説明

液体吐出ヘッドのダンパー、インクジェットヘッドおよびインクジェットプリンター

【課題】液体の吐出動作を不安定にすることなく、ダンパー膜の変位方向と直交する方向で小型化を図ることができるインクジェットヘッドのダンパーを提供する。
【解決手段】インクジェットヘッドのダンパー13はダンパー室19を区画するインク貯留用凹部17とダンパー室19を備える。ダンパー室19内には圧縮コイルバネ22と受圧板24が配置されている。ダンパー膜18がダンパー室19の容積を最小にする容積最小位置18Bに達すると、ダンパー膜18が受圧板24を介して圧縮コイルバネ22を圧縮するので、圧縮コイルバネ22の弾性復帰力Fが底面17bから凹部開口17aに向う方向に働いてダンパー膜18の底面17bへの貼り付きを防止する。また、底面17bの突起23(1)が受圧板24に当接して受圧板24の底面17bの側への変位を規制するので、圧縮コイルバネ22が筒体となりダンパー室19を占有することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド内の液体供給圧力の変動を吸収あるいは緩和するダンパーに関する。また、このようなダンパーを搭載するインクジェットヘッドおよびインクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
往復移動するキャリッジに搭載されているインクジェットヘッドに対して可撓性のインクチューブを介してインクを供給する構成のインクジェットプリンターでは、キャリッジが加減速する際にインクチューブ内のインクに発生する慣性力によってインクジェットヘッド内のインク供給圧力が変動する。インク供給圧力の急激な変動はインクジェットヘッドからの安定したインクの吐出を妨げることがあるので、特許文献1に記載のインクジェットヘッドは、インクチューブとインクジェットヘッド内のインク流路との間にインクジェットヘッド内のインク供給圧力の変動を吸収あるいは緩和するためのダンパーを搭載している。
【0003】
特許文献1のダンパーは、ダンパー本体に形成された矩形の凹部と、凹部開口を対角線方向に横断する状態に掛け渡されている板バネと、板バネの上から凹部開口を塞いてダンパー室を区画している可動性のダンパー膜を備えている。凹部にはインクチューブに連通するインク流入口と、インクジェットヘッド内のインク流路に連通するインク流出口が開口しており、インクジェットヘッド内のインク供給圧力は、ダンパー膜が変位してダンパー室の容積を増減させることによって調節されている。板バネは、ダンパー本体の凹部開口を挟んだ両側に設けられた一対の板バネ固定部にその両端が固定されることにより凹部開口に架け渡されており、ダンパー膜が過度に凹部の内側に変位しないように支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−115092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示のダンパーから板バネを省略すると、ダンパー本体の凹部開口の両側に設けた一対の板バネ固定部を省略することができるので、ダンパーをダンパー膜の変位方向と直交する方向で小型化することが可能となる。
【0006】
しかし、板バネを省略すると、ダンパー膜が凹部の内側に変位したときに凹部の底面に貼り付いてしまう可能性がある。ダンパー膜が凹部の底面に貼り付くと、凹部内におけるインクの流れを滞らせるので、インクの吐出不良を発生させてしまう。そこで、板バネを省略するのと同時に、ダンパー膜の凹部内への撓み量を少なくしてダンパー膜の底面への貼り付きを防止することが考えられるが、ダンパー膜の撓み量を少なくした場合には、ダンパーにより吸収できる圧力変動の幅が小さくなるので、インクの吐出動作が不安定になる可能性がある。
【0007】
本発明の課題は、この点に鑑みて、液体の吐出動作を不安定にすることなく、ダンパー膜の変位方向と直交する方向で小型化を図ることができる液体吐出ヘッドのダンパーを提供することにある。また、このようなダンパーを備えるインクジェットヘッドおよびインクジェットプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、液体を貯留する液体貯留用凹部と、前記液体貯留用凹部の凹部開口を塞いでダンパー室を区画している可撓性のダンパー膜とを有し、前記ダンパー膜の変位によって前記ダンパー室の容積を増減させて前記液体吐出ヘッド内の液体供給圧力を調節する液体吐出ヘッドのダンパーにおいて、
前記ダンパー室内に配置されており、前記ダンパー膜を前記ダンパー室の容積が増加する方向に付勢可能な圧縮コイルバネと、
