説明

液体供給装置及び液体噴射装置

【課題】脱泡室と減圧室とを隔てる隔壁の強度を確保しつつ、脱泡室内に滞留した気泡を効率よく減圧室へ脱泡することが可能な液体供給装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体供給装置は、インクカートリッジ側から記録ヘッド側に向けてインクを供給する液体供給路と、該液体供給路の途中に設けられるとともにインク中に含まれる気泡を脱泡するべく滞留させるための脱泡室35と、該脱泡室35と隔壁31を隔てて上側に隣り合う位置に設けられるとともに脱泡室35の圧力よりも低圧となるように減圧される減圧室39とを備える。隔壁31は減圧室39の減圧により気体の透過を許容するとともに液体の透過を規制するように構成されている。減圧室39は上下方向において脱泡室35と部分的に重なっており、隔壁31において、脱泡室35と減圧室39とで挟まれた部分である区画部40は該区画部40以外の部分よりも厚さが薄くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等の液体噴射装置及び該液体噴射装置に備
えられる液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)のノズルからターゲットにインク(液体)を噴射する液体噴射装置として、例えば、インクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)が広く知られている。このようなプリンタでは、記録ヘッドから噴射されるインク中に気泡が発生すると、ドット抜けなどの印刷不良を招くことがある。そのため、従来、こうした印刷不良を抑制するべくインク中に溶存した気体を脱気(除去)することが可能なプリンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1のプリンタでは、印字ヘッド(液体供給装置)の共通液室(脱泡室)を形成する側壁の一部が気体透過性膜(隔壁)で構成され、該共通液室に対して気体透過性膜を隔てた反対側にはポンプを用いて減圧されるチャンバ(減圧室)が設けられている。そして、ポンプによってチャンバ内を減圧すると、共通液室内とチャンバ内との間に圧力差が生じるため、該圧力差により共通液室内のインク中に溶存した気体が気体透過性膜を透過してチャンバ内へ脱気されるようになっている。
【特許文献1】特開2006−95878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、共通液室内のインク中に発生した気泡の脱気効率は、気体透過性膜の厚さが薄いほど高くなる。この点、特許文献1のプリンタでは、気体透過性膜の厚さが全体にわたって一様に薄くなっているため、共通液室内のインク中に溶存した気体の脱気効率は向上できるものの、気体透過性膜の強度が確保されなくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、脱泡室と減圧室とを隔てる隔壁の強度を確保しつつ、脱泡室内に滞留した気泡を効率よく減圧室へ脱泡することが可能な液体供給装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体供給装置は、液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給路と、該液体供給路の途中に設けられるとともに前記液体中に含まれる気泡を脱泡可能な脱泡室と、該脱泡室と区画部を隔てて隣り合う位置に設けられるとともに前記脱泡室の圧力よりも低圧となるように減圧される減圧室とを備え、前記区画部が前記減圧室の減圧により気体の透過を許容するとともに液体の透過を規制するように構成された液体供給装置であって、前記区画部は、剛性を有する隔壁により構成されている。
【0007】
この構成によれば、例えば剛性のない膜ではなく、剛性を有する隔壁により区画部を構成しているため、該区画部の取り付け作業が容易にできる。
本発明の液体供給装置において、前記隔壁は、前記区画部を構成する部分が該部分以外の部分よりも厚さが薄くなっている。
【0008】
この構成によれば、隔壁は、区画部が該区画部以外の部分よりも気体透過性が高くなる一方、区画部以外の部分は区画部よりも剛性が高くなる。したがって、脱泡室と減圧室とを隔てる隔壁の強度を区画部以外の部分で確保しつつ、脱泡室内に滞留した気泡を区画部から効率よく減圧室へ脱泡することが可能となる。
【0009】
本発明の液体供給装置において、前記減圧室と前記脱泡室は、前記区画部を隔てて隣り合う部位同士が、鉛直方向において前記減圧室側の部位の方が前記脱泡室側の部位よりも上となるように配置されている。
【0010】
この構成によれば、脱泡室内において鉛直方向上方に滞留する気泡を、鉛直方向の上方に位置する前記脱泡室の部位へ区画部を介して効率よく脱泡することができる。
