説明

液体センサおよびミネラル水生成装置

【課題】 管内に液体が無くなったことを検出する液体センサを低コストで提供する。
【解決手段】 液体センサ112は、管22の周りを取り囲み管22を外部の光から遮光する遮光体1121と、管22を挟んで互いに対向する位置に配置された発光体1122と受光体1123の対を備えている。発光体1122は点光源を有し、光源から放射状に拡散する光を発する。発光体1122および受光体1123は遮光体1121により外部の光から遮光されるように、遮光体1121に埋め込まれている。遮光体1121内の発光体1122と受光体1123を結ぶ直線の周りには光路1124が形成されている。受光体1123は、管22内に所定の液体が満ちている場合に発光体1122より受ける強さの光には応じず、管22内に液体が無い場合に発光体1122より受ける強さの光に応じて信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体センサおよび当該液体センサを備えるミネラル水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体が容器内に空になったことを検出する必要性が生じるケースがある。例えば、医療施設において患者に液体薬剤を投与し続ける場合などがそれである。そのような場合、液体薬剤が空になったことを検出する液体センサがあると、常時誰かが液体薬剤の残量を確認する必要がなくなり便利である。
【0003】
上記のような液体センサの例として、例えばフロート式のものがある。フロート式の液体センサは、液体を収容する容器内の液面に浮かべられた浮きが液体の水位の下降に伴い下がり、所定の水位以下に浮きが下がった時点でスイッチがONする仕組みとなっている。
【0004】
また、超音波式の液体センサも実用化されている。超音波式の液体センサは、液体を収容する容器内に液面に向かって超音波を発する発音器と、液面に反射して戻ってくる超音波を拾音する拾音器を備え、反射音の戻ってくるまでの時間により液面までの距離を計測し、その距離が所定値以上となった場合に液体が容器内に空になったと判定する仕組みとなっている。
【0005】
上記のような液体センサは容器内に設けられるため、容器が使い捨ての場合においては液体センサも使い捨てるか、液体センサを新しい容器に設置し直す必要がある。前者の場合はコスト高となり、後者の場合は利便性が低くなる。
【0006】
そこで、特に容器が使い捨てのような場合、液体を収容する容器から液体の供給先までの流路を形成するチューブ上に液体センサを設けることが行われている。そのようなチューブ上に設けられる液体センサとしては、チューブとして透明のものを用い、透明なチューブを挟む位置に発光体と受光体を配置し、発光体から発せられた光が受光体により受光されたか否かを判定する光式のものが広く用いられている。
【0007】
図13は、従来技術にかかる光式の液体センサ9の仕組みを模式的に示した図である。図13において、管91は光透過性を有する液体が流れる流路を形成するチューブ(断面図)である。液体センサ9は管91を挟んで互いに対向する位置に配置された発光体92と受光体93とを備えている。発光体92から発光される光は高い指向性を有する光であり、例えばレーザー光や、光ファイバもしくはレンズを通して平行光とされたLED(Light−Emitting Diode)等の光である。
【0008】
発光体92と受光体93は、それらを結ぶ直線が管91の中心を通る線94から外れた位置となるように配置される。管91が空の場合、発光体92から発せされた光はほぼ直進して受光体93に到達する(矢印95)。一方、管91に液体が満ちている場合、発光体92から発せられた光は管91内の液体により屈折され、受光体93に到達しない(矢印96)。
【0009】
従って、例えば受光体93が発光体92から発光される波長のレーザー光を受光した場合にのみ通電する受光体とすれば、液体センサ9は管91内に液体が空となったことを通電により通知する液体センサとして機能することになる。以上が従来技術による光式の液体センサの仕組みである。
【0010】
上述した光式の液体センサを開示する文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、チューブのサイズが発光体のサイズより小さい場合に、発光体より発光される平行光(指向性の高い光)の一部のみを通過させるスリット部を設けることで、直径の小さいチューブ内の液体の有無を検出可能とする液体センサが提案されている。
【特許文献1】特開平10−253425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した光式の液体センサは、管内に満ちた液体による光の屈折を利用するため、発光体から発光される光は指向性の高い光である必要がある。そのため、そのような液体センサはコスト高となる。
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、管内に液体が無くなったことを検出する液体センサを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するために、本発明は、光透過性を有する管を挟んで互いに対向する位置に配置された発光体および受光体の対と、前記発光体と前記受光体との間に前記管を通過する光路を形成しつつ前記発光体、前記受光体、前記管および前記光路を外部の光から遮光する遮光体とを備え、前記発光体は、放射状の光を発光し、前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在しない場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在する場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、L<L<LもしくはL<L<Lを満たすLルーメンを閾値とした場合、前記受光体は前記閾値以上の光束を受光した場合に所定の信号を出力し、前記閾値未満の光束を受光した場合もしくは光束を受光しない場合に前記所定の信号を出力しない液体センサを提供する(第1の実施態様)。
【0014】
また、本発明は、光透過性を有する管を挟んで互いに対向する位置に配置された発光体および受光体の対と、前記発光体と前記受光体との間に前記管を通過する光路を形成しつつ前記発光体、前記受光体、前記管および前記光路を外部の光から遮光する遮光体とを備え、前記発光体は、放射状の光を発光し、前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在しない場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在する場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、L<L<LもしくはL<L<Lを満たすLルーメンを閾値とした場合、前記受光体は前記閾値未満の光束を受光した場合もしくは光束を受光しない場合に所定の信号を出力し、前記閾値以上の光束を受光した場合に前記所定の信号を出力しない液体センサを提供する(第2の実施態様)。
【0015】
