説明

液体収納容器

【課題】キャップを液体収容部から取外す際のキャップの液体収容部に対する相対的な変位のそのままの勢いでキャップが液体収容部から離れることが抑えられるキャップ及び液体収納容器を提供する。
【解決手段】液体収納容器20は、液体供給口23を覆って配置されるキャップ10を有している。液体収納容器20は、液体収納容器20とキャップ10との間で相対的な変位があったときに、破断されてキャップ10が液体収納容器20から取り外される溶着リブ14を有している。そして、液体収納容器20は、液体収納容器20とキャップ10との間で相対的な変位があったときに、キャップ10の液体収納容器20から離間する方向への変位を規制する突起21を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を貯留し、キャップによって密封する液体収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においては、インクを貯留するインクタンクがインクジェット記録装置に取り外し可能に取り付けられ、インクタンクから記録ヘッドにインクを供給する形式のものが採用されているものがある。このようにインクジェット記録装置に取り外し可能に取り付けられるインクタンクは、取り付けられた際にインク流路を介して記録ヘッドにインクを供給できるように、記録ヘッドに連通するインク供給口が形成されているものがある。インクタンクは、市販される前の流通の際におけるインクの増粘を防ぐため、外気との接触を抑えるために、インク供給口にキャップが取り付けられている形式のものがある。
【0003】
このようにインク供給口にキャップが取り付けられたインクタンクの一例として、特許文献1に開示されているものがある。特許文献1に開示されているインクタンクでは、インク供給口を覆うキャップの縁部とインクタンクにおけるインク収容部との間の当接部が部分的に溶着されている。また、キャップの内部に設けられた弾性部材が、キャップの内部でインクタンクにおけるインク供給口を覆い、インク供給口を封止している。
【0004】
このようなインクタンクでは、キャップをインクタンクに対して回転させることで、キャップとインクタンクとの間の溶着部が破断される。これにより、キャップがインクタンクから取外され、インクタンクをインクジェット記録装置に設置した後にインクタンクからインク供給口を通して記録ヘッドにインクが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−291326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているインクタンク及びキャップでは、キャップの回転動作によりインク収納容器との溶着部を破断した後に、キャップがインクタンクから離れてしまうことがある。その際、キャップの内側に付着していたインクが、周囲に付着し、その部分を汚してしまう可能性がある。また、キャップがインクタンクから離れた瞬間にインクタンクのインク供給口からインクが飛散し、インクタンクの周囲をインクによって汚してしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、キャップを液体収容部から取外す際のキャップの液体収容部に対する相対的な変位のそのままの勢いでキャップが液体収容部から離れることが抑えられるキャップ及び液体収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体を内部に貯留する液体収容部と、前記液体収容部の内部に貯留されている液体を外部に供給するために前記液体収容部に開口され前記液体収容部の外部に連通する液体供給口とを有する液体収納容器であって、前記液体供給口を覆って配置されるキャップと、前記液体収容部と前記キャップとの間に形成され、前記液体収容部と前記キャップとの間で相対的な変位があったときに、少なくとも一部が破断されて前記キャップが前記液体収容部から取り外される破断部と、前記液体収容部と前記キャップとの間で相対的な変位があったときに、前記キャップの前記液体収容部から離間する方向への変位を規制する変位規制部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップを液体収納容器から取外す際に、キャップが液体収納容器から即座に離れることを抑えることができる液体収納容器を提供することができる。従って、キャップが液体収納容器から離れ、インクが周囲に飛散したりすることで周囲を汚してしまうことが抑えられ、取り扱い性に優れた液体収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態に係る液体収納容器及びキャップを示した図であり、(a)はキャップの斜視図であり、(b)は液体収納容器の斜視図であり、(c)は突起についての側面図である。