前記圧縮コイルバネの高さ寸法が密着高さ以下とならないように当該圧縮コイルバネの前記ダンパー室の容積が減少する方向への最大弾性変位量を規定している変位規制機構とを有していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ダンパー室内に圧縮コイルバネが配置されているので、ダンパー膜がダンパー室の容積を減少させる方向に変位して液体貯留用凹部の内側に撓んだ状態となったときに、ダンパー膜と液体貯留用凹部の内周面との間には隙間が形成される。また、圧縮コイルバネは、ダンパー膜をダンパー室の容積が増加する方向、すなわち、ダンパー膜を液体貯留用凹部の内周面から引き離す方向に付勢可能となっているので、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面への貼り付いてしまうことが防止される。従って、ダンパー膜の液体貯留用凹部の内周面への貼り付きに起因して液体の吐出不良が発生することを回避できる。また、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面へ貼り付くことを回避できるので、ダンパー膜の撓み量を大きく設定することが可能であり、ダンパーにより吸収可能な圧力変動の幅を大きくすることができる。よって、液体吐出ヘッドによる液体の吐出動作が安定したものとなる。さらに、圧縮コイルバネは液体貯留用凹部内に配置されており、液体貯留用凹部の外周側にバネ部材を固定するための固定部を設ける必要がないので、ダンパーをダンパー膜の変位方向と直交する方向で小型化することができる。
【0010】
また、本発明によれば、圧縮コイルバネがダンパー膜をダンパー室の容積が増加する方向に付勢可能となっているので、ダンパー膜がダンパー室の容積を増大させる方向に変位して液体供給圧力の変動を吸収あるいは緩和するときに、ダンパー膜の変位に圧縮コイルバネの付勢力(圧縮コイルバネの弾性復帰力)を利用することができ、ダンパーのコンプライアンス(基準圧力当たりの容積変化量)を大きくすることができる。従って、液体供給圧力が上昇する際の圧力変動を効率よく吸収あるいは緩和して、液体の吐出動作を安定させることが可能となる。さらに、本発明によれば、圧縮コイルバネの高さ寸法が密着高さ以下とならないように圧縮コイルバネの最大弾性変位量が規定されているので、圧縮コイルバネが、隣接しているコイル同士が密着した筒体となることが防止される。すなわち、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内側に撓んだ状態となったときに、ダンパー膜の変位によって圧縮された圧縮コイルバネが筒体となってダンパー室を占有してしまい、ダンパー室内の液体の流通を滞らせることが防止されるので、液体の吐出動作が安定する。
【0011】
本発明において、前記ダンパー膜と前記圧縮コイルバネとの間において前記圧縮コイルバネの伸縮方向に変位可能に配置されている剛体の受圧部材を有し、前記圧縮コイルバネは、前記受圧部材を介して前記ダンパー膜を付勢可能となっていることが望ましい。このようにすれば、圧縮コイルバネとダンパー膜との接触により、ダンパー膜が損傷することを防止できる。
【0012】
本発明において、前記ダンパー膜が前記ダンパー室の容積を最小容積とする容積最小位置に変位した状態では、前記ダンパー膜は、その弾性変位量が前記最大弾性変位量に達しており、前記圧縮コイルバネは、その弾性復帰力によって前記ダンパー膜を前記ダンパー室の容積を増加する方向に付勢していることが望ましい。このようにすれば、圧縮コイルバネの弾性復帰力によって、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面への貼り付いてしまうことが確実に防止される。
【0013】
本発明において、前記ダンパー膜、前記受圧部材および前記圧縮コイルバネは同軸上に配置されており、前記ダンパー膜が前記容積最小位置に変位した状態では、前記ダンパー膜は、前記圧縮コイルバネによって付勢されている前記ダンパー膜の中央部分が前記凹部開口の側に盛り上がった状態となっていることが望ましい。このようにすれば、ダンパー膜の中央部分が液体貯留用凹部の底面の側に向って窪んだ状態に変形することを回避できる。ここで、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内側に撓んだときにダンパー膜の中央部分が凹部開口の側に向って盛り上がっている状態から底面の側に向って窪んだ状態に変化すると、ダンパー膜に発生する反力によってダンパーのコンプライアンスが急激に変動してダンパー内の圧力が不安定になることがあるが、ダンパー膜の中央部分が凹部開口の側に向って盛り上がっている状態に保たれていれば、このようなコンプライアンスの急激な変動を回避できるので、液体吐出ヘッド内の液体供給圧力が安定したものとなり、液体の突出動作が安定する。
【0014】
本発明において、前記ダンパー膜が前記ダンパー室を最大容積とする容積最大位置に変位した状態では、前記圧縮コイルバネは、自由高さに達していることが望ましい。このようにすれば、ダンパー膜がダンパー室の容積を減少させる方向に変位すると、ダンパー膜の変位によって圧縮コイルバネが圧縮される。従って、ダンパー膜がダンパー室の容積を増大させる方向に変位して液体供給圧力の変動を吸収あるいは緩和するときに、常に、ダンパーの変位に圧縮コイルバネの弾性復帰力が利用され、ダンパーのコンプライアンスが大きくなる。従って、液体吐出ヘッド内の液体供給圧力が上昇する際の圧力変動を、常に、効率よく吸収あるいは緩和することができる。
【0015】
本発明において、受圧部材を圧縮コイルバネとダンパー膜の間に配置するためには、前記受圧部材は、前記ダンパー膜に取り付けられていることが望ましい。
【0016】
また、本発明において、受圧部材を圧縮コイルバネとダンパー膜の間に配置するためには、前記液体貯留用凹部の内周面から突出しており、前記受圧部材を前記圧縮コイルバネの伸縮方向に変位可能な状態で片持ちに支持する支持部材を有するように構成することもできる。
【0017】
