説明

液体の定量吐出容器

【課題】 注射筒の周囲に投与量表示部を付し、この投与量表示部に目視にてピストンを位置させるため、正確な吐出量を決めるものではなく、個人の差によるところが大きかった。また、目視でピストンを位置させるためには、注意して操作をしなければならず、その為に作業に時間ばかりがかかってしまうものであった。
【解決手段】 軸筒の後部にノック体を設けると共に、軸筒の後部に短溝部と長溝部を対向して設け、前記ノック体には対向して設けられた前記各溝部間を往復動する係合部を設け、また、前記軸筒の先端部にはシリンジを着脱自在に設けると共に、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させた定量吐出容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吐出容器であり、特に液体の定量吐出を目的にした吐出機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体の吐出量を判別することができる容器として、注射器が知られている。その注射器の注射筒の周囲には、投与量表示部が刻印や印刷などによって施されている。この投与量表示部に位置させたピストンを注射筒の先端側へ押し込むことにより、所定の投与量の薬液が送り出されるように構成したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2000−120224号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの従来技術は、注射筒の周囲に投与量表示部を付し、この投与量表示部に目視にてピストンを位置させるため、正確な吐出量を決めるものではなく、個人の差によるところが大きかった。
また、目視でピストンを位置させるためには、注意して操作をしなければならず、その為の作業に時間ばかりがかかってしまうものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、軸筒の後部にノック体を設けると共に、軸筒の後部に短溝部と長溝部を対向して設け、前記ノック体には対向して設けられた前記各溝部間を往復動する係合部を設け、また、前記軸筒の先端部にはシリンジを着脱自在に設けると共に、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させたことを第1の要旨とし、軸筒の後部にノック体を設け、そのノック体の後部には弾性板部を軸筒の表面から露出させた状態で設けると共に、その弾性板部の前端部の側面に係合突起を設ける一方、その係合突起と係脱する係合受部を前記軸筒の表面に複数設け、また、前記軸筒の先端部はシリンジを着脱自在に設け、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させたことを第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、軸筒の後部にノック体を設けると共に、軸筒の後部に短溝部と長溝部を対向して設け、前記ノック体には対向して設けられた前記各溝部間を往復動する係合部を設け、また、前記軸筒の先端部にはシリンジを着脱自在に設けると共に、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させたことを第1の要旨とし、軸筒の後部にノック体を設け、そのノック体の後部には弾性板部を軸筒の表面から露出させた状態で設けると共に、その弾性板部の前端部の側面に係合突起を設ける一方、その係合突起と係脱する係合受部を前記軸筒の表面に複数設け、また、前記軸筒の先端部はシリンジを着脱自在に設け、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させたことを第2の要旨としたので、ノック操作だけで定量の液体を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施例を示す外観図。
【図2】図1の縦断面図。
【図3】第1実施例の縦断面図。
【図4】図3の部分詳細図。
【図5】第1実施例の組立を示す斜視図。
【図6】第1実施例の使用例を示す斜視図。
【図7】図6の部分詳細図。
【図8】(A)第1実施例の作動図(カートリッジセット時)。 (B)第1実施例の作動図(予備吐出段階)。 (C)第1実施例の作動図(予備吐出完了)。 (D)第1実施例の作動図(定量吐出段階)。
【図9】第1実施例の要部詳細図。
