック内の送水管の変形を防止することができる消雪用ブロックを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1における消雪用ブロックの連結構造は、送水管と、該送水管から分岐して接続した複数の消雪ノズルとを埋設して一体化したブロックを設け、このブロックの両側に前記送水管の接続部を露出させ、この接続部を連結管によって連結して隣接する各ロックの送水管を連通する消雪用ブロックの連結構造において、前記ブロックは、断面形状をほぼ台形とし、前記ブロックの左右両側面の平坦面に凹部を形成し、この凹部の内側にそれぞれ同じ外径に形成した前記送水管の接続部を設け、前記接続部は、前記ブロックの平坦面に形成する凹部の内側に臨んで外部に露出し、前記ブロックの平坦面から該接続部が突出しないようになっており、前記連結管は、前記接続部の外周面に嵌合し、かつ該接続部及び前記送水管の内径と同じ内径を有する中空筒状に形成し、この連結管の内面中央部に前記接続部の端部を突き当てる環状のストッパ部を突設するとともに、連結管の内周面に凹溝を形成し、この凹溝内に前記接続部の外周面に押接する環状のパッキン部材を設け、前記接続管の先端側外周縁と前記連結管の両端内周面にはそれぞれテーパ面を形成したものである。
【0006】
上記構成により、ブロックに埋設する送水管の接続管がブロックの端面に形成する凹部の内側に位置することから、ブロックの運搬時や施工時などにおける接続管と他の部材などに衝突による接続管の変形を防止することが可能である。また、ブロックを敷設する際、ブロックを一方向に並べる必要はなく、左右いずれの方向にブロックを並べたとしても隣接する各ブロックの送水管を連結管によって連結することができ、また、これにより、隣接するブロックの一方の送水管に連結管を嵌め入れ、この連結管に他方ブロックの送水管を挿入すると、連結管のストッパ部に各送水管が突き当たって各送水管が連通する。この時、連結管の内周面に装着したパッキン部材が接続部の外周に密接して送水管と連結管とが水密状態を保った状態で連結される。
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施例について、図1〜図3を参照しながら説明する。同図において1はコンクリート製のブロックであり、このブロック1には長手方向に沿って図示しない揚水ポンプに接続された送水管2が埋設され、この送水管1に所定間隔毎に複数の消雪ノズル4が分岐接続されている。この消雪ノズル4は、上面に複数の散水孔4Aを有し、その散水孔4Aから揚水ポンプから送水された水を噴射させて路面R上の融雪を行う従来から周知の構造である。また、前記ブロック1は、断面形状をほぼ台形とし、その左右両側面を平坦面1Aとしている。そして、路面Rに掘削した溝R1に前記ブロック1の平坦面1Aに対向させるようにして直列に並べて複数のブロック1を敷設し、隣接する各ブロック1,1の間に介在する連結管5によって各ブロック1,1の前記送水管2を連結している。前記ブロック1に埋設された送水管2の両端部には前記連結管5との接続部となる中空状の接続管10が一体的に固定されている。この接続管10は、前記ブロック1の平坦面1Aに形成する凹部7の内側に臨んで外部に露出し、ブロック1の平坦面1Aから接続管10が突出しないようになっている。また、接続管10は前記接続管10の外周面と嵌合する径大部10Aと、前記送水管2の内径と同径の筒状部10Bとからなり、径大部10Aと筒状部10Bとの間に形成する段差部11を送水管2の端部に突き当てることによってそれぞれ同径に形成した送水管2と接続管10の筒状部10Bとが連続する。また、前記連結管5は、前記送水管2及び前記接続管10の筒状部10Bの内径と同じ内径を有する中空状に形成し、その内周面中央部に前記接続管10の端面に突き当てる環状のストッパ部15が一体形成されている。また、ストッパ部15を介して連結管5の内周面にパッキン材となる弾性ゴムなどからなるOリング16を嵌め入れる凹溝17が形成されている。また、前記接続管10の先端側外周縁と前記連結管5の両端内周面にはそれぞれテーパ面20,21が形成されている。
【0010】