本発明において、前記凹部開口は、円形または楕円形であり、前記ダンパー膜は、前記凹部開口に対応する円形または楕円形であり、当該ダンパー膜の周縁が前記凹部開口の周縁に密着固定されていることが望ましい。このようにすれば、ダンパー膜の形状が変位方向に対して均一あるいは均一に近いものとなるので、凹部開口およびダンパー膜を矩形とした場合と比較して、ダンパー膜の変位量を大きくすることが可能となる。この結果、ダンパーのコンプライアンスを大きくすることができるので、ダンパーによって大きな圧力変動を吸収することが可能となる。
【0018】
次に、本発明のインクジェットヘッドは、上記のダンパーを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、ダンパーをダンパー膜の変位方向と直交する方向で小型化することができるので、インクジェットヘッドの小型化を図ることができる。また、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内側に深く撓んだ場合でも、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面へ貼り付くことがなく、ダンパー室内でインクの流れが滞ることがないので、インクの突出不良を回避できる。さらに、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面へ貼り付くことを防止できるので、ダンパー膜の撓み量を大きく設定することが可能であり、ダンパーにより吸収可能な圧力変動の幅を大きくすることができる。また、インク供給圧力が上昇する際の圧力変動をダンパーによって効率よく吸収あるいは緩和できるので、インクの吐出動作が安定する。
【0020】
また、本発明のインクジェットプリンターは、
所定の走査方向に往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドにインクを供給するための可撓性の液体供給路とを有し、
前記インクジェットヘッドは、当該インクジェットヘッド内の液体流路と前記液体供給路との間に、上記のダンパーを備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、キャリッジが加減速する際に可撓性の液体供給路内のインクに発生する慣性力によってインクジェットヘッド内のインク供給圧力が変動した場合でも、このインク供給圧力の変動をダンパーによって吸収あるいは緩和できる。また、ダンパーを小型化することができるので、インクジェットヘッドを小型化し、インクジェットプリンターの小型化を図ることができる。さらに、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内側に深く撓んだ場合でも、ダンパー室内でインクの流れが滞ることがないので、インクの突出不良を回避できる。また、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面へ貼り付くことを防止できるので、ダンパー膜の撓み量を大きく設定することが可能であり、ダンパーにより吸収可能な圧力変動の幅を大きくすることができる。さらに、インク供給圧力が上昇する際の圧力変動をダンパーによって効率よく吸収あるいは緩和できるので、インクの吐出動作が安定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内側に深く撓んだ場合でも、ダンパー室内で液体の流れが滞ることがないので、インクなどの液体の突出不良を回避できる。また、ダンパー膜が液体貯留用凹部の内周面へ貼り付くことを防止できるので、ダンパー膜の撓み量を大きく設定することが可能であり、ダンパーにより吸収可能な圧力変動の幅を大きくすることができる。さらに、液体供給圧力が上昇する際の圧力変動をダンパーによって効率よく吸収あるいは緩和できるので、液体の吐出動作が安定する。また、ダンパーをダンパー膜の変位方向と直交する方向で小型化することができるので、ダンパーを備えるインクジェットヘッドおよびインクジェットプリンターの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンターの主要部分を示す説明図である。
【図2】インクジェットプリンターのインク供給系の概略構成を示す説明図である。
【図3】インクジェットヘッドの斜視図である。
【図4】インク供給路形成部のダンパー形成部分の平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したインクジェットプリンターを説明する。
【0025】
(全体構成)
図1はインクジェットプリンターの主要部分を示す説明図である。インクジェットプリンター(液体吐出装置)1はプリンターケース2を備えており、プリンターケース2の内部には、印刷領域を規定しているプラテン3が配置されている。プラテン3の上側には、インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)4およびこれを搭載したキャリッジ5が配置されている。キャリッジ5は、プリンター幅方向に架け渡したキャリッジガイド軸5aに沿って、プラテン3から右側に外れた図1において実線で示すホームポジションHPから、プラテン3の左側に外れた図1において想像線で示すアウェイポジションAPまでの間を往復移動する。インクジェットプリンター1は、不図示の記録紙搬送機構によって記録紙をプラテン3の表面に沿って搬送する搬送動作と、キャリッジ5を走査しながら記録紙に向けてインクジェットヘッド4からインクを吐出するインク吐出動作を交互に行うことによって記録紙への印刷を行う。
