説明

液体収納容器、インク供給装置、及び画像形成装置

【課題】インク袋をカートリッジ内部で安定的に保持でき、インクカートリッジの操作感の向上や脱落防止を図った液体収納容器と、これを用いたインクジェット記録装置、画像形成装置を提供する。
【解決手段】インクカートリッジ26内部でインク袋202を安定的に保持するため、ケース200、201の内周面に突条205a〜205cを突設し、複数箇所で安定的にインク袋202を保持可能とする。インクカートリッジ26には、インク供給部203と反対側になる端面を凹ませて取手207を形成し、また取手207の上部に可動レバー210を設けて安定保持を可能とし、取手207と可動レバー210を把持して操作するように構成することによって、把持する際には可動レバー210を動かすようになり、操作者が把持に対する認識を強く持ち、したがって十分な操作力を得ることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器、インク供給装置及び画像形成装置に関し、例えば、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置、これらの複合機等の画像形成装置において記録ヘッドにインクを送液、供給するために用いる液体収納容器、この液体収納容器を備えたインク供給装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルよりインク滴を吐出して紙等の記録媒体に印字を行うインクジェット記録装置では、種々のインク供給手段が提案され、実用化されている。特に、可撓性を有する素材からなる袋にインクを密封し、これにインク針を挿入してインクを導出、送液し、記録ヘッドへ供給する構成が用いられている。このような構成の場合、インク袋を樹脂製のケース内に収納してインクカートリッジを構成して記録装置内に固定し、インクは可撓性のチューブ等によりキャリッジに搭載した記録ヘッドに供給する例が多い。
【特許文献1】特開2004-195962号公報
【特許文献2】特開2001-347687号公報
【特許文献3】特許3371370号公報
【特許文献4】特許3381789号公報
【特許文献5】特許3685262号公報
【特許文献6】特許3352706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の記録装置は、小さなドットを高い密度で形成できるため、カラー印刷を含めた多くの印刷に使用されているが、さらなる高品質での出力が求められるようになってきており、カラー印刷、ブラックインクを用いたモノクロ印刷ともに印字品質の向上が求められるようになってきた。そのような要求に応えるために、インク袋をカートリッジ内部で安定的に保持することが求められるようになってきている。
【0004】
またカラー印刷用に複数のインクカートリッジを搭載するが、これらカートリッジを不動の取手のみで操作すると、操作者に「操作している」という感覚が薄く、把持が不十分になる恐れがあった。またカートリッジセット後に装置本体からの脱落を防ぐ手段がなく、これらの点の解決が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような問題点にかんがみてなしたもので、インク袋をカートリッジ内部で安定的に保持することができ、またインクカートリッジの操作感の向上や、脱落防止を図った液体収納容器と、これを用いたインクジェット記録装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る液体収納容器は、収納した液体の供給口を有する液体収納袋と、該液体収納袋を収納するケースからなる液体収納容器において、前記ケース内に前記液体収納袋を保持する手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
同請求項2に係るものは、請求項1の液体収納容器において、前記保持手段は複数の凸部からなることを特徴とする。
【0008】
同請求項3に係るものは、請求項2の液体収納容器において、前記凸部は曲面外面形状を有することを特徴とする。
【0009】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかの液体収納容器において、前記液体収納袋の溶着または接着部分を前記保持手段側に設けたことを特徴とする。
【0010】
同請求項5に係るものは、請求項4の液体収納容器において、前記液体収納袋の前記保持手段側がガゼット付であることを特徴とする。
【0011】
同請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかに記載の液体収納容器において、前記供給口を保持しかつ前記ケースの一の端面外へ臨ませる部位を、前記ケース内部の補強リブで形成したことを特徴とする。
【0012】
同請求項7に係るものは、請求項6の液体収納容器において、前記供給口保持部に曲面外面形状を有する突起を設け、前記供給口を保持可能としたことを特徴とする。
【0013】
同請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかに記載の液体収納容器において、前記ケースの前記一の端面と反対側の他の端面に、保持用の取手部を形成してなることを特徴とする。
【0014】
同請求項9に係るものは、収納した液体の供給口を有するケースからなる液体収納容器において、前記ケースの前記供給口を設けない側の端面に、保持用の取手部を形成してなることを特徴とする。
【0015】
同請求項10に係るものは、請求項8または9の液体収納容器において、前記取手部が、前記ケースの他の端面から前記一の端面側へ凹状に形成した部位であることを特徴とする。
【0016】
同請求項11に係るものは、請求項10の液体収納容器において、前記取手部の凹ませて形成した部位の上側に位置する下向きの面に凹凸形状部を設けたことを特徴とする。
【0017】
同請求項12に係るものは、請求項7から11のいずれかの液体収納容器において、前記取手部と対応する前記ケースの上部位置に、前記取手部とともに把持可能なレバーを設けたことを特徴とする。
【0018】
同請求項13に係るものは、収納した液体の供給口を有するケースからなる液体収納容器において、前記ケースの上部位置に、操作用のレバーを設けたことを特徴とする。
【0019】
同請求項14に係るものは、請求項12または13の液体収納容器において、前記レバーが可動レバーであることを特徴とする。
【0020】
同請求項15に係るものは、請求項14の液体収納容器において、前記可動レバー上に、装着相手に対するストッパを設けたことを特徴とする。
【0021】
同請求項16に係るものは、請求項12から15のいずれかの液体収納容器において、前記ケースと前記レバーが一体に成形してあることを特徴とする。
【0022】
同請求項17に係るものは、請求項15または16のいずれかの液体収納容器において、前記ケースと前記レバー及び前記ストッパが一体に成形してあることを特徴とする。
【0023】
同請求項18に係るものは、請求項12から17のいずれかの液体収納容器において、前記レバーを前記ケースの取り付け方向に対してセンターまたは略センターとなるように設けてあることを特徴とする。
【0024】
同請求項19に係るものは、請求項12から18のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの上面の全面または略全面に溝形状部を設けたことを特徴とする。