本発明の液体供給装置は、液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給路と、該液体供給路の途中に設けられるとともに前記液体中に含まれる気泡を脱泡するべく滞留させるための脱泡室と、該脱泡室と隔壁を隔てて隣り合う位置に設けられるとともに前記脱泡室の圧力よりも低圧となるように減圧される減圧室とを備え、前記隔壁が前記減圧室の減圧により気体の透過を許容するとともに液体の透過を規制するように構成された液体供給装置であって、前記減圧室と前記脱泡室とは上下方向において一方が他方に対して部分的に重なっており、前記隔壁において、前記脱
泡室と前記減圧室とで挟まれた部分である区画部は該区画部以外の部分よりも厚さが薄くなっている。
【0011】
この構成によれば、隔壁は、区画部が該区画部以外の部分よりも気体透過性が高くなる一方、区画部以外の部分は区画部よりも剛性が高くなる。したがって、脱泡室と減圧室とを隔てる隔壁の強度を区画部以外の部分で確保しつつ、脱泡室内に滞留した気泡を区画部から効率よく減圧室へ脱泡することが可能となる。
【0012】
本発明の液体供給装置において、前記区画部は、前記減圧室、及び前記脱泡室から下流側へ前記液体を流出させるための流出口と上下方向において重なるように配置されている。
【0013】
通常、脱泡室内の液体中に浮遊する気泡は、該液体の流れに乗って移動するので、流出口付近に滞留し易い。この点、この構成によれば、区画部が減圧室及び流出口と上下方向において重なるように配置されているため、脱泡室内に滞留した気泡を効果的に減圧室へ脱泡することが可能となる。
【0014】
本発明の液体供給装置において、前記区画部における前記脱泡室に面する面積は、前記脱泡室に形成された前記流出口の開口面積よりも大きい。
脱泡室を通過する液体の流量は、流出口の開口の大きさに比例して該開口が小さいほど少なくなる。一方、脱泡室から脱泡される気体の量は、区画部の面積に比例して該面積が大きいほど多くなる。この構成によれば、区画部の面積を流出口の開口の面積よりも大きくすることにより、脱泡室を通過する液体から効率よく脱泡を行うことが可能となる。
【0015】
本発明の液体供給装置において、前記隔壁は、剛性を有する板材によって構成されている。
この構成によれば、隔壁の強度を確実に確保することが可能となる。
【0016】
本発明の液体供給装置において、前記脱泡室は複数並設され、該各脱泡室同士を区画する区画壁は少なくとも一部が前記減圧室の減圧により気体の透過を許容するように構成されている。
【0017】
この構成によれば、脱泡室と減圧室との圧力差により各脱泡室内に滞留した気泡が区画壁を透過して各脱泡室同士で自由に移動可能となるため、先に脱泡が完了した脱泡室に未だ脱泡が完了していない脱泡室の気泡が移動し、先に脱泡が完了した脱泡室の隔壁を透過して減圧室へ脱泡されるようになる。このため、各脱泡室同士で気泡の脱泡を補い合うようになり、各脱泡室内に滞留した気泡を効率よく減圧室へ脱泡することが可能となる。
【0018】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドへ前記液体を供給する上記構成の液体供給装置とを備えた。
この構成によれば、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0020】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ11は平面視矩形状をなす本体フレーム12を備えており、該本体フレーム12内にはプラテン13が主走査方向となる左右方向に沿って延設されている。プラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録用紙(図示略)が副走査方向となる前後方向に沿って給送されるようになっている。また、本体フレーム12内におけるプラテン13の上方には、該プラテン13の長手方向(左右方向)と平行に延びる棒状のガイド軸14が架設されている。
【0021】
このガイド軸14には、キャリッジ15が該ガイド軸14に沿って往復移動可能な状態で支持されている。キャリッジ15は、本体フレーム12の後壁内面に設けられた一対のプーリ16a間に掛装された無端状のタイミングベルト16を介して本体フレーム12の背面に設けられたキャリッジモータ17に連結されている。したがって、キャリッジ15は、キャリッジモータ17の駆動により、ガイド軸14に沿って往復移動されるようになっている。
【0022】
図1に示すように、キャリッジ15におけるプラテン13と対向する下端側には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド18が支持されている。また、キャリッジ15には、一時貯留した液体としてのインクを下流側(記録ヘッド18側)に供給するバルブユニット19と、該バルブユニット19から供給されるインク中に含まれる気泡を脱泡するとともに該脱泡したインクを記録ヘッド18へ供給する平面視長方形状をなす脱泡ユニット20とが搭載されている。
【0023】
記録ヘッド18の下面には図示しない複数のノズルが開口しており、該記録ヘッド18内に設けられた図示しない圧電素子を駆動することにより、該各ノズルの開口からプラテン13上に給送された記録用紙(図示略)にそれぞれインク滴が噴射されることで印刷が行われるようになっている。
【0024】
