説明

液体からの水分除去方法

【課題】例えばEtOHのように分子サイズの小さな液体からも、水分を良好に選択除去できる水分除去方法を提供する。
【解決手段】Heガス透過流量FHeとSFガス透過流量FSF6との比:FHe/FSF6が100〜10000であるとともに、SFガス透過流量FSF6が1×10−11 〜1×10−8 mol/(m・Pa・sec)である無機材質膜10を使用する。この方法は、特に液体がエタノール、イソプロピルアルコールなどの分子サイズが0.36nm以上のものである場合に効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機材質膜を用いて液体から水分を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膜を利用して、例えば有機系の液体などの水以外の液体から、その中に含まれる水分を除去する技術が検討されている。
このような技術は、例えば、リチウムイオン二次電池の電解液の水分除去;工業用エタノール、メタノールの脱水;潤滑油の水分除去;軽油、重油の水分除去;変圧器に用いられる絶縁オイルの水分除去;ガラス基板の間に真空封入される液晶の水分除去;などへの利用が期待され、微量の水分をも除去できることが求められている。
【0003】
無機材質膜を利用して、有機系の液体から水分を除去する技術として、例えば、非特許文献1には、直径1nm以下の細孔を備え、分子篩機能を有するシリカ−ジルコニア膜を用いて、エタノール(以下、EtOHという。)と水の混合液、イソプルピルアルコール(以下、IPAという。)と水の混合液から、それぞれ水を選択的に分離して除去しようとする技術が記載されている。
なお、HO、He、CO、N、CHOH、EtOH、IPAなどの代表的な分子について、分子サイズ(分子直径)を表1に記した。
【0004】
【表1】

【0005】
表1に記載の分子サイズは以下の参考文献からの引用値であり、参考文献1および3では、kinetic diameter、参考文献2では、Lennard-Jones potential におけるLennard-Jones potential diameter σの数値である。
[参考文献1]
“Material science of membranes for gas and vapor separation”edited by Yu. Yampolskii, I.Pinnau & B.D. Freeman, P.6, (2006), John Wiley & Sons Ltd.
[参考文献2]
“Molecular theory of gases and liquids”, Joseph O. Hirschfelder, Charles F. Curtiss, R.Byron Bird. John Wiley & Sons, Inc. (1954) P.1212-1214
[参考文献3]
“ On the combination of different transport mechanisms for the simulation of steady-state mass transfer through composite systems using H2/SF6 permeation through stainless steel supported silicalite-1 membranes as a model system”M. Hanebutha, R. Dittmeyera, G.T. P. Mabandeb and W. Schwiegerb, Catalysis Today、Volume 104, Issues 2-4, 30 June 2005, Pages 352-359
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Yangら,Pervaporation characteristics of aqueous-organic solutions with microporous SiO2-ZrO2 membranes:Experimental study on separation mechanism”,Journal of membrane science vol.284, P.205-213 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載された技術では、分子サイズ(分子直径)が0.464nm程度であるIPAと分子サイズが0.265nmである水との混合液(以下、IPA/水という場合もある。)からの水分除去の場合には、シリカ−ジルコニア膜を透過するIPA量を低く抑える一方で、水分を選択的に透過させることができるものの、分子サイズが0.431nm程度であるEtOHと水との混合液(以下、EtOH/水という場合もある。)からの水分除去の場合には、シリカ−ジルコニア膜を透過するEtOH量を十分には抑制できず、水分の透過選択性が低下した。
