消電波装置
【課題】 ハニカム構造体を使用しなくても筒状体内を通過する電磁波を遮蔽する。
【解決手段】 ダクト構造10では、ダクト12のチャンバー部22内で離間されて立設された一対の衝立電磁波吸収体26がチャンバー部22内を閉塞していないため、チャンバー部22内を空気が通過できる。また、一対の衝立電磁波吸収体26の延伸先端部分をダクト12内貫通方向において互いにオーバーラップさせると共に、チャンバー部22と送信側の一般部24との内周面にそれぞれ内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32を設けたため、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32がダクト12内を通過する電磁波を吸収できる。このため、ハニカム構造体を使用しなくても、ダクト12内を通過する電磁波を遮蔽できる。
【解決手段】 ダクト構造10では、ダクト12のチャンバー部22内で離間されて立設された一対の衝立電磁波吸収体26がチャンバー部22内を閉塞していないため、チャンバー部22内を空気が通過できる。また、一対の衝立電磁波吸収体26の延伸先端部分をダクト12内貫通方向において互いにオーバーラップさせると共に、チャンバー部22と送信側の一般部24との内周面にそれぞれ内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32を設けたため、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32がダクト12内を通過する電磁波を吸収できる。このため、ハニカム構造体を使用しなくても、ダクト12内を通過する電磁波を遮蔽できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体内を通過する電磁波(電波)を遮蔽(シールド)する消電波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消電波装置としては、ダクト内にハニカム構造体(シールドハニカム)を設けることで、ハニカム構造体によってダクト内を通過する電磁波を遮蔽するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この消電波装置では、ハニカム構造体を使用するため、コストが高くなる。
【0004】
さらに、ダクトが貫通される電磁遮蔽壁(シールド壁)の電磁遮蔽層にハニカム構造体を導通させる必要がある。このため、コストが一層高くなると共に、ダクトの挙動や地震の衝撃等により電磁遮蔽層とハニカム構造体との導通部分が破損することが懸念される。
【0005】
また、特に遮蔽する電磁波の周波数が高く(波長が短く)なると、電磁波遮蔽性能を低下させないためにハニカム構造体の目を細かく(孔径を小さく)する必要がある。このため、ダクト内を空気が通過しづらくなるのみならず、ハニカム構造体が目詰まりを起こし易くなって一層ダクト内を空気が通過しづらくなる。しかも、ハニカム構造体を空気が通過することにより風切り音が発生する。
【0006】
さらに、ハニカム構造体に対して目詰まり防止のための掃除等のメンテナンスが必要である。このため、ハニカム構造体をダクト外からメンテナンス可能にする開閉口を設けたり、ハニカム構造体をダクト外へ取り外し可能にする取外機構を設ける必要があり、コストが一層高くなる。
【特許文献1】特開平10−274360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、従来のハニカム構造体を使用しなくても筒状体内を通過する電磁波を遮蔽できる消電波装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の消電波装置は、筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、それぞれ前記筒状体内に前記筒状体内を閉塞しない状態で堰状に設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、互いに前記筒状体軸方向において離間されて前記筒状体内を通過する気体が蛇行する配置にされた複数の第1電磁波吸収体と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の消電波装置は、請求項1に記載の消電波装置において、前記複数の第1電磁波吸収体は、前記筒状体内の前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が少なくとも1つに入射する配置にされた、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の消電波装置は、請求項1又は請求項2に記載の消電波装置において、前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第2電磁波吸収体を備えた、ことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の消電波装置は、請求項3に記載の消電波装置において、前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には前記第2電磁波吸収体を設けた、ことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の消電波装置は、請求項3又は請求項4に記載の消電波装置において、前記第2電磁波吸収体を、前記複数の第1電磁波吸収体が設けられる前記筒状体の装置本体と、前記装置本体よりも電磁波送信側の前記筒状体と、に設けた、ことを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の消電波装置は、軸方向において曲がった筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、前記筒状体の曲がり部分内に前記筒状体内を閉塞しない状態で設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った電磁波が入射する配置にされた第3電磁波吸収体と、を備えている。
【0014】
請求項7に記載の消電波装置は、請求項6に記載の消電波装置において、前記第3電磁波吸収体は、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が入射する配置にされた、ことを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の消電波装置は、請求項6又は請求項7に記載の消電波装置において、前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を備えた、ことを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の消電波装置は、請求項8に記載の消電波装置において、前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の消電波装置は、請求項6又は請求項7に記載の消電波装置において、前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を設けた、ことを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の消電波装置は、請求項10に記載の消電波装置において、前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の消電波装置では、複数の第1電磁波吸収体が、それぞれ筒状体内に筒状体内を閉塞しない状態で堰状に設けられると共に、互いに筒状体軸方向において離間されている。このため、筒状体内を気体が複数の第1電磁波吸収体によって蛇行されつつ通過することができる。
【0020】
ここで、複数の第1電磁波吸収体がそれぞれ電磁波を吸収可能にされているため、筒状体内を通過する電磁波を遮蔽することができる。このため、従来のハニカム構造体を使用する必要をなくすことができる。
【0021】
請求項2に記載の消電波装置では、筒状体内の筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が複数の第1電磁波吸収体の少なくとも1つに入射する。このため、筒状体内を通過する電磁波を効果的に遮蔽することができる。
【0022】
請求項3に記載の消電波装置では、電磁波を吸収可能にされた第2電磁波吸収体が筒状体の内周面に設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第2電磁波吸収体が吸収することができ、筒状体内を通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0023】
請求項4に記載の消電波装置では、筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には、第2電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第2電磁波吸収体によって効果的に吸収することができ、筒状体内を通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0024】
請求項5に記載の消電波装置では、複数の第1電磁波吸収体が設けられる筒状体の装置本体と、装置本体よりも電磁波送信側の筒状体と、に第2電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内を通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0025】
請求項6に記載の消電波装置では、筒状体が軸方向において曲がっており、第3電磁波吸収体が筒状体内に筒状体内を閉塞しない状態で設けられている。このため、筒状体内を気体が通過することができる。
【0026】
ここで、第3電磁波吸収体が電磁波を吸収可能にされると共に、筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう筒状体軸方向に沿った電磁波が第3電磁波吸収体に入射するため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を遮蔽することができる。このため、従来のハニカム構造体を使用する必要をなくすことができる。
【0027】
請求項7に記載の消電波装置では、筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が第3電磁波吸収体に入射する。このため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を効果的に遮蔽することができる。
【0028】
請求項8に記載の消電波装置では、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体が筒状体の内周面に設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第4電磁波吸収体が吸収することができ、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0029】
請求項9に記載の消電波装置では、筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に第4電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0030】
請求項10に記載の消電波装置では、筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第4電磁波吸収体によって効果的に吸収することができ、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0031】
請求項11に記載の消電波装置では、筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に第4電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1には、本発明の消電波装置が適用されて構成された実施の形態に係るダクト構造10が横断面図にて示されている。
【0033】
本実施の形態に係るダクト構造10は、筒状体及び反射部としての金属製で曲がっていない矩形筒状のダクト12を備えており、ダクト12は、内部に気体としての温度が調整された空気を通過させるための空調ダクトにされている。また、ダクト12内には、送信側から受信側へ電磁波(電波)が通過される。ここで、「送信側」とは、消したい電磁波がダクト12内に入ってくる側をいい、「受信側」とは、送信側の反対側をいう。
【0034】
ダクト12の外周全体は、保温材14(断熱材)に被覆されており、保温材14によってダクト12内を通過される空気の温度が維持される。保温材14を含むダクト12は、電磁波遮蔽壁16の貫通孔18を貫通されており、電磁波遮蔽壁16の受信側面に設けられた電磁波遮蔽層20は、ダクト12に導通(電気的に接続)されている。これにより、ダクト12と電磁波遮蔽壁16との隙間を電磁波が通過することが防止されている。
【0035】
