説明

液体吐出ヘッド、および液体吐出ヘッドの駆動方法

【課題】高粘度インクを吐出する場合に、簡易な構成で吐出口の目詰まりを起こりにくくすることが可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】吐出口7と、液室9と、圧電アクチュエータ11と、駆動部21と、制御部31と、を有し、駆動部21は、吐出口7から液体を吐出させるための第1の電圧パルス、またはメニスカスを液室内に保持した状態でメニスカスを振動させるための第2の電圧パルスを圧電アクチュエータ11に出力し、制御部31は、駆動部21の中からインクを吐出させる駆動部21を選択し、選択した駆動部21に対して第1の電圧パルスを出力させ、選択した駆動部21以外の駆動部21に対して第2の電圧パルスを出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータを用いて液体を吐出する液体吐出ヘッド、および該液体吐出ヘッドの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録では、インクの水分による紙のカールやコックリング等の変形を抑えるために、水分量の少ない高粘度インクを吐出させる技術が検討されている。インクジェット記録では、長期間インクを吐出していないノズルの吐出口近傍のインクが増粘し、吐出口が目詰まりすることによって、吐出性能の低下や吐出不良を引き起こす現象が知られている。この現象は、単位体積当たりに多くの色材等を含有する高粘度インクを使用する場合に発生しやすい。
【0003】
吐出口の目詰まりを防ぐ方法の一つに、アクチュエータによってメニスカスを微小振動させ、吐出口近傍の増粘したインクを攪拌する、いわゆる「メニスカス振動」があり、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0004】
特許文献1には、吐出口の外側に露出したメニスカスをアクチュエータにより特定の周期で微小振動させる技術が開示されている。一方、特許文献2には、電動シリンジ等のメニスカス調整手段が、吐出口に連通した液室を減圧することによってメニスカスを吐出口の内側に引き込み、その後、メニスカスを微振動させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第03613297号公報
【特許文献2】特開2009−148927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術では、メニスカスを吐出口の外側に露出させた状態で振動させているので、インクが誤って吐出したり、インクが飛び散ったりする畏れがある。そのため、メニスカスに微小な振動しか与えられない。高粘度インクは増粘しやすいので、メニスカスの振動が微少であると吐出口の目詰まりを確実に防ぐことが困難になる。特許文献2に開示された技術では、メニスカスを吐出口の内側に引き込んだ状態で振動させているので、メニスカスに大きな振動を与えることが可能である。したがって、特許文献2に開示された技術は、特許文献1に開示された技術に比べ高粘度インクによる吐出口の目詰まりを防ぐ効果が高い。しかし、特許文献2に開示された技術では、インクを吐出するための圧電素子とは別にメニスカス調整手段がインクタンクと記録ヘッドとを接続する流路に設けられている。そのため、メニスカス調整手段の機構が別途必要となり構成が複雑、装置が大型化する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、高粘度インクを吐出する場合に、簡易な構成で吐出口の目詰まりを起こりにくくすることが可能な液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドの駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明に係る液体吐出ヘッドは、インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有し、前記駆動部は、前記吐出口から液体を吐出させるための第1の電圧パルス、またはメニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるための第2の電圧パルスを前記圧電アクチュエータに出力し、前記制御部は、前記駆動部の中から前記インクを吐出させる駆動部を選択し、選択した駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させ、前記選択した駆動部以外の駆動部に対して前記第2の電圧パルスを出力させる。
【0009】
