説明

液体の包装用容器を製造するための少なくとも二層の積層材料を含有する包装材料

包装材料は、液体を包装する容器を製造するために、それぞれポリマーサイズ剤でエンジンサイズ処理した紙またはサイズ処理した厚紙の少なくとも二層の積層体および少なくとも1種の水を透過しないフィルムからなり、紙生成物は、それぞれ
(i)セルロース繊維の水性スラリーを含有する紙原料を、保留助剤および場合により水溶性アルミニウム化合物および場合により少なくとも1種のカチオンポリマーの存在で、少なくとも1種のポリマーサイズ剤またはポリマーサイズ剤およびアルキルケテンダイマーまたはその混合物の水性分散液でエンジンサイズ処理し、
(ii)紙原料を製紙機のふるい上で排水し、
(iii)紙生成物を乾燥し、および
(iv)紙生成物を片面または両面でプラスチックまたは金属フィルムを用いて積層することにより得られ、液体、特に飲料を包装する容器を製造するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体の包装のためのサイズ処理した紙またはサイズ処理した厚紙および少なくとも1個の水を透過しないフィルムからなる少なくとも二層の積層体を含有する包装材料およびサイズ処理され、片面または両面にプラスチックまたは金属フィルムを用いて積層化された紙生成物の、液体、特に飲料を包装する容器を製造するための使用に関する。
【0002】
欧州特許第0292975号は、液体を包装する厚紙を製造するための、カチオン性ロジンサイズ剤およびミョウバンのような非溶解性を付与する物質と組み合わせたアルキルケテンダイマーのエマルジョンの使用を記載する。厚紙はセルロース繊維の水性スラリーにサイズ剤およびみょうばんを添加することにより製造する。
【0003】
欧州特許第1091043号は被覆された包装用厚紙の製造方法を記載し、セルロース繊維の水性スラリーをロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマーのような合成サイズ剤、および少なくとも1個のアルミニウム化合物の水性分散液でエンジンサイズ処理し、水性スラリーをふるい上で排水する。エンジンサイズ剤の水性分散液は場合により分散剤、例えばカチオンデンプン、カゼイン、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、またはポリエチレンイミンを含有することができる。厚紙は一般にサイズ処理の後に被覆する。
【0004】
両面に液体透過性層を有して積層化される食物の包装を目的とする紙生成物はWOA−02/090206号に記載されている。紙生成物はアルキルケテンダイマーの水性分散液でサイズ処理される。アルキルケテンダイマーの量は乾燥紙生成物の質量に対して少なくとも0.25質量%、有利に0.25〜0.4質量%である。
【0005】
基層が紙または厚紙からなる他の多層包装材料は、例えばWO−A−97/02140号、WO−A−97/02181号およびWO−A−98/18680号に記載されている。
【0006】
技術水準は紙および厚紙のサイズ処理のためのアルキルケテンダイマーの水性分散液およびポリマーサイズ剤を含有するサイズ剤混合物の使用を記載する、ドイツ特許第3235529号、WO−A−94/05855号およびWO−A−96/31650号参照。
【0007】
ドイツ特許第10237913.0号は液体を包装する厚紙の製造方法を記載する。この方法において、セルロース繊維の水性スラリーを少なくとも1種の保留助剤および少なくとも1種のカチオンポリマーおよび場合により水溶性アルミニウム化合物の存在で少なくとも1種のサイズ剤でサイズ処理し、紙原料をふるい上で排水することにより厚紙を製造する。記載されるサイズ剤はアルキルケテンダイマー、アルキルおよびアルケニルコハク酸無水物、アルキルイソシアネート、ロジン樹脂とみょうばんの組合せ、およびロジン樹脂と無水カルボン酸の反応生成物とみょうばんの組合せである。
【0008】
本発明の課題は、包装品が特に改良されたエッジ浸透性および紙または厚紙に対する積層体の改良された付着を有する、紙生成物をベースとする他の包装材料を提供することである。
【0009】
前記課題は、本発明により、紙または厚紙をそれぞれポリマーサイズ剤でエンジンサイズ処理する場合に、液体を包装する容器を製造するための、サイズ処理した紙またはサイズ処理した厚紙および少なくとも1種の水を透過しないフィルムからなる包装材料により解決される。
【0010】
本発明は更に、
それぞれセルロース繊維の水性スラリーからなる紙原料を、保留助剤および場合により水溶性アルミニウム化合物および場合により少なくとも1種のカチオンポリマーの存在で、サイズ剤として少なくとも1種のポリマーサイズ剤でまたはポリマーサイズ剤およびアルキルケテンダイマーまたはその混合物の水性分散液でサイズ処理し、紙原料を製紙機のふるい上で排水し、紙生成物を乾燥し、紙生成物を片面または両面にプラスチックまたは金属フィルムを用いて積層することにより得られる紙生成物の、液体、特に飲料を包装する容器を製造するための使用に関する。
【0011】
製紙工業に一般に使用されるすべてのセルロース繊維、例えば木材パルプおよびすべての一年生植物はサイズ処理した紙またはサイズ処理した厚紙の製造に使用することができる。機械パルプは例えば粉砕パルプ、熱機械パルプ(TMP)、化学熱機械パルプ(CTMP)、圧縮粉砕パルプ、セミ化学パルプ、高収量パルプ、リファイナー機械パルプ(RMP)、および廃紙であると理解される。漂白したまたは漂白していない形で使用できるパルプも適している。これらの例は硫酸パルプ、亜硫酸パルプおよびソーダパルプである。未漂白クラフトパルプとも呼ばれる未漂白パルプが有利に使用される。繊維は単独にまたは互いの混合物として使用できる。
【0012】
紙または厚紙のサイズ処理において、これらの材料の製造工程の間に紙原料にエンジンサイズ剤を添加し、製紙機のふるい上で前記紙原料を排水し、シートを形成することにより行う。本発明により使用されるエンジンサイズ剤は合成ポリマーを含有するポリマーサイズ剤である。特開昭58−115196号に記載されるポリマーサイズ剤は紙サイズ剤であり、同時に紙の強度を増加する水性ポリマー分散液である。これらの分散液は例えば澱粉および水性媒体中のラジカル重合開始剤の存在でのスチレンとアルキルアクリレートの重合により製造する。それぞれ使用される澱粉は重合の前に蒸解または分解され、水に溶解する。これらの分散液のポリマーは澱粉または変性澱粉上のスチレンとアルキルアクリレートのグラフトポリマーである。