ダクト12には、電磁波遮蔽壁16よりも受信側において、装置本体としてのチャンバー部22が設けられており、チャンバー部22は、ダクト12の他の部分(以下「一般部24」という)よりも上下方向及び左右方向において大きくされて、ダクト12の一般部24から上下方向両側及び左右方向両側に突出している。
【0036】
チャンバー部22内には、第1電磁波吸収体としての矩形板状の衝立電磁波吸収体26が2つ設けられており、2つの衝立電磁波吸収体26は、ダクト12軸方向(内部の軸方向)において所定距離互いに離間された状態で堰状に配置されている。一方の衝立電磁波吸収体26は、チャンバー部22内の一側面から垂直に延伸されて、チャンバー部22内の一側面、上面及び下面に隙間なく固定されており、一方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面をチャンバー部22内の他側面から離間されて、チャンバー部22内を閉塞していない。他方の衝立電磁波吸収体26は、チャンバー部22内の他側面から垂直に延伸されて、チャンバー部22内の他側面、上面及び下面に隙間なく固定されており、他方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面をチャンバー部22内の一側面から離間されて、チャンバー部22内を閉塞していない。2つの衝立電磁波吸収体26は、それぞれの延伸先端部分がダクト12軸方向において互いにオーバーラップされており(それぞれの延伸先端面がダクト12軸方向において互いに完全に一致配置されてもよい)、2つの衝立電磁波吸収体26は、合わせて、チャンバー部22軸方向(ダクト12軸方向)の全体と交差されている(チャンバー部22の軸方向から見てチャンバー部22内を閉じる状態にされている)。また、各衝立電磁波吸収体26の受信側面全体には、反射部としての金属製の反射層28が固定されており、各反射層28はダクト12に導通されている。
【0037】
チャンバー部22内には、第2電磁波吸収体としての矩形板状の内周電磁波吸収体30が5つ設けられており、内周電磁波吸収体30は、チャンバー部22内の下面(上面でもよい)の各衝立電磁波吸収体26配置部分を除く全体と、チャンバー部22内の両側面の衝立電磁波吸収体26よりも送信側全体及び受信側全体と、に固定されている。
【0038】
ダクト12の送信側の一般部24内には、第2電磁波吸収体としての矩形板状の延長電磁波吸収体32が2つ設けられており、延長電磁波吸収体32は、チャンバー部22からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、一般部24内の下面(上面でもよい)と一方の側面との幅方向全体に固定されている。
【0039】
上記衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32は、カーボン含有ウレタン発泡材にされて、電磁波を吸収可能にされると共に、吸音材として機能することもできる。
【0040】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0041】
以上の構成のダクト構造10では、ダクト12のチャンバー部22内で軸方向において所定距離離間されて立設された2つの衝立電磁波吸収体26が、それぞれチャンバー部22内を閉塞していない。このため、ダクト12のチャンバー部22内を空気が2つの衝立電磁波吸収体26によって蛇行されつつ通過することができる。
【0042】
さらに、2つの衝立電磁波吸収体26が、それぞれ電磁波を吸収可能にされている。このため、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、2つの衝立電磁波吸収体26が吸収して遮蔽することができ、当該電磁波がダクト12内を経て送信側から受信側へ漏洩することを防止できる。
【0043】
また、2つの衝立電磁波吸収体26が、それぞれの延伸先端部分をダクト12軸方向において互いにオーバーラップされて、チャンバー部22軸方向の全体と交差されている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿った(ダクト12軸方向と平行な)全ての電磁波が、2つの衝立電磁波吸収体26の少なくとも1つに入射する。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、2つの衝立電磁波吸収体26が効果的に吸収して遮蔽することができる。
【0044】
さらに、ダクト12のチャンバー部22と送信側の一般部24との内周面に、それぞれ電磁波を吸収可能にされた内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない(ダクト12軸方向と非平行な)電磁波を内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32が吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0045】
しかも、ダクト12の互いに対向する内周面の少なくとも一方(対向しない内周面の両方)には(一方の側面及び下面に)、内周電磁波吸収体30又は延長電磁波吸収体32が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない電磁波を内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32によって効果的に吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0046】
また、衝立電磁波吸収体26の受信側面に設けられた金属製の反射層28が、衝立電磁波吸収体26に入射した電磁波を反射するため、衝立電磁波吸収体26は、入射した電磁波のみならず反射層28に反射された電磁波をも吸収することができる。しかも、内周電磁波吸収体30又は延長電磁波吸収体32に入射した電磁波は、金属製のダクト12に反射されるため、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32は、入射した電磁波のみならずダクト12に反射された電磁波をも吸収することができる。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を効果的に遮蔽することができる。
【0047】
以上の如く、本実施の形態に係るダクト12では、ダクト12内を通過する電磁波を遮蔽するために、従来のハニカム構造体に代えて、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32を使用している。これにより、コストを低減することができる。
【0048】
さらに、従来のハニカム構造体と異なり、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32を電磁波遮蔽壁16の電磁波遮蔽層20に導通させる必要がない。このため、コストを一層低減することができると共に、電磁波遮蔽構造が破損することを防止できる。
【0049】
また、電磁波をその周波数に拘らず広帯域で遮蔽することができる。このため、高い周波数の電磁波を遮蔽するためには目を細かくする必要がある従来のハニカム構造体と異なり、ダクト12内を空気が通過しづらくなることを抑制できると共に、ダクト12内を通過する空気による風切り音の発生も抑制できる。
【0050】
さらに、目詰まり防止等のためのメンテナンスが必要な従来のハニカム構造体と異なり、メンテナンスを不要にでき、かつ、メンテナンス用の機構を設ける必要がなくてコストを一層低減することができる。
【0051】
さらにまた、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32は吸音材として機能するため、ダクト12内を通過する音を遮蔽することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を2つ設けた構成としたが、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を3つ以上設けた構成としてもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態では、本発明の第1電磁波吸収体を衝立電磁波吸収体26にした構成としたが、本発明の第1電磁波吸収体は堰状の電磁波吸収体であればよい。
【0054】
また、本実施の形態において、ダクト12の衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよい。これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0055】
(第1変形例)
図2(A)には、本発明の消電波装置が適用されて構成された第1変形例に係るダクト構造100が斜視図にて示されている。
【0056】
本変形例に係るダクト構造100では、ダクト12が軸方向において曲がった(L字状に屈曲した)矩形筒状にされている。
【0057】
ダクト12内には、曲がり部分及び受信側部分において、第3電磁波吸収体及び第4電磁波吸収体としての矩形板状の対向電磁波吸収体102が設けられており、対向電磁波吸収体102は、ダクト12の曲がり部分からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の送信側部分に対向する側面の幅方向全体に固定されている。
【0058】
ダクト12内には、曲がり部分、受信側部分及び送信側部分において、第4電磁波吸収体としての矩形板状の周辺電磁波吸収体104が設けられている。ダクト12内の曲がり部分及び受信側部分の周辺電磁波吸収体104は、ダクト12の曲がり部分からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、対向電磁波吸収体102配置部分を除くダクト12内の下面(上面でもよい)の幅方向全体に固定されている。ダクト12内の曲がり部分及び送信側部分の周辺電磁波吸収体104は、ダクト12の曲がり部分からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の受信側部分に対向する側面及び下面(上面でもよい)の幅方向全体に固定されている。
【0059】
上記対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104は、カーボン含有ウレタン発泡材にされて、電磁波を吸収可能にされると共に、吸音材として機能することもできる。
【0060】
次に、本変形例の作用を説明する。
【0061】
以上の構成のダクト構造100では、ダクト12内の対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が、それぞれダクト12内を閉塞していない。このため、ダクト12内を空気が通過することができる。
【0062】
さらに、対向電磁波吸収体102が、電磁波を吸収可能にされると共に、ダクト12内の送信側部分に対向している。このため、ダクト12の送信側部分内のダクト12軸方向に沿った(ダクト12軸方向と平行な)電磁波が、対向電磁波吸収体102に入射する。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、対向電磁波吸収体102が吸収して遮蔽することができ、当該電磁波がダクト12内を経て送信側から受信側へ漏洩することを防止できる。
【0063】
また、対向電磁波吸収体102が、ダクト12の送信側部分内全体に対向している。このため、ダクト12の送信側部分内のダクト12軸方向に沿った全ての電磁波が、対向電磁波吸収体102に入射する。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、対向電磁波吸収体102が効果的に吸収して遮蔽することができる。
【0064】
さらに、ダクト12の送信側部分及び受信側部分の内周面に、対向電磁波吸収体102以外に電磁波を吸収可能にされた周辺電磁波吸収体104が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない(ダクト12軸方向と非平行な)電磁波を対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0065】
しかも、ダクト12の互いに対向する内周面の少なくとも一方(対向しない内周面の両方)には(一方の側面及び下面に)、対向電磁波吸収体102又は周辺電磁波吸収体104が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない電磁波を対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104によって効果的に吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0066】
以上により、本変形例でも、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
なお、本変形例において、ダクト12の対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよい。これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0068】