上述した目的を達成するために本発明に係る液体吐出ヘッドの駆動方法は、液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、第1の電圧パルスが入力されると液体を吐出するように動作し、第2の電圧パルスが入力されると前記メニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるように動作する圧電アクチュエータと、前記第1の電圧パルスおよび前記第2の電圧パルスを出力する駆動部と、を有する液体吐出ヘッドを用意する第1のステップと、前記駆動部の中から前記液体を吐出させる駆動部を選択し、選択した駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させる第2のステップと、前記第2のステップに並行して、前記選択した駆動部以外の駆動部に対して前記第2の電圧パルスを出力させる第3のステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インクを吐出し記録を行うための圧電アクチュエータによりメニスカスを液室内に保持した状態で振動させることができる。そのため、メニスカスを大きく振動させても液体が吐出されることがなく、効果的に吐出口の目詰まりを回復させることが簡易な構成で達成できる。よって、高粘度インクを吐出する場合に、簡易な構成で吐出口の目詰まりを起こりにくくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1の液体吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の要部構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1の液体吐出ヘッドの構成を示す図である。
【図3】図2に示す液体吐出ヘッドの電気的な制御構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示す液体吐出ヘッドで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。
【図5】図2に示す液体吐出ヘッドにおけるインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【図6】本発明を適用可能な他の液体吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態2の液体吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【図8】図7に示す液体吐出ヘッドで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。
【図9】図7に示す液体吐出ヘッドにおけるインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態3の液体吐出ヘッドで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。
【図11】本発明の実施形態3の液体吐出ヘッドにおけるインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態4の液体吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す液体吐出ヘッドで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。
【図14】図12に示す液体吐出ヘッドにおけるインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【図15】図12に示す液体吐出ヘッドの他の形態を説明するための図である。
【図16】本発明の実施形態5の液体吐出ヘッドで用いられる、吐出するノズルに対する電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。
【図17】本発明の実施形態5の液体吐出ヘッドで用いられる、吐出しないノズルに対する電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。
【図18】本発明の実施形態5の液体吐出ヘッドにおける、吐出するノズルのインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【図19】図16(b)で示した電圧パルスの駆動波形が、吐出するノズルの後方圧電素子に入力されなかった場合のインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【図20】本発明の実施形態5の液体吐出ヘッドにおける、吐出しないノズルのインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の液体吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の要部構成を示す図である。図1に示すインクジェット記録装置は、搬送ローラー3に張架された無端ベルト状の搬送ベルト4の上に記録媒体2を載置し、搬送ベルト4を駆動して記録媒体2を搬送方向(矢印X参照)に走査する。図1に示すインクジェット記録装置は、インクタンク6からポンプによってインクが供給される4つの液体吐出ヘッド1aを有する。各液体吐出ヘッド1aは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の4色のインクに対応し、記録媒体2の搬送方向に並置されている。記録媒体2を搬送方向に搬送しながら各液体吐出ヘッド1aから各色のインクを吐出させることによって、高速にフルカラー記録を行う。