【0025】
同請求項20に係るものは、請求項12から19のいずれかの液体収納容器において、前記レバーが前記ケースの上面から立ち上がり、曲折して前記ケースの上面に沿いまたは略沿う形状を有し、前記曲折部分は他の部分より肉厚が薄いことを特徴とする。
【0026】
同請求項21に係るものは、請求項20の液体収納容器において、前記レバーが段付の側面形状を有することを特徴とする。
【0027】
同請求項22に係るものは、請求項12から21のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの幅を変化させたことを特徴とする。
【0028】
同請求項23に係るものは、請求項12から22のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの端部が前記ケースの前記他の端面よりも突出しない位置に設けてあることを特徴とする。
【0029】
同請求項24に係るものは、請求項12から23のいずれかの液体収納容器において、前記ケースが2体以上のケース部品からなり、一方の前記ケース部品に前記レバーと、他のケース部品に対するねじ止め穴並びにスナップフィット部を集中させたことを特徴とする。
【0030】
同請求項25に係るものは、請求項12から24のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの側面に破損防止リブを設けたことを特徴とする。
【0031】
同請求項26に係るものは、請求項25の液体収納容器において、前記破損防止リブが前記レバーの側面形状に沿ったまたは略沿った形状を有することを特徴とする。
【0032】
同請求項27に係るものは、請求項12から26のいずれかの液体収納容器において、前記レバーにストッパまたはスペーサを装着可能としたことを特徴とする。
【0033】
同請求項28に係るものは、請求項27の液体収納容器において、前記ストッパまたはスペーサが前記レバーと別部品であることを特徴とする。
【0034】
同請求項29に係るものは、請求項28の液体収納容器において、前記スペーサを取り外さないと前記レバーによって前記装着相手に取り付けられないことを特徴とする。
【0035】
同請求項30に係るものは、請求項27から29のいずれかの液体収納容器において、前記スペーサを取り外した後に前記レバーに取り付けて該レバーの一部として使用可能としてなることを特徴とする。
【0036】
同請求項31に係るものは、請求項30の液体収納容器において、前記スペーサの取り付け、取り外し方向を、前記レバーの弾性変形方向に対して直角または略直角方向としたことを特徴とする。
【0037】
同請求項32に係るものは、請求項27から31のいずれかの液体収納容器において、前記スペーサの色を、内部に収納したインクの色に対応させたことを特徴とする。
【0038】
同請求項33に係るものは、請求項32の液体収納容器において、内部に収納したインクの色に対応しない色のスペーサの取り付けを防ぐガイド溝を設けたことを特徴とする。
【0039】
同請求項34に係るものは、請求項27から33のいずれかの液体収納容器において、取り外した前記スペーサをケースの一部に取り付け保持し、該スペーサにより色の区別をつけられるようにしたことを特徴とする。
【0040】
同請求項35に係るものは、請求項27から34のいずれかの液体収納容器において、前記ケースまたは前記スペーサの少なくともいずれかに、前記スペーサの脱着時にクリック感を生じさせる部位を形成したことを特徴とする。
【0041】
同請求項36に係るものは、請求項27から35のいずれかの液体収納容器において、前記スペーサが前記ケースの包装材を兼ねることを特徴とする。
【0042】
同請求項37に係るものは、請求項36の液体収納容器において、前記スナップフィット部が、係合用の穴よりスナップフィット体の背面を大きくして内部を見えなくしてなることを特徴とする。
【0043】
同請求項37に係るものは、請求項36の液体収納容器において、前記スペーサが包装箱の一部を兼ね、該包装箱を開くと前記スペーサが外れるようにしてなることを特徴とする。
【0044】
同請求項38に係るものは、請求項1から37のいずれかの液体収納容器において、前記ケースが2体の半割れ体からなり、該半割れ体の結合手段として、前記取手部寄りに引っ掛け爪を、中央部にスナップフィット部を、前記供給口側にねじ止め部を設けたことを特徴とする。
【0045】
同請求項39に係るものは、請求項38の液体収納容器において、前記スナップフィット部が、係合用の穴よりスナップフィット体の背面を大きくして内部を見えなくしてなることを特徴とする。
【0046】
同請求項40に係るものは、請求項1から39のいずれかの液体収納容器において、前記供給口の開口周囲にリブを突設し、前記供給口に外部から接触しづらくしてなることを特徴とする。
【0047】
同請求項41に係るものは、請求項1から40のいずれかの液体収納容器において、前記供給口が臨む前記ケースの面を傾斜させて形成し、該面を下にして置けないようにしてなることを特徴とする。
【0048】
同請求項42に係るものは、請求項1から41のいずれかの液体収納容器において、前記ケースの外周面の断面形状を山形としたことを特徴とする。
【0049】
同請求項43に係るインク供給装置は、請求項1から42のいずれかの液体収納容器を用いたことを特徴とする。
【0050】
同請求項44に係る画像形成装置は、請求項1から43のいずれかの液体収納容器を用いたことを特徴とする。
【0051】
同請求項45に係るものは、請求項43のインク供給装置を用いたことを特徴とする。
【0052】
同請求項46に係るものは、請求項44または45の画像形成装置において、装置本体のカバーで前記液体収納容器のケースの一端側を押して半差しを防止する機構を形成してなることを特徴とする。
【0053】

同請求項47に係るものは、請求項46の画像形成装置において、前記装置本体のカバーに前記液体収納容器のケースを押すための弾性体からなるボスを設けて半差し防止機構を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0054】
本発明の液体収納容器は、インク袋をカートリッジ内部で安定的に保持することができ、またインクカートリッジの操作感の向上や、脱落防止が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。

【実施例】
【0056】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお以下の説明においては、紙に対して画像形成する例についてのみ説明するが、本発明はこれに限定されず、紙以外の記録媒体、例えばOHP等の記録媒体に対しても液滴の吐出による画像形成が可能である。また本明細書においてインクと称するのは、上述のような各種媒体に対して液滴によって画像形成可能なもののすべてを指すものであり、一般にプリンタ等で使用されている「インク」には限定されない。
【0057】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は画像形成装置、具体的にはインクジェット記録装置の全体構成を示す概略構成図、図2は同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図である。