【0008】
具体的には、非特許文献1の図6に示されているように、例えば、IPA濃度が60%のIPA/水からの水分除去では、IPAの膜透過量は約2mol/m・hrと低い値に抑えられているが、EtOH濃度が60%のEtOH/水からの水分除去では、EtOHの膜透過量は約22mol/m・hrと大きくなり、液体の分子サイズがわずかに小さくなって水の分子サイズにやや近づいただけで、水分を選択的に透過させることが困難になっている。
膜を利用して液体中の水分を除去する際には、水分の透過量が大きいことに加えて、液体を極力、透過させない膜を用いることが望ましい。そのような膜によれば、液体が例えば複数種の液体からなる混合液体である場合でも、その液体組成の変化を低く抑えつつ、水分を選択的に除去することができる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、例えばEtOHのように分子サイズの小さな液体からも、水分を良好に選択除去できる水分除去方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水分除去方法は、無機材質膜を利用して、例えば、EtOH、IPAなどの液体から、この液体中に含まれる水分を選択的に除去する方法である。
一般に、膜の細孔サイズは、細孔サイズが数nmよりも大きい場合には、例えばKelvinのキャピラリ凝縮式(例えば特開昭62−33521号公報など参照。)により決定することができ、その値から膜の特性を判断することができる。しかしながら、上記非特許文献1などにも記載されているように、細孔サイズが1nm未満の場合は、この方法では細孔サイズを正確には判断できない。そのため、従来、1nmより小さな細孔サイズの膜については、大きさが既知である気体分子を実際に透過させ、その透過流量を比較するなどの間接的な方法により膜の特性を判断するしかなかった。
このような事情を背景として、本発明者は鋭意検討した結果、ある膜が例えばEtOHなどの分子サイズの小さな液体からも、水分を良好に選択除去できる特性を有するか否かついては、膜のHeガス透過流量FHeとSF(六フッ化硫黄)ガス透過流量FSF6とに着目し、これを指標とすることによって、判断できることを見出し、本発明を完成するに至った。Heの分子サイズは0.26nmであり、水の分子サイズ0.265nmに近いため、Heガス透過流量FHeは水分透過量の指標になり、また、SFの分子サイズは0.550nmであり、分子サイズが0.431nmのEtOHや、0.464nmのIPAなどの液体と近いため、SFガス透過流量FSF6は液体透過量の指標になるものと考えられる。なお、SFは常温下で気体である。
【0011】
本発明の液体からの水分除去方法は、無機材質膜を用いて液体から水分を除去する方法であって、前記無機材質膜は、Heガス透過流量FHeとSFガス透過流量FSF6との比:FHe/FSF6が100〜10000であるとともに、SFガス透過流量FSF6が、1×10−11〜1×10−8mol/(m・Pa・sec)である。
前記液体の分子サイズは、0.36nm以上であることが好ましい。
前記液体がエタノールおよび/またはイソプロピルアルコールであると、非常に効果的に水分除去できる。
前記無機材質膜は、シリカ膜またはシリカ−ジルコニア膜を具備して構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えばEtOHのように分子サイズの小さな液体からも、水分を非常に良好に選択除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】無機材質膜の一例を示す断面図である。
【図2】シリカ膜を模式的に示す図である。
【図3】ガス透過流量測定装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】パーベーパレーション測定装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】ガス透過流量の測定結果を、透過分子サイズに対して、プロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液体からの水分除去方法では、下記の条件(1)と条件(2)とを満足する無機材質膜を用いる。
条件(1):Heガス透過流量FHeとSFガス透過流量FSF6との比:FHe/FSF6が100〜10000である。より好ましくは、300〜1500である。
条件(2):SFガス透過流量FSF6が1×10−11〜1×10−8mol/(m・Pa・sec)である。より好ましくは、1×10−10〜1×10−8mol/(m・Pa・sec)である。
【0015】
このような無機材質膜を用いて、膜の一方の面側(一次側)に処理対象の液体を供給することにより、特に液体中の水分が無機材質膜を選択透過し、水分を他方の面側(二次側)から除去することができる。
