説明

液体ポンプを制御する方法および装置

【課題】医学的潅流システムにおける液体ポンプ制御モードを提供する。
【解決手段】バックオフ応答モード、流量サーボモード、圧力サーボモードおよびマスター・スレーブサーボモードを含んでいる。バックオフ応答モードにおいて、ポンプの速度は、警報状況が検出されたとき、新しい速度にデクリメントされる(1906)。流量サーボモードにおいては、ユーザにより設定点として示された液体の流量率を維持するようにポンプの速度が制御される。圧力サーボモードでは、ユーザにより設定された圧力を維持するようにポンプの速度が制御される。マスター・スレーブサーボモードにおいて、スレーブポンプはマスターポンプの感知された速度に基づいて制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の医療処置に関連した血液の選択的酸素投与、濾過および再循環を処理するように構成された医学的灌流システムに関する。とくに、本発明は、灌流システムにおけるポンプの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、種々の医療処置に関連した血液の選択的酸素投与、濾過および再循環を処理するように構成された医学的潅流システムに関する。通常の潅流システムは、医療処置中に患者の血液に酸素を送り込み、血液を濾過し、および、または再循環するために使用されることができる。このような潅流システムは、医療処置中に血液を患者から除去する液体導管と、その患者に血液を戻す別の液体導管と、血液を導管を通ってポンプ駆動する1以上の血液ポンプと、および血液ポンプと関連付けられた流量センサおよび、またはレベルセンサのような複数の感知装置とを備えていることができる。潅流システムはまた、気体塞栓センサ、温度センサ、流動オクルーダ(occluder)等を備えていてもよい。典型的に、潅流システムは特定の目的のために使用されるようにとくに設計された構成を備えている。たとえば、1つの潅流システムはとくに全機能心臓/肺マシンとして設計されてもよく、一方別の潅流システムは、とくに心室補助システムとして設計されてもよい。ある目的のために設計された潅流システムを別の目的に使用可能な潅流システムに変えることは可能であるが、このような再構成は一般に困難であり、および、または時間を要する。さらに、潅流システムでは、この潅流システムを操作する潅流担当者が多数の異なったパラメータを細かく注意して監視し、また、種々のパラメータをバランスの取れた安全で所望される限界内に維持するためにシステム内の種々のポンプの速度を頻繁に手動で調節することが必要とされることが多い。したがって、潅流を行う者が高い安全性、正確さで、迅速に潅流システムを制御することを助けるメカニズムが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
潅流を行う者が潅流システムを制御することを助ける医学的潅流システムにおける自動液体ポンプ制御モードには、バックオフ応答モード、流量サーボモード、圧力サーボモードおよびマスター・スレーブサーボモードが含まれている。バックオフ応答モードにおいて、ポンプの速度は、過度の流量または圧力状態が検出されたとき、新しい速度にデクリメントされる。その新しい速度は、追加のデクリメントが要求されるまで、あるいはバックオフ応答モードから出るまで維持される。流量サーボモードにおいては、ユーザにより設定点として示された液体の流量率を維持するようにポンプの速度が制御される。圧力サーボモードでは、ユーザにより設定点として示された圧力を維持するようにポンプの速度が制御される。マスター・スレーブサーボモードにおいて、スレーブポンプはマスターポンプの速度の表示を受取り、スレーブポンプの速度はマスターポンプの速度の指定された割合を維持するように制御される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明による潅流システムの好ましい実施形態のブロック図である。
【図2】図1に概略的に示されている主制御装置の斜視図である。
【図3】図1に概略的に示されているネットワーク拡張器の1つの斜視図である。
【図4】図1に概略的に示されているアダプタポッドの1つの斜視図である。
【図5】いくつかのコネクタ構成の1つを示す概略図である。
【図6】いくつかのコネクタ構成の1つを示す概略図である。
【図7】いくつかのコネクタ構成の1つを示す概略図である。
【図8】2個のネットワーク拡張器および8個のアダプタポッドが差し込まれた状態の図1に概略的に示されている主制御装置の斜視図である。
【図9】図1に概略的に示されている主制御装置のブロック図である。
【図10】図1に概略的に示されている拡張器制御装置の1つのブロック図である。
【図11】図1に概略的に示されているノード制御装置の1つのブロック図である。
【図12】図1に概略的に示されているアダプタポッドの1つのブロック図である。
【図13A】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13B】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13C】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13D】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13E】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13F】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13G】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図13H】図1に示されている主制御装置の動作のフローチャートである。
【図14A】潅流システムの動作中に図9の表示装置上に発生される例示的な1対の潅流回路イメージの概略図である。
【図14B】潅流システムの動作中に図9の表示装置上に発生される例示的な1対の潅流回路イメージの概略図である。
【図15A】図1に示されている拡張器制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図15B】図1に示されている拡張器制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図15C】図1に示されている拡張器制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図16A】図1に示されているノード制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図16B】図1に示されているノード制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図17A】図1に示されているアダプタポッドの動作を示すフローチャートである。
【図17B】図1に示されているアダプタポッドの動作を示すフローチャートである。
【図17C】図1に示されているアダプタポッドの動作を示すフローチャートである。
【図17D】図1に示されているアダプタポッドの動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の例示的な実施形態による構成を示す概略図である。
【図19】本発明の例示的な1実施形態によるバックオフ応答を示すフローチャートである。
【図20】本発明の例示的な1実施形態による流量制御を示すフローチャートである。
【図21】本発明の例示的な1実施形態による圧力制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明のその他の目的および利点は以下の好ましい実施形態の詳細な説明および添付図面から当業者に明らかになるであろう。なお、図面において、同じ構成要素は同じ参照符号により表されている。
図1は、本発明による医学的潅流システム10の好ましい実施形態を示している。この潅流システム10は、多くの様々な医療処置に関連した血液の選択的酸素供給、濾過および再循環を処理するように構成されている。潅流システム10は、種々の医療処置にそれぞれ対応した種々多様な構成で配置されることができる。たとえば、潅流システム10は全機能心臓/肺マシン、心室補助システム、または手術中に血液吸引または心筋保護を行う等の種々の目的に対して使用されることのできる単一ポンプ駆動システムとして構成されてもよい。
【0006】
図1を参照とすると、主制御装置20はデータ/電力バス30aを介してネットワーク拡張器22aに接続され、データ/電力バス30bを介してネットワーク拡張器22bに接続されている。ネットワーク拡張器22aは、データ/電力バス30cを介して3個のノード制御装置34a、34b、34cに接続された拡張器制御装置32aを備えている。ノード制御装置34aは、データ/電力バス30dを介してアダプタポッド40aに接続され、このアダプタポッド40aは両方向データパワーライン52aを介して流量センサ50aの形態で潅流装置50に接続されている。ノード制御装置34bは、データ/電力バス30eを介してアダプタポッド40bに接続され、このアダプタポッド40bは両方向ライン52bを介して気体塞栓センサ50bに接続されている。ノード制御装置34cは、データ/電力バス30fを介してアダプタポッド40cに接続され、このアダプタポッド40cは両方向ライン52cを介して血液ポンプ50cに接続されている。
【0007】
ネットワーク拡張器22bは、データ/電力バス30gを介して3個のノード制御装置34d、34e、34fに接続された拡張器制御装置32bを備えている。ノード制御装置34dはデータ/電力バス30hを介してアダプタポッド40dに接続され、このアダプタポッド40dは両方向ライン52dを介して圧力センサ50dに接続されている。ノード制御装置34eはデータ/電力バス30iを介してアダプタポッド40eに接続され、このアダプタポッド40eは両方向ライン52eを介して温度センサ50eに接続されている。ノード制御装置34fはデータ/電力バス30jを介してアダプタポッド40fに接続され、このアダプタポッド40fは両方向ライン52fを介して流動オクルーダ50fに接続されている。
【0008】
主制御装置20は、アダプタポッド40gに接続された両方向ライン52gを介して血液ポンプ50gに動作するように結合されている。このポッド40gはデータ/電力バス30kを介して主制御装置20に接続されている。主制御装置20は、アダプタポッド40hに接続された両方向ライン52hを介してレベルセンサ50hに動作するように結合され、このアダプタポッド40hはデータ/電力バス30lを介して主制御装置20に接続されている。
【0009】
ここで使用されているように、“潅流装置”という用語は、遠心ポンプまたはローラポンプのような血液ポンプ、流量センサ、圧力センサ、温度センサ、レベルセンサ、気体塞栓センサまたはオクルーダを含むが、これらに限定されない医学的潅流システムにおいて使用されるように設計された装置である。
【0010】
ネットワークコンポーネントの機械的構造
図2は、主制御装置20の1つの機械的な実施形態の一部分の斜視図である。図2を参照すると、主制御装置20は、概略的に示されている4個のネットワークコネクタ60を備えている。各ネットワークコネクタ60は同一であり、同じコネクタ構成を有している。図5はコネクタ60の構造を示している。図5に示されているように、各コネクタ60は、たとえば、非対称的な金属ハウジング64により部分的に包囲された9個の導電性ピン62を有する標準的なパーソナルコンピュータコネクタであってもよい。