【0013】
他のポリマーサイズ剤は欧州特許第0257412号および欧州特許第0267770号に記載されている。これらはラジカル開始剤、有利に過酸化水素またはレドックス開始剤の存在での分解澱粉を含有する水溶液中の乳化重合によりアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルおよび一価、飽和C〜C−アルコールの少なくとも1種のアクリレートの共重合により製造される。分解澱粉は粘度0.04〜0.50dl/gを有する。これらの澱粉は例えば天然の澱粉、またはカチオン変性澱粉またはアニオン変性澱粉の酸化分解、熱分解、酸分解または酵素分解により得られる。ジャガイモ、小麦、トウモロコシ、コメまたはタピオカからの天然澱粉が有利に使用される。酵素分解ジャガイモ澱粉が有利である。分解澱粉は例えば水性媒体中のスチレンとn−ブチルアクリレートの共重合に乳化剤として作用する。共重合を実施する水溶液は例えば1〜25質量%の少なくとも1種の分解澱粉を含有する。例えば前記モノマーの10〜150質量%、有利に40〜100質量%が水溶液100質量%中で重合する。アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルの代わりに共重合にスチレンを使用することも可能である、WO−A94/0585号参照。例えば50〜500nm、有利に100〜300nmの平均粒子直径を有するコポリマーの水性分散液が得られる。これらのポリマー分散液はおそらくそれぞれ分解澱粉上で使用されるモノマーのグラフトポリマーである。
【0014】
スチレンとC〜C−アルキル(メタ)アクリレートのコポリマーをベースとする他のポリマーサイズ剤はWO02/14393号に記載される。これは二工程法により分解澱粉とラジカル重合開始剤の存在で水性媒体中の前記モノマーの共重合により製造される。
【0015】
他の適当なポリマーサイズ剤は合成ポリマー保護コロイドの存在で製造できる水性ポリマー分散液である。これは例えば
場合によりプロトン化または四級化されていてもよい、ジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル(メタ)アクリレート
非イオン性疎水性エチレン不飽和モノマー、これらのモノマー中でそれ自体重合されている場合は疎水性ポリマーを形成する、および場合により
モノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸またはその無水物、
(1):(2):(3)のモル比は1:2.5〜10:0〜1.5である、
の溶液コポリマー1質量部の存在で、水溶液中で、
(a)スチレン、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリル
(b)C〜C18−アルコールのアクリレートおよび/またはメタクリレートおよび/または飽和C〜C−カルボン酸のビニルエステルおよび場合により
(c)他のモノエチレン性不飽和共重合可能モノマー
の混合物2〜32質量部
の共重合により得られる。
【0016】
まず水と混合する有機溶剤中で、群(1)および(2)および場合により(3)のモノマーの共重合により溶液ポリマーを製造する。適当な溶剤は例えばC〜C−カルボン酸、例えば蟻酸、酢酸およびプロピオン酸、またはC〜C−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノール、およびケトン、例えばアセトンである。有利に使用される郡(1)のモノマーはジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、およびジメチルアミノプロピルアクリレートである。群(1)のモノマーは有利にプロトン化されたまたは四級化された形で使用する。適当な四級化剤は例えば塩化メチル、ジメチルスルフェートおよび塩化ベンジルである。
【0017】
使用される群(2)のモノマーは非イオン性、疎水性、エチレン不飽和化合物であり、この化合物はそれ自体重合する場合は、疎水性ポリマーを形成する。これには、例えばスチレン、メチルスチレン、アクリル酸またはメタクリル酸のC〜C18−アルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、およびイソブチルアクリレートおよびイソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレートが含まれる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、および酪酸ブチルも適している。群(2)のモノマーの混合物、例えばスチレンとイソブチルアクリレートの混合物も共重合に使用できる。乳化剤として用いる溶液コポリマーは場合により重合された単位の形で配合されて群(3)のモノマー、例えばモノエチレン不飽和C〜C−カルボン酸またはその無水物、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、または無水イタコン酸を含有することができる。(1):(2):(3)のモル比は1:2.5〜10:0〜1.5である。こうして得られたコポリマー溶液を水で希釈し、この形で保護コロイドとして成分(a)および(b)および場合により(c)の前記モノマー混合物の重合に用いる。群(a)の適当なモノマーはスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはスチレンとアクリロニトリルの混合物またはスチレンとメタクリロニトリルの混合物である。使用される群(b)のモノマーはC〜C18−アルコールのアクリレートおよび/またはメタクリレート、および/または飽和C〜C−カルボン酸のビニルエステルである。このモノマーの群は前記の群(2)のモノマーに相当する。有利に使用される群(b)のモノマーはブチルアクリレートおよびブチルメタクリレート、例えばイソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、およびイソブチルメタクリレートである。群(c)のモノマーは例えばモノエチレン不飽和C〜C−カルボン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルイミダゾール、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびN−ビニルイミダゾールである。コポリマー1質量部当たり成分(a)〜(c)の成分のモノマー混合物1〜32質量部を使用する。成分(a)および(b)のモノマーは任意の所望の比で、例えば0.1:1〜1:0.1のモル比で共重合できる。