本体フレーム12内の右端部にはカートリッジホルダ21が設けられており、該カートリッジホルダ21には互いに種類(色)の異なるインクを収容した複数(本実施形態では6つ)のインクカートリッジ22がそれぞれ着脱自在に装着されている。そして、このインクカートリッジ22は液体供給源として上流側に位置している。カートリッジホルダ21は、キャリッジ15に搭載されたバルブユニット19と複数(本実施形態では6本)のインク供給チューブ24を介して接続されている。
【0025】
そして、カートリッジホルダ21に各インクカートリッジ22を装着した状態では、各インクカートリッジ22が各インク供給チューブ24を介してバルブユニット19とそれぞれ連通するようになっている。なお、バルブユニット19は、各インクカートリッジ22から各インク供給チューブ24を介してそれぞれ供給されるインクを個別に一時貯留するようになっており、個別に一時貯留した各インクはそれぞれ流路25を介して脱泡ユニット20に供給されるようになっている。
【0026】
また、図1に示すように、本体フレーム12内における右端部寄りの位置であって、キャリッジ15のホームポジション領域には、記録ヘッド18のクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット26が設けられている。このメンテナンスユニット26は、記録ヘッド18の各ノズル(図示略)の開口を囲うように該記録ヘッド18に当接したり該各ノズルの開口からフラッシングによって吐出されるインクを受容したりするためのキャップ27と、該キャップ27内を吸引可能な吸引ポンプ(図示略)とを備えている。
【0027】
そして、記録ヘッド18の各ノズル(図示略)の開口を囲うように該記録ヘッド18にキャップ27を当接した状態で該キャップ27内を吸引ポンプ(図示略)によって吸引することで、各ノズル(図示略)の開口から増粘したインクや気泡などをキャップ27内に強制的に排出させる、いわゆるクリーニングが行われるようになっている。
【0028】
次に、脱泡ユニット20の構成について詳述する。
図2に示すように、脱泡ユニット20は、平板状の脱泡室形成部材30と、該脱泡室形成部材30の上面に積重された平板状の隔壁31と、該隔壁31の上面に積重された平板状の減圧室形成部材32とを備えている。脱泡室形成部材30、隔壁31、及び減圧室形成部材32は、剛性を有する合成樹脂製の板材によって構成されている。隔壁31は、脱泡室形成部材30や減圧室形成部材32と材質が異なっている。そして、脱泡室形成部材30及び減圧室形成部材32を構成する合成樹脂は、その外部の気体(空気)が該合成樹脂を透過して、内部のインク内に気泡を形成させないように、隔壁31を構成する合成樹
脂よりも気体透過性が低くなっている。
【0029】
図3に示すように、脱泡室形成部材30の上面には、左右に長い平面視矩形状をなす複数(本実施形態では6つ)の脱泡凹部33が並設されている。各脱泡凹部33は、前後方向に3列となるとともに左右方向に2列となるように、かつ前後方向及び左右方向において等間隔で配設されている。すなわち、6つの脱泡凹部33は、脱泡室形成部材30の左右方向における中央を境に3つずつ左右対称となるように配設されている。
【0030】
また、脱泡室形成部材30の上面において、脱泡室形成部材30の左右方向における中央部よりも右側に配置された3つの脱泡凹部33の右側及び脱泡室形成部材30の左右方向における中央部よりも左側に配置された3つの脱泡凹部33の左側には、平面視で左右方向に長い矩形状をなす連絡凹部34が各脱泡凹部33と対応するようにそれぞれ設けられている。
【0031】
各連絡凹部34は、前後方向における幅が脱泡凹部33の前後方向における幅の3分の1程度になっているとともに、深さが脱泡凹部33よりも浅くなっている。そして、6つの連絡凹部34は、それぞれ6つの脱泡凹部33と連通している。また、各脱泡凹部33と隔壁31とで囲まれて形成された6つの空間は、各インク中に含まれる気泡をそれぞれ脱泡するべく滞留させるための脱泡室35とされている。
【0032】
図2〜図4に示すように、各脱泡凹部33の底面において、脱泡室形成部材30の左右方向における中央部側の端部であって前後方向の中央部には、脱泡室35内のインクを該インクが消費される下流側に位置する記録ヘッド18側へ流出させるための流出口36が開口している。また、各脱泡凹部33の底面は、流出口36へ向かって下降傾斜している。そして、各脱泡凹部33の底面は、全体が水平板状のフィルタ37によって上側から覆われている。
【0033】
減圧室形成部材32の下面における中央部には前後方向に長い平面視矩形状をなす減圧凹部38が形成されており、該減圧凹部38と隔壁31とで囲まれて形成された空間は減圧室39とされている。減圧室39は、内部の圧力が図示しない減圧ポンプによって各脱泡室35の圧力よりも低圧となるように減圧されるようになっている。そして、減圧室39は、図3に示すように、平面視において各脱泡室35の流出口36側のほぼ半分と部分的に重なっている。すなわち、減圧室39は、平面視(上下方向)において各脱泡室35の流出口36と重なっている。この場合、各流出口36の上側に各脱泡室35が位置しているとともに各脱泡室35の上側に減圧室39が位置している。
【0034】