【0016】
なお、上記条件(1)および(2)における各ガス透過流量は、測定温度200℃における値である。仮に常温などの低温下でガス透過流量を測定した場合には、無機材質膜の細孔表面と液体や水分の分子との間に相互作用が生じ、透過現象と細孔サイズとの関連付けが複雑になってしまう。よって、このような相互作用を無視できる程度に抑えるために、200℃の高温下での測定値を採用した。また、測定時のガス供給圧力は、0.1〜0.4MPaの範囲で、圧力を上げていきながら、透過流量が圧力に比例することを確認して、単位圧力での気体透過流量での値、「mol/(m・Pa・sec)」へ換算した。
【0017】
本発明の水分除去方法で処理対象とする液体は、常温常圧下で液体であるものであればいかなるものでもよい。具体的には、EtOH(分子サイズ:0.431nm)、IPA(分子サイズ:0.464nm)、メタノール(分子サイズ:0.367nm)、2−ブタノール(分子サイズ:0.464nm)などのアルコールや、アセトン(分子サイズ:0.467nm)などの有機液体を例示でき、これらのうちの1種または2種以上からなる混合液体から、水分除去することができる。さらに、液体としては、軽油、重油、潤滑油、絶縁オイルなどの油類;リチウムイオン二次電池の電解液;液晶なども例示できる。
なお、EtOH、IPA、メタノール、アセトンの分子サイズは、上述の参考文献2から引用した数値であり、Lennard-Jones potential におけるLennard-Jones potential diameter σの値を[nm]単位で記載した。
【0018】
無機材質膜のFHe/FSF6が条件(1)の下限値未満では、水分の選択透過性が低く、水分と液体とを十分には分離することができない。一方、上限値を超える膜は、膜の製造自体が実質的に困難である。
また、たとえFHe/FSF6が条件(1)の範囲内であっても、FSF6が条件(2)の下限値未満では、液体の透過を抑制できるものの、水分の透過も抑制され、実用性に欠ける。また、FHe/FSF6が条件(1)の範囲内であっても、FSF6が条件(2)の上限値をを超えると、液体の透過が多すぎて、やはり実用的ではない。
【0019】
このように無機材質膜のFHeとFSF6とを指標とすることによって、液体を用意して実際に無機材質膜による水分除去を行わなくても、その無機材質膜が分子サイズの小さなEtOH、IPAなどの液体からも水分を良好に選択除去できるものであるか否かついて、判断できる。これは、Heの分子サイズは0.26nmであり、水の分子サイズ0.265nmに近いため、FHeが水分透過量の指標になり、また、SFの分子サイズは0.550nmであり、分子サイズが0.431nmのEtOHや、0.464nmのIPAなどの液体と近いため、FSF6が液体透過量の指標になるためと考えられる。よって、このような指標を採用することによって、液体からの水分除去の挙動を適切に判断できるものと考えられる。
【0020】
本発明で用いられる無機材質膜としては、上記条件(1)および(2)を満足するものであれば、その材質、形態などに制限はないが、例えば、図1に示すように、セラミック基材などの多孔質基材11上に、シリカコロイドゾル、ジルコニアコロイドゾル、チタニアコロイドゾルから選ばれる1種以上のコロイドゾルを透過膜原料としてホットコーティングによりコーティング後、焼成し、厚みの薄いアモルファスな分子篩機能層である透過膜12を形成させた複合膜の形態の無機材質膜10が好適に例示できる。
【0021】
このような無機材質膜10の一例として、管状のセラミック基材上に、アモルファスなシリカ膜からなる透過膜12が形成された複合膜を例に挙げて、その製造方法を説明する。
まず、セラミック基材として、例えばα−アルミナ多孔質管を用意し、このセラミック基材の外周面上に、α−アルミナ粒子をいわゆるデポジット(deposit)して、セラミック基材の外周面を平滑にするとともに、外周面に形成されている比較的大きな細孔を封止する。具体的には、シリカコロイドゾルをバインダーとしてα−アルミナ粒子をセラミック基材の外周面上にコーティングし、例えば450〜550℃で加熱、焼成する。これによって、次の工程で透過膜原料のコロイドゾルをこの上にコーティングした際のピンホール欠陥も防止できる。
【0022】
セラミック基材としては、その細孔径が数百nm〜数十μm程度、より好適には数μmであるものを使用する。これは、用いるα−アルミナ粒子の大きさにもよるが、このアルミナ粒子と、同程度の細孔サイズを有するものを用いることによって、細孔を粒子で埋めて、基材表面を平滑化しやすいためである。また、肉厚は、0.1〜5mm程度のものが好ましい。
α−アルミナ粒子としては、粒子径が0.2〜2.0μmのものを用いることが好ましく、粒径の異なる複数種の粒子を用いると、セラミック基材を平滑にしやすいので、その点で好ましい。
【0023】
