説明

液体を液滴の形態で送出するための装置

液体の送出のための装置であって、
押されることによって液体を送出すべく変形することができる液体リザーバ(12)と、
リザーバ(12)に装着された液体送出用端部ピース(10)と、
液体を通すための通路(24、50)と、
リザーバの外部から内部へと空気を通すための通路(26)と
を備えており、
空気を通すための通路(26)が、通気ポリマー材料で作られた部材(28)によって閉じられており、この材料が無孔性であって、部材(28)が通気部材(28)と呼ばれる装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば目薬など、薬剤の分野において液体を特に液滴の形態で送出する分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、空気取り入れ口を備える変形可能なリザーバを使用し、保存料を含まない液体を液滴の形態で送出することに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の傾向は、保存料を含まない製品(特に、眼科製品)を供給する方向にある。したがって、製品の無菌状態が、送出すべき液体を含んでいる瓶の使用の初めから終わりまで、保証されなければならない。
【0004】
国際公開第92/01625号から、リザーバに収容された製品の液滴の送出を可能にする装置であって、瓶に残る液体の汚染を防止する種々の装置が、知られている。
【0005】
一例によれば、そのような液体送出装置が、リザーバと、リザーバに装着された送出用端部ピースとを備えており、送出用端部ピースに液体送出開口が設けられている。ユーザがリザーバに圧力を加えてリザーバを変形させると、圧力の作用のもとで送出開口の表面に液滴が形成される。ひとたび液滴が送出されると、ユーザが変形リザーバへの圧力を緩めることで、リザーバが初期の形状をとろうとし、瓶の内部に圧力低下が生じる。この圧力低下を補充し、リザーバが初期の形状へと復帰できるようにするために、装置の端部ピースがリザーバへの空気取り入れ口を備えている。進入する空気でリザーバ内に残る液体が汚染されることがないように保証するために、疎水フィルタが、空気の通路に装着されている。このフィルタが、外部の空気のリザーバへの進入を許しつつ、微生物および塵埃の進入を防止するとともに、液体の出入りを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第92/01625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この形式の装置の1つの問題は、信頼性の確保が難しい点にある。実際、端部ピースへの装着後にフィルタの適切な動作を試験することが、フィルタを水に浸して試験しなければならないと考えられ、すなわち試験段階における汚染または劣化の恐れが存在するため、困難である。したがって、使用されるフィルタおよびその端部ピースへの組み付けの完全性を、保証することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、送出用端部ピースの無菌状態を確実に保証する液体送出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、液体の送出のための装置であって、
押されることによって液体を送出すべく変形することができる液体リザーバと、
リザーバに装着された液体送出用端部ピースと、
液体を通すための通路と、
リザーバの外部から内部へと空気を通すための通路と
を備えており、
空気を通すための通路が、通気ポリマー材料で作られた部材によって閉じられており、この材料が無孔性(non−porous)であって、部材が通気部材と呼ばれることを特徴とする装置である。
【0010】
したがって、リザーバへと汚染されていない空気を許すという機能を、空気のフィルタ処理によってではなく、或る種の材料の気体拡散特性を使用することによって実行することが提案される。したがって、無孔性のポリマー材料から作られた部材が、フィルタの代わりに使用される。この種の部材は、本質的に多孔性であるフィルタによるよりも信頼できるやり方で汚染されていない空気の流れを許すという利点を提供する。実際、無孔性の部材によれば、孔サイズを試験する必要がなく、組み立ての不良または部材の欠陥に起因する漏れの有無を、より容易に検査することができる。
【0011】