なお、隔壁31は、減圧室39が減圧された際に気体を透過可能な材料、例えばPOM(ポリアセタール)、PP(ポリプロピレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)等によって成型されている。
【0035】
そして、隔壁31における減圧室39と各脱泡室35とで挟まれた部分は区画部40とされており、減圧室39は該区画部40を隔てて各脱泡室35と上側に隣り合う位置に配置されている。すなわち、隔壁31における減圧室39と各脱泡室35とで挟まれた部分の下面にはそれぞれ気泡集積部及び凹部としての隔壁凹部41が形成されているため、隔壁31において区画部40は区画部以外の部分よりも上下方向の厚さが薄くなっている。そのため、区画部40は、区画部40以外の厚みを有する部分に比べて気体の透過性を高めることができる。
【0036】
ここで、区画部40の厚さは後述する減圧により脱泡室35内の気泡が透過する程度の厚さに設定されており、隔壁31における区画部40以外の部分の厚さは減圧によっても脱泡室35外から脱泡室35内に空気がほとんど透過しない程度の厚さに設定されている。なお、各隔壁凹部41は、減圧室39及び各流出口36と上下方向(鉛直方向)において重なっている。
【0037】
また、本実施形態においては、実験の結果により、この区画部40の面積を約1cm、厚さを約1mmとすると、透過効率が好適であることがわかった。さらに、材料においても空気透過係数が5cc・mm/m・day・atm以上であり、透湿係数が30g・mm/m・day・atm以下が好適であり、これを満たすものであれば上記以外の材料により隔壁31を構成することが可能である。
【0038】
また、脱泡室形成部材30の左右方向における中央部よりも右側に配置された3つの脱泡凹部33と対応する各隔壁凹部41の右側面41aは、左斜め上方に向かって延びる斜面部になっている。一方、脱泡室形成部材30の左右方向における中央部よりも左側に配置された3つの脱泡凹部33と対応する各隔壁凹部41の左側面41bは、右斜め上方に向かって延びる斜面部になっている。したがって、各脱泡室35内の気泡は、各隔壁凹部41の右側面41a及び左側面41bに沿うように区画部40へ向かって移動可能になっている。
【0039】
また、区画部40は、脱泡室形成部材30における各脱泡室35と大気とを隔絶する壁部30aよりも厚さが薄くなっており、フィルタ37よりも上側における各脱泡室35同士を区画する脱泡室形成部材30の区画壁42及び隔壁31の区画壁43は区画部40と同程度の厚さになっている。この場合、両区画壁42,43は上下方向において互いに一致しており、両区画壁42,43の厚さは後述する減圧により各脱泡室35内の気泡が透過して各脱泡室35間で移動できる程度の厚さに設定されている。なお、各隔壁凹部41の底面、すなわち区画部40における脱泡室35側の壁面40aは、インクをはじく撥液剤によってコーティングされている。すなわち、壁面40aは、撥液性を有している。そして、壁面40aの面積は、脱泡室35に形成された流出口36の開口面積よりも大きくなっている。
【0040】
図2に示すように、隔壁31における脱泡室形成部材30の各連絡凹部34と対応する位置には該隔壁31を上下に貫通する第1貫通路31aがそれぞれ形成されており、減圧室形成部材32における各第1貫通路31aと対応する位置には該減圧室形成部材32を上下に貫通する第2貫通路32aがそれぞれ形成されている。各第2貫通路32aの上端には、バルブユニット19(図1参照)から延びる各流路25の下流端がそれぞれ接続されている。
【0041】
また、各第2貫通路32aの下端は各第1貫通路31aの上端とそれぞれ接続されているとともに、各第1貫通路31aの下端は各連絡凹部34とそれぞれ接続されている。したがって、各流路25は、各第2貫通路32a及び各第1貫通路31aを介して各連絡凹部34とそれぞれ連通している。
【0042】
なお、本実施形態では、各インク供給チューブ24、バルブユニット19、各流路25、各第2貫通路32a、各第1貫通路31a、各連絡凹部34、各脱泡室35、及び各流出口36により液体供給路が構成され、各インク供給チューブ24、バルブユニット19、各流路25、及び脱泡ユニット20により液体供給装置が構成されている。
【0043】
次に、脱泡ユニット20の作用について説明する。
さて、各流路25から脱泡ユニット20に各インクがそれぞれ供給されると、該各インクは、各第2貫通路32a、各第1貫通路31a、及び各連絡凹部34を介してそれぞれ各脱泡室35に供給される。各脱泡室35にそれぞれ供給された各インクは、各フィルタ37によりそれぞれ不純物等が除かれた後、各流出口36から記録ヘッド18へ供給される。
【0044】
このとき、各脱泡室35に供給された各インク中には気泡が含まれていることがあるが、区画部40における脱泡室35側の壁面40aはインクをはじく撥液性を有しているため、該壁面40a付近に気泡が集まり易くなる。さらに、脱泡室35において、各インクは各連絡凹部34側から水平方向において反対側となる各流出口36側へ向かって流れるため、該各インク中に浮遊する気泡は各流出口36側に滞留し易くなる。加えて、隔壁31において、区画部40は区画部以外の部分よりも上下方向の厚さが薄くなっているとともに、各脱泡室35の上面には上方(区画部40側)に向かう斜面状の右側面41aまたは左側面41bが形成されている。このため、各連絡凹部34側から各流出口36側へインクが流れる際に、インク中に浮遊する気泡は右側面41aまたは左側面41bに沿って上方(区画部40側)へ移動するので、壁面40a付近に気泡が集まる。
