説明

液体包装容器

【課題】保温ケースや冷蔵庫から、包装容器に充填された牛乳やジュース等の液体飲料、流動食、シロップ、液体薬などの内容液を出した後も、その液温を簡易に、確実にかつ廉価に維持できる液体包装容器を提供する。
【解決手段】液体包装容器は、紙基材に熱可塑性樹脂外層及び熱可塑性樹脂内層とが積層された積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器であって、容器の外器壁に、熱的耐性を有する被覆フイルム層及び高吸水性高分子吸水性ポリマー層を少なくとも有する内容物の液温変化を制御する液温制御材が密に接触されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体包装容器に関し、詳しくは、牛乳やジュース等の液体食品を充填した液体包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体包装容器に充填された牛乳やジュース等の液体飲料、流動食、シロップ、液体薬などの内容液は、液体容器用の飲用ストローなどを飲用されている。
内容液の液温は、内容液の種類に応じてそれぞれ望ましい温度があり、飲用時にその温度に加温して若しくは冷却して設定される。
ホットショーケースで適温に内容液を保温できる包装容器(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。
【特許文献1】特許公開2005−343527号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ホットショーケースや冷蔵庫から包装容器を出した後、飲用するまで時間がかかる場合、液温が急速に常温へ上昇若しくは降下する。
本発明は、保温ケースや冷蔵庫から、包装容器に充填された牛乳やジュース等の液体飲料、流動食、シロップ、液体薬などの内容液を出した後も、その液温を簡易に、確実にかつ廉価に維持できる液体包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の液体包装容器は、紙基材に熱可塑性樹脂外層及び熱可塑性樹脂内層とが積層された積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器であって、容器の外器壁に、熱的耐性を有する被覆フイルム層及び高吸水性高分子吸水性ポリマー層を少なくとも有する内容物の液温変化を制御する液温制御材が密に接触されていることを特徴とする。
【0005】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材の高吸水性高分子吸水性ポリマー層の両側に不織布層で保護されている。
【0006】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材の被覆フイルム層が、水透過性である。
【0007】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材の被覆フイルム層が、耐熱性である。
【0008】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材が、容器の底壁、側壁、及び頂壁から選ばれる少なくとも1箇所に設けられる。
【0009】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材が袋状又は箱状である。
【0010】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材が板状若しくはシート状である。
【0011】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材が容器の外器壁に着脱自在に設けられる。
【0012】
本発明の好ましい態様における液体包装容器は、液温制御材が容器の外器壁に粘着剤により設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液体包装容器は、紙基材に熱可塑性樹脂外層及び熱可塑性樹脂内層とが積層された積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器である。
紙及び熱可塑性樹脂は、良熱伝導性ではないが、積層包装材料にコンバーティングされる態様では、薄い層状であるので、内容液の液温は急速に雰囲気の温度に近づき、冷蔵されている場合昇温し高温状態の場合冷却する。
【0014】
この発明の特徴に於いて、容器の外器壁に、熱的耐性を有する被覆フイルム層及び高吸水性高分子吸水性ポリマー層を少なくとも有する内容物の液温変化を制御する液温制御材が密に接触されている。
この発明の特徴における高吸水性高分子吸水性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムは、吸水前、ポリマーの長い分子鎖がからみ合い、ところどころで分子鎖同士が結合(架橋)した3次元網目構造を持つ。
この分子鎖は親水性であり、また水中でプラスイオンとマイナスイオンに電離しやすいカルボン酸ナトリウム基(−COO- Na+ ) をもっているため、水に接すると、水に溶けようとして網目構造が広がる。ついで、網目構造の中に水が入ってくると、カルボン酸ナトリウム基の中のナトリウムイオン(Na+ ) が解離していき、分子鎖にはその残基であるカルボニル基(−COO-)が残される。このカルボニル基はマイナスイオンであるため、互いに電気的に反発し、網目構造をさらに広げる。広がったこの網目構造の中に多量の水が入りこみ、保持され、また、ポリマーの中のナトリウムイオン濃度が系外の水のそれより高いため、浸透圧が働いてポリマー内への水の浸透が促進される機構を持つ。
【0015】
水を含んだ高吸水性高分子吸水性ポリマーは、ゲル状になる。被覆フイルム層がこのゲルを保持し保護して包む。被覆フイルム層は熱的耐性を有するので、100度〜180度の高温に、若しくは、マイナス数十度の超低温の冷凍に曝されても、包装容器にその影響を緩和することもができる。
高吸水性高分子吸水性ポリマーに取り込まれた水は、比熱が大きいく、「温まりにくく、冷めにくい」温度変化を起こしにくという性質がある。液温制御材はその温度を維持し、もし、内容液の液温は急速に雰囲気の温度に近づくことを遅らせることができる。冷蔵されている場合低温に加温されている場合高温に維持することができる。
本発明によって、保温ケースや冷蔵庫から、包装容器に充填された牛乳やジュース等の液体飲料、流動食、シロップ、液体薬などの内容液を出した後も、その液温を簡易に、確実にかつ廉価に維持できる。
【0016】
本発明の好ましい態様において、液温制御材の高吸水性高分子吸水性ポリマー層の両側に不織布層で保護されているので、高吸水性高分子吸水性ポリマーのゲルを保持し保護する。
【0017】
本発明の好ましい態様において、液温制御材の被覆フイルム層が水透過性であるので、水が迅速効果的に透過し高吸水性高分子吸水性ポリマー層に到達しゲル化させることができる。
【0018】