【0011】
図3は、図1に概略的に示されているネットワーク拡張器22の1実施形態の斜視図である。各ネットワーク拡張器22は、3個のコネクタ70が取付けられた一側68と、コネクタ72が取付けられた反対側とを有する六面体ハウジング66を備えている。各コネクタ70はコネクタ60と同じであり、図5に示されている構造を有している。図6に示されているコネクタ72は、プラスチックのような絶縁材料から構成された非対称的なハウジング76内に形成された9個のピン受け部74を有している。ピン受け部74は、コネクタ60の9個のピン62の位置に対応するように配置されている。その結果、コネクタ72はコネクタ60と同じコネクタ構成を有し、したがってコネクタ60中に差し込まれることができる。
【0012】
図4は、図1に概略的に示されているアダプタポッド40の斜視図である。図4を参照すると、各アダプタポッド40は、コネクタ84が取付けられた一側82と、コネクタ86が取付けられた反対側とを有する六面体ハウジングを備えている。コネクタ86は、上述され(図6に示され)たコネクタ72と同じである。コネクタ84は、上述の潅流装置50の1つと関連された装置コネクタ(示されていない)に接続されるように構成されている。コネクタ84は、コネクタ60、70、72、86とは異なったコネクタ形状を有している。コネクタ84の構造の一例は図7に示されており、それは6個の導電性ピン88を含んでいる。アダプタポッド40はそれぞれ別のタイプの潅流装置50(ポンプ50c、50gは、ローラポンプまたは遠心ポンプのような異なったタイプのポンプであってよい)に接続されるように構成されているため、各アダプタポッド40上に取付けられたコネクタ84は異なったコネクタ構成を有していてもよい。
【0013】
主制御装置20のコネクタ60およびネットワーク拡張器22のコネクタ70はアダプタポッド40のコネクタ86と同じコネクタ形状を有しているため、アダプタポッド40の任意のものがコネクタ60、70の任意のものに差し込まれることができることが認識されなければならない。その結果、潅流装置50の任意の組合せが主制御装置20に接続されることができる。
【0014】
図8は、ネットワーク拡張器22およびそれに接続されたアダプタポッド40が主制御装置20に接続された状態を示している。図8の各アダプタポッド40は、ケーブルにより潅流装置50に接続された各コネクタ(示されていない)を介して図1に示されている各潅流装置50にそれぞれ接続される。
【0015】
図3および8に示されているネットワーク拡張器22の形態は結果的に得られる制御装置をコンパクトなものにするが、異なった構造を有するネットワーク拡張器が使用されることができる。たとえば、コネクタ72はハウジング66上に固定される代わりに、ケーブルによってハウジング66に接続されることができる。その代りに、ハウジング66は除去され、コネクタ70、72がケーブルによって相互接続されることができる。
【0016】
電子装置
図9は、図1に概略的に示されている主制御装置20のブロック図である。図9を参照すると、主制御装置20はマイクロプロセッサ(MP)100と、ランダムアクセスメモリ(RAM)102と、ハードディスクまたはフラッシュRAMのような不揮発性メモリ104と、ネットワーク制御装置106と、ドローイング制御装置108と、および入力/出力(I/O)回路110とを備えており、それらは全てアドレス/データバス112によって相互接続されている。I/O回路110は、CRTまたはフラットパネルディスプレイのような表示装置114と、およびキーボードまたは電子マウスあるいは表示装置114上のタッチスクリーンのような入力装置116とに接続されている。
【0017】
主制御装置20はまた、交流電力の外部電源に接続され、内部変圧器(示されていない)を備えた電源回路118を備えており、この内部変圧器は接地ラインに関して1対の電力ライン上で+5ボルトおよび+24ボルトの直流電力を発生する。図9では、この電力ライン対は符号120で概略的に示されている。電力および接地ライン120は、データ/電力バス30mを介して4個のノード制御装置34g乃至34jのそれぞれに与えられ、また、ネットワークバス30の別の部分を介して別のノード制御装置34に与えられている。データ/電力バス30mは、ネットワーク制御装置106に接続されたいくつかのデータ通信ラインを備えている。
【0018】
図10は、図1に概略的に示されている拡張器制御装置32aのブロック図である(拡張器制御装置32a、32bの設計は同じである)。図10を参照すると、拡張器制御装置32aは制御装置130およびスイッチ132を有しており、これらは共にデータ/電力バス30aに接続されている。拡張器制御装置32aは両方向信号ライン133によってその親ノード制御装置34gに接続されている。ここで使用されているように、“親”装置は、主制御装置20のネットワーク制御装置106(図9)に近いほうに接続された装置である。ノード制御装置34gは特有の物理的アドレスをライン133を介して拡張器制御装置32aに送り、拡張器制御装置32aは、チェックインコードをライン133によってノード制御装置34gに周期的に送るために使用されるドライバ回路135を備えている。チェックインコードおよび物理的アドレスは同じに新コードであってもよい。
【0019】
図11は、図1に概略的に示されているノード制御装置34aのブロック図を示している(全てのノード制御装置34は同じ設計である)。図11を参照すると、ノード制御装置34aは、エネーブル信号またはディスエーブル信号を拡張器制御装置32aからライン134の1つを介して受取ると共に周期的チェックインコードをアダプタポッド40aからライン133を介して受取る制御装置140を有している。制御装置140は、マルチ信号ライン146を介してコード発生装置144に接続されている。コード発生装置144は、ノード制御装置34aの物理的アドレスを独特に特定する予め定められたマルチビット2進コードを発生する。コード発生装置144は、たとえば、コードの各ビットに対して1ラインづつであって各ラインが+5ボルト(論理“1”)または接地(論理“0”)に選択的に接続される多数の印刷金属回路ラインであることができる。
【0020】
制御装置140はデータバス152に接続し、あるいはその接続を遮断するスイッチ150を選択的に動作させ、このデータバス152は2つの個々のデータラインから構成されてもよく、データ/電力バス30c、30d(およびネットワークを形成している別のバス30)の一部である。スイッチ150が開いているとき、データバス30c、30dは接続を遮断され、スイッチ150が閉じているとき、バス30c、30dは接続されてアダプタポッド40とネットワーク30に接続された別の装置との間のデータ通信を可能にする。
【0021】
制御装置140はまた、電力ライン120a上の+24ボルト直流電力(接地ライン120cに関して)がアダプタポッド40aに供給されるか否かを制御するスイッチ154と、および電力ライン120b上の+5ボルト直流電力がアダプタポッド40aに供給されるか否かを制御するスイッチ158とを動作させる。電力ライン120a、120bはデータ/電力バス30c、30d、およびネットワークを構成している別のバス30の一部である。抵抗162はスイッチ154と並列に接続され、抵抗164はスイッチ158と並列に接続されている。抵抗162、164は、スイッチ154、158が開いているときに大量の電流が電力ライン120a、120bから引き出されることを阻止する電流制限抵抗として動作する。制御装置140は、コード発生装置144により発生された物理的アドレスをライン133によってアダプタポッド40aに送るために使用されるドライバ回路170に接続されている。
【0022】
図12は、図1に概略的に示されているアダプタポッド40aのブロック図を示している。図12を参照すると、アダプタポッド40aは、電力ライン120a、120bに接続された電源182により給電される制御装置180を有している。制御装置180は、チェックインコードをドライバ184を介してライン133上に送ることができる。制御装置180はネットワークメッセージをデータバス152から受取り、トランシーバ186によってメッセージをデータバス152上に送る。
【0023】
制御装置180は、メモリ188および装置インターフェース回路190に接続される。装置インターフェース回路190は、コネクタ84(図7)を介して潅流装置50に接続された複数のデータライン192および複数の電力ライン194を有している。制御装置180は、種々のタイプのデータ信号がデータライン192を介して潅流装置50aに送られるようにする。
【0024】
アダプタポッド40が接続される潅流装置50のタイプに応じて、データライン192上の信号は、たとえば、所望のポンプ速度または動作モードのような潅流装置50の制御に関するデジタルまたはアナログ信号(たとえば、4乃至20maの信号)を含むことができる。使用されるデータライン192の数は、アダプタポッド40が接続された特定の潅流装置50に依存する。
【0025】
制御装置180はまた、種々のタイプの電力が電力ライン194を介して潅流装置50に送られるようにする。これらの電力のタイプには、たとえば、+5ボルト直流電力または+24ボルト直流電力が含まれる。別の電圧レベルの電力が必要である場合、電源回路182は、直流/直流変換器を含むことができる。
【0026】
潅流回路の構成および表示
医療処置のために潅流システム10を使用する前に、オペレータは所望のアダプタポッド40および、またはネットワーク拡張器22を図8に示されているように主制御装置20に接続する。
【0027】
医療処置を開始する前に、潅流システム10は図13Aに示されている構成プロセス中に構成され、この図13Aは、主制御装置20により実行される構成コンピュータプログラムルーチン200のフローチャートである。図13Aを参照すると、ステップ202においてプログラムは視覚プロンプトをオペレータに発生して、前の構成ファイルが主制御装置20のメモリ104からロードされなければならないか否かをリクエストする。構成ファイルには、一般に、患者のアウトライン、患者に接続された複数の液体導管のイメージ、およびシステム10において使用される種々の潅流装置50のイメージを含むことのできる潅流回路のイメージに対応したイメージデータが含まれる。各潅流装置50は、潅流装置のタイプに応じて異なったイメージによって表されることができる。たとえば、ポンプはポンプイメージで表されることができ、一方流量センサは別のイメージを有することができる。
【0028】
構成ファイルはまた、装置の製造業者およびモデル番号、装置の所望の動作モード、アラームがトリガーされなければならない数値限界、および任意の関連付けられた潅流装置の識別名のような潅流装置50に関するデータを含むことができる。物理的プロセスを制御するために使用され、ここでは制御装置と呼ばれている1つの潅流装置が、ここでは感知装置と呼ばれている別の潅流装置からフィードバックを受取る場合には、2個の潅流装置が“関連付けられて”もよい。
【0029】