第1もしくは第2の実施態様によれば、発光体として放射状に光を発する点光源が用いられるため、レーザー発光装置や光ファイバ、レンズ等を備えた平行光を発する発光体と比較して安価な発光体(例えば豆電球や、レンズ等を備えないLEDなど)により液体センサを実現できる。
【0016】
第1もしくは第2の実施態様の望ましい態様において、前記光路は、前記受光体の表面のうち前記光路と接する部分を底面とし、前記受光体の光源を頂点とする錐形状の空間を含み、前記発光体の光度をCカンデラとし、前記管が前記光路と交わる部分のうち前記発光体側の部分の光透過率をPとし、前記管が前記光路と交わる部分のうち前記受光体側の部分の光透過率をPとし、前記発光体と前記受光体との間の距離をRメートルとし、前記錐形状の空間の底面の面積をS平方メートルとする場合、前記LはL<L<Lを満たし、上記LはL=(C×S×P×P)/(R)を満たすようにしてもよい(第3の実施態様)。
【0017】
第3の実施態様によれば、発光体と受光体を結ぶ直線周りに光路を形成すればよいため、管内に満ちた液体により屈曲する光が通過するように屈曲した光路を形成する場合と比較し、光路の形成が容易である。
【0018】
また、本発明は、第1の流路を介して供給される水を受け取る第1の流入開口部と、第2の流路を介して供給されるミネラル濃縮液を受け取る第2の流入開口部と、前記第1の流入開口部より受け取った水と前記第2の流入開口部より受け取ったミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を第3の流路を介して排出する流出開口部とを備える混合器と、ミネラル濃縮液を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部に収容されているミネラル濃縮液を前記第2の流路を介して排出する流出開口部とを備える液体収容袋と、前記液体収容袋の流出開口部と前記混合器の第2の流入開口部との間に前記第2の流路を形成する管と、前記第2の流路上に設けられ、前記液体収容袋に収容されているミネラル濃縮液を前記混合器に導くポンプと、前記第2の流路を形成する管上に設けられ、ミネラル濃縮液の有無に応じて所定の信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の液体センサと、前記液体センサから出力される信号に応じて前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分のミネラル濃縮液の有無を判定し、前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分にミネラル濃縮液が無いと判定した場合、前記ポンプの運転の停止を指示する制御部とを備えるミネラル水生成装置を提供する(第4の実施態様)。
【0019】
第4の実施態様によれば、ミネラル濃縮液が無くなった際、ミネラル濃縮液を供給するためのポンプの自動停止が可能となる。そのため、ミネラル濃縮液が空になった場合のポンプの空回りが防止される。
【0020】
また、本発明は、第1の流路を介して供給される水を受け取る第1の流入開口部と、第2の流路を介して供給されるミネラル濃縮液を受け取る第2の流入開口部と、前記第1の流入開口部より受け取った水と前記第2の流入開口部より受け取ったミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を第3の流路を介して排出する流出開口部とを備える混合器と、ミネラル濃縮液を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部に収容されているミネラル濃縮液を前記第2の流路を介して排出する流出開口部とを備える液体収容袋と、前記液体収容袋の流出開口部と前記混合器の第2の流入開口部との間に前記第2の流路を形成する管と、前記第2の流路を形成する管上に設けられ、ミネラル濃縮液の有無に応じて所定の信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の液体センサと、前記第1の流路上もしくは前記第3の流路上に設けられ、開閉により前記混合器に対し供給される水もしくは前記混合器から排出されるミネラル水の流れを制御する弁と、前記液体センサから出力される信号に応じて前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分のミネラル濃縮液の有無を判定し、前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分にミネラル濃縮液が無いと判定した場合、前記流れ制限手段に水もしくはミネラル水の流れを停止させる指示を行う制御部とを備えるミネラル水生成装置を提供する(第5の実施態様)。
【0021】
第5の実施態様によれば、ミネラル濃縮液が無くなった際、ミネラル水生成装置から外部へのミネラル水の供給の自動停止が可能となる。そのため、ミネラル濃縮液が空になった場合にミネラル水生成装置からミネラル濃縮液の混合されていない水が供給されてしまう、という問題が回避される。
【0022】
また、本発明は、第1の流路を介して供給される水を受け取る第1の流入開口部と、第2の流路を介して供給されるミネラル濃縮液を受け取る第2の流入開口部と、前記第1の流入開口部より受け取った水と前記第2の流入開口部より受け取ったミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を第3の流路を介して排出する流出開口部とを備える混合器と、ミネラル濃縮液を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部に収容されているミネラル濃縮液を前記第2の流路を介して排出する流出開口部とを備える液体収容袋と、前記液体収容袋の流出開口部と前記混合器の第2の流入開口部との間に前記第2の流路を形成する管と、前記第2の流路を形成する管上に設けられ、ミネラル濃縮液の有無に応じて所定の信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の液体センサと、ユーザに対する通知を行う通知手段と、前記液体センサから出力される信号に応じて前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分のミネラル濃縮液の有無を判定し、前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分にミネラル濃縮液が無いと判定した場合、前記通知手段に所定の通知を指示する制御部とを備えるミネラル水生成装置を提供する(第6の実施態様)。
【0023】
第6の実施態様によれば、ミネラル濃縮液が無くなった際、ユーザに対し自動的に通知が行われ、例えばミネラル濃縮液が空になった状態でミネラル水生成装置の運転が継続される、もしくはミネラル水生成装置の運転が停止していることにユーザが気付かずにミネラル水が必要な時にそれが不足する、といった不都合が回避される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、発光体として点光源が用いられるため、レーザー光発光体等と比較して安価な豆電球等を発光体として採用することで、低コストの液体センサの提供が可能となる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[実施形態]
[1.構成]
