説明

液体ダンパー装置

【課題】部品点数を削減可能とする。
【解決手段】外筒3及び外筒3内に筒軸回りに回転可能に支持され外筒3の内周面との間にアキュームレーター29に接続された液体還流路7を筒周方向で部分的に形成した内筒5と、内筒5内で往復動可能に配設されたピストン9と、ピストン9に一端が結合され他端が外筒3外へ突出する作動ロッド11と、内筒5に径方向に貫通形成されたオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fと、内筒5を外部から回転駆動しオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fの液体還流路7に対する連通の調整を行う回転操作部33とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機械、自動車搬送ライン、組立ロボット等の作業において重量物のエネルギー等を吸収する液体ダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図8に記載の液体ダンパー装置がある(特許文献1)。この図8は、液体ダンパー装置の断面図である。
【0003】
図8のように、この液体ダンパー装置100は、外筒101及びこの外筒101内に支持され外筒101の内周面との間に液体還流路103を形成した内筒105を備えている。液体還流路103は、フォームアキュームレータ106に連通している。
【0004】
この内筒105内には、ピストン107が往復動可能に配設されている。ピストン107には、作動ロッド109の一端が結合され、作動ロッド109の他端が外筒101外へ突出している。
【0005】
内筒105には、オリフィス111が形成され、内筒105及び外筒101間に設けられたスプール113の通路115に連通している。オリフィス111と通路115との連通面積はスプール113を調整ダイヤル117の回転により筒軸方向へ移動させることで調整できるようになっている。通路115は、液体還流路103側に連通している。
【0006】
したがって、調整ダイヤル117の回転によりスプール113を移動させ、オリフィス111の開口面積を調整して衝撃吸収特性を調整することができる。
【0007】
しかし、かかる構造では、スプール113やダイヤル117等を特別に設けなければならず、部品点数が増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】2002年12月エニダイン株式会社発行のカタログ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、部品点数が増大する点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、部品点数を削減可能とするため、外筒及びこの外筒内に筒軸回りに回転可能に支持され外筒の内周面との間にアキュームレーターに接続された液体還流路を筒周方向で部分的に形成した内筒と、この内筒内で往復動可能に配設されたピストンと、このピストンに一端が結合され他端が前記外筒外へ突出する作動ロッドと、前記内筒に径方向に貫通形成されたオリフィスと、前記内筒を外部から回転駆動し前記オリフィスの前記液体還流路に対する連通の調整を行う回転操作部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成であるから、回転操作部により内筒のオリフィスの液体還流路に対する連通の調整を行うことができる。
【0012】
このため、内外筒間にスプール等を必要とせず、部品点数の削減を行わせ、構造を簡単にし、部品管理も容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】液体ダンパー装置の断面図である。(実施例1)
【図2】図1のII部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】図1のIII−III線矢視断面図である。(実施例1)
【図4】図1のIV−IV矢視断面図である。(実施例1)
【図5】(a)は、液体ダンパー装置の断面図、(b)は、キャップの要部平面図である。(実施例2)
【図6】図5のVI−VI選矢視断面図である。(実施例2)
【図7】液体ダンパー装置の断面図である。(実施例3)
【図8】液体ダンパー装置の断面図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0014】
部品点数を削減可能にするという目的を、内筒の駆動部により実現した。
【実施例1】
【0015】
[液体ダンパー装置の全体構成]
図1は、液体ダンパー装置の断面図、図2は、図1のII部拡大断面図である。
【0016】
図1のように、この液体ダンパー装置1は、外筒3及び内筒5を備えている。内筒5は、外筒3内に筒軸回りに回転可能に支持され、外筒3の内周面との間に筒軸方向の液体還流路7を筒周方向で部分的に形成している。内筒5内には、ピストン9が往復動可能に配設されている。ピストン9には、弁体6及びピストン・オリフィス8が設けられている。このピストン9には、作動ロッド11の一端がボルト12により結合され、作動ロッド11の他端が外筒3外へ突出している。
【0017】
内筒5の一端部は、端閉部材13で密閉上に閉塞されている。この端閉部材13は、外筒3の一端部に螺合により取り付けられ、外筒3の一端部が密閉状に閉じられている。