たとえば、図1を参照すると、ポンプ50gは、レベルセンサ50h(液体タンク内の液体レベルを示す信号を発生する)または流量センサ50aより発生されたフィードバックに基づいて制御されることができる。前者の場合、ポンプ50gはタンク内において予め定められた液体レベルを維持するように制御されることができ、後者の場合には、ポンプ50gは、導管を通る予め定められた流量を維持するように制御されることができる。比例積分(PI)または比例積分微分(PID)制御のような任意のタイプの通常のフィードバック制御が使用可能である。レベルセンサ50hの出力に基づいてポンプ50gを制御することが所望された場合、レベルセンサ50hに対するポンプ50gの関連付けが構成ファイルに記億される。
【0030】
図13Aを参照すると、オペレータがステップ202において構成ファイルのローディングをリクエストした場合、プログラムステップ204に分岐し、ここでオペレータは、これらの構成ファイルの1つを選択するように促される。オペレータが前に記憶された構成ファイルの検索を所望しなかった場合、プログラムはステップ206に分岐し、ここにおいてオペレータは、予め定められた数の潅流回路イメージのタイプの1つを選択する。各潅流回路イメージは、異なった医療処置に使用される潅流回路に対応することができる。以下に説明する図14Aおよび14Bには、異なったタイプの潅流回路イメージが示されている。
【0031】
ステップ208において、ステップ204で選択された構成ファイルに対応した潅流回路イメージまたはステップ206で選択された潅流回路イメージのいずれかが表示装置114上に表示される。図14Aおよび14Bには、表示装置114上に表示されることのできる1対の例示的な潅流回路イメージが示されている。
【0032】
図14Aを参照すると、左心室補助装置(LVAD)構成に対応した潅流回路のイメージ232が示されている。潅流回路イメージ232は、患者イメージ234と、血液を患者の左心室から除去する液体導管のイメージ236と、ポンプのイメージ238と、患者の大動脈に血液を戻す液体導管のイメージ240と、流動オクルーダのイメージ242と、温度センサのイメージ244と、および気体塞栓センサの1対のイメージ246とを含んでいる。
【0033】
図14Bを参照すると、両心室補助装置(Bi−VAD)構成に対応した潅流回路のイメージ248が示されている。潅流回路イメージ248は図14Aに示されているイメージの全て、ならびに第2の血液ポンプのイメージ250と、血液を患者の右心室から除去する導管のイメージ252と、および患者の肺動脈に血液を戻す導管のイメージ254とを含んでいる。別のタイプの潅流回路イメージに加えて、図14Aおよび14Bに示されている各潅流回路イメージが主記憶装置20のメモリ104中に予め記憶されることが可能である。
【0034】
ステップ210において、オペレータは、潅流システム10の構成を変更するためにいくつかの構成オプションの1つを選択することができる。オペレータがステップ212で決定される潅流装置50を追加するオプションを選択した場合、プログラムはステップ214に分岐し、このステップにおいてオペレータは、表示装置114上に表示される潅流回路イメージに追加するためにポンプまたは流量センサのような潅流装置50のタイプを選択するように促される。ステップ216において、オペレータは、選択されて新しく追加された潅流装置50のイメージが表示される位置を選択する。この位置は、電子マウスを介してオペレータにより指定されることができ、表示された潅流回路イメージは、潅流装置50が接続されることのできるいくつかの可能な接続点256(図14A)を含むことができる。オペレータが可能な接続点256を容易に認識できるように、可能な接続点256はそれらを目立つ色にするか、あるいはそれらを明滅させる等により強調されることができる。オペレータが位置を選択した後、ステップ218において、潅流装置のイメージは潅流回路イメージ内のその位置に表示される。
【0035】
オペレータがステップ220で決定される潅流装置の1つを構成するオプションを選択した場合、プログラムはステップ222に分岐し、ここで現在の潅流装置50の構成が潅流回路におけるその装置のイメージの隣に表示される。上述したように、現在の構成は潅流装置の動作モード、装置に対する警報限界、任意の関連付けられた潅流装置等を含むことができる。ステップ224において、オペレータは現在の構成を変更するか、あるいはこれに追加することができる。
【0036】
オペレータがステップ226で決定される潅流装置に対するデータを表示するオプションを選択した場合、プログラムはステップ228に分岐し、ここで、それは、表示するのに利用できるデータが存在するか否かを決定するためにチェックする。このようなデータは、たとえば、潅流装置の製造業者およびモデル番号を含んでいることができる。ステップ228において利用可能なデータが存在することが決定された場合、プログラムはステップ230に分岐し、ここでデータは潅流回路中の潅流装置の隣に表示される。
【0037】
潅流装置の接続
主制御装置20は、潅流システム10に後続的に接続される潅流装置50を適合させるためにプラグイン処理手順を使用することができる。図13Bは、主制御装置20によって行われるプラグインルーチン260のフローチャートである。プラグインルーチン中、主制御装置20は、それが前に入力された装置構成を、主制御装置20に後続的に接続された潅流装置と整合させることのできる自動整合モードで動作することができる。たとえば、オペレータは、予め定められた流動を連続的にポンプ駆動する連続モードで動作するように遠心血液ポンプ(主制御装置20にまだ接続されていない)を構成することができる。血液ポンプが制御装置20に後続的に接続されたとき、この制御装置20は前に記憶されたポンプ構成をそのポンプと自動的に整合させる。
【0038】
図13Bを参照すると、ステップ262において、主制御装置20が自動整合モードである場合、プログラムは、ステップ264に分岐し、ここでそれは、接続されたばかりの潅流装置と前に記憶された装置構成との間において可能な整合は1つだけであるか否かを決定する。これは、あるポンプに対する前に記憶された構成が1つだけ存在し、主制御装置20に接続されたばかりの装置がポンプだった場合である。
【0039】
ただ1つの可能な整合が存在することがステップ264において決定された場合、プログラムはステップ266に分岐し、このステップにおいてそれは、装置が潅流回路イメージ内において表示される位置が知られているか否かを決定する。この位置は、装置に対する前に記憶された構成の中に含まれることができる。位置が知られていない場合、プログラムはステップ268に分岐し、ここでオペレータは、位置を選択するように促され、その後プログラムはステップ270に分岐し、ここで新しく接続された潅流装置のイメージが潅流回路イメージ内に表示される。装置の位置が知られていることがステップ266で決定された場合、プログラムはステップ268にスキップし、直接ステップ270に分岐する。
【0040】
主制御装置20が自動整合モードでないことがステップ262で決定された場合、あるいは2以上の可能な整合が存在することがステップ264で決定された場合、プログラムはステップ272に分岐する。新しく接続された装置が既に構成されている場合、プログラムはステップ274に分岐し、ここでオペレータは、複数の予め記憶された構成から適当な構成を選択するように促される。装置がまだ構成されていない場合には、プログラムはステップ276に分岐し、ここでオペレータは装置に対する所望の構成パラメータを入力するように促される。その後、プログラムは上述のステップ268および270を行う。
【0041】
ネットワーク通信
主制御装置20内のネットワーク制御装置106(図2)はCAN Version2.0Bのような通常のネットワーク制御装置であってもよく、デジタルデータパケットが送信および受信されるデータバス152(2本のワイヤから構成されてもよい)をそれぞれが含んでいるネットワークバス30上のデータ流を管理する。データパケットは、(1)フレームの開始(SOF)フィールド;(2)調停フィールド;(3)制御フィールド;(4)可変長データフィールド;(5)巡回冗長検査(CRC)フィールドのようなエラー検出/補正フィールド;(6)承認(ACK)フィールド;および(7)フレームの終了(EOF)フィールドのデータフィールドからなる通常のフォーマットを有していてもよい。
【0042】
調停フィールドは29ビットフィールドであることができ、ネットワークバス30によって同報通信されるデータパケットの優先度を決定するために使用される。その優先度は、データパケットの調停フィールドの全体的な数値に基づいている。2つのデータパケットの伝送におけるコンフリクトの場合、低い数値を有する調停フィールドを有するデータパケットが優先する。調停フィールドは、使用されることのできる多くの異なったデータパケットタイプのメッセージのタイプを特定するメッセージ識別(ID)コードを含んでおり、以下にリストとして示されている。
【表1】

【0043】
上記の表において、メッセージタイプは、最も高い優先度(最上位)から最も低い優先度(最下位)へとリストにされている。
【0044】
タイプAメッセージは、ネットワークデータバスに接続された全ての装置に対して主制御装置20により同報通信された制御メッセージに対応している。データフィールド“cccccccc cccccccc”はメッセージのタイプを特定するために使用される。
【0045】
タイプBメッセージは、拡張器制御装置32に対して主制御装置20により同報通信されたメッセージに対応している。データフィールド“cccccccc cccccccc”はメッセージのタイプを特定するために使用される。
【0046】
タイプCメッセージは警報または安全メッセージに対応しており、データフィールド“aaaaaaaa”は警報のタイプを特定し、データフィールド“ssssssss”は警報メッセージを発生した装置の論理的アドレスを特定する。
【0047】
タイプDメッセージは、流量センサのような感知装置により発生されたサーボメッセージに対応している。データフィールド“cccccccc”は、たとえば、流量等の感知されたパラメータのタイプを特定し、データフィールド“ssssssss”は、感知されたパラメータを発生したセンサの論理的アドレスを特定する。
【0048】
タイプEメッセージは、メッセージのタイプを特定するデータフィールド“cccccccc cccccccc”と、およびメッセージの意図されたあて先の論理的アドレスを特定するデータフィールド“dddddddd”とを有する一般メッセージに対応している。
【0049】
タイプFメッセージは、メッセージのタイプを特定するデータフィールド“cccccccc cccccccc”と、およびメッセージのソースの論理的アドレスを特定するデータフィールド“ssssssss”とを有する一般メッセージに対応している。
【0050】
タイプGメッセージは、メッセージのタイプを特定するデータフィールド“cccccccc”と、およびメッセージの意図されたあて先の物理的アドレスを特定するデータフィールド“dddddddd dddddddd”とを有する一般メッセージに対応している。
【0051】
タイプHメッセージは、メッセージのタイプを特定するデータフィールド“cccccccc”と、およびメッセージのソースの物理的アドレスを特定するデータフィールド“ssssssss ssssssss”とを有する一般メッセージに対応している。
【0052】
タイプIメッセージ(それは全て論理“1”である)は、ネットワークデータバスに接続された全ての装置に周期的に同報通信する主制御装置20からの状態リクエストに対応している。
【0053】