「無孔性の」材料は、穴がなく、細菌などの粒子の通過を阻止し、例えば約0.2マイクロメートルの直径を有する細菌ブレブンディモナスディミヌタ(Brevundimonas diminuta)を阻止する中実な材料を意味する。この無孔性の材料は、多孔性であるように設計されるフィルタとは異なる。実際、通気部材に提案される無孔性の材料が、例えば単純な射出または圧縮を受けた生の形態で使用されるポリマーで構成される一方で、フィルタの材料などの多孔性の材料は、例えば材料の引き伸ばしまたはポリマーへの化学溶剤の添加など、孔または隙間を生成するステップも受けたポリマーで構成される。材料が無孔性のため、液体を通さず、塵埃または微生物などの粒子の通過が阻止される。しかしながら、この材料は、分子のサイズの成分の通過を許すため、通気性である。換言すると、上記提案の無孔性の材料は、気体に対して透過性であり、長い絡み合った分子鎖の架橋網を空気の分子が通過することができる。換言すると、無孔性の材料で作られた部材が、通気部材における拡散によって空気を通すことができるように構成される。材料が無孔性のため、空気が部材を横切るために、フィルタの場合のようにたった数秒ではなく、数分を要し、場合によっては数時間を要することを理解できるであろう。例えば、240μLの液体を送出するために使用される装置において、ちょうど12時間後に圧力低下がほぼ完全に補償され、すなわち瓶の内側および外側の圧力がほぼ同じになる。外部の圧力にほぼ等しい圧力へと戻るために必要な時間が、長いようにも見受けられるが、本発明の発明者は、これが実際のところ液滴の送出の用途においては問題でないことを確認済みである。
【0012】
ユーザが液体の液滴を送出すべくリザーバを押した後で、リザーバへの圧力を緩めると、瓶の内側および外側の間の圧力低下が、通気部材を横切る外部の空気の流れによってゆっくりと補償される。
【0013】
この部材が無孔性のため、小孔への微生物および塵埃の蓄積に起因する詰まりの恐れが存在しない。さらに、装置が逆さまにされ、液体が通気部材に触れる場合に、リザーバの内側および外側の間の圧力の平衡への復帰に逆らうと考えられる液体の毛管圧力の恐れが存在しない。フィルタが使用される場合には、これら2つの現象が存在する。
【0014】
この形式の部材は、きわめて容易に試験することができる。すべての遮断部材を、部材の汚染または劣化を生じさせることなく、端部ピースへの装着後に試験することができる。これらの種類の試験は、漏れなし確認試験の際にフィルタを汚染し、あるいは劣化させる可能性があり、あるいは試験の際に破壊される試料についての統計的な検査しか行うことができず、比較的限られた情報しかもたらさない、フィルタについて実行される試験と比べ、より好都合である。
【0015】
部材を、例えば部材の片側に空気の圧力を加え、数秒後に反対側の圧力を測定することによって試験することができる。部材の各側の圧力の平衡への復帰を可能にするプロセスが、わずか数秒ではなく、数分または数時間を要するため、時間軸がフィルタの試験の場合と同じではない。したがって、秒の尺度において、欠陥のない部材においては圧力の喪失を検出することができない一方で、部材に欠陥があり、あるいは端部ピースへの装着が不良である場合には、顕著な圧力低下が存在する。したがって、この試験をあらゆる欠陥部品の特定に使用することができる。通気膜を容易かつ安価に製造できることに注意すべきである。したがって、第1には精密なろ過を保証し、第2にはそれ自体の完全性を保証するために製造がきわめて高価である疎水フィルタとは異なる。
【0016】
送出装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を備えることもできる。
【0017】
通気部材が、液体を通すための少なくとも1つの通路をさらに備える。したがって、リザーバとの大きな交換面積を提供する部材を、計画することができる。
【0018】
液体を通すための通路が、液体を通すための通路へと開いている液体の流量を制限する通路である。したがって、ユーザがリザーバへと加える力が大きすぎる場合に、リザーバから出る液体の流れを制限し、液体が流れとなって送り出されることを防止することができる。すなわち、通気部材を、流量制限装置として機能するように使用することができ、これは組み立てるべき部品の数を少なくすることで、端部ピースの組み立てをより容易にする。一例によれば、流量制限通路の直径が、液体を通すための通路の直径と比べて比較的小さく、あるいは流量制限通路が、圧力を低下させる急激な方向の変化を有している。
【0019】
端部ピースおよび部材の各々が、中心軸を有しており、2つの軸が同一直線上にある。これは、端部ピースへの部材の取り付けをより容易にする。実際、一方の部品を他方の部品に対して心出しすることが容易である。加えて、通気部材を装置の中心に配置することによって、例えば装置のリザーバの首全体を覆う比較的大きい面積を有するように設計し、内部および外部の圧力が可能な限り速やかに平衡に達するよう、空気の流れにより大きな面積を提供することが可能である。
【0020】
部材が、空気の通過の面積を増やすために、複数の起伏が設けられたいわゆる空気通過壁を備える。例えば、壁が波形であってもよく、正弦曲線、キャストレイテッド状(castellated)、または鋸歯状の断面を有することができる。これは、部材をあまり大きくすることなく、リザーバの内側および外側の間の空気の交換の面積を大きくする。実際、浸透性によって部材の壁を通過することができる空気の流れは、交換面積に正比例し、部材の壁の厚さに反比例する。大きな交換面積および薄い壁が、空気の取り入れを改善する。部材の壁の形状を、必要とされる空気の取り入れのレートに合わせて、交換面積および厚さのパラメータを変えることによって容易に変更することができる。壁に形成される起伏は、リブとは異なり、通気部材の交換面積を増やすために、部材の壁の両側に平行に形成され、壁の厚さが、起伏に沿って実質的に一定であり、空気の流れを許すために充分に小さい。