【0018】
内筒5には、ピストン9の移動方向である筒軸方向に所定間隔で複数のオリフィス15a,15b,15c,15d,15e,15fが径方向に貫通形成されている。オリフィス15a,15b,15c,15d,15e,15fは、内筒5内を液体還流路7に連通させる。オリフィス15a,15b,15c,15d,15e,15f及び液体還流路7の関係は、図3を用いて後述する。
【0019】
図1、図2のように、内筒5の他端には、液体流通用のスリット5aが形成されている。
【0020】
内筒5に隣接して外筒3内にホルダー17が嵌合配置されている。ホルダー17の内周にロッド・ガイド孔19及びシール保持部21が形成され、ロッド・ガイド孔19に前記作動ロッド11が嵌合している。シール保持部21には、シール23が保持され、作動ロッド11外面に密接している。ホルダー17のピストン9側には、流通孔25が形成され、中間部にアキュームレーター保持部27を備えている。アキュームレーター保持部27には、ゴムなどのアキュームレーター29が取り付けられている。
【0021】
液体還流路7は、スリット5a及び流通孔25によりアキュームレーター29に接続されている。
【0022】
ホルダー17の一端部は、内筒5の端部に嵌合し、ピン31によって結合され、一体回転するようになっている。
【0023】
内筒5は、回転操作部33により外部から回転駆動し前記オリフィス15a,15b,15c,15d,15e,15fの前記液体還流路7に対する連通の調整を行う。この回転操作部33は、ホルダー17の端部を外筒3外から操作するものである。
【0024】
回転操作部33は、外筒3及びホルダー17間のキャップを兼ね、さらにばね座を兼ねている。この回転操作部33は、ホルダー17の端部外周の係合溝17aに係合し、一体回転可能に結合されている。回転操作部33には、回転係合用の凹部33aが形成されている。
【0025】
外筒3及びホルダー17間には、節度機構35及びストッパ機構37が形成されている。節度機構35及びストッパ機構37については、図4を用いて後述する。
【0026】
作動ロッド11の外端には、ばね座39がボルト41により固定され、ばね座39及び回転操作部33間にリターン・スプリング43が介設されている。
【0027】
図3は、図1のIII−III線矢視断面図である。
【0028】
図3のように、オリフィス15a,15b,15c,15d,15e,15fは、周方向に間隔を置いて複数、本実施例では3個形成され、径を異ならせて筒軸方向で列をなす3列のオリフィス15aa,15ba,15ca,15da,15ea,15fa、オリフィス15ab,15bb,15cb,15db,15eb,15fb、オリフィス15ac,15bc,15cc,15dc,15ec,15fcで構成されている。
【0029】
オリフィス15aa,・・・,15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcは、この順で径が大きくなるように異ならせている。
【0030】
液体還流路7は、図1のように筒軸に沿って形成され、筒周方向では、図3のように部分的で、外筒3内周面に凹状に形成されたものである。
【0031】
したがって、内筒5の筒軸回りの回転駆動により、オリフィス15aa,・・・,15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcのいずれかの列で液体還流路7に対する連通が行われるように調整される。
【0032】
図4は、図1のIV−IV選矢視断面図である。
【0033】
図4のように、節度機構35及びストッパ機構37が設けられている。
【0034】
節度機構35は、ホルダー17を外筒3に対して弾性的な節度を持って位置決め3列のオリフィス15aa,・・・、オリフィス15ab,・・・、オリフィス15ac,・・・の何れかを液体還流路7へ連通させる状態とする。
【0035】
この節度機構35は、節度リング39、節度ボール41、節度ばね43、節度凹部45a,45b,45cからなっている。
【0036】
節度リング39は、外筒3の端部内周に嵌合し、位置決めボール47によって回転止めが行われている。節度リング39には、支持孔49が設けられ、節度ボール41及び節度ばね43が支持されている。節度凹部45a,45b,45cは、3列のオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・15、オリフィス15ac,・・・にそれぞれ対応し、ホルダー17の端部外周に形成されている。この節度凹部45a,45b,45cの何れかに節度ボール41が弾接することで、ホルダー17が外筒3に対して弾性的な節度を持って位置決められる。
【0037】
ストッパ機構37は、外筒3に対するホルダー17の回転範囲を規制するものであり、ホルダー17を、液体還流路7に対して3列のオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcの範囲で回転規制する。このストッパ機構37は、ストッパー・ピン51及びストッパー溝53からなり、ストッパー・ピン51は、節度リング39に固定され、ストッパー溝53はホルダー17の端部外周に形成され、ストッパー・ピン51の先端が、ストッパー溝53内に臨んでいる。
【0038】
外筒3及び内筒5内などには、作動液体として鉱物油系のオイルが封入されている。