上述されたメッセージタイプのいくつかは、データフィールドなしで送信される。たとえば、主制御装置20からの状態リクエストメッセージには、データフィールドがない。他のメッセージはデータフィールドを含んでいる。たとえば、サーボメッセージ(上記のタイプD)は、0.257リットル/分の流量指示値(readings)のような感知された状態の数値を特定したデータフィールドを含んでいる。
【0054】
主制御装置20、拡張器制御装置32およびアダプタポッド40は、CRCフィールドを介して受取られたメッセージの正確さをチェックし、正確に受取られなかったメッセージの再送信をリクエストし、正しく受取られたメッセージの受信に応答して承認メッセージを送信する通常の電子装置を備えていることができる。
【0055】
上述されたメッセージは、ネットワーク30に接続された全ての装置に送信または同報通信されることができる。ポッド40または拡張器制御装置32のような各装置は、同報通信されたあるメッセージだけを受信することにより弁別することができる。たとえば、この弁別は、受取った装置内のメッセージ弁別メモリにアクセスすることより行われることができ、こののメッセージ弁別メモリは、受取った装置が関心をもっている他の全ての装置の論理的アドレスを記憶している。
【0056】
たとえば、受取った装置が、流量センサ50aからのフィードバック信号の受信に基づいて導管を通る血液の流動を制御する血液ポンプ50cに接続されたアダプタポッド40cである場合、ポッド40cのメッセージ弁別メモリは流量センサ50aの論理的アドレスを含んでいるため、ポッド40cは、流量センサ50aに接続されたポッド40aにより発生されたどのようなメッセージでも受信する。メッセージ弁別メモリは、主制御装置20の論理的アドレスを含んでおり、また、いくつかの別のポッド40の論理的アドレスを含むことができる。結果的に、ネットワーク30により同報通信されたメッセージは、特定のあて先アドレスを含む必要がない(あて先アドレスは含まれていてもよいが)ことを認識すべきである。
【0057】
ポッド40および拡張器制御装置32はまた、送信者のアイデンティティの代りにメッセージのタイプに基づいてメッセージを弁別することができる。たとえば、ポッド40は状態リクエストメッセージおよび構成メッセージ(以下に説明されている)を全て受取ることができる。このようなメッセージに対するメッセージ識別コードもまたメッセージ識別メモリ中に記憶されていてもよい。
【0058】
医療処置のために潅流システム10を使用する前、および全ての潅流装置50が上述したように構成された後に、構成メッセージを含むデータパケットが、ネットワーク30に接続された全てのポッド40に送信される。構成メッセージは、上述された必要な構成データの全てを含んでいる。たとえば、血液ポンプに対して、構成データはポンプの動作モード、ポンプの所望の流量率等を含んでいる。装置(たとえば、血液ポンプがフィードバックを受取るセンサ)関連データを含んでいる構成メッセージがポッド40によって受取られた場合、メッセージ弁別メモリは関連付けられた装置の論理的アドレスにより更新される。
【0059】
ネットワークに対するポッドの接続
ポッドがネットワークデータ/電力バス30を介して主制御装置20と通信するために、アダプタポッド40はネットワーク30に接続する許可を与えられなければならない。この接続は、ネットワーク接続がなされるべきアダプタポッド40により主制御装置20に送られたスタートアップリクエストメッセージにより開始される。スタートアップリクエストメッセージは、接続されることをリクエストしたポッド40に接続された潅流装置50のタイプを識別する第1のコードと、接続されることをリクエストしたポッド40の物理的アドレス(図11のコード発生装置144により特定された)を識別する第2のコードとを含んでいる。
【0060】
図13Cは、アダプタポッド40からのスタートアップリクエストメッセージの受取りに応答して主制御装置20により行われるスタートアップルーチン280のフローチャートである。スタートアップルーチン280は、主制御装置20によるスタートアップリクエストメッセージの受取り時に発生される割込みに応答して呼出される割込みサービスルーチンであってもよい。図13Cを参照すると、ステップ282において、主制御装置20により受取られたスタートアップメッセージは、接続されることをリクエストしたポッド40に接続された潅流装置50のタイプを決定すると共にそのポッド40の物理的アドレスを決定するために復号される。
【0061】
ステップ284において、プログラムは、フルパワーがリクエストしているポッド40に容認されるべきか否かを決定する。上述したように、潅流装置50を動作させる電力は、主制御装置20内の電源118(図9)からネットワーク30を介してポッド40に供給される。電源118から利用可能な電力は限定されている可能性があるため、主制御装置20は、ある定まった数の潅流装置50だけがネットワーク30に接続されることを可能にするように、あるいはその代りに、ある定まった数の特定のタイプの潅流装置50だけが接続されることを可能にするようにプログラムされることができる。たとえば、血液ポンプのような制御装置は典型的に感知装置より多くの電力を引き出すため、主制御装置20は、ネットワーク30に接続されることのできる制御装置の数に関して上限を与えられてもよい。
【0062】
ステップ284において、ネットワーク30にすでに接続されている潅流装置50の数と接続されることのできる最大数とを比較し、追加の装置50を接続するとその最大値を越えるか否かを決定することにより、フルパワーを与えるか否かの決定がなされることができる。その代りに、接続をリクエストしている装置が制御装置である場合、すでに接続されている制御装置の数は、接続されることのできる制御タイプの潅流装置の最大数と比較されることができる。フルパワーが容認されないことが決定された場合にはプログラムは単に終了する。
【0063】
フルパワーが許容されなければならないことが決定された場合、潅流装置50と関連されたポッド40がネットワーク30に接続されるようにするスタートアップ許可メッセージを発生し、これを送るようにステップ286乃至298が行われる。とくに、ステップ286において、特有の論理的アドレスが新しく接続されたポッド40に割当てられる。たとえば、ネットワーク30の容量が16個の装置である場合、論理的アドレスは4ビット2進コードであってもよい。ステップ288において、論理的アドレスを含むスタートアップ許可メッセージが符号化され、ステップ290において、スタートアップ許可メッセージがネットワーク30により送られる。ステップ292において、スタートアップをリクエストしたポッド40が主制御装置20に対してローカルである(すなわち、それがネットワーク拡張器22なしに主制御装置20に直接接続されたポッド40gまたは40hの一方である)場合、潅流装置50に接続されたローカルノード制御装置(すなわち、図9のノード制御装置34i−34jの1つ)を介してポッド40へのフルパワーがエネーブルされる。図11を参照すると、これはエネルーブル信号をライン134で制御装置140に送ることにより行われ、このエネルーブル信号は、電力ライン120a、120bによるフルパワーの供給が行われると共にアダプタポッド40がデータバス152に接続されるように制御装置140にスイッチ150、154、158を閉じさせる。
【0064】
図13Cを参照すると、ステップ292において潅流装置がローカル装置でないことが決定された場合、プログラムは、スタートアップをリクエストしたポッド40に関連付けられたノード制御装置34の物理的アドレスを含む接続メッセージが符号化されるステップ296に分岐し、その後、この接続メッセージがネットワーク30によって送られるステップ298に分岐する。以下に説明するように、拡張器制御装置32は、これらが接続メッセージを受取ったとき、それを復号して物理的アドレスを決定し、この物理的アドレスを有するノード制御装置34(すなわち、リクエストしたポッド40に関連付けられたノード制御装置34)に接続された拡張器制御装置32は、そのノード制御装置34に接続されたライン134によりエネーブル信号を送ることによってフルパワーをオンに切替える。
【0065】
状態リクエスト
潅流システム10の動作中、ネットワーク30に接続された全ての装置が適切に機能し、ネットワーク30により同報通信されたメッセージを受取っていることを確実にするために、主制御装置20は状態リクエストメッセージをネットワーク30上の全ての拡張器制御装置32およびアダプタポッド40に周期的に送信する。拡張器制御装置32およびアダプタポッド40はそれぞれ、予め定められた時間期間内に状態リクエストに応答しなければならない。その時間期間内に状態リクエストに応答できない拡張器制御装置32またはポッド40は、ネットワーク30から接続を遮断され、このような事象をオペレータに警告するために対応した警報メッセージが視覚的表示装置114上に発生される。
【0066】
図13Dは、主制御装置20により周期的に行われる状態リクエストルーチン300のフローチャートである。図13Dを参照すると、ステップ302において状態リクエストメッセージが符号化され、ステップ304においてネットワーク30に接続された全ての拡張器制御装置32およびアダプタポッド40に対してこのメッセージが同報通信される。上述したように、状態リクエストメッセージはデータパケットの調停において全て論理“1”であればよい。ステップ306において、拡張器制御装置32およびポッド40が状態リクエストメッセージに応答しなければならない予め定められたタイムアウト期間が開始される。
【0067】
状態リクエストメッセージを受取ったとき、拡張器制御装置32およびアダプタポッド40はそれぞれ、その論理的アドレスおよびその状態により状態メッセージを符号化し、その後状態メッセージをネットワーク30によって主制御装置20に同報通信する。
【0068】
図13Eは、ルーチン300により前に送信された状態リクエストメッセージに応答して主制御装置20に送信された状態メッセージを受信したときにこの主制御装置20により行われる受信状態ルーチン310のフローチャートである。図13Eを参照すると、ステップ312において応答した拡張器制御装置32またはアダプタポッド40の論理的アドレスが状態メッセージから決定され、ステップ314において装置32または40の状態がメッセージから決定される。この状態は、いくつかの異なった2進状態コードによって特定されてもよい。ステップ316において、装置32または40の状態がオーケーならば、プログラムは単に終了する。しかしながら、この状態がオーケーでない場合、プログラムは、それが状態コードで識別された状態状況に応答するステップ318に分岐する。この状況が比較的重大なものでない場合、主制御装置20は潅流システム10の視覚的表示装置114上に警報を発生するだけでよい。状況がかなり重大なものである場合、主制御装置20は装置32または40をネットワークを遮断する。
【0069】
図13Fは、拡張器制御装置32またはアダプタポッド40がネットワーク30から遮断されるようにする遮断ルーチン330のフローチャートである。この遮断ルーチン330は、(1)装置32または40が上述のタイムアウト期間内に主制御装置20に状態メッセージを送信できなかったこと、あるいは(2)図13Eのステップ318において装置32または40の重大な誤動作が決定されたことのいずれに応答して主制御装置20により行われる。
【0070】