また、本変形例では、ダクト12内に対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が設けた構成としたが、図2(B)に示す本変形例の別例に係るダクト構造150(消電波装置)の如く、対向電磁波吸収体102のダクト12内送信側部分に対向しない部分及び周辺電磁波吸収体104を省略して、対向電磁波吸収体102のダクト12内送信側部分に対向する部分(第3電磁波吸収体)のみをダクト12内に設けた構成としてもよい。
【0069】
(第2変形例)
図3(A)には、本発明の消電波装置が適用されて構成された第2変形例に係るダクト構造200が斜視図にて示されている。
【0070】
本変形例に係るダクト構造200では、ダクト12が曲がっていない円筒状にされている。
【0071】
ダクト12内には、上記実施の形態と同様に構成された衝立電磁波吸収体26が2つ設けられており、2つの衝立電磁波吸収体26は、それぞれ略半円板状にされて、ダクト12軸方向において所定距離互いに離間された状態で堰状に配置されている。一方の衝立電磁波吸収体26は、ダクト12内の一側周面から垂直に延伸されて、ダクト12内の周面に隙間なく固定されており、一方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面(端平面)をチャンバー部22内の他側周面から離間されて、ダクト12内を閉塞していない。他方の衝立電磁波吸収体26は、ダクト12内の他側周面から垂直に延伸されて、ダクト12内の周面に隙間なく固定されており、他方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面(端平面)をダクト12内の一側周面から離間されて、チャンバー部22内を閉塞していない。2つの衝立電磁波吸収体26は、それぞれの延伸先端部分がダクト12軸方向において互いにオーバーラップされており(それぞれの延伸先端面がダクト12軸方向において互いに完全に一致配置されてもよい)、2つの衝立電磁波吸収体26は、合わせて、ダクト12軸方向の全体と交差されている(ダクト12の軸方向から見てダクト12内を閉じる状態にされている)。また、各衝立電磁波吸収体26の受信側面全体には、上記実施の形態と同様に構成された反射層28が固定されており、各反射層28はダクト12に導通されている。
【0072】
ダクト12内には、上記実施の形態と同様に構成された内周電磁波吸収体30が設けられており、内周電磁波吸収体30は円筒状にされている。内周電磁波吸収体30は、ダクト12の2つの衝立電磁波吸収体26配置部分の軸方向両側を含むダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の周面の各衝立電磁波吸収体26配置部分を除く全体に固定されている。
【0073】
ここで、本変形例でも、上記実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0074】
なお、本変形例では、内周電磁波吸収体30をダクト12内周面の周方向全体に設けた構成としたが、内周電磁波吸収体30をダクト12内周面の周方向半分に設けた構成としてもよい。この場合、ダクト12の衝立電磁波吸収体26及び内周電磁波吸収体30が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよく、これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0075】
また、本変形例では、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を2つ設けた構成としたが、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を3つ以上設けた構成としてもよい。
【0076】
さらに、本変形例では、本発明の第1電磁波吸収体を衝立電磁波吸収体26にした構成としたが、本発明の第1電磁波吸収体は堰状の電磁波吸収体であればよい。
【0077】
(第3変形例)
図3(B)には、本発明の消電波装置が適用されて構成された第3変形例に係るダクト構造300が斜視図にて示されている。
【0078】
本変形例に係るダクト構造300では、ダクト12が曲がった(湾曲した)円筒状にされている。
【0079】
ダクト12内には、上記第1変形例と同様に構成された対向電磁波吸収体102が設けられており、対向電磁波吸収体102は曲がった円筒状にされている。対向電磁波吸収体102は、ダクト12の曲がり部分の軸方向両側を含むダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の周面全体に固定されている。
【0080】
ここで、本変形例でも、上記第1変形例と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0081】
なお、本変形例では、対向電磁波吸収体102をダクト12内周面の周方向全体に設けた構成としたが、対向電磁波吸収体102をダクト12内周面の周方向半分(ダクト12の曲がり部分よりも送信側部分内に対向する部分全体を含む)に設けた構成としてもよい。この場合、ダクト12の対向電磁波吸収体102が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよく、これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0082】
(第1実験例)
本実験例では、図4(A)に横断面図で示すダクト構造50(消電波装置)、及び、図5(A)に横断面図で示すダクト構造60(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能(電磁波遮蔽性能)を、比較した。
【0083】
ダクト構造50及びダクト構造60では、上記実施の形態に係るダクト構造10と同様のダクト12を備えている。ダクト12のチャンバー部22は、ダクト12軸方向の長さが850mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さが530mmにされている。ダクト12の一般部24は、幅方向の長さが310mmにされると共に、高さ方向の長さが230mmにされている。受信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが350mmにされると共に、送信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが1050mm(図5(A)の如く延長電磁波吸収体32が設けられない場合には350mm)にされている。
【0084】
ダクト構造50及びダクト構造60は、上記実施の形態に係るダクト構造10と、以下の点で異なる。
【0085】
ダクト構造50及びダクト構造60では、送信側の衝立電磁波吸収体26の送信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30及び受信側の衝立電磁波吸収体26の受信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30は設けられていない。
【0086】
ダクト構造50及びダクト構造60では、各衝立電磁波吸収体26の肉厚及び横方向長さがそれぞれ75mm及び275mmにされている。また、チャンバー部22内両側面の各内周電磁波吸収体30の肉厚及び横方向長さはそれぞれ75mm及び550mmにされると共に、チャンバー部22内下面の内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。
【0087】
ダクト構造50では、各延長電磁波吸収体32の肉厚及びダクト12軸方向長さが、それぞれ25mm及び1000mmにされている。また、ダクト構造60では、ダクト12内に延長電磁波吸収体32が設けられていない。
【0088】
図4(B)及び図5(B)には、それぞれ本実験例のダクト構造50及びダクト構造60についての実験結果が示されている。
【0089】
図4(B)及び図5(B)における「周波数」は、ダクト12内へ送信された電磁波の周波数である(以下の実験例でも同様)。
【0090】
図4(B)及び図5(B)における「電磁シールド性能」は、同一の電磁波をダクト12内へ送信側から送信する条件の下で、電磁波吸収体(衝立電磁波吸収体26(反射層28を含む)、内周電磁波吸収体30、延長電磁波吸収体32)が全て取り除かれたダクト12の受信側で受信された電磁波の強度から、実験対象のダクト12の受信側で受信された電磁波の強度を、減じた数値である(以下の実験例でも同様)。
【0091】
図4(B)及び図5(B)における「LH」、「LV」、「HH」、「HV」は、それぞれ、ダクト12内へログペリアンテナの水平偏波が送信された場合、ダクト12内へログペリアンテナの垂直偏波が送信された場合、ダクト12内へホーンアンテナの水平偏波が送信された場合、ダクト12内へホーンアンテナの垂直偏波が送信された場合を示している(以下の実験例でも同様)。
【0092】
ここで、図4(B)に示す如く、ダクト構造50では、30dB以上の電磁シールド性能を有している。このため、スタジオ等におけるワイヤレスマイク混信防止用の電磁波遮蔽として適用可能な電磁シールド性能を有している。
【0093】
図5(B)に示す如く、ダクト構造60では、20dB以上の電磁シールド性能を有している。このため、無線LAN用の電磁波遮蔽として適用可能な電磁シールド性能を有している。
【0094】
(第2実験例)
本実験例では、図6及び図7にそれぞれ横断面図及び縦断面図で示すダクト構造70(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能を計測した。
【0095】
ダクト構造70では、上記第1実験例のダクト構造50又はダクト構造60と同様のダクト12を備えている。
【0096】
ダクト構造70は、基本的に上記第1実験例のダクト構造50と同様の構成であるが、各衝立電磁波吸収体26に設けられた反射層28はダクト12に導通されないと共に、チャンバー部22内両側面の各内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。
【0097】
図8の(A)乃至(D)、図9の(A)乃至(C)及び図10の(A)乃至(D)には、本実験例のダクト構造70についての実験結果が示されている。
【0098】
図8(A)には、上記条件のダクト構造70の場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0099】
図8(B)には、上記条件のダクト構造70と、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0100】
図8(C)には、上記条件のダクト構造70と、各内周電磁波吸収体30が設けられず、かつ、各衝立電磁波吸収体26の横方向長さが325mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0101】
図8(D)には、上記条件のダクト構造70と、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられず、かつ、各衝立電磁波吸収体26の横方向長さが325mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0102】
図9(A)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26の肉厚が25mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0103】
図9(B)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26の肉厚が25mmにされ、かつ、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0104】
図9(C)には、上記条件のダクト構造70と、衝立電磁波吸収体26が1つにされて肉厚を25mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0105】
図10(A)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0106】
図10(B)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0107】
図10(C)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26及び各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0108】
図10(D)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0109】
(第3実験例)
本実験例では、図11及び図12にそれぞれ横断面図及び縦断面図で示すダクト構造80(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能を計測した。
【0110】