【0021】
部材が、補強リブを備える。これらのリブは、部材の剛性をより高める。そのようなリブは、部材の壁の厚さの局所的な増加に相当し、部材の壁の剛性を高め、壁の2つの面の一方に突起を形成する。したがって、これらのリブは、交換面積の増加を目的とする上述の起伏とは異なる。
【0022】
部材が、端部ピースへの固定のためのカラーを備える基部を有しているおおむね円筒形または円錐形の形状を有している。このカラーの厚さは、部材を例えば機械的な締め付けによって固定するために充分な剛性を有するよう、好ましくは空気通過壁の厚さよりも大きい。カラーは、例えばスナップ固定によって端部ピースに位置する手段と協働する機械的な固定手段をおそらくは備えることができる。カラーの使用により、部材が端部ピースに容易に装着され、複雑な固定手段を必要としない。さらに、所与の端部ピースにおいて、端部ピースに適合する標準的なカラーを保持しつつ、必要とされる空気の取り入れの特性に応じて種々の構成を有することができる空気通過壁を有する部材を提案することが容易である。
【0023】
液体を通すための通路が、通気部材の外側環状面によって定められる。結果として、液体の通過を許す穴が通気部材を貫いておらず、すなわち空気の通路と液体の通路とを分離することができる。
【0024】
ポリマー材料は、エラストマ材料を含む。部材が変形可能であるため、おそらくはわずかな変形によって端部ピースへと装着することができる。ひとたび所定の位置に位置すると、部材が初期の形状へと復帰でき、端部ピースにおける機械的な締め付けによって固定され、したがって配置が簡単になる。加えて、エラストマの柔軟性ゆえに、部材の接触面が端部ピースの壁に適合することで、部材と端部ピースとの間の隙間を防止することがより容易である。
【0025】
ポリマー材料として、シリコーン(ケイ素−酸素の鎖で構成される無機化合物であり、ポリシロキサンとも呼ばれる)が挙げられる。シリコーンの気体透過性が、空気の取り入れのプロセスをさらに向上させ、必要とされる時間を短縮する。シリコーンは、薬剤の液体に対して不活性であるという利点も提供する。
【0026】
液体の送出が、液体を遮断する状態または液体を送出する状態のいずれかをとることができるただ1つのバルブによって制御される。したがって、装置が、ポンプを備える送出装置、すなわち液体を送出するためにリザーバを変形させる必要がない装置とは異なる。
【0027】
装置が、バルブと液体の通過を阻止するためのバルブ当接面を備える支持部とを備え、支持部が、空気を通すための通路を備えており、通気部材が、支持部へと取り付けられる。したがって、得られる装置がきわめてコンパクトである。
【0028】
液体の送出後にリザーバの内側および外側の圧力が平衡するための時間は、30分よりも長く、好ましくは1時間よりも長い。部材を通って生じる空気の取り入れは、リザーバが初期の形状へとほぼ瞬時に復帰することを可能にはしないが、この欠点は、提案される装置が外部からの空気が汚染されていないことを保証するという事実によって相殺される。この初期の状態への復帰のための時間が、たとえシール部材が最適な条件下で使用され、完全に邪魔がなくても、30分よりも長く、場合によっては1時間よりも長いことに、注意すべきである。換言すると、たとえ装置が上下逆さまではなく使用され(この場合、水が部材に接触する)、不純物を含んでいない場合でも、気体の拡散時間が、この時間がほぼ瞬時であり、あるいは少なくとも約数秒であるフィルタによるろ過と異なり、比較的長い。
【0029】
本発明の別の対象は、上述のとおりの2つの装置の組であって、2つの同一な端部ピースに異なる構成をそれぞれ有する通気部材が備えられている2つの装置の組に関する。例えば、部材が異なる厚さまたは形状を有する。
【0030】
本発明を、あくまでも例として図面を参照することによって提示される以下の説明から、よりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による装置を示している。
【図2a】図1の装置の通気部材の実施形態の選択肢を示している。
【図2b】図1の装置の通気部材の実施形態の選択肢を示している。
【図2c】図1の装置の通気部材の実施形態の選択肢を示している。