本発明の好ましい態様において、液温制御材の被覆フイルム層が、耐熱性であるので、100度〜180度の高温に曝されても、包装容器にその影響を緩和することもができる。
【0019】
本発明の好ましい態様において、液温制御材が、容器の底壁、側壁、及び頂壁から選ばれる少なくとも1箇所に設けられ、容器の形状、内容液の種類に応じて適宜選択することができる。
【0020】
本発明の好ましい態様において、液温制御材が筒状、袋状又は箱状、板状若しくはシート状であり、容器の形状、内容液の種類に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明の好ましい態様において、液温制御材が容器の外器壁に着脱自在に設けられ、例えば、容器の外器壁に粘着剤により設けられ、液温制御材を容器から外し、例えば、水、または温水に浸し、膨張してきたら取り出し、フリーザーに入れ凍らせ、又は、電子レンジやスチームで加温し、冷却材又は保温材として、容器の器壁に貼着して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による実施例の2種の包装容器20を示す斜視図である。図2は、この発明による実施例の包装容器20及び液温制御材1の分解拡大を示す斜視図である。図3は、この発明による実施例の別の包装容器20を示す斜視図である。
【0023】
図1(A)に示すこの実施例の包装容器20は、紙基材に熱可塑性樹脂外層及び熱可塑性樹脂内層とが積層された積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器である。
8角柱形状の胴体を持ち、頂壁23に飲み口、側壁22に液温制御材1を持つ。液温制御材1は胴体を囲むように板状筒状に形成されている。液温制御材1外周を把持して飲用することができる。
【0024】
図1(B)に示すこの実施例の包装容器20は、紙積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器である。
レンガ状の胴体を持ち、頂壁23に飲み口、一の側壁22に液温制御材1を持つ。液温制御材1は胴体の広い側壁に、着脱自在に設けられ、粘着剤により設けられている。液温制御材1を外して飲用することができる。
【0025】
この態様において、液温制御材を容器から外し、先ず、水に浸し、液温制御材が膨張してきたら水から取り出し、フリーザーに入れ凍らせ、冷却材として、容器の器壁に貼着して使用することができる。
更に、再加温、再冷却により機能が復活し、例えば、コンビニ等で購入した容器入りジュースをその場で飲用しなかった場合、再度冷蔵庫に入れることによって、機能を復活させることができる。
【0026】
図2に示すこの実施例の包装容器20は、紙積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器であり、逆さにして底面24を上に示している。
レンガ状の胴体を持ち、底壁24に液温制御材1を持つ。部分拡大分解図に示すように、液温制御材1は、熱的耐性を有する被覆フイルム層2、2及びゲル状高吸水性高分子吸水性ポリマー層3、不織布層4、4を有し、底壁24に密に接触され、内容物の液温変化を制御する。
【0027】
この態様に於いて、容器の底器壁に熱的耐性を有する被覆フイルム層2があるので、ホットショーケース内で保温するために、その高温のホットプレート上に長時間置いても、容器壁材料の融着・軟化といった不都合を防ぐことができる。そのような被覆フイルム層として、塩化ビニルフィルム(塩化ビニル融点:約150℃)がある。
【0028】
図3に示すこの実施例の包装容器20は、紙積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された屋根型包装容器である。矩形状の胴体を持ち、4つ側壁22、底壁を囲む様に箱形液温制御材1を持つ。
屋根型包装容器20は、箱形液温制御材1の中に嵌め込まれている。別の態様において、液温制御材が袋状に成形し、容器の形状、内容液の種類に応じて用いることができる。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明の包装容器によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、この発明による実施例の2種の包装容器20を示す斜視図である。
【図2】図2は、この発明による実施例の包装容器20及び液温制御材1の分解拡大を示す斜視図である。
【図3】図3は、この発明による実施例の別の包装容器20を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 液温制御材
20 包装容器
22 側壁
24 底壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材に熱可塑性樹脂外層及び熱可塑性樹脂内層とが積層された積層包装材料から形成され、液体内容物が充填された包装容器であって、
該容器の外器壁に、熱的耐性を有する被覆フイルム層及び高吸水性高分子吸水性ポリマー層を少なくとも有する該内容物の液温変化を制御する液温制御材が密に接触されている
ことを特徴とする液体包装容器。
【請求項2】
該液温制御材の該高吸水性高分子吸水性ポリマー層の両側に不織布層で保護されている、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項3】
該液温制御材の該被覆フイルム層が、水透過性である、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項4】
該液温制御材の該被覆フイルム層が、耐熱性である、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項5】
該液温制御材が、該容器の底壁、側壁、及び頂壁から選ばれる少なくとも1箇所に設けられる、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項6】
該液温制御材が筒状、袋状又は箱状である、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項7】
該液温制御材が板状若しくはシート状である、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項8】
該液温制御材が該容器の外器壁に着脱自在に設けられる、請求項1記載の液体包装容器。
【請求項9】
該液温制御材が該容器の外器壁に粘着剤により設けられる、請求項8記載の液体包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−149362(P2009−149362A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331208(P2007−331208)
【出願日】平成19年12月22日(2007.12.22)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】