【0013】
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッドの構成を示す図である。図2(a)は、液体吐出ヘッド1aをインクの吐出口側から見た平面図である。図2(b)は、図2(a)に記載の切断線A−Aに沿った断面図である。図3は、図2に示す液体吐出ヘッドの電気的な制御構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態の液体吐出ヘッド1aは、図2(a)に示すように、複数の吐出口7が形成された吐出口プレート8を有する。複数の吐出口7は、記録媒体2の幅に対応させて配列されている。本実施形態において、各吐出口7は、直径d(図2(a)参照)が17μmの丸穴である。吐出口プレート8の厚みt(図2(b)参照)は、17μmである。
【0015】
各吐出口7には、液室9が個別に連通している。各液室9の寸法は、長さLが6000μmであり、幅が100μmであり、高さHが200μmである(図2(b)参照)。各液室9は、幅30μmの狭窄部20を通じて共通液室10に連通している。
【0016】
液室9の壁部には、吐出口7から液体(インク)を吐出するためのエネルギーを発生する圧電アクチュエータ11が設けられている。本実施形態において、圧電アクチュエータ11は、ベンドモードタイプの圧電素子11aと、圧電素子11aが取り付けられた振動板11bとを有する。圧電素子11aは、駆動部21(図3参照)によって駆動される。駆動部21は、制御部31(図3参照)の制御に従って、圧電アクチュエータ11に吐出口7からインクを吐出させるための電圧パルスP1(第1の電圧パルス、図4参照)を圧電素子11aに出力する。電圧パルスP1が入力された圧電素子11aは、振動板11bを、液室9の内側(図2(b)矢印B参照)に変形させた後に、初期状態へ復帰させる。すると、液室9が収縮することによって、インクが吐出口7から吐出され、記録を行う。本実施形態で使用したインクは、クリアインク(PEG600を66%、純水を33%、界面活性剤を1%)である。インクの粘性は40× 10-3Pa・s(室温値)であり、インクの表面張力は38×10-3N/m(室温値)である。
【0017】
次に、本実施形態の液体吐出ヘッド1aの動作について説明する。図4は、本実施形態の液体吐出ヘッド1aで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。図4では、横軸は時間を示し、縦軸は、駆動部21から圧電素子11aに入力される駆動電圧を示す。
【0018】
インクジェット記録装置の本体から記録内容を示す記録情報が制御部31に入力されると、制御部31は、その記録情報に基づいて、複数の吐出口7からインクを吐出させる吐出口を選択する。続いて、制御部31は、選択した吐出口に対応する駆動部21に、上述した電圧パルスP1を圧電素子11aに出力する記録動作を行わせる。
【0019】
上記の記録動作と並行して、制御部31は、インクを吐出させない吐出口に対応する駆動部21(選択した駆動部以外の駆動部)に対し、圧電素子11aに第2の電圧パルスを入力させ、液室9のインクを撹拌する回復動作を行わせる。以下、この回復動作の内容と、回復動作に伴うインクのメニスカス12の挙動について説明する。図5は、本実施形態の液体吐出ヘッドにおけるインクのメニスカス12の挙動を説明するための図である。
【0020】
回復動作が行わる前の初期状態では、インクのメニスカス12は、吐出口7に位置している(図5(a)参照)。回復動作の最初の期間t1(図4参照)では、駆動部21は、制御部31の制御に従って、圧電素子11aに、基準電圧よりも低い電圧を印加する。すると、振動板11bが液室9の外側に反った形状に変形することによって液室9は膨張する。液室9の膨張に伴いメニスカス12は、吐出口7から液室9内へ引き込まれる(図5(b)参照)。
【0021】
期間t2(図4参照)では、メニスカス12が吐出口7へ戻ってしまうのを防ぐために、駆動部21が、圧電素子11aに、期間t1で印加した電圧よりも低い電圧を印加する(図4参照)。これにより、液室9は緩やかに膨張し続け、メニスカス12は液室9内に保たれる(図5(c)参照)。
【0022】
期間t3(図4参照)では、駆動部21は、圧電素子11aに、電圧パルスP2を複数回連続して出力する(図4参照)。圧電素子11aに電圧パルスP2が入力されるごとに、振動板11bは、液室9の外側(図2(b)矢印C参照)に往復運動(振動)する。振動板11bの往復運動に伴い、メニスカス12が振動する(図5(c)〜(e)参照)。
【0023】