【0058】
このインクジェット記録装置は、装置本体1の内部に、用紙を搬送しながら画像を形成するための画像形成部2及び用紙を搬送するための副走査搬送部3等を有し、装置本体1の底部に設けた給紙カセットを含む給紙部4から用紙5を1枚ずつ給紙して、副走査搬送部3によって用紙5を画像形成部2に対向する位置で搬送しながら、画像形成部2によって用紙5に液滴を吐出して所要の画像を形成(記録)した後、片面印刷の場合には排紙搬送部7を通じて装置本体1の上面に形成した排紙トレイ8上に用紙5を排紙し、両面印刷の場合には、排紙搬送部7の途中から装置本体1の底部に備えた両面ユニット10に送り込み、スイッチバック搬送を行って、再度、副走査搬送部3に給紙して両面に画像を形成した後、排紙トレイ8上に排紙する。
【0059】
装置本体1の上部で排紙トレイ8の上方には、装置本体1の画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)11を備えている。この画像読取部11は、照明光源13とミラー14とを含む走査光学系15と、ミラー16、17を含む走査光学系18とが移動して、コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像の読み取りを行い、走査された原稿画像がレンズ19の後方に配置した画像読み取り素子20で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理され、画像処理した印刷データを印刷することができる。
【0060】
さらに、このインクジェット記録装置は、画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データを含む印刷データ等をケーブルあるいはネットワークを介して受信可能であり、受信した印刷データを処理して印刷することもできる。
【0061】
画像形成部2は、図2にも示すように、ガイドロッド21及び図示しないガイドステーでキャリッジ23を主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28Aと従動プーリ28B間に架け渡したタイミングベルト29を介して主走査方向に移動走査する主走査駆動系の機構を備えている。
【0062】
キャリッジ23上には、それぞれの色の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24を搭載し、キャリッジ23を主走査方向に移動させ、副走査搬送部3によって用紙5を用紙搬送方向(副走査方向)に送りながら記録ヘッド24から液滴を吐出させて画像形成を行うシャトル型としている。
【0063】
記録ヘッド24は、それぞれブラック(Bk)インクを吐出する2個の液滴吐出ヘッド24k1、24k2と、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するそれぞれ1個の液滴吐出ヘッド24c、24m、24yの計5個の液滴吐出ヘッド(以下、色を区別しないときは「記録ヘッド24」という。)で構成され、キャリッジ23に搭載した各サブタンク25からそれぞれ各色のインクが供給される。
【0064】
一方、図1に示すように、装置本体1の前面からカートリッジ装着部30に、ブラック(Bk)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した記録液カートリッジである各色のインクカートリッジ26を着脱自在に装着でき、各色のインクカートリッジ26から各色のサブタンク25にインクを供給する。なお、ブラックインクは1つのインクカートリッジ26から2つのサブタンク25に供給する構成としている。
【0065】
なお、記録ヘッド24としては、インク流路内(圧力発生室)のインクを加圧する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク液を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク浪を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどを用いることができる。
【0066】
また、キャリッジ23の走査方向の一方側の非印字領域には、図2に示すように、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復ユニット121を配置している。この維持回復ユニット121は、5個の記録ヘッド24の各ヘッドのノズル面をキャピングするための5個の保湿等用の保護キャップ122k2、122k1、122c、122m、122y(色を区別しないときは「保護用キャップ122」という。)と、1個の吸引用キャップ123と、記録ヘッド24のノズル面をワイピングするためのワイパーブレード124と、記録(画像形成)に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行うための空吐出受け部材125などを備えている。
【0067】
さらに、キャリッジ23の走査方向他方側の非印字領域には、図2に示すように、5個の記録ヘッド24から記録(画像形成)に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行うための空吐出受け部材126を備えている。この空吐出受け部材126には、記録ヘッド24に対応して5個の開口127k2、127k1、127c、127m、127y(色を区別しないときは「開口127」という。)を形成している。
【0068】
副走査搬送部3は、下方から給紙された用紙5を略90度搬送方向を転換させて画像形成部2に対向させて搬送するための、駆動ローラである搬送ローラ32とテンションローラである従動ローラ33間に架け渡した無帽状の搬送ベルト31と、この搬送ベルト31の表面を帯電させるために高圧電源から交番電圧である高電圧が印加される帯電手段である帯電ローラ34と、搬送ベルト31を画像形成部2の対向する領域でガイドするガイド部材35と、用紙5を搬送ローラ32に対向する位置で搬送ベルト31に押し付ける2個の押さえコロ(加圧コロ)36と、画像形成部2によって画像が形成された用紙5の上面側を押える2個の拍車ローラ37と、画像が形成された用紙5を搬送ベルト31から分離するための分離爪38とを備えている。
【0069】
給紙部4は、装置本体1の前面側から抜き差し可能で、多数枚の用紙5を積載して収納する給紙カセット41と、給紙カセット41内の用紙5を1枚ずつ分離して送り出すための給紙コロ42及びフリクションパッド43と、給紙された用紙5をレジストするレジストローラ44を備えている。また、この給紙部4は、多数枚の用紙5を積載して収容するための手差しトレイ46及び手差しトレイ46から1枚ずつ用紙5を給紙するための手差しコロ47と、装置本体1の下側にオプションで装着される給紙カセットや後述する両面ユニットIOから給紙される用紙5を搬送するための搬送コロ48を備えている。給紙コロ42、レジストローラ44、手差しコロ47、搬送コロ48などの副走査搬送部3へ用紙5を給送するための部材は図示しない電磁クラッチを介してHB型ステッピングモータからなる給紙モータ49によって回転駆動される。
【0070】