図1は、本発明にかかる一実施形態であるミネラル水生成装置1の全体構成を示した図である。ミネラル水生成装置1は、まず受水口11から供給される水道水の前処理を行うセディメントフィルタ15およびカーボンフィルタ16を備えている。セディメントフィルタ15は水道水に含まれる粒径数μm程度の固形不純物を除去し、カーボンフィルタ16はセディメントフィルタ15によりフィルタ処理された後の水に含まれる塩素、臭い等を除去する。
【0026】
ミネラル水生成装置1は、セディメントフィルタ15およびカーボンフィルタ16により前処理の行われた水から、逆浸透膜により二酸化炭素以外の金属イオン、ウィルス、菌等のほとんど全ての不純物を除去し、TDSが例えば約10ppm未満の高純度の水を生成する逆浸透膜フィルタ17を備えている。
【0027】
図2は、逆浸透膜フィルタ17の構造を模式的に示した図である。逆浸透膜フィルタ17の筐体である容器171は逆浸透膜172により第1室1711と第2室1712に分離されている。第1室1711の上流側にはカーボンフィルタ16から供給される水を受け取る流入開口部173が設けられており、第1室1711の下流側には流入開口部173から容器171に入ってきた水のうち、逆浸透膜172を透過しなかった部分が排出される流出開口部174が設けられている。
【0028】
逆浸透膜フィルタ17の第2室1712には、流入開口部173から容器171に入ってきた水のうち、逆浸透膜172を透過した部分が排出される流出開口部175が設けられている。逆浸透膜は、水分子の数倍の大きさの多数の孔を有するが、膜素材の分子に水分子が水素結合する等により水分子以外の粒子(水分子よりも粒径の小さいものを含む)を透過させない性質を持つ膜である。第1室1711内の水に、第2室1712から第1室1711に向かう浸透圧より高い圧力を加えると、ほぼ水分子のみが逆浸透膜172を透過し、第1室1711から第2室1712に移動する。そのように第2室1712に移動した水は流出開口部175から排出され、混合部19(図1参照)に向かう。
【0029】
第1室1711の水に含まれる不純物の濃度が高まるにつれて第2室1712から第1室1711に向かう浸透圧が高くなるため、流入開口部173から容器171に流入した水を全て第2室1712に移動させることは不可能である。そのため、流入開口部173から流入した水の一部は流出開口部174から捨て水として排出され、さらに排水口12(図1参照)からミネラル水生成装置1の外部に排出される。
【0030】
ミネラル水の生成効率の観点からすれば、逆浸透膜フィルタ17に流入する水に対する捨て水の比率は低い方がよい。ただし、捨て水は逆浸透膜172の第1室1711側表面付近に滞留する不純物を洗い流す役割を果たす。従って、逆浸透膜フィルタ17の性能を維持する観点からは、ミネラル水生成装置1の運転時間に応じた所定量以上の捨て水が逆浸透膜フィルタ17から流れ出ることが望ましい。そこで、ミネラル水生成装置1は逆浸透膜フィルタ17の流出開口部174から排水口12に至る流路上に、流出開口部174から排出される捨て水の流量を望ましい流量に制限する流量制限器14を備えている。
【0031】
逆浸透膜フィルタ17は上述したような構成を備えているため、逆浸透膜フィルタ17から混合部19へと排出される高純度の水の圧力は、一般的なフィルタ(セディメントフィルタやカーボンフィルタ等)を透過した直後の水の圧力と比較してかなり低い。従って、逆浸透膜フィルタ17をフィルタ群の最後に配置すると、高純度の水に対しミネラル濃縮液を混入させるために高い圧力を要することがなく、低性能・低価格のポンプによりそれを実現することが可能となる。
【0032】
図1に戻り、ミネラル水生成装置1の全体構成の説明を続ける。ミネラル水生成装置1は、逆浸透膜フィルタ17により生成される高純度の水に添加されるミネラル濃縮液が収容された液体収容袋111を備えている。液体収容袋111は可撓性フィルムでできた液体収容部1111と、液体収容部1111の上部に設けられ、収容しているミネラル濃縮液を排出するための流出開口部1112を備えている。
【0033】
液体収容部1111に収容されているミネラル濃縮液は、管21および管22により形成される流路を介して、液体収容袋111から混合部19に供給される。そのため、管21は液体収容部1111内に収容され、管21の下方の端部は液体収容部1111の底部に位置するように配置されている。また、管21と連結され液体収容袋111の外部に位置する管22の流路上には、液体収容袋111に収容されているミネラル濃縮液を吸い上げて混合部19に流し込む圧力を発生させるポンプ113が設けられている。
【0034】
ミネラル水生成装置1は、逆浸透膜フィルタ17から供給される高純度の水と液体収容袋111から供給されるミネラル濃縮液を混合する混合部19を備えている。混合部19は、逆浸透膜フィルタ17から高純度の水の供給を受ける流入開口部191と、液体収容袋111からミネラル濃縮液の供給を受ける流入開口部192と、流入開口部191から流れ込んだ水と流入開口部192から流れ込んだミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を排出する流出開口部193を備えている。
【0035】
流入開口部192には、液体収容袋111から混合部19に至る流路上に設けられたポンプ113が運転していない間、混合部19内の水もしくはミネラル水が液体収容袋111に向かい流出することを防止するための逆止弁110が設けられている。すなわち、逆止弁110はポンプ113の運転中はポンプ113によりミネラル濃縮液にかけられた圧力により弁を開いてミネラル濃縮液が混合部19に流れ込むことを許容する一方、ポンプ113の停止中は弁を閉じて混合部19から液体収容袋111への液体の逆流を防ぐ。
【0036】
ミネラル水生成装置1は、混合部19から供給されるミネラル水を一時的に蓄えるための貯水容器116を備えている。混合部19の流出開口部193から排出されたミネラル水はミネラル水排出口119に向かった後に貯水容器116内に落ち、そこに蓄えられる。貯水容器116はミネラル水生成装置1の本体から着脱可能であり、ユーザはミネラル水生成装置1の本体から貯水容器116を取り外した後、貯水容器116内のミネラル水を利用することができる。
【0037】
ミネラル水生成装置1を構成する以下の構成部間は管により接続され、外部に対し閉じている。
受水口11〜セディメントフィルタ15、
セディメントフィルタ15〜カーボンフィルタ16、
カーボンフィルタ16〜逆浸透膜フィルタ17の流入開口部173、
逆浸透膜フィルタ17の流出開口部174〜排水口12、
逆浸透膜フィルタ17の流出開口部175〜混合部19の流入開口部191、
液体収容袋111〜混合部19の流入開口部192、
混合部19の流出開口部193〜ミネラル水排出口119。
【0038】
受水口11からセディメントフィルタ15に向かう流路上には、ミネラル水生成装置1に対する水道水の供給を開始および停止するための電磁弁13が設けられている。また、逆浸透膜フィルタ17の流出開口部175から混合部19の流入開口部191に向かう流路上には、混合部19に対する高純度の水の供給を開始および停止するための電磁弁18が設けられている。
【0039】
また、液体収容袋111から混合部19の流入開口部192に向かう流路上には、液体収容袋111内のミネラル濃縮液が空になった等の理由により液体収容袋111から混合部19へのミネラル濃縮液の供給が停止したことを検出する液体センサ112が設けられている。