【0045】
このようにして各脱泡室35内のインク中に浮遊する気泡は各隔壁凹部41に集積させられる。そして、この各隔壁凹部41の上側に減圧室39が配置されているため、減圧室39の圧力を減圧ポンプ(図示略)により各脱泡室35の圧力よりも低圧となるように減圧(本実施形態では減圧室39の圧力が−30kPa程度まで減圧される)すると、各隔壁凹部41に集積させられた気泡が、減圧室39と各脱泡室35との圧力差により、区画部40を透過して減圧室39へ効率よく脱泡される。この場合、気泡を各隔壁凹部41に集積してから減圧室39を減圧するという順番でなくてもよく、例えば減圧室39を減圧してから気泡を各隔壁凹部41に集積するという順番であってもよい。
【0046】
ここで、気泡は、インクカートリッジ22の交換時に大気が侵入したり、インクジェット式プリンタ11の不使用時の温度変化でインクカートリッジ22から脱泡室35までの間でインクに溶存している気体が成長したりした場合などに発生する。こうした気泡の発生の頻度は予測できないので、インクジェット式プリンタ11の使用時は常に減圧室39を減圧した状態にしておいて、発生した気泡を各脱泡室35で集積して減圧室39へ脱泡するようにしてもよい。
【0047】
また、減圧室39を減圧するための減圧ポンプ(図示略)は常に駆動していなくてもよく、減圧室39と減圧ポンプとの間にバルブ(図示略)を配置し、減圧室39を減圧してからバルブを閉じた後に、減圧ポンプの駆動を停止してもよい。このようにすれば、減圧ポンプを常に駆動していなくても、減圧室39を長時間減圧状態に維持することができる。
【0048】
さらに、各脱泡室35同士を区画する両区画壁42,43は減圧室39の減圧により気体の透過を許容するため、各脱泡室35内に滞留した気泡が両区画壁42,43を透過して各脱泡室35同士で自由に移動可能となる。このため、各脱泡室35のうち、先に脱泡が完了した脱泡室35に未だ脱泡が完了していない脱泡室35の気泡が両区画壁42,43を透過して移動するようになる。つまり、各脱泡室35の気泡は、区画部40を介して減圧室39の減圧の作用を受けるだけでなく、両区画壁42,43を介しても減圧室39の減圧の作用を間接的に受けることとなる。この結果、各脱泡室35同士で気泡の脱泡を補い合うようになり、各脱泡室35内に滞留した気泡が効率よく減圧室39へ脱泡される。
【0049】
ここで、例えば、区画部40を薄い気体透過性膜によって構成した場合には、該気体透過性膜の強度や他の流路の強度が耐久的に不足して減圧室39と各脱泡室35との圧力差を維持できないおそれがある。特に、各脱泡室35内の各インク中に溶存している気泡を除去する脱気を行う場合には、減圧室39の圧力が−80kPa程度から真空近くまで減圧されるため、このときの減圧室39と各脱泡室35との圧力差により気体透過性膜が破れたり、流路が破損したりしてしまうおそれがある。また、脱泡室35を形成する脱泡室形成部材30を全く気体が透過しない材質にしないと、減圧室39の減圧により脱泡室35の外部から空気(大気)を取りこんでしまうので、効率的かつ確実な脱泡ができなくなってしまう。
【0050】
加えて、気体透過性膜は減圧室39を減圧すると減圧室39側に撓むとともに減圧室39の減圧状態を解消すると復元するため、このときの気体透過性膜の変位動作により記録ヘッド18の各ノズルから不必要に各インクが吐出されるおそれがある。さらに、気体透過性膜は、インクジェット式プリンタ11の印刷時における圧電素子の駆動に伴う記録ヘッド18の各ノズルからのインクの噴射作用を吸収することがあるため、インクの噴射制御が困難になってしまうおそれがある。またさらに、区画部40を気体透過性膜によって構成すると、隔壁31への気体透過性膜の取り付け作業が困難になってしまう。
【0051】
この点、本実施形態では区画部40(隔壁31)が剛性を有しているため、区画部40の強度が十分に確保され、減圧室39と各脱泡室35との圧力差を確実に維持することができる。もちろん、区画部40は、剛性を有しているため、各脱泡室35内の各インクの脱気を行う場合でも、減圧室39と各脱泡室35との圧力差に充分耐えることができる。
【0052】
また、本実施形態では、区画部40は、剛性を有しているため、減圧室39の圧力変化に伴って変位動作したりインクジェット式プリンタ11の印刷時における圧電素子の駆動に伴う記録ヘッド18の各ノズルからのインクの噴射作用を吸収したりすることがない。このため、記録ヘッド18の各ノズルから不必要に各インクが吐出されたりインクの噴射制御が困難になったりすることがない。さらに、本実施形態の区画部40は、剛性を有する合成樹脂よりなる隔壁31の一部を構成しているため、隔壁31の成型に伴って容易に一体成型される。したがって、隔壁31への区画部40の取り付け作業が不要となる。