排紙搬送部7は、副走査搬送部3の分離爪38で分離された用紙5を搬送する3個の搬送ローラ71a、71b、71c(区別しないときは「搬送ローラ71」という。)及びこれに対向する拍車72a、72b、72c(同じ<「拍車72」という。)と、排紙ロ−ラフ1及び拍車72間で搬送される用紙5をガイドする下ガイド部73及び上ガイド部74と、下ガイド部73及び上ガイド部74の間から送り出される用紙5を、第1の搬送経路である反転排紙経路81を通じて反転してフェイスダウンで接紙トレイ8へ送り出すための反転ローラ対77及び反転排紙ローラ対78とを備えている。なお、下ガイド部73及び上ガイド部74の間で用紙5を搬送する搬送路を搬送路70といい、この搬送路70の距離を画像が形成された用紙5を反転排紙しても画像の擦れなどが生じない程度に乾燥するための時間を確保できる長さにしている。
【0071】
なお、搬送路70の出口側には、排紙トレイ8に反転排紙するための第1排紙軽路81、ストレート接紙トレイ181に排紙するための第2排紙経路82及び両面ユニット10に送る排紙経路(両面接紙経路)のいずれかの搬送経路に切り替えるための分岐機構60を設けている。
【0072】
そして、装置本体1の側面にはこの分岐機構60で分岐された用紙5を両面ユニット10に送り込むために下方に搬送する垂直両面搬送路83を設けている。この垂直両面搬送路83には送り込まれた用紙5を下方に搬送する入口ローラ対91及び出ロローラ対92を備えている。また、この垂直両面搬送路83を形成するために装置本体1の側部にはガイド板84を設けている。
【0073】
両面ユニット10は、垂直両面搬送路83から送り込まれた用紙5を水平方向に搬送する水平取り込み搬送路90a及びスイッチバック搬送路90bを有している。水平取り込み搬送路90aには5つの両面搬送ローラ対93を備え、スイッチバック搬送路90bには取り込み搬送路90aから送られる用紙5を反転して再給紙するためのリバースローラからなる両面出口ローラ94及び3個の両面搬送ローラ対95を備えている。
【0074】
また、取り込み搬送路90aからスイッチバック搬送路90bへの用紙5の搬送経路とスイッチバック搬送路90bから搬送ローラ対48への再給紙のための搬送経路とを切り替える分岐板96を揺動可能に設けている。分岐板96は、図1の実線図示のスイッチバック側位置と破線図示の再給紙側位置との間で揺動可能である。
【0075】
この両面ユニット10から送り出された用紙5は、前述した搬送コロ48に送り込まれてレジストローラ44に送られる。そして、上述した給紙部4の給紙カセット41、手差し給紙トレイ46、両面ユニット10から給紙された用紙5がレジストローラ44で搬送されるとき、副走査搬送部3の搬送ローラ32及び押えコロ36間とレジストローラ44との間で、用紙5にループ(弛み)を形成して用紙5に対するバックテンションなどを防止するため、図1に示すように、開閉ガイド板110を揺動可能に設けている。
【0076】
この開閉ガイド板110は、レジストローラ44から用紙5を副走査搬送部3に送り出すときには、図示の状態から矢示方向に揺動して用紙5を案内し、用紙5が副走査搬送部3の達したタイミングで図示の状態に復帰してループを形成可能な状態にする。
【0077】
さらに、このインクジェット記録装置においては、1枚手差し給紙を行なうために、図1にも示すように、装置本体1の一側部側に、1枚手差し給紙トレイ141を装置本体1に対して開閉可能(開倒可能)に設け、1枚手差しを行うときには1枚手差し給紙トレイ141を仮想線図示の位置に開倒する。この1枚手差し給紙トレイ141からの手差し給紙される用紙5は、開閉ガイド板110の上面でガイドされてそのまま副走査搬送部3の搬送ローラ32と押さえコロ36との間に直線的に差し込むことができる。
【0078】
一方、画像形成が行われた用紙5をフェイスアップでストレートに接紙するため、装置本体1の他側部側にストレート排紙トレイ181を開閉可能(開倒可能)に設けている。このストレート排紙トレイ181を開<(開倒)ことで、接紙搬送部7の下ガイド部73及び上ガイド部74から送り出される用紙5を直線的にストレート排紙トレイ181に排紙するための第2の排紙経路であるストレート排紙経路82が形成される。
【0079】
これにより、例えばOHP、厚手の用紙など曲線搬送が難しい用紙を使用するときには1枚手差し給紙トレイ141から1枚手差し給紙を行いストレート排紙トレイ181まで直線的に用紙5を搬送することができるようになる。もちろん、普通紙などの通常の用紙であっても1枚手差し給紙トレイ141から給紙し、ストレート排紙トレイ181に直線的に排紙することができる。
【0080】
このインクジェット記録装置における画像形成動作について簡単に説明すると、図示しないACバイアス供給部から帯電ローラ34に交番電圧である正負極の矩形波の高電圧を印加することによって、帯電ローラ34は搬送ベルト31の絶縁層(表層)に当接しているので、搬送ベルト31の表層には、正と負の電荷が搬送ベルト31の搬送方向に対して交互に帯状に印加され、搬送ベルト31上に所定の帯電幅で帯電が行われて不平等電界が生成される
【0081】
そこで、給紙部4、手差し給紙部46、両面ユニット10、1枚手差し給紙トレイ141などから用紙5が給紙されて搬送ローラ32と押えコロ36との間の、正負極の電荷が形成されることによって不平等電界が発生している搬送ベルト31上へと送り込まれると、用紙5は電界の向きにならって瞬時に分極し、静電吸着力で搬送ベルト31上に吸着され、搬送ベルト31の移動に伴って搬送される。
【0082】
そして、この搬送ベルト31で用紙5を間欺的に搬送しながら、用紙5上に印刷データに応じて記録ヘッド24から記録液の液滴を吐出して画像を形成(印刷)し、画像形成が行なわれた用紙5の先端側を分離爪38で搬送ベルト31から分離して排縁搬送部7によって、適宜、排紙トレイ8、ストレート排紙トレイ181に排紙し、あるいは両面ユニット10に送り込んで他面に画像の形成を行った後排紙する。
【0083】
図3は本発明に係る液体収納容器であるインクカートリッジ26の一例を示す左側面図(A)と右側面図(B)、図4は正面図(A)と背面図(B)、図5は平面図(A)と底面図(B)、そして図6はインク袋を収納していない状態の分解斜視図である。また図7はインク袋の平面図、図8はインク袋を収納したインクカートリッジ26を示す断面図である。
【0084】
本実施例のインクカートリッジ26は、一対のケース(カバー)200、201と、その内部に収納するインク袋202から構成されるが、インク袋202をまず説明する。インク袋202は、図7に平面図で示すように、例えばアルミフィルムを基材として内側にポリエチレンフィルムをラミネートし、外側にナイロンフィルムやポリエチレンフィルム等をラミネートして可撓かつ扁平で長方形状に形成したもので、潰れやすく、内部のインク等の液体の残量に応じて容積が縮小していくものとなっている。そして、短い方の縁の一方にインク供給部203とインク充填口204が設けてあり、それらを内部へ連通させる部分以外は溶着や接着等によって閉じ、インクを密封してある。もちろんインク充填口204もインク充填後は溶着等により閉じる。ただし、このインク充填口204を閉じずに、空気導入部として用いることも可能である。
【0085】
そしてインク袋202を収納したインクカートリッジ26をカートリッジ装着部30に装着するときに、カートリッジ装着部30側に設けてある供給針(図示せず)に対向し、供給針がインク供給部203内の図示しないシール機構を突き破り、インク供給部203内のインク流出路をカートリッジ装着部30側のインク供給チューブに連通させる。供給針その他のカートリッジ装着部30側の機構については公知のものを用いればよいので図示及び説明は省略する。
【0086】
インクカートリッジ26の説明に戻ると、インク袋202をカートリッジ内部で安定的に保持するために、ケース200、201の内周面にはインク袋202を保持する手段としての凸部として、上下で3対の突条205をケース200、201の内側に向けて突出させて備えている。具体的には、ケース200、201ごとにそれぞれ突条を設け、図6のように合わせることでインクカートリッジ26の内側のスペースの全幅にわたる突条205を形成している。
【0087】
図示の例では保持手段としての突条205を3対設けているが、本発明ではこの個数には限定されず、さらに多数でも、あるいは1対または2対でもよい。1対の場合(図9A参照)には、ケース200、201の内周面の長手方向中央付近にそれぞれ突条を設けることが望ましく、2個の場合には中央部を挟んでケース200、201の内周面の長手方向で対称位置に設けることが望ましい(図9B参照)。いずれにしても、複数箇所で保持するほうがより安定的にインク袋202を保持できる。また突条形状ではなく、突起形状であってもよい。
【0088】
またインク袋202は安定保持だけでなく、破袋や傷つき防止を考慮する必要がある。新品時は内部にインクが充填されて膨らんでいて、輸送時の振動などでダメージを受ける可能性があるためである。そのため図示の実施例では、突条205を3対とも先端が曲面の外面形状を有するように形成してある。具体的には略半円形の断面形状としてある。当然ながら、角が有るような形状に比べ、曲面形状にすることにより、例えば落下時などにインク袋202が強くケース200、201の内周面に押し付けられた場合でも、インク袋202が傷まない。
【0089】
なおインク袋202は、図10に示すように上下及び左右の縁とも溶着や接着(以下、接着であっても溶着と言う。)した溶着部分202aを持つもの、図11に示すように、下側になる縁と左右の縁を溶着したもの、図12に示すように輸送時等に下側になる部分を折り曲げてマチ202bを付けたガゼット袋状として2条の溶着部分を設けたもの等々があり得るが、突条205に接触する可能性がある部分は、上述のような溶着部分202aとなるようにすることが好ましい。輸送時などにおいて下側となる側は収納したインクの動きによって大きな力が掛かりやすいので、特に図9(C)のように保持手段である突条205によって受けられるようにすることが望ましい。突条205に触れるのが溶着部分202aであれば、インク袋202の液体収納部分には突条205等が直接には触れにくいので、インク袋202の傷付き、破袋が起きにくくなる
【0090】
また、ガゼット袋状のものを用いる場合でも同様である。ガゼット袋状の場合には、インク袋202の一縁側で、突条205と2箇所で触れることになるため、インク袋202の液体収納部分にはさらに直接触れにくくなる。また袋がマチ202b付になることで液体の収納容量が増やせる。
【0091】
なお図8(B)に示すように、インク袋202のインク供給部203とインク充填口204を設けた部材を収納する部位をケース200、201の内の補強リブ206の一部で形成してある(補強リブ206は図6に良く示されている。)。主に組み付け時にケース200、201を傾けた場合に、インク袋202のインク供給部203とインク充填口204がケース200、201から抜け落ちることがあることに対処した構造である。なお図8(C)に示すように、補強リブ206に突条205と同様の保持部206aや突起等を設けても良い。インク供給部203とインク充填口204が抜けづらくなるためカートリッジが組み立てやすくなる。
【0092】
また本実施例のインクカートリッジ26には、安定保持のために、収納するインク袋202のインク供給部203と反対側になる端面を凹ませて取手207を形成し、この取手207もインク袋202の保持手段を兼ねるようにしてある。すなわち、取手207部分の内側へ凹んだ部分の略平坦な頂部をインク袋202の保持部として用い、ケース200、201の形状を効率的に使用している。なお取手207として凹んだ部分の外側の上面には、手で持った場合に滑りにくいように小さな凹凸208が形成してある。
【0093】
さらに本実施例のインクカートリッジ26には、カートリッジを不動の取手207のみで操作すると、操作者には「操作している」という感覚が薄く、把持が不十分になる恐れがあることにかんがみ、取手207の上部で取手207と対応する位置に、可動レバー210を設けてある。すなわち、取手207と対になる部分に可動レバー210を設け、取手207と可動レバー210を把持して操作するように構成することによって、把持する際には可動レバー210を動かすようになり、操作者が把持に対する認識を強く持ち、したがって十分な操作力を得ることができるようにしてある。
【0094】
なお、インクカートリッジセット26をカートリッジ装着部30へ装着した後、カートリッジ装着部30から脱落することを防ぐ手段として、可動レバー210の上面には略三角形状に突出するストッパ211を設けてある。図示は省略するが、カートリッジ装着部30側にこのストッパ211と嵌合する凹み形状を設けることで、インクカートリッジ26をカートリッジ装着部30へ挿入した時には、可動レバー210が撓んだ状態で挿入され、ストッパ211が凹み部分に至ると、凹み内へ入り込むことで可動レバー210の形状の撓みが復元し、カートリッジ装着部30へ確実に係止される。
【0095】
またなお、インクカートリッジ26のケース200、201と可動レバーを別体に形成すると、部品点数が増え、コストが高くなるので、一方のケース200と可動レバー210を一体に形成し、部品点数減少によるコストダウンを図っている。またストッパ211についても同様で、可動レバー210と一体に形成してある。
【0096】
さらに可動レバー210がインクカートリッジ26の上面において片側に寄って位置していると操作しづらいので、特に図4、図5からわかるように、可動レバー210はインクカートリッジ26の取り付け方向に対して概略センターになるように設けてある。なお図4中の222はインク色を示すなどのためのシール材、223は電極部である。
【0097】
一方、可動レバー210の強度や剛性が高すぎることにより、レバーを操作しづらいことがあり得るが、本実施例の可動レバー210は、特に図5、図6から分かるように、可動レバー210部全体に複数の突条212とその間の溝213を形成し、可動レバー210の剛性を下げ、適度な強度にすることで操作性を向上させてある。なお、可動レバー210の曲がり部分の剛性が強すぎると、曲げた際に白化が生じ得るが、曲がり形状部分の肉厚を直線部分より薄くすれば白化は防止可能になる。また曲がり部分には突条や溝を設けないようにしても良い。これらの構造は、可動レバー210の素材に応じて使い分けることができる。
【0098】
また本実施例では、可動レバー210に設けたストッパ211の部分でのストローク量が不足すると、カートリッジ装着部30からストッパ211が抜けきらない場合があり得る点を考慮し、可動レバー210の側面形状を段付形状とし、可動レバー210の自由端側をケース200への固定端側よりも高くなるように形成してあり、逆にケース200、201は、図3から良くわかるように端部の角部を斜め下方へ傾斜する形状とし、可動レバー210の下げ量を大きく取れるようにしてある。これによってストッパ211のストローク量が増加し、抜け難くなることを防げる。なおケース200、201に傾斜面を設けるのではなく、傾斜面に対応する部分に切り欠きや凹み等を設けても同様にストッパ部のストローク量を大きくできる。いずれにしても、可動レバー210の段付構造と傾斜面あるいは切り欠き、凹み等を組み合わせればストローク量をかなり大きくできる。
【0099】
また可動レバー210の操作部分が小さいと操作しづらいので、本実施例では可動レバー210の端部の幅を広げ、操作しやすくしてある。またこの幅広にした部分の上面には、取手207の場合と同様に、手で持った場合に滑りにくいように小さな凹凸214aと太めの指掛け部214bが形成してある。
【0100】
さらに、可動レバー210がインクカートリッジ26の背面よりもさらに後ろ側へ飛び出ていると、何かに引っ掛けて可動レバー210を破壊したり、操作しづらかったりするので、本実施例では、図3、図5からわかるように、可動レバー210の端部をインクカートリッジ26の背面端部よりも手前側(インク供給部203側)にしてある。
【0101】
ところで上述のようなインクカートリッジ26には、可動レバー210だけでなく、ケース200、201を組み合わせるためのねじ止め穴や、スナップフィット部というような耐久性に限りがある部分(消耗しやすい)が存在し、ケースとしてのリユースができないという問題がある。そこで本実施例では、ケース200、201の一方(図の例ではケース200)に、可動レバー210だけでなく、ケース200、201を組み合わせるためのねじ止め穴215や、スナップフィット部216を集中させた構造としてあり、他方のケース201の部品としてのリユースを行いやすくしてある。
【0102】
また本実施例では、可動レバー210の破損防止のため、可動レバー210の側部に破損防止用のリブ217、218を設けてある。リブ217は可動レバー210と同じケース200に設けてあり、他方のリブ218は他のケース201に設けてある。このような構成にすると、インクカートリッジ26に対して可動レバー210付近で力が加わった場合、まずリブ217、218で力を受けることで可動レバー210自体の破損が起きにくくなる。なおリブ217、218は概略可動レバー210の側面形状に沿ったスロープ形状としてあり、可動レバー210の保護がより確実になるようにしてある。
【0103】
また可動レバー210については、技術課題として、輸送時などに押されて変形してしまうという点がある。本実施例では、そのために可動レバー210の自由端に、図13に示すようなスペーサ220を着脱できるようにしてある。もちろんインクカートリッジ26をカートリッジ装着部30に取り付ける際にはスペーサの体積が邪魔になるので、スペーサ220はケース200、201とは別部品で形成してあり、カートリッジ装着部30に取り付ける際には取り外せるようになっている。そのため、カートリッジ装着部30や装置本体1側にスペーサ220を保管するためのスペース(デッドスペースとなってしまう)を設ける必要は無い。
【0104】
なお図示は省略するが、スペーサ220を可動レバー210に取り付けたままでは可動レバー210が固定されてしまうので、そのままではカートリッジ装着部30に取り付けることができないので、装着時にはスペーサ220は可動レバー210から取り外す。ただし、スペーサ220を取り外す際に可動レバー210の変位方向と同じか近しいと、可動レバー210の変形につられてしまってスペーサ220が取り外しにくいことが考えられる。そこで本実施例では、スペーサ220の取り付け、取り外し方向は可動レバー210の弾性方向に対して略直角方向としてある。図13(B)で言えば紙面垂直方向である。この構成とすることにより、スペーサ220は非常に取り付け、取り外しが行いやすくなる。
【0105】
なお本実施例でもスペーサ220は可動レバー210の変形防止のためだけに使っているが、例えばスペーサを取り外した後に可動レバー210の上部に取り付ける等の構造とすることで(図示は省略する)、可動レバー210の一部として使用できるようにするができ、スペーサ220を輸送時等の変形防止と、設置使用時の可動レバーの2役を持たせることで無駄を減らし、かつ操作性の向上が図れる。
【0106】
またこの種のインクカートリッジ26では、収納したインクの色の見分けをつけやすくしたいとの要求がある。そこで、スペーサ220の色をカートリッジのインク色に対応した色にすれば、インクカートリッジ26が収納しているインクの色の見分けがつきやすくなる。また、インクカートリッジ26に色識別用のデカルを貼る必要がなくなるため、コストダウンも期待できるようになる。
【0107】
このような場合、他の色のスペーサを誤って取り付けてしまう恐れがあるので、インクカートリッジ26側に、他の色のスペーサを取り付けられないようにガイド溝を設けておくと良い。ガイド溝を設ける場所は、図示は省略するが、図示の例ではケース200、201の端部に設ける傾斜面辺りが良い。
【0108】
またもちろん、色の識別が可能なスペーサ220を採用した場合、スペーサ220を取り外した後も色の識別を行いたいので、図示は省略するが、取り外したスペーサをインクカートリッジ26の一部に取り付け、色を区別できるようにすることもできる。
【0109】
なお、この種のスペーサ220は脱着感がないことが多いため、確実な取り付け、取り外しができたかどうかがわかりづらいという問題がある。そこで本実施例では、図13(B)に示すように、スペーサ220の脱着時にクリック間があるように取り付け用の空隙内部に突部220aを設けてあり、スペーサの取り付け、取り外しが感覚的にわかりやすくしてある。
【0110】
ところでこの種のインクカートリッジ26の個装箱26aに緩衝用等の包装材26bが必要である。そこで図14に示す例では、スペーサ220bが包装材を兼ねることとし、部品点数を減らし、コストダウンも可能としている。
【0111】
またスペーサを個別品としたり、包装の一部とした場合には、取り外すのに手間がかかるので、例えば図15に示すように、スペーサ220cをインクカートリッジ26の個装箱26aの一部として形成し、箱を開くとスペーサ220cがインクカートリッジ26から外れるように構成して、スペーサを取り外す手間を減らせる。
【0112】
なお本実施例のインクカートリッジ26は、図6から良くわかるように、ねじ止め本数削減およびねじ止めまでの仮保持、ケース200、201のそりによる隙間発生の防止を図るため、ケース200、201の結合手段として、取手207寄りに引っ掛け爪221を、中央にスナップフィット部216を、インク供給部203側にねじ止め穴215を設けてある。
【0113】
なおスナップフィット部216の係合用の穴216aから内部が見えてしまうので、係合用の穴216aよりもスナップフィット部216の背面部を大きくすることで内部を見えなくしてあり、見栄えを向上させてある。
【0114】
またインクカートリッジ26をカートリッジ装着部30にセットした後、インク供給部203にインクがついている場合があり、手などが触れてインク汚れがついてしまうことがあり得る。そこで本実施例では、これも図6から良くわかるように、インク供給部203の穴のまわりにリブ224を環状あるいは略環状に突設し、インク供給部203の穴のまわりには接触しづらくしてある。
【0115】