【図2】(a)は図1(a)のキャップを図1(b)の液体収納容器に取り付けたときの液体収納容器の斜視図であり、(b)はキャップを回動させたときの液体収納容器の斜視図である。
【図3】図2(a)の液体収納容器を記録装置に取り付ける際の状態を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る液体収納容器及びキャップを示した図であり、(a)はキャップの斜視図であり、(b)は液体収納容器の斜視図である。
【図5】(a)は図4(a)のキャップを図4(b)の液体収納容器に取り付けたときの液体収納容器の斜視図であり、(b)はキャップを回動させたときの液体収納容器の斜視図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る液体収納容器及びキャップを示した図であり、(a)はキャップの斜視図であり、(b)は液体収納容器の斜視図である。
【図7】(a)は図6(a)のキャップを図6(b)の液体収納容器に取り付けたときの液体収納容器の斜視図であり、(b)はキャップを回動させたときの液体収納容器の斜視図である。
【図8】(a)は図6(b)のA−A線に沿う断面図であり、(b)は他の実施形態のキャップ側係合突部と液体収容部側係合凹部との間の係合部の断面図であり、(c)はさらに他の実施形態のキャップ側係合突部と液体収容部側係合凹部との間の係合部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
(第一実施形態)
図1に、本発明の第一実施形態に係る液体収納容器及びその液体収納容器に取り付けられるキャップについて示した斜視図を示す。本実施形態では、液体収納容器は、記録装置に用いられ、一旦インクを貯留して記録ヘッドにインクを供給するインクタンクとして用いられる。
【0012】
図1(a)には、本実施形態の液体収納容器20に取り付けられるキャップ10についての斜視図が示されている。図1(b)には、液体収納容器20についての斜視図が示されている。図1(c)には、液体収納容器20に形成された突起21について拡大して示した側面図が示されている。
【0013】
図1(a)に示されるように、キャップ10には、後述する液体収納容器20の液体供給口23を覆うキャップ部分15と、レバー部分16とを有して構成されている。液体収納容器20の液体供給口23が円形に形成されているので、液体供給口23を覆うように、キャップ部分15は円筒状に形成されている。また、キャップ部分15を回動させることが可能なように、キャップ部分15にレバー部分16が形成されている。また、キャップ部分15における液体供給口23を覆う部分の周囲には、溶着リブ14が形成されている。また、キャップ10には、後述する液体収納容器20に形成された突起21と当接する当接部材11が形成されている。当接部材11には、突起21と当接する際に、突起21を内部に受け入れ突起21を保持するための切り込み部11aが形成されている。
【0014】
図1(b)に示されるように、液体収納容器20には、内部に液体を貯留し、直方体状に形成された液体収容部30を有している。液体収納容器20は、液体収容部30の内部に貯留されている液体を外部に供給するために液体収容部30に開口され、液体収容部30の外部に連通する液体供給口23を有している。本実施形態では、液体供給口23は円形に形成されている。また、液体供給口23が液体収容部30から突出した位置に形成されるように、液体供給口23と液体収容部30との間には、円筒状の流路24が形成されている。
【0015】
また、図1(c)に示されるように、直方体状の液体収容部30を形成する面のうち、液体供給口23の形成された面には、突起(変位規制部材)21が形成されている。突起21は、台部31と、台部31よりも液体収納容器20の外側(D1)に配置された頂部32とを有している。頂部32は、液体収容部30から外側に向かう方向(D1)に直交する方向(D2)へ、台部31から少なくとも一部が突出している。本実施形態では、頂部32は、突起21から液体供給口23へ向かう方向とは逆側の方向に台部31から突出して形成されている。
【0016】
液体収納容器20が流通する際には、液体収納容器20にキャップ10が取り付けられた状態で出荷される。液体収納容器20が出荷されて流通する際に液体収納容器20にキャップ10が取り付けられることで、液体収納容器20の内部に貯留された液体が外気に晒されて液体の特性が変化してしまうことが抑えられる。特に、液体収納容器20がインクタンクとして用いられる場合には、インクタンクの内部に貯留されているインクが外気に晒されることで増粘し、内部のインクの品質が低下してしまうことを抑えることができる。キャップ10が取り付けられた状態の液体収納容器20についての斜視図を図2(a)に示す。キャップ10は、キャップ部分15が液体収納容器20の液体供給口23を覆って溶着リブ14による溶着部(破断部)が液体収容部30に溶着されることで、液体収納容器20に取り付けられる。キャップ20が液体収納容器20に取り付けられた状態では、突起21がキャップ10の当接部材11に形成された切り込み部11aの中心に位置している。