【0053】
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)区画部40における脱泡室35側の壁面40aはインクをはじく撥液性を有する撥液剤によってコーティングされているため、脱泡室35内のインク中に浮遊するような気泡がある場合にはその気泡を区画部40側(減圧室39側)に集まり易くすることができる。このため、脱泡室35と減圧室39との圧力差により脱泡室35に滞留した気泡が区画部40を透過して減圧室39へ脱泡され易くなるので、脱泡室35内に滞留した気泡を効率よく減圧室39へ脱泡することができる。また、本実施形態では、右側面41a及び左側面41b(斜面部)や、流出口36と減圧室39との位置関係を合わせた技術としたが、撥液剤のコーティングだけでも効果がある。また、斜面ではない水平な平面において、その一部を撥液剤でコーティングすることで、そのコーティングした部分だけに気泡を集まり易くさせることも可能である。
【0054】
(2)通常、脱泡室35内のインク中に浮遊する気泡は、インクの流れに乗って連絡凹部34側から流出口36側に向かって流れるため、流出口36付近に滞留し易い。この点、本実施形態では、減圧室39が各流出口36と上下方向において重なるように配置されている、すなわち減圧室39が各流出口36と上下に対応しているため、脱泡室35内に滞留した気泡を効果的に減圧室39へ脱泡することができる。
【0055】
(3)隔壁31は、区画部40が該区画部40以外の部分よりも厚さが薄くなっているため、区画部40が該区画部40以外の部分よりも気体透過性が高くなる一方、区画部40以外の部分は区画部40よりも剛性が高くなる。したがって、脱泡室35と減圧室39とを隔てる隔壁31の強度を区画部40以外の部分で確保しつつ、脱泡室35内に滞留した気泡を区画部40から効率よく減圧室39へ脱泡することができる。ここで、区画部40の厚みは減圧室39の減圧により脱泡室35内の気泡が区画部40を透過して減圧室39に移動できるような厚みになっているとともに、隔壁31における区画部40以外の部分の厚みは減圧室39が減圧されても脱泡室35内に空気(大気)が外部から透過しないような厚みになっているので、脱泡室35内に新たに気泡を取り込むことなく脱泡室35内の気泡を確実に減圧室39へ脱泡することができる。
【0056】
(4)脱泡ユニット20は、6つの脱泡室35が水平方向に並設され、該各脱泡室35同士を区画する区画壁42,43が減圧室39の減圧により気体の透過を許容するように構成されている。このため、各脱泡室35内に滞留した気泡が区画壁42,43を透過して各脱泡室35同士間で自由に移動可能となる。したがって、各脱泡室35の気泡を減圧室39へ脱泡する際に、各脱泡室35のうち先に脱泡が完了した脱泡室35に未だ脱泡が完了していない脱泡室35の気泡が移動し、先に脱泡が完了した脱泡室35と対応する区画部40を透過して減圧室39へ脱泡されるようになる。この結果、各脱泡室35同士で気泡の脱泡を補い合うようになり、各脱泡室35内に滞留した気泡を効率よく減圧室39へ脱泡することができる。すなわち、各脱泡室35のうち先に脱泡が完了した脱泡室35に対して未だ脱泡が完了していない脱泡室35の気泡を間接的に脱泡させることができる。
【0057】
(5)各隔壁凹部41は、脱泡室35においてインク中に浮遊する気泡が区画部40に向かって移動可能とする斜面からなる右側面41aまたは左側面41b(斜面部)を備えている。このため、脱泡室35内に滞留した気泡が右側面41aまたは左側面41bに沿って区画部40側に移動するようになるため、脱泡室35内の気泡を各隔壁凹部41に集まり易くすることができる。
【0058】
(6)隔壁31は剛性を有する合成樹脂製の板材よりなるため、隔壁31の強度を確保することができる。加えて、脱泡ユニット20は、6つの脱泡室35が水平方向に並設されているとともに、これら6つの脱泡室35が平面視において同じ1つの減圧室39とそれぞれ部分的に重なっている。このため、6つの脱泡室35のインク中に含まれる気泡を1つの減圧室39へ脱泡することができる。この結果、減圧室39の数を脱泡室35の数よりも少なくすることができるので、脱泡ユニット20の小型化に寄与することができ、ひいては液体供給装置の小型化に寄与することができる。したがって、各脱泡室35と減圧室39とを隔てる隔壁31の強度を確保しつつ、液体供給装置の小型化を実現することができる。
【0059】
また、脱泡ユニット20は、6つの脱泡室35が平面視(上下方向)において同じ1つの減圧室39とそれぞれ部分的に重なっているため、6つの脱泡室35の全てが平面視において同じ1つの減圧室39とそれぞれ全体にわたって重なる場合に比べて減圧室39の平面視における面積を小さくすることができる。
【0060】
(7)脱泡ユニット20は、区画部40が各脱泡室35を形成する脱泡室形成部材30及び減圧室39を形成する減圧室形成部材32よりも気体透過性が高くなっているため、各脱泡室35及び減圧室39の気密性を確保しつつ、各脱泡室35のインク中に浮遊する気泡を減圧室39へ円滑に脱泡することができる。
【0061】