【0026】
(インク供給系)
図2はインクジェットプリンター1のインク供給系の概略構成を示す説明図であり、図2(a)はキャリッジ5がホームポジションHPにある状態、図2(b)はキャリッジ5がアウェイポジションAPにある状態を示す。プリンターケース2内にはインクカートリッジ装着部6が設けられ、このインクカートリッジ装着部6にインクカートリッジ7が装着されている。インクカートリッジ装着部6にはインク供給路8の上流端が接続されており、インクカートリッジ7をインクカートリッジ装着部6の装着位置に差し込むと、インクカートリッジ7とインク供給路8が連通する。インク供給路8の下流側部分は、キャリッジ5の往復移動に応じて変形可能な可撓性のインクチューブ(液体供給路)9によって構成されている。
【0027】
(インクジェットヘッド)
図3はインクジェットヘッド4の斜視図である。インクジェットヘッド4はヘッド本体部10およびインク供給路形成部11を備えている。ヘッド本体部10は、インク滴を吐出する複数のインクノズル12が配列されたノズル面12aを備えており、インクジェットヘッド4は、このノズル面12aをプラテン3の側に向けて配置されている。ヘッド本体部10の内部には、インクノズル12に連通するヘッド内流路10b(図2参照)が形成されており、ヘッド内流路10bには、インクノズル12からインクを吐出させるための圧電素子などが組み込まれている。
【0028】
インク供給路形成部11は直方体形状をしており、ヘッド本体部10に固定もしくは一体に形成されている。インク供給路形成部11の長手方向の一端側には、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力を調整するためのダンパー13が設けられている。ダンパー13にはインクチューブ9の下流端が連通している。インク供給路形成部11の短手方向のヘッド本体部10の側には、ヘッド内流路10bへ連通するインク供給部14が形成されている。インク供給部14には、異物を除去するためのフィルターが配置されている。ダンパー13とインク供給部14の間は、ダンパー13からインク供給路形成部11の長手方向の他端側に向けて延びた後にヘッド本体部10の側に屈曲するインク流路(液体流路)15によって接続されている。
【0029】
ここで、インク供給路形成部11は、ダンパー13、インク供給部14、インク流路15に対応する形状の凹部や溝を流路形成部材11aに形成し、これらの凹部や溝の上端開口を膜部材によって塞いだ構成となっている。インクチューブ9からダンパー13に流入したインクは、インク流路15を経由してインク供給部14に流入した後、フィルターを通過する。そして、インク供給部14に形成される複数のインク供給孔16を通過してヘッド本体部10のヘッド内流路10bへ流入する。
【0030】
(ダンパー)
図3、図4を参照してダンパーを説明する。図4(a)はインク供給路形成部11のダンパー13の形成部分の平面図であり、図4(b)、(c)はダンパー13の形成部分の断面図(図4(a)のX−X断面図)であり、図4(b)はダンパー膜が容積最大位置に変位した状態を示し、図4(c)はダンパー膜が容積最小位置に変位した状態を示している。ダンパー13は、インク供給路形成部11に形成した円形のインク貯留用凹部(液体貯留用凹部)17と、その凹部開口17aを塞いで取り付けられた可撓性のダンパー膜18を備えている。インク貯留用凹部17の凹部開口17aは円形であり、ダンパー膜18は凹部開口17aに対応する円形となっている。ダンパー膜18はその周縁が凹部開口17aの周縁に溶着などによって密着固定されている。インク貯留用凹部17とダンパー膜18によってダンパー室19が区画されている。
【0031】
インク貯留用凹部17は、円形の底面17bと、底面17bから離れるのに伴って径が拡大するテーパー形状の周壁17cを備えている。周壁17cにはインクチューブ9に連通しているインク流入口20と、インク流路15に連通するインク流出口21が形成されている。インク流入口20とインク流出口21は底面17bを挟んで反対側に位置している。
【0032】
ダンパー膜18は、弾性変形可能な素材から形成されており、ダンパー13が予め想定した範囲のコンプライアンス(基準圧力当たりの容積変化量)を得ることができるように、膜厚、膜平面形状、ヤング率などの特性が決定されている。ダンパー膜18は、図4(b)に示すように、インク貯留用凹部17の外側に弾性変形して撓んでダンパー室19を最大容積とする容積最大位置18Aと、図4(c)に示すように、インク貯留用凹部17の内側に弾性変形して撓んでダンパー室19を最小容積とする容積最小位置18Bの間を変位する。
【0033】
ダンパー室19内には、ダンパー膜18の変位方向に伸縮するように圧縮コイルバネ22が配置されている。インク貯留用凹部17の底面17bの中央部分からは3つの突起23(1)〜23(3)が突出しており、これらの突起23(1)〜23(3)が圧縮コイルバネ22の内側に挿入され、各突起23(1)〜23(3)が圧縮コイルバネ22の内周面の下端部分に周方向の異なる位置で当接することにより、圧縮コイルバネ22は底面17bの中央部分に固定されている。これら複数の突起23(1)〜23(3)のうちの1つの突起23(1)は、圧縮コイルバネ22の密着高さL1よりも長い高さ寸法を備えている。ここで、圧縮コイルバネ22の密着高さL1とは、圧縮コイルバネ22が圧縮されて隣接するコイル同士が密着状態となったときの高さ寸法である。