ダクト構造80では、上記実施の形態に係るダクト構造10と同様のダクト12を備えている。ダクト12のチャンバー部22は、ダクト12軸方向の長さが600mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さが450mmにされている。ダクト12の一般部24は、幅方向の長さが310mmにされると共に、高さ方向の長さが230mmにされている。受信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが350mmにされると共に、送信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが1050mm(下記の如く延長電磁波吸収体32が設けられない場合には350mm)にされている。
【0111】
ダクト構造80は、基本的に上記実施の形態に係るダクト構造10と同様の構成であるが、送信側の衝立電磁波吸収体26の送信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30及び受信側の衝立電磁波吸収体26の受信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30は、常に設けられていない。さらに、各衝立電磁波吸収体26に設けられた反射層28は、常にダクト12に導通されていない。
【0112】
ダクト構造80では、基本的に、各衝立電磁波吸収体26の肉厚及び横方向長さがそれぞれ50mm及び250mmにされている。また、チャンバー部22内両側面の各内周電磁波吸収体30の肉厚及び横方向長さはそれぞれ25mm及び400mmにされると共に、チャンバー部22内下面の内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。さらに、各延長電磁波吸収体32の肉厚及びダクト12軸方向長さが、それぞれ25mm及び1000mmにされている。
【0113】
図13の(A)乃至(D)には、本実験例のダクト構造80についての実験結果が示されている。
【0114】
図13(A)には、上記条件のダクト構造80の場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0115】
図13(B)には、上記条件のダクト構造80と、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0116】
図13(C)には、上記条件のダクト構造80と、各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0117】
図13(D)には、上記条件のダクト構造80と、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0118】
(第4実験例)
本実験例では、図14、図15及び図16にそれぞれ横断面図、縦断面図及び斜視図で示すダクト構造90(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能を計測した。
【0119】
ダクト構造90では、上記実施の形態に係るダクト構造10のダクト12と、チャンバー部22が設けられず、かつ、ダクト12の受信側が本体部92にされると共に、ダクト12の送信側が延長部(図示省略)にされている点が異なる。ダクト12の本体部92は、ダクト12軸方向の長さが1000mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さがそれぞれ300mm及び230mmにされている。ダクト12の延長部は、ダクト12軸方向の長さが1050mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さがそれぞれ300mm及び230mmにされている。なお、下記の如く延長電磁波吸収体32が設けられない場合には、延長部は設けられない。
【0120】
ダクト構造90の本体部92は、基本的に上記実施の形態に係るダクト構造10のチャンバー部22と同様の構成であるが、本体部92内における、受信側の衝立電磁波吸収体26の送信側及び受信側の側面と、下面と、に内周電磁波吸収体30が設けられている。さらに、各衝立電磁波吸収体26に設けられた反射層28は、常にダクト12に導通されていない。また、ダクト構造90の延長部は、基本的に、上記実施の形態に係るダクト構造10の送信側の一般部24と同様に、2つの延長電磁波吸収体32が設けられている。
【0121】
ダクト構造90では、基本的に、各衝立電磁波吸収体26の肉厚及び横方向長さがそれぞれ50mm及び170mmにされている。また、ダクト12内側面の送信側及び受信側の内周電磁波吸収体30の横方向長さはそれぞれ600mm及び350mmにされると共に、各内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。さらに、各延長電磁波吸収体32の肉厚及びダクト12軸方向長さが、それぞれ25mm及び1000mmにされている。
【0122】
図17の(A)乃至(D)、図18の(A)乃至(D)及び図19の(A)乃至(D)には、本実験例のダクト構造90についての実験結果が示されている。
【0123】
図17(A)には、上記条件のダクト構造90の場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0124】
図17(B)には、上記条件のダクト構造90と、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0125】
図17(C)には、上記条件のダクト構造90と、各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0126】
図17(D)には、上記条件のダクト構造90と、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0127】
図18(A)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0128】
図18(B)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされ、かつ、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0129】
図18(C)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされ、かつ、各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0130】
図18(D)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされ、かつ、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0131】
図19(A)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0132】
図19(B)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0133】
図19(C)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26及び各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0134】
図19(D)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0135】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施の形態に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図2】(A)は、本発明の実施の形態の第1変形例に係るダクト構造を示す斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態の第1変形例の別例に係るダクト構造を示す斜視図である。
【図3】(A)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係るダクト構造を示す斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係るダクト構造を示す斜視図である。
【図4】(A)は、本発明の第1実験例に係る第1のダクト構造を示す横断面図であり、(B)は、(A)のダクト構造についての実験結果を示すグラフである。
【図5】(A)は、本発明の第1実験例に係る第2のダクト構造を示す横断面図であり、(B)は、(A)のダクト構造についての実験結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実験例に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図7】本発明の第2実験例に係るダクト構造を示す縦断面図である。
【図8】(A)乃至(D)は、本発明の第2実験例の実験結果を示すグラフである。
【図9】(A)乃至(C)は、本発明の第2実験例の実験結果を示すグラフである。
【図10】(A)乃至(D)は、本発明の第2実験例の実験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の第3実験例に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図12】本発明の第3実験例に係るダクト構造を示す縦断面図である。
【図13】(A)乃至(D)は、本発明の第3実験例の実験結果を示すグラフである。
【図14】本発明の第4実験例に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図15】本発明の第4実験例に係るダクト構造を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第4実験例に係るダクト構造を示す斜視図である。
【図17】(A)乃至(D)は、本発明の第4実験例の実験結果を示すグラフである。
【図18】(A)乃至(D)は、本発明の第4実験例の実験結果を示すグラフである。
【図19】(A)乃至(D)は、本発明の第4実験例の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0137】
10 ダクト構造(消電波装置)
12 ダクト(筒状体)
22 チャンバー部(装置本体)
26 衝立電磁波吸収体(第1電磁波吸収体)
30 内周電磁波吸収体(第2電磁波吸収体)
32 延長電磁波吸収体(第2電磁波吸収体)
50 ダクト構造(消電波装置)
60 ダクト構造(消電波装置)
70 ダクト構造(消電波装置)
80 ダクト構造(消電波装置)
90 ダクト構造(消電波装置)
100 ダクト構造(消電波装置)
102 対向電磁波吸収体(第3電磁波吸収体、第4電磁波吸収体)
104 周辺電磁波吸収体(第4電磁波吸収体)
150 ダクト構造(消電波装置)
200 ダクト構造(消電波装置)
300 ダクト構造(消電波装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体内を通過する電磁波(電波)を遮蔽(シールド)する消電波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消電波装置としては、ダクト内にハニカム構造体(シールドハニカム)を設けることで、ハニカム構造体によってダクト内を通過する電磁波を遮蔽するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この消電波装置では、ハニカム構造体を使用するため、コストが高くなる。
【0004】
さらに、ダクトが貫通される電磁遮蔽壁(シールド壁)の電磁遮蔽層にハニカム構造体を導通させる必要がある。このため、コストが一層高くなると共に、ダクトの挙動や地震の衝撃等により電磁遮蔽層とハニカム構造体との導通部分が破損することが懸念される。
【0005】
また、特に遮蔽する電磁波の周波数が高く(波長が短く)なると、電磁波遮蔽性能を低下させないためにハニカム構造体の目を細かく(孔径を小さく)する必要がある。このため、ダクト内を空気が通過しづらくなるのみならず、ハニカム構造体が目詰まりを起こし易くなって一層ダクト内を空気が通過しづらくなる。しかも、ハニカム構造体を空気が通過することにより風切り音が発生する。
【0006】
さらに、ハニカム構造体に対して目詰まり防止のための掃除等のメンテナンスが必要である。このため、ハニカム構造体をダクト外からメンテナンス可能にする開閉口を設けたり、ハニカム構造体をダクト外へ取り外し可能にする取外機構を設ける必要があり、コストが一層高くなる。