【図10】(A)第1実施例の要部作動図(カートリッジセット時)。 (B)第1実施例の要部作動図(予備吐出段階)。 (C)第1実施例の要部作動図(予備吐出完了)。 (D)第1実施例の要部作動図(定量吐出段階)。
【図11】第2実施例を示す外観図。
【図12】図11の縦断面図。
【図13】(A)第2実施例の作動図(カートリッジセット時)。 (B)第2実施例の作動図(予備吐出段階)。 (C)第2実施例の作動図(予備吐出完了)。 (D)第2実施例の作動図(定量吐出段階)。
【図14】第2実施例の要部詳細図。
【図15】(A)第2実施例の要部作動図(カートリッジセット時)。 (B)第2実施例の要部作動図(予備吐出段階)。 (C)第2実施例の要部作動図(予備吐出完了)。 (D)第2実施例の要部作動図(定量吐出段階)。
【図16】第3実施例を示す外観図。
【図17】図16の縦断面図。
【図18】(A)第3実施例の作動図(カートリッジセット時)。 (B)第3実施例の作動図(予備吐出段階)。 (C)第3実施例の作動図(予備吐出完了)。 (D)第3実施例の作動図(定量吐出段階)。
【図19】第3実施例の要部詳細図。
【図20】(A)第3実施例の要部作動図(カートリッジセット時)。 (B)第3実施例の要部作動図(予備吐出段階)。 (C)第3実施例の要部作動図(予備吐出完了)。 (D)第3実施例の要部作動図(定量吐出段階)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する(第1の実施例)。図1乃至図10は本発明における第1の実施例である。
図1及び図2において、軸筒1の内径にはノック体2が軸筒1の軸方向に摺動自在に配置されており、そのノック体2の図中上方端部にはノックカバー3がノック体2の軸周方向に対して回転自在に配置されている。
前記軸筒1の内径と、ノック体2の外径との間にはカム筒4が軸筒1に対して固定嵌合されている。また、前記ノック体2は、軸筒1に対してスプリング受け6を介してスプリング5により図中上方に向けて付勢されている。なお、図1及び図2では、ノック体2が最後端(図中上方)に位置している状態である。
前記軸筒1の図中下方には、シリンジ7が着脱自在に配置されており、そのシリンジ7の内径にピストン8及びプランジャー9がシリンジ7の軸方向に摺動自在に配置されている。そのプランジャー9はピストン8の下方に設けられた嵌合部に圧入され、一体的に嵌合している。また、プランジャー9の外径はシリンジ7の内径に対して圧入状態であるが、摺動は可能なものとなっている。
さらに、シリンジ7の図中下端には吐出針10を設けた針受け11が螺合などにより固定されて取り付けられている。
【0009】
次に、図3乃至図5において、ノック体2の内径には内方凸部2aが設けてあり、ノックカバー3の周状リブ3aが乗り越え嵌合している。これにより、ノックカバー3のノック体2からの脱落が防止されている。そして、そのノック体2の天面にはリング状の凸部2bが設けてあり、ノックカバー3の下面3bに対して最小面積で接触している。
また、軸筒1の端部内径には嵌合突起1a及びキー溝1bが設けてあり、一方、前記カム筒4の外周には外周突起4a及びキーリブ4bが設けてある。そして、カム筒4は、軸筒1に対して嵌合突起1a及び外周突起4aによる乗り越え嵌合によって固定されるとともに、キー溝1bとキーリブ4bとの係合によって軸筒1の軸周方向への回転が防止され位置決めされる。
【0010】
次に、図6及び図7において、カートリッジ部Cと吐出機構部Tの取り付け方法について説明する。カートリッジ部Cは、先述したシリンジ7、ピストン8、プランジャー9、吐出針10及び針受け11から成っている。また、吐出機構部Tは、軸筒1、ノック体2、ノックカバー3、カム筒4、スプリング5及びスプリング受け6から成っている。
前記カートリッジCは、吐出機構部Tに対して着脱自在である。前記軸筒1のカギ状係合突起1cに設けた開口部1dに、シリンジ7に設けたツバ部7aを挿入して固定される。その時、軸筒1の軸線とシリンジ7の軸線を合わせて接触させ、その後、軸筒1とシリンジ7とを相対的に回転させることにより固定する。軸筒1の開口部1dは、ツバ部7aが挿入される際にそのツバ部7aの厚さに対してクリアランスがないかやや狭く設定しており、ツバ部7aのカギ状係合突起1cからの脱落を防止している。そのカギ状係合突起1cには壁部1eを設けてあり、軸筒1とシリンジ7との相対的な回転を規制している。
なお、ノック体2の図中左方に設けられた細径部2cには、溝部2dが細径部2cの軸線方向のほぼ全長にわたって1本または複数本設けてある。この溝部2dは、細径部2cがシリンジ7の内径を摺動する際の、ポンプ現象を防止するためであり、Dカット形状であってもよい。
【0011】