上記と同様のインク汚れへの対策としては、例えばインク供給部203を設けた面を傾けて形成し、その面を下にしてはテーブルなどの上に置けないようにすることができる。
【0116】
なお詳細な図示は省略してあるが、本実施例のインクカートリッジ26は、カートリッジ装着部30へのセット時の位置合わせガイド手段として、ケース200、201の合わせ部分となる外周面の形状を、型からの抜き勾配を利用して山形にし、両ケース200、201を合わせる部位が頂部となるようにしてある。そして、これも図示は省略するが、カートリッジ装着部30側のインクカートリッジ26の装着部位側を谷形にすることでインクカートリッジ26の位置あわせ、セットが容易にできるようになる。
【0117】
またなお本実施例のようなインクカートリッジ26は、カートリッジ装着部30への確実なセットが、摩擦力の問題等々で難しいことがある。そこで、例えば図16に示すように、装置本体1側のカートリッジ装着部30外側に位置する開閉カバー1aにインクカートリッジ26を押して半差しを防止するボス225を備えるようにすることができる。ただし、開閉カバー1aを閉じるときの力が強すぎ、ボス225によってインクカートリッジ26に係る力が大きすぎると、強く押し込みすぎたりして、インク供給部分を傷つけてしまう恐れがある。そこで、ボス225には弾性体を用い、押し込みすぎの防止、傷つき防止を図ることが望ましい。ボス225全体を弾性体で形成する必要はないが、少なくとも先端は適宜の弾性を有するゴムかスポンジ製とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】インクジェット記録装置の全体構成を示す概略構成図
【図2】同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図
【図3】本発明に係る液体収納容器であるインクカートリッジの一例を示す左側面図(A)と右側面図(B)
【図4】同じく正面図(A)と背面図(B)
【図5】同じく平面図(A)と底面図(B
【図6】同じくインク袋を収納していない状態の分解斜視図
【図7】インク袋の平面図
【図8】インク袋を収納したインクカートリッジを示す断面図
【図9】保持手段の設定形態を種々示す図
【図10】インク袋の縁の溶着や接着形態を示す図(A)とその中央断面図(B)
【図11】他の溶着や接着形態を示す図(A)とその中央断面図(B)
【図12】さらに他の溶着や接着形態を示す図(A)とその中央断面図(B)
【図13】スペーサの斜視図(A)と使用状態の側面図(B)
【図14】包装材でスペーサを兼ねている例の断面図
【図15】個装箱でスペーサを兼ねている例の断面図
【図16】半差しを防止する機構を示す図
【符号の説明】
【0119】
1 装置本体
1a 開閉カバー
26 インクカートリッジ
26a インクカートリッジの個装箱
26b 緩衝用等の包装材
30 カートリッジ装着部
200、201 ケース(カバー)
202 インク袋
202a 溶着部分
202b マチ
203 インク供給部
204 インク充填口
205 突条
206 補強リブ
206a 保持部
207 取手
208 凹凸
210 可動レバー
211 ストッパ
212 突条
213 溝
214a 凹凸
214b 指掛け部
215 ねじ止め穴
216 スナップフィット部
216a スナップフィット部の係合用の穴
217、218 リブ
220、220b、220c スペーサ
220a 突部
221 引っ掛け爪
222 シール材
223 電極部
224 リブ
225 ボス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納した液体の供給口を有する液体収納袋と、該液体収納袋を収納するケースからなる液体収納容器において、前記ケース内に前記液体収納袋を保持する手段を備えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
請求項1の液体収納容器において、前記保持手段は複数の凸部からなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項3】
請求項2の液体収納容器において、前記凸部は曲面外面形状を有することを特徴とする液体収納容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの液体収納容器において、前記液体収納袋の溶着または接着部分を前記保持手段側に設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項5】
請求項4の液体収納容器において、前記液体収納袋の前記保持手段側がガゼット付であることを特徴とする液体収納容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の液体収納容器において、前記供給口を保持しかつ前記ケースの一の端面外へ臨ませる部位を、前記ケース内部の補強リブで形成したことを特徴とする液体収納容器。
【請求項7】
請求項6の液体収納容器において、前記供給口保持部に曲面外面形状を有する突起を設け、前記供給口を保持可能としたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の液体収納容器において、前記ケースの前記一の端面と反対側の他の端面に、保持用の取手部を形成してなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項9】
収納した液体の供給口を有するケースからなる液体収納容器において、前記ケースの前記供給口を設けない側の端面に、保持用の取手部を形成してなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項10】
請求項8または9の液体収納容器において、前記取手部が、前記ケースの他の端面から前記一の端面側へ凹状に形成した部位であることを特徴とする液体収納容器。
【請求項11】
請求項10の液体収納容器において、前記取手部の凹ませて形成した部位の上側に位置する下向きの面に凹凸形状部を設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項12】
請求項7から11のいずれかの液体収納容器において、前記取手部と対応する前記ケースの上部位置に、前記取手部とともに把持可能なレバーを設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項13】
収納した液体の供給口を有するケースからなる液体収納容器において、前記ケースの上部位置に、操作用のレバーを設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項14】
請求項12または13の液体収納容器において、前記レバーが可動レバーであることを特徴とする液体収納容器。
【請求項15】
請求項14の液体収納容器において、前記可動レバー上に、装着相手に対するストッパを設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項16】
請求項12から15のいずれかの液体収納容器において、前記ケースと前記レバーが一体に成形してあることを特徴とする液体収納容器。
【請求項17】
請求項15または16のいずれかの液体収納容器において、前記ケースと前記レバー及び前記ストッパが一体に成形してあることを特徴とする液体収納容器。