【特許文献1】特開平10−274360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、従来のハニカム構造体を使用しなくても筒状体内を通過する電磁波を遮蔽できる消電波装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の消電波装置は、筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、それぞれ前記筒状体内に前記筒状体内を閉塞しない状態で堰状に設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、互いに前記筒状体軸方向において離間されて前記筒状体内を通過する気体が蛇行する配置にされた複数の第1電磁波吸収体と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の消電波装置は、請求項1に記載の消電波装置において、前記複数の第1電磁波吸収体は、前記筒状体内の前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が少なくとも1つに入射する配置にされた、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の消電波装置は、請求項1又は請求項2に記載の消電波装置において、前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第2電磁波吸収体を備えた、ことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の消電波装置は、請求項3に記載の消電波装置において、前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には前記第2電磁波吸収体を設けた、ことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の消電波装置は、請求項3又は請求項4に記載の消電波装置において、前記第2電磁波吸収体を、前記複数の第1電磁波吸収体が設けられる前記筒状体の装置本体と、前記装置本体よりも電磁波送信側の前記筒状体と、に設けた、ことを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の消電波装置は、軸方向において曲がった筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、前記筒状体の曲がり部分内に前記筒状体内を閉塞しない状態で設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った電磁波が入射する配置にされた第3電磁波吸収体と、を備えている。
【0014】
請求項7に記載の消電波装置は、請求項6に記載の消電波装置において、前記第3電磁波吸収体は、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が入射する配置にされた、ことを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の消電波装置は、請求項6又は請求項7に記載の消電波装置において、前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を備えた、ことを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の消電波装置は、請求項8に記載の消電波装置において、前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の消電波装置は、請求項6又は請求項7に記載の消電波装置において、前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を設けた、ことを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の消電波装置は、請求項10に記載の消電波装置において、前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の消電波装置では、複数の第1電磁波吸収体が、それぞれ筒状体内に筒状体内を閉塞しない状態で堰状に設けられると共に、互いに筒状体軸方向において離間されている。このため、筒状体内を気体が複数の第1電磁波吸収体によって蛇行されつつ通過することができる。
【0020】
ここで、複数の第1電磁波吸収体がそれぞれ電磁波を吸収可能にされているため、筒状体内を通過する電磁波を遮蔽することができる。このため、従来のハニカム構造体を使用する必要をなくすことができる。
【0021】
請求項2に記載の消電波装置では、筒状体内の筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が複数の第1電磁波吸収体の少なくとも1つに入射する。このため、筒状体内を通過する電磁波を効果的に遮蔽することができる。
【0022】
請求項3に記載の消電波装置では、電磁波を吸収可能にされた第2電磁波吸収体が筒状体の内周面に設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第2電磁波吸収体が吸収することができ、筒状体内を通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0023】
請求項4に記載の消電波装置では、筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には、第2電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第2電磁波吸収体によって効果的に吸収することができ、筒状体内を通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0024】
請求項5に記載の消電波装置では、複数の第1電磁波吸収体が設けられる筒状体の装置本体と、装置本体よりも電磁波送信側の筒状体と、に第2電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内を通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0025】
請求項6に記載の消電波装置では、筒状体が軸方向において曲がっており、第3電磁波吸収体が筒状体内に筒状体内を閉塞しない状態で設けられている。このため、筒状体内を気体が通過することができる。
【0026】
ここで、第3電磁波吸収体が電磁波を吸収可能にされると共に、筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう筒状体軸方向に沿った電磁波が第3電磁波吸収体に入射するため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を遮蔽することができる。このため、従来のハニカム構造体を使用する必要をなくすことができる。
【0027】
請求項7に記載の消電波装置では、筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が第3電磁波吸収体に入射する。このため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を効果的に遮蔽することができる。
【0028】
請求項8に記載の消電波装置では、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体が筒状体の内周面に設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第4電磁波吸収体が吸収することができ、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0029】
請求項9に記載の消電波装置では、筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に第4電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0030】
請求項10に記載の消電波装置では、筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内の筒状体軸方向に沿わない電磁波を第4電磁波吸収体によって効果的に吸収することができ、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0031】
請求項11に記載の消電波装置では、筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に第4電磁波吸収体が設けられている。このため、筒状体内を曲がり部分を介して通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1には、本発明の消電波装置が適用されて構成された実施の形態に係るダクト構造10が横断面図にて示されている。
【0033】
本実施の形態に係るダクト構造10は、筒状体及び反射部としての金属製で曲がっていない矩形筒状のダクト12を備えており、ダクト12は、内部に気体としての温度が調整された空気を通過させるための空調ダクトにされている。また、ダクト12内には、送信側から受信側へ電磁波(電波)が通過される。ここで、「送信側」とは、消したい電磁波がダクト12内に入ってくる側をいい、「受信側」とは、送信側の反対側をいう。
【0034】
ダクト12の外周全体は、保温材14(断熱材)に被覆されており、保温材14によってダクト12内を通過される空気の温度が維持される。保温材14を含むダクト12は、電磁波遮蔽壁16の貫通孔18を貫通されており、電磁波遮蔽壁16の受信側面に設けられた電磁波遮蔽層20は、ダクト12に導通(電気的に接続)されている。これにより、ダクト12と電磁波遮蔽壁16との隙間を電磁波が通過することが防止されている。
【0035】
ダクト12には、電磁波遮蔽壁16よりも受信側において、装置本体としてのチャンバー部22が設けられており、チャンバー部22は、ダクト12の他の部分(以下「一般部24」という)よりも上下方向及び左右方向において大きくされて、ダクト12の一般部24から上下方向両側及び左右方向両側に突出している。
【0036】
チャンバー部22内には、第1電磁波吸収体としての矩形板状の衝立電磁波吸収体26が2つ設けられており、2つの衝立電磁波吸収体26は、ダクト12軸方向(内部の軸方向)において所定距離互いに離間された状態で堰状に配置されている。一方の衝立電磁波吸収体26は、チャンバー部22内の一側面から垂直に延伸されて、チャンバー部22内の一側面、上面及び下面に隙間なく固定されており、一方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面をチャンバー部22内の他側面から離間されて、チャンバー部22内を閉塞していない。他方の衝立電磁波吸収体26は、チャンバー部22内の他側面から垂直に延伸されて、チャンバー部22内の他側面、上面及び下面に隙間なく固定されており、他方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面をチャンバー部22内の一側面から離間されて、チャンバー部22内を閉塞していない。2つの衝立電磁波吸収体26は、それぞれの延伸先端部分がダクト12軸方向において互いにオーバーラップされており(それぞれの延伸先端面がダクト12軸方向において互いに完全に一致配置されてもよい)、2つの衝立電磁波吸収体26は、合わせて、チャンバー部22軸方向(ダクト12軸方向)の全体と交差されている(チャンバー部22の軸方向から見てチャンバー部22内を閉じる状態にされている)。また、各衝立電磁波吸収体26の受信側面全体には、反射部としての金属製の反射層28が固定されており、各反射層28はダクト12に導通されている。
【0037】
チャンバー部22内には、第2電磁波吸収体としての矩形板状の内周電磁波吸収体30が5つ設けられており、内周電磁波吸収体30は、チャンバー部22内の下面(上面でもよい)の各衝立電磁波吸収体26配置部分を除く全体と、チャンバー部22内の両側面の衝立電磁波吸収体26よりも送信側全体及び受信側全体と、に固定されている。
【0038】
ダクト12の送信側の一般部24内には、第2電磁波吸収体としての矩形板状の延長電磁波吸収体32が2つ設けられており、延長電磁波吸収体32は、チャンバー部22からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、一般部24内の下面(上面でもよい)と一方の側面との幅方向全体に固定されている。
【0039】
上記衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32は、カーボン含有ウレタン発泡材にされて、電磁波を吸収可能にされると共に、吸音材として機能することもできる。
【0040】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0041】
以上の構成のダクト構造10では、ダクト12のチャンバー部22内で軸方向において所定距離離間されて立設された2つの衝立電磁波吸収体26が、それぞれチャンバー部22内を閉塞していない。このため、ダクト12のチャンバー部22内を空気が2つの衝立電磁波吸収体26によって蛇行されつつ通過することができる。
【0042】
さらに、2つの衝立電磁波吸収体26が、それぞれ電磁波を吸収可能にされている。このため、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、2つの衝立電磁波吸収体26が吸収して遮蔽することができ、当該電磁波がダクト12内を経て送信側から受信側へ漏洩することを防止できる。
【0043】