【0034】
圧縮コイルバネ22とダンパー膜18の間には受圧板(受圧部材)24が配置されている。受圧板24は、ダンパー膜18のインク貯留用凹部17の側の面の中央部分18aに取り付けられており、ダンパー膜18の変位に伴って圧縮コイルバネ22の伸縮方向に変位する。ダンパー膜18、圧縮コイルバネ22および受圧板24は同軸上に位置している。
【0035】
受圧板24は、円形の平板部25と、平板部25から底面17bの側に向って突出している円環状突部26を備えている。円環状突部26は平板部25と同軸上に形成されており、円環状突部26の内径寸法は圧縮コイルバネ22の外径寸法に対応する寸法となっている。円環状突部26の内側には圧縮コイルバネ22の上端部分が挿入された状態とされ、平板部25において円環状突部26の内側に位置している面は、圧縮コイルバネ22が当接する当接面25aとなっている。
【0036】
ここで、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力の変動を吸収あるいは緩和するためにダンパー膜18がインク貯留用凹部17の外側に撓んで容積最大位置18Aに達すると、図4(b)に示すように、受圧板24と圧縮コイルバネ22とが当接した状態で、圧縮コイルバネ22は圧縮も伸張もしていない自由高さL2となる。また、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力の変動を吸収あるいは緩和するために、ダンパー膜18が容積最大位置18Aから容積最小位置18Bの側に変位すると、ダンパー膜18が受圧板24を介して圧縮コイルバネ22を底面17bの側に付勢して、圧縮コイルバネ22を圧縮する。
【0037】
(インクジェットヘッド内のインク供給圧力の調整動作)
図2に示すように、本例のインクジェットプリンター1のインク供給系は、インクジェットヘッド4がアウェイポジションAP側に移動したときにはインクチューブ9がインクジェットヘッド4の側に引っ張られ、インクジェットヘッド4がホームポジションHP側に移動したときには、インクチューブ9がその逆の方向に押し戻される配置となっている。従って、キャリッジ5がホームポジションHPから離れる方向に移動しながら加速するか、あるいは、キャリッジ5がホームポジションHPに戻る方向に移動しながら減速するときには、インクがインクチューブ9の上流側(インクカートリッジ7の側)に慣性移動するので、インクチューブ9の下流側がダンパー13に対して負圧となり、ダンパー13からインクが流出して、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が低下する。また、インクノズル12内に残留した気泡などを排除するために、ノズル面12aを不図示のヘッドキャップによって覆って、インクノズル12からインクを吸引するインク吸引動作を行なう場合にも、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が低下した状態となる。
【0038】
インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が低下すると、ダンパー膜18は、インク貯留用凹部17の底面17bに向って撓んでダンパー室19の容積を減少させ、その圧力低下を吸収あるいは緩和する。これにより、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力は所定の圧力の範囲内に調整される。
【0039】
ここで、ダンパー膜18がダンパー室19の容積を減少させる際には、ダンパー膜18は受圧板24を介して圧縮コイルバネ22を底面17bの側に付勢して、圧縮コイルバネ22を圧縮した状態とする。ダンパー膜18が容積最小位置18Bに達した状態では、図4(c)に示すように、受圧板24と圧縮コイルバネ22によってダンパー膜18とインク貯留用凹部17の底面17bとの間に隙間Sが形成されるとともに、圧縮コイルバネ22は、弾性復帰力Fによって、受圧板24を介して、ダンパー膜18をダンパー室19の容積を増大させる方向に付勢する。すなわち、圧縮コイルバネ22はダンパー膜18をインク貯留用凹部17の底面17bから引き離す方向に付勢する。これらの結果、ダンパー膜18がインク貯留用凹部17の内周面(底面17bおよび周壁17c)へ貼り付いてしまうことが防止されるので、インク貯留用凹部17内でインクを流通させることができる。
【0040】
また、ダンパー膜18が容積最小位置18Bに達すると、図4(c)に示すように、底面17bに形成された突起23(1)の先端が受圧板24の当接面25aに当接して、受圧板24の底面17bの側への変位を規制し、受圧板24の当接面25aからインク貯留用凹部17の底面17bまでの間の距離Rを圧縮コイルバネ22の密着高さL1よりも長い距離に維持する。これにより、圧縮コイルバネ22の最大弾性変形量が規定され、圧縮コイルバネ22は、その高さ寸法が密着高さL1以下にならないように維持される。すなわち、突起23(1)と受圧板24の当接面25aは圧縮コイルバネ22のダンパー室19の容積が減少する方向への最大弾性変位量を規定する変位規制機構を構成しており、この変位規制機構によって、ダンパー膜18がインク貯留用凹部17の内側に撓んだときに、圧縮コイルバネ22が隣接しているコイル同士が密着した状態の筒体となってダンパー室19を占有してダンパー室19内のインクの流通を滞らせることが回避される。従って、インクの吐出不良が発生することを回避できる。また、インク吸引動作において、インクノズル12を介してインクを吸引させることができる。