【請求項18】
請求項12から17のいずれかの液体収納容器において、前記レバーを前記ケースの取り付け方向に対してセンターまたは略センターとなるように設けてあることを特徴とする液体収納容器。
【請求項19】
請求項12から18のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの上面の全面または略全面に溝形状部を設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項20】
請求項12から19のいずれかの液体収納容器において、前記レバーが前記ケースの上面から立ち上がり、曲折して前記ケースの上面に沿いまたは略沿う形状を有し、前記曲折部分は他の部分より肉厚が薄いことを特徴とする液体収納容器。
【請求項21】
請求項20の液体収納容器において、前記レバーが段付の側面形状を有することを特徴とする液体収納容器。
【請求項22】
請求項12から21のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの幅を変化させたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項23】
請求項12から22のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの端部が前記ケースの前記他の端面よりも突出しない位置に設けてあることを特徴とする液体収納容器。
【請求項24】
請求項12から23のいずれかの液体収納容器において、前記ケースが2体以上のケース部品からなり、一方の前記ケース部品に前記レバーと、他のケース部品に対するねじ止め穴並びにスナップフィット部を集中させたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項25】
請求項12から24のいずれかの液体収納容器において、前記レバーの側面に破損防止リブを設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項26】
請求項25の液体収納容器において、前記破損防止リブが前記レバーの側面形状に沿ったまたは略沿った形状を有することを特徴とする液体収納容器。
【請求項27】
請求項12から26のいずれかの液体収納容器において、前記レバーにストッパまたはスペーサを装着可能としたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項28】
請求項27の液体収納容器において、前記ストッパまたはスペーサが前記レバーと別部品であることを特徴とする液体収納容器。
【請求項29】
請求項28の液体収納容器において、前記スペーサを取り外さないと前記レバーによって前記装着相手に取り付けられないことを特徴とする液体収納容器。
【請求項30】
請求項27から29のいずれかの液体収納容器において、前記スペーサを取り外した後に前記レバーに取り付けて該レバーの一部として使用可能としてなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項31】
請求項30の液体収納容器において、前記スペーサの取り付け、取り外し方向を、前記レバーの弾性変形方向に対して直角または略直角方向としたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項32】
請求項27から31のいずれかの液体収納容器において、前記スペーサの色を、内部に収納したインクの色に対応させたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項33】
請求項32の液体収納容器において、内部に収納したインクの色に対応しない色のスペーサの取り付けを防ぐガイド溝を設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項34】
請求項27から33のいずれかの液体収納容器において、取り外した前記スペーサをケースの一部に取り付け保持し、該スペーサにより色の区別をつけられるようにしたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項35】
請求項27から34のいずれかの液体収納容器において、前記ケースまたは前記スペーサの少なくともいずれかに、前記スペーサの脱着時にクリック感を生じさせる部位を形成したことを特徴とする液体収納容器。
【請求項36】
請求項27から35のいずれかの液体収納容器において、前記スペーサが前記ケースの包装材を兼ねることを特徴とする液体収納容器。
【請求項37】
請求項36の液体収納容器において、前記スペーサが包装箱の一部を兼ね、該包装箱を開くと前記スペーサが外れるようにしてなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項38】
請求項1から37のいずれかの液体収納容器において、前記ケースが2体の半割れ体からなり、該半割れ体の結合手段として、前記取手部寄りに引っ掛け爪を、中央部にスナップフィット部を、前記供給口側にねじ止め部を設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項39】
請求項38の液体収納容器において、前記スナップフィット部が、係合用の穴よりスナップフィット体の背面を大きくして内部を見えなくしてなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項40】
請求項1から39のいずれかの液体収納容器において、前記供給口の開口周囲にリブを突設し、前記供給口に外部から接触しづらくしてなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項41】
請求項1から40のいずれかの液体収納容器において、前記供給口が臨む前記ケースの面を傾斜させて形成し、該面を下にして置けないようにしてなることを特徴とする液体収納容器。
【請求項42】
請求項1から41のいずれかの液体収納容器において、前記ケースの外周面の断面形状を山形としたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項43】
請求項1から42のいずれかの液体収納容器を用いたことを特徴とするインク供給装置。
【請求項44】
請求項1から43のいずれかの液体収納容器を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項45】
請求項43のインク供給装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項46】
請求項44または45の画像形成装置において、装置本体のカバーで前記液体収納容器のケースの一端側を押して半差しを防止する機構を形成してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項47】
請求項46の画像形成装置において、前記装置本体のカバーに前記液体収納容器のケースを押すための弾性体からなるボスを設けて半差し防止機構を形成してなることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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