【0018】
群(c)のモノマーは必要によりコポリマーの特性を変性するために使用する。
【0019】
この種のサイズ剤は例えば欧州特許第0051144号、欧州特許第0058313号、および欧州特許第0150003号に記載されている。
【0020】
有利に使用されるポリマーサイズ剤は、
保護コロイドとして分解澱粉の水溶液中の乳化重合法により、ラジカル開始剤の存在で、
スチレン、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリル20〜65質量%
一価飽和C〜C−アルコールのアクリレートおよび/またはメタクリレート80〜35質量%
他のモノエチレン不飽和共重合可能なモノマー、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルホルムアミド、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、または塩基性モノマー、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、またはジメチルアミノプロピルメタクリレート0〜20質量%、塩基性モノマーは一般に塩酸塩の形でまたは塩化メチレン、ジメチルスルフェート、または塩化ベンジルで四級化された形で使用する
の共重合により得られる水性ポリマー分散液である。他の有利に使用されるポリマーサイズ剤は、保護コロイドとして分解澱粉の水溶液中の乳化重合法により、ラジカル開始剤の存在で、
スチレンおよび/またはメチルスチレン60〜90質量%
1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレン10〜40質量%
他のモノエチレン性不飽和共重合可能なモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはN−ビニルピロリドン0〜20質量%
の共重合により得られる水性ポリマー分散液である。
【0021】
ポリマーサイズ剤は有利にカチオン性またはアニオン性である。水性分散液の電荷はコポリマーに重合した単位の形で導入されるコモノマーのタイプにもとづく(例えば塩基性モノマーを使用する場合はポリマーサイズ剤分散液はカチオン性であるが、これに対して例えば重合した単位の形のアクリル酸またはその塩の導入の結果としてポリマーサイズ剤分散液はアニオン性である)かまたは使用される保護コロイドの電荷にもとづく。例えば乳化剤としてのカチオン澱粉の使用はカチオン性ポリマーサイズ剤分散液を生じる。
【0022】
紙または厚紙のエンジンサイジングのために、例えば乾燥紙生成物に対して0.1〜2.0質量%、有利に0.2〜0.75質量%のポリマーサイズ剤(すなわち濃度100%ポリマー)を使用する。
【0023】
紙および厚紙のエンジンサイジングは付加的に反応性サイズ剤、例えばアルキルケテンダイマー、C〜C22−アルキルおよび/またはC〜C22−アルケニル琥珀酸無水物、クロロ蟻酸エステルおよびC12〜C36−アルキルイソシアネートの水性分散液の存在でおよびロジン樹脂とカリ明礬の組み合わせまたはロジン樹脂と無水カルボン酸の反応生成物と明礬の組み合わせの存在で行うことができる。明礬または明礬の組み合わせの代わりに他のアルミニウム含有化合物、例えば欧州特許第1091043号に記載されるポリアルミニウム塩化物またはポリアルミニウム化合物を使用することができる。
【0024】
反応性サイズ剤の中でC12〜C22−アルキルケテンダイマー、例えばステアリルジケテン、ラウリルジケテン、パルミチルジケテン、オレイルジケテン、ベヘニルジケテンまたはこれらの混合物を有利に使用する。
【0025】
適当な琥珀酸無水物は例えばデセニル琥珀酸無水物、オクテニル琥珀酸無水物、ドデセニル琥珀酸無水物およびn−ヘキサデセニル琥珀酸無水物である。
【0026】
反応性サイズ剤は一般的に水性分散液の形で使用する。例えばアルキルケテンダイマーをカチオン澱粉の水溶液に分散するかまたは非イオン性またはアニオン性乳化剤をアルキルケテンダイマーの安定化のために使用する。形成される反応性サイズ剤分散液は使用される乳化剤または互いに相溶性の乳化剤の混合物の種類と量に応じてカチオンまたはアニオンの電荷を有するかまたは中性である。
【0027】
例えばアニオン乳化剤を水中でカチオン澱粉を用いて乳化したアルキルケテンダイマー分散液に添加することができる。アニオン乳化剤の電荷がカチオン乳化剤の電荷を圧倒的に上回る場合は、アニオン電荷のアルキルジケテンダイマー分散液が得られる。アニオン電荷を有する水性アルキルジケテン分散液は有利にアニオン乳化剤の水溶液中でアルキルケテンダイマーを乳化することにより製造する。例えばナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合物、スルホン化ポリスチレン、C10−〜C22−アルキル硫酸、リグニンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、または前記酸のナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩をアニオン乳化剤として使用することができる。アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸のホモポリマー、メタクリル酸のホモポリマー、イソブテンとマレイン酸および/またはアクリル酸のコポリマー、イソブテンまたはジイソブテンと無水マレイン酸の加水分解コポリマーもアルキルケテンダイマー分散液を製造するための適当な乳化剤である。ホモポリマーおよびコポリマーの酸基は例えば水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液またはアンモニアで部分的にまたは完全に中和されていてもよく、この形でアニオン乳化剤として使用することができる。ホモポリマーおよびコポリマーの分子量Mwは例えば1000〜15000、有利に1500〜10000である。乳化剤は例えば分散される反応性サイズ剤に対して3.5質量%まで、有利に2質量%までの量で使用する。