【図2d】図1の装置の通気部材の実施形態の選択肢を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1が、液体を液滴の形態で送出するための端部ピース10を示しており、この端部ピース10は、リザーバ12の首へと螺合によって取り付けられる。このリザーバ12は、液体(例えば、目薬などの薬剤の液体)のための貯蔵容器である。リザーバ12を、リザーバを押すことによって液体を送出すべく変形させることができる。より詳しくは、液体が、ユーザによってリザーバ12の本体へと加えられる圧力によって送出されるが、リザーバの本体が然るべき弾性を有していることで、ユーザによって加えられる圧力が緩められた後に初期の形状へと戻ることができ、リザーバ12の内部に圧力低下が生じる。
【0033】
この例では、送出用端部ピース10が、支持部14と、送出開口18が設けられた送出バルブ16と、ばね20と、外被22と、リザーバ12から送出開口18へと液体を通すための通路24と、リザーバ12へと空気を通すための通路26とを備えており、通路26が通気部材28によって閉じられている。
【0034】
この例では、支持部14が、支持部14の近位端に位置するリザーバへの固定のための部位32を備えている。部位32は、リザーバ12の首への螺合を可能にするねじ山を有している外スカート34を備えている。固定のための部位32は、リザーバ12と送出用端部ピース10との間のシールを保証できるようにする管状の内側スカート36をさらに備えている。
【0035】
さらに、支持部14は、実質的に円筒形の形状であって内側スカート36と反対に遠位方向に延びている中央のシール部38を備えている。部位38は、その遠位端に、閉鎖の状態において液体の流れを阻止するためのバルブ16の当接面40を備えている。この例では、当接面40が、環状の縁取りの形状を有している。
【0036】
この例では、さらに支持部14が、リザーバ12へと空気を通すための通路26を備えており、そのような通路26が、実質的に円柱形の空洞42へと開いている。この空洞42が、その近位端において部材28へと開いている。
【0037】
この例では、さらに支持部14が、実質的に円筒形の空洞を形成するハウジング44を備えており、この空洞が、その近位端においてリザーバ12へと開くとともに、その遠位端において支持部14に形成された液体を通すための通路24へと開いており、この通路24が装置の長手方向(この場合には、矢印46によって示されている液体の排出の方向に相当する)に延びている。通路24は、中間の空洞48へと開いており、空洞48自体は、液体を通すための第2の通路50へと開いている。
【0038】
ハウジング44は、シール部38とは反対の方向に延びている環状の壁52によって隔てられつつ、空洞42に隣接している。
【0039】
通気部材28は、通気性のポリマー材料で製作され、この材料は無孔性で、直径0.1マイクロメートルの細菌などの粒子の通過を阻止するが、空気分子などの分子の通過を許す。したがって、空気が、部材28における拡散によって通気部材28を通過する。ポリマー材料は、この例ではシリコーンなど、エラストマ材料を含む。部材28は、おおむね円筒形または円錐形である。中心軸が端部ピース10の中心軸と同一直線状にあり、この軸が、液体の送出方向に一致し、したがって矢印46に一致している。より正確には、この例では、部材28が、気体の交換を改善するために比較的薄く、円筒形または円錐形の形状であり、上部が円板状の面で閉じられているいわゆる空気通過壁と、端部ピース10への固定のための環状のカラー30を備えている基部とを備えており、このカラー30が比較的厚く、少なくとも空気通過壁の全体的な厚さよりも厚い。
【0040】
部材28は、支持部14の内側スカート36によって境界付けられた実質的に円柱形の空洞54に収容され、カラー30と環状の壁52との協働により、この例では機械的な締め付けによって固定される。より正確には、カラーが壁52に対して弾性によって保持されるよう、カラー30の内径が壁52の外径よりもわずかに小さい。必要であれば、カラー30を壁52へと固定するための機械的な手段に加えて、カラー30に形成される内側の環状のビード(壁52の外面に形成される環状の溝にスナップ固定される)など、スナップ式の固定手段を計画してもよい。部位14を横切って空洞48に達する機械的な取り付け手段や、円筒36の内壁への取り付けのための手段を、計画してもよい。
【0041】
さらに支持部14は、バルブ16を支持部14に固定するための部位56を備えている。この部位56は、外被22を支持部14に固定するために用いられる部位としても機能する。部位56は、環状の壁60によって外周が画定された環状の溝58を備えている。さらに、環状の溝58の内周は、円板を実質的に形成している壁(通路24が横切っており、空洞48によって画定されている)に生成された環状のリブによって画定されている。
【0042】