期間t4(図4参照)では、液室9を元の状態に戻すために、液室9を収縮させ、メニスカス12を初期状態へと復帰させている。メニスカス12は、一度吐出口7の外側へ突き出した後(図5(f)参照)、やがて初期状態(図5(a))に戻る。
このように本実施形態では、記録を行うための吐出と、回復を行うための動作とを圧電アクチュエータ11によって行うことで簡易なシステムとすることが可能となる。またメニスカスの振動の動作をポンプ等の部材ではなく、メニスカスが形成される吐出口に近い位置にあるアクチュエータ11で行うことで、応答性の良いメニスカス振動を行うことが可能となる。
【0024】
また本実施形態では、インクを吐出させない吐出口7に対応する駆動部21が電圧パルスP2を出力する回復動作が、インクを吐出させる吐出口7に対応する駆動部21が電圧パルスP1を出力する記録動作に並行して行われている。そのため、記録中に、インクを吐出させない吐出口7に連通する液室9内のインクを撹拌できるので、長時間吐出動作が行われないノズルが存在しても、吐出口7の目詰まりを回復させることができる。また、メニスカス12を液室9側に保持した状態で振動させることができるので、メニスカス12を大きく振動させても液体が吐出されることがなく、効果的に吐出口7の目詰まりを回復させることができる。よって、高粘度インクを吐出する場合に、吐出口7の目詰まりを起こりにくくすることが可能となる。
【0025】
さらに、本実施形態では、圧電アクチュエータ11が、インクを吐出させる機能と、液室9内のインクを撹拌させる(メニスカス12を振動させる)機能を有している。そのため、吐出口7のインクの目詰まりを防ぐために新たな部品が不要なので、コストパフォーマンスに優れている。
【0026】
本実施形態の液体吐出ヘッド1aは、図2(b)に示すように吐出口7が液室9の延在方向(インクの流れ方向)に沿って開口した、いわゆる「エッジシュータ型ヘッド」である。しかし、本発明は、図6に示すように吐出口7が液室9の延在方向に直交する方向に開口した、いわゆる「サイドシュータ型ヘッド」であってもよい。
【0027】
また、本実施形態では圧電素子11aとしてベンドモードの圧電素子を用いたが、プッシュモードやシェアモード、あるいはグールドタイプの圧電素子を用いてもよい。
【0028】
(実施形態2)
図7は、本実施形態の液体吐出ヘッド1aの構成を示す断面図である。実施形態1の液体吐出ヘッド1aと同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0029】
本実施形態の液体吐出ヘッド1bでは、図7に示すように、吐出口7の内周面に、インクをはじく撥液層15が形成されている。
【0030】
本実施形態においても、実施形態1と同様に回復動作が行われる。以下、本実施形態の液体吐出ヘッド1aの回復動作と、この回復動作に伴うインクのメニスカス12の挙動について説明する。図8は、本実施形態の液体吐出ヘッド1bで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。図8では、横軸は時間を示し、縦軸は、駆動部21から圧電素子11aに入力される駆動電圧を示す。図9は、本実施形態の液体吐出ヘッド1bにおけるインクのメニスカス12の挙動を説明するための図である。
【0031】
回復動作が行われる前の初期状態では、吐出口7の内周面に撥液層15が形成されているため、メニスカス12は吐出口7の液室9側の開口端に保持されている(図9(a)参照)。まず、駆動部21が、圧電素子11aに、台形波の電圧パルスP2を出力する。電圧パルスP2が圧電素子11aに入力されると、振動板11bが液室9の外側に振動する。これにより、メニスカス12は、液室内に引き込まれた後、元の位置へと復帰する(図9(b)、(c)参照)。そして、次の電圧パルスP2により、メニスカス12は、再び液室9内に引き込まれる(図9(d)参照)。本実施形態では、このような振動を3回繰り返している。このメニスカス12の振動により、色材や界面活性剤の拡散を促進させ、また、色材や界面活性剤により形成された膜を破壊する。
【0032】
3回目の電圧パルスP2の出力が終了すると、メニスカス12は、共通液室10側からのインクの流れにより吐出口7へと移動し(図9(e)参照)、やがて図9(f)の初期状態へと戻る。
【0033】
本実施形態では、周期T(図8参照)が2μs、振幅V(図8参照)が15Vの電圧パルスP2を圧電素子11aに入力すると、メニスカス12は約14μmの振幅で振動した。この振動により、インクの増粘による吐出口7の目詰まりからノズルを回復させることができた。
【0034】
本実施形態では周期Tが2μs、即ち周波数が50kHzの電圧パルスP2を用いた。メニスカス12の振動する速度は、速い方が効果的にノズルを回復させることができるため、電圧パルスP2の周波数は、数10kHz、あるいはそれ以上であることが好ましい。
【0035】
本実施形態によれば、吐出口7の内周面に撥液層15が形成されているため、回復動作の際にメニスカス12に大きな振動を加えても、メニスカス12が吐出口7から誤って吐出したり、飛び散ったりする現象が起こりにくくなる。
【0036】
(実施形態3)