次に、図8乃至図10において、吐出機構部を示す。図9において、軸筒1の内径部にはカム溝1kが一体で形成されており、先述した通りカム筒4が軸筒1に固定嵌合されている。また、軸筒1の内径をノック体2及びノックカバー3が摺動可能に配置されており、前記ノック体2の中間部の側面には、カムピン2pが一体で設けてある。さらに、軸筒1の内径部に設けたカム溝には図中右方に開口した短溝部1g及び長溝部1iが配置されている。また、カム筒4には図中左方に開口した長溝部4c及び短溝部4eが配置されてある。それぞれノック体2の軸周方向に一定間隔で、長溝部4c、短溝部1g、短溝部4e、長溝部1iの順に配列されている。
【0012】
次に、動作について説明する。カートリッジセット時は、ノック体2が最後端(図中右方)に位置しており、この時、カムピン2pはカム筒4の長溝部4cに位置している。
次に、所定の位置までピストン8を移動させてシリンジ7内の余分な泡を抜く予備吐出工程を行う。この予備吐出を行うには、ノックカバー3を図中左方に押圧し、ノック体2をカム筒4及び軸筒1の内径に沿って摺動させる。この際、カムピン2pがカム筒4の長溝部4cから図中左方に向けて移動し、その延長線上に面した軸筒1のカム溝に当接した状態で斜面1fに沿って短溝部1gに位置される。この時、ピストン8及びプランジャー9は、ノックカバー3の押圧によるノック体2の左方への移動が完了した状態であり、ピストン8の後端部と、ノック体2の細径部2cの前端部は当接状態となっている。
次いで、ノックカバー3を押圧する操作を解除するとノック体2がスプリング5の付勢によって図中右方に摺動される。この時、カムピン2pはカム筒4の斜面4dに沿って短溝部4eに位置される。ここで予備吐出は完了となる。この時、ピストン8及びプランジャー9は、カムピン2pが短溝部1gに位置された状態でノックカバー3の押圧による左方への移動が完了し、カムピン2pが短溝部1gから、短溝部4eに向かって移動を開始しても、前述した通り、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態である為、相対的に静止状態となる。
前記の状態では、シリンジ7に対して相対的に静止状態であるピストン8の後端部と、スプリング5の付勢によって、シリンジ7に対して相対的に図中右方に摺動されたノック体2の細径部2cの前端部との間にクリアランスSが生じる。このクリアランスSは、シリンジ7に対するノック体2の摺動ストローク、つまりカムピン2pが短溝部1gから、短溝部4eに向かって移動した同じ距離となる。
【0013】
次に、液体の定量吐出を行うには、再びノックカバー3を図中左方に押圧し、ノック体2をカム筒4及び軸筒1の内径に沿って摺動させる。この際、カムピン2pがカム筒4の短溝部4eから図中左方に向けて移動し、その延長線上に面した軸筒1のカム溝に当接した状態で斜面1hに沿って長溝部1iに位置される。このノック体2の移動に伴って、細径部2cの前端部が図中左方に前述したクリアランスSだけ移動する。引き続き、細径部2cの前端部がピストン8の後端部の押圧を開始し、そのピストン8の前端部に圧入嵌合されたプランジャー9の前端部により、シリンジ7に内包された液体への圧力が付与される。その結果、吐出針10の先端部から液体が定量吐出される。
次に、ノックカバー3を押圧する操作を解除するとノック体2がスプリング5の付勢によって図中右方に摺動される。この時、カムピン2pはカム筒4の斜面4fに沿って長溝部4cに位置されて、再びカートリッジセット状態に戻る。この状態では、ピストン8及びプランジャー9は、前記カムピン2pが長溝部1iに位置された状態でノックカバー3の押圧による左方への移動が完了する。この時、カムピン2pが長溝部1iから、長溝部4cに向かって移動を開始しても、前述した通り、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態である為、相対的に静止状態となる。ちなみに、液体の吐出が完了した使用済みのカートリッジ部Cは、吐出機構部Tから取り外されて廃棄されるのが望ましい。
【0014】
尚、軸筒1には窓穴部1mが設けてあり、カム筒4にも窓穴部1mと同位置に窓穴部4mが設けてある。一方、ノック体2には、カムピン2pがカム筒4の長溝部4cに位置された時に、窓穴部4mに位置するところに表示部2mが設けてある。この表示部2mは、カムピン2が複数の長溝部4cに位置される毎に周状に複数配列してあり、本図では4ヶ所となっている。その表示部2mの手段としては、印刷や刻印などが望ましい。
【0015】