【0040】
図3は、液体センサ112の構造を模式的に示した図である。液体センサ112は、管22の一部を取り巻き、外部の光から管22の一部を遮光する遮光体1121と、管22の中心を通る直線から外れた直線上に互いに管22を挟んで対向する位置に配置された発光体1122と受光体1123の対とを備えている。
【0041】
発光体1122は発光の中心部から放射状に拡散する光を発する点光源である。具体的には、発光体1122は豆電球やLEDであり、拡散する光を平行光にするための光ファイバやレンズ等を有さない。なお、発光体1122は発光に要する電力を供給する電源を有している。
【0042】
発光体1122および受光体1123は、外部の光から遮光体1121により遮光されるように、遮光体1121内に埋め込まれる形で配置されている。また、遮光体1121内には、発光体1122と受光体1123とを結ぶ空間である光路1124が設けられている。
【0043】
光路1124は、発光体1122と接する面(以下、「発光面」という)を一方の底面、受光体1123と接する面(以下、「受光面」という)を他方の底面とする円筒形状が管22で分断された形状をしている。従って、光路1124の円筒形状の底面の直径は、受光体1123の直径と同じもしくはそれ以下である。
【0044】
受光体1123は所定の閾値であるL[ルーメン](以下、単位を[ ]内に示す)以上の光束を受けた時に通電する受光素子と、受光素子が通電した際に受光素子に電流を流すための電圧を供給する電源と、受光素子が通電した際に受光素子を含む回路を流れる電流量を制限するための抵抗器を有している。受光体1123が有する受光素子は、例えばフォトトランジスタである。
【0045】
上述した所定の閾値L[ルーメン]は、以下の条件を満たす任意の値である。
<L<L=(C×S×P×P)/(R
ただし、
[ルーメン]:管22にミネラル濃縮液が空である時に発光体1122から受光体1123に到達する光束。
[ルーメン]:管22にミネラル濃縮液が満ちている時に発光体1122から受光体1123に到達する光束。
C[カンデラ]:発光体1122の光度。
:管22が光路1124と交わる部分のうち発光体1122側の部分の光透過率。
:管22が光路1124と交わる部分のうち受光体1123側の部分の光透過率。
R[メートル]:発光体1122と受光体1123の間の距離。
S[平方メートル]:受光面の面積。
【0046】
従って、受光体1123の受光素子は管22がミネラル濃縮液で満ちている間は通電せず、管22内のミネラル濃縮液が無くなると通電する。受光体1123の回路は制御部117(図1参照)に電気的に接続されている。従って、制御部117は管22内にミネラル濃縮液が無くなると、受光体1123から電気信号の入力を受ける。
【0047】
再び図1に戻り、ミネラル水生成装置1の全体構成の説明を続ける。ミネラル水排出口119の近傍には、ミネラル水に浸水していない状態からミネラル水に浸水した状態に変化したことを検出するセンサ115が設けられている。センサ115は、例えば対の電極を備え、それらの電極間の抵抗値が所定の閾値以下になったことを検出する抵抗値センサである。
【0048】
センサ115が貯水容器116の受水口付近に配置された状態で、貯水容器116内にミネラル水がまだ満ちていない間は、センサ115の電極はミネラル水に浸水していない。そのため、センサ115が検知する抵抗値は大気の抵抗値である。その後、貯水容器116が満水に近くなると、センサ115の電極がミネラル水に浸水する。その際、センサ115が検知する抵抗値はミネラル水の抵抗値である。ミネラル水の抵抗値はミネラル成分の濃度等により変化するが一般的に大気の抵抗値よりも低く、抵抗値が所定の閾値以下に低下する。その結果、センサ115は貯水容器116がミネラル水で満水近くなったことを検出する。
【0049】
ミネラル水生成装置1は、ミネラル水生成装置1の運転を制御する制御部117を備えている。制御部117は、電磁弁13、電磁弁18、ポンプ113、液体センサ112およびセンサ115と電気的に接続されている。また、制御部117はユーザの操作を受け付ける操作部と、ユーザにミネラル水生成装置1の状態をブザーおよびLEDディスプレイにより通知する通知部を備えている。なお、通知部がユーザに対し通知を行う手段はブザーやLEDディスプレイによるものに限られず、ユーザの五感のいずれかに訴えるものであればいずれの形態のものでもよい。
【0050】
本実施形態において、制御部117の操作部は、ユーザがミネラル水におけるミネラル成分の濃度を調整するためのノブである調整ノブ1171を含んでいる。なお、調整ノブ1171の代わりに、フェーダやボタン等によりユーザが濃度調整を行う構成としてもよい。調整ノブ1171の操作によりミネラル成分の濃度が調整される仕組みは次のとおりである。
【0051】
ミネラル水生成装置1の運転中、制御部117はポンプ113に対し間欠的に運転を指示する信号を出力する。ポンプ113は制御部117から運転を指示する信号が入力されている間、運転を行い、信号が入力されていない間は運転を行わない。制御部117は調整ノブ1171の位置に応じて単位時間あたりにポンプ113に対し信号を出力する時間を変更する。例えば、1回の信号の長さが1ミリ秒等に固定されているとすると、制御部117は調整ノブ1171が低濃度側にあるほど1秒間に出力する信号の数を少なくし、高濃度側にあるほど1秒間に出力する信号の数を多くする。その結果、混合部19において高純度の水に対し滴下されるミネラル濃縮液の量が変化し、貯水容器116に供給されるミネラル水の濃度が調整される。
【0052】
ミネラル水生成装置1の液体収容袋111は、収容されていたミネラル濃縮液が空になると、ユーザによりミネラル濃縮液が収容されている新しい液体収容袋111と交換可能となっている。このように、ミネラル水生成装置1においてはミネラル濃縮液がミネラル水の消費者である一般ユーザにより取り扱われるため、ミネラル濃縮液の汚染を防止する工夫が液体収容袋111に施されている。
【0053】
液体収容袋111は、以下の特徴を備えている。
(1)ミネラル水生成装置1に装着された状態で、液体収容袋111およびその内部に収容されている管21の内部が外部に対し水密に封止されている。すなわち、液体収容袋111内のミネラル濃縮液の減少に伴い液体収容袋111内に空気を取り込む空気穴等はない。
(2)液体収容袋111の本体部分、すなわち液体収容部1111が可撓性フィルムでできている。
(3)液体収容袋111の唯一の開口部である流出開口部1112を、キャップの付け替えもしくはキャップの取り付けの動作のみで容易に封止できる構造を備えている。
【0054】
上記(1)の特徴により、空気穴等からの不純物の混入を防止することができる。それを可能としているのは上記(2)の特徴である。すなわち、液体収容部1111が可撓性フィルムでできているため、液体収容袋111内のミネラル濃縮液が減少するに伴い液体収容部1111が変形ししぼみ、空気穴等を要することなく液体収容袋111内の気圧が大気圧とほぼ同じに保たれる。また、ラミネート加工されたアルミフィルムやプラスチックフィルム等の可撓性フィルムでできた液体を保持する収容袋は一般的に低コストで製造可能である。
【0055】