【0017】
液体収納容器20がインクタンクとして用いられ記録装置に設置されるために液体収納容器20が開封される際には、キャップ10が液体収納容器20から取外される。液体収納容器20からキャップ10を取外す際には、キャップ10のレバー部分16がユーザの指によって押されることで、キャップ10を液体収納容器20に対して回動させる。このとき、キャップ10の回動によって液体収納容器20の突起21がキャップ10の当接部材11に当接するまでキャップ10の回動が行われる。キャップ10を回動させることでキャップ10と液体収納容器20との間で相対移動が生じ、これによって溶着リブ14による溶着部が剪断によって破断される。このように、液体収納容器20とキャップ10との間で相対的な変位があったときに、これらの間の溶着部の少なくとも一部が破断されて、キャップ10が液体収納容器20から取り外し可能な状態になる。特に、本実施形態では、キャップ10のキャップ部分15が円形の液体供給口23を覆うように円筒状に形成されているので、液体供給口23における中心を軸にキャップ10を回動させることで、液体収納容器20とキャップ10との間で相対的な変位を行わせる。本実施形態では、キャップ10を液体収納容器20に対して相対的に回動させる角度が90度に到達しないような角度で、突起21が当接部材11に当接するように構成されている。
【0018】
キャップ10が回動され、キャップ10と液体収納容器20との間に相対的な変位が生じた際の液体収納容器20の斜視図を図2(b)に示す。本実施形態では、図2(b)に示されるようにキャップ10が液体収納容器20に対して相対的に移動した際には、キャップ10と液体収納容器20との間の溶着リブ14による溶着部は全て破断されている。そして、このようにキャップ10と液体収納容器20との間の溶着部を破断させるために一旦キャップ10と液体収納容器20との間で相対的な変位があったときには、突起21の台部31と頂部32との間に当接部材11が入り込む構成になっている。本実施形態では、当接部材11に形成された切込み部11aの最も深い位置で突起21が当接部材11と当接するまでキャップ10が液体収納容器20に対して回動される。このとき、突起21の台部31と頂部32との間で、当接部材11が液体収納容器20の外側の方向(D1)に変位しないように、頂部31によって当接部材11の一部が覆われて当接部材11が保持されている。これにより、突起21と当接部材11とが、キャップ10が液体収納容器20から離間する方向への変位を規制している。
【0019】
また、本実施形態では、突起21が当接部材11と当接したときには、突起21が当接部材11に形成された切込み部11aの内部で保持される構成となっている。従って、突起21が当接部材11と当接したときに、キャップ10による液体収容部30から外側に向かう方向に直交する方向(D2)への変位が規制される。
【0020】
また、本実施形態では、突起21が当接部材11と当接することによって、キャップ10による液体供給口23における中心を軸にした液体収納容器20に対する相対的な回動における回転角度が90度よりも小さくなるように液体収納容器20が構成されている。このように、突起21と当接部材11とによって、液体収納容器20とキャップ10との間の相対的な回動の際の回転角度が規制されている。これにより、キャップ10の液体収納容器20からの取り外しの際に、レバー部分16を回動させる角度が少なくて済み、取り外しの際に必要なスペースが少なくて済む。そのため、液体収納容器が記録装置に設置されたままレバー部分16を回動させて操作を行う形式のものである場合には、記録装置を小型化させることができる。
【0021】
このように、本実施形態では、キャップ10と液体収納容器20との間の溶着部を破断させるためにキャップ10と液体収納容器20との間で相対的に変位させた際に、キャップ10による液体収容部30から外側に向かう方向への変位が規制されている。また、さらにキャップ10と液体収納容器20との間で相対的に変位させた際に、キャップ10による液体収容部30から外側に向かう方向に直交する方向への変位が規制されている。従って、溶着部を破断させるためにキャップ10と液体収納容器20との間で相対的に変位させる際に、キャップ10が液体収納容器20に確実に保持され、キャップ10が液体収納容器20に対して勢い良く変位し過ぎてしまうことを抑えることができる。従って、キャップ10と液体収納容器20との間で相対的に変位させる際に、惰性によってキャップ10が液体収納容器20から離間してしまうことを抑えることができる。これにより、キャップ10が予期しない位置に飛んでいってしまい、キャップ10の内側に付着していた液体を周囲に付着させ、周囲を汚してしまうことが抑えられる。また、キャップ10の過剰な変位によって液体収納容器20における液体供給口23が急に開放されてしまい、液体供給口23から液体が飛散してしまって、液体によって周囲を汚してしまうことを抑えることができる。このように、キャップ10と液体収納容器20との間の過剰な変位が抑えられるので、ユーザは安心して液体収納容器20を取り扱うことができ、取り扱い性に優れた液体収納容器20を提供することができる。