本発明を実施するための他の形態を図面に基づいて説明する(第2の実施例)。図11乃至図15は本発明における第2の実施例である。図11及び図12において、軸筒21の内径にはノック体22が軸筒21の軸方向に摺動自在に配置されている。そのノック体22の図中上方端部から軸外方に向かって突出した状態から図中下方部へ向かって垂下した状態で弾性板22bが延出している。その弾性板22bの下端部側でもある自由端側には、軸筒21の軸中心方向に対して直角に、軸筒21の外周壁に設けたカム山21cと向き合う方向に係合突起22cが突出している。また、ノック体22は、軸筒21に対してスプリング23により図中上方に付勢されている。
なお、図11及び図12では、ノック体22が最後端(図中上方)に位置している状態である。また、軸筒21の図中右方には窓穴21mが設けられており(図13)、ノック体22に設けられた突起部22mがこの窓穴21mに摺動係合して、ノック体22の軸筒21からの脱落を防止している。
さらに、軸筒21の図中下方には、(第1の実施例と同じく)シリンジ7が着脱自在に配置されており、シリンジ7の内径にピストン8及びプランジャー9がシリンジ7の軸方向に摺動自在に配置されている。プランジャー9はピストン8の図中下方に設けられた嵌合部に圧入により一体嵌合となっており、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態であるが、摺動は可能なものとなっている。
また、シリンジ7の図中下端には吐出針10を設けた針受け11が螺合などにより固定されて取り付けられている。
【0016】
次に図13乃至図15において、吐出機構部の説明をする。軸筒21の内径にはキー溝21aが設けてあり、ノック体22の外周にはキーリブ22aが設けてある。前記ノック体22は、軸筒21に対してキー溝21a及びキーリブ22aによって軸筒1の軸周方向に回転せず位置決めされるとともに、先述したノック体22に設けられた突起部22mが軸筒21に設けられた窓穴21mに摺動係合している。
また、前記軸筒21に設けたカム山21cには、そのカム山21cの図中右方に軸筒21から離反する方向に傾斜する斜面21e、その斜面21eの一部から図中手前に傾斜するテーパ面21f、前記カム山21cの図中中央に軸筒21の軸線と並行に面した座面21g、前記カム山21cの右方で前記斜面21eより図中左方に位置する係合部21h、前記カム山21cの図中中央に図中手前に傾斜するテーパ面21i、前記カム山21cの図中左方に設けた突起部21dの右方に軸筒21の軸線に対して直立する突き当て面21j、その突き当て面21jと並行で図中右方近傍に壁面21kが配置されている。
【0017】
カートリッジセット時は、ノック体22が最後端(図中右方)に位置しており、この時、係合突起22cはカム山21cと係合しない。つまり、カム山21cとは離隔した位置に待機している状態になっている。図面においては、図中右方に待機している(図15)。
次に、液体の予備吐出を行うには、ノック体22を図中左方に押圧し、軸筒21の内径に沿って摺動させる。この際、係合突起22cが軸筒1のカム山21cに当接した状態で斜面21eに沿ってカム山21cに乗り上げ、続いてテーパ面21fによって図中手前に移動する。更にノック体22を押圧し続けると、係合突起が座面21gに到達する。この時点でノック体22の前進が制限される。この時、ピストン8及びプランジャー9は、ノック体22の左方への移動が完了した状態で、ピストン8の後端部と、ノック体22の細径部22dの前端部は当接状態となっている。
続いてノック体22を押圧する操作を解除すると、ノック体22がスプリング23の付勢によって図中右方に摺動される。この時、係合突起22cは弾性板22bの復元力によって、カム山21cの係合部21hに案内され係合する。ここで予備吐出は完了となる。この時、ピストン8及びプランジャー9は、係合突起22cが座面21gに位置された状態でノックカバー3の押圧による左方への移動が完了し、係合突起22cが座面21gから、係合部21hに向かって移動を開始しても、前述した通り、ピストン8とノック体22が別部材で構成されていると共に、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態である為、プランジャー9はシリンジ7に対して相対的に静止状態となる。
前記の状態では、シリンジ7に対して相対的に静止状態であるピストン8の後端部と、スプリング23の付勢によって、シリンジ7に対して相対的に図中右方に摺動されたノック体22の細径部22dの前端部との間にクリアランスSが生じる。このクリアランスSは、シリンジ7に対するノック体2の摺動ストローク、つまり係合突起22cが座面21gから、係合部21hに向かって移動した同じ距離となる。
【0018】