図13Fを参照すると、ステップ332において、接続を遮断される装置32または40が主制御装置20に対してローカルである場合、プログラムはステップ334に分岐し、ここで装置32または40は、この装置32または40に接続されている主制御装置20内のノード制御装置34g、34h、34iまたは34jによって接続を遮断される。図11を参照すると、遮断はディスエーブル信号をライン134により送信するだけで行われ、このディスエーブル信号は、データバス152および電力ライン120a、120bの接続が遮断されるように制御装置140にスイッチ150、154、158を開かせる。
【0071】
ステップ332において接続を遮断される装置が主制御装置20に対してローカルでない場合、プログラムは、装置32または40のノード制御装置34の物理的アドレスを含む遮断メッセージが符号化されるステップ336に分岐し、その後、ステップ338に分岐して遮断メッセージがネットワーク30によって送信される。
【0072】
遮断される装置がノード制御装置34を介して拡張器制御装置32に接続されたポッド40である場合、その拡張器制御装置32は、それが遮断メッセージを受取ったときにそれを復号して、遮断されるポッド40の物理的アドレスを決定し、また、そのポッド40に関連付けられたノード制御装置34はこのノード制御装置34に接続されたライン134によりディスエーブル信号を送信することによりそのポッド40を遮断する。
【0073】
主制御装置に入力されるオペレータコマンド
医療処置の期間中の潅流システム10の動作中、主制御装置20は、システム10のオペレータによって入力された種々のコマンドおよびその他の入力に応答する。図13Gは、主制御装置20がこれらの入力に対してどのように応答するかを示す制御コマンドルーチン350のフローチャートである。図13Gには、種々の可能なオペレータ入力が開示されているが、主制御装置20は、別のまたは追加のオペレータ入力に応答することが可能であることを認識すべきである。
【0074】
図13Gを参照すると、ステップ352においてオペレータにより行われた入力が制御コマンドであった場合、プログラムは、制御コマンドに対応した制御メッセージがあるデータパケットにおいて符号化されるステップ354に分岐し、その後、その制御メッセージがネットワーク30によって同報通信されるステップ356に分岐する。たとえば、制御メッセージは、(1)特定の感知装置に対する新しい警報限界、(2)血液ポンプに対する新しい動作モード、(3)血液ポンプに対する新しいターゲット流量値、(4)特定の感知装置が読取るべき新しい速度、(5)ポンプ開始命令、(6)ポンプ停止命令等の1つであることができる。
【0075】
ステップ358において、特定の警報がリセットされることをオペレータがリクエストした場合、プログラムは、その警報を発生した装置の論理的アドレスを含む対応した警報リセットメッセージが符号化されるステップ360に分岐して、警報リセットメッセージがネットワーク30によって同報通信されるステップ362に分岐する。ステップ364において、潅流システム10がリセットされることをオペレータがリクエストした場合、プログラムはステップ366に分岐し、対応したシステムリセットメッセージが符号化され、システムリセットメッセージがネットワーク30によって同報通信されるステップ362に分岐する。
【0076】
主制御装置によるネットワークメッセージの受信
動作中、主制御装置20は、ネットワーク30によって同報通信される種々のタイプのメッセージを受信する。図13Hは、種々のタイプのメッセージの受信に応答して主制御装置20によりとられるアクションを示す主制御装置20により行われる受信ルーチン370のフローチャートである。
【0077】
図13Hを参照すると、受信されたメッセージが警報または別の事象のような事象メッセージに対応している場合、プログラムはステップ374に分岐し、表示装置114上に発生された可視表示が更新され、オペレータにその事象を知らせ、また、プログラムは、事象が主制御装置20のメモリ104中に記憶されている事象ログに記録されるステップ376に分岐する。
【0078】
ステップ378において、受信されたメッセージが、流量センサの出力を表す数値を含むメッセージのようなデータメッセージに対応している場合、プログラムは、可視表示が更新されるステップ380に分岐し、また、プログラムはステップ382に分岐し、ここで、データおよびそのデータを発生した装置が主制御装置20のメモリ104中に記憶されているデータログに記録される。
【0079】
ステップ384において、受信されたメッセージが状態メッセージである場合、プログラムはステップ386に分岐し、ここで、状態メッセージが図13Eに関連して上述されたように処理される。ステップ388において、可視表示が状態に基づいて更新され、ステップ390において、状態がメモリ中に記憶されている状態ログ中に記憶される。ステップ392において、受信されたメッセージがスタートアップリクエストである場合、プログラムはステップ394に分岐し、ここにおいて、スタートアップリクエストが図13Cに関連して上述されたように処理され、また、ステップ396において、可視表示が更新される。
【0080】
拡張器制御装置の動作
拡張器制御装置32の基本機能は、ネットワーク30に対するアダプタポッド40の接続および遮断を制御することである。図15Aは、各拡張器制御装置32の制御装置130によって行われるスタートアップルーチン420のフローチャートである。図15Aを参照すると、ステップ422において、拡張器制御装置32は、内部RAMおよび内部ROMのテストのようないくつかの内部セルフテストを行う。ステップ424において、テストが成功した場合、プログラムはステップ426に分岐し、ここにおいて、あるメッセージをネットワークバス30に送信すると同時に、このメッセージはそれが実際に送信されたか否かを決定するために送信されたものとして、そのメッセージをネットワークバス30から受信することにより、ネットワークバス30に対する拡張器制御装置32の接続がテストされる。
【0081】
ステップ428において、データバステストが成功した場合、プログラムはステップ430に分岐し、ここにおいて、拡張器制御装置32はライン133を介してチェックインコードをその親ノード制御装置34に周期的に送信し始める。以下に説明するように、各装置(アダプタポッド40または拡張器制御装置32のいずれか)は、ネットワーク30へのその接続を維持するためにチェックインコードをその親ノード制御装置34に周期的に送信しなければならない。
【0082】
ステップ432において、拡張器制御装置32はその物理的アドレスがその親ノード制御装置34からそれに送信されるのを待つ。ステップ434において、ステップ422および426において行われたテストの全てがパスされたわけではない場合、エラーメッセージがネットワーク30によって同報通信される。このエラーメッセージには、拡張器制御装置32の物理的アドレスと、およびどのテストが成功しなかったかを特定する2進コードとが含まれている。
【0083】
全てのテストがパスされた場合、プログラムはステップ438に分岐し、そこで拡張器制御装置32の物理的アドレスを含むスタートプアッスリクエストメッセージが符号化され、ネットワーク30によって同報通信される。ステップ440において、プログラムは、スタートアップ許可メッセージが主制御装置20から受信されるまで待機し、その後、ステップ442において、プログラムは、フルパワーが拡張器制御装置32にその親ノード制御装置34の電力ライン120a,120bを介して与えられるまで待機する。フルパワーが与えられたとき、プログラムはステップ444に分岐し、電力ライン120a,120bにより供給された電圧および電流が仕様範囲内であることを確認するために拡張器制御装置32がそれらを測定する。ステップ446において、パワー測定値が仕様範囲内でなかった場合、プログラムはステップ436に分岐し、ここにおいて、その意味のメッセージがネットワーク30によって主制御装置20に同報通信される。
【0084】
図15Bは、拡張器制御装置32が接続メッセージを主制御装置20から受信したときにその拡張器制御装置32により行われる接続ルーチン450のフローチャートである。図15Bを参照すると、ステップ452において、主制御装置20から受信された接続メッセージは、ネットワーク30に接続されるアダプタポッド40の物理的アドレスを決定するために復号される。ステップ454において、物理的アドレスは、接続されるアダプタポッド40が拡張器制御装置32に対してローカルである、すなわち、拡張器制御装置32に接続された3つのもののうちの1つであるか否かを決定するために検査される。ポッド40が拡張器制御装置32に対してローカルでない場合、それ以上のアクションはとられず、このルーチン450は終了する。ポッド40が拡張器制御装置32に対してローカルである場合、プログラムはステップ456に分岐し、ここにおいて、接続されるアダプタポッド40と関連付けられたノード制御装置34に対してライン134の1つを介してエネーブル信号が送信され、それによってアダプタポッド40は上述したようにネットワーク30に接続される。
【0085】
拡張器制御装置32が主制御装置20から遮断メッセージを受信したとき、図15Cに示されている遮断ルーチン460が拡張器制御装置32によって行われる。ステップ462において、主制御装置20から受信された遮断メッセージは復号され、ネットワーク30への接続を遮断されるべきアダプタポッド40の物理的アドレスが決定される。ステップ464において、物理的アドレスは、接続遮断されるアダプタポッド40が拡張器制御装置32に対してローカルであるか否かを決定するために検査される。ポッド40がローカルでない場合、それ以上のアクションはとられない。ポッド40がローカルである場合、プログラムはステップ466に分岐し、ここにおいて、接続遮断されるアダプタポッド40と関連付けられたノード制御装置34に対してライン134の1つを介してディスエーブル信号が送信され、それによってアダプタポッド40はネットワーク30との接続を遮断される。
【0086】
ノード制御装置の動作
ノード制御装置34の基本機能は、アダプタポッド40(ノード制御装置34がアダプタポッド40の親である場合)および拡張器制御装置32(ノード制御装置34が拡張器制御装置32の親である場合)をネットワーク30に接続すること、およびその接続を遮断することである。接続または遮断は、上述したように、主制御装置20から、あるいはノード制御装置34に関連付けられた拡張器制御装置32から受信されたエネーブル信号またはディスエーブル信号にしたがって行われる。さらに、各ノード制御装置34は、それに関連付けられた装置32または40が周期的にチェックインすることを要求する。装置32または40が適切なチェックインコードでチェックインできなかった場合、ノード制御装置34は、装置32または40をネットワーク30から遮断する。
【0087】
図16Aは、各ノード制御装置34によって行われるノードルーチン470のフローチャートである。ノードルーチン470は、ノード制御装置34が関連付けられた装置32または40からチェックインコードを受信したときに行われる。図16Aを参照すると、ステップ472において、装置32または40から受信されたコードが有効でなかった場合、それ以上のアクションはとられず、このルーチンは終了する。チェックインコードは、ノード制御装置34のコード発生装置144(図11)により特定された物理的アドレスであってもよい。コードが有効であるか否かを決定するために、ノード制御装置34は受信されたコードを比較して、それが予め定められたコードと整合するか否かを決定することができる。
【0088】