[衝撃吸収]
液体ダンパー装置1は、印刷機械、自動車搬送ライン、組立ロボット等の作業において重量物のエネルギー吸収を行うものである。印刷機械では、印刷用のロールに取り付けられ、用紙の位置制御を行い、試験印刷時の機器損傷防止等に寄与する。自動車搬送ラインでは、組立車体搬送速度の減速時等にエネルギー吸収を行い、機器保護に寄与する。組立ロボットでは、スライドメカニズムのオーバーランによるエネルギー吸収を行い、機器損傷を防止する。
【0039】
すなわち、作動ロッド11が衝撃力を受けると作動ロッド11と共にピストン9が移動し、弁体41がオイルの圧力を受けて反オリフィス8側にてピストンに押し付けられ、ピストン9及び内筒5間を閉じる。
【0040】
したがって、ピストン9の移動に伴って内筒5内のオイルが圧力を受け、例えばオリフィス15ab,・・・,15fbを通り液体還流路7へ還流する。
【0041】
液体還流路7へオイルが還流すると、液体還流路7内のオイルが内筒5のスリット5a、ホルダー17の流通孔25を通り、アキュームレーター29側へ移動する。
【0042】
そして、ピストン9の移動に応じてオリフィス15ab,・・・,15fbからの還流が順次なくなり、作動ロッド11へ加わる衝撃を緩和することができる。
【0043】
外部から回転操作部33によりホルダー17を何れかの方向へ回転駆動し、オリフィス15aa,・・・15fa又はオリフィス15ac,・・・,15fcを液体還流路7へ連通させる。
【0044】
オリフィス15aa,・・・15faを液体還流路7へ連通させた場合は、径の最も小さなオリフィスにより、さらに大きな衝撃吸収を行わせることができる。
【0045】
オリフィス15ac,・・・,15fcを液体還流路7へ連通させた場合は、径の最も大きなオリフィスにより、衝撃吸収をよりソフトに行わせることができる。
【0046】
この回転操作部33の操作に際し、節度凹部45a,45b,45cの何れかに節度ボール41が弾接することで、ホルダー17が外筒3に対して弾性的な節度を持って位置決められる。したがって、オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcを液体還流路7へ節度感を持って的確に連通させることができる。
【0047】
回転操作部33の回転に対し、ストッパー・ピン51がストッパー溝53の端壁に当接して回転範囲が規制され、不必要な回転操作が防止される。
【0048】
なお、オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcは、それぞれ列状に形成する必要はなく、筒軸方向に1個でもよく、周方向に1個でもよい。オリフィスが1個でも、液体還流路7への連通遮断により衝撃吸収特性を変更することができる。
【0049】
作動ロッド11が力を受けなくなると、リターン・スプリング43によって作動ロッド11が外部へ引き出され、これに伴うピストン9の移動で弁体41がオリフィス8側にてピストンに押し付けられ、ピストン9及び内筒5間を開く。したがって、ピストン9及び内筒5間及びピストン・オリフィス8をオイルが流通する。
【0050】
このときのピストン9の復帰移動により、液体還流路7からオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcの何れかを通り内筒5内へオイルが戻る。液体還流路7へは、アキュームレーター29内から流通孔25及びスリット5aを通ってオイルが戻る。
【0051】
したがって、作動ロッド11は、素早く伸長動作することができる。
[実施例1の効果]
本発明実施例1の液体ダンパー装置は、外筒3及び外筒3内に筒軸回りに回転可能に支持され外筒3の内周面との間にアキュームレーター29に接続された液体還流路7を筒周方向で部分的に形成した内筒5と、内筒5内で往復動可能に配設されたピストン9と、ピストン9に一端が結合され他端が外筒3外へ突出する作動ロッド11と、内筒5に径方向に貫通形成されたオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fと、内筒5を外部から回転駆動しオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fの液体還流路7に対する連通の調整を行う回転操作部33とを備えた。
【0052】
このため、外部から回転操作部33によりホルダー17を何れかの方向へ回転駆動し、オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcの何れかの列の液体還流路7に対する連通を調整することができる。
【0053】
オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcはそれぞれ列毎に径が異なるため、内筒5の筒軸周りの回転により衝撃吸収特性を変えることができる。
【0054】
したがって、内外筒5,3間にスプールを必要とせず、部品点数の削減を行わせ、構造を簡単にし、部品管理も容易にすることができる。
【0055】
オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcは、周方向に間隔を置いて複数形成され、これらオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcの径を異ならせ、回転操作部33による内筒5の回転駆動によりオリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcの何れかを液体還流路7に連通させる。