次に、液体の定量吐出を行うには、再びノック体22を図中左方に押圧し、軸筒21の内径に沿って摺動させる。この際、係合突起22cが軸筒21のカム山21cに設けたテーパ面21iに沿って図中手前に移動されて、その後に突き当て面21jに当接する。このノック体2の移動の過程において、細径部22dの前端部が図中左方に前述したクリアランスSだけ移動すると共に、細径部22dの前端部によるピストン8の後端部への押圧を開始する。このピストン8の押圧によって、そのピストン8の前端部に圧入嵌合されたプランジャー9の前端部がシリンジ7に内包された液体に圧力を付与し、その圧力の付与によって吐出針10の先端部から液体が定量吐出される。
ここで、ノック体22を押圧する操作を解除すると、前記ノック体22がスプリング23の付勢によって図中右方に移動しようとするが、壁面21kによって阻止される。この阻止動作を解除し、復元するには、弾性板22bを指で持ち上げ、軸筒21から離隔させる。この離隔動作によって、壁面21kから係合突起22cが解除されて、再びカートリッジセット状態に戻る。この状態では、ピストン8及びプランジャー9は、ノック体22がスプリング23の付勢によって図中右方に移動を開始するが、前述した通り、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態である為、相対的に静止状態となっている。ちなみに、液体の吐出が完了した使用済みのカートリッジ部Cは、吐出機構部Tから取り外されて廃棄されるのが望ましい。
【0019】
本発明を実施するための更に他の形態を図面に基づいて説明する(第3の実施例)。図16乃至図20は本発明における第3の実施例である。図16及び図17において、軸筒31の内径にはノック体32が軸筒31の軸方向に摺動自在に配置されている。
さらに、軸筒31の後方の内径には、軸筒31に対してカム筒33が軸筒31の軸周方向に回転自在に配置されており、カム筒33は、スプリング受け35を介してスプリング34により図中上方に向けて付勢されている。
なお、図16及び図17では、ノック体32が最後端(図中上方)に位置している状態である。また、軸筒31の図中上方には窓穴31mが設けられており、ノック体32に設けられた突起部32mがこの窓穴31mに摺動係合して、ノック体32の軸筒1からの脱落を防止している。
また、軸筒31の図中下方には、(第1の実施例と同じく)シリンジ7が着脱自在に配置されており、シリンジ7の内径にピストン8及びプランジャー9がシリンジ7の軸方向に摺動自在に配置されている。プランジャー9はピストン8の図中下方に設けられた嵌合部に圧入により一体嵌合となっており、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態であるが、摺動は可能なものとなっている。
また、シリンジ7の図中下端には吐出針10を設けた針受け11が螺合などにより固定されて取り付けられている。
【0020】
次に、図18乃至図20において、吐出機構部を示す。図19において、軸筒31の内径部にはカムピン31pが形成されており、カム筒33の外周面に設けたカム溝33kに相対的に回転自在となって係合している。また、軸筒31の内径をノック体32が摺動可能に配置されている。
そのノック体32の略中央部外周にはカム筒33が回転自在に配置され、また、そのカム筒33の外周面に設けたカム溝33kには、図中右方に開口した短溝部33a、左方に開口した短溝部33b、再び右方に開口した短溝部33c、更に左方に開口した長溝部33dが、それぞれカム筒の軸線に対して一定の回転方向に配置されてある。
【0021】
カートリッジセット時は、ノック体32が最後端(図中右方)に位置しており、この時、カムピン31pはカム筒33の短溝部33aに位置している。
次に、液体の予備吐出を行うには、ノック体32を図中左方に押圧し、軸筒31の内径に沿って摺動させる。この際、カムピン31pがカム筒に対して相対的に、カム筒33の短溝部33aから図中右方に向けて移動し、その延長線上に面したカム筒33のカム溝に当接した状態で斜面33eに沿って短溝部33bに位置される。この時、ピストン8及びプランジャー9は、ノック体32の左方への移動が完了した状態で、ピストン8の後端部と、ノック体32の細径部32aの前端部は当接状態となっている。
次に、ノック体32を押圧する操作を解除するとノック体32がスプリング34の付勢によって図中右方に摺動される。この時、カムピン31pはカム筒33の斜面33fに沿って短溝部33cに位置される。ここで予備吐出は完了となる。この時、ピストン8及びプランジャー9は、カムピン31pが短溝部33bに位置された状態でノック体32の押圧による左方への移動が完了し、カムピン31pが短溝部33bから、短溝部33cに向かって移動を開始しても、ピストン8とノック体22が別部材で構成されていると共に、前述した通り、プランジャー9の外径がシリンジ7の内径に対して圧入状態である為、そのプランジャー9はシリンジ7に対して相対的に静止状態となる。