バルブ16は、支持部14との協働によって、液体を遮断する状態と、液体を送出する状態とをとることができる。この例では、バルブ16がエラストマ材料から作られている。別の例によれば、バルブ16の一部だけがエラストマ材料から作られ、残りの部分が、ばね20のための座として機能することができるより剛性のある材料から作られる。バルブ16は、実質的に管状のスカートを形成している支持部14への固定のための部位62を備えている。この固定のための部位62が、実質的に円板状のウェブ64へとつながり、そこから実質的に円筒形の中央部66が突き出している。ウェブ64は、ばね20のための座68をさらに備えている。部位66が、部位38に相補的である実質的に円柱形の内側空洞を形成している。部位38および円筒形の部位66が同軸であり、液体を通すための通路50を協働して画定している。この液体を通すための通路50は、バルブ16の遠位端に形成された送出開口18へと開いており、送出開口18自体は、液滴を形成するための形状68へと開いている。
【0043】
外被22が、支持部14への固定のための環状の部位70と、環状の壁60を収容する溝74を形成するように部位70と同軸であるもう1つの環状の部位72とを備えている。さらに外被22は、ばね20のための座76を備えており、内周が環状の壁78によって延長され、バルブ16の部位66が横切り、心出しされるように設計されている。
【0044】
さらに、この例では、通気部材28が、液体を通すための少なくとも1つの通路80を備えている。さらにこの例では、液体を通すための通路80が、液体を通すための通路24へと開いた液体の流量制限装置としても機能する。より正確には、部材28のカラー30が、外側の環状面に、ハウジング44とともに液体の流量を抑えるための通路82を画定する複数の溝80(特に、図2aから図2dに示されている)を備えている。これらの通路82は、ユーザがリザーバを押すときに液体の圧力を下げるための比較的小さな直径を有している。別の実施形態によれば、溝80が、方向の変化またはらせん状の形状を有することができる。ハウジング44に対向して配置される溝80の数およびサイズに応じて、現れる液体の流れが多少なりとも減少させられる。
【0045】
例えば、部材28は、図2aから図2dに示した形状のうちの1つをとることができる。流量削減の形状80が、部材28のカラー30の外周に設けられ、外周の凹所を形成している。
【0046】
図2aの例では、部材28が、実質的に円筒形または円錐形の薄い空気通過壁を備えている。より剛性を高めるために、壁が、壁の厚さの局所的な増加に相当する補強リブ84をさらに備えている。
【0047】
図2bから図2dの部材28が、他の種類の部材28を示しており、これらの部材28においては、空気通過壁が、補強リブ84に代え、あるいは補強リブ84に加えて、部材28をあまり大きくすることなくリザーバ12の内側および外側の間の空気の交換の面積を増加させる複数の起伏を備えている。これらの起伏は、壁が空気の通過を許すべく比較的薄いままであるように、壁に形成される。加えて、これらの起伏を、特にクローバ状の断面を有する波形の空気通過壁を示している図2cに示されているように、部材28の剛性を高めて、おそらくは補強リブ84を不要にするために使用することができる。
【0048】
次に、図1に示した装置の動作を説明する。
【0049】
休止時、すなわちユーザがリザーバ12を押していないとき、バルブ16は、バルブに弾性力を作用させるように支持部14へと恒久的に固定され、ばね20によって圧力が加えられているため、液体を阻止する状態にあり、すなわち表面40に押し付けられている。
【0050】
ユーザがリザーバ12を押して流体に圧力を作用させると、流体が、部材28の壁が液体の通過を許さないため、流体の流れを許す唯一の通路、すなわち液体を通すための通路82(この例では、流量を抑えるための通路でもある)へと流入する。この例では、液体がこの通路82を通過するとき、流体の流量が圧力低下ゆえに減少する。次いで、流体は通路24へと流れ、さらに空洞48および通路50へと流れる。圧力の作用のもとで流体がバルブ16を持ち上げ、結果としてバルブ16が液体を送出する状態へと切り替わり、したがって流体がバルブ16と当接面40との間を流れ、通路18および空洞68へと通過でき、したがって液滴の形態をとることができる。
【0051】
ひとたび液滴が送出されると、ユーザが変形リザーバ12への圧力を緩めることで、リザーバが初期の形状をとろうとし、リザーバ12の内部に圧力低下が生じる。この圧力低下が、空気を通すための通路26から通気部材28を通って外部の空気を取り入れることによって補償される。部材28を形成している材料が無孔性のため、空気が部材28を通過するために、たった数秒ではなく、数分を要し、場合によっては数時間を要することに注意すべきである。
【0052】
すなわち、容量が12mLであり、10mLの目薬で満たされており、1.4×10−13mol×m−1×Pa−1×s−1(モル・パー・メートル・パー・パスカル・パー・セコンド)の酸素透過性を有するシリコーンからなる通気部材を備えている装置、ならびに90mmという交換面積および0.4mmという厚さを考えると、大気圧のもとでの溶液の6個の液滴(すなわち、40×6=240マイクロリットルの液体)の送出により、約95mbarの圧力低下が生じ、この圧力低下が12時間でほぼ完全に補償される(より正確には、12時間でおよそ90mbarが補償される)。