上記(3)の特徴により、ユーザが液体収容袋111の交換に要する時間が短縮され、それだけ交換時に流出開口部1112から不純物がミネラル濃縮液に混入する可能性が低減される。以下に上記(3)の特徴を実現する液体収容袋111の封止構造の例を2つ示す。
【0056】
図4乃至図6は、液体収容袋111の封止構造の第1例(以下、単に「第1例」という)を示した図である。図4は、流通過程における液体収容袋111の状態を示した図である。第1例において、流通過程の液体収容袋111は図4(a)に示されるように、ミネラル濃縮液を収容した液体収容部1111と、液体収容部1111の上部に設けられた流出開口部1112を確保しつつ封止部1114と係合してミネラル濃縮液が外部に流れ出すことを防ぐ封止部1113と、封止部1113と係合して液体収容袋111のキャップの役割を果たす封止部1114を備えている。
【0057】
図4(b)もしくは(c)に示されるように、封止部1113は液体収容部1111の内部から外部に貫通する開口部を有し、封止部1113のまわりを覆うように液体収容部1111の上端部が封止部1113に取り付けられた際、この開口部が流出開口部1112を形成する。
【0058】
封止部1113と封止部1114の構造は、それらが水密に封止するように係合する限り、いずれの構造が採用されてもよい。例えば、図4(b)に示されるように、封止部1113が有する山ネジと封止部1114が有する谷ネジが係合する構造であってもよい。また、図4(c)に示されるように、封止部1113の円筒状の凸部の先端部周辺に円周方向に伸びる突起部を設ける一方、封止部1114の凹部の最奥部周辺に円周方向にくぼむくぼみ部を設け、弾性をもった封止部1113の突起部が封止部1114のくぼみ部に係合する構造であってもよい。
【0059】
図5は、第1例において液体収容袋111から混合部19への流路を形成する管21および管22とそれらの連結部に設けられた封止部23を示した図である。図5(a)はそれらの外観図、図5(b)および(c)はそれらの断面図である。なお、図5(b)および(c)はそれぞれ図4(b)および(c)に示した封止部1113と係合する構造を有する封止部23を示している。
【0060】
図5(b)もしくは(c)に示されるように、封止部23は中心部に円筒状の開口部を有し、その開口部の周囲を取り巻く円筒状の突起部が、封止部1113と係合する側とその反対側の各々に伸びている。封止部1113と係合する側の突起部には管21が、その反対側の突起部には管22が接続される。封止部23が有する円筒状の突起部の中空部は封止部23の中心部の円筒状の開口部と通じているため、管21と管22は封止部23を介して1つの流路を形成することになる。
【0061】
ユーザは、液体収容袋111を交換する際、古い液体収容袋111の封止部1113と封止部23との係合を解き、古い液体収容袋111をミネラル水生成装置1から取り外す。ユーザは新しい液体収容袋111の封止部1113と封止部1114との係合を解き、封止部1114を取り外した後、新しい液体収容袋111の流出開口部1112から管21を挿入し、管21の先端部が液体収容部1111の底部に達するように管21を配置する。その状態で、ユーザが封止部1113と封止部23との係合を行うと、液体収容袋111の交換が完了する。
【0062】
図6(a)は、第1例においてミネラル水生成装置1に接続されている状態の液体収容袋111の全体の外観図であり、図6(b)および(c)は、第1例においてミネラル水生成装置1に接続されている状態の封止部1113、管21、封止部23および管22の断面図である。
【0063】
図7乃至図9は、液体収容袋111の封止構造の第2例(以下、単に「第2例」という)を示した図である。図7は、流通過程における液体収容袋111の状態を示した図である。第2例において、流通過程の液体収容袋111は図7(a)に示されるように、ミネラル濃縮液を収容した液体収容部1111と、液体収容部1111の上部に設けられた流出開口部1112を確保しつつ封止部1114と係合してミネラル濃縮液が外部に流れ出すことを防ぐ封止部1113と、封止部1113に接続された管21と、封止部1113と係合して液体収容袋111のキャップの役割を果たす封止部1114を備えている。
【0064】
図7(b)もしくは(c)に示されるように、第2例における封止部1113は液体収容部1111の内外を貫通する開口部の周囲を取り巻き液体収容袋111の内側方向に突起する円筒状の突起部を有している。この突起部には管21が接続されている。すなわち、第2例においては、管21が液体収容袋111の一部として液体収容部1111に収納された状態で、液体収容袋111の流通が行われ、液体収容袋111の交換時には管21も新しいものと交換される。
【0065】
また、第2例における封止部1113には、封止部1114と係合する側の開口部を塞ぐように、フィルムが封止部1115として貼り付けられている。第2例においては、流通過程においてミネラル濃縮液が流出開口部1112から流れ出るのを実質的に防ぐのは封止部1115であり、封止部1114は封止部1115の破損を防ぐ役割を果たす。
【0066】
図8は、第2例における封止部23と、封止部23に接続された管22を示した図である。図8(a)はそれらの外観図、図8(b)および(c)はそれらの断面図である。
【0067】
図8(b)もしくは(c)に示されるように、封止部23は中心部に円筒状の開口部を有し、その開口部の周囲を取り巻く円筒状の突起部が、封止部1113と係合する側とその反対側の各々に伸びている。封止部1113と係合する側の反対側の突起部には管22が接続される。封止部1113と係合する側の突起部は、封止部1113と係合する際に封止部1113の開口部に貼られている封止部1115を破き貫いて、管21と管22との間の流路を開くためのものである。
【0068】
ユーザは、液体収容袋111を交換する際、古い液体収容袋111の封止部1113と封止部23との係合を解き、古い液体収容袋111をミネラル水生成装置1から取り外す。ユーザは新しい液体収容袋111の封止部1113と封止部1114との係合を解き、封止部1114を取り外した後、新しい液体収容袋111の封止部1113と封止部23との係合を行う。その際、封止部1115が破かれ、管21と管22の連結が行われる。これにより、液体収容袋111の交換が完了する。
【0069】
図9(a)は、第2例においてミネラル水生成装置1に接続されている状態の液体収容袋111の全体の外観図であり、図9(b)および(c)は、第2例においてミネラル水生成装置1に接続されている状態の封止部1113、管21、封止部23および管22の断面図である。
【0070】
[2.動作]
以下に、ミネラル水生成装置1の動作を説明する。ユーザは、ミネラル水排出口119を貯水容器116の受水口にセットした後、制御部117の操作部に対しミネラル水生成装置1の運転開始の操作を行う。この運転開始の操作に応じて、制御部117はまず、電磁弁13および電磁弁18に弁の開放を指示する信号を出力する。それにより、受水口11からミネラル水生成装置1に対し水道水の供給が開始される。受水口11から供給される水道水は、セディメントフィルタ15、カーボンフィルタ16および逆浸透膜フィルタ17により順次浄化され、高純度となった水が混合部19に供給される。
【0071】