チェックインコードが有効であった場合、プログラムはステップ474に分岐し、タイムアウトタイマーがスタートする。タイムアウトタイマーは、装置32または40が有効なチェックインコードを送信しなければならない予め定められた時間期間を追跡する。ステップ476において、ノード制御装置34は、コード発生装置144により発生された物理的アドレスをポッド40に送信する。ステップ478において、ノード制御装置34は、スイッチ150を閉じさせる(あるいは既に閉じている場合には、閉じたままにさせておく)信号をこのスイッチ150に送ることによって装置32または40をデータバス152(図11)に接続する。
【0089】
ステップ480において、エネーブル信号がノード制御装置34に接続されたライン134上に存在している場合、ノード制御装置34は、スイッチ154、158(図11)を閉じさせる(あるいはそれらがすでに閉じている場合には、閉じたままにさせておく)信号をこれらのスイッチに送ることによってフルパワーを装置32または40に供給する。
【0090】
エネーブル信号が存在しなかったことがステップ480において決定された場合、プログラムはステップ484に分岐し、スイッチ150を開くことによって装置32または40がデータバス152から遮断され、また、スイッチ154、158を開くことによって装置32または40が電力ライン120a、120bから遮断される。
【0091】
装置32または40がタイムアウト期間内に有効なチェックインコードをノード制御装置34に送信できなかった場合、図16Bに示されているタイムアウトルーチン490がノード制御装置34によって行われる。図16Bを参照すると、ステップ492において、装置32または40はスイッチ150を開くことによってデータバス152から切断され、また、ステップ494において、装置32または40はスイッチ154、158を開くことによって電力ライン120a、120bから遮断される。
【0092】
アダプタポッドの動作
アダプタポッド40は、主制御装置20により送信された構成および制御メッセージの受信、流量のような感知された状況の数値を含む感知メッセージの受信、および、または、ネットワーク30による感知メッセージの送信を含むいくつかの機能を行う。以下、これらの機能を説明する。
【0093】
図17Aは、各アダプタポッド40の制御装置180により行われるスタートアップルーチン520のフローチャートである。図17Aを参照すると、ステップ522において、アダプタポッド40は、内部RAMおよび内部ROMのテストのようないくつかの内部セルフテストを行う。ステップ524において、テストが成功した場合、プログラムは、ステップ526に分岐し、ここにおいてメッセージをデータバス152に送信すると同時に、このメッセージはそれが実際に送信されたか否かを決定するために送られたものなので、そのメッセージをデータバス152から受信することによって、データバス152に対するポッド40の接続がテストされる。
【0094】
ステップ528において、データバステストが成功した場合、プログラムはステップ530に分岐し、このステップにおいて、アダプタポッド40はライン133を介してチェックインコードをその親ノード制御装置34に周期的に送信し始める。ステップ532において、ポッド40はその物理的アドレスがその親ノード制御装置34から送信されるのを待っている。ステップ534において、ステップ522乃至526において行われたテストが全てパスしていない場合、エラーメッセージが同報通信される。このエラーメッセージは、ポッド40の物理的アドレスと、およびどのテストがパスされなかったかを特定する2進コードとを含んでいる。
【0095】
全てのテストにパスした場合、プログラムはステップ538に分岐し、ここで、アダプタポッド40の物理的アドレスを含むスタートアップリクエストメッセージが符号化され、ネットワーク30によって同報通信される。ステップ540において、プログラムは、スタートアップ許可メッセージが主制御装置20から受信されるまで待機し、その後、ステップ542において、プログラムは、フルパワーがアダプタポッド40にその親ノード制御装置34の電力ライン120a,120bを介して与えられるまで待機する。フルパワーが与えられたとき、プログラムは、電力ライン120a,120bにより供給された電圧および電流が仕様範囲内であることを確認するためにポッド40がそれらを測定するステップ544に分岐する。ステップ546において、パワー測定値が仕様範囲内でなかった場合、プログラムはステップ536に分岐し、ここにおいて、それを意味するメッセージがネットワーク30によって主制御装置20に同報通信される。
【0096】
動作中、アダプタポッド40は制御または構成メッセージを主制御装置20からネットワークによって受信することができる。図17Bは、アダプタポッド40がメッセージを受信したときに行われる受信ルーチン550のフローチャートである。図17Bを参照すると、ステップ552において、メッセージは、このメッセージ中に埋込まれている制御コマンドを決定するために復号され、ステップ554において、ポッド40はそれに接続された潅流装置50に制御信号を送信する(図12における1以上のデータライン192を介して)。
【0097】
動作中、アダプタポッド40は、データライン192の1つを介して警報信号を潅流装置50から受信することができる。このような警報信号が受信されたとき、図17Cに示されている警報ルーチンがポッド40によって行われる。図17Cを参照すると、ステップ562において、警報メッセージは警報を発生した潅流装置50の論理的アドレスおよび警報のタイプで符号化され、ステップ564において、警報メッセージはネットワーク30によって主制御装置20に同報通信される。
【0098】
動作中、感知信号を発生する流量センサのような潅流装置50に接続された各アダプタポッド40は、感知信号の数値をライン152の1つによって周期的に読取る。感知信号の連続した読取りの間の時間期間は、上述した構成プロセス期間中に指定されてもよい。図17Dは、感知信号の値を読取る時間になったときに行われる感知ルーチン750のフローチャートである。図17Dを参照すると、ステップ572において、感知信号はデータライン152の1つによって読取られる。ステップ574において、感知信号の数値は、感知信号を発生した潅流装置50の論理的アドレスと共にメッセージにおいて符号化される。ステップ576において、そのメッセージはネットワーク30に接続された全ての装置に対してネットワーク30を介して同報通信される。
【0099】
上述したように、ネットワーク30に接続された各アダプタポッド40は、ネットワーク30に接続された装置のサブセットだけからメッセージを選択的に受信するために使用されるメッセージ弁別回路を備えていることができる。ステップ576において感知メッセージが同報通信されたとき、それを受信する装置は主制御装置20(ネットワーク30によって同報通信された全てのメッセージを受信することができる)と、および感知メッセージ中の符号化された感知信号の値に基づいて制御されている特定の潅流装置50だけである。
【0100】
アダプタポッドは、上述されていない付加的な機能を提供されることができることを認識すべきである。また、電力は、主制御装置20中に設けられた単一の電源からネットワークによって分配される代りに、たとえば、各ネットワーク拡張器内に設けられた1つの電源等の、複数の電源から電力が分配されることができる。
【0101】
ポンプ制御モード
本発明の例示的な実施形態によると、潅流システム10における液体ポンプは、種々のモードで制御されることがきる。図18は、ポンプが種々のモードで制御されることのできる物理的構成の1例を示している。
【0102】
図18に示されているように、2個のポンプ1864、1866は、ポッド1844、1846を介して潅流システム10に接続されている。ポッド1844、1846は、上述されたアダプタポッド40と同じ方式またはそれと一致した方式で動作する。本発明の例示的な実施形態においては、ポッド1844、1846は、対応したポンプ内に配置され、各ポンプおよびそれに関連したポッドは、独立的に動作することができる。ポンプおよびその関連したポッドは、たとえば、それらが潅流システム10から遮断されたとき、あるいは潅流システム10が故障したときに、独立的に動作することができる。図18はまた、それぞれが流量センサ1860、圧力センサ1862、流量センサ1868、および圧力センサ1870を潅流システム10に接続するポッド1840、1842、1848および1850を示している。
【0103】
本発明の例示的な実施形態において、ポッド1840、1842、1848および1850は、上述のアダプタポッド40と同じ方式または一致した方式で動作する。流量センサ1860および圧力センサ1862は、上述された種々のセンサと一致した方式でポンプ1866の出力1876を監視するように構成されている。
【0104】
当業者は、センサピックアップが、たとえば、潅流システム10により治療されている患者の身体上の位置または体内の位置および、またはポンプと患者の間の位置等の、任意の適切な位置に配置されることが可能であることを認識するであろう。さらに、センサピックアップは、ポンプが影響を与えてはいるが全ての原因というわけではない状況を監視し、ポンプを制御するためにフィードバックを提供することができる。たとえば、センサは液体ラインの合流点または患者の体内のある位置に配置されることが可能であり、この場合その位置における液体圧力および、または流量はいくつかのファクタの結果(たとえば、別のポンプおよび、または患者の生理学的反応を含む)であり、これらファクタの1つがセンサからフィードバックを受取ったポンプである。
【0105】
当業者はまた、図18に示されているものに加えて、たとえば、図1に示されているポッド40および装置50の種々のもの等の、種々の追加のポンプおよび、またはポンプを監視して制御することを助ける追加のセンサもまた設けられることが可能であることを認識するであろう。さらに、当業者は、センサおよびポンプならびにそれらのポッドが通信でき、たとえば、上記に詳細に説明されたネットワーク通信プロトコルおよびネットワークメッセージを使用して(たとえば、A−Iメッセージタイプの適切なものを使用して)、主制御装置20によって電子的に構成され、制御され、あるいは監視されることができることを認識するであろう。たとえば、センサポッドは、タイプC、タイプD、タイプEまたはタイプFメッセージを使用してポンプポッドに情報を伝達することができる。
【0106】
ポンプ1864、1866はそれぞれ、ローラポンプおよび遠心ポンプを含む種々の異なった種類のポンプのいずれかであることができる。ポンプ速度は、たとえば、知られている回転速度計や、ホール効果センサのような既知のセンサを使用してポンプヘッドの速度および、またはそのポンプヘッドを駆動するモータの速度を測定することによって測定されることができる。
【0107】
本発明の例示的な実施形態において、1以上の液体ポンプがバックオフ応答モードで制御される。図19は、バックオフ応答モードの1実施例によるプロセスを示している。図19のステップ1902に示されているように、圧力または流量率のようなポンプの性能のパラメータが監視される。ステップ1902から、制御はステップ1904に進み、このステップにおいて、測定されたパラメータが臨界レベルを越えたか否かが決定される。ノーならば、制御はステップ1902に戻る。イエスである場合、制御はステップ1906に進み、ここで、新しいポンプ速度設定点を生成するようにポンプの速度設定点が低下させられる。このステップ1906から、制御はステップ1908に進み、このステップにおいてユーザはその状況について警告される。ステップ1908から、制御はステップ1902に戻る。