本実施形態の液体吐出ヘッドについて説明する。本実施形態の液体吐出ヘッドの構成は、実施形態2の液体吐出ヘッド1bと同様である。以下、実施形態2の液体吐出ヘッド1bと相違する点について詳しく説明する。
【0037】
図10は、本実施形態の液体吐出ヘッド1bで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。図10では、横軸は時間を示し、縦軸は、駆動部21から圧電素子11aに入力される駆動電圧を示す。図11は本実施形態の液体吐出ヘッド1bにおけるインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【0038】
回復動作が行われる前の初期状態では、吐出口7の内周面に撥液層15が形成されているので、実施形態2と同様に、メニスカス12は吐出口7の液室9側の開口端に保持されている(図11(a)参照)。
【0039】
回復動作の初期期間u1(図10参照)では、駆動部21が、圧電素子11aに、基準電圧よりも低い電圧を印加することによって、液室9を膨張させる。これにより、メニスカス12は、液室9の内部(奥)へさらに引き込まれる(図11(b)参照)。
【0040】
期間u1の後の期間u2(図10参照)では、駆動部21が、圧電素子11aに、実施形態2と同様に電圧パルスP2を3回連続して出力する。これにより、メニスカス12は、振動する(図11(b)〜(d)参照)。
【0041】
期間u2の後の期間u3(図10参照)では、液室9を元の状態に戻すために、液室9を収縮させ、メニスカス12を初期状態へと復帰させている。メニスカス12は、共通液室10側からのインクの流れにより吐出口7へと移動し(図11(e)参照)、やがて初期状態に戻る(図11(f)参照)。
【0042】
本実施形態によれば、メニスカス12が吐出口7の液室9側の開口端に保持された状態から、メニスカス12をさらに液室9内へと引き込んだ後に振動させる。そのため、誤って吐出してしまったり、インクが飛び散ったりしてしまう可能性がさらに低くなり、より大きな振幅でメニスカス12を振動させることができる。よって、より効果的にインクの増粘による吐出口7の目詰まりからノズルを回復させることができる。
【0043】
(実施形態4)
図12は、本実施形態の液体吐出ヘッドの構成を示す断面図である。上述した各実施形態の液体吐出ヘッドと同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
本実施形態の液体吐出ヘッド1cには、前方圧電素子13と、前方圧電素子13よりも吐出口7から離れて振動板11bに取り付けられている後方圧電素子14とが配置されている。本実施形態において、前方圧電素子13および後方圧電素子14は、上述した圧電素子11aと同様にベンドモードの圧電素子である。前方圧電素子13および後方圧電素子14は、それぞれ異なる駆動部21によって駆動される。吐出口7の内周面に撥液層15が形成されている。各液室9の寸法は、長さが9000μmであり、幅と高さは他の実施形態と同じである。各液室9は、幅50μmの狭窄部20を通じて共通液室10に連通している。
【0045】
本実施形態においても、他の実施形態と同様に、記録動作に並行して回復動作が行われる。以下、本実施形態の液体吐出ヘッドの回復動作と、この回復動作に伴うインクのメニスカスの挙動について説明する。図13は、本実施形態の液体吐出ヘッド1cで用いられる電圧パルスの駆動波形を示すグラフである。図13では、横軸は時間を示し、縦軸は、前方圧電素子11aおよび後方圧電素子14に入力される駆動電圧を示す。図14は、本実施形態の液体吐出ヘッド1cにおけるインクのメニスカスの挙動を説明するための図である。
【0046】
回復動作が行われる前の初期状態では、吐出口7の内周面に撥液層15が形成されているため、メニスカス12は吐出口7の液室9側の開口端に保持されている(図14(a)参照)。まず、駆動部21(第2の駆動部)が、後方圧電素子14に電圧パルスP3(第3の電圧パルス)を出力する。これにより、液室9が膨張し始めるので、メニスカス12は液室9の内部へさらに引き込まれる(図14(b)参照)。続いて、別の駆動部21(第1の駆動部)が、前方圧電素子13に電圧パルスP2を出力する。これにより、メニスカス12は振動する(図14(b)〜(d)参照)。パルス幅が第2の電圧パルスよりも長い電圧パルスP3の出力が終了すると、液室9は収縮して元の状態に戻り、メニスカス12は初期状態へと復帰する。このとき、メニスカス12は、共通液室10側からのインクの流れにより吐出口7へと移動し(図14(e)参照)、やがて初期状態に戻る(図14(f)参照)。
【0047】
本実施形態では、周期が5μs、振幅が35Vの電圧パルスP2を前方圧電素子13に入力すると、メニスカス12は約25μmの振幅で振動した。この振動により、インクの増粘による吐出口7の目詰まりからノズルを回復させることができた。
【0048】