ユーザによる運転開始の操作に応じて、制御部117は電磁弁13および電磁弁18に対する信号の出力と平行して、ポンプ113に運転を指示する信号を間欠的に出力し始める。その際、制御部117は調整ノブ1171の位置に応じた単位時間あたりの長さだけ信号の出力を行う。その結果、ポンプ113により調整ノブ1171の位置に応じた流量で液体収容袋111からミネラル濃縮液が吸い上げられ、混合部19に供給される。
【0072】
混合部19に供給される高純度の水とミネラル濃縮液は混合されミネラル水となって混合部19から貯水容器116へと順次排出される。その状態で時間が経過して、ミネラル水が貯水容器116の満水位置近くまで達すると、センサ115がそのことを検出して、制御部117に信号を出力する。制御部117はセンサ115から信号の入力を受けると、電磁弁13および電磁弁18に弁の閉栓を指示する信号を出力するとともに、ポンプ113に対する間欠的な運転指示の信号の出力を停止する。その結果、上述したミネラル水生成装置1によるミネラル水の生成は停止する。
【0073】
また、ミネラル水生成装置1の運転中に、液体収容袋111内のミネラル濃縮液が空になった等の理由により液体収容袋111から混合部19へのミネラル濃縮液の供給が止まると、液体センサ112がそのことを検出して、制御部117に信号を出力する。制御部117は液体センサ112から信号の入力を受けると、センサ115から信号の入力を受けた場合と同様に、電磁弁13および電磁弁18に弁の閉栓を指示する信号を出力するとともに、ポンプ113に対する間欠的な運転指示の信号の出力を停止する。その結果、上述したミネラル水生成装置1によるミネラル水の生成は停止する。また、制御部117はブザーに発音をさせるとともに、LEDディスプレイにエラー表示をさせ、ユーザに液体収容袋111の交換を促す。
【0074】
[3.変形例]
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形することができる。以下に変形例を示す。
【0075】
上述した実施形態においては、光路1124は受光体1123の直径以下の直径の円筒形状であるものとしたが、光路1124の形状は以下の条件を満たす限りいずれの形状であってもよい。
<L<LもしくはL<L<Lを満たす閾値L[ルーメン]以上の光束を受光した場合にのみ、制御部117に対し信号を出力する。
ただし、
[ルーメン]:管22にミネラル濃縮液が空である時に発光体1122から受光体1123に到達する光束。
[ルーメン]:管22にミネラル濃縮液が満ちている時に発光体1122から受光体1123に到達する光束。
【0076】
図10乃至図12は、上記の条件を満たす光路1124の形状の例を示した図である。図10(a)は、受光体1123の直径よりも大きい直径の円筒形状の光路1124を示した図である。この場合、受光面は受光体1123の表面のうち受光素子が配置された部分全体となる。
【0077】
図10(b)は、発光体1122の光源を頂点とし、光路1124が受光面を底面とする円錐形状の光路1124を示した図である。発光体1122から発光された光のうち受光面に到達しない光が通過する空間は光路1124に含めても含めなくても液体センサ112の動作に影響はない。すなわち、図10(b)に示される錐形状を含むいかなる形状の光路1124が採用されても、同じ性能の液体センサ112が得られる。
【0078】
図11は、受光面の形状が円でない場合における光路1124の形状の例を示した図である。なお、図11において、光路1124の右側が発光面側、左側が受光面側である。受光面は、例えば図11(a)に示されるように四角形であってもよいし、図11(b)に示されるように任意の形状であってもよい。また、それらのいずれの場合においても、光路1124の形状は、発光体1122の光源を頂点とし、受光面を底面とする錐形状を含むものであれば、いずれの形状であってもよい。図11(a)には柱形状の光路1124の例が示されており、また図11(b)には錐形状の光路1124の例が示されている。
【0079】
上述した実施形態および図10または図11に例示した変形例においては、発光体1122と受光体1123を結ぶ直線の周りに光路1124が形成される。それは、管22内にミネラル濃縮液が無くなった際にミネラル濃縮液による屈折を受けず発光体1122からほぼ直進にて受光体1123に到達する光を受光体1123が受光する構成が採用されているためである。本発明はこの点に関し限定されず、管22内にミネラル濃縮液が満ちている時にミネラル濃縮液により屈折された光を受光体1123が受光する構成が採用されてもよい。
【0080】
図12は、管22内にミネラル濃縮液が満ちている時にミネラル濃縮液により屈折された光を受光体1123が受光する構成が採用された場合における液体センサ112の構造を示している。図12において、光路1124は発光面から管22に至る部分である光路1124aと、管22から受光面に至る部分である光路1124bにより構成されている。光路1124aおよび光路1124bは、発光面の中心から発光される光が管22内のミネラル濃縮液による屈折を受けた後、受光面に至る経路の周りに形成されている。従って、光路1124aと光路1124bの中心線は管22の中心線と垂直に交わる同一面上にあるが、それらは一直線上に位置しない。
【0081】
図12に示される液体センサ112は、管22内にミネラル濃縮液が満たされている場合に制御部117に対し信号を出力し、管22内のミネラル濃縮液が無くなると制御部117に対する信号の出力を停止する。従って、制御部117は液体センサ112から信号の入力がある間、ポンプ113の運転を維持させるとともに、電磁弁13および電磁弁18の開弁状態を維持し、液体センサ112からの信号の入力が途絶えると、ポンプ113の運転を停止させるとともに、電磁弁13および電磁弁18を閉弁させる。
【0082】
上述した実施形態および変形例において、受光体1123は閾値以上の光を受光した場合に所定の信号を制御部117に対し出力する。本発明はこの点に関し限定されず、受光体1123が閾値未満の光を受光した場合、もしくは光を受光しない場合に所定の信号を制御部117に対し出力し、閾値以上の光を受光した場合に所定の信号を制御部117に対し出力しない構成が採用されてもよい。その場合、液体センサ112から信号の入力を受けた場合のポンプ113および電磁弁13ならびに電磁弁18に対する制御部117の処理は、上述した実施形態および変形例において液体センサ112から信号の入力を受けない場合の処理と同じものであり、それらの逆もまた然りである。
【0083】
上述した実施形態において、ミネラル水生成装置1は受水口11から混合部19の流入開口部191に至る流路上に電磁弁13および電磁弁18の2つの弁を備えている。より具体的には、受水口11からセディメントフィルタ15に至る区間内に電磁弁13が配置され、逆浸透膜フィルタ17の流出開口部175から混合部19の流入開口部191に至る区間内に電磁弁18が配置されている。これらの弁の数および配置位置は一例であって、受水口11からミネラル水排出口119に至る流路上のいずれかの位置に1以上の弁が配置されていればよい。例えば、電磁弁13および電磁弁18のいずれかが省略されてもよいし、混合部19からミネラル水排出口119に至る区間に電磁弁が設けられてもよい。
【0084】