【0108】
例示的な実施形態では、ポンプ1864は流量センサポッド1840および圧力センサポッド1842にリンクされている。センサポッド1840および1842は回路パラメータを監視し、特定の測定値レベルが越えられた場合に警告し、警報を発生する。たとえば、圧力センサポッド1842は、それが150mmHgの臨界レベルより上の圧力を検出したときに警報を発生するように設定されることができる。流量センサポッド1840は、それが4リットル/分の臨界レベルより上の流量率を検出したときに警報を発生するように設定されることができる。たとえば遠心ポンプまたはローラポンプであることのできるポンプ1864は感知ポッド1840、1842に自動的に接続されるため、それは感知ポッド1840、1842のいずれかから警報を受取るこになる。ポンプポッド1844が過大圧力警報を圧力センサポッド1842から受取るか、あるいは過大流量率警報を流量率センサポッド1840から受取ったとき、これに応答して、ポンプポッド1844は、たとえば10%等の、予め定められた量だけポンプ1864の速度を減少または“バックオフ”させる。
【0109】
感知ポッド1842が、圧力センサ1862により測定された臨界レベルより上の圧力を検出し続けた場合、あるいは感知ポッド1840が、流量率センサ1860により測定された臨界レベルより上の流量率を検出し続けた場合、ポンプポッド1844は10%のデクリメントでポンプ1864の速度を段階的に連続してバックオフまたは減少させることができる。連続した減少の間に、たとえば、ポンプ時間が速度を減少させるコマンドに対して、次のコマンドが発せられる前に応答することを可能にするため等に、ある予め定められた時間期間が使用されることができる。例示的な1実施形態において、この時間期間は、測定されたパラメータが臨界レベルを越えた量に応じて様々であることができる。たとえば、測定された圧力が臨界レベルを大幅に越えた場合、圧力をもっと速く減少させるために時間期間を短くするか、あるいはデクリメント率を大きくすることが有効である。
【0110】
また、デクリメント率の代りに、ポンプ速度がある固定された量の回転/分(rpm)だけ減少させられることもできる。さらに、ポンプ速度を予め定められた量(ある固定された量のrpmまたはある割合のrpm)だけ減少させる代りに、ポンプ速度は予め定められたレベルに減少されることができる。たとえば、ポンプ1864が遠心ポンブであるとき、予め定められたレベルは“惰性(coasting)レベル”、すなわち、逆流を防ぐのには十分であるが、ポンプ駆動されている液体を顕著に前方移動させない小さいrpm値であることができる。
【0111】
本発明の例示的な実施形態において、1以上の液体ポンプは流量サーボモードで制御される。図20は、流量サーボモードの例示的なプロセスを示している。図20のステップ2002において、ユーザは流量率設定点を設定する。ユーザは、たとえば、所望の流量率に達するまで1以上のポンプの速度を調節し、その後、この流量率が設定点であることを潅流システム10に(または直接的にポンプに)示すこと等によりこれを行うことができる。その代り、ユーザは、現在の流量率とは異なった所望の流量率設定点を入力することができ、システムがその所望の流量率を達成するために調節される。
【0112】
制御はステップ2002からステップ2004に進み、このステップにおいて、流量率を達成するか、あるいはこれを設定点に維持するためにポンプ速度が調節される。ステップ2004から、制御はステップ2006に進み、ここで、故障状況がチェックされる。故障が検出された場合、制御はステップ2006からステップ2008に進み、ここで故障が適切に処理される。たとえば、臨界レベルを越えた圧力または流量率はポンプ(またはポンプポッド)を流量サーボモードからバックオフ応答モードにシフトすることができる。別の故障は別の応答をトリガーすることができ、そのような応答中のある応答は、流量サーボモードを一時的または無期限に中断することができる。
【0113】
故障が検出されなかった場合、制御はステップ2006からステップ2010に進み、ここにおいて、ユーザがポンプ速度を調節したか否かが決定される。ノーである場合、制御はステップ2004に戻る。イエスである場合、制御はステップ2010からステップ2012に進み、ここにおいて、ユーザが選択したポンプ速度が新しい流量率設定点として採択される。ステップ2012から、制御ステップ2004に戻る。
【0114】
例示的な形態において、ポンプ1864(たとえば、遠心ポンプまたはローラポンプであることができる)およびそれに関連するポッド1844はインテリジェント制御システムを使用して、血液または液体流量率を、たとえば、動脈または心臓麻痺回路等の医療液体流量装置内の固定された値または設定点に維持する。たとえばポンプポッド1844内に備えられているポンプソフトウェアは、流量センサ1860のような外部流量センサからのフィードバックをポッド1840を介して使用し、液体流量率を設定点に維持するためにポンプ速度を自動的に調節する。流量率センサ1860、流量ポッド1840、ポンプポッド1844およびポンプ1864は関連して動作し、自動制御システムを設定または形成する。流量ポッド1840は、高周波で流量センサ1860により測定された流量率をサンプリングし、サンプリングされたデータを濾波して雑音を除去する。濾波された流量サンプルは、流量ポッド1840からシステム10の適切な部分またはメカニズムを通ってポンプポッド1844に実時間で送られる。ポンプポッド1844は濾波された流量サンプルを使用して、流量率を設定点に維持するためにポンプ1864の速度を自動的に調節する。本発明の例示的な実施形態において、ポンプポッド1844は流量率を設定点に維持するために区分的線形制御システムを使用して必要なポンプ速度への調節を実時間で計算する。ユーザ/オペレータの介在は必要ない。
【0115】
本発明の例示的な形態において、流量サーボモードは、ポンプ1864が動作しているときに開始される。ポンプ速度は、正しい速度および流量率に達するまで調節される。この到達した時点で、ユーザは、ポンプポッド1846が現在の流量率を流量ポッド1840から獲得し、獲得された流量率を流量率設定点として使用するように、ポンプを現在の速度および流量率の構成に“ロックイン”することができる。ユーザは、ポンプ速度を変更することにより流量サーボモードに維持されたままで設定点を変更することができる。これは、ユーザが速度の調節を終了するまで流量サーボモードを一時的にディスエーブルし、ユーザによる速度調節が終了した時点で流量サーボモードが再びエネーブルされる。流量サーボモードは、新しいポンプ速度から得られた新しい流量率を新しい設定点として採用する。ユーザによるポンプ速度の手動調節はポンプポッドによりソフトウェアを介して検出されることができ、ポンプ速度の手動調節は、たとえば、ポンプの一部である手動速度制御を介して行われることができる。
【0116】
さらに改良された流量サーボモード制御システムにおいて、制御システムが流量を設定点に維持することができないとき、ユーザは警告される。さらに、ポンプ1864の動作パラメータはポンプ1864による予期しないおよび、または所望されないアクションを防止するように制限されている。たとえば、ポンプポッド1844内の制御ソフトウェアは、ポンプの最大加速度を制限する(すなわち、ポンプ速度の最大変化率を制限する)ことができ、最大ポンプ速度を制限することができ、流量データ完全性をチェックして、異常流量データを弁別して流量センサポッド1840からの無効流量データを弁別することができる。ポンプポッド1844が無効流量データを検出した場合には、ポンプポッド1844内の制御ソフトウェアが流量サーボモードから出て、ユーザにその状況を警告しながらポンプ1864の現在の速度を維持することができる。
【0117】
流量サーボモード内で、あるいはこのモードに合わせて動作するように付加的な安全条件もまた設定されることができる。たとえば、ポンプポッド1844は、過度の圧力または過度の流量率状況のいずれが検出されたときに、流量サーボモードからバックオフ応答モードに移動することができる。本発明の例示的な実施形態において、たとえば、圧力または流量率が許容可能なレベルで安定したとき等に、モードはバックオフ応答モードから流量サーボモードに戻ることができ、そのバックオフされた流量率が流量サーボモードの新しい設定点になる。ユーザは、動作があるモードから別のモードにシフトするたびに警告されることができ、また、あるモードが中断されたときに警告されることもできる。流量ポッド1840はまた、たとえば、逆流状況または低流流状況が検出されたときに警戒警報信号を送ること等により、それが特有の状況を検出したとき、あるアクションをとるように構成されることができる。ポンプポッド1844は、たとえば、ポンプ1864を停止または一時停止させること等により、このようなトリガーメッセージに適切に応答するように構成されることができる。
【0118】
本発明の例示的な形態においては、1以上の液体ポンプが圧力サーボモードで制御される。図21は、圧力サーボモードの例示的なプロセスを示している。ステップ2102において、ユーザは圧力設定点を設定する。制御はステップ2102からステップ2104に進み、ここで、圧力を設定点に維持するようにポンプ速度が調節される。制御はステップ2104からステップ2106に進み、ここで、故障状況がチェックされる。故障が検出された場合、制御はステップ2106からステップ2108に進み、ここで故障が適切に処理される。たとえば、臨界レベルを越えた圧力または流量は、ポンプを圧力サーボモードからバックオフ応答モードにシフトすることができる。別の故障は、別の応答をトリガーすることができ、このような応答のあるものは圧力サーボモードを一時的または無制限に中断することができる。
【0119】
故障が検出されなかった場合、制御はステップ2106からステップ2110に進み、このステップにおいて、ユーザがポンプ速度を調節したか否かが決定される。ノーならば、制御はステップ2104に戻る。イエスならば、制御はステップ2110からステップ2112に進み、このステップ2112において、ユーザが選択したポンプ速度における圧力が新しい圧力設定点として採用される。ステップ2112において、制御はステップ2104に戻る。
【0120】
圧力サーボモードの実施例において、ポンプ1864(たとえば、遠心ポンプまたはローラポンプであることができる)およびそれと関連したポッド1844はインテリジェント制御システムを使用して、液体圧力を、医療血液流量装置、すなわち、動脈または心臓麻痺回路内の固定された値または設定点に維持する。ポンプ1864およびポッド1844は圧力ポッド1842を介して外部圧力センサ1862からのフィードバックを使用して、液体圧力を設定点に維持するようにポンプ1864の速度を自動的に調節する。換言すると、ポンプ1864、ポッド1844、圧力センサ1862および圧力ポッド1842は関連して動作し、圧力サーボモードの自動制御システムを設定する。圧力ポッド1842は、高周波で圧力センサ1862からの圧力信号をサンプリングし、そのデータを濾波して雑音を除去する。とくに、ポンプ1864がローラポンプであるとき、ローラポンプの機械的動作が大きい圧力スパイクを圧力データ中に導入するので、これは重要なはずである。データがローラポンプを制御するためにフィードバック信号として使用される場合、これらのスパイクは除去されなければならない。濾波された圧力サンプルは、圧力ポッド1842から潅流システム10を通ってポンプポッド1844に実時間で送られる。ポンプポッド1844は濾波された圧力サンプルを使用して、圧力を設定点に維持するためにポンプ1864の速度を自動的に調節する。ポンプ1864がローラポンプである場合には、ポンプポッド1844は、それが制御パラメータを正しく調節して種々の管機構に対して適当なポンプ応答を行うことができるように、ポンプ内の管のサイズもまた考慮する。たとえば、ポンプポッド1844は、管サイズの異なるローラポンプを含む、構成の異なる種々の異なったポンプにより動作するように構成されることが可能であり、また、ポッドが接続されている特定のローラポンプ内の管サイズの知識は、そのポッドがポンプを正しく制御することを可能にするように関連付けられる。本発明の例示的な実施形態によると、ポンプポッド1844内の制御ソフトウェアは、圧力を設定点に維持するために区分的線形制御システムを使用してポンプ速度への調節を実時間で計算する。ユーザ/オペレータの介在は必要ない。