(8)脱泡室35を通過するインクの流量は、流出口36の開口の大きさに比例して該開口が小さいほど少なくなる。一方、脱泡室35から脱泡される気体の量は、壁面40aの面積に比例して該面積が大きいほど多くなる。この構成によれば、壁面40aの面積を流出口36の開口の面積よりも大きくすることにより、脱泡室35を通過する液体から効率よく脱泡を行うことが可能となる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0062】
・区画壁42は、必ずしも気体の透過を許容するように構成する必要はない。
・区画部40における脱泡室35側の壁面40aには、必ずしもインクをはじく撥液性を持たせる必要はない。
【0063】
・減圧室39は、必ずしも各流出口36と上下方向において重なるように配置する必要はない。
・減圧室39は、各脱泡室35の全体と上下方向において重なるようにしてもよい。
【0064】
・6つの脱泡室35に対してそれぞれ減圧室39を個別に設けるようにしてもよい。
・6つの脱泡室35に対して2つの減圧室39を設け、3つの脱泡室35毎に1つの減圧室39を対応させるようにしてもよい。あるいは、6つの脱泡室35に対して3つの減圧室39を設け、2つの脱泡室35毎に1つの減圧室39を対応させるようにしてもよい。
【0065】
・区画部40における脱泡室35側の壁面40aにインクをはじく撥液性を有するフィルムを貼着することで、該壁面40aに撥液性を持たせるようにしてもよい。あるいは、区画部40自体を撥液性の材料で構成するようにしてもよい。
【0066】
・隔壁31の材質を減圧室形成部材32及び脱泡室形成部材30と同じ材質にしてもよい。
・減圧室形成部材32、隔壁31、及び脱泡室形成部材30の材質を互いに異なる材質としてもよい。この場合、隔壁31を構成する材質の方が脱泡室形成部材30及び減圧室形成部材32を構成する材質よりも気体透過性が高くなるようにすることが好ましい。
【0067】
・図5に示すように、区画部40には各脱泡室35内に突出する複数(本実施形態では各2本)のリブ44を設けてもよい。特に、インクが脱泡室35内を通過する方向であるインクの流入方向と直交する方向に沿って延びるようにリブ44を設けることにより、インクの流れに乗って浮遊する気泡を好適に捕らえ、気泡を壁面40a付近に集まりやすくすることができる。また、リブ44は、左右方向(インクの流入方向)に延びるように設けてもよい。このように区画部40にリブ44を形成することにより、区画部40の強度を向上することができる。
【0068】
・脱泡室35は、鉛直方向において減圧室39の下方に設ける必要はなく、例えば脱泡室35を減圧室39の上方に区画部を挟んで隣接するように配置してもよい。もしくは、脱泡室35を区画部を挟んで横並びの配置としてもよい。このようにしても、脱泡室35内には区画部を介して減圧室39内の負圧が作用するため、該脱泡室35内において気泡の成長を抑制することができる。
【0069】
・脱泡室35は、インク中に浮遊する気泡が集まる隔壁凹部41(気泡集積部及び凹部)の重力方向において上方となる位置に、区画部40を隔てて減圧室39の一部が設けられていればよい。すなわち、例えば、水平方向に隣り合う脱泡室と減圧室であって、重力方向の上方に向けて凹む隔壁凹部を有する区画部としてもよい。なお、この場合では、脱泡室の下部が減圧室内に入り込むように区画部を斜状に形成するとよい。このようにすれば、より隔壁凹部に気泡が集まりやすくなる。
【0070】
・上記実施形態では、減圧室39内を減圧ポンプによって減圧する構成を例示したが、本発明はこれに限定される必要はなく、例えば流路内を加圧する加圧手段によって脱泡室内を加圧することで、脱泡室内の圧力よりも減圧室内が低圧となるように構成してもよい。あるいは、減圧室39内を減圧手段(減圧ポンプ)によって減圧するとともに、脱泡室内を加圧することで、脱泡室内の圧力よりも減圧室内が低圧となるように構成してもよい。これらの場合、脱泡室内を加圧する構成としては、脱泡室の下流の流路を閉塞することで、上流側の脱泡室内のインクを加圧できるものであればどのような構成でもよい。
【0071】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタ11に具体化したが、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射する液体噴射装置に具体化してもよい。そして、本明細書における「液体」には、例えば、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含むほか、液状体、流状体などが含まれる。
【0072】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタ11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施形態のプリンタの概略平面図。
【図2】同プリンタの脱泡ユニットの断面図。
【図3】図2の3−3線矢視断面図。
【図4】図2の4−4線矢視断面図。
【図5】変形例におけるプリンタの脱泡ユニットの断面図。
【符号の説明】
【0074】