また、電磁弁13および電磁弁18は水もしくはミネラル水の流れを制限する手段の一例であって、モータ等により機械的に開弁・閉弁される弁や、弁構造を有さない栓等により電磁弁13や電磁弁18が代替されてもよい。
【0085】
水道水を高純度の水にするための方法は上述したものに限られない。例えば、フィルタの種類や順序が必要に応じて変更されてもよいし、化学的な処理により不純物の除去が行われてもよい。
【0086】
ミネラル濃縮液を吸い上げて混合部に供給するためのポンプの運転方法は上述したものに限られない。例えば、間欠的な運転の代わりに、連続的な運転を行ってもよい。その場合、ミネラル濃縮液の濃度を調整するために、ポンプの出力が調整ノブの位置等に応じて変化するように制御されてもよい。また、ポンプが間欠的な運転を行う場合、単位時間あたりの運転時間の調整は、固定時間の間欠的な運転の回数を変更する代わりに、各運転の時間を変更することにより実現されてもよい。さらに、生成されるミネラル水の総量が予め定まっている場合(例えば、所定の容量の貯水容器を空の状態から満水の状態にする場合)には、ミネラル水生成装置の運転中のいずれかのタイミングで、必要量のミネラル濃縮液を一度に混合器に供給するようにポンプの運転を行ってもよい。
【0087】
上述した貯水容器が満水になったことを検出ためのセンサの構造は例示であって、それらに限られない。例えば、水位上昇に伴うフロートの上昇によりスイッチがONもしくはOFFされることにより満水を検出するセンサや、光学センサにより水面位置を検知するもの、磁気誘導や超音波等を用いて水面位置を検知するものなどが満水を検出するためのセンサとして用いられてもよい。
【0088】
本発明にかかるミネラル水生成装置において逆浸透膜フィルタが採用される場合、運転に伴い逆浸透膜の表面付近に滞留する不純物を効率的に除去するために、捨て水の流出路上に設けられた流量制限器による流量制限を停止し、また望ましくは高純度の水の流出路上に電磁弁等による止水機構を設けて止水を行った上で、逆浸透膜フィルタ内に水を流す洗浄モードを設けてもよい。
【0089】
上述した実施形態において、ミネラル水生成装置1が同時に使用するミネラル濃縮液は1種類であり、ユーザは調整ノブ1171を操作してミネラル水に対するミネラル全体の濃度を調整することが可能であるが、複数種類のミネラルの各々の濃度を調整することはできない。この点を改善する変形例として、本発明にかかるミネラル水生成装置1において、各々異なる成分のミネラル濃縮液を収容した複数の液体収容袋111を同時使用可能な構成を採用してもよい。以下、そのような変形例にかかるミネラル水生成装置を、「成分調整機能付きミネラル水生成装置」と呼ぶ。
【0090】
例えば、成分調整機能付きミネラル水生成装置が各々成分の異なるミネラル濃縮液を収容する液体収容袋111a〜cを同時使用可能である場合、成分調整機能付きミネラル水生成装置は、液体収容袋111a〜cに各々対応する管21a〜c、管22a〜c、ポンプ113a〜c、逆止弁110a〜cおよび調整ノブ1171a〜cを備える。
【0091】
ユーザが調整ノブ1171a〜cの各々を操作した後に成分調整機能付きミネラル水生成装置の運転開始を指示すると、制御部117は調整ノブ1171a〜cの各々の調整位置に応じた運転をポンプ113a〜cの各々に対し指示する。その結果、管21a〜c、管22a〜cおよび逆止弁110a〜cを各々経由して混合部19に供給される単位時間あたりのミネラル濃縮液はユーザの調整に応じたものになる。その結果、ユーザは好みの成分構成のミネラル水を得ることができる。
【0092】
上述した成分調整機能付きミネラル水生成装置は複数の液体収容袋111から混合部19に対し、直接ミネラル濃縮液が供給される構成を採用したものだが、複数の液体収容袋111から混合部19に向かう流路の途中にミネラル濃縮液を混合する第2の混合部を設け、第2の混合部において混合されたミネラル濃縮液が混合部19に供給される構成としてもよい。
【0093】
なお、複数の液体収容袋111の各々に収容されるミネラルの成分は、1種類のミネラルのみを含むものであっても予め複数種類のミネラル成分が混合されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態にかかるミネラル水生成装置の全体構成を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる逆浸透膜フィルタの構造を模式的に示した図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるセンサの構造を模式的に示した図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる液体収容袋の封止構造の第1例を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる液体収容袋の封止構造の第1例を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる液体収容袋の封止構造の第1例を示した図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる液体収容袋の封止構造の第2例を示した図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる液体収容袋の封止構造の第2例を示した図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる液体収容袋の封止構造の第2例を示した図である。
【図10】本発明の変形例にかかる光路の形状を示した図である。
【図11】本発明の変形例にかかる光路の形状を示した図である。
【図12】本発明の変形例にかかる光路の形状を示した図である。
【図13】従来技術にかかる液体センサの仕組みを模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0095】
1…ミネラル水生成装置、9…液体センサ、11…受水口、12…排水口、13…電磁弁、14…流量制限器、15…セディメントフィルタ、16…カーボンフィルタ、17…逆浸透膜フィルタ、18…電磁弁、19…混合部、21…管、22…管、23…封止部、91…管、92…発光体、93…受光体、110…逆止弁、111…液体収容袋、112…液体センサ、113…ポンプ、115…センサ、116…貯水容器、117…制御部、119…ミネラル水排出口、171…容器、172…逆浸透膜、173…流入開口部、174…流出開口部、175…流出開口部、191…流入開口部、192…流入開口部、193…流出開口部、1111…液体収容部、1112…流出開口部、1113…封止部、1114…封止部、1115…封止部、1121…遮光体、1122…発光体、1123…受光体、1124…光路、1171…調整ノブ、1711…第1室、1712…第2室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する管を挟んで互いに対向する位置に配置された発光体および受光体の対と、
前記発光体と前記受光体との間に前記管を通過する光路を形成しつつ前記発光体、前記受光体、前記管および前記光路を外部の光から遮光する遮光体と
を備え、
前記発光体は、放射状の光を発光し、