【0022】
液体収納容器20において、図2(a)に示される状態から図2(b)に示される状態にキャップ10が回動されることで、キャップ10と液体収納容器20との間の溶着部が破断される。この後、再び液体収納容器20において、図2(b)に示される状態から図2(a)に示される状態にキャップ10の液体収納容器20に対する相対的な位置が元に戻される。キャップ10の位置が元に戻されると、液体収納容器20の突起21は、再びキャップ10の当接部材11に形成された切り込み部11aの中心に位置する。突起21が切り込み部11aの中心に移動すると、頂部31によって当接部材11の一部が覆われ当接部材11が挟まれて保持されていた液体収容部30から外側に向かう方向(D1)への係合状態が解かれる。また、同時に、当接部材11による、突起21に対する、液体収容部30から外側に向かう方向に直交する方向(D2)への係合状態が解かれる。
【0023】
このように、キャップ10の位置が元に戻ることで、液体収納容器20とキャップ10との間の相対的な位置関係が、破断部の破断される前のキャップ10が液体収納容器20に取り付けられている状態の位置関係と同じ位置関係となる。そのときには、キャップ10による液体収納容器20から離間する方向への変位が許容される。これにより、キャップ10が液体収納容器20から取外されることが可能となる。キャップ10を液体収納容器20から取外す際には、キャップ10を挿入方向とは逆方向に引き抜くことで、キャップ10が液体収納容器20から取外される。
【0024】
液体収納容器20からキャップ10が取外されると、液体収納容器20がインクタンクとして使用される場合には、例えば、液体収納容器20は、図3に示されるようにインクジェット記録装置100に取り付けられたキャリッジ33内に設置される。液体収納容器20がキャリッジ33に設置されると、液体収容部30と、インクジェット記録装置100における記録ヘッド34とが、液体供給口23を介して連通する。従って、液体収容部30の内部に貯留されているインクとしての液体を、インクジェット記録装置100における記録ヘッド34に供給することが可能となる。記録ヘッド34に供給された液体は、記録ヘッド34によって記録媒体に吐出されて、記録媒体に記録が行われる。
【0025】
本実施形態の液体収納容器20及びキャップ10によれば、液体収納容器20におけるキャップの取り付け位置にねじ山及びねじ溝を形成せずに、キャップによる過剰な変位を抑えることができる。従って、簡単な構成によって、キャップ10の過剰な変位を抑えることができる液体収納容器を提供することができる。液体収納容器20におけるキャップの取り付けをねじによって行う場合、キャップ10による過剰な変位を抑えることはできるが、液体収納容器20の製造の際には、予めねじを形成し、組み立ての際にねじを締める工程が必要になる。従って、液体収納容器20内部にインクを密閉し、液体収納容器を組み立てるのに工程が煩雑になり、製造の際の歩留まりが低下する可能性がある。本実施形態では、キャップ10を液体収納容器20における液体供給口23を覆う方向にキャップ10を移動させて液体収納容器20に当接させ、溶着部を溶着させれば済むので、製造工程が比較的簡易である。そのため、液体収納容器20の製造上の歩留まりを向上させることができ、製造コストを低く抑えることができる。
【0026】
なお、本実施形態では溶着リブ14はキャップ10に形成されていることとしたが、本発明はこれに限定されない。液体収納容器20側に形成されていても良い。溶着部が、液体収納容器20とキャップ10との間に形成されていれば良い。また、本実施形態では液体収納容器20とキャップ10との間は溶着されていることとしたが、本発明はこれに限定されない。キャップ10が液体収納容器20に取り付けられ、液体収納容器20が使用される際にキャップ10が取外されるような構成であれば、他の形式の取り付けであっても良い。
【0027】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る液体収納容器及びその液体収納容器に取り付けられるキャップについて説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0028】