本実施形態によれば、メニスカス12を引き込む動作と振動させる動作を異なる圧電素子で行っている。そのため、同じアクチュエータを用いる他の実施形態に比べ、電圧パルスの低電圧化を図れる。これにより、圧電素子への負荷を低減し、長寿命化することができる。さらに、各々の圧電素子のサイズを小さくすることができるので、圧電素子の固有周波数が高くなり、より大きな振動を液室9内のインクに付与することが可能となる。
【0049】
本実施形態では、前方圧電素子13、後方圧電素子14としてベンドモードの圧電素子を用いたが、プッシュモードやシェアモード、あるいはグールドタイプの圧電素子を用いてもよい。
【0050】
本実施形態では、前方圧電素子13と後方圧電素子14とが1列に配列された構成であったが、図15に示すように互いに直交するように配置してもよい。
【0051】
(実施形態5)
本実施形態の液体吐出ヘッドについて説明する。本実施形態の液体吐出ヘッドの構成は、実施形態4の液体吐出ヘッド1cと同様である(図12参照)。上述した各実施形態の液体吐出ヘッドと同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、吐出したノズルで発生する残留振動と、吐出していないノズルで発生するインクの増粘による吐出口7の目詰まりと、を簡便な方法で共に解決できる構成について説明する。
【0053】
本実施形態においても、他の実施形態と同様に、記録動作に並行して回復動作が行われる。以下、図18および19を用いて本実施形態の液体吐出ヘッドの回復動作と、この回復動作に伴うインクのメニスカス12の挙動について説明する。図16(a)は、本実施形態の液体吐出ヘッド1cで用いられる、吐出して記録を行うノズルの前方圧電素子13に入力される電圧パルスの駆動波形を示す図である。図16(b)は、吐出して記録を行うノズルの後方圧電素子14に入力される電圧パルスの駆動波形を示す図である。図17(a)は、吐出しないノズルの前方圧電素子13に入力される電圧パルスの駆動波形を示す図である。図17(b)は、吐出しないノズルの後方圧電素子14に入力される電圧パルスの駆動波形を示す図である。図16および図17では、横軸は時間を示し、縦軸は、前方圧電素子13および後方圧電素子14に入力される駆動電圧を示す。図18は、本実施形態の液体吐出ヘッド1cにおける吐出するノズルのインクのメニスカス12の挙動を説明するための図である。図19は、図16(b)で示した電圧パルスの駆動波形が吐出するノズルの後方圧電素子14に入力されなかった場合のインクのメニスカス12の挙動を説明するための図である。また、図20は、本実施形態の液体吐出ヘッド1cにおける吐出しないノズルのインクのメニスカス12の挙動を説明するための図である。
【0054】
図16および図18を用いて、吐出するノズルのインクのメニスカス12の挙動について説明する。尚、点線で示したのは電圧パルスP5(第5の電圧パルス)が入力されなかった時のメニスカス12の挙動である。
【0055】
まず、インクを吐出するために、図3に示す駆動部21が、図12の前方圧電素子13にインクを吐出するための電圧パルスP4(第4の電圧パルス)を出力する(図16(a)参照)。これにより、吐出口7からインク滴16が吐出される(図18(d)参照)。
【0056】
次に、メニスカス12が吐出口7の方へ変位しているタイミングで、図3に示す駆動部21が、後方圧電素子14に電圧パルスP5の出力を開始する(図16(b)参照)。電圧パルスP5は液室9を膨張させ始めるタイミングがメニスカス12が吐出口7の方へ変位しているタイミング(図18(f)参照)である。液室9を収縮させるタイミングが残留振動によりメニスカス12が後退する(液室9の内側に移動する)タイミング(図18(g)参照)である。電圧パルスP5はメニスカス12の進行方向と反対向きにメニスカス12が動くように液室9を膨張および収縮させるので、メニスカス12の残留振動を抑制する効果が得られる。
【0057】
ここで、後方圧電素子14に電圧パルスP5を出力しなかった場合、吐出後の激しいメニスカス振動が容易には治まらないため、駆動周波数が大きく低減してしまう(図19(d)〜(h)参照)。
【0058】
次に、図17および図20を用いて、吐出しないノズルのインクのメニスカス12の挙動について説明する。
【0059】
回復動作が行われる前の初期状態では、吐出口7の内周面に撥液層15が形成されているため、メニスカス12は吐出口7の液室9側の開口端に保持されている(図20(a)参照)。吐出しないので、前方圧電素子11aには駆動電圧は入力されない(図17(a)参照)。そして、図3に示す駆動部21が、吐出するノズルに出力するのと同じタイミングで、後方圧電素子14に電圧パルスP5を出力する。これにより、メニスカス12は振動する(図20(b)〜(d)参照)。
【0060】
本実施形態によれば、吐出するノズルと吐出しないノズルの後方圧電素子14に同様の電圧パルスを入力することによって、吐出したノズルの残留振動を抑制しながら、吐出していないノズルで発生するインクの増粘による吐出口7の目詰まりを防止できる。本実施形態では、後方圧電素子14に入力する電圧パルスは、吐出するノズルおよび吐出しないノズルで同じであるため、ノズル毎に入力を切り替える必要がなく、簡便である。