ついで、このセラミック基材をあらかじめ170〜190℃に加熱しておく。そして、加熱されたセラミック基材に透過膜原料であるシリカコロイドゾルを接触させて、ゾル中の溶媒を瞬間的に蒸発させる。そして、これを焼成することにより、ゾルの縮合が完結し、細孔が形成されたシリカ膜を形成することができる。
【0024】
シリカコロイドゾルは、例えば、シリカの原料であるテトラエトキシシランをエタノールに溶かし、酸触媒として塩酸あるいは硝酸を加えて、溶液のpHを1〜3付近として50〜100℃、1〜24時間の条件で加水分解、縮合を行う方法により調製できる。
【0025】
このようにあらかじめ加熱されたセラミック基材に透過膜原料であるシリカコロイドゾルを接触させて、ゾル中の溶媒を瞬間的に蒸発させるコーティング方法、すなわち、ホットコーティングによれば、きわめて薄い膜を容易に形成することができる。また、このようなホットコーティングの後には焼成するが、その後さらに、ホットコーティングして焼成することを適宜繰り返すと、膜厚を大きくすることができる。
条件(1)および(2)の条件の無機材質膜を形成するためには、ホットコーティング−焼成の工程を繰り返し、合計で2〜10回行うことが好ましい。また、このように繰り返すことにより、最終的には10〜300nm程度の膜厚のシリカ膜を形成することができる。
【0026】
上述の説明では、水分を選択的に透過する透過膜12として、シリカ膜を例示したが、その他にも、例えば、シリカ−ジルコニア膜、ジルコニア膜、チタニア膜なども好適に例示できる。
例えば、シリカ−ジルコニア膜を形成する場合には、ジルコニアの原料であるテトラブトキシジルコニアを同様にエタノールに溶かし、酸触媒として塩酸あるいは硝酸を加えて、溶液のpHを1〜3付近として、加水分解、縮合を行い、ジルコニアコロイドゾルを得る。そして、別途上述の方法などで調製したシリカコロイドゾルとこれを混合する。ついで、得られたシリカ−ジルコニアコロイドゾルを用いて、上述のホットコーティングと焼成とを適宜繰り返すことにより、シリカ−ジルコニア膜を形成することができる。
なお、シリカ−ジルコニアコロイドゾルは、テトラエトキシシランとテトラブトキシジルコニアをエタノールに同時に加えながら、上述のように酸触媒として塩酸あるいは硝酸を加えて、溶液のpHを1〜3付近に調整し、加水分解、縮合する方法でも調製できる。
【0027】
また、ジルコニア膜、チタニア膜を形成する場合にも、これらに対応するコロイドゾル、すなわち、ジルコニアコロイドゾル、チタニアコロイドゾルなどを透過膜原料として用いて、シリカ膜の場合と同様にして膜形成すればよい。
さらに、上述の説明では、管状の多孔質基材11上にシリカ膜などの透過膜12が形成された複合膜を例示したが、多孔質基材11を備えない膜でもよいし、管状でなくてもよい。しかしながら、上述したように、多孔質基材11を備えた複合膜であれば、製造が容易である。また、強度(耐圧性)にも優れるため、液体からの水分除去に際して無機材質膜10を液体中に浸し、加圧条件下にて液体を供給し、一方の面側を減圧に吸引して、大きな圧力差の下で水分除去することもできる。また、粘性の高い、例えば液晶などの液体においては、室温よりも温度を上げて粘性を低下させた上で、大きな圧力差のもとで、水分を除去することもできる。
【0028】
このような無機材質膜10の製造においては、形成される無機材質膜10の特性は使用されたコロイドゾル中のコロイド粒子径や、コーティング方法、焼成温度、焼成時間の影響を受ける。
上記条件(1)および(2)を兼ね備えた無機材質膜10を製造するための好適なコロイド粒子径は10〜20nmの範囲である。また、コロイド粒子径をこのような範囲とするためには、上述した加水分解時におけるテトラエトキシシランなどの膜原料化合物:水:硝酸などの酸触媒の質量比率は、例えば、7.5〜10:100:0.5の範囲とすることが好適である。
また、焼成温度は好ましくは300〜600℃、より好ましくは400〜500℃の範囲であり、焼成時間は30分間〜数日間の範囲で適宜設定する。
【0029】
こうして形成された無機材質膜10においては、図2にシリカ膜を模式的に例示して説明するが、膜を構成する粒子、すなわちこの例ではシリカ粒子P同士の間隔Aが適切に制御され、この間隔Aを水分やHeは透過できるものの、EtOH、IPAなどの溶液やSFはほとんど通過できないようにされていると考えられる。そのため、このような無機材質膜10は、上記条件(1)および(2)を満たし、その結果、EtOHのように分子サイズの小さな液体からも、水分を非常に良好に選択除去できると考えられる。また、このように分子サイズの小さなEtOHであっても、その中に含まれる水分を効果的に除去できるため、分子サイズがEtOHよりも大きな各種液体からも、当然同様に、水分を除去できる。
通常、シリカ粒子Pの内部においては、図2に示すように、−Si-O-Si−のネットワークが形成されており、水分や、Heは透過できるが、EtOH、IPAなどの分子は、透過できない。したがって、水分と、液体分子との篩い分けにおいては、前述のように、間隔Aを制御することが重要である。