前記の状態では、シリンジ7に対して相対的に静止状態であるピストン8の後端部と、スプリング34の付勢によって、シリンジ7に対して相対的に図中右方に摺動されたノック体32の細径部32aの前端部との間には、クリアランスSが生じる。このクリアランスSは、シリンジ7に対するノック体32の摺動ストローク、つまり、カムピン31pが短溝部33bから、短溝部33cに向かって移動した同じ距離となる。
【0022】
次に、液体の定量吐出を行うには、再びノック体32を図中左方に押圧し、軸筒31の内径に沿って摺動させる。この際、カムピン31pがカム筒33の短溝部33cから図中右方に向けて移動し、その延長線上に面したカム筒33のカム溝に当接した状態で斜面33gに沿って長溝部33dに位置される。このノック体32の移動の過程において、細径部32dの前端部が図中左方に前述したクリアランスSだけ移動すると共に、細径部32dの前端部によるピストン8の後端部への押圧を開始する。このピストン8の押圧によって、そのピストン8の前端部に圧入嵌合されたプランジャー9の前端部がシリンジ7に内包された液体に圧力を付与し、その圧力の付与によって吐出針10の先端部から液体が定量吐出される。
次に、ノック体32を押圧する操作を解除すると、カム筒33がスプリング34の付勢によって図中右方に摺動される。この時、カムピン31pはカム筒33の斜面33hに沿って短溝部33aに位置されて、再びカートリッジセット状態に戻る。
【符号の説明】
【0023】
1 軸筒

1a 嵌合突起
1b キー溝
1c カギ状係合突起
1d 開口部
1e 壁部
1f 斜面
1g 短溝部
1h 斜面
1i 長溝部
1m 窓穴部
1k カム溝
2 ノック体
2a 内方凸部
2b リング状の凸部
2c 細径部
2d 溝部
2m 表示部
2p カムピン
3 ノックカバー
3a 周状リブ
3b 下面
4 カム筒
4a 外周突起
4b キーリブ
4c 長溝部
4d 斜面
4e 短溝部
4f 短溝部
4m 窓穴部
5 スプリング
6 スプリング受け
7 シリンジ
7a ツバ部
8 ピストン
9 プランジャー
10 吐出針
11 針受け
21 軸筒
21a キー溝
21b
21c カム山
21d 突起部
21e 斜面
21f テーパ面
21g 座面
21h 係合部
21i テーパ面
21j 突き当て面
21k 壁面
21m 窓穴
22 ノック体
22a キーリブ
22b 弾性板
22c 係合突起
22d 細径部
22m 突起部
23 スプリング
31 軸筒
31m 窓穴
31p カムピン
32 ノック体
32a 細径部
32m 突起部
33 カム筒
33a 短溝部
33b 短溝部
33c 短溝部
33d 長溝部
33e 斜面
33f 斜面
33g 斜面
33h 斜面
33k カム溝
34 スプリング
35 スプリング受け


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒の後部にノック体を設けると共に、軸筒の後部に短溝部と長溝部を対向して設け、前記ノック体には対向して設けられた前記各溝部間を往復動する係合部を設け、また、前記軸筒の先端部にはシリンジを着脱自在に設けると共に、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させた定量吐出容器。
【請求項2】
軸筒の後部にノック体を設け、そのノック体の後部には弾性板部を軸筒の表面から露出させた状態で設けると共に、その弾性板部の前端部の側面に係合突起を設ける一方、その係合突起と係脱する係合受部を前記軸筒の表面に複数設け、また、前記軸筒の先端部はシリンジを着脱自在に設け、そのシリンジにはピストンを摺動自在に設け、そのピストンを前記ノック体によって移動させた定量吐出容器。
【請求項3】
前記ピストンの先端部に液体押圧体を設けた請求項1、或いは、請求項2に記載の定量吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−228389(P2012−228389A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98849(P2011−98849)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】