【0028】
反応性サイズ剤は選択的に包装材料の基材として本発明により使用される紙生成物のエンジンサイジングに使用する。前記サイズ剤は特に良好なエッジ浸透性を有する包装材料が所望である場合に特に使用する。その場合に前記サイズ剤はサイズ処理された紙生成物の製造に一般に必要な量で、例えば乾燥セルロース繊維に対して0.1〜2.0質量%、有利に0.1〜0.5質量%の量で使用する。例えばポリマーサイズ剤100質量部に対して0〜90質量部、有利に50〜90質量部の反応性サイズ剤を使用する。ポリマーサイズ剤分散液と反応性サイズ剤の水性分散液の混合物を使用する場合は、混合物は、例えばそれぞれポリマー含量に対して5〜50質量%、有利に10〜30質量%のポリマー(濃度100%)を含有する。
【0029】
反応性サイズ剤をポリマーサイズ剤と一緒に使用する場合は、反応性サイズ剤、有利にアルキルケテンダイマー分散液をまず紙原料に添加し、引き続きポリマーサイズ剤分散液を配量することができる。しかしアルキルケテンダイマー分散液および少なくとも1種のポリマーサイズ剤分散液を同時に紙原料に添加し、引き続き紙原料を排水してシートを形成することができるかまたは反応性サイズ剤、例えば少なくとも1種のアルキルケテンダイマー分散液および少なくとも1種のポリマーサイズ剤分散液の混合物を紙原料に添加し、紙原料を排水し、シートを形成する。
【0030】
ポリマーサイズ剤はもちろん表面サイズ剤として例えばサイズプレスを使用して紙の表面に塗布するかまたは紙の表面に噴霧することにより使用することができる。
【0031】
紙原料の排水は付加的に保留助剤の存在で行う。アニオン保留助剤または非イオン保留助剤、例えばポリアクリルアミドの他にカチオンポリマーを有利に保留助剤としておよび排水助剤として使用する。これにより製紙機の運動能力の著しい改良が達成される。使用できるカチオン保留助剤はこの目的のために商業的に入手できるすべての生成物である。これらは例えばカチオンポリアクリルアミド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、50000より多い分子量を有するポリアミン、場合によりエチレンイミンのグラフトにより変性されたポリアミン、ポリエーテルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリジン、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルテトラヒドロピリジン、ポリ(ジアルキルアミノアルキルビニルエーテル)、プロトン化されまたは四級化された形のポリ(ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート)、およびジカルボン酸例えばアジピン酸から得られるポリアミドアミン、およびドイツ特許第2434816号によるエチレンイミンでグラフトされ、ポリエチレングリコールジクロロヒドリンエーテルで架橋された、ポリアルキレンポリアミン例えばジエチレントリアミン、またはエピクロロヒドリンと反応して水溶性縮合物を生じるポリアミドアミン、およびアクリルアミドまたはメタクリルアミドとジアルキルアミノエチルアクリレートまたはメタクリレートのコポリマー、例えば塩酸との塩の形のまたは塩化メチレンで四級化された形のアクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレートのコポリマーである。他の適当な保留助剤は、カチオンポリマー例えばカチオン澱粉および微分散シリカを含有するかまたはカチオンポリマー、例えばカチオンポリアクリルアミドおよびベントナイトを含有する微粒子系である。
【0032】
保留助剤として使用されるカチオンポリマーは例えば(温度25℃およびpH7で、0.5質量%のポリマー濃度で、5%塩化ナトリウム水溶液中で測定した)少なくとも140のフィケンチャー(Fikentscher)のK値を有する。前記ポリマーは有利に乾燥セルロース繊維に対して0.01〜0.3質量%の量で使用する。
【0033】
場合により少なくとも1種のカチオンポリマーは前記物質のほかにセルロース繊維の水性スラリーに添加することができる。カチオンポリマーの例はビニルアミン単位を有するポリマー、ビニルグアニジン単位を有するポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド単位を有するポリマー、ポリエチレンイミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミンおよび/またはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドである。カチオンポリマーの量は例えば乾燥セルロース繊維に対して0.001〜2.0質量%、有利に0.01〜0.1質量%である。
【0034】
ビニルアミン単位を有するポリマーは知られている、米国特許第4421602号、米国特許第5334287号、欧州特許第0216387号、米国特許第5981689号、WO−A00/63295号および米国特許第6121409号参照。前記ポリマーはN−ビニルカルボン酸アミド単位を有する開鎖ポリマーの加水分解により製造する。これらのポリマーは例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、およびN−ビニルプロピオンアミドの重合により得られる。前記モノマーは単独にまたは他のモノマーと一緒に重合されていてもよい。
【0035】
N−ビニルカルボン酸アミドと共重合する適当なモノエチレン性不飽和モノマーは前記モノマーと共重合できるすべての化合物である。これらの例は1〜6個の炭素原子を有する飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニルおよびビニルエーテル、例えばC〜C−アルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、またはエチルビニルエーテルである。他の適当なコモノマーはエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸のエステル、アミドおよびニトリル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルである。
【0036】
他の適当なカルボン酸エステルはグリコールまたはポリアルキレングリコールから誘導され、それぞれ1個のみのOH基がエステル化されているもの、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートおよび分子量500〜10000を有するアクリル酸とポリアルキレングリコールのモノエステルである。他の適当なコモノマーはエチレン性不飽和カルボン酸とアミノアルコールのエステル、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレートおよびジエチルアミノブチルアクリレートである。塩基性アクリレートを遊離塩基、無機酸、例えば塩酸、硫酸または硝酸との塩、または有機酸、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、またはスルホン酸との塩の形でまたは四級化された形で使用することができる。適当な四級化剤は例えばジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、塩化メチル、塩化エチルおよび塩化ベンジルである。
【0037】
他の適当なコモノマーはエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、1〜6個の炭素原子のアルキル基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸のN−アルキルモノアミドおよびジアミド、例えばN−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、およびt−ブチルアクリルアミド、および塩基性(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、およびジエチルアミノプロピルメタクリルアミドである。
【0038】
N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−ビニルイミダゾール、および置換されたN−ビニルイミダゾール、例えばN−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−ビニル−4−メチルイミダゾール、N−ビニル−5−メチルイミダゾール、N−ビニル−2−エチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾリン、例えばN−ビニルイミダゾリン、N−ビニル−2−メチルイミダゾリン、N−ビニル−2−エチルイミダゾリンがコモノマーとして更に適している。N−ビニルイミダゾールおよびN−ビニルイミダゾリンは遊離塩基の形で使用されるほかに、無機酸または有機酸で中和された形でまたは四級化された形で使用され、四級化は有利にジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、塩化メチルまたは塩化ベンジルを用いて実施する。ジアリルジアルキルアンモニウムハロゲニド例えばジアリルジメチルアンモニウムクロリドも適している。
【0039】
コポリマーは例えば
少なくとも1種のN−ビニルカルボン酸アミド95〜5モル%、有利に90〜10モル%
前記カルボン酸アミドと共重合可能な他のモノエチレン性不飽和モノマー5〜95モル%、有利に10〜90モル%
からなり、重合された単位の形で配合される。コモノマーは有利に酸基を含まない。
【0040】
ビニルアミン単位を有するポリマーは有利にN−ビニルホルムアミドのホモポリマーから出発してまたは
N−ビニルホルムアミドと
蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルウレア、N−ビニルピロリドンまたはC〜C−アルキルビニルエーテル
の共重合により得られるコポリマーから出発して、引き続きホモポリマーまたはコポリマーを加水分解し、重合したN−ビニルホルムアミド単位からビニルアミン単位を形成して製造され、加水分解の程度は例えば5〜100モル%、有利に70〜100モル%である。前記ポリマーの加水分解は公知の方法により酸、塩基または酵素の作用により行う。加水分解試薬として酸を使用する場合は、ポリマーのビニルアミン単位がアンモニウム塩として存在し、これに対して塩基での加水分解の場合は遊離アミノ基を形成する。
【0041】
多くの場合にホモポリマーおよびコポリマーの加水分解の程度は80〜95モル%である。ホモポリマーの加水分解の程度はポリマー中のビニルアミン単位の含量に等しい。重合された単位の形でビニルエステルを含有するコポリマーの場合は、N−ビニルホルムアミド単位の加水分解のほかにエステル基の加水分解とビニルアルコール単位の形成が生じることがある。これは特にコポリマーの加水分解を水酸化ナトリウム溶液の存在で行う場合である。重合された単位の形で導入されるアクリロニトリルは同様に加水分解で変化する。この場合に例えばアミド基またはカルボキシル基が形成される。ビニルアミン単位を含有するホモポリマーおよびコポリマーは、場合により、例えば蟻酸と2つの隣接するアミノ基の反応によりまたはアミノ基と隣接するアミド基、例えば重合された単位の形で導入されるN−ビニルホルムアミドの分子内反応により形成されるアミジン単位20モル%までを含有することができる。ビニルアミン単位を含有するポリマーの分子量Mwは例えば500〜10000000、有利に1000〜5000000(光散乱により決定した)である。この分子量範囲は例えば5〜300、有利に10〜250のK値(H.Fikentscherにより、25℃、5%塩化ナトリウム水溶液中でポリマー濃度0.5質量%で決定した)に相当する。
【0042】
ビニルアミン単位を含有するポリマーは有利に塩不含の形で使用する。ビニルアミン単位を含有するポリマーの塩不含の水溶液は例えば前記塩含有ポリマー溶液から適当な膜による限外濾過を使用して、例えば1000〜500000ドルトン、有利に10000〜300000ドルトンの分離限界で製造することができる。アミノ基および/またはアンモニウム基を有する以下に記載する他のポリマーの水溶液は限外濾過により塩不含の形で得られる。
【0043】
ビニルアミン単位を有するポリマーの誘導体はカチオンポリマーとして使用することができる。従って例えばビニルアミン単位を有するポリマーからアミド化、アルキル化、スルホンアミド形成、尿素形成、チオ尿素形成、カルバメート形成、アシル化、カルボキシメチル化、ホスホノメチル化、またはポリマーのアミノ基のマイケル付加により多数の適当な誘導体を製造することが可能である。この場合にビニルアミン単位を有するポリマー、有利にポリビニルアミンとシアノアミド(RN−CN、式中、RおよびRはH、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、アルキル置換フェニルまたはナフチル)との反応により得られる架橋ポリビニルグアニジンが特に有利である、米国特許第6087448号、3欄64行〜5欄14行参照。
【0044】
ビニルアミン単位を有するポリマーは例えばポリアルキレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルムアミド、ポリサッカリド、例えば澱粉、オリゴ糖、単糖類上のN−ビニルホルムアミドの加水分解グラフトポリマーを含む。このグラフトポリマーは例えばN−ビニルホルムアミドを水性媒体中、少なくとも1種の前記グラフト基剤の存在で、場合により他の共重合可能なモノマーと一緒にラジカル重合させ、引き続きグラフトしたビニルホルムアミド単位を公知の方法で加水分解し、ビニルアミン単位を形成することにより得られる。
【0045】
適当なカチオンポリマーはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのポリマーである。これらのポリマーの製造に適したモノマーは、例えばジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、およびジエチルアミノプロピルアクリルアミドである。これらのモノマーは遊離塩基、無機酸または有機酸との塩または四級化された形で重合に使用できる。前記モノマーをラジカル重合させ、ホモポリマーを形成するかまたは他の共重合可能なモノマーと一緒にラジカル重合させ、コポリマーを形成することができる。ポリマーは例えば重合された単位の形で導入される前記ベースモノマーを少なくとも30モル%、有利に少なくとも70モル%含有する。
【0046】
他の適当なカチオンポリマーは例えば水溶液中、触媒として酸を排除する化合物、酸またはルイス酸の存在での存在でエチレンイミンの重合により製造できるポリエチレンイミンである。ポリエチレンイミンは例えば2000000、有利に200〜1000000の分子量を有する。500〜750000の分子量を有するポリエチレンイミンが特に有利に使用される。ポリエチレンイミンは場合により変性され、例えばアルコキシル化、アルキル化またはアミド化されていてもよい。ポリエチレンイミンはマイケル付加またはステッカー合成することができる。これにより得られるポリエチレンイミン誘導体は同様にカチオンポリマーとして適している。
【0047】
エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミンおよび、例えばジカルボン酸とポリアミンの縮合および引き続くエチレンイミンのグラフト化により得られるポリアミドアミンも適している。適当なポリアミドアミンは例えば4〜10個の炭素原子を有するジカルボン酸と分子内に3〜10個の塩基性窒素原子を有するポリアルキレンポリアミンの反応により得られる。ジカルボン酸の例はコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、スベリン酸、セバシン酸、およびテレフタル酸である。ポリアミドアミンの製造に複数のポリアルキレンポリアミンの混合物と同様にジカルボン酸の混合物を使用することができる。適当なポリアルキレンポリアミンは例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、ジプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、およびビスアミノプロピルエチレンジアミンである。ポリアミドアミンの製造のために、ジカルボン酸およびポリアルキレンポリアミンをかなり高い温度に、例えば120〜220℃、有利に130〜180℃の範囲の温度に加熱する。縮合中に形成される水を系から除去する。縮合中に4〜8個の炭素原子を有するカルボン酸のラクトンまたはラクタムを場合により使用できる。ジカルボン酸1モル当たりポリアルキレンポリアミン例えば0.8〜1.4モルを使用する。これらのポリアミドアミンをエチレンイミンでグラフトする。グラフト反応は例えば酸またはルイス酸、例えば硫酸または三フッ化ホウ素の存在で、例えば80〜100℃で実施する。この種の化合物は例えばドイツ特許第2434816号に記載されている。
【0048】
架橋の前に場合により付加的にエチレンイミンでグラフトした場合により架橋したポリアミドアミンもカチオンポリマーとして適している。エチレンイミンでグラフトした架橋したポリアミドアミンは水溶性であり、例えば3000〜2000000ドルトンの平均分子量Mwを有する。一般的な架橋剤は例えばアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールのエピクロロヒドリンまたはビスクロロヒドリンエーテルである。
【0049】
他の適当なカチオンポリマーはポリアリルアミンである。この種のポリマーは有利に酸で中和された形のアリルアミンのホモ重合によりまたはN−ビニルカルボン酸アミドのコモノマーとして記載されている他のモノエチレン不飽和モノマーとアリルアミンの共重合により得られる。
【0050】
更にポリエチレンイミンと架橋剤、例えば2〜100個のエチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位を有するポリアルキレングリコールのエピクロロヒドリンまたはビスクロロヒドリンエーテルの反応により得られ、第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有する水溶性架橋ポリエチレンイミンが適している。例えばC〜C22−モノカルボン酸でのポリエチレンイミンのアミド化により得られるアミドポリエチレンイミンも適している。他の適当なカチオンポリマーはアルキル化ポリエチレンイミンおよびアルコキシル化ポリエチレンイミンである。アルコキシル化においてポリエチレンイミン中のNH単位当たり1〜5個のエチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位を使用する。
【0051】
前記カチオンポリマーは例えば8〜300、有利に15〜180のK値(H.Fikentscherにより25℃、5質量%塩化ナトリウム水溶液中およびポリマー濃度0.5質量%で測定した)を有する。前記ポリマーはpH4.5で例えば少なくとも1meq/gポリ電解質、有利に4meq/gポリ電解質の電荷密度を有する。
【0052】
有利なカチオンポリマーはビニルアミン単位およびポリエチレンイミンを有するポリマーである。これらの例は、
それぞれ分子量3000〜2000000を有する、ビニルアミンホモポリマー、10〜100%加水分解されたポリビニルホルムアミド、部分的にまたは完全に加水分解されたビニルホルムアミドと酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドンまたはアクリルアミドのコポリマー、および
それぞれ分子量500〜3000000を有する、ポリエチレンイミン、架橋ポリエチレンイミンまたはアミド化ポリエチレンイミン
である。
【0053】
水溶液のポリマー含量は例えば1〜60質量%、有利に2〜15質量%であり、一般に5〜10質量%である。
【0054】
厚紙は一般にセルロース繊維のスラリーの排水により製造する。クラフトパルプの使用が有利である。更にTMPおよびCTMPの使用が特に有利である。セルロース繊維スラリーのpH値は例えば4〜8,有利に6〜8である。紙原料の排水はバッチ式にまたは連続的に製紙機上で行うことができる。カチオンポリマー、エンジンサイズ剤および保留助剤を任意の選択された順序で添加することができる。しかしまず保留助剤、引き続きカチオンポリマー、有利にポリビニルアミン、および引き続き少なくとも1種の反応性サイズ剤、例えばアルキルケテンダイマー、アルキルまたはアルケニルコハク酸無水物をアルミニウム化合物と組み合わせてまたはこれらのサイズ剤とポリマーサイズ剤の混合物を水性セルロース繊維スラリーに添加する工程が有利である。他の実施態様によりまず少なくとも1種のポリマーサイズ剤、引き続き保留助剤および最後にカチオンポリマーを配量する。
【0055】
本発明により使用される紙生成物の製造において、一般に適当な他の助剤、例えば固定剤、染料、殺菌剤および紙の乾燥および/または湿潤紙力増強剤が存在してもよい。
【0056】
紙原料の排水および紙生成物の乾燥後、80〜400g/m、有利に120〜220g/mの坪量を有するエンジンサイズされた厚紙が得られる。厚紙は片面または両面にプラスチックまたは金属フィルム、例えばアルミニウムホイルで貼り合わされている。
【0057】
適当なプラスチックフィルムはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、またはポリエステルから製造できる。フィルムはサイズ処理された紙生成物に例えば接着剤を使用して結合することができる。これらの場合に、接着剤で被覆されたフィルムを一般に使用し、積層体を圧縮する。しかしサイズ処理された紙生成物の表面を接着剤で被覆し、引き続きフィルムを片面または両面に塗装し、得られた積層体を圧縮することができる。しかしフィルムを熱および圧力の作用により直接厚紙と一緒に処理して積層体を形成し、積層体から液体の包装品を製造するための適当な構造体を引き続き切断することができる。包装品は有利に食品分野に、例えば飲料、例えばミネラルウォーター、ジュースまたはミルクを包装するために、または飲料容器、例えばカップを製造するために使用される。これらの包装品の場合に包装品が良好なエッジ浸透性を有する、すなわち厚紙が液体をごくわずか吸収するかまたはほとんど吸収しないことが重要である。ポリマーサイズ剤でサイズ処理された紙生成物に対するフィルムの付着はアルキルケテンダイマーのみでサイズ処理された紙生成物に対するフィルムの付着より良好である。
【0058】
以下の例において文脈から他に明らかでない限り%は質量%である。K値はH.Fikentscher、Cellulose Chemie13(1932)58〜64および71〜74により、25℃およびpH7、5%塩化ナトリウム水溶液中、ポリマー濃度0.5質量%で決定した。ポリマーの分子量Mwは光散乱により測定した。
【0059】
実施例
エッジ浸透性の測定
それぞれ製造した厚紙を両面でポリエチレン粘着テープを使用して貼り合わせた。引き続き厚紙の厚さを測定した。引き続き25×75mmの寸法の試験片を厚紙から切断し、それぞれ計量した。エッジ浸透性を測定するために、試験片を70℃に温度調節された30%過酸化水素溶液からなる浴に浸漬した。10分間の滞留時間後に試験片を浴から取り出した。過剰の過酸化水素を濾紙により吸収した。試験片をもう一度計量した。引き続きエッジ浸透性(kg/m)を質量の増加から計算した。
【0060】
インキ浮遊時間
インキ浮遊時間(分で測定した)はDIN53126により試験インキが試験シートを50%しみ通るために必要な時間である。
【0061】
Cobb値
DIN53132により紙シートを水中に60秒間保存することにより測定した。水吸収率をg/mで示す。
【0062】
実施例1〜6
それぞれ乾燥紙原料に対して0.75%のカチオン澱粉(SolvitoseBPN)を保留助剤としてコンシステンシー10g/lを有し、粉砕度20°SR(Schopper Riegler)を有する100%未漂白パインスルフェートパルプからなる紙原料に添加し、混合物のpH値を7にした。それぞれ水性分散液(Basoplast(登録商標)4118MC)の形の表に記載したステアリルジケテン量および同様に表1に記載したポリマーサイズ剤の水性分散液を引き続き配量した。繊維スラリーをそれぞれ完全に混合し、Rapid Koethenシート成形機上で排水した。坪量150g/mを有するシートが得られた。
【0063】
以下のポリマーサイズ剤を使用した。
【0064】
ポリマーサイズ剤A:Basoplast(登録商標)250D(乳化剤として分解カチオン澱粉および開始剤として過酸化水素の存在でアクリロニトリルおよびn−ブチルアクリレートの乳化重合により製造したコポリマーの水性分散液)。
【0065】
ポリマーサイズ剤B:Basoplast(登録商標)265D(乳化剤として分解カチオン澱粉および開始剤として過酸化水素の存在でスチレンおよびn−ブチルアクリレートの乳化重合により製造したコポリマーの水性分散液)。
【0066】
ポリマーサイズ剤C:Basoplast(登録商標)PR8172(乳化剤としてカチオン澱粉および開始剤として過酸化水素の存在でスチレンおよびn−ブチルアクリレートの乳化重合により製造したコポリマーの水性分散液)。
【0067】
【表1】

【0068】
シートを引き続き水蒸気加熱乾燥シリンダー上で90℃で含水量6〜10%に乾燥した。乾燥後、シートのCobb値を測定した。シートを引き続き両面で密度0.918g/cmを有するポリエチレン粘着テープを使用して貼り合わせた(圧力下に積層体を30℃に加熱する)。引き続き三層積層体のエッジ浸透性を測定した。結果を表3に示す。
【0069】
比較例1〜4
それぞれ乾燥紙原料に対して0.75%のカチオン澱粉(SolvitoseBPN)を保留助剤としてコンシステンシー10g/lを有し、粉砕度20°SR(Schopper Riegler)を有する100%未漂白パインスルフェートパルプからなる紙原料に添加し、混合物のpH値を7にした。それぞれ水性分散液(Basoplast(登録商標)4118MC)の形の表2に記載したステアリルジケテン量を引き続き配量した。その後それぞれ水性繊維スラリーを完全に混合し、Rapid Koethenシート成形機上で排水し、坪量150g/mを有する紙生成物が得られた。
【0070】
【表2】

【0071】
シートを引き続き水蒸気加熱乾燥シリンダー上で、90℃で含水量6〜10%に乾燥した。乾燥後、シートのCobb値を測定した。シートを引き続き両面でポリエチレン粘着テープに接着により結合した(圧力下に積層体を圧縮する)。引き続き三層積層体のエッジ浸透性を過酸化水素に関して測定した。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を包装する容器を製造するための、サイズ処理した紙またはサイズ処理した厚紙および少なくとも1種の水を透過しないフィルムからなる少なくとも二層の積層体からなる包装材料において、紙または厚紙がそれぞれポリマーサイズ剤でサイズ処理されることを特徴とする包装材料。
【請求項2】
紙または厚紙がそれぞれポリマーサイズ剤でエンジンサイズ処理される請求項1記載の包装材料。
【請求項3】
紙または厚紙がそれぞれポリマーサイズ剤で表面サイズ処理される請求項1記載の包装材料。
【請求項4】
紙または厚紙が付加的に反応性サイズ剤および/またはロジンサイズ剤およびみょうばんの組合せの水性分散液の存在でサイズ処理される請求項1記載の包装材料。
【請求項5】
水性アルキルケテン分散液および水性ポリマーサイズ剤分散液の紙原料への連続的添加および製紙機のふるい上の紙原料の排水により紙または厚紙が得られる請求項1または2記載の包装材料。
【請求項6】
水性アルキルケテンダイマー分散液および水性ポリマーサイズ剤分散液の紙原料への同時添加および製紙機のふるい上の紙原料の排水により紙または厚紙が得られる請求項1または2記載の包装材料。
【請求項7】
水性ポリマーサイズ剤分散液および水性アルキルケテンダイマー分散液からなるサイズ剤混合物でサイズ処理することにより紙または厚紙が得られる請求項1または2記載の包装材料。
【請求項8】
紙または厚紙を付加的にカチオンポリマーの存在でサイズ処理する請求項1から7までのいずれか1項記載の包装材料。
【請求項9】
紙または厚紙をそれぞれ両面で水を透過しないプラスチックおよび/または金属のフィルムを用いて積層する請求項1から8までのいずれか1項記載の包装材料。
【請求項10】
紙または厚紙を片面または両面でポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー、エチレンとビニルアルコールのコポリマーまたはポリアミドおよび/またはアルミニウムのフィルムを用いて積層する請求項1から9までのいずれか1項記載の包装材料。
【請求項11】
紙または厚紙が80〜400g/mの坪量を有し、両面でポリエチレンフィルムを用いて積層されている請求項1から8までのいずれか1項記載の包装材料。
【請求項12】
それぞれ
(i)セルロース繊維の水性スラリーを含有する紙原料を、保留助剤および場合により水溶性アルミニウム化合物および場合により少なくとも1種のカチオンポリマーの存在で、少なくとも1種のポリマーサイズ剤またはポリマーサイズ剤およびアルキルケテンダイマーまたはその混合物の水性分散液でエンジンサイズ処理し、
(ii)紙原料を製紙機のふるい上で排水し、
(iii)紙生成物を乾燥し、および
(iv)紙生成物を片面または両面でプラスチックまたは金属フィルムを用いて積層する
ことにより得られる紙生成物の、液体、特に飲料を包装する容器を製造するための使用。

【公表番号】特表2007−500628(P2007−500628A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529749(P2006−529749)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004820
【国際公開番号】WO2004/101279
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】