【0041】
さらに、ダンパー膜18が容積最小位置18Bに達した状態では、ダンパー膜18は、受圧板24と当接している中央部分18aが凹部開口17aの側に盛り上がる形状となっている。より詳細には、ダンパー膜18において受圧板24が取り付けられている中央部分18aは、圧縮コイルバネ22の弾性復帰力Fによって付勢されて凹部開口17aの側に盛り上がっており、中央部分18aの外周側には、中央部分18aよりもインク液体貯留用凹部の底面17bの側に位置する環状部分18bが形成されている。また、この環状部分18bの一部が底面17bに当接した状態となっている。
【0042】
ここで、ダンパー膜18がインク貯留用凹部17の内側に撓んだときにダンパー膜18の中央部分18aが凹部開口17aの側に向って盛り上がっている状態から底面17bの側に向って窪んだ状態に変形すると、ダンパー膜18に発生する反力によってダンパー13のコンプライアンスが急激に変動してダンパー13内の圧力が不安定になることがあるが、本例によれば、ダンパー膜18の中央部分18aが盛り上がった状態に保持されており、このような変形が回避されているので、コンプライアンスの急激な変動が回避され、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が安定したものとなる。よって、インクの吐出動作が安定する。
【0043】
次に、キャリッジ5がアウェイポジションAPから離れる方向に移動しながら加速するか、あるいは、キャリッジ5がアウェイポジションAPに戻る方向に移動しながら減速すると、インクがインクチューブ9の下流側(インクジェットヘッド4の側)に慣性移動して流入して、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が上昇する。
【0044】
インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が上昇すると、ダンパー膜18は、インク貯留用凹部17の外側に向って撓んでダンパー室19の容積を増加させ、その圧力上昇を吸収あるいは緩和する。これにより、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力は所定の圧力の範囲内に調整される。
【0045】
ここで、ダンパー膜18がダンパー室19の容積を増大させる方向に変位してインク供給圧力の変動を吸収あるいは緩和する際には、ダンパー膜18の変位方向と、それ以前に圧縮状態となっている圧縮コイルバネ22の弾性復帰力Fが働く方向が一致するので、ダンパー膜18の変位に圧縮コイルバネ22の弾性復帰力Fが利用されて、ダンパー13のコンプライアンスが大きくなる。従って、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が上昇する際の圧力変動を効率よく吸収あるいは緩和することができる。
【0046】
なお、本例のインクジェットプリンター1について、キャリッジ5の往復動作に伴うインクジェットヘッド4内のインク供給圧力の変動を測定したところ、インク供給圧力が上昇する際における単位時間当たりの圧力の変動量が、インク供給圧力が下降する際における単位時間当たりの圧力の変動量と比較して大きいことが確認されている。従って、本例にように、ダンパー膜18がダンパー室19の容積を減少させる際に圧縮コイルバネ22がダンパー膜18によって付勢されて圧縮され、ダンパー膜18がダンパー室19の容積を増大させる際に圧縮コイルバネ22が弾性復帰力Fによってダンパー膜18をダンパー室19の容積を増大させる方向に付勢するように構成しておくことによって、より急激な圧力変動となっているインク供給圧力の上昇時の圧力変動を効率よく吸収あるいは緩和でき、インクの吐出動作が安定する。
【0047】
(作用効果)
本例によれば、ダンパー膜18がインク貯留用凹部17内に深く撓んだ場合でも、ダンパー室19内に配置されている圧縮コイルバネ22および受圧板24によってダンパー膜18がインク貯留用凹部17の内周面に貼り付いてしまうことが防止される。また、ダンパー膜18によって圧縮コイルバネ22が圧縮させられた場合でも、底面17bに形成された突起23(1)と受圧板24の当接によって圧縮コイルバネ22が筒体となりダンパー室19を占有することが防止される。これらの結果、ダンパー室19内でインクの流れが滞ることを防止できるので、インクの吐出不良を回避することができる。また、ダンパー膜18のインク貯留用凹部17の底面17bへの貼り付きを防止できるので、ダンパー膜18の撓み量を大きく設定することが可能であり、ダンパー13により吸収可能な圧力変動の幅を大きくすることができる。従って、インクジェットヘッド4によるインクの吐出動作が安定したものとなる。さらに、圧縮コイルバネ22はインク貯留用凹部17の底面17bに固定されており、インク貯留用凹部17の外周側にバネ部材を固定するための固定部を設ける必要がないので、ダンパー13をダンパー膜18の変位方向と直交する方向で小型化することができる。