【0056】
このため衝撃吸収特性を筒軸方向及び周方向で変えることができ、幅の広い特性を得ることができる。
【0057】
内筒5に一体回転可能に結合されアキュームレーター29を保持するホルダー17を設け、回転操作部33は、ホルダー17を外筒3外から操作する。
【0058】
このため、ホルダー17を回転連動部材として利用することができ、部品点数の増加を抑制することができる。しかも、回転操作部33は、リターン・スプリング43のばね座を兼ねており、部品点数の増加が極力抑制されている。
【0059】
ホルダー17を外筒3に対して弾性的な節度を持って位置決め、オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcを液体還流路7へ連通させる節度機構35を設けた。
【0060】
このため、オリフィス15aa,・・・15fa、オリフィス15ab,・・・,15fb、オリフィス15ac,・・・,15fcを液体還流路7へ節度感を持って正確に連通させることができる。
【実施例2】
【0061】
図5、図6は、本発明の実施例2に係り、図5(a)は、液体ダンパー装置の断面図、(b)は、キャップの要部平面図、図6は、図5のVI−VI選矢視断面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には、同符号にAを付し、重複した説明は省略する。
【0062】
本実施例の液体ダンパー装置1Aは、内筒5Aにオリフィス15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fAが筒軸方向に1列だけ設けられ、液体還流路7Aa,7Ab,7Ac,7Adのは、図5のように筒軸に沿って形成されている。この液体還流路7Aa,7Ab,7Ac,7Adは、筒周方向で図6のように部分的で、内筒5A外周面に面取り状に4箇所形成され、外筒3の内周面との間にアキュームレーター29に接続されるように形成されたものである。液体還流路7Aa,7Ab,7Ac,7Adの周方向の数は限定されず、周方向1箇所でもよい。
【0063】
外筒3Aの内周面には、各オリフィス15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fAに対応して流通路55a,55b,55c,55d,55e,55fが筒周方向にそれぞれ周回溝状に形成されている。流通路55a,55b,55c,55d,55e,55fは、各オリフィス15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fAを液体還流路7Aa,7Ab,7Ac,7Adへ連通させると共に内筒5Aの筒軸方向への移動により連通が遮断される構成となっている。
【0064】
なお、液体還流路7Aa,7Ab,7Ac,7Ad及び流通路55a,55b,55c,55d,55e,55fを、1本の螺旋溝状に形成してアキュームレーター29側へ連通させる構成にすることもできる。
【0065】
内筒5Aの一端と外筒3Aの内端との間には、皿ばねの内筒リターン・スプリング57が介設されている。
【0066】
内筒5Aは、移動操作部であるキャップ57により外部からの操作により移動させ、この移動によりオリフィス15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fAの液体還流路7Aに対する連通を断続するように調整する。
【0067】
ホルダー17Aは、内筒5Aに一体形成され、端部が外筒3A外へ臨んでいる。内筒5Aには、実施例1のスリット5aに代えて、貫通孔5Aaが形成されている。
【0068】
ホルダー17Aと外筒3Aとの間に位置決めピン59が差し込まれ、ホルダー17Aの回り止めが行われている。
【0069】
キャップ57は、外筒3Aに螺合して取り付けられ、キャップ57のねじ込みによりホルダー17Aの端部を押圧して内筒5Aの筒軸方向への移動を行わせる。キャップ57の外周には、回転操作のためのジグを係合させる係合凹部61が形成されている。
【0070】
本実施例でも、ピストン9の移動により、オリフィス15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fA、流通路55a,55b,55c,55d,55e,55fを通ってオイルを液体還流路7Aa,7Ab,7Ac,7Adへ還流させ、衝撃吸収作用は、実施例1とほぼ同様である。
【0071】
一方、本実施例では、キャップ57のねじ込みによりホルダー17Aの端部を押圧して内筒5Aの筒軸方向への押圧移動を行わせ、オリフィス15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fAと流通路55a,55b,55c,55d,55e,55fとの間の連通を遮断して、衝撃吸収特性を変更することができる。
【0072】
したがって、本実施例でも、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0073】
図7は、本発明の実施例3に係り、液体ダンパー装置の断面図である。なお、基本的な構成は、実施例2と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には、AをBに代えて付し、重複した説明は省略する。