【0030】
次に、無機材質膜10のガス透過流量を測定する方法と、無機材質膜10を用いて液体から水分を除去し、その際の水分透過量と液体透過量とを測定する方法について説明する。
図3は、ガス透過流量測定装置20の好適な一例を示すものであって、管状の無機材質膜10について、Heガス透過流量FHe、SFガス透過流量FSF6などのガス透過流量を測定するものである。
このガス透過流量測定装置20は、無機材質膜10とこの無機材質膜10に供給されるガスとを加熱するためのヒータ21を備えている。このヒータ21は筒状であって、その一方の端部21aには、ガスボンベシリンダ22からのガスをヒータ21内に導入するためのガス導入管23が接続されている。他方の端部21b側には、ヒータ21内に配置された無機材質膜10を透過しなかったガスが排出されるガス排気管24が接続されているとともに、ヒータ21内に配置された無機材質膜10を透過したガスが排出される透過ガス排出管25が備えられている。また、ヒータ21には、無機材質膜10内の温度を測定する熱電対26aを備えた温度コントローラ26が接続され、25〜300℃の温度範囲において、無機材質膜10のガス透過流量を測定できるようになっている。
【0031】
ガス導入管23の途中には、ガスボンベシリンダ22からヒータ21内に供給されるガスの流量を制御するマスフローコントローラなどの流量コントローラ27と、圧力を制御する圧力制御弁28とが備えられ、0.1〜0.4MPaのガス供給圧力範囲において、ガス透過流量を測定できるようになっている。
透過ガス排出管25の下流端は石鹸膜流量計などのガス流量計29に導入され、無機材質膜10を透過したガスの透過流量が測定されるようになっている。
なお、図3中、符号Pは圧力計、Sはストップバルブ、Nはニードルバルブ、Cは三方コックである。
【0032】
このガス透過流量測定装置20を使用して、ガス透過流量を測定する場合には、まず、一方の端部が封止され、他方の端部が開放されている管状の無機材質膜10を用意し、これをヒータ21内に配置する。ついで、開放されている側の端部に透過ガス排出管25の上流端を接続する。そして、ヒータ21を所定の温度(この例では200℃)まで加熱するとともに、ガスボンベシリンダ22を開き、流量コントローラと圧力制御弁27とを調整し、ガスボンベシリンダ22内のガスを所定のガス供給圧力(この例では0.1〜0.4MPa)でヒータ21内に導入する。
すると、ヒータ21内に導入されたガスのうち、無機材質膜10の外周側から内周側へと透過したガスが石鹸膜流量計へと導かれ、ガス透過流量を測定することができる。
【0033】
図4は、無機材質膜10を用いて液体から水分を除去する場合に好適に使用されるパーベーパレーション(pervaporation)測定装置30の一例を示すものであって、管状の無機材質膜10を用いて液体から水分を除去する際に使用されるものである。
この測定装置30は、水分除去の対象である液体が投入されるガラス容器31を具備している。ガラス容器31は、両端側の連結部で連通され、互いに通液可能な第1筒部31aと第2筒部31bとを備えている。第1筒部31aには攪拌モータ32aを備えた攪拌翼32が挿入配置されているとともにヒータ33が設けられ、第1筒部31a内の液体を攪拌しながら、加熱できるようになっている。ヒータ33には、液温を測定する熱電対33bを備えた温度コントローラ33aが接続されている。一方、第2筒部31b内には無機材質膜10が配置されるようになっている。また、無機材質膜10の内周側には、下流端に真空ポンプなどの減圧手段34が接続された減圧配管35の上流端が接続治具36により接続され、真空ポンプを作動させることによって、無機材質膜10の内周側の圧力を外周側よりも低くできるようになっている。また、減圧配管35の途中には、液体窒素などの冷媒を備えたコールドトラップ37がこの例では2つ直列に配置され、無機材質膜10を透過した水分や液体がここで冷却され、凝縮固体として捕集されるようになっている。
【0034】
この測定装置30を使用して液体から水分を除去し、その際の無機材質膜10の水分透過量(水蒸気透過量)と液体透過量(液体蒸気透過量)とを測定する場合には、まず、管状の無機材質膜10を第2筒部31b内に配置するとともに、接続治具36を無機材質膜10の内周側に挿入する。ついで、ガラス容器31内に液体を投入し、攪拌モータ32aにより攪拌翼32を500〜1000rpmの回転速度で作動させるとともに、ヒータ33により液体の温度(フィード温度)を室温もしくは30〜60℃程度に加熱する。ここで攪拌翼32による攪拌は、無機材質膜10に供給される液体に流れを持たせる目的と、ガラス容器31内の液温を均一にする目的のために行う。また、液体を上記温度範囲で加熱する目的は、溶存している水分を拡散しやすくするためであり、また、液体が高粘性液体である場合にはその粘度を下げて、液体を無機材質膜10に供給しやすくするためでもある。なお、このような攪拌条件下では、水分透過量と液体透過量は攪拌翼32の回転速度に依存しないことを確認している。