【0048】
また、本例によれば、ダンパー膜18がインク貯留用凹部17の内側に撓んだときに、ダンパー膜18の中央部分18aが凹部開口17aの側に盛り上がっている状態に保持されており、ダンパー膜18の変形が抑制されているので、ダンパー13のコンプライアンスが急激に変動してダンパー13内の圧力が不安定になることを回避できる。よって、インクジェットヘッド4内のインク供給圧力が安定したものとなり、インク突出動作が安定する。
【0049】
さらに、本例によれば、ダンパー膜18がダンパー室19の容積を増大させる方向に変位してインク供給圧力の変動を吸収あるいは緩和する際には、ダンパー膜18の変位に圧縮コイルバネ22の弾性復帰力Fが利用されるので、インク供給圧力が上昇する際の急激な圧力変動を効率よく吸収あるいは緩和できる。
【0050】
また、本例によれば、インク貯留用凹部17の凹部開口17aおよびダンパー膜18が円形なので、ダンパー膜18の形状が変位方向に対して均一なものとなっている。この結果、凹部開口17aおよびダンパー膜18を矩形とした場合と比較して、ダンパー膜18の変位量を大きくすることが可能となるので、ダンパー13のコンプライアンスを大きくすることができ、ダンパー13によって大きな圧力変動を吸収することができる。なお、インク貯留用凹部17の凹部開口17aおよびダンパー膜18を楕円形としても、これらを矩形とする場合と比較して、ダンパー膜18の変位量を大きくすることができる。
【0051】
(その他の実施の形態)
上記の例では、ダンパー13のインク流入口20およびインク流出口21はインク貯留用凹部17の周壁17cに形成されているが、これらをインク貯留用凹部17の底面17bに形成することができる。また、この場合には、インク流入口20またはインク流出口21を底面17bの圧縮コイルバネ22によって囲まれている領域に形成することもできる。すなわち、本発明では、底面17bに形成された突起23(1)と受圧板24の当接によって圧縮コイルバネ22が筒体となることが防止されているので、圧縮コイルバネ22によって囲まれた領域にインク流入口20またはインク流出口21を形成した場合でも、圧縮コイルバネ22が筒状となってインク流入口20またはインク流出口21を液密状態で包囲することがなく、ダンパー室19内におけるインクの流れが滞らない。
【0052】
また、上記の例では、圧縮コイルバネ22をインク貯留用凹部17の底面17bに固定するための突起23(1)〜23(3)のうちの1つの突起23(1)を利用して受圧板24の底面17bの側への変位を規制して、圧縮コイルバネ22の最大弾性変位量を規定しているが、受圧板24と当接可能な突起を、圧縮コイルバネ22を固定するための突起23(1)〜23(3)とは別に設けてもよい。また、ダンパー膜18が容積最小位置18Bに達したときの受圧板24の底面17bの側への変位を規制することができれば、突起は圧縮コイルバネ22の外側に位置していてもよく、インク貯留用凹部17の周壁から受圧板24に向って突出するように形成されていてもよい。
【0053】
さらに、上記の例では、受圧板24の底面17bの側への変位を規制する突起23(1)がインク貯留用凹部17の内周面に形成されているが、受圧板24に、インク貯留用凹部17の底面17bに向って突出する突起を形成してもよい。すなわち、受圧板24の底面17bの側への変位を規制して、圧縮コイルバネ22の最大弾性変位量を規定する変位規制機構を、受圧板24の側から突出する突起と、インク貯留用凹部17の内周面とから構成してもよい。
【0054】
また、上記の例では、受圧板24はダンパー膜18に取り付けられているが、受圧板24をダンパー膜18に取り付けるのに代えて、インク貯留用凹部17の底面17bあるいは周壁17cから板状あるいは棒状の弾性材料からなる支持部材を突出させ、この支持部材によって受圧板24を変位可能な状態で片持ちに支持してもよい。
【0055】
さらに、上記の例では、ダンパー膜18が容積最大位置18Aに変位した状態で圧縮コイルバネ22が自由高さL2となるように構成されているが、少なくとも、ダンパー膜18が容積最小位置18Bに達したときに、ダンパー膜18が受圧板24を介して圧縮コイルバネ22を底面17bの側に付勢して圧縮コイルバネ22を圧縮するように構成しておけば、容積最小位置18Bにおいて圧縮コイルバネ22がダンパー膜18をインク貯留用凹部17の底面17bから引き離す方向に付勢するので、ダンパー膜18がインク貯留用凹部17の内周面に貼り付いてしまうことを確実に防止できる。従って、例えば、ダンパー膜18が容積最大位置18Aと容積最小位置18Bの間の中間に変位した状態で圧縮コイルバネ22が自由高さL2となるように構成してもよい。
【0056】