前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在しない場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在する場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、L<L<LもしくはL<L<Lを満たすLルーメンを閾値とした場合、前記受光体は前記閾値以上の光束を受光した場合に所定の信号を出力し、前記閾値未満の光束を受光した場合もしくは光束を受光しない場合に前記所定の信号を出力しない
液体センサ。
【請求項2】
光透過性を有する管を挟んで互いに対向する位置に配置された発光体および受光体の対と、
前記発光体と前記受光体との間に前記管を通過する光路を形成しつつ前記発光体、前記受光体、前記管および前記光路を外部の光から遮光する遮光体と
を備え、
前記発光体は、放射状の光を発光し、
前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在しない場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、前記管内の前記光路上の部分に所定の液体が存在する場合に前記発光体より発せられた光束のうち前記受光体に到達する光束をLルーメンとし、L<L<LもしくはL<L<Lを満たすLルーメンを閾値とした場合、前記受光体は前記閾値未満の光束を受光した場合もしくは光束を受光しない場合に所定の信号を出力し、前記閾値以上の光束を受光した場合に前記所定の信号を出力しない
液体センサ。
【請求項3】
前記光路は、前記受光体の表面のうち前記光路と接する部分を底面とし、前記受光体の光源を頂点とする錐形状の空間を含み、
前記発光体の光度をCカンデラとし、前記管が前記光路と交わる部分のうち前記発光体側の部分の光透過率をPとし、前記管が前記光路と交わる部分のうち前記受光体側の部分の光透過率をPとし、前記発光体と前記受光体との間の距離をRメートルとし、前記錐形状の空間の底面の面積をS平方メートルとする場合、前記LはL<L<Lを満たし、上記LはL=(C×S×P×P)/(R)を満たす
請求項1もしくは2に記載の液体センサ。
【請求項4】
第1の流路を介して供給される水を受け取る第1の流入開口部と、第2の流路を介して供給されるミネラル濃縮液を受け取る第2の流入開口部と、前記第1の流入開口部より受け取った水と前記第2の流入開口部より受け取ったミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を第3の流路を介して排出する流出開口部とを備える混合器と、
ミネラル濃縮液を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部に収容されているミネラル濃縮液を前記第2の流路を介して排出する流出開口部とを備える液体収容袋と、
前記液体収容袋の流出開口部と前記混合器の第2の流入開口部との間に前記第2の流路を形成する管と、
前記第2の流路上に設けられ、前記液体収容袋に収容されているミネラル濃縮液を前記混合器に導くポンプと、
前記第2の流路を形成する管上に設けられ、ミネラル濃縮液の有無に応じて所定の信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の液体センサと、
前記液体センサから出力される信号に応じて前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分のミネラル濃縮液の有無を判定し、前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分にミネラル濃縮液が無いと判定した場合、前記ポンプの運転の停止を指示する制御部と
を備えるミネラル水生成装置。
【請求項5】
第1の流路を介して供給される水を受け取る第1の流入開口部と、第2の流路を介して供給されるミネラル濃縮液を受け取る第2の流入開口部と、前記第1の流入開口部より受け取った水と前記第2の流入開口部より受け取ったミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を第3の流路を介して排出する流出開口部とを備える混合器と、
ミネラル濃縮液を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部に収容されているミネラル濃縮液を前記第2の流路を介して排出する流出開口部とを備える液体収容袋と、
前記液体収容袋の流出開口部と前記混合器の第2の流入開口部との間に前記第2の流路を形成する管と、
前記第2の流路を形成する管上に設けられ、ミネラル濃縮液の有無に応じて所定の信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の液体センサと、
前記第1の流路上もしくは前記第3の流路上に設けられ、開閉により前記混合器に対し供給される水もしくは前記混合器から排出されるミネラル水の流れを制限する流れ制限手段と、
前記液体センサから出力される信号に応じて前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分のミネラル濃縮液の有無を判定し、前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分にミネラル濃縮液が無いと判定した場合、前記流れ制限手段に水もしくはミネラル水の流れを停止させる指示を行う制御部と
を備えるミネラル水生成装置。
【請求項6】
第1の流路を介して供給される水を受け取る第1の流入開口部と、第2の流路を介して供給されるミネラル濃縮液を受け取る第2の流入開口部と、前記第1の流入開口部より受け取った水と前記第2の流入開口部より受け取ったミネラル濃縮液の混合液であるミネラル水を第3の流路を介して排出する流出開口部とを備える混合器と、
ミネラル濃縮液を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部に収容されているミネラル濃縮液を前記第2の流路を介して排出する流出開口部とを備える液体収容袋と、
前記液体収容袋の流出開口部と前記混合器の第2の流入開口部との間に前記第2の流路を形成する管と、
前記第2の流路を形成する管上に設けられ、ミネラル濃縮液の有無に応じて所定の信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の液体センサと、
ユーザに対する通知を行う通知手段と、
前記液体センサから出力される信号に応じて前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分のミネラル濃縮液の有無を判定し、前記第2の流路を形成する管内の前記液体センサの設けられた部分にミネラル濃縮液が無いと判定した場合、前記通知手段に所定の通知を指示する制御部と
を備えるミネラル水生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−122074(P2010−122074A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296142(P2008−296142)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(508339932)
【Fターム(参考)】