以上のように構成される本実施例の施工方法について説明する。まず、路面Rにブロック1より幅広な溝R1を掘削し、その溝R1にブロック1を敷設する。この際、ブロック1の上面を路面Rの表面と同一面状に配置する。そして、隣接するブロック1の送水管2を連結管5によって連結して順次、溝R1内にブロック1を設置して各ブロック1の送水管2を相互に連結する。このとき、先に敷設する一方のブロック1内の送水管2に固定された接続管10に連結管5を嵌め入れ、この連結管5に後から敷設するブロック1内の送水管2を接続する。すなわち、図2に示すように、最初に敷設するブロック1の接続管10に連結管5の一端開口部を挿入し、この後、連結するブロック1の送水管2を連結管5に挿入することによって隣接する各ブロック1,1の送水管2が連結管5によって連結され、以後、同様な手順でブロック1の送水管2を連結管5によって相互に連結する。この連結管5と接続管10との接続時において、接続管10と連結管5の双方には誘い込み用のテーパ面20,21が形成されているから、各テーパ面20,21により、接続管10と連結管5とが円滑に案内される。そして、このように、連結管5を介在して左右に隣接するブロック1の送水管2を連結すると、連結管5のストッパ部15に各接続管10の端部が突き当たるとともに、連結管5の内周面に装着するOリング16が接続管10の外周に密接して連結管5と各接続管10とが水密状態を保った状態で連結される。このように連結管5によって各ブロック1の送水管2を連通させた後、溝R1とブロック1との隙間に砂や砂利を詰め、最終的に砂や砂利の上面を舗装する。そして、揚水ポンプ(図示しない)からブロック10の送水管11に送水することによって、散水ノズル4の散水孔4Aから水を噴射して周囲の雪を融雪する。
【0011】
以上のように本実施例では、ブロック1に埋設する送水管2の接続管10をブロック1の端面に形成する凹部7に臨ませて配置することによってブロック1から送水管2が突出しないため、ブロック1の運搬時や施工時などにおいて、送水管2の接続管10が路面Rあるいは他の部材などに衝突しないため、接続管10の損傷を防止することができる。また、送水管1を埋設するブロック1は、左右両側面に平坦面1Aを形成して左右対称な形状に形成されるとともに、ブロック1の左右両側面に形成する送水管2をそれぞれ同径に形成することによって、ブロック1を敷設する際、方向性がないため、施工時にブロック1や連結管5の組み付け方向を確認する必要がなく、施工作業を簡略化することができる。特に、この種のブロック1は重く、溝R1内に敷設する際、方向性がある従来のブロックでは組み付け方向を間違えると、ブロック1を引き上げて左右方向に反転させる必要があるが、本実施例のブロック1は、こうした煩雑な作業が不要であるため、能率的な作業を行うことができる。また、連結管5によって隣接するブロック1を連結する際、送水管2の接続管10と連結管5の双方に誘い込み用のテーパ面20,21を形成することによって、送水管2と連結管5との接続作業も容易である。すなわち、本実施例では、送水管2の接続管10がブロック1に形成する凹部7の内部に形成することから、接続管10と連結管5との接続状態が直接的に目視しずらいが、接続管10と連結管5にテーパ面20,21を形成することによって、これら接続管10と連結管5の接続作業も容易である。また、接続管10と連結管5との間に介在するOリング16によって接続管10と連結管5とを水密状態を保った状態で連結することができる。また、本実施例では、ブロック1内に埋設した送水管2と接続管10及び連結管5の内径が同一であり、送水管2と接続管10及び連結管5の内周面が連続し、これらの管路内を流れる水の抵抗も少なくなるため、水の流もスムーズとなる。
【0012】
以上のように、本実施例では、路面Rにブロック1を敷設する際、ブロック1は左右の方向性がなく、左右、何れの方向に設置しても連結管5によって隣接各ブロック1の送水管2を接続することができるので施工作業が簡単に行えるとともに、ブロック1の端面に形成する凹部7に送水管2の接続管10を配置することによって、ブロック1から送水管2を突出せず、ブロック1の敷設作業時などにおいて接続管10が他の部材との衝突を回避して接続管10の変形を防止することができる。