【0053】
部材28の壁が無孔性のため、リザーバ12への空気の取り入れに必要なこの時間は、装置が逆さまであるか否かにかかわらずほぼ同じである。
【0054】
部材28が独立した部品であるため、その形状を、用途、必要とされる空気取り入れ時間、および必要とされる流量の抑制に適するように変更できることに、注意すべきである。したがって、同じバルブ16、同じ支持部14、および同じ外被22を有するが、部材28が異なっている端部ピースを含むセットを製造することが可能である。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限られない。
【0056】
部材28に使用される材料などの無孔性の材料を使用することが、この部材の機能をきわめて容易に点検できるがゆえにきわめて好都合であることを、理解できるであろう。部材28の代わりに疎水フィルタが使用される場合、組み立て後にフィルタに漏れがないことを試験することが困難であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の送出のための装置であって、
押されることによって液体を送出すべく変形することができる液体リザーバ(12)と、
リザーバ(12)に装着された液体送出用端部ピース(10)と、
液体を通すための通路(24、50)と、
リザーバの外部から内部へと空気を通すための通路(26)と
を備えており、
空気を通すための通路(26)が、通気ポリマー材料で作られた部材(28)によって閉じられており、この材料が無孔性であって、部材(28)が通気部材(28)と呼ばれることを特徴とする、装置。
【請求項2】
通気部材(28)が、通気部材(28)における拡散によって空気の通過を許すように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
通気部材(28)が、液体を通すための少なくとも1つの通路(80)をさらに備えている請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
液体を通すための通路(80)が、液体を通すための通路(24)へと開いている液体の流量を制限する通路(80)である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
液体を通すための通路(80)が、通気部材(28)の外側環状面によって境界付けられている請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
端部ピース(10)および部材(28)の各々が、中心軸を有しており、2つの軸が同一直線上にある請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
部材(28)が、複数の起伏が設けられたいわゆる空気通過壁を備えている請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
部材(28)が、補強リブ(84)を備えている請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
部材(28)が、例えば機械的な固定によって端部ピース(10)へと固定されるカラー(30)を備える基部を有しているおおむね円筒形または円錐形の形状を有しており、カラー(30)が、例えばスナップ固定によって端部ピース(10)に位置する手段と協働する機械的な固定手段をおそらくは備えている請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ポリマー材料が、シリコーンを含んでいる請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
バルブ(16)と、液体の通過を阻止するためのバルブ当接面(40)を備える支持部(14)とを備えており、支持部が、空気を通すための通路(26)を備えており、通気部材(28)が、支持部(14)へと取り付けられる請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
液体の送出後にリザーバの内部および外部の圧力が釣り合うまでの時間が、30分よりも長く、好ましくは1時間よりも長い請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【公表番号】特表2013−509220(P2013−509220A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535900(P2012−535900)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052258
【国際公開番号】WO2011/051602
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512063287)
【Fターム(参考)】