図4(a)に、第二実施形に係るキャップ10’についての斜視図を示す。また、図4(b)に、第二実施形に係る液体収納容器20’についての斜視図を示す。第二実施形態では、キャップ10’の液体収納容器20’からの取り外しの際に、液体収納容器20’に形成された液体収容部側係合突部22と、キャップ10’に形成され液体収容部側係合突部22を受け入れるキャップ側係合凹部12とが係合される。これらの間の係合によって、キャップ10’が液体収納容器20’から取外される際に、キャップ10’が液体収納容器20’から離れてしまうことが抑えられる。
【0029】
図4(a)に示されるように、キャップ10’のキャップ部分15における内側には、液体収納容器20に形成された液体収容部側係合突部22を受け入れるための溝として、キャップ側係合凹部12が形成されている。キャップ側係合凹部12は、一旦キャップ部分15における液体収納容器20と当接する当接面15aからキャップ10’の挿入方向にある程度の深さまで形成され、そこから内周に沿ってキャップ部分15の円周方向の一方に延びて形成されている。また、図4(b)に示されるように、液体供給口23における開口部分と液体収容部30との間の流路24の壁面には、流路24を形成する壁面から突出して液体収容部側係合突部22が形成されている。そして、キャップ10’のキャップ部分15が液体収納容器20’の液体供給口23を覆った状態で、液体収納容器20’の液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12に受け入れられてキャップ10’と液体収納容器20’との間の溶着部が溶着される。
【0030】
第二実施形態のキャップ10’が液体収納容器20’に取り付けられた際の、液体収納容器20’の斜視図を図5(a)に示す。キャップ20’が液体収納容器20’に取り付けられた状態では、液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12内に位置している。この状態では、液体収容部側係合突部22は、キャップ側係合凹部12内におけるキャップ部分15と液体収納容器20との間の当接面15aからキャップ10’の挿入方向に延びている部分に位置している。
【0031】
この状態からキャップ10’を液体収納容器20’から取外す際には、キャップ10’を、液体収納容器20’の液体供給口23の中心軸周りに回動させる。キャップ10’を液体収納容器20’に対して回動させた際の液体収納容器20’についての斜視図を図5(b)に示す。このとき、液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12に受け入れられたまま、液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12に沿ってキャップ側係合凹部12の内部を移動する。このように、液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12の内部を移動しながら、キャップ10’が液体収納容器20’に対して相対的に回転移動する。このときのキャップ10’と液体収納容器20’との間の相対的な回転移動により、キャップ10’と液体収納容器20’との間の溶着部が破断される。
【0032】
このように、溶着部が破断するような液体収納容器20’とキャップ10’との間の相対的な変位が起こったときに、キャップ側係合凹部12の内部に液体収容部側係合突部22が受け入れられている。これにより、液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12内に保持され、キャップ10’による液体収容部20’から離間する方向への変位が規制されている。従って、本実施形態では、キャップ10’と液体収納容器20’との間の溶着部を破断させる際にキャップ10’を液体収納容器20’に対して過剰な力で回動させたとしても、液体収容部側係合突部22がキャップ側係合凹部12内に保持されている。そのため、キャップ10’の変位の際の惰性によってキャップ10’が液体収納容器20から離間してしまうことを抑えることができる。これにより、キャップ10’が予期しない位置に飛んでいってしまうことが抑えられる。また、キャップ10’の過剰な変位によって液体収納容器20’における液体供給口23が急に開放されてしまい、液体供給口23から液体が飛散することを抑えることができる。
【0033】
また、本実施形態では、液体収納容器20’の形状により、キャップ10’の取り外しの際のキャップ10’による液体収納容器20’の相対的な回転動作が一方向のみでしか許容されない。キャップ側係合凹部12が一方向のみにしか形成されていないので、キャップ10’による回動方向が一方向に規制される。これにより、ユーザの意図した方向と逆方向への回動動作を抑制することができる。
【0034】
キャップ10’を液体収納容器20’に対して相対的に移動させてキャップ10’と液体収納容器20’との間の溶着部を破断させると、キャップ10’が液体収納容器20’から取外される。キャップ10’における液体収納容器20’からの取り外しの際には、キャップ10’が図5(a)に示されるように、溶着部の破断される前のキャップ10’と液体収納容器20’との間の位置関係と同じ位置関係となるまで戻される。従って、液体収容部側係合突部22が、キャップ側係合凹部12内におけるキャップ部分15と液体収納容器20との間の当接面15aからキャップ10’の挿入方向に延びている部分に位置することになる。これにより、キャップ10’の液体収納容器20’から離間する方向への変位が許容され、キャップ10’を挿入方向とは逆方向に引き抜くことで、キャップ10’が液体収納容器20’から取外される。
【0035】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係る液体収納容器及びその液体収納容器に取り付けられるキャップについて説明する。なお、上記第一実施形態及び第二実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
図6(a)に、第三実施形に係るキャップ10’’についての斜視図を示す。また、図6(b)に、第三実施形に係る液体収納容器20’’についての斜視図を示す。
【0037】
第三実施形態では、キャップ10’’の液体収納容器20’’からの取り外しの際に、キャップ10’’に形成されたキャップ側係合突部35と、液体収納容器20’’に形成されキャップ側係合突部35を受け入れる液体収容部側係合凹部36とが係合される。これらの間の係合によって、キャップ10’’が液体収納容器20’’から取外される際に、キャップ10’’が液体収納容器20’’から離れてしまうことが抑えられる。
【0038】
図6(a)に示されるように、キャップ10’’のキャップ部分15の外側には、キャップ部分15から突出したキャップ側係合突部35が形成されている。本実施形態では、図8(a)に示されるように、キャップ側係合突部35は、キャップ側係合突部35が液体収容部側係合凹部36に挿入される方向に沿って先細になるように形成されている。特に、本実施形態では、キャップ側係合突部35におけるキャップの挿入される方向に沿った外側の面が傾斜し、キャップ側係合突部35が液体収容部側係合凹部36に挿入される方向に向かうにつれて高さが減少するように形成されている。また、本実施形態では、キャップ10’’に回転止め13が形成されている。
【0039】
また、図6(b)に示されるように、液体収容部30における液体供給口23の形成された面には、キャップ10’’のキャップ側係合突部35を受け入れるための液体収容部側係合凹部36が形成されている。そして、キャップ10’’のキャップ部分15が液体収納容器20’’の液体供給口23を覆った状態で、キャップ10’’と液体収納容器20’’との間の溶着部が溶着される。
【0040】
第三実施形態のキャップ10’’が液体収納容器20’’に取り付けられた際の、液体収納容器20’’の斜視図を図7(a)に示す。キャップ20’’が液体収納容器20’’に取り付けられた状態では、キャップ側係合突部35は液体収納部側係合凹部36に受け入れられずに、液体収納部側係合凹部36の外側に位置している。
【0041】
この状態からキャップ10’’を液体収納容器20’’から取外す際には、キャップ10’’を、液体収納容器20’’の液体供給口23の中心軸周りに回動させる。キャップ10’’を液体収納容器20’’に対して回動させた際の液体収納容器20’’についての斜視図を図7(b)に示す。キャップ10’’が液体収納容器20’’の液体供給口23の中心軸周りに回動されることで、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36に受け入れられる。このように、キャップ10’’が液体収納容器20’’に対して相対的に回転移動したときに、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36に受け入れられる。このときのキャップ10’’と液体収納容器20’’との間の相対的な回転移動により、キャップ10’’と液体収納容器20’’との間の溶着部が破断される。また、本実施形態では、キャップ10’’に回転止め13が形成されているので、キャップ10’’の取り外しの際に、キャップ10’’が、キャップ側係合突部35と液体収納部側係合凹部36とが係合する方向とは逆方向に回動されることを防ぐことができる。これにより、キャップ10’’の取り外しの際に、ユーザがキャップ10’’を逆方向に回動させてしまう誤動作が生じることを防ぐことができる。
【0042】