【0013】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、ブロックの形状やブロックに形成する凹部の形状などは適宜選定すればよい。また、前記実施例では送水管の端部に接続管を固定した例を示したが、送水管の端部をブロックの左右両側面に形成する凹部の内側に位置させことによって接続管を省略してもよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明の請求項1における消雪用ブロックの連結構造によれば、送水管と、該送水管から分岐して接続した複数の消雪ノズルとを埋設して一体化したブロックを設け、このブロックの両側に前記送水管の接続部を露出させ、この接続部を連結管によって連結して隣接する各ブロックの送水管を連通する消雪用ブロックの連結構造において、前記ブロックは、断面形状をほぼ台形とし、前記ブロックの左右両側面の平坦面に凹部を形成し、この凹部の内側にそれぞれ同じ外径に形成した前記送水管の接続部を設け、前記接続部は、前記ブロックの平坦面に形成する凹部の内側に臨んで外部に露出し、前記ブロックの平坦面から該接続部が突出しないようになっており、前記連結管は前記接続部の外周面に嵌合し、かつ該接続部及び前記送水管の内径と同じ内径を有する中空筒状に形成し、この連結管の内面中央部に前記接続部の端部を突き当てる環状のストッパ部を突設するとともに、連結管の内周面に凹溝を形成し、この凹溝内に前記接続部の外周面に押接する環状のパッキン部材を設け、前記接続管の先端側外周縁と前記連結管の両端内周面にはそれぞれテーパ面を形成したものであるから、ブロックを敷設する際、ブロックの方向性に左右されることなく、連結管によって隣接する各ブロックの通水管を接続することができるとともに、連結管と連結する接続部の変形を防止することができ、また、送水管の接続を簡単に行えるとともに、送水管を水密に接続することができ、さらに、テーパ面を形成することによって、送水管と連結管との接続作業も容易であり、さらに加えて、ブロック内に埋設した送水管と接続部及び連結管の内径が同一であり、送水管と接続部及び連結管の内周面が連続し、これらの管路内を流れる水の抵抗も少なくなるため、水の流もスムーズとなる。
【0015】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す消雪用ブロックの断面図である。
【図2】同上消雪用ブロックの連結方法を示す断面図である。
【図3】同上路面に消雪用ブロックの敷設した状態を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【符号の説明】
1 ブロック
1A 平坦面
2 送水管
4 散水ノズル
5 連結管
7 凹部
10 接続管(接続部)
15 ストッパ部
16 Oリング(パッキン部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送水管と、該送水管から分岐して接続した複数の消雪ノズルとを埋設して一体化したブロックを設け、このブロックの両側に前記送水管の接続部を露出させ、この接続部を連結管によって連結して隣接する各ブロックの送水管を連通する消雪用ブロックの連結構造において、前記ブロックは、断面形状をほぼ台形とし、前記ブロックの左右両側面の平坦面に凹部を形成し、この凹部の内側にそれぞれ同じ外径に形成した前記送水管の接続部を設け、前記接続部は、前記ブロックの平坦面に形成する凹部の内側に臨んで外部に露出し、前記ブロックの平坦面から該接続部が突出しないようになっており、前記連結管は、前記接続部の外周面に嵌合し、かつ該接続部及び前記送水管の内径と同じ内径を有する中空筒状に形成し、この連結管の内面中央部に前記接続部の端部を突き当てる環状のストッパ部を突設するとともに、連結管の内周面に凹溝を形成し、この凹溝内に前記接続部の外周面に押接する環状のパッキン部材を設け、前記接続管の先端側外周縁と前記連結管の両端内周面にはそれぞれテーパ面を形成したことを特徴とする消雪用ブロックの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3567454号(P3567454)
【登録日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【発行日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−160151
【出願日】平成11年6月7日(1999.6.7)
【公開番号】特開2000−345527(P2000−345527A)
【公開日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【審査請求日】平成13年1月18日(2001.1.18)
【出願人】(000241809)北越消雪機械工業株式会社 (4)
【参考文献】
【文献】特開昭59−088510(JP,A)
【文献】実開昭60−169486(JP,U)
【文献】実開昭57−021888(JP,U)