なお、上記実施形態は、インクジェットプリンター1のインクジェットヘッド4のダンパー13に本発明を適用した例であるが、本発明は、インク以外の液体を吐出する他の液体吐出装置および液体吐出ヘッドに搭載されるダンパーにも適用できる。例えば、試薬溶液や液状の試料などを液体吐出ヘッドから吐出するため液体吐出装置、液状塗料や液状材料を液体吐出ヘッドから吐出して印刷により塗布するための液体吐出装置などに搭載されるダンパーにも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1・インクジェットプリンター(液体吐出装置)、2・プリンターケース、3・プラテン、4・インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)、5・キャリッジ、5a・キャリッジガイド軸、6・インクカートリッジ装着部、7・インクカートリッジ、8・インク供給路、9・インクチューブ(液体供給路)、10・ヘッド本体部、10b・ヘッド内流路、11・インク供給路形成部、11a・流路形成部材、12・インクノズル、12a・ノズル面、13・ダンパー、14・インク供給部、15・インク流路(液体流路)、16・インク供給孔、17・インク貯留用凹部、17a・凹部開口、17b・底面、17c・周壁、18・ダンパー膜、18a・中央部分、18b・環状部分、18A・容積最大位置、18B・容積最小位置、19・ダンパー室、20・インク流入口(液体流入口)、21・インク流出口(液体流出口)、22・圧縮コイルバネ、23・突起、24・受圧板、25・平板部、25a・当接面、26・円環状突部、AP・アウェイポジション、HP・ホームポジション、F・弾性復帰力、L1・圧縮コイルバネの密着高さ、L2・圧縮コイルバネの自由高さ、R・底面から当接面までの距離、S・隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体貯留用凹部と、前記液体貯留用凹部の凹部開口を塞いでダンパー室を区画している可撓性のダンパー膜とを有し、前記ダンパー膜の変位によって前記ダンパー室の容積を増減させて前記液体吐出ヘッド内の液体供給圧力を調節する液体吐出ヘッドのダンパーにおいて、
前記ダンパー室内に配置されており、前記ダンパー膜を前記ダンパー室の容積が増加する方向に付勢可能な圧縮コイルバネと、
前記圧縮コイルバネの高さ寸法が密着高さ以下とならないように当該圧縮コイルバネの前記ダンパー室の容積が減少する方向への最大弾性変位量を規定している変位規制機構とを有していることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項2】
請求項1において、
前記ダンパー膜と前記圧縮コイルバネとの間において前記圧縮コイルバネの伸縮方向に変位可能に配置されている剛体の受圧部材を有し、
前記圧縮コイルバネは、前記受圧部材を介して前記ダンパー膜を付勢可能となっていることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項3】
請求項2において、
前記ダンパー膜が前記ダンパー室の容積を最小容積とする容積最小位置に変位した状態では、前記ダンパー膜は、その弾性変位量が前記最大弾性変位量に達しており、前記圧縮コイルバネは、その弾性復帰力によって前記ダンパー膜を前記ダンパー室の容積を増加する方向に付勢していることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項4】
請求項3において、
前記ダンパー膜、前記受圧部材および前記圧縮コイルバネは同軸上に配置されており、
前記ダンパー膜が前記容積最小位置に変位した状態では、前記ダンパー膜は、前記圧縮コイルバネによって付勢されている前記ダンパー膜の中央部分が前記凹部開口の側に盛り上がった状態となっていることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項5】
請求項4において、
前記ダンパー膜が前記ダンパー室を最大容積とする容積最大位置に変位した状態では、前記圧縮コイルバネは、自由高さに達していることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項6】
請求項5において、
前記受圧部材は、前記ダンパー膜に取り付けられていることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項7】
請求項5において、
前記液体貯留用凹部の内周面から突出しており、前記受圧部材を前記圧縮コイルバネの伸縮方向に変位可能な状態で片持ちに支持する支持部材を有していることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記凹部開口は、円形または楕円形であり、
前記ダンパー膜は、前記凹部開口に対応する円形または楕円形であり、当該ダンパー膜の周縁が前記凹部開口の周縁に密着固定されていることを特徴とする液体吐出ヘッドのダンパー。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちのいずれかの項に記載のダンパーを備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項10】
所定の走査方向に往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドにインクを供給するための可撓性のインク供給路とを有し、
前記インクジェットヘッドは、当該インクジェットヘッド内のインク流路と前記インク供給路との間に、請求項1ないし8のうちのいずれかの項に記載のダンパーを備えていることを特徴とするインクジェットプリンター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate