説明

液体の収納空間を有する合成樹脂製の箱型ケース

【課題】収納空間を有して内部の視認が行える窓を備えた箱型ケースについて、この窓から入った光が内部で十分反射して、当該窓からの視認が確実に行えるようにすることのできる箱型ケースを提供すること。
【解決手段】互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化して、内部に液体の収納空間30を形成するとともに、この収納空間30内に収納された前記液体の量を外部から視認するための窓51または52を、透明又は半透明材料によって第1半割体10または第2半割体20の一部に形成するようにした箱型ケース100であって、第2半割体20または第1半割体10の、窓51または52に対向する内側部分に、光反射部を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに面対称となっている半割体を振動溶着によって溶着することにより形成される合成樹脂製の箱型ケースに関し、特に、内部に液体のための収納空間を有する箱型ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂によって形成されて、内部に液体の収納空間を有する箱型ケースとしては、例えば、特許文献1に記載されているような、ガソリンと潤滑油とを区画して収納する二槽タンクがある。
【0003】
この特許文献1に記載されている二槽タンクは、図7にも示すように、「第一貯留槽(1A)、第二貯留槽(1箱型ケース100)、及び仕切り壁(5)をそれぞれ上下、左右、又は前後に分割した第一分割体(20)と第二分割体(40)とが射出成形法により成形されるとともに、前記第一分割体(20)における接合側端面(30)と前記第二分割体(40)における接合側端面(50)とが振動溶着法により接合されてなる」構成を有するもので、「製造コストを低く抑えることができ、タンク間の組み付け作業を不要にできるとともに、その取り付け作業を容易に行え、かつ、成形素材の厳密な重量管理を必要とせず、肉厚を均一にでき、見栄えも良く、また、別途に穴加工等を必要としない」といった作用及び効果が得られるものと考えられる。
【0004】
また、この特許文献1に記載されている二槽タンクは、ガソリンと潤滑油とを区画して収納するものであるが、その残量を外から確認するために、当該文献1の段落0012に記載されているように、「上側分割体と下側分割体は、それぞれ、(内容量を容易に視認できるように)透明ないし半透明のナイロン(登録商標)系の熱可塑性合成樹脂材料からなっている」ものである。
【特許文献1】特開平11−170388号公報、要約、代表図、段落0012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の二槽タンクのように、その全体を透明ないし半透明の合成樹脂材料によって箱型ケースを構成すれば、その中に入れた液体の残量を外から容易に視認できると考えられるが、この種の箱型ケース全体がそうであると、都合の悪い場合もある。
【0006】
つまり、本発明者は、特願2004−80885号等において「導尿容器」を既に提案してきているが、この種の導尿容器について、全体を透明または半透明材料によって形成したとすると、次のような不具合がある。
【0007】
「導尿容器」は、手術中の患者に取り付けておき、その中に貯まった尿の状態、特に色や量を視認することによって、患者の状態を確認する際にも使用されるものであるし、手術後の回復状況の確認をする際にも使用されるものである。このような導尿容器を、特許文献1に記載されているように、その全体を透明ないし半透明の合成樹脂材料によって形成したとすると、中の液体が何であるかが透けて見えるということになる。そうなると、この種の導尿容器を取り付けている患者は恥ずかしい思いをすることがあり、また、尿を捨てたり検査のために持ち運んだりする作業をしなければならない看護師にとっても、この作業が苦痛を伴うこともある。
【0008】
そこで、本発明者は、特願2004−80885号等において既に提案している「導尿容器」について、全体は不透明な合成樹脂材料によって形成するが、その一部には外部からの視認を行えるようにするための「窓」を形成するようにしたのである。このようにすれば、特許文献1に記載されているような「上側分割体と下側分割体の全を透明ないし半透明の合成樹脂材料から構成する」場合の不具合は解消される。
【0009】
ところが、不透明材料からなる箱型ケース内の液体量等を「窓」から視認するためには、液体を通して窓から出てくる光が必要であるが、もし真っ黒な材料によって箱型ケースを構成したとすると、視認に必要な光は窓から全く出てこないか、非常に見にくいことになる。比較的暗い半透明材料によって、あるいは板厚を厚くして箱型ケースを形成した場合も、同様である。
【0010】
このように、液体の収納空間を有する箱型ケース全体を不透明材料によって形成し、残量を窓から目視できるようにした場合に不都合がある例としては、透明あるいは半透明であって紫外線によって変化し易い液体薬品を入れておく容器がある。
【0011】
そこで、本発明者等は、この種の箱型ケースについて、上述したような難点を解消するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0012】
すなわち、本発明の目的とするところは、収納空間を有して内部の視認が行える窓を備えた箱型ケースについて、この窓から入った光が内部で十分反射して、当該窓からの視認が確実に行えるようにすることのできる箱型ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化して、内部に液体の収納空間30を形成するとともに、この収納空間30内に収納された前記液体の量を外部から視認するための窓51または52を、透明又は半透明材料によって第1半割体10または第2半割体20の一部に形成するようにした箱型ケース100であって、
第2半割体20または第1半割体10の、窓51または52に対向する内側部分に、光反射部60を形成したことを特徴とする箱型ケース100」
である。
【0014】
すなわち、この請求項1に係る箱型ケース100は、図1に示すように、互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化したものであり、その内部に、例えば図4あるいは図6に示すような収納空間30(最良形態の導尿容器では精密測定部31と貯留部32とが該当)を形成したものである。
【0015】
なお、後述する最良形態の箱型ケース100では、収納空間30を複数形成するために、図4及び図5に示すように、各半割体10・20の内部に内部隔壁11・21を形成するとともに、これらの内部隔壁11及び21の開口部側端面を、第1半割体10側の第1振動溶着面13及び第2半割体20側の第1振動溶着面23にしたものである。これらの各内部隔壁11・21は、当該箱型ケース100に要求されている収納空間30の大きさや数に応じて設計されるものである。
【0016】
また、各半割体10・20には、図4及び図5に示すように、これを構成している内部隔壁11・21を外側から包み込むための外壁12・22を、当該各半割体10・20にそれぞれ形成するとともに、これらの外壁12及び22の開口部側端面を、第1半割体10側の第2振動溶着面14及び第2半割体20側の第2振動溶着面24とそれぞれしたものである。
【0017】
いずれにしても、各内部隔壁11・21及び外壁12・22は、当該箱型ケース100内において、複数の収納空間30を区画するために使用されるものであり、特に、各内部隔壁11・21については、図4に示した最良形態の容器におけるように、各収納空間30を所定の位置で積極的に連通されるためのオーバーフロー口16が形成されることもある。
【0018】
なお、最良形態の収納空間30は、精密測定部31と貯留部32とに分けられているが、精密測定部31は、当該箱型ケース100を構成する第1半割体10及び第2半割体20の内側であって、上側中央部が下側に向けて凹んだ外壁12・22より下側に位置するものであり、この精密測定部31の、図4に示した図示右上部分には、当該精密測定部31内に一杯となった尿を貯留部32内にオーバーフローさせるためのオーバーフロー孔16が前述したように形成してある。貯留部32は、第1半割体10及び第2半割体20の下側の大部分を構成するものである。
【0019】
また、最良形態の箱型ケース100は、その中に患者からの尿を導尿管等を介して導入するものであるから、この導入する際の導尿管等の接続を行うための導尿口40が、図3に示すように、第2半割体20の上面側に形成してある。なお、この導尿口40の隣には、精密測定部31内に導入された尿の分の空気を排出するための空気孔41が設けてあり、この空気孔41の中には精密測定部31内に異物が入り込まないようにし、かつ尿の臭いが外に出ないようにするためのフィルターが入れてある。
【0020】
さらに、この箱型ケース100では、その第1半割体10の、精密測定部31及び貯留部32に対向する各部分に、図1及び図2に示したように、導入された尿を外部から視認するための第1窓51及び第2窓52が、それぞれ設けてある。
【0021】
第1窓51は、精密測定部31に対向するものであるが、これに形成した小部分と大部分とは所定の間隔をおいて形成したものであり、これらの間は、図5に示したように、順次下窄まりとした連結部分によって連続したものとしてある。なお、大部分の下方部分についても、順次下窄まりとしてある。勿論、これらの各部分には、その位置に対応する尿の量を示す目盛が付してある。
【0022】
一方、第2窓52は、排尿コック70の直上にて、「く」の字状のものとして形成してあり、その表面には、目盛が付してある。勿論、この第2窓52は第1窓51と同様に、第1半割体10または第2半割体20の該当部分に対して一体成形したものである。
【0023】
さて、第1窓51あるいは第2窓52に対向する、第1半割体10または第2半割体20の内側部分には、図5及び図6に示すように、光反射部分60が形成してある。この光反射部分60は、後述するように種々な形態のものが考えられるが、要するに、図6に示すように、第1窓51あるいは第2窓52から入ってきた光を反射(特に乱反射)されるものであればどのようなものであってもよい。
【0024】
この箱型ケース100は、第1半割体10及び第2半割体20を各内部隔壁11・21及び外壁12・22にて振動溶着によって互いに接合することにより一体化することにより形成されるものであったが、そうなると中は暗くなり、収納空間30内の尿の色等を外から第1窓51あるいは第2窓52を通して視認するときには見にくいものとなる。
【0025】
そこで、この光反射部60が力を発揮することになるのである。つまり、この光反射部60は、図6の実線矢印にて示したように入射してきた光を、同図中の点線矢印にて示したように、第1窓51あるいは第2窓52に向けて乱反射するのである。この反射光は、収納空間30内の尿を通して外に出てくるため、尿の状態を確実に視認できることになるのである。
【0026】
従って、この請求項1に係る箱型ケース100によれば、内部の光反射部60によって第1窓51あるいは第2窓52から入ってきた光が反射されるから、この反射光が第1窓51あるいは第2窓52から外に出てくるため、当該箱型ケース100は、第1窓51あるいは第2窓52からの、収納空間30内の収納液体の状態視認を確実に行えるものとなっているのである。
【0027】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に係る箱型ケース100について、
「光反射部60を、白色の合成樹脂によって、第2半割体20または第1半割体10に対して一体的に成形したこと」
である。
【0028】
すなわち、この請求項2の箱型ケース100では、その光反射部60を、白色の合成樹脂によって、第2半割体20または第1半割体10に対して一体的に成形したものであるが、その一体化方法としては、図6に示すような方法で十分である。つまり、第2半割体20または第1半割体10を不透明の合成樹脂材料によって形成するにあたって、第1窓51あるいは第2窓52に内側から対向することになる部分を凹んだ状態に成形しておいて、この凹んだ部分内に白色の合成樹脂材料を射出する、所謂二色成形するのである。
【0029】
従って、この請求項2の箱型ケース100では、上記請求項1のそれと同様な効果を発揮する他、光反射部60を簡単かつ確実に形成することができるのである。
【0030】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1に係る箱型ケース100について、
「光反射部60を、第2半割体20または第1半割体10の該当部分に貼付される反射材により形成したこと」
である。
【0031】
すなわち、この請求項3の箱型ケース100では、光反射部60を、第2半割体20または第1半割体10の、第1窓51あるいは第2窓52に内側から対向することになる部分に貼付される反射材としたものである。この反射材としては、鏡は勿論、金属箔や単なる白色ラベルであってもよいものであり、光の反射が行えて第2半割体20または第1半割体10の該当部分に簡単に貼付できるものであれば、何であってもよい。
【0032】
従って、この請求項3の箱型ケース100でも、上記請求項1のそれと同様な効果を発揮する他、光反射部60を簡単かつ確実に形成することができるのである。
【0033】
そして、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに係る箱型ケース100について、
「光反射部60を、窓51または52に向けて突出させたこと」
である。
【0034】
つまり、この請求項4の箱型ケース100では、図示はしていないけれども、その光反射部60を窓51または52に向けて突出させたものである。この突出させる手段としては、第2半割体20または第1半割体10の、第1窓51あるいは第2窓52に内側から対向することになる部分を、収納空間30に悪影響を与えないように突出(内側への膨出)させるだけでよく、この突出した内端が光反射部60となればよいのである。
【0035】
従って、この請求項4の箱型ケース100は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに係るそれと同様な効果を発揮する他、光反射部60における光反射を確実に行うことができるのである。
【発明の効果】
【0036】
以上詳述した通り、本発明においては、
「互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化して、内部に液体の収納空間30を形成するとともに、この収納空間30内に収納された前記液体の量を外部から視認するための窓51または52を、透明又は半透明材料によって第1半割体10または第2半割体20の一部に形成するようにした箱型ケース100であって、
第2半割体20または第1半割体10の、窓51または52に対向する内側部分に、光反射部60を形成したこと」
を主たる特徴とするものであり、これにより、窓51または52から入った光を内部の光反射部60で十分反射させることができて、当該窓51または52からの、収納空間30内に収納した液体の状態の視認を、外部から確実かつ簡単に行える箱型ケース100を提供することができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態である箱型ケース100について説明すると、図1にはこの最良形態の箱型ケース100を斜め前方からみた斜視図が、また図3にはこの箱型ケース100を斜め後方からみた斜視図が、それぞれ示してある。図2は、この最良形態の箱型ケース100の正面図である。
【0038】
この最良形態の箱型ケース100は、半割体形状に形成した第1半割体10と第2半割体20とを、その各第1半割体10側の第1振動溶着面13と第2半割体20側の内部隔壁21、及び第1半割体10側の第2振動溶着面14と第2半割体20側の外壁22にて振動溶着により一体化することにより形成したものであり、患者の尿を一時的にいれておく「導尿容器」として使用されるものである。
【0039】
すなわち、この箱型ケース100は、手術中あるいは手術後の患者の身体から引き出された導尿管を通して送られてくる尿を一時的に溜めておくものであり、図3に示した導尿口40からの尿が導入される複数の収納空間30を内部に形成したものである。本最良形態の箱型ケース100における収納空間30は、図4及び図5に示したように、導入されてきたばかりの新しい尿の量を収納して測定するための精密測定部31と、この精密測定部31内の尿を、図4に示したオーバーフロー口16から導入されることになる貯留部32とに機能別に分けたものである。
【0040】
そのために、この箱型ケース100では、図4及び図5に示したように、各半割体10・20の内部に、上述した収納空間30を形成するための内部隔壁11・21が形成してあるとともに、これらの内部隔壁11及び21の開口部側端面を、第1半割体10側の第1振動溶着面13及び第2半割体20側の第1振動溶着面23としてある。
【0041】
また、各半割体10・20には、図4及び図5に示したように、これを構成している内部隔壁11・21を外側から包み込むための外壁12・22が、当該各半割体10・20にそれぞれ形成してあるとともに、これらの外壁12及び22の開口部側端面を、第1半割体10側の第2振動溶着面14及び第2半割体20側の第2振動溶着面24としてある。
【0042】
そして、この箱型ケース100は、第1半割体10及び第2半割体20を、各内部隔壁11・21及び外壁12・22にて、振動溶着によって互いに接合することにより一体化することにより形成されるものであることは上述した通りである。なお、本最良形態では、各半割体10・20の少なくともいずれか一方の内部隔壁11または21の第1振動溶着面13または23の高さを、外壁12または22の第2振動溶着面14または24より高くしてある。
【0043】
換言すれば、当該箱型ケース100は、これを構成する両側面10・20内に、端面が第1振動溶着面13・23となる内部隔壁11・21、及び端面が第2振動溶着面14・24となる外壁12・22を設けておくとともに、第1振動溶着面13・23が第2振動溶着面14・24に対して少し高くなるように形成しておいて、これらの内部隔壁11・21及び外壁12・22同士を、各第1半割体10と第2半割体20との振動溶着によって一体化することにより、内部に、導尿口40に直接連なる精密測定部31と、この精密測定部31の下方を主たる部分とする貯留部32とを形成したものである。
【0044】
なお、精密測定部31と貯留部32とを振動溶着するにあたって、本最良形態では、各外壁12・22の内側、あるいは各内部隔壁11・21の両側に帯壁部を形成しておくことがなされる。この帯壁部は、第1半割体10及び第2半割体20が相対的に振動しあったときに生ずることがある「スリ屑」を包み込むものである。
【0045】
また、この箱型ケース100の下方部分には、図1に示したように、内部の尿を排出するための排尿コック70が設けられるのであるが、この排尿コック70は、図4に示した、第1半割体10及び第2半割体20の下方部分に形成したコック穴71内に取付けられるものである。そして、この箱型ケース100の中央部分には、図1に示したように、精密測定部31の尿を貯留部32側に流すためのリセットコック80が設けられるのであるが、このリセットコック80は、図4に示したように、第1半割体10及び第2半割体20に形成したコック穴81内に設けられるものである。
【0046】
なお、この箱型ケース100は、その全体を手で持って搬送し易くするために、第1半割体10及び第2半割体20の上部にハンドル部を形成したものであり、また、当該箱型ケース100を吊り下げるためのフックを、第2半割体20側のハンドル部の上部に一体的に形成したものである。そして、当該箱型ケース100は、机の上等にも載置することがあるため、各第1半割体10及び第2半割体20の下部にはスタンド部がそれぞれ一体的に形成してある。
【0047】
また、この箱型ケース100は、その中に患者からの尿を導尿管等を介して導入するものであるから、この導入する際の導尿管等の接続を行うための導尿口40が、図3に示したように、第2半割体20の上面側に形成してある。なお、この導尿口40の隣には、精密測定部31内に導入された尿の分の空気を排出するための空気孔41が設けてあり、この空気孔41の中には精密測定部31内に異物が入り込まないようにし、かつ尿の臭いが外に出ないようにするためのフィルターが入れてある。
【0048】
本最良形態の箱型ケース100では、その精密測定部31内の尿をその下部にある貯留部32内に直接流下させることができるようにもしているが、これを行うのが前述したリセットコック80である。このリセットコック80は、その操作摘みを外に出しているものであり、本体は、図4に示したコック穴81内に回動自在に挿入されるものである。
【0049】
また、この箱型ケース100では、図3に示したように、その精密測定部31内の尿を直接採ることができるようにするための採尿ポート27が形成してある。この採尿ポート27は、通常は精密測定部31を閉じておくものであるが、採尿器の吸引針を差し込めるようにしているものである。
【0050】
さらに、この箱型ケース100では、その第1半割体10の、精密測定部31及び貯留部32に対向する各部分に、図1及び図2に示したように、導入された尿を外部から視認するための第1窓51及び第2窓52が、それぞれ設けてある。
【0051】
第1窓51は、精密測定部31に対向するものであるが、これに形成した小部分と大部分とは所定の間隔をおいて形成したものであり、これらの間は、図5に示したように、順次下窄まりとした連結部分によって連続したものとしてある。なお、大部分の下方部分についても、順次下窄まりとしてある。勿論、これらの各部分には、その位置に対応する尿の量を示す目盛が付してある。
【0052】
一方、第2窓52は、排尿コック70の直上にて、「く」の字状のものとして形成してあり、その表面には、目盛が付してある。
【0053】
さて、第1窓51あるいは第2窓52に対向する、第1半割体10または第2半割体20の内側部分には、図5及び図6に示したように、光反射部分60が形成してある。この光反射部分60は、種々な形態のものが考えられるが、要するに、図6に示したように、第1窓51あるいは第2窓52から入ってきた光を乱反射させるものであればどのようなものであってもよい。
【0054】
この光反射部60としては、これを例えば白色の合成樹脂によって、第2半割体20または第1半割体10に対して一体的に成形してもよいし、第2半割体20または第1半割体10の該当部分に貼付される反射材としてもよいものである。
【0055】
また、光反射部60は、これが設けられている第1半割体10または第2半割体20の該当部分を、窓51または52に向けて突出させるように実施してもよいものである。この場合には、当該光反射部60と窓51または52の間隔を小さくすることができて、その中にある尿等の液体の層を小さくすることができるから、光の透過を損失がない状態で行え、液体の状態の視認がより確実に行えることになる。
【0056】
ところで、この箱型ケース100では、その各半割体10・20の少なくともいずれか一方の内部隔壁11または21の第1振動溶着面13または23の高さを、外壁12または22の第2振動溶着面14または24より高くなるようにしておいてあった。他より高さが高くなっている部分は、例えば内部隔壁11の第1振動溶着面13だけ、あるいは第2振動溶着面14側の第2振動溶着面24だけであってもよく、さらには両者に形成されていてもよいものであり、具体的には、0.1mm〜0.2mm程度の高さである。
【0057】
このように構成した各第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部が互いに対向し合うようにセットして互いに当接させると、まず、内部隔壁11・21の第1振動溶着面13・23が当接し合う。ここで、振動溶着を行うと、内部隔壁11・21の第1振動溶着面13・23が当接状態で互いに擦れ合い、第1振動溶着面13・23が熱を発生して溶融する。
【0058】
そして、これらの第1振動溶着面13・23が順に溶融して溶着し合うとともに、それ自身の高かった部分が段々低くなり、今度は、第2振動溶着面14・24が当接して溶融し始めるのである。つまり、振動溶着の初期において、各第1振動溶着面13・23の溶着が隙間無く行われた後に、各第1振動溶着面13・24の振動溶着が始まるのであり、各第1振動溶着面13・23の振動溶着作業は、外壁12・22の各第1振動溶着面13・24におけるそれ対して先に行われるのである。
【0059】
換言すれば、この箱型ケース100においては、内部となっていて表には出ていない少なくとも第1半割体10側の第1振動溶着面13の、第2半割体20側の第1振動溶着面23に対する振動溶着が他に先立ってなされているのであるが、この第1振動溶着面13は、僅かに突出させてあったから、この部分の振動溶着が十分成されているか否かは、図2に示した寸法H分だけの隙間から確認しながら行うことができる。そして、この第1振動溶着面13の溶融が済んだ後に、第1半割体10側の第2振動溶着面14と第2半割体20側の第2振動溶着面24との溶着がなされるのであり、第1半割体10側の第2振動溶着面14と第2半割体20側の第2振動溶着面24との溶着は外から容易に確認できるため、結果として得られた箱型ケース100は、内側部分も外側部分も、十分かつ完全に接合し合ったものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る箱型ケースとして採用される導尿容器の前方側からみた斜視図である。
【図2】同導尿容器の正面図である。
【図3】同導尿容器の後方側からみた斜視図である。
【図4】同導尿容器を構成している第1半割体の開口部側の端面図である。
【図5】同導尿容器を構成している第2半割体の開口部側の端面図である。
【図6】図5中の1−1線に沿ってみた箱型ケースの部分拡大横断面図である。
【図7】従来の技術を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
100 箱型ケース
10 第1半割体
11 内部隔壁
12 外壁
13 第1振動溶着面
14 第2振動溶着面
16 オーバーフロー口
20 第2半割体
21 内部隔壁
22 外壁
23 第1振動溶着面
24 第2振動溶着面
30 収納空間
31 精密測定部
32 貯留部
40 導尿口
41 空気穴
51 第1窓
52 第2窓
70 排尿コック
80 リセットコック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体及び第2半割体を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化して、内部に液体の収納空間を形成するとともに、この収納空間内に収納された前記液体の量を外部から視認するための窓を、透明又は半透明材料によって前記第1半割体または第2半割体の一部に形成するようにした箱型ケースであって、
前記第2半割体または第1半割体の、前記窓に対向する内側部分に、光反射部を形成したことを特徴とする箱型ケース。
【請求項2】
前記光反射部を、白色の合成樹脂によって、前記第2半割体または第1半割体に対して一体的に成形したことを特徴とする請求項1に記載の箱型ケース。
【請求項3】
前記光反射部を、前記第2半割体または第1半割体の該当部分に貼付される反射材により形成したことを特徴とする請求項1に記載の箱型ケース。
【請求項4】
前記光反射部を、前記窓に向けて突出させたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の箱型ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−16055(P2006−16055A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197076(P2004−197076)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】