【0074】
本実施例の液体ダンパー装置1Bは、アキュームレーター29Bをピストンで構成し、ホルダー17Bが筒状にストレートに形成されている。アキュームレーター29Bには、オーリング63及びシール65が支持され、ホルダー17Bと作動ロッド11とにそれぞれ密接している。ホルダー17B外周面には、外筒3Bに支持されたシール67が密接している。アキュームレーター29Bには、周回受け部63が設けられ、この周回受け部63の内周側でアキュームレーター29Bとキャップ57Bとの間にスプリング69が介設されている。
【0075】
本実施例では、内筒3Bの貫通孔5Baは、直接アキュームレーター29B側に連通している。
【0076】
本実施例でも、ピストン9の移動により、オリフィス15aB,15bB,15cB,15dB,15eB,15fB、流通路55a,55b,55c,55d,55e,55fを通って液体還流路7Ba,7Bb,7Bc,7Bdへオイルを還流させ、衝撃吸収作用は、実施例2とほぼ同様である。
【0077】
一方、本実施例では、オイルがアキュームレーター29B側へ還流すると、アキュームレーター29Bがスプリング69の付勢力に抗して一点鎖線図示から実線図示のように移動する。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1B 液体ダンパー装置
3,3A,3B 外筒
5,5A,5B 内筒
7、7Aa,7Ab,7Ac,7Ad、7Ba,7Bb,7Bc,7Bd 液体還流路
9 ピストン
11 作動ロッド
15aa,15ba,15ca,15da,15ea,15fa、15ab,15bb,15cb,15db,15eb,15fb、15ac,15bc,15cc,15dc,15ec,15fc、15aA,15bA,15cA,15dA,15eA,15fA、15aB,15bB,15cB,15dB,15eB,15fB オリフィス
33 回転操作部
57,57B キャップ(移動操作部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒及びこの外筒内に筒軸回りに回転可能に支持され外筒の内周面との間にアキュームレーターに接続された液体還流路を筒周方向で部分的に形成した内筒と、
この内筒内で往復動可能に配設されたピストンと、
このピストンに一端が結合され他端が前記外筒外へ突出する作動ロッドと、
前記内筒に径方向に貫通形成されたオリフィスと、
前記内筒を外部から回転駆動し前記オリフィスの前記液体還流路に対する連通の調整を行う回転操作部と、
を備えたことを特徴とする液体ダンパー装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体ダンパー装置であって、
前記オリフィスは、周方向に間隔を置いて複数形成され、
これらオリフィスの径を異ならせ、
前記回転操作部による内筒の回転駆動により前記オリフィスの何れかを前記液体還流路に連通させる、
ことを特徴とする液体ダンパー装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液体ダンパー装置であって、
前記内筒に一体回転可能に結合され前記アキュームレーターを保持するホルダーを設け、
前記回転操作部は、前記ホルダーを前記外筒外から操作する、
ことを特徴とする液体ダンパー装置。
【請求項4】
請求項3記載の液体ダンパー装置であって、
前記ホルダーを前記外筒に対して弾性的な節度を持って位置決め前記オリフィスを前記液体還流路へ連通させる節度機構を設けた、
ことを特徴とする液体ダンパー装置。
【請求項5】
外筒及びこの外筒内に筒軸方向へ付勢力に抗して移動可能に支持され外筒の内周面との間にアキュームレーターに接続される液体還流路を形成した内筒と、
この内筒内で往復動可能に配設されたピストンと、
このピストンに一端が結合され他端が前記外筒外へ突出する作動ロッドと、
前記内筒に径方向に貫通形成されて前記液体還流路に連通したオリフィスと、
前記内筒を外部からの操作により筒軸方向へ移動させて前記オリフィスの前記液体還流路に対する連通を調整する移動操作部と、
を備えたことを特徴とする液体ダンパー装置。
【請求項6】
請求項5記載の液体ダンパー装置であって、
前記液体還流路は、前記内筒の筒周方向で部分的に形成され、
前記オリフィスは、前記内筒の筒軸方向に所定間隔で複数形成され、
前記外筒の内周面に筒周方向に形成され前記各オリフィスを前記液体還流路へ連通させると共に前記移動操作部の駆動による内筒の軸方向移動により連通が遮断される流通路を備えた、
ことを特徴とする液体ダンパー装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の液体ダンパー装置であって、
前記内筒に一体移動可能に結合され前記アキュームレーターを保持するホルダーを設け、
前記ホルダーの端部を前記外筒外に臨ませ、
前記移動操作部を、前記外筒の端部に螺合させたキャップとし、
このキャップのねじ込みにより前記ホルダーの端部を押圧して前記内筒の移動を行わせる、
ことを特徴とする液体ダンパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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