また、2つの衝立電磁波吸収体26が、それぞれの延伸先端部分をダクト12軸方向において互いにオーバーラップされて、チャンバー部22軸方向の全体と交差されている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿った(ダクト12軸方向と平行な)全ての電磁波が、2つの衝立電磁波吸収体26の少なくとも1つに入射する。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、2つの衝立電磁波吸収体26が効果的に吸収して遮蔽することができる。
【0044】
さらに、ダクト12のチャンバー部22と送信側の一般部24との内周面に、それぞれ電磁波を吸収可能にされた内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない(ダクト12軸方向と非平行な)電磁波を内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32が吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0045】
しかも、ダクト12の互いに対向する内周面の少なくとも一方(対向しない内周面の両方)には(一方の側面及び下面に)、内周電磁波吸収体30又は延長電磁波吸収体32が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない電磁波を内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32によって効果的に吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0046】
また、衝立電磁波吸収体26の受信側面に設けられた金属製の反射層28が、衝立電磁波吸収体26に入射した電磁波を反射するため、衝立電磁波吸収体26は、入射した電磁波のみならず反射層28に反射された電磁波をも吸収することができる。しかも、内周電磁波吸収体30又は延長電磁波吸収体32に入射した電磁波は、金属製のダクト12に反射されるため、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32は、入射した電磁波のみならずダクト12に反射された電磁波をも吸収することができる。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を効果的に遮蔽することができる。
【0047】
以上の如く、本実施の形態に係るダクト12では、ダクト12内を通過する電磁波を遮蔽するために、従来のハニカム構造体に代えて、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32を使用している。これにより、コストを低減することができる。
【0048】
さらに、従来のハニカム構造体と異なり、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32を電磁波遮蔽壁16の電磁波遮蔽層20に導通させる必要がない。このため、コストを一層低減することができると共に、電磁波遮蔽構造が破損することを防止できる。
【0049】
また、電磁波をその周波数に拘らず広帯域で遮蔽することができる。このため、高い周波数の電磁波を遮蔽するためには目を細かくする必要がある従来のハニカム構造体と異なり、ダクト12内を空気が通過しづらくなることを抑制できると共に、ダクト12内を通過する空気による風切り音の発生も抑制できる。
【0050】
さらに、目詰まり防止等のためのメンテナンスが必要な従来のハニカム構造体と異なり、メンテナンスを不要にでき、かつ、メンテナンス用の機構を設ける必要がなくてコストを一層低減することができる。
【0051】
さらにまた、衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32は吸音材として機能するため、ダクト12内を通過する音を遮蔽することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を2つ設けた構成としたが、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を3つ以上設けた構成としてもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態では、本発明の第1電磁波吸収体を衝立電磁波吸収体26にした構成としたが、本発明の第1電磁波吸収体は堰状の電磁波吸収体であればよい。
【0054】
また、本実施の形態において、ダクト12の衝立電磁波吸収体26、内周電磁波吸収体30及び延長電磁波吸収体32が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよい。これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0055】
(第1変形例)
図2(A)には、本発明の消電波装置が適用されて構成された第1変形例に係るダクト構造100が斜視図にて示されている。
【0056】
本変形例に係るダクト構造100では、ダクト12が軸方向において曲がった(L字状に屈曲した)矩形筒状にされている。
【0057】
ダクト12内には、曲がり部分及び受信側部分において、第3電磁波吸収体及び第4電磁波吸収体としての矩形板状の対向電磁波吸収体102が設けられており、対向電磁波吸収体102は、ダクト12の曲がり部分からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の送信側部分に対向する側面の幅方向全体に固定されている。
【0058】
ダクト12内には、曲がり部分、受信側部分及び送信側部分において、第4電磁波吸収体としての矩形板状の周辺電磁波吸収体104が設けられている。ダクト12内の曲がり部分及び受信側部分の周辺電磁波吸収体104は、ダクト12の曲がり部分からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、対向電磁波吸収体102配置部分を除くダクト12内の下面(上面でもよい)の幅方向全体に固定されている。ダクト12内の曲がり部分及び送信側部分の周辺電磁波吸収体104は、ダクト12の曲がり部分からダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の受信側部分に対向する側面及び下面(上面でもよい)の幅方向全体に固定されている。
【0059】
上記対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104は、カーボン含有ウレタン発泡材にされて、電磁波を吸収可能にされると共に、吸音材として機能することもできる。
【0060】
次に、本変形例の作用を説明する。
【0061】
以上の構成のダクト構造100では、ダクト12内の対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が、それぞれダクト12内を閉塞していない。このため、ダクト12内を空気が通過することができる。
【0062】
さらに、対向電磁波吸収体102が、電磁波を吸収可能にされると共に、ダクト12内の送信側部分に対向している。このため、ダクト12の送信側部分内のダクト12軸方向に沿った(ダクト12軸方向と平行な)電磁波が、対向電磁波吸収体102に入射する。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、対向電磁波吸収体102が吸収して遮蔽することができ、当該電磁波がダクト12内を経て送信側から受信側へ漏洩することを防止できる。
【0063】
また、対向電磁波吸収体102が、ダクト12の送信側部分内全体に対向している。このため、ダクト12の送信側部分内のダクト12軸方向に沿った全ての電磁波が、対向電磁波吸収体102に入射する。これにより、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を、対向電磁波吸収体102が効果的に吸収して遮蔽することができる。
【0064】
さらに、ダクト12の送信側部分及び受信側部分の内周面に、対向電磁波吸収体102以外に電磁波を吸収可能にされた周辺電磁波吸収体104が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない(ダクト12軸方向と非平行な)電磁波を対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0065】
しかも、ダクト12の互いに対向する内周面の少なくとも一方(対向しない内周面の両方)には(一方の側面及び下面に)、対向電磁波吸収体102又は周辺電磁波吸収体104が設けられている。このため、ダクト12内のダクト12軸方向に沿わない電磁波を対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104によって効果的に吸収することができ、ダクト12内を送信側から受信側へ通過する電磁波を一層遮蔽することができる。
【0066】
以上により、本変形例でも、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
なお、本変形例において、ダクト12の対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよい。これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0068】
また、本変形例では、ダクト12内に対向電磁波吸収体102及び周辺電磁波吸収体104が設けた構成としたが、図2(B)に示す本変形例の別例に係るダクト構造150(消電波装置)の如く、対向電磁波吸収体102のダクト12内送信側部分に対向しない部分及び周辺電磁波吸収体104を省略して、対向電磁波吸収体102のダクト12内送信側部分に対向する部分(第3電磁波吸収体)のみをダクト12内に設けた構成としてもよい。
【0069】
(第2変形例)
図3(A)には、本発明の消電波装置が適用されて構成された第2変形例に係るダクト構造200が斜視図にて示されている。
【0070】
本変形例に係るダクト構造200では、ダクト12が曲がっていない円筒状にされている。
【0071】
ダクト12内には、上記実施の形態と同様に構成された衝立電磁波吸収体26が2つ設けられており、2つの衝立電磁波吸収体26は、それぞれ略半円板状にされて、ダクト12軸方向において所定距離互いに離間された状態で堰状に配置されている。一方の衝立電磁波吸収体26は、ダクト12内の一側周面から垂直に延伸されて、ダクト12内の周面に隙間なく固定されており、一方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面(端平面)をチャンバー部22内の他側周面から離間されて、ダクト12内を閉塞していない。他方の衝立電磁波吸収体26は、ダクト12内の他側周面から垂直に延伸されて、ダクト12内の周面に隙間なく固定されており、他方の衝立電磁波吸収体26は、延伸先端面(端平面)をダクト12内の一側周面から離間されて、チャンバー部22内を閉塞していない。2つの衝立電磁波吸収体26は、それぞれの延伸先端部分がダクト12軸方向において互いにオーバーラップされており(それぞれの延伸先端面がダクト12軸方向において互いに完全に一致配置されてもよい)、2つの衝立電磁波吸収体26は、合わせて、ダクト12軸方向の全体と交差されている(ダクト12の軸方向から見てダクト12内を閉じる状態にされている)。また、各衝立電磁波吸収体26の受信側面全体には、上記実施の形態と同様に構成された反射層28が固定されており、各反射層28はダクト12に導通されている。
【0072】
ダクト12内には、上記実施の形態と同様に構成された内周電磁波吸収体30が設けられており、内周電磁波吸収体30は円筒状にされている。内周電磁波吸収体30は、ダクト12の2つの衝立電磁波吸収体26配置部分の軸方向両側を含むダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の周面の各衝立電磁波吸収体26配置部分を除く全体に固定されている。
【0073】
ここで、本変形例でも、上記実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0074】
なお、本変形例では、内周電磁波吸収体30をダクト12内周面の周方向全体に設けた構成としたが、内周電磁波吸収体30をダクト12内周面の周方向半分に設けた構成としてもよい。この場合、ダクト12の衝立電磁波吸収体26及び内周電磁波吸収体30が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよく、これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0075】
また、本変形例では、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を2つ設けた構成としたが、ダクト12内に衝立電磁波吸収体26を3つ以上設けた構成としてもよい。
【0076】
さらに、本変形例では、本発明の第1電磁波吸収体を衝立電磁波吸収体26にした構成としたが、本発明の第1電磁波吸収体は堰状の電磁波吸収体であればよい。
【0077】
(第3変形例)
図3(B)には、本発明の消電波装置が適用されて構成された第3変形例に係るダクト構造300が斜視図にて示されている。
【0078】
本変形例に係るダクト構造300では、ダクト12が曲がった(湾曲した)円筒状にされている。