そして、真空ポンプを作動させて、無機材質膜10の内周側を減圧する。すると、無機材質膜10の内周側と外周側との圧力差により、液体および水分は無機材質膜10の外周側(一次側)から内周側(二次側)に透過し、コールドトラップ37に捕集される。ついで、捕集された凝縮固体を室温に戻して液体とし、この液体の組成をガスクロマトグラフにより分析することにより、無機材質膜10の水分透過量と液体透過量とを求めることができる。なお、図4中符号Pは、圧力計である。
【0035】
図3に例示したようなガス透過流量測定装置20で測定されたHeガス透過流量FHeおよびSFガス透過流量FSF6が、上記条件(1)および(2)を満足する無機材質膜10によれば、図4に例示したようなパーベーパレーション測定装置30により液体から水分を除去した際に、その液体が例えばEtOHのように分子サイズの小さな液体であっても、無機材質膜10を透過する液体の量を低く抑え、一方、水分を選択的に透過させることができる。
具体的には、上記条件(1)および(2)を満足する無機材質膜10によれば、特に50℃(フィード温度)における液体透過量を3mol/(m・hr)以下にまで抑制できることが明らかになっている。
よって、このような無機材質膜10を用いた水分除去は、例えば、リチウムイオン二次電池の電解液の水分除去;工業用エタノール、メタノールの脱水;潤滑油の水分除去;軽油、重油中の水分除去;変圧器に用いられる絶縁オイルの水分除去;ガラス基板の間に真空封入される液晶の水分除去などへの利用が期待される。
【0036】
特に、このように液体透過量を低く抑制できると、処理対象の液体が混合液体である場合でも、その組成変化を極力抑えて、水分を除去することができる。よって、処理対象の液体が表示デバイスに用いられる液晶である場合、このような無機材質膜10による水分除去は非常に有効である。
すなわち、液晶を二枚のガラス基板の間に封入し、表示デバイスを製造する場合、封入はガラス基板の間を高真空とした条件下で行なわれるため、液晶からの水分除去は、水蒸気による気泡を除去するために不可欠である。液晶のように、高価な液体材料を多種類配合して用いる場合、特定成分が膜透過してしまうと、液晶の配合バランスが崩れ、液晶の損失にも繋がる。その点、条件(1)および(2)を満たす無機材質膜10は、分子サイズの小さな液体であっても、その透過量を抑えることができるため、液晶の水分除去にも大きな効果を発揮し、実用的である。
【0037】
また、後述の実施例でも示すように、このような無機材質膜10によれば、特に分子サイズが0.36nm以上の液体の透過を低く抑制することができる。よって、このような無機材質膜10を使用すると、分子サイズが0.36nm以上である液体からの水分の除去に特に優れた効果を発揮する。
分子サイズが0.36nm以上の液体分子としては、すでに例示した各種アルコールやアセトンの他、(CO (0.55nm)、CHCOOCH(0.51nm)、CHCOOC(0.52nm)を例示することができる。カッコ内は、分子直径の値である。ここに示した分子直径は、上述の参考文献2の1214頁より引用した値である。
【実施例】
【0038】
[実施例1]
(シリカ膜(Si−1膜)の作製)
(1)シリカコロイドゾルの調製
テトラエトキシシラン(TEOS)をシリカ源として使用し、以下の手順で、透過膜原料のシリカコロイドゾルを得た。
三角フラスコに、溶媒である水、酸触媒である希硝酸を加え、さらにそこへTEOSを加えた。この混合液を25℃で1時間、スターラーで攪拌しながら加水分解を行い、TEOS加水分解溶液を作製した。これをホットスターラーで、12時間、加熱攪拌(液温度:180℃)しながら、加水分解−縮合を行い、シリカコロイドゾルを作製した。
コロイド粒子の粒子径は、動的光散乱法(粒子にレーザー光を照射し、粒子がブラウン運動する速さを求め、その値をもとにして、粒子径を算出する方法)を用いて求めることができる。この測定により求めたコロイド粒子径は、10〜20nmの範囲であった。
(2)セラミック基材の準備
セラミック基材として、長さ70〜100mm、外径10mm、肉厚1mm、公称平均細孔径1μmのα‐アルミナ多孔質管を用いた。その両端に、外径8mmの軟質ガラス管をガラスフリット粉により連結させて、一端に連結された軟質ガラス管をバーナー炎で閉じた。このようにして一方の端部が封止されたセラミック基材を準備した。
ついで、セラミック基材の表面を平滑にするために、その外周面上に、シリカコロイドゾルをバインダーとして粒径の異なる2種類のα‐アルミナ微粒子(高純度アルミナ:住友化学工業;平均粒径1.84μmおよび0.2μm)をコーティングし、これを450〜550℃で焼成した。
(3)ホットコーティング、焼成