【符号の説明】
【0061】
7 吐出口
9 液室
11 圧電アクチュエータ
11a 圧電素子
11b 振動板
21 駆動部
31 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記駆動部は、前記吐出口から液体を吐出させるための第1の電圧パルス、またはメニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるための第2の電圧パルスを前記圧電アクチュエータに出力し、
前記制御部は、前記駆動部の中から前記インクを吐出させる駆動部を選択し、選択した駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させ、前記選択した駆動部以外の駆動部に対して前記第2の電圧パルスを出力させる、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する前方圧電アクチュエータと、前記前方圧電アクチュエータよりも前記吐出口から離れて設けられた後方圧電アクチュエータと、前記前方圧電アクチュエータおよび前記後方圧電アクチュエータを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記駆動部は、前記吐出口から液体を吐出させるための第1の電圧パルス、またはメニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるための第2の電圧パルスを前記前方圧電アクチュエータに出力し、かつ、前記メニスカスを前記液室内に保持させるための、パルス幅が前記第2の電圧パルスよりも長い第3の電圧パルスを前記後方圧電アクチュエータに出力し、
前記制御部は、前記駆動部の中から前記インクを吐出させる駆動部を選択し、選択した駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させ、前記選択した駆動部以外の駆動部に対して前記第3の電圧パルスを出力させてから前記第2の電圧パルスを出力させる、液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記吐出口の内周面に撥液層が形成されていて、メニスカスが液室内に保持されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、第1の電圧パルスが入力されると液体を吐出するように動作し、第2の電圧パルスが入力されると前記メニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるように動作する圧電アクチュエータと、前記第1の電圧パルスおよび前記第2の電圧パルスを出力する駆動部と、を有する液体吐出ヘッドを用意する第1のステップと、
前記駆動部の中から前記液体を吐出させる駆動部を選択し、選択した駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させる第2のステップと、
前記第2のステップに並行して、前記選択した駆動部以外の駆動部に対して前記第2の電圧パルスを出力させる第3のステップと、を有する、液体吐出ヘッドの駆動方法。
【請求項5】
前記第2の電圧パルスは、前記圧電アクチュエータに前記メニスカスを前記液室内に引きこませるための電圧パルスと、該電圧パルスに連続し、前記液室内で前記メニスカスを振動させるための他の電圧パルスと、を含む、請求項4に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
【請求項6】
液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、第1の電圧パルスが入力されると液体を吐出するように動作し、第2の電圧パルスが入力されると前記メニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるように動作する前方圧電アクチュエータと、前記前方圧電アクチュエータよりも前記吐出口から離れて設けられ、パルス幅が前記第2の電圧パルスよりも長い第3の電圧パルスが入力されると前記メニスカスを前記液室内に保持させるように動作する後方圧電アクチュエータと、前記第1の電圧パルス、前記第2の電圧パルス、および前記第3の電圧パルスを出力する駆動部と、を有する液体吐出ヘッドを用意する第1のステップと、
前記駆動部の中から前記液体を吐出させる駆動部を選択し、選択した駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させる第2のステップと、
前記第2のステップに並行して、前記選択した駆動部以外の駆動部に対して前記第3の電圧パルスを出力させてから前記第2の電圧パルスを出力させる第3のステップと、を有する液体吐出ヘッドの駆動方法。
【請求項7】
インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する前方圧電アクチュエータと、前記前方圧電アクチュエータよりも前記吐出口から離れて設けられた後方圧電アクチュエータと、前記前方圧電アクチュエータを個別に駆動する第1の駆動部と、前記後方圧電アクチュエータをまとめて駆動する第2の駆動部と、前記第1および第2の駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記吐出口の内周面に、撥液層が形成され、
前記第1の駆動部は、前記吐出口から液体を吐出させるための第1の電圧パルスを前記前方圧電アクチュエータに出力し、
前記制御部は、前記第1の駆動部の中から前記インクを吐出させる第1の駆動部を選択し、選択した第1の駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させ、
前記第2の駆動部は、前記選択した第1の駆動部以外の第1の駆動部に対応する液室のメニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるための第2の電圧パルスを全ての前記後方圧電アクチュエータに出力する、液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第2の駆動部は、前記選択した第1の駆動部に対応する液室のメニスカスが前記吐出口側へ移動するタイミングで前記第2の電圧パルスを出力することによって前記液室を膨張させ、かつ、前記選択した第1の駆動部に対応する液室のメニスカスが前記液室の内側へ移動するタイミングで前記第2の電圧パルスを出力することによって前記液室を収縮させる、請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
液体を吐出する内周面に撥液層が形成されている吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、第1の電圧パルスが入力されると液体を吐出するように動作する前方圧電アクチュエータと、前記前方圧電アクチュエータよりも前記吐出口から離れて設けられ、第2の電圧パルスが入力されると液体を吐出しなかった液室において前記メニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるように動作する後方圧電アクチュエータと、前記第1の電圧パルスを出力する第1の駆動部と、前記第2の電圧パルスを出力する第2の駆動部と、を有する液体吐出ヘッドを用意する第1のステップと、
前記第1の駆動部の中から前記液体を吐出させる第1の駆動部を選択し、選択した第1の駆動部に対して前記第1の電圧パルスを出力させる第2のステップと、
前記第2のステップに続いて、全ての前記第2の駆動部に対して前記第2の電圧パルスを出力させる第3のステップと、を有する液体吐出ヘッドの駆動方法。
【請求項10】
前記第3のステップにおいて、前記選択した第1の駆動部に対応する液室のメニスカスが前記吐出口側へ移動するタイミングで前記第2の電圧パルスを出力することによって前記液室を膨張させ、かつ、前記選択した第1の駆動部に対応する液室のメニスカスが前記液室の内側へ移動するタイミングで前記第2の電圧パルスを出力することによって前記液室を収縮させる、請求項9に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
【請求項11】
インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する圧電アクチュエータと、を有する液体吐出ヘッドであって、
前記圧電アクチュエータを駆動し前記液室内を膨張させ前記吐出口に形成される液体のメニスカスを前記液室の内側に変位させ、前記メニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させる液体吐出ヘッド。
【請求項12】
インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に連通した液室と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する圧電アクチュエータと、を有する液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
前記圧電アクチュエータに第1の電圧パルスを入力し、前記液室内を膨張させ前記吐出口に形成される液体のメニスカスを前記液室の内側に変位させるステップと、
前記圧電アクチュエータに第2の電圧パルスを入力し、前記メニスカスを前記液室内に保持した状態で前記メニスカスを振動させるステップと、を有する液体吐出ヘッドの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−232575(P2012−232575A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88283(P2012−88283)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】