このように、溶着部が破断するような液体収納容器20’’とキャップ10’’との間の相対的な変位が起こったときに、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36に受け入れられる。このとき、キャップ側係合突部35は、キャップ10’’の挿入される方向に沿って、液体収納部側係合凹部36によって覆われている。これにより、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36内に保持され、キャップ10’’による液体収容部20’’から離間する方向への変位が規制されている。従って、本実施形態では、キャップ10’’と液体収納容器20’’との間の溶着部を破断させる際にキャップ10’’を液体収納容器20’’に対して過剰な力で回動させたとしても、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36内に保持される。そのため、キャップ10’’の変位の際の惰性によってキャップ10’’が液体収納容器20から離間してしまうことを抑えることができる。
【0043】
また、本実施形態では、図8(a)に示されるように、キャップ側係合突部35は、キャップ側係合突部35が液体収容部側係合凹部36に挿入される方向に沿って先細になるように形成されている。図8(a)は、図7(b)のA−A線に沿う断面図である。従って、キャップ10’’を液体収納容器20’’に対して回動させ、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36内に保持されたときに、キャップ側係合突部35が液体収納部側係合凹部36に嵌め合わされて固定される。これにより、キャップ20’’を過剰な力で回動させた際に、そのときのキャップ20’’の変位をさらに確実に抑制することができる。突起部の係合とともにキャップ開封時の離脱をより効果的に防止している。従って、キャップ10’’が液体収納容器20から離間してしまうことをさらに確実に抑えることができる。
【0044】
キャップ10’’を液体収納容器20’’に対して相対的に移動させてキャップ10’’と液体収納容器20’’との間の溶着部を破断させると、キャップ10’’が液体収納容器20’’から取外される。キャップ10’’における液体収納容器20’’からの取り外しの際には、キャップ10’’が図7(a)に示されるように、溶着部の破断される前のキャップ10’’と液体収納容器20’’との間の位置関係と同じ位置関係となるまで戻される。このときには、キャップ側係合突部35が、液体収納部側係合凹部36から外れている。従って、キャップ10’’の液体収納容器20’’から離間する方向への変位が許容され、キャップ10’’を挿入方向とは逆方向に引き抜くことで、キャップ10’’が液体収納容器20’’から取外される。
【0045】
なお、本実施形態では、キャップ側係合突部35は、キャップ側係合突部35が液体収容部側係合凹部36に挿入される方向に沿って先細になるように形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、図8(b)に示されるように、キャップ側係合突部35が直方体状に形成され、液体収容部側係合凹部36が先細になるように形成されても良い。また、図8(c)に示されるように、キャップ側係合突部35及び液体収容部側係合凹部36の両方が先細になるように形成されても良い。
【0046】
(他の実施形態)
上記実施形態においては、第三実施形態におけるキャップ側係合突部35及び液体収容部側係合凹部36が、キャップ側係合突部35の液体収容部側係合凹部36へ挿入される方向に沿って先細になるように形成されることとした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第二実施形態におけるキャップ側係合凹部12及び液体収容部側係合突部22が、液体収容部側係合突部22のキャップ側係合凹部12へ挿入される方向に沿って先細になるように形成されることとしても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、液体供給口23の開口部分は円形としたが、本発明はこれに限定されない。円形以外の正方形や長方形であっても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、キャップが液体収容部から離間する方向へのキャップと液体収納容器との間の相対的な変位を規制するための構成として、第一実施形態では、突起と当接部材との間の係合を用いる構成について説明した。また、第二実施形態及び第三実施形態では、キャップ及び液体収容部のうちの一方に形成された係合突部と、他方に形成された係合突部を受け入れる係合凹部との間の係合を用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれらに限定されず、キャップが液体収容部から離間する方向へのキャップと液体収納容器との間の相対的な変位を規制することができるのであれば、他の構成であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
10、10’、10’’ キャップ
11 当接部材