ついで、上記(1)で調製したシリカコロイドゾル(固形分濃度:2質量%)を、あらかじめ180℃に加熱されている上記(2)のセラミック基材上にホットコーティングし、450〜550℃で焼成する手順を繰り返し、ホットコーティング−焼成の工程を合計で4回行った。このようにしてセラミック基材上にシリカ膜(分子篩機能層である透過膜)が形成されたSi−1膜を作製した。また、形成されたシリカ膜の膜厚は、150nmであった。なお、膜厚は、複合膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察して求めた。
【0039】
(Si−1膜の純ガス透過流量測定)
得られたSi−1膜のガス透過流量を図3に記したガス透過流量測定装置20を用いて測定した。ガスは、HeおよびSFの他、CO、N、Cの合計5種について行い、測定温度は200℃とし、ガス供給圧力は0.1〜0.4MPaとして、この範囲で圧力を上げながら、透過流量を測定し、測定値を単位圧力での値に換算した。
なお、各ガスの分子サイズはすでに表1に示したとおりである。また、その他のガスの分子サイズも参考のために表1に例示している。
測定された各ガス透過流量を図5および表2に示す。
表2中、()内の数値は、SFSF6を1とした場合のそれ以外のガスの透過流量の値である。
【0040】
(Si−1膜の水分透過量および液体透過量測定)
また、得られたSi−1膜を用いて液体から水分を除去し、その際の水分透過量と液体透過量を図4のパーベーパレーション測定装置30により測定した。
液体としては、それぞれ微量の水分を含む有機溶媒(EtOH、IPA、2−ブタノール(2−BuOH))を用いた。これらの液体の組成、フィード温度を表2に示す。
そして、コールドトラップにより捕集された水分および液体の量をガスクロマトグラフにより分析し、水分透過量、すなわち水蒸気透過量FH2Oと、液体透過量、すなわち液体蒸気透過量Fsolとを求めた。結果を表2に示す。
【0041】
また、表3にはvapor permeanceとして、表2に記載された水蒸気透過量および液体蒸気透過量を測定温度(フィード温度:50℃)での液体および水蒸気の蒸気圧(Feed側の水蒸気圧Vfeed,H2O、溶液蒸気圧Vfeed,sol)で割り、mol/(m・sec・Pa)の単位に換算した値を示した。
そして、これらの値から、水蒸気透過流量FH2Oと液体蒸気透過流量Fsolとの比:FH2O/Fsolを求め、表3に水蒸気選択透過性として記載した。この比が1を超えると、水分が液体よりも選択的に透過することを意味する。この比が2以上であると、液体からの水分の選択除去能が優れていると判断できる。
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
[実施例2および3]
(シリカ−ジルコニア膜(SZ−1膜、SZ−4膜)の作製)
(1)シリカ−ジルコニアコロイドゾルの調製
本実施例においては、加水分解反応速度の遅いTEOSを先に加水分解させ、その後、ジルコニウムテトラブトキシド(ZrTB) を投入し、加水分解させることで、加水分解反応速度が異なるアルコキシドから、透過膜原料であるシリカ−ジルコニアコロイドゾルを得た。
具体的なコロイドゾル調製方法を順に説明する。
なお、本実施例においては、Si/Zrの組成比が1:1となるようにした。
【0045】
[1]三角フラスコにTEOSを入れ、次いでエタノールを加えた後、水が入らないように蓋をしてTEOS混合溶液を作製した。
[2]試験管Aに、TEOSを加水分解するために必要な水を必要量だけピペットで採取し、この水の中に1N−塩酸(ピペットで数滴)を加えながら、十分に攪拌を行い、pH2〜3の加水分解用の水溶液を用意した。
[3][2]で用意したTEOS加水分解溶液を[1]に加えて、室温にて攪拌しながら、TEOSの加水分解を行った。
[4]三角フラスコに、エタノールと、ジルコニア−テトラブトキシド(ZrTB)を加えて、混合溶液を作り、これを上記[3]で調製したTEOS加水分解液へ加えた。
[5]試験管Bに、エタノール、ZrTBの加水分解に必要な水、1N−塩酸(ピペットで数滴)を混合し、ZrTB加水分解溶液を用意した。
[6]上記[4]の溶液に、上記[5]で調製した溶液を加えて十分に攪拌を行い、ZrTBの加水分解を行った。
[7]試験管Cに、水と1N−塩酸(ピペット数滴)を混合した溶液を用意した。この溶液は、縮重合用の酸触媒溶液である。
[8]上記[6]の溶液へ、[7]の酸触媒溶液を加えて、ヒータにて沸騰するまで加熱しながらその状態を10時間保持し、縮重合を行った。
[9]10時間経過したら、ヒータを切り、溶液が室温まで冷めるまで、攪拌を続けた。
以上のような手順で1.0質量%、2.0質量%の2種類のシリカ−ジルコニア(1:1)コロイドゾルを調製した。
得られたコロイドゾルのコロイド粒子径は、10〜20nmの範囲であった。
【0046】
(2)セラミック基材の準備
実施例1の(2)と同様にして、セラミック基材を得た。
(3)ホットコーティング、焼成