【0079】
ダクト12内には、上記第1変形例と同様に構成された対向電磁波吸収体102が設けられており、対向電磁波吸収体102は曲がった円筒状にされている。対向電磁波吸収体102は、ダクト12の曲がり部分の軸方向両側を含むダクト12軸方向に沿った所定長さ範囲において、ダクト12内の周面全体に固定されている。
【0080】
ここで、本変形例でも、上記第1変形例と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0081】
なお、本変形例では、対向電磁波吸収体102をダクト12内周面の周方向全体に設けた構成としたが、対向電磁波吸収体102をダクト12内周面の周方向半分(ダクト12の曲がり部分よりも送信側部分内に対向する部分全体を含む)に設けた構成としてもよい。この場合、ダクト12の対向電磁波吸収体102が設けられていない内周面に、吸音材を設けた構成にしてもよく、これにより、ダクト12内を通過する音を一層遮蔽することができる。
【0082】
(第1実験例)
本実験例では、図4(A)に横断面図で示すダクト構造50(消電波装置)、及び、図5(A)に横断面図で示すダクト構造60(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能(電磁波遮蔽性能)を、比較した。
【0083】
ダクト構造50及びダクト構造60では、上記実施の形態に係るダクト構造10と同様のダクト12を備えている。ダクト12のチャンバー部22は、ダクト12軸方向の長さが850mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さが530mmにされている。ダクト12の一般部24は、幅方向の長さが310mmにされると共に、高さ方向の長さが230mmにされている。受信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが350mmにされると共に、送信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが1050mm(図5(A)の如く延長電磁波吸収体32が設けられない場合には350mm)にされている。
【0084】
ダクト構造50及びダクト構造60は、上記実施の形態に係るダクト構造10と、以下の点で異なる。
【0085】
ダクト構造50及びダクト構造60では、送信側の衝立電磁波吸収体26の送信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30及び受信側の衝立電磁波吸収体26の受信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30は設けられていない。
【0086】
ダクト構造50及びダクト構造60では、各衝立電磁波吸収体26の肉厚及び横方向長さがそれぞれ75mm及び275mmにされている。また、チャンバー部22内両側面の各内周電磁波吸収体30の肉厚及び横方向長さはそれぞれ75mm及び550mmにされると共に、チャンバー部22内下面の内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。
【0087】
ダクト構造50では、各延長電磁波吸収体32の肉厚及びダクト12軸方向長さが、それぞれ25mm及び1000mmにされている。また、ダクト構造60では、ダクト12内に延長電磁波吸収体32が設けられていない。
【0088】
図4(B)及び図5(B)には、それぞれ本実験例のダクト構造50及びダクト構造60についての実験結果が示されている。
【0089】
図4(B)及び図5(B)における「周波数」は、ダクト12内へ送信された電磁波の周波数である(以下の実験例でも同様)。
【0090】
図4(B)及び図5(B)における「電磁シールド性能」は、同一の電磁波をダクト12内へ送信側から送信する条件の下で、電磁波吸収体(衝立電磁波吸収体26(反射層28を含む)、内周電磁波吸収体30、延長電磁波吸収体32)が全て取り除かれたダクト12の受信側で受信された電磁波の強度から、実験対象のダクト12の受信側で受信された電磁波の強度を、減じた数値である(以下の実験例でも同様)。
【0091】
図4(B)及び図5(B)における「LH」、「LV」、「HH」、「HV」は、それぞれ、ダクト12内へログペリアンテナの水平偏波が送信された場合、ダクト12内へログペリアンテナの垂直偏波が送信された場合、ダクト12内へホーンアンテナの水平偏波が送信された場合、ダクト12内へホーンアンテナの垂直偏波が送信された場合を示している(以下の実験例でも同様)。
【0092】
ここで、図4(B)に示す如く、ダクト構造50では、30dB以上の電磁シールド性能を有している。このため、スタジオ等におけるワイヤレスマイク混信防止用の電磁波遮蔽として適用可能な電磁シールド性能を有している。
【0093】
図5(B)に示す如く、ダクト構造60では、20dB以上の電磁シールド性能を有している。このため、無線LAN用の電磁波遮蔽として適用可能な電磁シールド性能を有している。
【0094】
(第2実験例)
本実験例では、図6及び図7にそれぞれ横断面図及び縦断面図で示すダクト構造70(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能を計測した。
【0095】
ダクト構造70では、上記第1実験例のダクト構造50又はダクト構造60と同様のダクト12を備えている。
【0096】
ダクト構造70は、基本的に上記第1実験例のダクト構造50と同様の構成であるが、各衝立電磁波吸収体26に設けられた反射層28はダクト12に導通されないと共に、チャンバー部22内両側面の各内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。
【0097】
図8の(A)乃至(D)、図9の(A)乃至(C)及び図10の(A)乃至(D)には、本実験例のダクト構造70についての実験結果が示されている。
【0098】
図8(A)には、上記条件のダクト構造70の場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0099】
図8(B)には、上記条件のダクト構造70と、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0100】
図8(C)には、上記条件のダクト構造70と、各内周電磁波吸収体30が設けられず、かつ、各衝立電磁波吸収体26の横方向長さが325mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0101】
図8(D)には、上記条件のダクト構造70と、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられず、かつ、各衝立電磁波吸収体26の横方向長さが325mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0102】
図9(A)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26の肉厚が25mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0103】
図9(B)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26の肉厚が25mmにされ、かつ、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0104】
図9(C)には、上記条件のダクト構造70と、衝立電磁波吸収体26が1つにされて肉厚を25mmにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0105】
図10(A)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0106】
図10(B)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0107】
図10(C)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26及び各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0108】
図10(D)には、上記条件のダクト構造70と、各衝立電磁波吸収体26、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0109】
(第3実験例)
本実験例では、図11及び図12にそれぞれ横断面図及び縦断面図で示すダクト構造80(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能を計測した。
【0110】
ダクト構造80では、上記実施の形態に係るダクト構造10と同様のダクト12を備えている。ダクト12のチャンバー部22は、ダクト12軸方向の長さが600mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さが450mmにされている。ダクト12の一般部24は、幅方向の長さが310mmにされると共に、高さ方向の長さが230mmにされている。受信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが350mmにされると共に、送信側の一般部24は、ダクト12軸方向の長さが1050mm(下記の如く延長電磁波吸収体32が設けられない場合には350mm)にされている。
【0111】
ダクト構造80は、基本的に上記実施の形態に係るダクト構造10と同様の構成であるが、送信側の衝立電磁波吸収体26の送信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30及び受信側の衝立電磁波吸収体26の受信側におけるチャンバー部22内側面の内周電磁波吸収体30は、常に設けられていない。さらに、各衝立電磁波吸収体26に設けられた反射層28は、常にダクト12に導通されていない。
【0112】
ダクト構造80では、基本的に、各衝立電磁波吸収体26の肉厚及び横方向長さがそれぞれ50mm及び250mmにされている。また、チャンバー部22内両側面の各内周電磁波吸収体30の肉厚及び横方向長さはそれぞれ25mm及び400mmにされると共に、チャンバー部22内下面の内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。さらに、各延長電磁波吸収体32の肉厚及びダクト12軸方向長さが、それぞれ25mm及び1000mmにされている。
【0113】
図13の(A)乃至(D)には、本実験例のダクト構造80についての実験結果が示されている。
【0114】
図13(A)には、上記条件のダクト構造80の場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0115】
図13(B)には、上記条件のダクト構造80と、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0116】
図13(C)には、上記条件のダクト構造80と、各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0117】
図13(D)には、上記条件のダクト構造80と、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0118】
(第4実験例)
本実験例では、図14、図15及び図16にそれぞれ横断面図、縦断面図及び斜視図で示すダクト構造90(消電波装置)における、ダクト12内を送信側から受信側へ電磁波が送信された場合の電磁シールド性能を計測した。
【0119】
ダクト構造90では、上記実施の形態に係るダクト構造10のダクト12と、チャンバー部22が設けられず、かつ、ダクト12の受信側が本体部92にされると共に、ダクト12の送信側が延長部(図示省略)にされている点が異なる。ダクト12の本体部92は、ダクト12軸方向の長さが1000mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さがそれぞれ300mm及び230mmにされている。ダクト12の延長部は、ダクト12軸方向の長さが1050mmにされると共に、幅方向の長さ及び高さ方向の長さがそれぞれ300mm及び230mmにされている。なお、下記の如く延長電磁波吸収体32が設けられない場合には、延長部は設けられない。
【0120】
ダクト構造90の本体部92は、基本的に上記実施の形態に係るダクト構造10のチャンバー部22と同様の構成であるが、本体部92内における、受信側の衝立電磁波吸収体26の送信側及び受信側の側面と、下面と、に内周電磁波吸収体30が設けられている。さらに、各衝立電磁波吸収体26に設けられた反射層28は、常にダクト12に導通されていない。また、ダクト構造90の延長部は、基本的に、上記実施の形態に係るダクト構造10の送信側の一般部24と同様に、2つの延長電磁波吸収体32が設けられている。
【0121】
ダクト構造90では、基本的に、各衝立電磁波吸収体26の肉厚及び横方向長さがそれぞれ50mm及び170mmにされている。また、ダクト12内側面の送信側及び受信側の内周電磁波吸収体30の横方向長さはそれぞれ600mm及び350mmにされると共に、各内周電磁波吸収体30の肉厚は25mmにされている。さらに、各延長電磁波吸収体32の肉厚及びダクト12軸方向長さが、それぞれ25mm及び1000mmにされている。