【0121】
本発明の例示的な実施形態において、圧力サーボモードは、ポンプ1864が動作しているときに開始される。ポンプ速度は、正しい速度および流量率に達するまで調節される。この時点で、ユーザはポンプを現在の速度および流量率構成に“ロックイン”することができ、したがってポンプポッド1846は現在の圧力を圧力ポッド1842から獲得し、獲得された圧力を圧力設定点として使用する。ユーザは、ポンプ速度を変更することにより圧力サーボモードのままで設定点を変更することができる。これは、ユーザが速度の調節を終了するまで圧力サーボモードを一時的にディスエーブルし、ユーザによる速度調節が終了した時点で圧力サーボモードが再びエネーブルされ、新しいポンプ速度から得られた新しい圧力が新しい設定点として採用される。ユーザによるポンプ速度の手動調節はポンプポッドによりソフトウェアを介して検出されることができ、ポンプ速度の手動調節は、たとえば、ポンプの一部である手動速度制御を介して行われることができる。
【0122】
さらに改良された圧力サーボモード制御システムにおいて、制御システムが圧力を設定点に維持することができないとき、ユーザは警告される。さらに、ポンプ1864の動作パラメータはポンプ1864による予期しないおよび、または所望されないアクションを防止するように制限されている。たとえば、ポンプポッド1844内の制御ソフトウェアは、ポンプの最大加速度を制限する(すなわち、ポンプ速度の最大変化率を制限する)ことができ、最大ポンプ速度を制限することができ、圧力データ完全性をチェックして、異常圧力データを弁別して圧力センサポッド1842からの無効圧力データを弁別することができる。ポンプポッド1844が無効圧力データを検出した場合には、ポンプポッド1844内の制御ソフトウェアが圧力サーボモードから出て、ユーザにその状況を警告しながらポンプ1864の現在の速度を維持することができる。
【0123】
圧力サーボモード内で、あるいはこのモードに合わせて動作するように付加的な安全条件もまた設定されることができる。たとえば、ポンプポッド1844は、過度の圧力または過度の圧力状況のいずれが検出されたときに、圧力サーボモードからバックオフ応答モードに移動することができる。本発明の例示的な実施形態において、モードはバックオフ応答モードから圧力サーボモードに戻ることができ、そのバックオフされた流量率が圧力サーボモードの新しい設定点になる。ユーザは、動作があるモードから別のモードにシフトするたびに警告されることができ、また、あるモードが中断されたときに警告されることもできる。圧力ポッド1842はまた、たとえば、過度に低いまたは高い圧力が検出されたときに警告信号を送ること等により、それが特有の状況を検出したとき、あるアクションをとるように配列または構成されることができる。ポンプポッド1844は、たとえば、ポンプ1864を停止または一時停止させること等により、このようなトリガーメッセージに適切に応答するように構成されることができる。
【0124】
本発明の例示的な実施形態において、2以上の液体ポンプがマスター・スレーブモードで制御される。このモードにおいては、1以上のポンプは別のポンプの動作にスレーブされる。ポンプは、たとえば、遠心ポンプまたはローラポンプであることができる。マスター・スレーブサーボモードの実施例において、ポンプ1864、1866は共にローラポンプであり、薬剤を患者に投与するためにその薬剤を患者の血液と混合するように使用される。この例においては、ポンプ1864はマスターポンプであり、ポンプ1866はスレーブポンプである。マスターポンプはそのポンプ速度をスレーブポンプに送り、スレーブポンプはマスターポンプからのポンプ速度を、固定された割合のマスターポンプ速度であるスレーブポンプ速度を維持するための制御信号として使用する。この割合は、1より小さい分数であることができ、あるいは1より大きい分数であることができる。マスターポンプは全てのトリガー状況に応答し、それはまた流量サーボモードまたは圧力サーボモードで動作することができる。スレーブポンプは、それがマスター・スレーブサーボモードであるとき、マスターポンプがどのモードであるかにかかわらずマスターポンプの動作を固定された割合または率でエミュレートする。本発明の例示的な実施形態において、たとえば、スレーブポンプがマスターポンプに遅れずについていく(keep up with)ことができなかった場合等、スレーブポンプがポンプ速度を要求されたレベルに維持するか、あるいはこのレベルのポンプ速度を実現することができなかった場合、スレーブポンプはユーザにこの状況について警告する。
【0125】
本発明の例示的な実施形態において、各ポンプは小さい表示スクリーンおよび内部ポッドを備えており、流量率および、またはポンプを通過した液体の累積量を表示することができる。マスターポンプはまた、スレーブポンプとマスターポンプの組合せられた流量および、または累積量を表示するように主制御装置20により構成されることができる。たとえば、ポンプポッド内のソフトウェアは、既知の管のサイズまたはポンプの容量、ポンプの速度および経過時間に基づいてこれらの値を決定することができる。ポッドは、たとえば、最初の構成期間中等に、管のサイズまたは容量情報を主制御装置20から受取ることができる。
【0126】
マスター・スレーブサーボモードは、2つの標準的なポンプが伝統的なダブルヘッドポンプまたは二重フィードを備えたポンプ(特殊な管セットを必要とする)に置換することを可能にし、また、種々の方法で容易に迅速に構成されることができる。
【0127】
当業者は、バックオフ応答モード、流量サーボモード、圧力サーボモード、およびマスター・スレーブサーボモードが別々に、独立的におよび、または種々の同時的または相補的組合せで使用されることが可能であることを認識するであろう。ポンプポッドがポンプの速度を特定の値または設定点に制御する特定のメカニズムは、比例積分(PI)または比例積分微分(PID)制御のような通常のフィードバック制御を含むことができる。
【0128】
上述の説明から本発明の多数の付加的な修正および別の実施形態が当業者に明らかになるため、上記の説明は単なる例示に過ぎないと解釈されるべきであり、また、本発明を実施する最良のモードを当業者に教示することを目的とする。構造の詳細は、本発明の技術的範囲を逸脱することなく、実質的に変更されてもよく、添付された請求の範囲の適応範囲内に入る全ての修正の排他的使用はその権利が確保されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプの制御方法において、
血液の流量率設定点がユーザにより設定され、
血液の流量率を測定し、
測定された血液流量率を血液流量率設定点の値に維持するためにサーボモードにおいて血液ポンプを制御して血液ポンプの速度を自動的に調節し、
ユーザにより血液ポンプ速度が調節されたことを検出し、
ユーザにより血液ポンプ速度が調節されたことが検出されたとき、それに応答してサーボモードにおいてユーザにより調節された血液ポンプ速度における血液流量率を血液率設定点として採択して血液ポンプの制御を継続し、
過度の血液流量率の検出により警報状態を検出し、
警報状態が検出されるとバックオフ応答モードで血液ポンプを制御し、バックオフ応答モードにおいては警報状態が検出されなくなるまで予め定められた量だけ血液ポンプの速度を周期的にデクリメントし、
警報状態が検出されなくなったときサーボモードに復帰する血液ポンプの制御方法。
【請求項2】
血液流量率設定点は、所望の血液流量率が得られるまで血液ポンプの速度を調節し、その後現在の血液ポンプ速度に対応した血液流量率を新しい血液流量率設定点として採択することにより設定される請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
血液ポンプはマスター血液ポンプであり、スレーブ血液ポンプはマスター血液ポンプの性能に基づいて制御され、
マスター血液ポンプの速度の表示を受取り、
スレーブ血液ポンプの速度をマスター血液ポンプの速度の指定された割合に維持するためにその受取られた表示に基づいてスレーブ血液ポンプの速度を制御するステップを含んでいる請求項1記載の制御方法。
【請求項4】
血液ポンプの制御方法において、
血液圧力設定点がユーザにより設定され、
血液圧力を測定し、
測定された血液圧力を血液圧力設定点に維持するためにサーボモードにおいて血液ポンプを制御して血液ポンプの速度を自動的に調節し、
ユーザにより血液ポンプ速度が調節されたことを検出し、
ユーザにより血液ポンプ速度が調節されたことが検出されたとき、それに応答してサーボモードにおいてユーザにより調節された血液ポンプ速度における血液圧力を血液圧力設定点として採択して血液ポンプの制御を継続し、
過度の血液圧力の検出により警報状態を検出し、
警報状態が検出されるとバックオフ応答モードで血液ポンプを制御し、バックオフ応答モードにおいては警報状態が検出されなくなるまで予め定められた量だけ血液ポンプの速度を周期的にデクリメントし、
警報状態が検出されなくなったときサーボモードに復帰する血液ポンプの制御方法。
【請求項5】
血液圧力設定点は、所望の血液圧力が得られるまで血液ポンプの速度を調節し、その後現在の血液ポンプ速度に対応した血液圧力を新しい血液圧力設定点として採択することにより設定される請求項4記載の制御方法。
【請求項6】
血液ポンプはマスター血液ポンプであり、スレーブ血液ポンプはマスター血液ポンプの性能に基づいて制御され、
マスター血液ポンプの速度の表示を受取り、
スレーブ血液ポンプの速度をマスター血液ポンプの速度の指定された割合に維持するためにその受取られた表示に基づいてスレーブ血液ポンプの速度を制御するステップを含んでいる請求項4記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−136187(P2011−136187A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34525(P2011−34525)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【分割の表示】特願2003−571598(P2003−571598)の分割
【原出願日】平成15年2月4日(2003.2.4)
【出願人】(500204326)テルモ カーディオバスキュラー システムズ コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】