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、18…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19…液体供給路及び液体供給装置を構成するバルブユニット、20…液体供給装置を構成する脱泡ユニット、22…液体供給源としてのインクカートリッジ、24…液体供給路及び液体供給装置を構成するインク供給チューブ、25…液体供給路及び液体供給装置を構成する流路、30…脱泡室形成部材、30a…壁部、31…隔壁、31a…液体供給路を構成する第1貫通路、32…減圧室形成部材、32a…液体供給路を構成する第2貫通路、34…液体供給路を構成する連絡凹部、35…液体供給路を構成する脱泡室、36…液体供給路を構成する流出口、39…減圧室、40…区画部、40a…壁面、41…気泡集積部及び凹部としての隔壁凹部、41a…斜面部を構成する右側面、41b…斜面部を構成する左側面、42,43…区画壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給路と、
該液体供給路の途中に設けられるとともに前記液体中に含まれる気泡を脱泡可能な脱泡室と、
該脱泡室と区画部を隔てて隣り合う位置に設けられるとともに前記脱泡室の圧力よりも低圧となるように減圧される減圧室とを備え、
前記区画部が前記減圧室の減圧により気体の透過を許容するとともに液体の透過を規制するように構成された液体供給装置であって、
前記区画部は、剛性を有する隔壁により構成されていることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記隔壁は、前記区画部を構成する部分が該部分以外の部分よりも厚さが薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記減圧室と前記脱泡室は、前記区画部を隔てて隣り合う部位同士が、鉛直方向において前記減圧室側の部位の方が前記脱泡室側の部位よりも上となるように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給路と、
該液体供給路の途中に設けられるとともに前記液体中に含まれる気泡を脱泡するべく滞留させるための脱泡室と、
該脱泡室と隔壁を隔てて隣り合う位置に設けられるとともに前記脱泡室の圧力よりも低圧となるように減圧される減圧室とを備え、
前記隔壁が前記減圧室の減圧により気体の透過を許容するとともに液体の透過を規制するように構成された液体供給装置であって、
前記減圧室と前記脱泡室とは上下方向において一方が他方に対して部分的に重なっており、
前記隔壁において、前記脱泡室と前記減圧室とで挟まれた部分である区画部は該区画部以外の部分よりも厚さが薄くなっていることを特徴とする液体供給装置。
【請求項5】
液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給路と、
該液体供給路の途中に設けられるとともに前記液体中に含まれる気泡を脱泡するべく滞留させるための脱泡室と、
該脱泡室と隔壁を隔てて隣り合う位置に設けられるとともに前記脱泡室の圧力よりも低圧となる減圧室とを備え、
前記隔壁が気体の透過を許容するとともに液体の透過を規制するように構成された液体供給装置であって、
前記減圧室と前記脱泡室とは上下方向において一方が他方に対して部分的に重なっており、
前記隔壁において、前記脱泡室と前記減圧室とで挟まれた部分である区画部は該区画部以外の部分よりも厚さが薄くなっていることを特徴とする液体供給装置。
【請求項6】
前記区画部は、前記減圧室、及び前記脱泡室から下流側へ前記液体を流出させるための流出口と上下方向において重なるように配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記区画部における前記脱泡室に面する面積は、前記脱泡室に形成された前記流出口の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の液体供給装置。
【請求項8】
前記隔壁は、剛性を有する板材によって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項9】
前記脱泡室は複数並設され、該各脱泡室同士を区画する区画壁は少なくとも一部が前記減圧室の減圧により気体の透過を許容するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項10】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドへ前記液体を供給する請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の液体供給装置とを備えた液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−76413(P2010−76413A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305010(P2008−305010)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】