14 溶着リブ
20、20’、20’’ 液体収納容器
21 突起
23 液体供給口
30 液体収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を内部に貯留する液体収容部と、前記液体収容部の内部に貯留されている液体を外部に供給するために前記液体収容部に開口され前記液体収容部の外部に連通する液体供給口とを有する液体収納容器であって、
前記液体供給口を覆って配置されるキャップと、
前記液体収容部と前記キャップとの間に形成され、前記液体収容部と前記キャップとの間で相対的な変位があったときに、少なくとも一部が破断されて前記キャップが前記液体収容部から取り外される破断部と、
前記液体収容部と前記キャップとの間で相対的な変位があったときに、前記キャップの前記液体収容部から離間する方向への変位を規制する変位規制部材と
を有することを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記液体供給口は円形であって、
円形の前記液体供給口を覆う前記キャップは、前記液体供給口における中心を軸に回動することで、前記液体収容部と前記キャップとの間で相対的な変位を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記変位規制部材は、前記キャップによる前記液体供給口における中心を軸にした前記液体収容部に対する相対的な回動における回転角度が90度よりも小さくなるように、前記液体収容部と前記キャップとの間の相対的な回動を規制することを特徴とする請求項2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記変位規制部材は、前記液体収容部に形成され、台部と、前記台部よりも外側に配置され、前記液体収容部から外側に向かう方向に直交する方向へ前記台部から少なくとも一部が突出した頂部とを有する突起と、前記キャップに形成され、前記突起に当接する当接部材であり、
前記破断部が破断するような前記液体収容部と前記キャップとの間の相対的な変位が起こったときに、前記突起の前記頂部における前記台部から突出した部分が前記当接部材の少なくとも一部を覆って、前記キャップの前記液体収容部から離間する方向への変位を規制することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記変位規制部材は、前記液体収容部に形成された液体収容部側係合突部と、前記キャップに形成され、前記液体収容部側係合突部を受け入れるキャップ側係合凹部であり、
前記破断部が破断するような前記液体収容部と前記キャップとの間の相対的な変位が起こったときに、前記キャップ側係合凹部の内部に前記液体収容部側係合突部が受け入れられて前記キャップによる前記液体収容部から離間する方向への変位を規制することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記変位規制部材は、前記キャップに形成されたキャップ側係合突部と、前記液体収容部に形成されて、前記キャップ側係合突部を受け入れる液体収容部側係合凹部であり、
前記破断部が破断するような前記液体収容部と前記キャップとの間の相対的な変位が起こったときに、前記キャップ側係合突部が前記液体収容部側係合凹部に受け入れられて前記キャップの前記液体収容部から離間する方向への変位を規制することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容器。
【請求項7】
前記変位規制部材は、前記キャップ及び前記液体収容部のうちの一方に形成された係合突部と、他方に形成された前記係合突部を受け入れる係合凹部であり、
前記破断部が破断するような前記液体収容部と前記キャップとの間の相対的な変位が起こったときに、前記係合突部が前記係合凹部に受け入れられて前記キャップの前記液体収容部から離間する方向への変位を規制し、
前記係合突部及び前記係合凹部のうちの少なくとも一方は、前記係合突部が前記係合凹部に受け入れられる方向に沿って、先細の形状を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容器。
【請求項8】
前記液体収容部と前記キャップとの間の相対的な位置関係が、前記破断部の破断される前の前記キャップが前記液体収容部に取り付けられている状態の位置関係と同じ位置関係であるときには、前記キャップの前記液体収容部から離間する方向への変位が許容されて、前記キャップが前記液体収容部から取外されることが可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の液体収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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