ついで、上記(1)で調製した2種のシリカ−ジルコニアコロイドゾル(固形分濃度1.0質量%および2.0質量%)をそれぞれ、あらかじめ180℃に加熱されている上記(2)のセラミック基材上にホットコーティングし、450〜550℃にて焼成した。この手順を繰り返し、ホットコーティング−焼成の工程を合計で4回行った。こうして、セラミック基材上にシリカ−ジルコニア膜(分子篩機能層である透過膜)が形成されたSZ−1膜、SZ−4膜を製造した。また、形成されたシリカ−ジルコニア膜の膜厚は200〜250nmであった。
実施例2および3で用いたコロイドゾルの固形分濃度は、実施例2では1.0質量%、実施例3では2.0質量%とした。また、得られたSZ−1膜、SZ−4膜におけるシリカ−ジルコニア膜の膜厚は表2に示したとおりである。
【0047】
(SZ−1膜、SZ−4膜の純ガス透過流量測定)
実施例1と同様に実施した。ただし、Cについてはガス透過流量の測定を省略した。結果を図5、表2および3に示す。
【0048】
(SZ−1膜、SZ−4膜の水分透過量および液体透過量測定)
実施例1と同様に実施した。結果を表2および3に示す。
【0049】
[比較例1]
(シリカ膜(Si−2膜)の作製)
実施例1と同様にして、シリカコロイドゾルを調製した。ただし、調製後、このゾルを室温で2週間放置して、シリカコロイドゾルのコロイド粒子径を20nmを超えるまで大きくした。
以降の工程は実施例1と同様にしてSi−2膜を作成し、この膜について同様の各種測定を行った。結果を図5、表2および3に示す。
【0050】
[考察]
以上の結果から明らかなように、条件(1)および(2)を満たす無機材質膜を用いた各実施例では、FH2O/Fsolが10〜60となり、水分を非常に良好に選択除去できることが示された。
また、図5のグラフから、実施例1〜3では、液体の分子サイズが小さくなるにしたがって、ガス透過流量が大きくなっていることが理解できる。そして、その傾向は分子サイズ0.36nmを境にして顕著になる。よって、液体の分子サイズが0.36nm以上であると、その液体のガス透過流量をより効果的に抑制できると理解できる。
条件(1)および(2)を満たさない無機材質膜を用いた比較例1では、この例で透過させた5種の全ガスを多く透過し、FH2O/Fsolも小さい値であった。
また、非特許文献1に記載された膜を追試作製し、本明細書の実施例と同様にしてHe、SF、Nのガス透過流量を測定したところ、図5に示すようになり、条件(1)および(2)を満たさないものであった。
【符号の説明】
【0051】
10 無機材質膜
11 多孔質基材
12 透過膜
シリカ粒子
A シリカ粒子間の間隔
20 ガス透過流量測定装置
21 ヒータ
21a ヒータの一方の端部
21b ヒータの他方の端部
22 ガスボンベシリンダ
23 ガス導入管
24 ガス排気管
25 透過ガス排気管
26 温度コントローラ
26a 熱伝対
27 流量コントローラ
28 圧力制御弁
29 ガス流量計
P 圧力計
S ストップバルブ
N ニードルバルブ
C 三方コック
30 パーベーパレーション測定装置
31 ガラス容器
31a ガラス容器の第1筒部
31b ガラス容器の第2筒部
32a 攪拌翼
32a 攪拌モータ
33 ヒータ
33a 温度コントローラ
33b 熱伝対
34 減圧手段
35 減圧配管
36 接続治具
37 コールドトラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機材質膜を用いて液体から水分を除去する方法であって、
前記無機材質膜は、Heガス透過流量FHeとSFガス透過流量FSF6との比:FHe/FSF6が100〜10000であるとともに、
SFガス透過流量FSF6が、1×10−11〜1×10−8mol/(m・Pa・sec)である、液体からの水分除去方法。
【請求項2】
前記液体の分子サイズは、0.36nm以上である請求項1に記載の水分除去方法。
【請求項3】
前記液体は、エタノールおよび/またはイソプロピルアルコールである請求項2に記載の水分除去方法。
【請求項4】
前記無機材質膜は、シリカ膜またはシリカ−ジルコニア膜を具備して構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の水分除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−194438(P2010−194438A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41281(P2009−41281)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年8月24日 社団法人化学工学会発行の「化学工学会 第40回秋季大会 研究発表講演要旨集」(CD−R)に発表
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】