【0122】
図17の(A)乃至(D)、図18の(A)乃至(D)及び図19の(A)乃至(D)には、本実験例のダクト構造90についての実験結果が示されている。
【0123】
図17(A)には、上記条件のダクト構造90の場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0124】
図17(B)には、上記条件のダクト構造90と、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0125】
図17(C)には、上記条件のダクト構造90と、各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0126】
図17(D)には、上記条件のダクト構造90と、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0127】
図18(A)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされた点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0128】
図18(B)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされ、かつ、各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0129】
図18(C)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされ、かつ、各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0130】
図18(D)には、上記条件のダクト構造90と、衝立電磁波吸収体26が1つにされ、かつ、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0131】
図19(A)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0132】
図19(B)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0133】
図19(C)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26及び各内周電磁波吸収体30が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0134】
図19(D)には、上記条件のダクト構造90と、各衝立電磁波吸収体26、各内周電磁波吸収体30及び各延長電磁波吸収体32が設けられていない点が異なる場合についての電磁シールド性能が示されている。
【0135】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施の形態に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図2】(A)は、本発明の実施の形態の第1変形例に係るダクト構造を示す斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態の第1変形例の別例に係るダクト構造を示す斜視図である。
【図3】(A)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係るダクト構造を示す斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係るダクト構造を示す斜視図である。
【図4】(A)は、本発明の第1実験例に係る第1のダクト構造を示す横断面図であり、(B)は、(A)のダクト構造についての実験結果を示すグラフである。
【図5】(A)は、本発明の第1実験例に係る第2のダクト構造を示す横断面図であり、(B)は、(A)のダクト構造についての実験結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実験例に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図7】本発明の第2実験例に係るダクト構造を示す縦断面図である。
【図8】(A)乃至(D)は、本発明の第2実験例の実験結果を示すグラフである。
【図9】(A)乃至(C)は、本発明の第2実験例の実験結果を示すグラフである。
【図10】(A)乃至(D)は、本発明の第2実験例の実験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の第3実験例に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図12】本発明の第3実験例に係るダクト構造を示す縦断面図である。
【図13】(A)乃至(D)は、本発明の第3実験例の実験結果を示すグラフである。
【図14】本発明の第4実験例に係るダクト構造を示す横断面図である。
【図15】本発明の第4実験例に係るダクト構造を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第4実験例に係るダクト構造を示す斜視図である。
【図17】(A)乃至(D)は、本発明の第4実験例の実験結果を示すグラフである。
【図18】(A)乃至(D)は、本発明の第4実験例の実験結果を示すグラフである。
【図19】(A)乃至(D)は、本発明の第4実験例の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0137】
10 ダクト構造(消電波装置)
12 ダクト(筒状体)
22 チャンバー部(装置本体)
26 衝立電磁波吸収体(第1電磁波吸収体)
30 内周電磁波吸収体(第2電磁波吸収体)
32 延長電磁波吸収体(第2電磁波吸収体)
50 ダクト構造(消電波装置)
60 ダクト構造(消電波装置)
70 ダクト構造(消電波装置)
80 ダクト構造(消電波装置)
90 ダクト構造(消電波装置)
100 ダクト構造(消電波装置)
102 対向電磁波吸収体(第3電磁波吸収体、第4電磁波吸収体)
104 周辺電磁波吸収体(第4電磁波吸収体)
150 ダクト構造(消電波装置)
200 ダクト構造(消電波装置)
300 ダクト構造(消電波装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、
それぞれ前記筒状体内に前記筒状体内を閉塞しない状態で堰状に設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、互いに前記筒状体軸方向において離間されて前記筒状体内を通過する気体が蛇行する配置にされた複数の第1電磁波吸収体と、
を備えた消電波装置。
【請求項2】
前記複数の第1電磁波吸収体は、前記筒状体内の前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が少なくとも1つに入射する配置にされた、ことを特徴とする請求項1記載の消電波装置。
【請求項3】
前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第2電磁波吸収体を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の消電波装置。
【請求項4】
前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には前記第2電磁波吸収体を設けた、ことを特徴とする請求項3記載の消電波装置。
【請求項5】
前記第2電磁波吸収体を、前記複数の第1電磁波吸収体が設けられる前記筒状体の装置本体と、前記装置本体よりも電磁波送信側の前記筒状体と、に設けた、ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の消電波装置。
【請求項6】
軸方向において曲がった筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、
前記筒状体の曲がり部分内に前記筒状体内を閉塞しない状態で設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った電磁波が入射する配置にされた第3電磁波吸収体と、
を備えた消電波装置。
【請求項7】
前記第3電磁波吸収体は、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が入射する配置にされた、ことを特徴とする請求項6記載の消電波装置。
【請求項8】
前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を備えた、ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の消電波装置。
【請求項9】
前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴とする請求項8記載の消電波装置。
【請求項10】
前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を設けた、ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の消電波装置。
【請求項11】
前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴とする請求項10記載の消電波装置。
【請求項1】
筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、
それぞれ前記筒状体内に前記筒状体内を閉塞しない状態で堰状に設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、互いに前記筒状体軸方向において離間されて前記筒状体内を通過する気体が蛇行する配置にされた複数の第1電磁波吸収体と、
を備えた消電波装置。
【請求項2】
前記複数の第1電磁波吸収体は、前記筒状体内の前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が少なくとも1つに入射する配置にされた、ことを特徴とする請求項1記載の消電波装置。
【請求項3】
前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第2電磁波吸収体を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の消電波装置。
【請求項4】
前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には前記第2電磁波吸収体を設けた、ことを特徴とする請求項3記載の消電波装置。
【請求項5】
前記第2電磁波吸収体を、前記複数の第1電磁波吸収体が設けられる前記筒状体の装置本体と、前記装置本体よりも電磁波送信側の前記筒状体と、に設けた、ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の消電波装置。
【請求項6】
軸方向において曲がった筒状にされ、内部に気体を通過させるための筒状体と、
前記筒状体の曲がり部分内に前記筒状体内を閉塞しない状態で設けられると共に電磁波を吸収可能にされ、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った電磁波が入射する配置にされた第3電磁波吸収体と、
を備えた消電波装置。
【請求項7】
前記第3電磁波吸収体は、前記筒状体内の電磁波送信側から曲がり部分へ向かう前記筒状体軸方向に沿った全ての電磁波が入射する配置にされた、ことを特徴とする請求項6記載の消電波装置。
【請求項8】
前記筒状体の内周面に設けられ、電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を備えた、ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の消電波装置。
【請求項9】
前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴とする請求項8記載の消電波装置。
【請求項10】
前記筒状体の互いに対向する内周面の少なくとも一方には電磁波を吸収可能にされた第4電磁波吸収体を設けた、ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の消電波装置。
【請求項11】
前記第4電磁波吸収体を前記筒状体の曲がり部分に対する電磁波送信側及び電磁波受信側に設けた、ことを特徴とする請求項10記載の消電波装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−344825(P2006−344825A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169950(P2005−169950)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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